JP3163393B2 - 光学活性ベンゾチエピン塩の製造法 - Google Patents

光学活性ベンゾチエピン塩の製造法

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JP3163393B2 JP19360396A JP19360396A JP3163393B2 JP 3163393 B2 JP3163393 B2 JP 3163393B2 JP 19360396 A JP19360396 A JP 19360396A JP 19360396 A JP19360396 A JP 19360396A JP 3163393 B2 JP3163393 B2 JP 3163393B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨形成促進作用お
よび骨吸収抑制作用等を有する薬剤の原料化合物として
有用な光学活性ベンゾチエピン誘導体のアミン塩(光学
活性ベンゾチエピン塩)およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】本願出願人は骨形成促進作用および骨吸
収抑制作用等を有する薬剤、即ち骨疾患予防治療剤とし
て有用な光学活性化合物を見いだし、これについて特許
出願している(EP-A-719782,Appln. No. 95 120444.
5)。光学活性体の混合物であるラセミ体の光学分割法
としては、一般的には(1)ラセミ体からの優先的晶出
法、(2)光学分割剤を用いるジアステレオマー法、
(3)光学活性物質を充填したカラムクロマトグラフィ
ーによる分別法、(4)酵素反応の立体特異性を利用す
る分別法、および(5)光学活性膜を用いる分別法など
が実験室レベルで、また極めて限られた場合において工
業的レベルで用いられている。ノルエフェドリンを光学
異性体の光学分割に適用した例として、特開昭60−2
24672号公報、特開昭48−23724号公報(米
国特許 USP 3966752)、リービッヒ・アナ
レン・デル・ケミエ(Liebigs Ann. Chem.)〔1995頁、(1
982)〕、欧州特許公開公報EP−A−128684等が
あるが、これらは、ある特定の化合物に対して試みられ
たごく限られた例に過ぎない。即ち、光学異性体の光学
分割法には一般的な規則性がまだ確立されていないた
め、光学異性体の光学分割を行う際には個々の化合物ご
とに種々の方法を検討しなければならないのが現状であ
る。
【0003】前述の骨疾患予防治療剤として有用な光学
活性化合物の原料化合物である光学活性ベンゾチエピン
誘導体、特に光学活性3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸
誘導体の製造は、従来、例えば1,2,4,5-テトラヒドロ-4
-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエ
ピン-2-カルボン酸のラセミ体とマンデル酸メチルとを
反応させることにより生成するエステル誘導体のジアス
テレオマーの溶解度の差を利用した再結晶法により行っ
ていた。しかし、この方法は、エステル結合の形成およ
び再切断工程を必要とし、また副生成物が多量に生成す
るため、その精製に煩雑な操作を必要とし、収率が低い
等、工業的な大量生産に用いるには問題点が多かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、光学活性ベン
ゾチエピン誘導体、特に(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ
-4-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチ
エピン-2-カルボン酸を、光学活性体として実質的に純
粋に、効率よく製造する方法が望まれている。また、前
述の骨疾患予防治療剤として有用な光学活性化合物は、
光学活性体の種類によって、その薬理活性または吸収性
(特に経口吸収性)が異なるので、薬理活性および吸収
性が優れた特定の光学活性化合物を製造することが望ま
れる。したがって、この特定の光学活性化合物を製造す
るための原料化合物である光学活性ベンゾチエピン誘導
体を製造する方法が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題に鑑み、本発明
者らは、簡便な操作で高純度かつ好収率を与えるような
工業的に有利な光学活性ベンゾチエピン誘導体の製造法
を見い出すべく鋭意研究を行った結果、意外にも、ベン
ゾチエピン誘導体、例えばラセミ体であるトランス-1,
2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5
-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸と光学活性ア
ミンとを反応させ、新規な光学活性アミン塩を形成後、
分離することにより、高純度かつ好収率で容易に光学活
性ベンゾチエピン誘導体が得られることを見い出し、本
発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、(1)式(I)
【化4】 〔式中、Rは低級アルキル基を示す。〕で表わされるベ
ンゾチエピン誘導体を、光学活性アミンと反応させるこ
とを特徴とする光学活性ベンゾチエピン誘導体のアミン
