JP3163830U - 燃料油の浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】メンテナンス作業が容易であり、燃料油中の不純物粒子を捕捉して浄化効果を著しく向上できる燃料油の浄化装置を提供せんとする。【解決手段】容器アース電極20内に平板回転電極21が設けられ、電極20,21間に直流電圧を印加し、流通する燃料油中の不純物粒子が有しているゼーター電位を低下もしくは消失させ凝集粗粒化させ、平板回転電極21の電位と逆の電位に帯電させてクーロン力により平板回転電極21の両側面21aに吸着させる電圧印加手段3を設けた。また、平板回転電極21の両側面21aに吸着した不純物粒子を掻き落しにより回収するためのスクレーパ22を設けた。浄化装置1により処理される燃料油は、残留炭素分8〜9重量%以下で、かつ不純物粒子径が5〜10μm以下に浄化される。【選択図】図2

Description

本考案は、大型船舶や発電機関等の燃料として使用される燃料油から不純物を除去する浄化装置に関する。
この種の燃料油を用いる機関、例えばC重油仕様のディーゼルエンジンでは、燃料油(C重油)中のシリカ、触媒残滓等の不純物の除去、洗浄方法としては、一般に高速遠心分離機が用いられている。例えば、特許文献1では、C重油の如き低質重油を、高速の遠心分離機で処理して不純物を遠心分離し、遠心分離機内をA重油で洗浄して遠心分離されたスラッジを取り出し、該取り出されたC重油とA重油を含むスラッジから水分を蒸発させて取り除くと共に、低速遠心分離機で遠心分離して固体分を分離、除去し、残ったC重油とA重油との混合物を前記機関の燃料として使用するようにしたことを特徴とする燃料油から不純物を除去する方法が提案されている。
しかしながら、遠心分離機のメンテナンス作業は機関関係のメンテナンス時間の大きな比率を占め、船舶をはじめ陸上発電関係では遠心分離装置のメンテナンス作業の軽減化が望まれている。また、燃料油の性状はますます悪化傾向にあり、システム油の汚損度増大をもたらし、エンジン損傷の原因となっていることから更なる浄化能力の向上が求められている。
特開2004−155809号公報
そこで、本考案が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、メンテナンス作業が容易であり、燃料油中の不純物粒子を捕捉して浄化効果を著しく向上できる燃料油の浄化装置を提供する点にある。
本考案は、前述の課題解決のために、燃料油が流通する電極間に、間隔20mmあたり300〜1000Vの直流電圧を印加することにより、燃料油中の不純物粒子が有しているゼーター電位を低下もしくは消失させ凝集粗粒化させるとともに、クーロン力により電極に吸着させ、吸着した不純物粒子を回収する回収手段を設け、これにより残留炭素分8〜9重量%以下で、かつ不純物粒子径が5〜10μm以下に浄化してなる燃料油の浄化装置であって、燃料油が満たされる容器アース電極内に平板回転電極を設け、この電極間に電圧を印加することにより、流通する燃料油中の不純物粒子が有しているゼーター電位を低下もしくは消失させ凝集粗粒化させるとともに、前記平板回転電極の電位と逆の電位に帯電させてクーロン力により平板回転電極の両側面に吸着させる電圧印加手段を設け、吸着した不純物粒子を掻き落しにより回収するスクレーパ部を設けてなることを特徴とする燃料油の浄化装置を提供する。
具体的には、複数の平板回転電極を平行に複数配することが好ましい。また、前記電極間に供給される燃料油を、あらかじめ100〜140℃に加熱するための加熱手段を設けることが好ましい。排出された処理液は、さらに荷電凝集ろ過装置を用いてろ過される。
以上にしてなる本願考案は、燃料油が流通する電極間に、間隔20mmあたり300〜1000Vの直流電圧を印加し、電極に吸着した不純物粒子を回収する回収手段を備えたので、複雑な構造を必要とすることなく不純物を効率よく除去可能となり、耐久性もよくメンテナンスをほとんど不要であり、残留炭素分8〜9重量%以下で、かつ不純物粒子径が5〜10μm以下に浄化してエンジン損傷等を未然に防止できる。
