JP3164935B2 - 熱間圧延鋼帯の巻き取り方法 - Google Patents

熱間圧延鋼帯の巻き取り方法

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JP3164935B2 JP06878793A JP6878793A JP3164935B2 JP 3164935 B2 JP3164935 B2 JP 3164935B2 JP 06878793 A JP06878793 A JP 06878793A JP 6878793 A JP6878793 A JP 6878793A JP 3164935 B2 JP3164935 B2 JP 3164935B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として熱間圧延鋼帯
の巻き取り方法において、巻き取り時の鋼帯の長手方向
における鋼帯温度を均一一定に保つ巻き取り方法に係わ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、薄鋼板は自動車、家電、建材等の
用途に広く使用されており、省資源、省エネルギ等の観
点から、より高性能でかつ低コストであることが要求さ
れている。この特性改善のため、多くの研究が広範に実
施された結果、熱間圧延において鋼帯巻き取りを高温で
行う必要のある多くの新材料が開発された。
【0003】該材料を熱間圧延後コイル状に巻き取るに
際し、現状の巻き取り装置では鋼帯巻き付け用の芯棒
(以下マンドレルバーという)の温度が鋼帯温度よりも
低いため、所定の巻き取り温度を実現するためにはマン
ドレルバーによる鋼帯の冷却を考慮し、予め鋼帯温度を
目標よりやや高めに設定する必要がある。しかしなが
ら、この場合マンドレルバーの温度は巻き取り中あるい
は鋼帯巻き取りとこれに引き続く次の鋼帯の巻き取りの
間で一定ではなく変化するため、目標巻き取り温度範囲
を高めにあるいは低めに外れることがあり的中精度はよ
くない。
【0004】そこでマンドレルバーに断熱性を付与する
ための方法が種々提案されており、例えば特公昭58−
32007号公報にあるような断熱マンドレルバーが提
案されている。しかしながら、この方法では設備の改造
に多大の費用を要しかつマンドレルバー温度の上昇もあ
るため、潤滑用のグリース焼き付き等のトラブルも発生
することがある。従って、従来のマンドレルバーの機能
を損なうことなくかつ鋼帯の巻き取り温度を一定に保つ
ことのできる方法が必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱間圧延鋼
帯の巻き取り用マンドレルバーに断熱性及び弾力性を有
する材料で作られた円筒を装着することにより、マンド
レルバーによる鋼帯の冷却を回避し鋼帯の長手方向にお
ける鋼帯温度を均一一定に保ちつつ巻き取りを可能にす
る方法の提供である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の主旨とするとこ
ろは、次の通りである。 (1)熱間圧延鋼帯の巻き取り装置において、鋼帯巻き
取り用芯棒に断熱性及び弾力性を有する材料による円筒
形の筒を装着し鋼帯を巻き取ることを特徴とする熱間圧
延鋼帯の巻き取り方法。 (2)断熱性円筒の形状が、その内径においてマンドレ
ルバーの待機時直径の+1.3%〜+3.9%であるこ
とを特徴とする(1)記載の熱間圧延鋼帯の巻き取り方
法。
【0007】
【作用】本発明は、熱間圧延鋼帯の巻き取り装置におい
て、鋼帯巻き取り用マンドレルバーに断熱特性を有する
円筒状の筒を装着することによって、高温鋼帯から低温
マンドレルバーへの熱の移動を回避し鋼帯の長手方向に
おける鋼帯温度の変動を回避し、冶金的に必要な所定の
鋼帯温度を確保する。
【0008】断熱特性を有する材料としては種々のもの
があるが、高速で移送される熱間圧延鋼帯を巻き取る場
合、セラミックス等の硬度の高い材料では鋼帯に疵をつ
ける、鋼帯巻き取り途中で破損する等の弊害がある。従
って、材料としては断熱特性とともに弾力性を有する材
料が望ましく、この観点からシリカ系の断熱ボードが適
切である。また断熱性円筒の形状としては、マンドレル
バーへの装着の容易性、鋼帯巻き付け時に鋼帯による締
め付け力で破損しない適正内径範囲がある。
【0009】以下に断熱性円筒の内径の規定理由につい
て述べる。内径がマンドレルバー直径の+1.3%より
も小さすぎると、装着時の芯合わせが容易でなく、マン
ドレルバーへの装着時にマンドレルバーとの接触等によ
り円筒の破損が起こる。一方、内径がマンドレルバー直