塩の製造法、(2)光学活性アミンが、光学活性フェニ
ルアミノアルカノールである上記(1)記載の製造法、
(3)光学活性フェニルアミノアルカノールが、式(I
I)
【化5】 〔式中、R1は置換されていてもよいフェニル基を示
す。R2、R3およびR4は同一または異なっていてもよ
く、水素原子または低級アルキル基を示す。R5は水素
原子、水酸基、低級アルキル基または低級アルコキシ基
を示す。〕で表わされる化合物またはその塩の光学活性
体である上記(2)記載の製造法、(4)上記(1)記
載の光学活性ベンゾチエピン誘導体のアミン塩を脱アミ
ン処理に付すことを特徴とする光学活性ベンゾチエピン
誘導体の製造法、および(5)式(III)
【化6】 〔式中、Rは低級アルキル基を示す。R1は置換されて
いてもよいフェニル基を示す。R2、R3およびR4は同
一または異なっていてもよく、水素原子または低級アル
キル基を示す。R5は水素原子、水酸基、低級アルキル
基または低級アルコキシ基を示す。〕で表わされる化合
物の光学活性体に関する。
【0007】上記一般式ならびに本発明の範囲内に包含
される諸定義の説明およびそれらの好適な例を以下に記
載する。上記式(I)および(III)中、Rで表される
「低級アルキル基」としては、例えばメチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−
ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオ
ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6の直鎖もしくは分
枝状のアルキル基等が挙げられ、好ましくは、メチル、
エチル等の炭素数1ないし4のアルキル基、とりわけメ
チルがより好ましく挙げられる。式(I)で表される化
合物(以下、化合物(I)と略記する)としては、3−
ベンゾチエピン環の2位と4位の不斉炭素原子に対しそ
れぞれR体とS体の光学異性体、即ち、(2R,4R)−配
位、(2S,4S)-配位、(2S,4R)-配位および(2R,4S)-配位の
4種の光学異性体が存在し、これら4種の混合物(ラセ
ミ体)を用いることができるが、とりわけトランス配位
の光学異性体、即ち(2S,4R)配位および(2R,4S)配位の2
種の光学異性体の混合物(ラセミ体)であることが好ま
しい。化合物(I)としては、例えば(2R,4S)-1,2,4,5-
テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレンシ゛オキシ-5-オキソ-3-ベ
ンゾチエピン-2-カルボン酸および(2S,4R)-1,2,4,5-テ
トラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-
3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸などが挙げられ、特に
これらの混合物(ラセミ体)を用いることが好ましい。
【0008】上記式(II)および(III)中、R1で表さ
れる「置換されていてもよいフェニル基」におけるフェ
ニル基は、その置換可能な位置に、任意の置換基を1〜
2個有していてもよく、該置換基としては、置換されて
いてもよいアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プ
ロポキシ等のC1-3アルコキシ)、ハロゲン原子(例、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、置換されていてもよい
アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル等のC1-3
アルキル)等が挙げられる。該アルコキシ基およびアル
キル基は、置換可能な位置に任意の置換基を1〜2個有
していてもよく、該置換基としては、ホスホノ基、モノ
−もしくはジ−C1-3アルコキシホスホリル基(例、ジ
メトキシホスホリル,ジエトキシホスホリルなど)など
が挙げられる。R1としては、とりわけフェニル基がよ
り好ましく挙げられる。上記式(II)および(III)
中、R2、R3およびR4は同一または異なっていてもよ
く、水素原子または低級アルキル基を示す。該「低級ア
ルキル基」としては、前述のRで表される「低級アルキ
ル基」と同様の炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝状のア
ルキル基等が挙げられ、好ましくは、メチル、エチル等
の炭素数1〜4の直鎖もしくは分枝状のアルキル基等が
挙げられ、とりわけメチルがより好ましく挙げられる。
2としては、水素原子がより好ましく挙げられる。R2
が水素原子である場合、R3またはR4が水素原子である
ことが好ましく、特にR2、R3およびR4がすべて水素
原子であることがより好ましい。
【0009】上記式(II)および(III)中、R5は水素
原子、水酸基、低級アルキル基または低級アルコキシ基
を示す。該「低級アルキル基」としては、前述のRで表
される「低級アルキル基」と同様の炭素数1〜6の直鎖
もしくは分枝状のアルキル基等が挙げられ、好ましく
は、メチル、エチル等の炭素数1〜4の直鎖もしくは分
枝状のアルキル基等が挙げられ、とりわけメチルがより
好ましく挙げられる。該「低級アルコキシ基」として
は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等のC1-3アルコ
