JP3164435B2 - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JP3164435B2
JP3164435B2 JP26434792A JP26434792A JP3164435B2 JP 3164435 B2 JP3164435 B2 JP 3164435B2 JP 26434792 A JP26434792 A JP 26434792A JP 26434792 A JP26434792 A JP 26434792A JP 3164435 B2 JP3164435 B2 JP 3164435B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真用感光体に関
し、詳しくは感光層中に特定の化合物を含有させた電子
写真用感光体に関する。
【0002】
【従来技術】従来、電子写真方式において使用される感
光体の光導電性素材として用いられているものにセレ
ン、硫化カドミウム、酸化亜鉛などの無機物質がある。
ここにいう「電子写真方式」とは、一般に、光導電性の
感光体をまず暗所で、例えばコロナ放電によって帯電せ
しめ、次いで像露光し、露光部のみの電荷を選択的に逸
散せしめて静電潜像を得、この潜像部を染料、顔料など
の着色材と高分子物質などの結合剤とから構成される検
電微粒子(トナー)で現像し可視化して画像を形成する
ようにした画像形成法の一つである。
【0003】このような電子写真法において感光体に要
求される基本的な特性としては、(1)暗所で適当な電
位に帯電できること、(2)暗所において電荷の逸散が
少ないこと、(3)光照射によって速やかに電荷を逸散
せしめうることなどがあげられる。
【0004】ところで、前記の無機物質はそれぞれが多
くの長所をもっていると同時に、さまざまな欠点をも有
しているのが実状である。例えば、現在広く用いられて
いるセレンは前記(1)〜(3)の条件は十分に満足す
るが、製造する条件がむずかしく、製造コストが高くな
り、可撓性がなく、ベルト状に加工することがむずかし
く、熱や機械的の衝撃に鋭敏なため取扱いに注意を要す
るなどの欠点もある。硫化カドミウムや酸化亜鉛は、結
合剤としての樹脂に分散させて感光体として用いられて
いるが、平滑性、硬度、引張り強度、耐摩擦性などの機
械的な欠点があるためにそのままでは反復して使用する
ことができない。
【0005】近年、これら無機物質の欠点を排除するた
めにいろいろな有機物質を用いた電子写真用感光体が提
案され、実用に供されているものもある。例えば、ポリ
−N−ビニルカルバゾールと2,4,7−トリニトロフ
ルオレン−9−オンとからなる感光体(米国特許第34
84237号明細書に記載)、ポリ−N−ビニルカルバ
ゾールをピリリウム塩系色素で増感してなる感光体(特
公昭48−25658号公報に記載)、有機顔料を主成
分とする感光体(特開昭47−37543号公報に記
載)、染料と樹脂とからなる共晶錯体を主成分とする感
光体(特開昭47−10735号公報に記載)、トリフ
ェニルアミン化合物を色素増感してなる感光体(米国特
許第3,180,730号)、アミン誘導体を電荷輸送
材料として用いる感光体(特開昭57−195254号
公報)、ポリ−N−ビニルカルバゾールとアミン誘導体
を電荷輸送材料として用いる感光体(特開昭58−11
55号公報)、多官能第3アミン化合物なかでもベンジ
ジン化合物を光導電材料として用いる感光体(米国特許
第3,265,496号、特公昭39−11546号公
報、特開昭53−27033号公報)などである。これ
らの感光体は優れた特性を有しており実用的にも価値が
高いと思われるものであるが、電子写真法において、感
光体に対するいろいろな要求を考慮すると、まだ、これ
らの要求を十分に満足するものが得られていないのが実
状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、先に
述べた従来の感光体のもつ種々の欠点を解消し、電子写
真法において要求される条件を十分満足しうる感光体を
提供することにある。更に、本発明の他の目的は、製造
が容易でかつ比較的安価に行なえ、耐久性にもすぐれた
電子写真用感光体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、導電性
支持体上に下記一般式(I)(化1)で表わされるヒド
ラゾン化合物の少なくとも1種を有効成分として含有す
る感光層を有することを特徴とする電子写真用感光体が
提供される。
【化1】 (上式中、R1、R2、R3、R4及びR5は水素原子、ハ
ロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリー
ル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はアミノ基を表
わし、同一でも異なっていてもよい。mは1〜4、nは
1〜9の整数を表わし、2以上の場合、R3、R4はそれ
ぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0008】本発明において感光層に含有させる前記一
般式(I)(化1)で表わされるヒドラゾン化合物は例
えば一般式(II)(化2)
