JP3165579B2 - 試料容器 - Google Patents

試料容器

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JP3165579B2
JP3165579B2 JP05031394A JP5031394A JP3165579B2 JP 3165579 B2 JP3165579 B2 JP 3165579B2 JP 05031394 A JP05031394 A JP 05031394A JP 5031394 A JP5031394 A JP 5031394A JP 3165579 B2 JP3165579 B2 JP 3165579B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は試料容器に関する。よ
り詳しくは、フレームレス原子吸光分光光度計(FL−
AAS)のような分析装置等へ溶液試料を供給するため
の自動採取装置(オートサンプラー)に用いて好適な試
料容器に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】各種
分析装置等へ溶液試料を供給するための自動採取装置
(以下、単に「自動採取装置」という。)は、一般に図
6に示すように、試料容器104,104,…をセット
するためのステージ部111と、ステージ部111に立
設された支柱110と、支柱110に取り付けられたア
ーム駆動部109と、このアーム駆動部109によって
移動されるアーム108と、このアーム108に取り付
けられたシリンジ針107を備えている。図7(a)に示
すように、各試料容器104は、底部104dと、底部
104dの周縁に連なり上方へ筒状に延びる側部104
cと、側部104cの上端に連なり径方向外向きに延び
るフランジ部104bと、フランジ部104bの外周縁
に連なり上方へ筒状に延びる上部104aとからなって
いる。底部104dの内面105dは半球面状に形成さ
れている。側部104cの外径寸法は、ステージ部11
1の天板に設けられた孔111aの寸法と略等しく設定
されている。ステージ部111に各試料容器104をセ
ットする場合、ステージ部の孔111aに試料容器の側
部104cが嵌合され、フランジ部104bの下面がス
テージ部111の天板に当接される。この結果、各試料
容器104は、ステージ部111に対して水平方向およ
び鉛直方向に係止される。
【0003】溶液試料を自動採取する場合、図6に示す
ように、溶液試料106を入れた試料容器104,10
4,…が予めステージ部111にセットされる。そし
て、アーム駆動部109によってアーム108が試料容
器104の真上に移動され、続いて、下方へ降ろされ
る。これにより、シリンジ針107の先端が試料容器1
04内に入り、溶液試料106が所定量だけシリンジ針
107内に吸引される。次に、アーム108の移動によ
り、シリンジ針107が上方へ引き上げられて、分析装
置等の図示しない溶液試料導入口の所に移動する。その
溶液試料導入口にシリンジ針107が挿入され、先程吸
引した溶液試料106がシリンジ針107から送り出さ
れる。この作業を繰り返し行うことにより、複数の溶液
試料106,106,…が連続的に分析装置等へ供給さ
れる。
【0004】ところで、動作開始前に、試料容器104
(および分析装置等の溶液試料導入口)に対してシリン
ジ針107の移動位置が調整される。この位置調整は微
妙なものであり、往々にして不完全な場合が生ずる。試
料容器104とシリンジ針107との間の位置調整が不
完全である場合、動作時にシリンジ針107の先端が底
部内面105dに接触する。このとき、試料容器104
がステージ部111によって水平方向および鉛直方向に
係止されており、動かないため、シリンジ針107が塑
性変形して曲がってしまうという問題がある。シリンジ
針107が曲がってしまうと、分析装置等の溶液試料導
入口への正確な注入ができなくなる。このため、従来
は、自動採取の動作を一時的に停止させてシリンジ針1
07の変形を修正した後、再度位置調整を行っている。
【0005】また、最近、半導体薄膜中の不純物分析装
置としてフレームレス原子吸光分光光度計(FL−AA
S)が広く用いられている。フレームレス原子吸光分光
光度計では、溶液試料の量が200μl程度と微量であ
ることから、図7(b)に示すように、内径を狭くした試
