JP3164814B2 - 均一化cDNAライブラリーの作製法 - Google Patents

均一化cDNAライブラリーの作製法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、均一化cDNAライブラリー(equalized cD
NA library)と、その作製法に関するものである。さら
に詳しくは、この発明は、未知遺伝子のクローニング
や、ゲノムシークエンスまたはcosmid clone上の転写領
域の同定、さらには多数の遺伝子群の発現パターンの同
時同定等、広く医学、生物学等の研究分野に有用な均一
化cDNAライブラリーとその作製法に関するものである。
(従来の技術) 近年、生命体を構成する組織、機構についての科学的
解明と、それにともなう技術的応用が急速に進歩し、遺
伝子工学の基礎が次々に確立されてきている。
このような状況において、原核生物からヒトも含めた
真核生物にいたるあらゆる生物の遺伝子について、種や
個々の組織に特有な構造あるいは機能を有する種々の遺
伝子が同定され、その遺伝情報の解析により多数の知見
が蓄積されてきているが、一方で、このようにして得ら
れた個々の遺伝子それ自体を、必要に応じてそれが随時
利用可能な状態に保管することは、その遺伝子について
のさらなる解析や、あるいはその医学的、生物学的、工
学的利用といった面からも極めて重要な課題である。
従来より、特定の遺伝子の保管に際しては、その遺伝
子DNAを部分的に制限分解し、各断片をクローニングベ
クター等にクローン化して、個々のクローンのコレクシ
ョンから、いわゆる遺伝子ライブラリーを作製する方法
が用いられている。このような遺伝子ライブラリーの一
つに、ゲノムライブラリーがある。これは、ある特定の
生物に存在するすべての遺伝子(ゲノムDNA)を断片化
して個々にクローン化したものである。
特定の生物のゲノムの内、タンパク質をコードしてい
る部分、つまり実際に生物を構成するときに重要な役割
を果たしている部分は1%たらずであると見積もられて
いる。即ち、ライブラリー中の大部分の情報は不要であ
ることが多い。このタンパク質をコードしている部分だ
けをクローニングするのがcDNAライブラリーである。こ
れは、原核生物、真核生物をとわず、細胞内に存在して
いるmRNAを鋳型として、逆転写酵素をもちいて相補的DN
A(complementary DNA:cDNA)を合成し、これを個々に
クローン化して遺伝子ライブラリーを作製するものであ
る。
このライブラリーは、発現ベクターにつないで、動物
細胞内でその蛋白を発現させるなど、ゲノムライブラリ
ーにはないさまざまな使い方が可能であり、従来より多
くの種のさまざまなタイプの細胞について広く作製され
てきている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、cDNAライブラリーの場合にはゲノムラ
イブラリーと違い、材料をどの細胞からとってくるかに
よって異なった種類のものができる。というのも、ほと
んどの多細胞生物は、個々の細胞が特殊化されており、
言い替えれば、種々の異なったタイプの細胞の集合体と
して構成されている。しかも、個々の細胞はすべてひと
揃いの遺伝子を有しているが、細胞の種類によって発現
する遺伝子群が決定されており、発現する遺伝子だけが
mRNAに転写されているからである。
さらに、1つの細胞は多くの種類の発現遺伝子を有し
ており、たとえば肝細胞の場合には、発現遺伝子の種類
は2〜3万種にも達すると推定されている。しかもその
各々が均一の割合で存在する訳ではなく、肝細胞の場
合、そのmRNA量の約16%はアルブミンという蛋白質をコ
ードする一種類のmRNAが占めている。又、ニワトリの輸
卵管細胞をエストロジェンで刺激した時に転写される全
mRNA量の50%はオブアルブミンという一種類のmRNAであ
る。一方、含有率の最も少ない遺伝子は全mRNAのわずか
0.0005%以下であると推定されており、その差は実に10
万倍にも達する。
従って、従来の方法、すなわち発現遺伝子から転写さ
れたmRNAを鋳型としてcDNAを合成し、それらを個々にク
ローン化してcDNAライブラリーを作製した場合には、各