キシ、とりわけメトキシがより好ましく挙げられる。R
5としては、水素原子または水酸基がより好ましく挙げ
られる。
【0010】光学活性アミンとしては、例えば光学活性
フェニルアミノアルカノールが挙げられる。該光学活性
フェニルアミノアルカノールとしては、例えば上記した
式(II)で表される化合物(以下、化合物(II)と略記
する)またはその塩の光学活性体が挙げられる。ここに
おいて、化合物(II)の塩としては、例えば無機塩基と
の塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、
塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。無
機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム
塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、
マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにア
ルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機
塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエ
チレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩
の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、
硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の
好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢
酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエ
ン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼ
ンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙
げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、
例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙
げられる。酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例
えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げら
れる。化合物(II)の塩は、好ましくは無機酸との塩で
あり、なかでも塩酸または硫酸との塩が好ましい。化合
物(II)は、塩として用いてもよいが、遊離体として用
いることが好ましい。化合物(II)としては、具体的に
は、(1R,2S)-ノルエフェドリン、(1S,2R)-ノルエフェド
リン等のノルエフェドリン;または(1S,2S)-2-アミノ-1
-フェニル-1,3-プロパンジオール等が挙げられ、なかで
もノルエフェドリンが好ましい。化合物(I)の(2R,4
S)-配位の光学活性体を選択的に得る目的においては、
化合物(II)は、さらに好ましくは(1R,2S)-ノルエフェ
ドリンである。
【0011】化合物(I)と光学活性アミンとの反応
は、化合物(I)と該光学活性アミンとを、好ましくは
有機溶媒中で混合し、晶出または再結晶させることによ
り行われる。光学活性アミンは、化合物(I)に対して
任意の割合で使用できるが、化合物(I)に対し、例え
ば0.3〜2当量程度、好ましくは0.5〜1当量程度使
用することが好ましい。反応温度は、−20℃〜使用す
る溶媒の沸点の間の温度、好ましくは0℃(氷冷)〜使
用する溶媒の沸点の間の温度、さらに好ましくは室温付
近の温度(0℃〜30℃)である。反応時間は、結晶析
出直後〜100時間、好ましくは0.5〜50時間、さ
らに好ましくは1〜10時間である。有機溶媒として
は、化合物(I)を溶解し、かつ反応に悪影響を及ぼさ
ない有機溶媒であれば何れでもよい。このような有機溶
媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなど
の芳香族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン
(THF)、ジメトキシエタンなどのエーテル類;メタ
ノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール
類;酢酸エチルなどのエステル類;アセトニトリルなど
のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミドなどのア
ミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;
クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタ
ン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどのハロゲン
化炭化水素類;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類
などが挙げられる。これらの有機溶媒は適宜の割合で混
合して用いてもよく、水と混合して用いてもよい。有機
溶媒の使用量は、個々の反応に応じて適宜選択すること
が好ましいが、目安として、化合物(I)の重量の5〜
100倍程度である。また、光学分割を効率的に行うこ
とを目的として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムな
どの無機塩基;ピリジン、トリエチルアミン、N,N−
ジメチルアニリンなどの第3級アミンなどの有機塩基を
用いてもよい。これらの塩基の使用量は、化合物(I)
に対し、例えば0.1〜5当量程度、好ましくは0.5〜
2当量程度である。
【0012】晶出または再結晶の工程は、適宜の溶媒を
用い、自体公知の方法にしたがって行えばよい。該溶媒
としては、例えば前記した有機溶媒と同様のものが挙げ
られ、好ましくはエーテル類またはアルコール類が、さ
らに好ましくはメタノールまたはテトラヒドロフランが
用いられる。晶出または再結晶の工程における温度も個
々の反応に応じて適宜選択することが好ましく、具体的
には、−20℃〜使用する溶媒の沸点の間の温度、好ま
しくは0℃(氷冷)〜使用する溶媒の沸点の間の温度、
さらに好ましくは室温付近の温度(0℃〜30℃)であ
る。上記した反応において、操作の効率上、反応に用い
られる有機溶媒と晶出または再結晶の工程で用いられる
溶媒が同一であることが好ましい。このようにして得ら
れる光学活性ベンゾチエピン誘導体のアミン塩は、さら
に必要に応じて公知の方法に従い晶出または再結晶させ
ることにより精製してもよい。
【0013】本願発明の製造法によれば、光学活性ベン
ゾチエピン誘導体のアミン塩が実質的に純粋な光学活性
体として得られる。該アミン塩は、公知のラセミ体の光
学分割法を適用することにより、さらにその光学純度を
上げることもできる。
【0014】本発明の製造法により得られる光学活性ベ
ンゾチエピン誘導体のアミン塩は、脱アミン処理に付す
ことにより光学活性ベンゾチエピン誘導体に変換され
る。該脱アミン処理は、公知の方法にしたがって行えば
よい。脱アミン処理としては、具体的には、例えば
(i)酸(HCl, H2SO4, HNO3等)と反応させる方法、(i
i)アルカリ(NaOH, KOH, K2CO3,NaHCO3等)と反応させ
る方法などが挙げられ、とりわけ、(i)がより好まし
い。このようにして得られる光学活性ベンゾチエピン誘
導体は、例えばEP-A-719782に記載の骨疾患予防治療剤
として有用な薬剤の原料化合物として使用することがで
きる。
【0015】以下に、1)本発明の光学活性ベンゾチエ
ピン誘導体の製造法および2)該光学活性ベンゾチエピ
ン誘導体を用いる骨疾患予防治療剤として有用な光学活
性化合物の製造法について詳述する。化合物(I)とし
て、例えば(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,
8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カ
ルボン酸と(2S,4R)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,
8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カ
ルボン酸との混合物を使用する場合、本発明の製造法に
よれば、(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル−7,8
-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カル
ボン酸または(2S,4R)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-
7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-
カルボン酸のいずれか一方が、他方を実質的に含まない
高純度の光学活性体として得られる。これらの光学活性
体は、EP-A-719782に記載の方法により、骨疾患予防治
療剤として有用な光学活性化合物、それぞれ(2R,4S)-N-
[4-(ジエトキシホスホリルメチル)フェニル]-1,2,4,5-
テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキ
ソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボキサミドおよび(2S,4R)-
N-[4-(ジエトキシホスホリルメチル)フェニル]-1,2,4,5
-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキ
ソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボキサミドに変換される。
【0016】これらの光学活性化合物は、具体的には、
前記した光学活性体またはそのカルボン酸における反応
性誘導体もしくは塩と、式(IV)
【化7】 〔式中、R6およびR7はそれぞれ低級アルキル基を示す
か、または一緒に低級アルキレン基を示す。〕で表され
る化合物またはそのアミノ基における反応性誘導体もし