料容器115が用いられている。すなわち、この試料容
器115は、底部115dと、底部115dの周縁に連
なり上方へ略筒状に延びる側部115cと、側部115
cの上端に連なり径方向外向きに延びるフランジ部11
5bと、フランジ部115bの外周縁に連なり上方へ筒
状に延びる上部115aとからなっている。この試料容
器115の側部115cの内周面114cには下方へ行
くにつれて次第に狭くなるテーパーが施されている。側
部115cの外径寸法は、図7(a)に示した試料容器1
04と同様に、ステージ部111の天板に設けられた孔
111aの径寸法と略等しく設定されている。底部11
5dの内面114dは略平坦に形成されている。
【0006】この試料容器115の場合、試料容器10
4と同様にステージ部111によって水平方向および鉛
直方向に係止される。しかも、試料容器104よりも内
径が狭くなっている。このため、水平方向についてさら
に厳密な位置調整が要求される。また、試料容器115
内に入れられる溶液試料116の量が微量であるから、
溶液試料116を確実に吸引するためには、シリンジ針
107の先端を上方からできるだけ底部115dに近づ
けなければならず、鉛直方向についても厳密な位置調整
が要求される。このように、試料容器115とシリンジ
針107との間で水平方向および鉛直方向に厳密な位置
調整が要求され、位置調整が極めて困難になる。また、
市販されている各種自動採取装置は位置調整精度がそれ
ぞれ異なるため、内部寸法が小さく設計されている上記
試料容器115は位置調整精度が粗い自動採取装置には
用いることができず、汎用性が無いという問題がある。
また、複数の溶液試料について自動採取を行う場合、先
に採取する溶液試料には問題は無いが、後に採取する溶
液試料では待ち時間の間の蒸発分が大きくなる。試料容
器内に入れられる溶液試料の量が微量である用途では、
この待ち時間の間の蒸発分が分析精度を低下させるとい
う問題がある。
【0007】なお、待ち時間の間に溶液試料が蒸発する
のを防ぐために、図8に示すような試料容器124が提
案されている(特開平5−149841号公報)。この
試料容器124は、底部124bと、底部124bの周
縁に連なり上方へ筒状に延びる側部124aと、パッキ
ン122を介して側部124aの上端を塞ぐ試料蓋12
1を備えている。溶液試料123を吸引する際、オート
サンプラーアームとしてのシリンジ針117、サポート
118および押し棒119が一体となって下方へ駆動さ
れる。押し棒119の先端に取り付けてられているロー
ラー120が試料蓋121の一端を押し下げて試料蓋1
21を開き、その後、シリンジ針117が試料容器12
4内に入って溶液試料123を吸引する。吸引後は、オ
ートサンプラーアーム117,118,119が一体と
なって上方へ動くことにより、試料蓋121が閉まって
試料容器124が密閉される。この試料容器124を採
用した場合、溶液試料の蒸発を防ぐことができ、分析精
度を高めることができる。しかし、この場合、試料容器
124のみならず、オートサンプラーアームの改良も必
要となる。このため、市販されている各種自動採取装置
に適用することができず、汎用性が無いという問題があ
る。また、動作時に試料容器124は図示しないステー
ジ部に係止されるため、試料容器124とシリンジ針1
17との間の位置調整も容易ではない。さらに、構造が
複雑になるため、試料容器124の材料および作製コス
トが上がるとともに、溶液試料123に対する汚染要因
が増加するという問題がある。
【0008】そこで、この発明の目的は、溶液試料を吸
引するためのシリンジ針との間の位置調整を簡単に行う
ことができる上、市販の各種自動採取装置に対して汎用
性が有り、また、収容した溶液試料の蒸発を防ぐことが
できる試料容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1に記載の試料容器は、底部と、上記底部の
周縁部に連なり上方へ延びる筒状の側面とを有する外側
容器と、底部と、上記底部の周縁に連なり上方へ延びる
筒状の側部とを有し、この側部の外径寸法が上記外側容
器の側部の内径寸法よりも小さく設定された内側容器と
を備え、上記内側容器の外径寸法が外側容器の内径寸法
の1/2以上であり、両寸法を上記内側容器の鉛直方向
に対する傾き角を制限でき、上記内側容器が水平方向に