々のmRNA種の含有率の差がそのライブラリーを構成する
クローンの種類毎の含有率の差にそのまま反映されるこ
とになる。すなわち肝細胞のcDNAライブラリーの場合、
全体の約16%は同一種のcDNAクローンであり、一方、少
ないものはわずかに0.0005%存在するにすぎないことに
なる。
このため、含有率の少ないcDNA種をも含んだライブラ
リーは、大きなものとなってしまう。例えば、肝臓では
全種類のmRNAの合計は、たかだか数万なのに、従来のラ
イブラリーでは、数十〜数百万の大きさがないと、全部
を含んでいないこととなる。
cDNAライブラリーを使用する場合、実際に必要なのは
1種類の遺伝子に対して1個のcDNAであり、ライブラリ
ーの中で重複して存在するcDNAは余分なばかりか、目的
とするcDNAの検索の妨げにもなる。もちろん、このよう
な余分なcDNAクローンを多数含有する従来のcDNAライブ
ラリーにおいても、塩基配列が既知である特定の遺伝子
を対象とする場合には、たとえばハイブリダイゼーショ
ンプロービング法等の公知の方法により、比較的容易に
目的とするcDNAを同定、単離することができる。また、
塩基配列が未知であっても、その蛋白に対する抗体が存
在する場合などもスクリーニング法は確立されている。
問題は、機能を示標として、その蛋白をコードしてい
るcDNAを同定、単離する場合である。この場合は、ひと
つひとつのcDNAを発現ベクターに挿入し、蛋白を細胞内
で作らせ、その蛋白が細胞にどのような影響を与えるか
を調べなければならない。また、ライブラリー中の膨大
な数のクローンを1個づつ検索しなければ同定、単離で
きないと考えられている遺伝子も多数存在する。近年、
このような未知遺伝子の検索のためのcDNAライブラリー
の利用が重要になりつつあるが、その場合、従来のcDNA
ライブラリーにおける多数の重複した余分なcDNAの存在
は大きな問題である。
また、同様の理由で、発現し得るすべての遺伝子の種
類は限られているのに(ヒトで約10万種類といわれて
る)、そのcDNA種の1セットをそろえることすらできて
いない。
仮にそういったものを作ることができたならば、もは
や個々の研究者が個々の場合に、それぞれcDNAライブラ
リーを作る必要はなくなるであろう。
この発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたもの
であり、従来のcDNAライブラリーの課題を克服し、各々
のmRNAすなわち発現遺伝子の分子種を、より等しい割合
で含有する均一化cDNAライブラリーの作製法と、そのよ
うな均一化cDNAライブラリーを提供することを目的とし
ている。
(課題を解決するための手段) この発明は、上記の課題を解決するものとして、mRNA
を鋳型として合成した二本鎖cDNAを変性させ、さらに再
会合させた後、二本鎖に再会合したcDNAと一本鎖のまま
のcDNAを分離し、この一本鎖cDNAを二本鎖cDNAに合成し
て各々クローン化してなることを特徴とする均一化cDNA
ライブラリーの作製法と、このような方法により作製す
る均一化cDNAライブラリーを提供する。
またこの発明は、一本鎖cDNAを、予めその3′末端に
付着端を配設して断片化すること、および、クローン化
するcDNAまたはその断片をPCR法によって増幅させるこ
とを好ましい態様としてもいる。
以下、この発明の構成について詳しく説明する。
まず、この発明においては、あらゆる種のあらゆるタ
イプの細胞を対象として、その遺伝子のcDNAライブラリ
ーを作製することができる。
そして、原理的には、種ごとに発現し得る遺伝子の1
セットを全て含んだcDNAライブラリーの作製も射呈内に
はいることになる。
また、cDNAの鋳型となるmRNAの抽出、精製は公知の常
法に従って行なうことができ、たとえばその一例として
次のように行うことができる。
すなわち、たとえば真核生物の細胞質のmRNAはリボソ
ームとの複合体であるポリソーム中に濃縮されているた
め、まず、分別遠心あるいはショ糖溶液やその密度勾配
中での遠心等によりポリソームを分離する。次に、フェ
ノールとクロロホルムとの混液、あるいはpH9の緩衝液