【化2】 (式中、R3、R4、R5、m及びnは前記と同じ)で示
されるアルデヒド化合物と下記一般式(III)(化3)
【化3】 (式中、R1、R2は前記と同じ)で示されるヒドラジン
化合物とを反応させることにより製造される。前記製造
法で得られる一般式(I)のヒドラゾン化合物を更に詳
しく説明する。一般式(I)においてR1〜R5の具体例
としてもしくはそれらの置換基として以下のものを挙げ
ることができる。
【0009】一般式(I)(化1)において、R1〜R5
の具体例として、もしくはそれらの置換基として以下の
ものを挙げることができる。
【0010】(1)水素原子(−H) (2)ハロゲン原子(−X)フッ素、塩素、臭素、ヨウ
素が挙げられる。 (3)シアノ基(−CN) (4)ニトロ基(−NO2) (5)ヒドロキシ基(−OH) (6)アルキル基(−R6)、C1〜C12とりわけC1
9、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖の
アルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素
原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フ
ェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もし
くはC1〜C4のアルコキシ基で、置換されたフェニル基
を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、
n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−
ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロ
メチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル
基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベ
ンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル
基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基
等が挙げられる。 (7)アルコキシ基(−OR6):R6は(6)で定義し
たアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エト
キシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブ
トキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブト
キシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキ
シ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ
基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。 (8)アルキルチオ基(−SR6):R6は(6)で定義
したアルキル基を表わす。具体的には、メチルチオ基、
エチルチオ基、ベンジルチオ基、ヒドロキシエチルチオ
基等が挙げられる。 (9)アリール基(−Ar):炭素環式芳香族基もしく
は複素環式芳香族基を表わし、具体的には、フェニル
基、ビフェニル基、ターフェニル基、ペンタレニル基、
インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニ
ル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、フル
オレニル基、s−インダセニル基、アセナフチレニル
基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニ
ル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテ
ニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニ
ル基、トリフェニルレニル基、ピレニル基、クリセニル
基、及びナフタセニル基、ピリジル基、ピリミジル基、
ピラジニル基、トリアジニル基、フリル基、ピロリル
基、チエニル基、キノリル基、クマリニル基、ベンゾフ
ラニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズオキサゾリル
基、ジベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾ
チオニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ピラゾリ
ル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾ
リル基、チアゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾ
リル基、ピリダジニル基、シンノリニル基、キナゾリニ
ル基、キノキサリル基、フタラジニル基、フタラジンジ