径の+3.9%よりも大きすぎると、巻き取り開始直後
の鋼帯による締め付け力のため断熱性円筒は破損してし
まい、所定の断熱特性が得られなくなる。
【0010】
【実施例】図1は熱間圧延鋼帯の巻き取り装置のマンド
レルバー10に、本発明による断熱性の円筒状筒11を
装着した状態を表した図であり、図中のDmはマンドレ
ルバーの待機時の直径、Dsは断熱円筒の内径を示す。
図2は、熱間圧延鋼帯の巻き取り温度を700℃〜75
0℃とした場合の、巻き取り開始から一定時間後の温度
状態の概念図を示したものである。マンドレルバーの温
度は巻き取り開始から一定時間経った定常状態でも、た
かだか300℃〜350℃の範囲であり、マンドレルバ
ーの機械系、潤滑系に何等の障害を与えない。
【0011】本発明による断熱性円筒をマンドレルバー
に装着し、熱間圧延鋼帯を巻き取った時の鋼帯温度変化
を測定した結果を従来法との比較で図3に示した。図3
の上側は鋼帯巻き取り直前の鋼帯温度の変化を示したも
のであり、従来法ではマンドレルバーによる冷却を考慮
して目標温度より高めの設定がされている。
【0012】この結果従来法では、マンドレルバーの蓄
熱条件によっては巻き取り後の鋼帯温度は目標範囲に対
し、低めあるいは高めに外れる等鋼帯長手方向で大きく
変化するのに対し、本発明では極めて安定して一定の値
を示している。この結果鋼帯長手方向において、所定の
冶金設計条件を殆どの部位で満たすことが可能となり、
大幅な製造歩留まりの向上が達成できる。
【0013】図4は、鋼帯巻き取り時のマンドレルバー
直径の変化を示したものである。マンドレルバーには、
セグメントと呼ばれる直径の可変治具が備えられてお
り、鋼帯巻き付け時にはこれが拡大し鋼帯のしっかりし
た巻き取りを実現し、鋼帯巻き取り完了後の鋼帯抜き取
り時にはこのセグメントが縮小し、鋼帯抜き取りを容易
ならしめている。従って、このようなマンドレルバーの
直径の変化に対して、適正な断熱円筒内径を選定するこ
とが極めて重要な意味を持つわけである。
【0014】図5は、本発明による断熱性円筒の装着時
および鋼帯巻き取り時の該円筒の破損発生状況を示した
ものである。同図の横軸は、断熱性円筒の内径とマンド
レルバー直径の比、縦軸は円筒の破損発生率である。同
図から明らかなように、Ds/Dmが1.0では装着そ
のものが困難であり、Ds/Dmが1.0以上1.01
3の範囲では断熱性円筒装着時破損が、Ds/Dmが
1.039以上では鋼帯巻き取り時に鋼帯の該円筒への
衝突力によって断熱性円筒の破損が発生する。Ds/D
mが1.013から1.039の範囲では、この破損が
生ぜず円滑な巻き取りが可能であった。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、熱間圧延鋼帯の巻き取
りにおいてマンドレルバーに巻き付く第一層の部分から
所定の冶金特性を発揮する条件での巻き取りが可能とな
り、かつ従来の方法に比べて設備の改造等を全く必要と
せず、はるかに安価な均一一定温度での鋼帯巻き取りが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱間圧延鋼帯巻き取り用のマンドレルバーに断
熱性円筒を装着した状態を示した説明図である。
【図2】鋼帯の巻き取り温度を700℃〜750℃とし
た時の巻き取り開始から一定時間後の温度状態の概念図
である。
【図3】(イ),(ロ)は鋼帯巻き取り方向における鋼
帯温度の変化を本発明による方法と、従来方法とを対比
して示した図表である。
【図4】鋼帯巻き取り時のマンドレルバー直径の変化を
示した図表である。
【図5】本発明による断熱性円筒をマンドレルバーに装
着あるいは鋼帯巻き取りに使用した際の、破損発生率を
示した図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21C 47/04 B21C 47/28

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間圧延鋼帯の巻き取り装置において、
    鋼帯巻き取り用芯棒に断熱性及び弾力性を有する材料に
    よる円筒形の筒を装着し鋼帯を巻き取ることを特徴とす
    る熱間圧延鋼帯の巻き取り方法。
  2. 【請求項2】 断熱性円筒の形状が、その内径において
    マンドレルバーの待機時直径の+1.3%〜+3.9%
    であることを特徴とする請求項1記載の熱間圧延鋼帯の
    巻き取り方法。
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