で飽和したフェノールまたは熱SDS−フェノール等を用
いて、上記ポリソームからmRNAを抽出する。このように
抽出したmRNAは、さらにショ糖密度勾配遠心やゲル電気
泳動等を用いて大きさによる特異的mRNAへと精製する。
このようにして得たmRNAからcDNAを合成する場合も、
公知の方法を利用することができる。たとえば、真核細
胞の細胞質中に存在するmRNAの多くはその3′末端に10
0〜200塩基からなるポリA配列をもつため、このポリA
に、たとえばオリゴ(dT)プライマーをアニールし、こ
れをプライマーとして逆転写酵素を用いRNA鎖と相補的
なDNAからなるポリヌクレオチドを合成する。さらにこ
のポリヌクレオチドにアルカリ処理を行ない、RNA鎖を
分解して一本鎖cDNAとするが、この一本鎖cDNAには、そ
の3′末端にヘアピンループが形成され、これをプライ
マーとして相補的なcDNA鎖が合成されて二本鎖cDNAとな
る。
通常のcDNAライブラリーを作製する場合であれば、こ
の二本鎖cDNAを、その両端をたとえばS1ヌクレアーゼ等
で処理し、さらに付着端を付した後、適当なクローニン
グベクターを用いてクローン化するが、本発明において
は、得られたcDNAの全てをクローン化するのではなく、
それらを選択して、各々のcDNA種を等しい割合とするた
めの均一化を行なう。
このような均一化を行なうため、まず、得られた全て
の二本鎖cDNAを、たとえばアルカリ性変性液に浸した
り、または熱を与えたりすることにより変性(denatura
tion)させて一本鎖に解離し、さらにこの一本鎖cDNAを
任意の温度(たとえば65℃)の再会合緩衝液中で反応さ
せて、再度二本鎖のcDNAへと再会合(reassociation)
させる。このとき、各々の一本鎖cDNAは当然、相補的な
もの同士が再会合するが、反応液中に多数重複して存在
するcDNAほど速やかに再会合し、含有率の低いcDNAは再
会合を完了するのに時間を要する。そこで、適当な時間
で再会合反応を停止させると、その反応液中には二本鎖
に再会合したcDNAと一本鎖のままのcDNAが存在すること
になる。このうち、二本鎖cDNAのグループはそのほとん
どが本来多数重複して存在したcDNA種によって占められ
るため、残りの一本鎖cDNAのグループには、時間内での
再会合に失敗した含有率の高いcDNA種の一本鎖と、本来
再会合しにくい含有率の低いcDNA種の一本鎖が存在する
ことになる。そこで、反応液中に存在する二本鎖cDNAと
一本鎖cDNAを公知の方法、たとえばハイドロキシルアパ
タイトのカラム等を用いて分離し、一本鎖のcDNAだけを
前述と同様に再度二本鎖へと合成すれば、このcDNAのグ
ループでは、各cDNA種毎の含有率の差が大幅に小さくな
る。さらにこのような変性、再会合処理を複数回繰り返
すことにより、最終的に各cDNA種が等しい割合で含まれ
るcDNAの集合を得ることができ、常法に従いこれらのcD
NAを各々クローニングベクターに挿入連結することによ
り、均一化cDNAライブラリーを作製することができる。
なお、このような均一化を計るために用いた変性、再
会合処理それ自体は、たとえば2種類の細胞のmRNAか
ら、一方の細胞でのみ特異的に発現するmRNAを選別する
場合や、あるいは任意の手段(たとえば特定のホルモン
を作用させる)等により特異的に発現が誘導されるmRNA
を、その細胞に個有な発現mRNAから選別する場合等に広
く用いられている方法である。たとえば、細胞(A)と
細胞(B)を対象として、細胞(A)で特異的に発現す
るmRNA種のみのcDNAライブラリーを作製する場合には、
一般に細胞(A)のmRNAを一本鎖cDNAに変換し、これと
細胞(B)のmRNAを会合させて、一本鎖のまま残ったcD
NAをクローニングする手続きがとられているが、その際
に、両方の細胞(A)、(B)で共通に発現しているmR
NA種を完全に除くため細胞(A)のcDNAに対して細胞
(B)のmRNAを大過剰に加えることが必要である。しか
しながら、この発明では、全種類のcDNAが、一つも脱落
することなく、かつ均一の割合で残存することを必須と
するため、再会合反応に供するcDNAを各々の相補鎖は、