オニル基、クロモニル基、ナフトラクトニル基、キノロ
ニル基、o−スルホ安息香酸イミジル基、マレイン酸イ
ミジル基、ナフタリジニル基、ベンズイミダゾロニル
基、ベンズオキサゾロニル基、ベンゾチアゾロニル基、
ベンゾチアゾチオニル基、キナゾロニル基、キノキサロ
ニル基、フタラゾニル基、ジオキソピリミジニル基、ピ
リドニル基、イソキノロニル基、イソキノリル基、イソ
チアゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ベンズイソ
チアゾリル基、インダゾロニル基、アクリジニル基、ア
クリドニル基、キナゾリンジオニル基、キノキサリンジ
オニル基、ベンゾオキサジンジオニル基、ベンゾオキサ
ジニル基、ナフタルイミジル基が挙げられる。またこれ
らアリール基は(2)〜(7)で示した置換基を有して
もよい。 (10)アリールオキシ基(−OAr):Arは(9)
で定義したアリール基を表わす。具体的にはフェノキシ
基、4−メチルフェノキシ基、ナフトキシ基等を挙げる
ことができる。 (11)アリールチオ基(−SAr):Arは(9)で
定義したアリール基を表わす。具体的にはフェニルチオ
基、ナフチルチル基等を挙げることができる。 (12)アミノ基(−N(R7)(R8)):R7、R8
各々独立に水素原子、(6)で定義したアルキル基、
(9)で定義したアリール基を表わし、共同で環を形成
してもよい。具体的にはアミノ基、ジエチルアミノ基、
N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニ
ルアミノ基、N,N−ジ(p−トリール)アミノ基、ジ
ベンジルアミノ基、ピペリジノ基、ホルホリノ基、ユロ
リジル基等が挙げられる。
【0011】以下に、本発明で用いるヒドラゾン化合物
の代表的な具体例を表1に示す。
【表−1(1)】
【化1】
【表1−(2)】
【表1−(3)】
【表1−(4)】
【0012】本発明の感光体は、上記のようなヒドラゾ
ン化合物の1種又は2種以上を感光層2(2',2'',
2'''又は2'''')に含有させたものであるが、これら
ヒドラゾン化合物の応用の仕方によって図1、図2、図
3、図4あるいは図5に示したごとくに用いることがで
きる。
【0013】図1における感光体は導電性支持体1上に
ヒドラゾン化合物、増感染料および結合剤(結着樹脂)
よりなる感光層2が設けられたものである。ここでのヒ
ドラゾン化合物は光導電性物質として作用し、光減衰に
必要な電荷担体の生成および移動はヒドラゾン化合物を
介して行なわれる。しかしながら、ヒドラゾン化合物は
光の可視領域においてほとんど吸収を有していないの
で、可視光で画像を形成する目的のためには可視領域に
吸収を有する増感染料を添加して増感する必要がある。
【0014】図2における感光体は、導電性支持体1上
に電荷発生物質3をヒドラゾン化合物と結合剤とからな
る電荷搬送媒体4の中に分散せしめた感光層2'が設け
られたものである。ここでのヒドラゾン化合物は結合剤
(又は、結合剤及び可塑剤)とともに電荷搬送媒体を形
成し、一方、電荷発生物質3(無機又は有機顔料のよう
な電荷発生物質)が電荷担体を発生する。この場合、電
荷搬送媒体4は主として電荷発生物質3が発生する電荷
担体を受入れ、これを搬送する作用を担当している。そ
して、この感光体にあっては電荷発生物質とヒドラゾン
化合物とが、たがいに、主として可視領域において吸収
波長領域が重ならないというのが基本的条件である。こ
れは、電荷発生物質3に電荷担体を効率よく発生させる
ためには電荷発生物質表面まで、光を透過させる必要が
あるからである。一般式(I)で表わされるヒドラゾン
化合物は可視領域にほとんど吸収がなく、一般に可視領
域の光線を吸収し、電荷担体を発生する電荷発生物質3
と組合わせた場合、特に有効に電荷搬送物質として働く
のがその特長である。
【0015】図3における感光体は、導電性支持体1上
に電荷発生物質3を主体とする電荷発生層5と、ヒドラ
ゾン化合物を含有する電荷搬送層4との積層からなる感
光層2''が設けられたものである。この感光体では、電
荷搬送層4を透過した光が電荷発生層5に到達し、その
領域で電荷担体の発生が起こり、一方、電荷搬送層4は
電荷担体の注入を受け、その搬送を行なうもので、光減
衰に必要な電荷担体の発生は、電荷発生物質3で行なわ
れ、また電荷担体の搬送は、電荷搬送層4(主としてヒ
ドラゾン化合物が働く)で行なわれる。こうした機構は
図2に示した感光体においてした説明と同様である。
【0016】図4における感光体は第3の電荷発生層5
とヒドラゾン化合物を含有する電荷搬送層4の積層順を
逆にしたものであり、その電荷担体の発生及び搬送の機
構は上記の説明と同様にできる。この場合機械的強度を
考慮し第5の様に電荷発生層5の上に保護層6を設ける
こともできる。
【0017】実際に本発明感光体を作製するには、図1
に示した感光体であれば、結合剤を溶かした溶液にヒド
ラゾン化合物の1種又は2種以上を溶解し、更にこれに
増感染料を加えた液をつくり、これを導電性支持体1上
に塗布し乾燥して感光層2を形成すればよい。
【0018】感光層の厚さは3〜50μm、好ましくは
5〜20μmが適当である。感光層2に占めるヒドラゾ
ン化合物の量は30〜70重量%、好ましくは約50重