また、燃料油が満たされる容器アース電極内に平板回転電極を設け、この電極間に電圧を印加し、不純物粒子を凝集粗粒化させるとともに平板回転電極の両側面に吸着させ、吸着した不純物粒子の回収手段として掻き落しにより回収するスクレーパ部を設けたので、回転電極により効率よく不純物粒子を回収除去できる。
また、複数の平板回転電極を平行に複数配したので、回転電極の枚数を増やすことで吸着面積が著しく増大し、より効率よく不純物微粒子を回収除去できる。
また、燃料油をあらかじめ100〜140℃に加熱するための加熱手段を設けたので、燃料油の流れがよくなり、不純物の凝集粗粒化や帯電付着が促進され、より効率よく不純物微粒子を回収除去できる。
また、排出された処理液を荷電凝集ろ過装置を用いてろ過したので、前記電極間の電圧により凝集粗粒化された不純物粒子を荷電凝集ろ過装置で確実に捕捉し、浄化効果を著しく向上させることができる。
本考案の代表的実施形態に係る浄化装置を示す説明図。 同じく斜視図。 同じく浄化装置のシステム構成図。 回転電極式吸着除去装置による不純物粒子の凝集粗粒化、吸着除去の試験結果のグラフ。
次に、本考案の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本考案に係る浄化装置の構成を示す説明図であり、図1〜3は代表的実施形態を示し、図中符号1は浄化装置、2は回転電極式吸着除去装置、3は電圧印加手段、4は加熱手段、5は荷電凝集ろ過装置をそれぞれ示している。
なお、以下の実施形態においては、電極として平板回転電極を用いた例について説明するが、たとえば本出願人による特開2000−354789号公報で開示したドラム式の電極を備えたものも好ましい参考例である。
浄化装置1は、図1、2に示すように、燃料油が満たされる容器アース電極20内に平板回転電極21,・・・が設けられ、この電極20,21間に直流電圧を印加することにより、流通する燃料油中の不純物粒子が有しているゼーター電位を低下もしくは消失させ凝集粗粒化させるとともに、平板回転電極21の電位と逆の電位に帯電させてクーロン力により平板回転電極21の両側面21aに吸着させる電圧印加手段3が設けられている。
さらに、平板回転電極21の両側面21aに吸着した不純物粒子を掻き落しにより回収するためのスクレーパ22が設けられており、この浄化装置1により処理される燃料油は、残留炭素分8〜9重量%以下で、かつ不純物粒子径が5〜10μm以下に浄化することができる。
より詳しくは、前記電極20、21間に供給される燃料油を、あらかじめ100〜140℃に加熱するための加熱手段4が設けられている。この予熱により処理される燃料油の流れがよくなり、不純物の凝集粗粒化や帯電付着が容易となる。
また、前記平板回転電極21に付着されずに排出された処理液に対し、さらに荷電凝集ろ過装置5を用いてろ過される。
以下、各部の構造を更に詳細に説明する。
本実施形態に係る浄化装置1は、上記平板回転電極21を平行に複数配設した回転電極式吸着除去装置2と、該装置2に供給される燃料油を予め加熱する加熱手段4としての加熱槽40及び加熱ヒータ41と、前記装置2から排出された燃料油をさらにろ過するための複数の荷電凝集ろ過装置5,・・・とよりシステム構成され、荷電凝集ろ過装置5から排出された処理液は前記加熱手段4に燃料油を供給する貯留タンク10に戻される。
本例では、このように循環ろ過システムを構成して、所定時間の循環してろ過を繰り返すこととなるが、循環式にする必要は必ずしもない。なお、本例では図3に示すように、加熱手段4に燃料油を供給する前の流路途中に、比較的大きな不純物を取り除くためのストレーナ6が設けられている。
加熱手段4は、図2、3に示すように、貯留タンク10からポンプP1により供給された被処理液(燃料油)を収容して流通させる加温槽40と、収容された燃料油を過熱するための加熱ヒータ41とより構成され、加熱ヒータ41は温度調節されたスチームが流通する。
回転電極式吸着除去装置2は、加熱手段4を介して被処理液が供給される箱体状の容器アース電極20の内部に、複数の同一径の円盤状平板回転電極21,・・・が回転軸25上に平行に同軸状に配置され、該回転軸25を回転させる駆動モータ26により各回転電極21が同一方向に回転される。