正確に一対一の割合とすることを絶対条件としている。
またこれによって、全てのmRNA種(cDNA種)をもれなく
均一化ライブラリーの中に含むことが理論的に保障され
る。
ただし、上記方法により均一化cDNAライブラリーを作
製する場合、対象とする細胞の種類等によっては、次の
ような2つの問題が生じる危険性がある。
ひとつは、均一化を行なうための変性、再会合処理中
の、必要なcDNA種の脱落である。通常、一本鎖cDNAを会
合反応させた場合、その配列が相補的なもの同士が会合
して二本鎖cDNAを形成する。ところが実際には、異なる
mRNAに由来するcDNAの一本鎖同士であっても、互いに50
bp程度の相同領域を有する場合には、それらの一本鎖cD
NAは二本鎖を形成してしまう可能性がある。たとえば、
アクチンという蛋白質をコードするmRNAは約10種類存在
するが、その蛋白コード領域は非常に相同性が高いた
め、これらの各々の一本鎖cDNAを会合させると、同じよ
うにアクチンをコードするが、しかし別種であるcDNA同
士が二本鎖を形成してしまうことがある。前述の通り、
この発明においては、一定時間内の再会合反応の結果、
二本鎖を形成したcDNAは、ライブラリーの対象からは除
外してしまう。そのため、上記アクチン遺伝子の場合の
ように別種の一本鎖cDNA同士が再会合してしまった場
合、必要なcDNAの数種が脱落した不完全なライブラリー
となってしまう。このような問題を克服するため、この
発明では、mRNAから合成した全長cDNAを、予め機械的せ
ん断力によって数百塩基対単位に断片化し、3′末端側
領域のcDNA断片のみをクローン化する均一化cDNAライブ
ラリーの作製法も提供する。
すなわち、一般に、一本のmRNA上で他の遺伝子と相同
性の高い領域は、蛋白コード領域等、ごく一部に限られ
ており、逆に3′末端側の非翻訳領域は各々の特異性が
高いことが知られている。従ってこの3′末端側領域の
cDNAは、再会合反応によっても別種の一本鎖cDNA同士が
二本鎖を形成することはなく、必要なcDNA種がライブラ
リーから脱落する危険性もない。
なお、この方法において、3′末端側領域のcDNA断片
を選択的にクローン化する場合には、たとえば、全長cD
NAを断片化する前に、その3′末端に付着端を付するこ
とによりその断片のみがクローニングベクターに連結可
能とすればよい。
次に、この発明の作製法におけるもう一つの問題は、
多数重複して存在する余分なcDNA種の大部分を除去して
均一化した結果、最終的にクローン化に供するcDNAが少
なくなるため、cDNAのクローニングベクターへの組み込
み効率が低下するということである。しかしながら、こ
のような問題は、クローン化の対象となるcDNAをPCR法
(Polymerase Chain Reaction)等を用いて増幅させる
ことにより解決することができる。たとえば、再会合反
応の後に残存する一本鎖cDNAを、PCR法によって増幅さ
せれば、良好なクローニング効率を確保するに充分な量
のcDNAを容易に得ることができる。
そこで、以下に示す実施例においては、マウスの繊維
芽細胞株であるLtk-細胞を対象として、その均一化cDNA
ライブラリーを作製した例を示す。
実施例1 (mRNAの精製およびcDNAの合成) Ltk-細胞のmRNAを抽出、精製し、これをcDNAへと合成
した。
まず、Ltk-細胞を10%午胎仔血清含有培地中で培養
し、その成長期の細胞から常法に従い全RNAを分離し
た。次いで、これらのRNAから、mRNA精製キット(ファ
ルマシア社)を用いてポリA配列を有するmRNAを抽出、
精製した。
さらに、このようにして調製したLtk-細胞のmRNAに、
外来遺伝子であるneo遺伝子(1.3kb)およびtk遺伝子
(1.8kb)のmRNAをコントロール・マーカーとして各々1
0w/w%、0.0005w/w%加え、これをcDNAの鋳型として用
いた。
このようにして得たmRNAの5μgを、常法に従い、オ
リゴ(dT)−Not Iプライマー(5′−AATTCGCGGCCCGCT
TTTTTTTTTTTTTT−3′、プロメガ社)を用いてcDNA合成
した。
次に、合成した全長二本鎖cDNAを、Branson Sonifier
