JP3164444B2 - 干渉測定方法 - Google Patents

干渉測定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレンズ,鏡等の光学部品
の表面形状を干渉縞により測定する干渉測定方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光学部品の表面形状を高精度に測定する
装置として、トワイマングリーン型干渉計が知られてい
る。図5はこのトワイマングリーン型干渉計の概略を示
す。レーザ光源100からの光束はコリメータレンズ1
10を経てハーフプリズム120に達し、ハーフプリズ
120で2分割された後、一方の分割光束は対物レン
ズ130を経て参照面140に達し、他方の分割光束は
対物レンズ150を経て被検面160に達する。そし
て、それぞれの反射光束が集光レンズ170を経てCC
Dカメラ180上で干渉し、この干渉縞から被検面の表
面形状の測定が行われる。このようなトワイマングリー
ン型干渉計は2つの対物レンズ130,150のいずれ
もが球面収差がないように作成されている。図6はこの
ような干渉計で非球面を測定する場合の被検面Sでの反
射状態を示す。被検面Sが非球面であるところから、被
検面の各開口数NAに対応する法線と光軸との光点(以
下、曲率中心と記する。)は、光軸L上で開口数NAに
応じてOc1からOc2の範囲で変化する。
【0003】図6において、1は完全な球面波である光
束で、近軸の曲率中心(NA=0のときの曲率中心)O
c1に集光するように被検面Sを配置する。この完全な球
面波1を説明上、光軸に近い光軸光線1aと光軸から離
れた近軸外光線1bで代表する。この条件下での光束1
の被検面Sからの反射光束2は、近軸光線1aおよび近
軸外光線1bの被検面Sからの反射光線2aおよび2b
となる。近軸光線1aは被検面Sの曲率中心Oc1に向か
うため、被検面Sに対して直角入射となり、その反射光
線2aは入射光線である近軸光線1aを完全に逆進す
る。一方、近軸外光線1bは同様に曲率中心Oc1に向か
うが、これに対応する被検面Sの曲率中心Oc2(この場
合、被検面が非球面であるためOc2はOc1と一致しな
い)に対して曲率中心Oc1と反対側の点Oc'1 から出射
するように、被検面Sから反射する。すなわち近軸外光
線の被検面Sからの反射光線は入射光束の外側にそれて
しまうことになる。入射光束の大きさは図示しない絞り
により決定されているので、このようにそれた光線は、
絞りにより遮断されて測定に寄与し得ないものとなる。
すなわち、被検面Sの測定範囲は、被検面Sが非球面で
あることにより制限されることになる。しかも当然なが
ら被検面Sの非球面度が大きい程、入射光束の外側にそ
れる反射光束が多くなるので、測定範囲は大きく制限さ
れる。
【0004】以上のように従来のトワイマングリーン型
干渉計では被検面が非球面(平面でも球面でもない面)
の場合においては、その非球面の近似球面からのずれ量
の大きさに応じて干渉縞を得ることができる範囲が制限
されるため、被検面全面の形状を1度に測定することが
不可能であった。
【0005】このようなことから、特開昭62−126
305号公報では、被検面を光軸に沿って移動させて被
検面を径方向に分割測定している。そして、分割測定し
た各部の測定データをつなぎ合わせることにより、被検
面全体としての測定データを作成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た測定方法では、分割毎に行うアライメントや複数面の
干渉縞の測定を必要とするため、測定に多大の工程を必
要としている。また、各分割面の相対的な関係を求める
必要があり、しかも測定データをつなぎ合わせるため、
被検面の全面の干渉縞から形状を測定する方法に比べて
測定精度が低下する問題があった。
【0007】本発明は上記事情を考慮してなされたもの
であり、非球面からなる被検面を簡単に、しかも精度良
く測定することが可能な干渉測定方法を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】上記目的を達
成するため本発明は、参照面および被検面に光束をそれ
ぞれ入射させるための2つの対物レンズにより発生する
球面収差量を同一状態で変化させると共に、参照面およ
び被検面を同一状態で3次元的に移動することにより、
被検面範囲が観察され、かつ被検範囲内で観察される干
渉縞の本数を最小とし、その時の干渉縞のデータから被
検面の表面形状または表面形状と相関のある値を求める
ようにしている。
【0009】
【実施例1】図1は本発明の測定方法の実施例1を示
す。この方法においては、開口数NAに対する曲率中心
の位置を示す特性線図と等しい球面収差特性の光束3を
用いるものである。この光束3は対物レンズを構成する
各レンズ間の間隔調整等により作成することができる。
すなわち、図2に示すように、対物レンズが例えば、4
枚構成のレンズである場合、レンズL1 とレンズL2
の間の距離dがベスト(設計値)であれば、対物レンズ
の曲率中心Oc1に無収差の状態で集光するので、対物レ
ンズによる球面収差において図3(b)のように、どの
開口数NAにおいても球面収差が0となる。しかし、距
離dをベストより狭い距離d1 にすると、図3(a)で