量%であり、また、感光層2に占める増感染料の量は
0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%であ
る。増感染料としては、ブリリアントグリーン、ビクト
リアブルーB、メチルバイオレット、クリスタルバイオ
レット、アシッドバイオレット6Bのようなトリアリー
ルメタン染料、ローダミンB、ローダミン6G、ローダ
ミンGエキストラ、エオシンS、エリトロシン、ローズ
ベンガル、フルオレセインのようなキサンテン染料、メ
チレンブルーのようなチアジン染料、シアニンのような
シアニン染料、2,6−ジフェニル−4−(N,N−ジ
メチルアミノフェニル)チアピリリウムパークロレー
ト、ベンゾピリリウム塩(特公昭48−25658号公
報に記載)などのピリリウム染料などが挙げられる。な
お、これらの増感染料は単独で用いられても2種以上が
併用されてもよい。
【0019】また、図2に示した感光体を作製するに
は、1種又は2種以上のヒドラゾン化合物と結合剤とを
溶解した溶液に電荷発生物質3の微粒子を分散せしめ、
これを導電性支持体1上に塗布し乾燥して感光層2'を
形成すればよい。
【0020】感光層2'の厚さは3〜50μm、好まし
くは5〜20μmが適当である。感光層2'に占めるヒ
ドラゾン化合物の量は10〜95重量%、好ましくは3
0〜90重量%であり、また、感光層2'に占める電荷
発生物質3の量は0.1〜50重量%、好ましくは1〜
20重量%である。電荷発生物質3としては、例えばセ
レン、セレン−テルル、硫化カドミウム、硫化カドミウ
ム−セレン、α−シリコンなどの無機顔料、有機顔料と
しては例えばシーアイピグメントブルー25(カラーイ
ンデックスCI 21180)、シーアイピグメントレ
ッド41(CI21200)、シーアイアシッドレッド
52(CI 45100)、シーアイベーシックレッド
3(CI45210)、カルバゾール骨格を有するアゾ
顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチ
リルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−13
3445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するア
ゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジ
ベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−
21728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有
するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記
載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54
−22834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有
するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記
載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔
料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリル
カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14
967号公報に記載)などのアゾ顔料、例えばシーアイ
ピグメントブルー16(CI 74100)などのフタ
ロシアニン系顔料、例えばシーアイバットブラウン5
(CI73410)、シーアイバットダイ(CI 73
030)などのインジゴ系顔料、アルゴスカーレットB
(バイエル社製)、インダンスレンスカーレットR(バ
イエル社製)などのペリレン系顔料などが挙げられる。
なお、これらの電荷発生物質は単独で用いられても2種
以上が併用されてもよい。
【0021】更に、図3に示した感光体は作製するに
は、導電性支持体1以上に電荷発生物質を真空蒸着する
か或いは、電荷発生物質の微粒子3を必要によって結合
剤を溶解した適当な溶媒中に分散した分散液を塗布し乾
燥するかして、更に必要であればバフ研磨などの方法に
よって表面仕上げ、膜厚調整などを行って電荷発生層5
を形成し、この上に1種又は2種以上のヒドラゾン化合
物と結合剤とを溶解した溶液を塗布し乾燥して電荷搬送
層4を形成すればよい。なお、ここで電荷発生層5の形
成に用いられる電荷発生物質は前記の感光層2'の説明
においてしたのと同じものである。
【0022】電荷発生層5の厚さは5μm以下、好まし
くは2μm以下であり、電荷搬送層4の厚さは3〜50
μm、好ましくは5〜20μmが適当である。電荷発生
層5が電荷発生層物質の微粒子3を結合剤中に分散させ
たタイプのものにあっては、電荷発生物質の微粒子3の
電荷発生層5に占める割合は10〜95重量%、好まし
くは50〜90重量%程度である。また、電荷搬送層4
に占める化合物の量は10〜95重量%、好ましくは3
0〜90重量%である。図4に示した感光体を作成する