電圧印加手段3は、この回転軸25を介して各平板回転電極21に接続され、同じく接続された容器アース電極20との間に、間隔20mmあたり300〜1000V、より好ましくは300〜800Vの直流電圧を印加する。ここで、その荷電圧をスライダックで調整可能とし、不純物微粒子の吸着量や残留炭素分を制御することが好ましい。各平板回転電極21の両側面には、好ましくは誘電率の高い物質がコーティングされる。尚、電圧印加手段3による接続極性は逆にすることも可能である。
平板回転電極21の各側面21aには、中心部から斜め下方の外周縁部に向けて断面視略L字状のスクレーパ片が近接配置され、両側面のスクレーパ片は外周部で断面略コ字状に一体化して延びるスクレーパ22を構成している。このスクレーパ22は各平板回転電極21に設けられ、容器アース電極20の側方に設けられた不純物回収タンク23まで延びており、各側面21aに吸着した不純物粒子をスクレーパ片で掻き落し、前記回収タンク23に流し込んで回収する。
前記回収タンク23と反対側には、容器アース電極20内の平板回転電極21間を流通してオーバーフローした処理液が一時収容される処理タンク24が設けられ、タンク内の処理液は、ポンプP3により荷電凝集ろ過装置5に供給される。
荷電凝集ろ過装置5は、フィルターの濾目による物理的濾過作用と燃料油中の不純物粒子が有しているゼーター電位の低下による凝集粗粒化現象を利用した装置であり、荷電フィルター装置であり、本出願人による実用新案登録第2036263号や特公平08−210号で開示した技術が利用でき、特に被処理液中の固形粒子等の不純物粒子の濾過を促進する。これら荷電凝集ろ過装置5は、同じものが3機並列に設けられ、処理された燃料油は再度貯留タンク10に戻される。
なお、上記回転電極式吸着除去装置2で処理された処理液は、不純物粒子が有しているゼーター電位を低下もしくは消失させて凝集粗粒化されているので、荷電凝集ろ過装置5を用いる代わり、荷電されない通常のろ過装置を設けてもよい。また、荷電凝集ろ過装置5は上記のものに何ら限定されない。また、これらろ過をまったく行わないものや、種々のろ過装置を用いて直列処理させてもよい。
以上本考案の実施形態について説明したが、本考案はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
次に、上記図1〜3に示した代表的実施形態の浄化装置1(だたし、循環はさせず、荷電凝集ろ過装置を通過した処理液は回収タンクに回収する。)を用いて、使用済みのFCC重油を処理した際の残留炭素分、FCC触媒粒子濃度を測定した試験結果について説明する。
試験は、浄化装置1の貯留タンクに使用済みFCC重油を入れ、加熱手段で50℃に加熱した実施例1、100℃に加熱した実施例2について、各部(貯留タンク内、平板回転電極付近、処理タンク内、回収タンク内)におけるFCC重油のシリカ濃度、アルミナ濃度、残留炭素濃度を測定した。回転電極式吸着除去装置の電極間には500V/20mmの直流電圧を印加し、荷電凝集ろ過装置では電極間に間隔10mmあたり250Vの交流電圧を印加して試験を行った。
Figure 0003163830
表1より、実施例1と実施例2を比較して、温度が高い実施例2の方が電極付近に集まるシリカ、アルミナの濃度が高く、処理された処理タンク内の濃度も小さくなり、処理能力が向上することが分かる。また、実施例1、2のいずれも、シリカ濃度が5.8ppmから1.4ppmに低下し、アルミナも3.5ppmから0.6ppmに低下しており、不純物粒子が確実に捕捉され、浄化が行われていることが分かる。さらに、残留炭素濃度も9.8%から7%に低減することに成功している。
次に、回転電極式吸着除去装置による不純物粒子の凝集粗粒化、および吸着除去の各効果を実証する試験結果について説明する。
試験は、上記図1〜3の装置から荷電凝集ろ過装置を省略し、回転電極式吸着除去装置2を用いて使用済みFCC重油を処理する。回転電極式吸着除去装置の電極間には、500V/20mmの直流電圧を印加した。そして、処理前、処理後の粒度分布、粒子量を、ジャパンアナリスト株式会社 相模原分析センターにおいてマイクロトラック粒度分析計測法に基づいて測定した。