250(Branson社)を用いて、200−400bpに断片化に、
アガロースゲル電気泳動によって選別した後、T4DNAポ
リメラーゼで末端処理した。
実施例2 (PCR法によるcDNA断片の増幅) 実施例1で得た二本鎖cDNA断片をPCR法を用いて増幅
させた。
実施例1で得た各cDNA断片は、両端がブランド末端で
あるため、ここに以下のリンカープライマー(LL−RI)
を付着させた。
このLL−RIの突出末端同士は接着しないため、上記リ
ンカーの単一分子がcDNA断片の両端に特異的に結合す
る。
このようにしてcDNAの両端にLL−RIを付着させた後、
第1図に示したLL−RIA oligomersをプライマーとして
PCRを行ない、cDNA断片を増幅した。すなわち、1ngのcD
NAを100μの反応液に添加し、順次94℃の温度で2分
間、50℃で2分間、および72℃で2分間のサイクルを25
回繰り返し、cDNAを増幅させた。
次に、TEで飽和した等量のフェノール−クロロホルム
−イソアミールアルコールで、増幅したcDNAを抽出し、
さらにCentricon−100(アミコン社)を用いてcDNA鎖に
取り込まれなかったフリープライマーを除去した。
実施例3 (cDNAの均一化) 実施例2で増幅したcDNA断片に対し、変性および再会
合処理を3回繰り返し、各cDNA種毎の含有率を均一化し
た。
すなわち、1回目の均一化(E I)および2回目の均
一化(E II)では、増幅した20μgのcDNAを1.5ml Eppe
ndorfチューブ中で10μの蒸留水に溶解し、これに等
量の2×hibridization溶液(0.24MNa H2PO4[pH6.8],
1.64M NaCl,2mM EDTA,0.2%SDS)を添加した。また、
3回目の均一化(E III)では、上記と等量の溶液中に1
00μgのcDNAを添加した。
これらの各試料液の蒸発を防ぐために、その表面を軽
油でおおい、5分間煮沸してcDNAを変性させ一本鎖とし
た。次に、E IおよびE IIに対しては65℃の温度で12時
間、またE IIIには同温で24時間の再会合反応を行なわ
せた。
相補的なDNA鎖が再会合する程度を現す示標として、C
ot値があるが、E I,E II,E IIIを作る時のCot値(mol.l
iter-1.sec)は、各々、130,130,1100であった。
このような変性および再会合の結果、二本鎖に再会合
したcDNAと一本鎖のままのcDNAが得られたが、これら
を、常法に従いハイドロキシルアパタイトを充填した60
℃の温度のカラム中で分離し、一本鎖cDNA断片に対し
て、Centricon−100による脱塩処理を行なった後、これ
らを実施例2と同様のPCR法により増幅し、再度二本鎖
へと合成した。
実施例4 (cDNAライブラリーの作製とその均一化の評価) 実施例3において3回の均一化処理を行なったcDNA断
片をクローン化し、その形質転換体のコロニーからcDNA
ライブラリーを作製した。
まず、実施例3で得た二本鎖cDNAを制限酵素EcoR Iお
よびNot Iで切断し、これをプラスミドベクターpBluesc
ript SK(−)のEcoR I−Not I開裂部位に挿入連結し
た。さらに、このベクターを宿主細胞に導入し、この宿
主細胞を形質転換させてコロニーを形成させた。
次に、このようにして得たcDNAライブラリーの均一度
を以下の方法によって評価した。すなわち、ライブラリ
ーの均一化の程度を表わす指標として、重複指数(Abun
dance variation)という概念を導入した。これは、cDN
Aライブラリーを構成する各クローンのうち、最も重複
して存在するクローンの含有%を最も少ないクローンの
含有%で除して得られる数値である。実際にはすべての
クローンについて、各々の含有%を調べることは物理的
に不可能なため、調べ得たクローンについて算出した。
なお、この重複指数の求め方として、ふたつの方法が考
えられる。一つは、特定のcDNAをプローブとして常法に
従いコロニーハイブリダイゼーションを行い、ポジティ
プコロニーがライブラリーの中で占める割合を測定する
方法である。この場合、できるだけ多くの種類のプロー