には、導電性支持体1上にヒドラゾン化合物と結合剤と
を溶解した溶液を塗布し、乾燥して電荷搬送層4を形成
したのち、この電荷搬送層の上に電荷発生層物質の微粒
子を、必要によって結合剤を溶解した溶媒中に分散した
分散液をスプレー塗工等の方法で塗布乾燥して電荷発生
層5を形成すればよい。電荷発生層あるいは電荷搬送層
の量比は図3で説明した内容と同様である。このように
して得られた感光体の電荷発生層5の上に更に適当な樹
脂溶液をスプレー塗工等の方法により保護層6を形成す
ることにより図5に示す感光体を作成できる。ここで用
いる樹脂としては、後記する結合剤が使用できる。
【0023】なお、これらのいずれの感光体製造におい
ては導電性支持体1に、アルミニウムなどの金属板又は
金属箔、アルミニウムなどの金属を蒸着したプラスチッ
クフィルム、あるいは導電処理を施した紙などが用いら
れる。また、結合剤としては、ポリアミド、ポリウレタ
ン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカ
ーボネートなどの縮合樹脂や、ポリビニルケトン、ポリ
スチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリ
ルアミドのようなビニル重合体などが用いられるが、絶
縁性でかつ接着性のある樹脂はすべて使用できる。必要
により可塑剤が結合剤に加えられてるが、そうした可塑
剤としてはハロゲン化パラフィン、ポリ塩化ビフェニ
ル、ジメチルナフタリン、ジブチルフタレートなどが例
示できる。
【0024】更に、以上のようにして得られる感光体に
は、導電性支持体と感光層の間に、必要に応じて接着層
又はバリヤ層を設けることができる。これらの層に用い
られる材料としては、ポリアミド、ニトロセルロース、
酸化アルミニウムなどであり、また膜厚は1μm以下が
好ましい。本発明の感光体を用いて複写を行なうには、
感光面に帯電、露光を施した後、現像を行ない、必要に
よって、紙などへ転写を行なう。本発明の感光体は感度
が高く、また可撓性に富むなどの優れた利点を有してい
る。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。な
お、下記実施例において部はすべて重量部である。
【0026】〔化合物具体例No.(3)の合成例〕N
−フェニル−N−(1−ピレニル)−4−アミノベンズ
アルデヒド 1.99g(5.00mmol)、1,1
−ジフェニルヒドラジン 1,11g(6.00mmo
l)を1,4−ジオキサンに溶解し、これに濃塩酸(3
6%)を0.5ml加え室温で2時間、更に60〜75
℃で18時間撹拌した。内容物を氷水にあけこれをトル
エンにて抽出した。トルエン層を飽和炭酸水素ナトリウ
ム水、及び水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥
し、更に減圧濃縮して暗赤色油状物を得た。これをシリ
カゲルカラムクロマト処理〔溶離液トルエン/n−ヘキ
サン(1/1)vol混合溶媒〕し、酢酸エチル/エタ
ノール混合溶媒にて再結晶し黄色板状晶のヒドラゾン化
合物(化合物No.3)を0.58g(収率21%)得
た。融点は172.0〜177.0℃であった。元素分
析値はC41293として下記の通りであった。
【0027】実施例1 電荷発生物質としてダイアンブルー(シーアイピグメン
トブルー25、CI21180)76部、ポリエステル
樹脂(バイロン200、(株)東洋紡績製)の2%テト
ラヒドロフラン溶液1260部およびテトラヒドロフラ
ン3700部をボールミル中で粉砕混合し、得られた分
散液をアルミニウム蒸着したポリエステルベースよりな
る導電性支持体のアルミニウム面上にドクターブレード
を用いて塗布し、自然乾燥して厚さ約1μmの電荷発生
層を形成した。一方、電荷搬送物質としては化合物具体
例No.3のヒドラゾン化合物2部、ポリカーボネート
樹脂(パンライトK1300、(株)帝人製)2部およ
びテトラヒドロフラン16部を混合溶解して溶液とした
後、これを前記電荷発生層上にドクターブレードを用い
て塗布し、80℃で2分間、ついで120℃で5分間乾
燥して厚さ約20μmの電荷搬送層を形成せしめて感光
体No.1を作成した。
【0028】実施例2〜21 電荷発生物質および電荷搬送物質(ヒドラゾン化合物)
を表2に示したものに代えた以外は実施例1とまったく
同様にして感光体No.2〜21を作成した。
【表2−(1)】
【表2−(2)】
【表2−(3)】
【表2−(4)】
【0029】実施例22 厚さ約300μmのアルミニウム板上にセレンを厚さ約
1μmに真空蒸着して電荷発生層を形成せしめた。次い
でNo.3のヒドラゾン化合物2部、ポリエステル樹脂
(デュポン社製ポリエステルアドヒーシブ49000)
3部およびテトラヒドロフラン45部を混合、溶解して
電荷搬送層形成液をつくり、これを上記の電荷発生層
(セレン蒸着層)上にドクターブレードを用いて塗布
し、自然乾燥した後、減圧下で乾燥して厚さ約10μm
の電荷搬送層を形成せしめて、本発明の感光体No.2
2を得た。
【0030】実施例23 セレンの代りにペリレン系顔料
【化4】 を用いて電荷発生層(但し、厚さは約0.6μm)を形
成し、かつ電荷搬送物質としてヒドラゾン化合物No.
