JP3163876B2 - 放射性廃棄物の固化方法 - Google Patents
放射性廃棄物の固化方法Info
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る放射性廃棄物を水硬性無機固化材により固化する方法
に関する。
度が低いレベルのものだけを水硬性無機固化材を用いて
固化処理していたため、固化体の放射線分解による影響
は非常に小さく、固化体内部に含まれる水の放射線分解
によって生じる水素の発生量は問題にならなかった。し
かし、放射性廃棄物の放射能による汚染度のレベルが高
いものを固化処理する場合には、放射線分解による水素
発生量が増加する可能性がある。
水の放射線分解によるものであるため、特開昭63−2437
98号公報にあるように固化材の混練水を低減させる方法
や、特開昭60−128400号公報にあるように固化体をオー
トクレーブなどを用いて高温で養生することにより、固
化体内部の水を放射線に対し安定な結晶水の形に移行さ
せる方法がとられてきた。また、発明者らは固化体から
の水素発生量をセメント中に含まれる有機物を低減する
ことによって1/4以下に抑制する方法を特願平4−123
223 号明細書に示している。しかし、これらの従来技術
は、いずれも固化体内部での水素発生に関与する電子に
ついては、考慮されていなかった。
する放射性廃棄物を水硬性無機固化材により、固化,貯
蔵するに際し、放射性廃棄物からの放射線により、固化
体中で放射線分解が起こり、水素ガスが発生する。
低減する放射性廃棄物の固化方法を提供することにあ
る。
る水素発生は、水そのものが放射線を受けて水素を発生
する反応の他に、固化体内部の固相が放射線を受けて電
離し、そのときに発生する電子が水を還元して、水素を
発生させる反応が存在する。
し、電子捕捉剤を添加する。
にセメントをはじめとする水硬性無機固化材を用いてい
る。ところが、放射線による汚染度のレベルが高いもの
を固化する場合、固化体中に含まれる水の放射線分解に
より、水素ガスが発生する。
が受ける吸収線量100eV当たりに生成する水素分子
数で表されるG値で整理することができ、発明者らの実
験の結果、固化体からの水素発生量は、固化体中のセメ
ントと反応していない水、すなわち自由水の量に依存す
ることがわかった。
のG値は、イオン交換水などの純水のG値と比較してみ
ると、十倍以上もの値を示すことがわかった。この結果
を表1に示す。
する水素の量で評価したため、初期的なG値(=0.4
5)よりは低くなっている。これは発生した水素が実際
には、液中でOHラジカルなどの酸化性化学種の影響を
受けるためである。
願平4−123223 号明細書にあるように、セメント中に含
まれる有機物と水の放射線分解による生成物であるH原
子の遊離基との反応であることがわかっている。
機物を低減したセメントを用いて、その固化体の水素発
生量を定量した結果、有機物による水素発生量の増加は
二倍程度であり、依然として五倍程度の水素発生量の増
加がみられることがわかった。発明者らはこの原因につ
いて検討を行い、その結果、セメント固化体における水
素発生は、水そのものの放射線分解によるものと、固化
体の固相が、放射線を受けて電離する際に放出する電子
と水との反応によるものであることがわかった。下に、
固相による水素発生の反応式を示す。
ために、水と反応性のないアルミナ粉末10gに対し、
水4.5ml を添加し、水単独の場合のG値と比較した
のが、表2である。
らかに水の水素発生量が増加していることがわかる。
高い、電子捕捉剤を添加することにより、電子と水との
反応を妨害し、水素発生を抑制する方法を提供する。
の電子捕捉剤として、硝酸鉄(III)を添加した場合の水
素発生量について示す。このように電子捕捉剤の添加に
伴い、水素発生量は急激に減少し、水素発生量を20%
に低減できることを発明者らは実験的に明らかにした。
水硬性無機固化材の放射線分解による水素発生量を、大
幅に低減することが可能であることを示唆する。
あるC種高炉セメントの、水/セメント比0.45 で電
子捕捉剤を添加した固化体について、放射線による水素
発生量を測定したものである。本実施例では、電子捕捉
剤として硝酸鉄(III)を用い、水に溶解させる形で添加
を行い、セメント重量に対して添加量をパラメータとし
た。実験結果を図1に示す。このように、セメントに対
し1%程度の電子捕捉剤を添加することによって、水素
発生量は1/5程度に減少している。
物除去セメントと組み合わせることによって、通常セメ
ント固化体に対して、水素発生量を1/10程度に抑制
可能であることがわかった。
本実施例は、原子力発電所の廃炉などに伴う金属廃棄物
などの雑固体を固化する一例である。
チャートを示す。固化材タンク1には硬化材である水硬
性無機固化材、また電子捕捉剤を含む、種々の添加剤が
予め適当な配合で十分に混合,分散され、貯蔵されてい
る。この固化材粉末は定量移送装置2により一定量混練
機3へ供給する。同時に、混練水タンク4から電磁バル
ブ5を介して混練水を一定量混練機3へ供給する。供給
された固化材粉末及び混練水は混練機3で十分に混練
し、ペースト状にする。一方、固化容器6には雑固体7
を予め入れておき、そこに混練機3で作成されたペース
トを一定量、電磁バルブ8を介して徐々に注入する。注
入後、ふたをした固化容器は約1か月静置の後、搬出可
能な固化体となる。本実施例では被固化体を金属廃棄物
を含む雑固体としたが、他にも中レベル廃イオン交換樹
脂等にも有効である。また、電子捕捉剤の添加方法につ
いても、本実施例では固化材側に予め配合する方法とし
たが、混練水側に電子捕捉剤を添加する方法も、電子捕
捉剤を固化体全体に分散させることができ、非常に有効
である。
りの固化容器に入れられた放射能汚染度のレベルの高い
線量率、1(R/h)の放射性廃棄物でも、1年間で水
素発生量が30ml程度から5ml程度に低減する効果
があり、固化体の健全性,安全性が長期的に高く、安定
に固化,貯蔵できる。
物質のことであり、イオン,単体,化合物など様々な形