移動する自由度を維持する大きさとし、且つ、上記内側
容器外面の底部は、鋭角をなして下方へ突出しており、
上記外側容器内に入れられた補助液体に、上記内側容器
が底部を下側にした状態で浮いていることを特徴とする
試料容器である
【0010】また、請求項2に記載の試料容器は、請求
項1に記載の試料容器において、上記補助液体は、水よ
りも沸点が低い成分を含む水溶液であることを特徴とし
ている。
【0011】
【0012】
【作用】請求項1の試料容器は、内側容器内に溶液試料
を入れた状態で、自動採取装置のステージ部にセットさ
れる。動作開始にあたって、操作者がこの試料容器(お
よび分析装置等の溶液試料導入口)に対してシリンジ針
の移動位置を調整する。そして、自動採取装置の駆動部
によってシリンジ針が試料容器の真上に移動され、続い
て、下方へ降ろされる。これにより、シリンジ針の先端
が内側容器内に入り、溶液試料が所定量だけシリンジ針
内に吸引される。次に、シリンジ針が上方へ引き上げら
れて、分析装置等の溶液試料導入口に、先程吸引した溶
液試料がシリンジ針から送り出される。この作業を繰り
返し行うことにより、複数の溶液試料が連続的に分析装
置等へ供給される。ここで、自動採取の動作時にシリン
ジ針の先端が内側容器の底部内面に接触した場合、内側
容器は浮遊状態にあることから、鉛直下方または水平方
向に容易に移動する。したがって、シリンジ針は内側容
器から殆ど力を受けることが無く、シリンジ針が塑性変
形して曲がってしまうようなことが無い。したがって、
分析装置等の溶液試料導入口への正確な注入が行われ
る。このように、この試料容器では、シリンジ針と内側
容器の底部内面との接触が許容されることから、動作開
始にあたっての位置調整が粗雑であっても不都合がな
く、位置調整が簡単に済ませられる。また、従来と異な
り、シリンジ針が曲がることがないので、自動採取動作
を一時的に停止させてシリンジ針の変形を修正したり、
再度位置調整を行ったりする必要もない。また、上記内
側容器の外径が外側容器の内径の1/2以上であるか
ら、内側容器の鉛直方向に対する傾き角が適度に制限さ
れる。したがって、内側容器の鉛直方向に対する傾き角
が大きくなり過ぎてシリンジ針が入りにくくなるような
事態が回避される。しかも、上記内側容器の外径と外側
容器の内径との差が1mm以上であるから、内側容器が
水平に移動する自由度が維持される。更に、上記内側容
器の底部は鋭角をなして下方へ突出しているので、自動
採取の動作時にシリンジ針が内側容器の底部内面に接触
したとき、内側容器は少ない抵抗でもって容易に下方へ
移動する。つまり、この底部の形状によれば、鉛直下方
へ一定距離だけ移動するとき、円柱形や半球形などの形
状に比して補助液体を 押しのける量が少なく、したがっ
て、補助液体から受ける浮力も少ない。したがって、内
側容器は容易に下方へ移動して、シリンジ針の変形を効
果的に防止する。
【0013】また、内側容器内に入れられる溶液試料の
量が微量である場合も、同様に、内側容器が鉛直下方ま
たは水平方向に容易に移動し得るので、動作開始前の位
置調整が粗くても不都合がなく、位置調整が簡単に済ま
せられる。
【0014】また、市販されている各種自動採取装置は
位置調整精度がそれぞれ異なるが、この試料容器は、内
側容器が浮遊状態にあり、容易に移動し得るので、位置
調整精度が粗い自動採取装置にも用いることができる。
つまり、汎用性がある。
【0015】また、この試料容器を構成する部材のう
ち、外側容器としては例えば図7(a)に示した従来の試
料容器をそのまま採用できる。また、補助液体として
は、例えばアルコール成分を含む水溶液などを採用すれ
ば良く、これは自動採取装置を用いる分析現場に常備さ
れているものである。したがって、この試料容器を構成
する部材としては、実際上、内側容器を新たに用意すれ
ば足りる。したがって、試料容器の材料コストは比較的
安価に抑えられる。また、外側容器に補助液体を入れ、
内側容器を浮かべるだけの単純な構造であるから、複雑
な加工を要せず、作製コストもかからない。しかも、構
造が単純であるから、溶液試料に対する汚染要因が増加
することも無い。
【0016】請求項2の試料容器では、上記補助液体
は、水よりも沸点が低い成分を含む水溶液であるから、
上記水よりも沸点が低い成分が蒸発することによって、