結果は、図4のグラフに示す。図4から分かるように、粒度分布において処理前は2.12〜11μmに亘り粒度分布が見られたのに対し、処理後は2.12〜15.55に粒度分布が変化している。また、粒子量は、処理前に比べて処理後は減少している。粒度分布の遷移は、凝集粗粒化が効果的に行われ、このような粗粒化した粒子は、荷電凝集ろ過装置を通すことでより確実にろ過され、具体的には5μm以上の粒子はほぼ完全に除去できたことが確認されている。また、粒子量が減ったのは、回転電極への吸着除去が効果的に行われたことを示している。
次に、上記図1〜3に示した代表的実施形態の具体的装置のうち回転電極式吸着除去装置「ゼオテックR−1000」(500V/20mm、処理量1000L/h:実施例3、処理量2000L/h:実施例4)と、従来からの遠心分離機「アルファ・ラバルSU・SA型油清浄機」(アルファ・ラバル(株)製)(4000回転)(比較例1)について、それぞれ同一のFCC−C重油の処理後、処理前の残留炭素分、FCC触媒粒子濃度を分析した。表2〜5に、シリカの濃度、アルミナの濃度、汚染度、残留炭素分の分析結果をそれぞれ示す。
Figure 0003163830
Figure 0003163830
Figure 0003163830
Figure 0003163830
シリカについては、表2より、回転円盤電極の実施例3で、24.37%も除去できているのに対し、遠心分離の比較例1ではほとんど除去できていないことが分かる。アルミナについても、表3より、回転円盤電極の実施例3、4ともに45%以上の除去ができているのに対し、遠心分離の比較例1ではほとんどかわらず、除去できていない。汚染度については、表4より、回転円盤電極の実施例3で46%もの削減がなされており、汚染度の原因成分が回転円盤電極で除去できる粒子であることが分かる。一方、遠心分離の比較例1でも、20%削減されており、原因粒子を多少除去できることが分かる。残留炭素については、表5より、回転円盤電極の実施例3で13%以上の削減であり、除去効果があることが分かる。これに対し、遠心分離の比較例1では、殆ど除去できないことが分かる。
1 浄化装置
2 回転電極式吸着除去装置
3 電圧印加手段
4 加熱手段
5 荷電凝集ろ過装置
6 ストレーナ
10 貯留タンク
20 容器アース電極
21 平板回転電極
21a 両側面
22 スクレーパ
23 不純物回収タンク
24 処理タンク
25 回転軸
26 駆動モータ
40 加熱槽
41 加熱ヒータ
P1,P2,P3 ポンプ

Claims (4)

  1. 燃料油が流通する電極間に、間隔20mmあたり300〜1000Vの直流電圧を印加することにより、燃料油中の不純物粒子が有しているゼーター電位を低下もしくは消失させ凝集粗粒化させるとともに、クーロン力により電極に吸着させ、吸着した不純物粒子を回収する回収手段を設け、これにより残留炭素分8〜9重量%以下で、かつ不純物粒子径が5〜10μm以下に浄化してなる浄化装置であって、
    燃料油が満たされる容器アース電極内に平板回転電極を設け、
    この電極間に電圧を印加することにより、流通する燃料油中の不純物粒子が有しているゼーター電位を低下もしくは消失させ凝集粗粒化させるとともに、前記平板回転電極の電位と逆の電位に帯電させてクーロン力により平板回転電極の両側面に吸着させる電圧印加手段を設け、
    吸着した不純物粒子を掻き落しにより回収するスクレーパ部を設けてなることを特徴とする燃料油の浄化装置。
  2. 複数の平板回転電極を平行に複数配してなる請求項1記載の燃料油の浄化装置。
  3. 前記容器アース電極内に供給される燃料油を、あらかじめ100〜140℃に加熱するための加熱手段を設けてなる請求項1または2記載の燃料油の浄化装置。
  4. 前記容器アース電極より排出された処理液を、さらに荷電凝集ろ過装置に供給してろ過する請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料油の浄化装置。
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