態のものが存在する。このとき、電子を捕捉する効果は
その物質の反応速度定数により評価できる。図5に、反
応速度の異なる物質をセメント100gに対し、0.4
0mol(重量で約1g程度)添加した場合の、放射線に
よる水素発生量を定量した結果について示す。このこと
から、反応速度定数が1×1010付近を超えた辺りで、
水素発生量は顕著に低減傾向を示していることがわか
る。逆に、反応速度定数が1×1010以下のところで
は、水素発生量の低減効果が低いことがわかり、水素発
生を抑制するためには、反応速度定数が1×1010以上
の電子捕捉剤を添加することが有効であることがわかっ
た。
子捕捉剤を固化体中の水に溶解している必要がある。こ
れは、電子捕捉剤の添加量にも関係するが、電子捕捉剤
の水に対する飽和溶解度で評価できる。具体的には、電
子捕捉剤の添加量の全量が溶解することが好ましい。発
明者らは、鉄の三価イオンを電子捕捉剤として、酸化鉄
(III)及び硝酸鉄(III)の形で添加し、それぞれの水
素発生量に及ぼす影響を実験により確認した。実験で
は、代表的な水硬性無機固化材であるC種高炉セメント
を用い、電子捕捉剤を0.4mol/セメント100gの割
合で添加したときの、水素発生量について測定した。表
3にその結果について示す。
トルの硝酸鉄(III)に対して、水に不溶性の酸化鉄(II
I)では、水素発生量の低減効果が非常に低いことがわか
る。これは酸化鉄(III)のように、固体で存在するも
のは水との接触面積が非常に低いとの理由による。
ためには、飽和溶解度の高い電子捕捉剤を用い、電子捕
捉剤を溶解させた形で、電子との反応効率を上げること
が有効である。また、水素発生の抑制に必要な添加量
を、減らすことができる利点もある。
(III)としてセメントに添加した場合について説明す
る。硝酸鉄(III)は、水に対する飽和溶解度が452g
/リットルと非常に高く、固化体中では三価の鉄イオン
と硝酸イオンの状態で存在する。ここで、三価の鉄イオ
ンの電子との反応速度定数は5×1010(dm3mol
-1s-1)であり、硝酸イオンも陰イオンでは特異的に反
応速度定数が高く、1×1010(dm3mol-1s-1)でとな
っており、非常に効率良く水素発生を抑制する電子捕捉
剤である。
量に添加した場合には、セメントの一部が瞬結してしま
い、硬化反応に影響を及ぼす点である。そこで発明者ら
は、セメント重量に対する添加量をパラメータにとり、
セメントの硬化反応について調べた。その結果を表4に
示す。
%を超える辺りから流動性,固化体強度について悪影響
が現れてくることがわかった。また、図1により、電子
捕捉剤の効果が現れるのは、0.01% 程度添加する辺
りからである。
して用いるためには、添加量をセメントに対し、0.0
1% 以上,5%以下にすることにより、長期的に健全
な固化体を作成することができる。
高い廃棄物に対しても、電子捕捉剤を添加することによ
り、放射線分解による水素発生量を大幅に低減させるこ
とができ、固化体の長期健全性が向上する。したがっ
て、水硬性無機固化材を放射能の汚染度のレベルが高い
放射性廃棄物の固化材として使用することができる。
水素発生量の特性図。
図。
抑制効果の特性図。
…混練水タンク、5,8…電磁バルブ、6…固化容器、
7…雑固体。
Claims (4)
- 【請求項1】原子力発電所から発生する放射性廃棄物
を、水硬性無機固化材を用いて固化する際に、自由電子
及び水和電子と反応速度が大きい電子捕捉剤を添加する
ことを特徴とする放射性廃棄物の固化方法。 - 【請求項2】請求項1において、電子捕捉剤の電子との
反応速度定数が1×1010(dm3mol-1s-1)以上である
放射性廃棄物の固化方法。 - 【請求項3】請求項2において、水に対する飽和溶解度
の高い電子捕捉剤を用いることによって、電子捕捉剤を
溶解した状態で存在させる放射性廃棄物の固化方法。 - 【請求項4】請求項3において、電子捕捉剤を硝酸鉄と
して固化材重量に対し、0.01%以上,5%以下の添
加量とする放射性廃棄物の固化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27642893A JP3163876B2 (ja) | 1993-11-05 | 1993-11-05 | 放射性廃棄物の固化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP27642893A JP3163876B2 (ja) | 1993-11-05 | 1993-11-05 | 放射性廃棄物の固化方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07128497A JPH07128497A (ja) | 1995-05-19 |
JP3163876B2 true JP3163876B2 (ja) | 2001-05-08 |
Family
ID=17569280
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27642893A Expired - Lifetime JP3163876B2 (ja) | 1993-11-05 | 1993-11-05 | 放射性廃棄物の固化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3163876B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5044280B2 (ja) * | 2007-05-15 | 2012-10-10 | 株式会社東芝 | 放射性廃棄物の固化処理方法及び固化処理装置 |
-
1993
- 1993-11-05 JP JP27642893A patent/JP3163876B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07128497A (ja) | 1995-05-19 |
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