補助液体の温度が周囲温度よりも低下する。この結果、
内側容器内の溶液試料が冷却され、溶液試料の蒸発が防
止される。したがって、複数の溶液試料について自動採
取を行う場合であっても、溶液試料の蒸発による分析精
度の低下が抑えられる。このことは、分析装置としてフ
レームレス原子吸光分光光度計を用いる場合のように、
試料容器内に入れられる溶液試料の量が微量であるとき
に特に有益である。
【0017】
【0018】
【実施例】以下、この発明の試料容器を実施例により詳
細に説明する。
【0019】図1(a)はこの発明の一実施例の試料容器
1を示している。この試料容器1は、外側容器4と、内
側容器2とを備えている。なお、この試料容器1は、図
6に示したのと同一の自動採取装置に使用されるものと
し、自動採取装置の構成部分は図6と同一の符号を用い
て説明する。
【0020】上記外側容器4は、底部4dと、底部4d
の周縁に連なり上方へ筒状に延びる側部4cと、側部4
cの上端に連なり径方向外向きに延びるフランジ部4b
と、フランジ部4bの外周縁に連なり上方へ筒状に延び
る上部4aとからなっている。底部4dの内面5dは平
坦面状に形成されている。側部4cの外径寸法は、自動
採取装置のステージ部111の天板に設けられた孔11
1a(図7(a))の寸法と略等しく設定されている。
【0021】上記内側容器2は、同図(b)に示すよう
に、円錐状の外形を持ち下方へ突出した底部2bと、底
部2bの周縁に連なり上方へ延びる筒状の側部2aとを
有している。底部2bの円錐の頂角は略60°であり、
鋭角になっている。側部2aの外径寸法は、外側容器4
の側部4cの内径寸法よりも小さく設定されている。側
部2a、底部2bはそれぞれ略一定の厚みを有してお
り、側部2aの内面3a、底部2bの内面3bはそれぞ
れ外周面に沿った形状となっている。ただし、底部2b
の頂点近傍2cの内面3cは、下降したシリンジ針が嵌
まり込んで抜けなくなるのを防ぐために、略平坦に形成
されている。なお、このようにした場合、シリンジ針が
この頂2cの内面3cと接触したとき、シリンジ針の先
端が内面3cによって完全に塞がれるおそれがある。そ
こで、シリンジ針が確実に溶液試料6を吸引できるよう
に、この内面3cには極僅かではあるが傾斜が設けられ
ている。
【0022】これらの外側容器4、内側容器2はテフロ
ンに限らず、ポリプロピレン等の比較的安価な材質で形
成される。内側容器2を安価なポリプロピレン製とした
場合は、分析にかかるトータルコストのうち内側容器2
の材料コストが占める比率が少なくなるので、使い捨て
も可能になる。
【0023】図示しない分析装置等へ溶液試料6を供給
するために、自動採取装置に試料容器1をセットする場
合、予め、外側容器4内に、側部4cの約半分程度の高
さまで補助液体9を入れ、続いて、採取すべき溶液試料
6を入れた内側容器2を底部2bを下側にした状態で補
助液体9に浮べる。補助液体9は、水よりも沸点が低い
アルコール成分(例えばイソプロピルアルコール等)を
含む水溶液とする。なお、補助液体9として、水よりも
沸点が低い純アルコールを用いると、短時間で蒸発する
結果、内側容器2を浮かせることができなくなる。この
ため、上述のように、イソプロピルアルコール等の水溶
液を用いるのが好ましい。補助液体9のアルコール成分
や水分が蒸発しても、補助液体9中に含まれている不純
物は気化しないので、内側容器2内の溶液試料6を汚染
する心配は全く無い。
【0024】複数の溶液試料の分析を行う場合は、図6
に示したのと同様に、複数の試料容器1を用意して、自
動採取装置のステージ部111にセットする。ステージ
部111に試料容器1をセットすると、図7(a)に示し
たのと同様に、ステージ部の孔111aに外側容器4の
側部4cが嵌合され、フランジ部4bの下面がステージ
部111の天板に当接される。この結果、外側容器4
は、ステージ部111に対して水平方向および鉛直方向
に係止される。一方、内側容器2は外側容器4内で浮遊
状態にある。
【0025】自動採取の動作開始にあたって、まず、操
作者が試料容器1(および分析装置等の溶液試料導入
口)に対して図6に示したシリンジ針107の移動位置
を調整する。そして、自動採取装置の駆動部109によ
ってシリンジ針107が試料容器1の真上に移動され、
続いて、下方へ降ろされる。これにより、図2に示すよ
うに、シリンジ針107の先端が内側容器2内に入り、