ブcDNAを使用するのが好ましい。二つめは、ライブラリ
ー中からcDNAクローンをランダムに拾ってその塩基配列
を決定し、個々の塩基配列を比較することによって、同
一クローンがどの程度重複して存在するかを推定する方
法である。
ここでは、前者の方法を用い、上記の通り作製したcD
NAライブラリーの重複指数を算出した。使用したプロー
ブは、コントロールマーカーとして加えたneo,tk,およ
びLtk-細胞の発現遺伝子であるマウスβ−アクチン、el
F−4A、Vimentin,IAP,EF−1α,ATPase−6遺伝子の合
計8種類である。
結果を第1表に示した。この第1表は、比較例として
示した従来方法によるcDNAライブラリー(S)およびこ
の発明の均一化cDNAライブラリー(E I,E II,E III)の
各々について、各プローブに対するポジティブコロニー
の個数と( )内にはその含有%を示したものである。
この第1表からも明らかな通り、従来の方法で得られ
るcDNAライブラリー(S)では1600以上(推定では約2
0,000)ある重複指数が、3回の均一化処理を行ったこ
の発明のライブラリー(E III)では40まで減少した。
理論上の完全な均一化cDNAライブラリーは、その重複指
数が1であるものを指すが、実験上の誤差等を考慮に入
れるならば、含有率が最大のものと最小のものとの割合
が40倍ということは、均一化の程度としては十分な達成
度であると思われる。
(発明の効果) 以上詳しく説明した通り、この発明によって、未知遺
伝子のクローニングやその同定、あるいは多数の遺伝子
群の発現パターンの同時同定、さらにはヒトを含む生物
の発現し得る全遺伝子を1セット有するcDNAライブラリ
ーの作製等、医学生物学研究分野および遺伝子工学分野
において広く有用な均一化cDNAライブラリーとその作製
方法が提供される。
フロントページの続き (56)参考文献 Nucleic Acids Re s.,18(1990 Aug.25), (16),p.4833−1842 Science,222(1983), (4620),p.135−139 Nucleic Acids Re s.,18(1990 Oct.25), (19),p.5705−5711 蛋白質 酵素 核酸 臨時増刊号 ゲ ノム解析研究、1993年2月10日、共立出 版株式会社、Vol.38,No.3, p.420−428 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 C12Q 1/68 BIOSIS(DIALOG) JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】細胞Aで発現している全mRNAを鋳型として
    合成した二本鎖cDNAを変性させ、さらに任意の時間内で
    再会合させた後、二本鎖に再会合したcDNAと一本鎖のま
    まのcDNAを分離し、この一本鎖cDNAを二本鎖cDNAに合成
    して各々クローン化することによって、細胞Aで発現す
    る全mRNAのcDNAを含み、かつ最も多く含まれるcDNA種と
    最も少ないcDNA種の含有率の差が100倍以下であるcDNA
    ライブラリーを作製することを特徴とする均一化cDNAラ
    イブラリーの作製法。
  2. 【請求項2】mRNAを鋳型として合成した二本鎖cDNAを、
    予めその3′末端に付着端を配設して断片化する請求項
    (1)に記載の均一化cDNAライブラリーの作製法。
  3. 【請求項3】クローン化するcDNAまたはその断片をPCR
    法によって増幅させてなる請求項(1)および(2)記
    載の均一化cDNAライブラリーの作製法。
  4. 【請求項4】請求項(1)ないし(3)記載の方法によ
    って作製した均一化cDNAライブラリーであって、細胞A
    で発現する全mRNAのcDNAを含み、最も多く含まれるcDNA
    種と最も少ないcDNA種の含有率の差が100倍以下である
    ことを特徴とするcDNAライブラリー。
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