3を用いた以外は実施例22とまったく同様にして感光
体No.23を作成した。
【0031】実施例24 ダイアンブルー(実施例1で用いたものと同じ)1部に
テトラヒドロフラン158部を加えた混合物をボールミ
ル中で粉砕、混合した後、これにNo.3のヒドラゾン
化合物12部、ポリエステル樹脂(デュポン社製ポリエ
ステルアドヒーシブ49000)18部を加えて、さら
に混合して得た感光層形成液を、アルミニウム蒸着ポリ
エステルフィルム上にドクターブレードを用いて塗布
し、100℃で30分間乾燥して厚さ約16μmの感光
層を形成せしめて、本発明の感光体No.24を作成し
た。
【0032】実施例25 アルミニウム蒸着したポリエステルフィルム基板上に、
実施例1で用いた電荷搬送層塗工液を実施例1と同様に
してブレード塗工し、ついで乾燥して厚さ約20μmの
電荷搬送層を形成した。ビスアゾ顔料(P−2)13.
5部、ポリビニルブチラール(商品名:XYHLユニオ
ンカーバイトプラスチック社製)5.4部、THF 6
80部及びエチルセロソルブ1020部をボールミル中
で粉砕混合した後、エチルセロソルブ1700部を加え
攪拌混合して電荷発生層用塗工液を得た。この塗工液を
上記の電荷搬送層の上にスプレー塗工し、100℃で1
0分間乾燥して厚さ約0.2μmの電荷発生層を形成し
た。さらにこの電荷発生層の上にポリアミド樹脂(商品
名:CM−8000、東レ製)のメタノール/n−ブタ
ノール溶液をスプレー塗工し120℃で30分間乾燥し
て厚さ約0.5μmの保護層を形成せしめて感光体N
o.25を作成した。
【0033】かくしてつくられた感光体No.1〜25
について、市販の静電複写紙試験装置(KK川口電機製
作所製SP428型)を用いて−6KV又は+6KVの
コロナ放電を20秒間行って帯電せしめた後、20秒間
暗所に放置し、その時の表面電位Vpo(ボルト)を測
定し、ついでタングステンランプ光を、感光体表面の照
度が4.5ルックスになるよう照射してその表面電位が
Vpoの1/2になる迄の時間(秒)を求め、露光量E
1/2(ルックス・秒)を算出した。その結果を表3に
示す。
【0034】また、以上の各感光体を市販の電子写真複
写機を用いて帯電せしめた後、原図を介して光照射を行
って静電潜像を形成せしめ、乾式現像剤を用いて現像
し、得られた画像(トナー画像)を普通紙上に静電転写
し、定着したところ、鮮明な転写画像が得られた。現像
剤として湿式現像剤を用いた場合も同様に鮮明な転写画
像が得られた。
【表3−(1)】
【表3−(2)】
【表3−(3)】
【0035】
【効 果】本発明の感光体は感光特性に優れているこ
とは勿論のこと、熱や機械的の衝撃に対する強度が大
で、しかも安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわる電子写真感光体の厚さ方向に
拡大した断面図である。
【図2】本発明にかかわる電子写真感光体の厚さ方向に
拡大した断面図である。
【図3】本発明にかかわる電子写真感光体の厚さ方向に
拡大した断面図である。
【図4】本発明にかかわる電子写真感光体の厚さ方向に
拡大した断面図である。
【図5】本発明にかかわる電子写真感光体の厚さ方向に
拡大した断面図である。
【符号の説明】
1…導電性支持体 2,2',2'',2''',2''''…感光層 3…電荷発生物質 4…電荷搬送媒体又は電荷搬送層 5…電荷発生層 6…保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−159536(JP,A) 特開 平1−265257(JP,A) 特開 平1−265258(JP,A) 特開 平2−51163(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00 - 5/16 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に、下記一般式(I)で
    表わされるヒドラゾン化合物の少なくとも1種を有効成
    分として含有する感光層を有することを特徴とする電子
    写真用感光体。 【化1】 (上式中、R1、R2、R3、R4及びR5は水素原子、ハ
    ロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリー
    ル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ
    基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はアミノ基を表
    わし、同一でも異なっていてもよい。mは1〜4、nは
    1〜9の整数を表わし、2以上の場合、R3、R4はそれ
    ぞれ同一でも異なっていてもよい。)
  2. 【請求項2】 感光層が電荷発生層と電荷搬送層との積
    層型感光層である請求項1の電子写真感光体。
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