溶液試料6が所定量だけシリンジ針107内に吸引され
る。次に、シリンジ針107が上方へ引き上げられて、
分析装置等の溶液試料導入口に、先程吸引した溶液試料
6がシリンジ針107から送り出される。この作業を繰
り返し行うことにより、複数の溶液試料6が連続的に分
析装置等へ供給される。
【0026】ここで、自動採取の動作時にシリンジ針1
07の先端が内側容器2の底部2bの内面3bまたは3
cに接触した場合、内側容器2は浮遊状態にあることか
ら、鉛直下方または水平方向に容易に移動する。例え
ば、図2に示すようにシリンジ針107が底部2bの頂
点近傍2cの内面3cに接触したときは、内側容器2は
鉛直下方へ移動する。また、シリンジ針107が内側容
器2の中心から少しずれた箇所に降ろされて底部2bの
内面3bと接触したときは、内側容器2は、図3(a)に
示すように傾いた状態で押し下げられるか、または、同
図(b)に示すように傾かず水平方向へ平行移動する。い
ずれにしても、内側容器2は浮遊状態にあるので、シリ
ンジ針107は内側容器2から殆ど力を受けることが無
く、シリンジ針107が塑性変形して曲がってしまうよ
うなことが無い。したがって、分析装置等の溶液試料導
入口へ正確な注入を行うことができる。このように、こ
の試料容器1では、シリンジ針107と内側容器2の底
部内面3b,3cとの接触が許容されるので、動作開始
にあたっての位置調整を粗雑にしても不都合が無く、位
置調整を簡単に済ませることができる。また、従来と異
なり、シリンジ針107が曲がることがないので、自動
採取動作を一時的に停止させてシリンジ針107の変形
を修正したり、再度位置調整を行ったりする必要もな
い。
【0027】特に、この例では、内側容器2の底部2b
は円錐状の外形を持ち、鋭角をなして下方へ突出してい
るので、自動採取の動作時にシリンジ針107が内側容
器2の底部内面3b,3cに接触したとき、内側容器2
は少ない抵抗でもって容易に下方へ移動する。つまり、
円錐形は、鉛直下方へ一定距離だけ移動するとき、円柱
形や半球形などの形状に比して補助液体9を押しのける
量が少なく、したがって、補助液体9から受ける浮力も
少ない。したがって、内側容器2は容易に下方へ移動し
て、シリンジ針107の変形を効果的に防止することが
できる。なお、底部2bの外形は円錐状に限られるもの
ではなく、例えば角錐状であっても良い。
【0028】また、内側容器2内に入れられる溶液試料
6の量が微量である場合も、同様に、内側容器が鉛直下
方または水平方向に容易に移動し得るので、操作者が動
作開始にあたっての位置調整を粗雑にしても不都合がな
く、位置調整を簡単に済ませることができる。
【0029】また、補助液体9は、水よりも沸点が低い
アルコール成分を含む水溶液であるから、上記アルコー
ル成分が蒸発することによって、補助液体9の温度が周
囲温度よりも低下する。この結果、内側容器2内の溶液
試料6が冷却され、溶液試料6が蒸発するのを防ぐこと
ができる。したがって、複数の溶液試料について自動採
取を行う場合であっても、溶液試料6の蒸発による分析
精度の低下を抑えることができる。このことは、分析装
置としてフレームレス原子吸光分光光度計を用いる場合
のように、試料容器内に入れられる溶液試料の量が微量
であるときに特に有益である。なお、上記水よりも沸点
が低い成分はアルコールに限られるものではなく、分析
の障害にならない限り、他の有機溶剤を広く用いること
ができる。
【0030】また、市販されている各種自動採取装置は
位置調整精度がそれぞれ異なるが、この試料容器1は、
内側容器2が浮遊状態にあり、容易に移動し得るので、
位置調整精度が粗い自動採取装置にも柔軟に適合するこ
とができ、汎用性がある。
【0031】また、この試料容器1を構成する部材のう
ち、外側容器4としては例えば図7(a)に示した従来の
試料容器104をそのまま採用できる。また、補助液体
9は、アルコール成分を含む水溶液であるから、これは
自動採取装置を用いる分析現場に常備されているもので
ある。したがって、この試料容器1を構成する部材とし
ては、実際上、内側容器2を新たに用意すれば足りる。
したがって、試料容器1の材料コストを比較的安価に抑
えることができる。また、外側容器4に補助液体9を入
れ、内側容器2を浮かべるだけの単純な構造であるか
ら、複雑な加工を要せず、作製コストもかからない。