示すように開口数NAによって対物レンズに負の球面収
差が生じる。この場合、d1 を大きくすると、球面収差
の特性が大きくなって破線のようになる。
【0010】また、距離dをベストより広い距離d2
すると、図3(c)で示すように、開口数NAによって
対物レンズに正の球面収差を生じる。このような特性か
ら、図1に示すように、近軸光線3aが曲率中心Oc1
集光するようにし、かつ近軸外光線3bが曲率中心Oc2
に集光するようにした球面収差特性図Aを得ることがで
きる。
【0011】以上のことから近軸光線3aが曲率中心O
c1に集光するように被検面Sを配置する事により、近軸
光線3aは曲率中心Oc1に向かうため被検面Sに対して
直角入射となり、その反射光線4aは入射光線である近
軸光線3aを完全に逆進する。同時に近軸外光線3bは
曲率中心Oc2に向かうため、被検面Sに対して直角入射
となりその反射光線4bも同じように入射光線である近
軸外光線3bを完全に逆進する。
【0012】以上の説明は2つの光線のみによる場合で
あるが、曲率中心Oc1,Oc2間の位置特性に合わせた球
面収差となるように入射光束3を設定することにより入
射光束3と反射光束4は完全に重なるため、測定範囲は
全く制限されなくなる。なお、実際には、球面収差特性
をNAに対する曲率中心の位置特性に完全に一致させる
ことは困難であるが、これに近い特性の球面収差特性と
することは容易に可能であり、これにより測定が制限さ
れる範囲ははるかに減少する。図示しないが以上述べた
配置構成を参照光学系と被検光学系の両方に施し、参照
面および被検面からの反射光束を干渉させ、その時に観
察される干渉縞の解析結果としての公知の非点収差およ
びコマ収差が被検面の回転対称成分以外の形状誤差量と
強い相関があり、この非点収差量およびコマ収差量によ
り従来と同様に非球面である被検面を評価することがで
きる。なお参照面および被検面のアライメントとしてい
ずれも光軸方向とこれと直交する2方向に微動調整する
ことは従来のトワイマングリーン型干渉計と同様であ
る。
【0013】
【実施例2】参照面および被検面に光束を入射させるた
めの2つの対物レンズにより発生する球面収差量を同一
形状で変化させると共に、参照面および被検面を同一状
態で3次元的に移動することにより、同一形状の非球面
である参照面および被検面に入射する垂直入射成分を最
大とするための条件として、被検範囲が観察されること
を確認しながら、被検面範囲内で観察される干渉縞の本
数を最小とし、その時の干渉縞のデータから公知の縞解
析を行い、周知の方法で仮想なる波面の波面収差を演算
より求め、波面収差に相当する被検面の形状を演算によ
り求める。
【0014】以上は実施例1と同様であり、図4ではス
テップS1として示される。次に同図ステップS2に示
されるように前述の如く、求められた被検面の形状と、
測定時の干渉光学系のデータを用いて正確なシュミレー
ションにより参照面と被検面からの反射波面の位相差を
求め、この位相差から仮想なる波面の波面収差を求め
る。さらに、ステップS3に示されるように、この波面
収差から導き出される新たな被検面の形状を周知の演算
により求めステップS4でこの被検面の形状(データ
2)と前述の被検面の形状(データ1)とを比較し、そ
の差が許容レベルを越える場合は、再度新たな被検面の
形状(データ2)を用いて、即ちステップS5に示され
るように図中のデータ2をデータ1とする同様のシュミ
レーション(ステップS2)と被検面の形状の演算(ス
テップS3)を行う。この演算処理を数回繰り返すこと
により、次第にデータ間の差が小さくなり、やがて、そ
の差が許容レベル以下になる。この結果測定値とシュミ
レーション値がほぼ一致し、この時の測定値(シュミレ
ーション値すなわちデータ2)が正確な被検面の形状と
なる。このように実施例2では実施例1と異なり形状の
絶対測定を高精度で行うことができる。
【0015】
【発明の効果】以上のとおり本発明は、非球面で構成さ
れる光学部品の表面形状の評価を簡易な操作で、正確に
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の測定を示す光路図。
【図2】対物レンズの構成例を示す側面図。
【図3】対物レンズによる球面収差を示す特性図。
【図4】実施例2のフローチャート。
【図5】従来のトワイマングリーン型干渉計の側面図。
【図6】従来の測定方法の光路図。
【符号の説明】
1 球面波 2 反射光束 3 光束 4 反射光束 S 被検面

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トワイマングリーン型干渉計を用いて表
    面形状を評価する干渉測定方法において、被検範囲内で
    観察される干渉縞の本数が最小となるように、参照面お
    よび被検面に光束をそれぞれ入射させるための2つの対
    物レンズにより発生する球面収差量を同一状態で変化さ
    せると共に前記参照面および被検面を同一状態で3次元
    的に移動させ、その時の干渉縞のデータから被検面の表
    面形状または表面形状と相関のある値を求めることを特
    徴とする干渉測定方法。
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