くはその塩とを反応させることにより製造される。ここ
において、R6およびR7で示される「低級アルキル基」
としては、前述のRで表される「低級アルキル基」と同
様の炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝状のアルキル基が
挙げられる。R6およびR7が一緒に低級アルキレン基を
形成する場合、
【化8】 〔式中、nは2ないし4の整数を示す。〕を示す。R6
およびR7は、好ましくはメチル、エチル等の炭素数1
〜4のアルキル基である。
【0017】光学活性体のカルボキシル基における好適
な反応性誘導体としては、常法に従って得られる例えば
酸ハロゲン化物、酸無水物、活性化アミド、活性化エス
テル等が挙げられる。この様な反応性誘導体の好適な例
としては、酸塩化物;酸アジ化物;例えばジアルキルリ
ン酸、フェニルリン酸、ジフェニルリン酸、ジベンジル
リン酸、ハロゲン化リン酸等の置換されたリン酸、ジア
ルキル亜リン酸、亜硫酸、チオ硫酸、硫酸、例えばメタ
ンスルホン酸等のスルホン酸、例えば酢酸、プロピオン
酸、酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、ペンタン酸、イソペ
ンタン酸、トリクロロ酢酸等の脂肪族カルボン酸または
例えば安息香酸等の芳香族カルボン酸のような酸との混
合酸無水物;対称酸無水物;イミダゾ−ル、4−置換イ
ミダゾ−ル、ジメチルピラゾ−ル、トリアゾ−ルまたは
テトラゾ−ルとの活性化アミド;または例えばシアノメ
チルエステル、メトキシメチルエステル、ジメチルイミ
ノメチルエステル、ビニルエステル、プロパルギルエス
テル、p-ニトロフェニルエステル、トリクロロフェニル
エステル、ペンタクロロフェニルエステル、メシルフェ
ニルエステル、フェニルアゾフェニルエステル、フェニ
ルチオエステル、p-ニトロフェニルエステル、p-クレジ
ルチオエステル、カルボキシメチルチオエステル、ピラ
ニルエステル、ピリジルエステル、ピペリジルエステ
ル、8-キノリルチオエステル等の活性化エステル、また
は例えば N,N-ジメチルヒドロキシアミン、1-ヒドロキ
シ-2-(1H)-ピリドン、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-
ヒドロキシフタルイミド、1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリ
アゾ−ル、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボ
キシイミド等の N-ヒドロキシ化合物とのエステル等が
挙げられる。これら反応性誘導体は、使用する光学活性
体の種類によって任意に選択することができる。
【0018】化合物(IV)のアミノ基における好適な反
応性誘導体としては、例えば化合物(IV)とアルデヒド
(例えばアセトアルデヒド等)、ケトン(例えばアセト
ン等)等のようなカルボニル化合物との反応によって生
成するシッフ塩基型イミノまたはそのエナミン型互変異
性体;化合物(IV)とビス(トリメチルシリル)アセト
アミド、モノ(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス
(トリメチルシリル)尿素等のようなシリル化合物との
反応によって生成するシリル誘導体;化合物(IV)と三
塩化リンまたはホスゲンとの反応によって生成する誘導
体等が挙げられる。光学活性体または化合物(IV)の反
応性誘導体の好適な塩としては、例えばナトリウム塩、
カリウム塩等のアルカリ金属塩;例えばカルシウム塩、
マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム
塩;例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、
ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、
N,N-ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機塩基塩等の
ような塩基塩が挙げられる。
【0019】反応は、通常、水、例えばメタノ−ル、エ
タノ−ル等のアルコ−ル類、アセトン、ジオキサン、ア
セトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2
−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、
N,N-ジメチルホルムアミド、ピリジンのような常用の溶
媒中で行われるが、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であ
ればその他のいかなる有機溶媒中でも反応を行うことが
できる。これら常用の溶媒は水との混合物として使用し
てもよい。
【0020】この反応において、光学活性体または化合
物(IV)を遊離酸の形または塩の形で使用する場合に
は、例えばN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド;N-
シクロヘキシル-N'-モルホリノエチルカルボジイミド;
N-シクロヘキシル-N'-(4-ジエチルアミノシクロヘキシ
ル)カルボジイミド;N,N'-ジエチルカルボジイミド;
N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド;N-エチル-N'-(3