【0032】しかも、この試料容器1は、構造が単純で
あるから、溶液試料6に対する汚染要因を増加させるこ
とも無い。また、内側容器2を安価なポリプロピレン製
として使い捨てにする場合は、過去の溶液試料が容器内
に残留して汚染要因となるのを防止することができる。
【0033】図4は、外側容器として図7(a)に示した
従来の試料容器104をそのまま用いた場合の試料容器
の寸法設計を示している。
【0034】図4(b)に示すように、この市販されてい
る外側容器104の寸法は、側部104cの内径が9m
m、上部104aの内径が14mm、底部104dの内
面105dから上部104aの開口端までの高さが36
mmのものである。これに対して、図4(c)に示すよう
に、内側容器2の寸法は、側部2aの外径が8mm、底
部2bの頂2cから側部2aの開口端までの高さが37
mmに設定し、底部2bの高さは全高37mmの1/3
程度に設定する。
【0035】重要な点は、外側容器104の内径寸法と
内側容器2の外径寸法との差を1mmに設定している点
である。この理由は、上記差が大きすぎると、同図(a)
に示す浮遊状態で内側容器2は水平方向に大きく移動で
きるが、鉛直方向に対する傾き角が大きくなってシリン
ジ針107が入りにくくなるからである(内側容器2の
外径寸法は外側容器104の内径寸法の少なくとも1/
2以上に設定する必要がある。)。一方、上記差が小さ
すぎると、内側容器2の鉛直方向に対する傾き角を小さ
くできるが、水平方向に移動できる自由度が減少する。
結局、上記差を1mmに設定するのが最も望ましい。
【0036】また、上記差を1mmに設定するととも
に、底部2bの高さを全高37mmの1/3程度に設定
しているので、内側容器2が傾いた場合に、底部2bと
側部2aとがなすエッジと、側部2aの一箇所とが、そ
れぞれ外側容器104の内壁の反対側に接触して係止さ
れる。したがって、内側容器2の鉛直方向に対する傾き
角を小さく抑えることができる。なお、底部2aの高さ
を全高37mmの1/2よりも大きく設定すると、底部
2bと側部2aとがなすエッジが外側容器104の内壁
に接触しなくなるので好ましくない。一方、底部2bの
高さを全高37mmの1/4よりも小さく設定すると、
底部2bの円錐形の頂角が大きくなるため好ましくな
い。この結果、鉛直下方へ一定距離だけ移動するとき、
内側容器2が補助液体9から大きな浮力を受け、移動し
にくくなるからである。結局、底部の高さは全高37m
mの1/3程度に設定するのが望ましい。
【0037】なお、内側容器2の全高が37mmあるこ
と自体は、市販の殆どの自動採取装置がシリンジ針10
7を十分高い位置から下降させるタイプであるから、何
ら問題が無い。
【0038】また、図5(a)に示すように、内側容器
2′の側部2aの開口端2a′を外側へ湾曲させても良
い。これにより、自動採取装置のシリンジ針の位置調整
精度との関係で、内側容器2の側部2aの内径が小さす
ぎる場合に、位置調整を簡単にすることができる。
【0039】また、図5(b)に示すように、内側容器
2″の底部2bの頂点近傍2cに重り10を埋め込んで
も良い。これにより、浮遊状態にある内側容器2が鉛直
方向に対して傾くのを防ぐことができる。
【0040】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1の試
料容器は、内側容器が浮遊状態にあるので、自動採取の
動作時にシリンジ針の先端が内側容器の底部内面に接触
した場合、鉛直下方または水平方向に容易に移動する。
したがって、シリンジ針が塑性変形して曲がってしまう
のを防止することができる。したがって、自動採取装置
によって分析装置等の溶液試料導入口への正確な注入を
行うことができる。しかも、シリンジ針と内側容器の底
部内面との接触が許容されることから、動作開始にあた
っての位置調整を簡単に済ませることができる。また、
従来と異なり、シリンジ針が曲がることがないので、自
動採取動作を一時的に停止させてシリンジ針の変形を修
正したり、再度位置調整を行ったりする必要もない。ま
た、上記内側容器の外径が外側容器の内径の1/2以上
であるから、内側容器の鉛直方向に対する傾き角を適度
に制限できる。したがって、内側容器の鉛直方向に対す
る傾きが大きくなり過ぎてシリンジ針が入りにくくなる
ような事態を回避できる。しかも、上記内側容器の外径
と外側容器の内径との差が1mm以上であるから、内側
容器が水平方向に移動する自由度を維持できる。更に、
上記内側容器の底部は鋭角をなして下方へ突出している
ので、自動採取の動作時にシリンジ針が内側容器の底部
内面に接触したとき、内側容器は少ない抵抗でもって容
易に下方へ移動して、シリンジ針の変形を効果的に防止
することができる。
【0041】また、内側容器内に入れられる溶液試料の
量が微量である場合も、同様に、内側容器が鉛直下方ま
たは水平方向に容易に移動し得るので、動作開始前の位
置調整を簡単に済ませることができる。
【0042】また、市販されている各種自動採取装置は
位置調整精度がそれぞれ異なるが、この試料容器は、内
側容器が浮遊状態にあり、容易に移動し得るので、位置
調整精度が粗い自動採取装置にも用いることができ、汎
用性がある。
【0043】また、この試料容器を構成する部材のう
ち、外側容器としては例えば図7(a)に示した従来の試
料容器をそのまま採用できるし、補助液体としては例え
ばアルコール成分を含む水溶液など、自動採取装置を用
いる分析現場に常備されているものを採用できる。した
がって、この試料容器を構成する部材としては、実際
上、内側容器を新たに用意すれば足りる。したがって、
試料容器の材料コストは比較的安価に抑えることができ
る。また、外側容器に補助液体を入れ、内側容器を浮か
べるだけの単純な構造であるから、複雑な加工を要せ
ず、作製コストもかからない。しかも、構造が単純であ
るから、溶液試料に対する汚染要因が増加することも無
い。
【0044】請求項2の試料容器では、上記補助液体
は、水よりも沸点が低い成分が蒸発することによって、
温度が低下する。この結果、内側容器内の溶液試料を冷
却され、溶液試料の蒸発が防止される。したがって、複
数の溶液試料について自動採取を行う場合であっても、
溶液試料の蒸発による分析精度の低下を抑えることがで
きる。このことは、分析装置としてフレームレス原子吸
光分光光度計を用いる場合のように、試料容器内に入れ
られる溶液試料の量が微量であるときに特に有益であ
る。
【0045】
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例の試料容器の構造を示す
図である。
【図2】 上記試料容器の動作を説明する図である。
【図3】 上記試料容器の動作を説明する図である。
【図4】 外側容器として従来の試料容器を採用した場
合の上記試料容器の寸法設計を説明する図である。
【図5】 上記試料容器の変形例を示す図である。
【図6】 一般的な自動採取装置の構成を示す図であ
る。
【図7】 従来の試料容器の構造を示す図である。
【図8】 従来の別の試料容器の構造を示す図である。
【符号の説明】
1 試料容器 2 内側容器 4 外側容器 6 溶液試料 9 補助液体 107 シリンジ針
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−94035(JP,A) 実開 昭61−161746(JP,U) 実開 平4−24044(JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底部と、上記底部の周縁部に連なり上方
    へ延びる筒状の側面とを有する外側容器と、 底部と、上記底部の周縁に連なり上方へ延びる筒状の側
    部とを有し、この側部の外径寸法が上記外側容器の側部
    の内径寸法よりも小さく設定された内側容器とを備え、 上記内側容器の外径寸法が外側容器の内径寸法の1/2
    以上であり、両寸法を上記内側容器の鉛直方向に対する
    傾き角を制限でき、上記内側容器が水平方向に移動する
    自由度を維持する大きさとし、且つ、上記内側容器外面
    の底部は、鋭角をなして下方へ突出しており、 上記外側容器内に入れられた補助液体に、上記内側容器
    が底部を下側にした状態で浮いていることを特徴とする
    試料容器。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の試料容器において、上
    記補助液体は、水よりも沸点が低い成分を含む水溶液で
    あることを特徴とする試料容器。
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