-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドまたはその
塩酸塩;N,N'-カルボニルビス(2-メチルイミダゾ−
ル);ペンタメチレンケテン-N-シクロヘキシルイミ
ン;ジフェニルケテン-N-シクロヘキシルイミン;エト
キシアセチレン;1-アルコキシ-1-クロロエチレン;亜
リン酸トリアルキル;ポリリン酸エチル;ポリリン酸イ
ソプロピル;オキシ塩化リン;ジフェニルホスホリルア
ジド;塩化チオニル;塩化オキサリル;例えばクロロギ
酸エチル、クロロギ酸イソプロピル等のハロギ酸低級ア
ルキル;トリフェニルホスフィン;2-エチル-7-ヒドロ
キシベンズイソオキサゾリウム塩、2-エチル-5-(m-ス
ルホフェニル)イソオキサゾリウムヒドロキシド分子内
塩;N-ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル;1-(p-クロロベ
ンゼンスルホニルオキシ)-6-クロロ-1H-ベンゾトリア
ゾ−ル;N,N'-ジメチルホルムアミドと塩化チオニル、ホ
スゲン、クロロギ酸トリクロロメチルまたはオキシ塩化
リン等との反応によって調製したいわゆるビルスマイヤ
−試薬等のような常用の縮合剤の存在下に反応を行うの
が望ましい。また、N-ヒドロシキベンゾトリアゾールま
たはN-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-エンド-2,3-ジカル
ボキシイミドの存在下、N,N'-ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド等の縮合剤を用いる方法も望ましい。
【0021】反応はまたアルカリ金属炭酸水素塩、トリ
(低級)アルキルアミン、ピリジン、N-(低級)-アルキ
ルモルホリン、N,N-ジ(低級)アルキルベンジルアミン
等のような無機塩基または有機塩基の存在下に行っても
よい。反応温度は特に限定されないが、通常は冷却下な
いし加温下(−10〜120℃)に反応が行われる。反
応時間は、通常約0.5時間〜約100時間、好ましく
は約1時間〜約50時間である。このようにして得られ
る光学活性化合物は、公知の分離精製手段例えば濃縮、
減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグ
ラフィーなどにより単離精製することができる。このよ
うにして、薬理活性および吸収性が優れた特定の光学活
性化合物を製造することができる。
【0022】式(III)で表される化合物(以下、化合
物(III)と略記する)の光学活性体は、化合物(I)
と、化合物(II)またはその塩の光学活性体とを反応さ
せることによって製造される。本反応は、前記した化合
物(I)と光学活性アミンとの反応にしたがって行われ
る。このようにして得られる化合物(III)の光学活性
体は、実質的に純粋な光学活性ベンゾチエピン誘導体を
製造する際の極めて有利な合成中間体である。化合物
(III)の光学活性体は、特に好ましくは(2R,4S)-1,2,
4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-
オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸・(1R,2S)-ノル
エフェドリン塩である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に、実施例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定
されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範
囲で変化させてもよい。NMRスペクトルは内部または
外部基準としてテトラメチルシランを用いてBRUKE
R社製 DPX−300型スペクトロメーターで測定
し、全δ値をppmで示した。溶液における%は溶液100ml
中のg数を表わす。また、光学活性体の光学純度は、光
学活性ベンゾチエピン誘導体のアミン塩 2mgを移動相 2
0mLに溶解した溶液 20μLを、逆相カラムを用いる高速
液体クロマトグラフィーに付して測定した面積百分率で
表した。 (高速液体クロマトグラフィー条件) カラム;ULTRON ES-CD(信和化工株式会社製)150×6.0mm
I.D. 移動相;0.02M KH2PO4(pH 3.0):メタノール:アセトニト
リル=9:1:1 (v/v/v) 溶出速度;1.4mL/min 検出 ;UV236nm なお、実施例中の各記号は次の意味を示す。 s:シングレット(singlet) d:ダブレット(doublet) t:トリプレット(triplet) q:カルテテット(quartet) dd:ダブル・ダブレット(double doublet) br s:ブロード・シングレット(broad singlet) J:カップリング定数(coupling constant) Hz:ヘルツ(Herz)
【0024】
【実施例】
実施例1(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレン
ジオキシ-5-オキソ-3- ベンゾチエピン-2-カルボン酸・
(1R,2S)-ノルエフェドリン塩の製造 ラセミ体の1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレ
ンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸
0.5g(含量 99.5%;トランス体 88.1%、シス体 11.4
%)をメタノール 5mLに懸濁し、(1R,2S)-ノルエフェド
リン 0.27g(1当量)を添加した。一旦溶解後、約5分
で晶出し、次に室温(25℃)で30分間結晶を熟成させ
た。生成した結晶をろ取し、冷メタノール5mLで洗浄
後、室温で減圧下一晩乾燥させ、無色結晶として、実質
的に純粋な(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,
8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カ
ルボン酸・(1R,2S)-ノルエフェドリン塩 0.25gを得た
〔HPLC面積百分率; (2R,4R):(2S,4S):(2S,4R):(2R,
4S)=0.7%:0%:3.7%:95.3%〕。該ノルエフェドリ
ン塩を、メタノールから再結晶を繰り返すことにより無
色結晶としてさらに精製した〔HPLC面積百分率; (2R,4
R):(2R,4S)=1.3%:98.1%〕。 融点 197.0〜198.5℃ 旋光度[α]D 23 −195.5°(c 0.1,MeOH) IR(cm-1, KBr) : 3290, 1663, 1630, 1400, 1258, 107
5, 10501 H-NMR(CD3OD, 300MHz) δ1.08(3H, d, J=6.8Hz, Me),
1.42(3H, d, J=6.8Hz, Me), 3.23(1H, dd, J=2.2,12.8H
z), 3.36(1H, dd, J=2.2, 12.7Hz), 3.43(1H, d, J=1
2.7Hz), 3.47〜3.51(1H, m), 4.22(1H, q, J=7.0Hz),
4.59(1H, br s), 4.93(1H, d, J=3.5Hz), 6.02(2H, s),
6.81(1H,s),7.29〜7.33(1H, m), 7.39(4H,m),7.44(1H,
s) 元素分析値:C22H25NO6S・H2O として、 計算値: C, 58.78; H, 6.05; N, 3.12 実測値: C, 58.65; H, 6.00; N, 3.01
【0025】実施例2(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレン
ジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸・
(1S,2S)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジ オール塩
の製造 ラセミ体の1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレ
ンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸
0.5g(含量 99.5%;トランス体 88.1%、シス体 11.4
%)を THF 15mLに懸濁させ、(1S,2S)-2-アミノ-1-フェ
ニル−1,3-プロパンジオール 0.3g(1当量)を添加
し、一旦溶解後、晶出し、次に室温(25℃)で30分間結
晶を熟成した。生成した結晶をグラスフィルター等でろ
取し、THF5mLで洗浄後、室温で減圧下一晩乾燥させ、無
色結晶として、実質的に純粋な(2R,4S)-1,2,4,5-テトラ
ヒドロ-4-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベ
ンゾチエピン-2-カルボン酸・(1S,2S)-2-アミノ-1-フェ
ニル-1,3-プロパンジオール塩 0.37 gを得た〔HPLC面積
百分率; (2R,4R):(2S,4S):(2S,4R):(2R,4S)=0.6
%:0.6%:8.3%:85.6%〕。
【0026】実施例3(2S,4R)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレン
ジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸・
(1S,2R)-ノルエフェドリン塩の製造 ラセミ体の1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレ
ンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸
20.00g(含量 100%;トランス体 87.1%、シス体 12.9
%)をメタノール 340mLに懸濁し、(1S,2R)-ノルエフェ
ドリン 11.01g(1当量)を室温(25℃)で添加した後、
1時間撹拌した。生成した結晶をろ取し、冷メタノール
80mLで洗浄後、室温で減圧下一晩乾燥させ、無色結晶
として、実質的に純粋な(2S,4R)-1,2,4,5-テトラヒドロ
-4-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチ
エピン-2-カルボン酸・(1S,2R)-ノルエフェドリン塩 1
0.39gを得た〔HPLC面積百分率; (2R,4R):(2S,4S):(2
S,4R):(2R,4S)=0%:0.7%:94.2%:4.0%〕。該ノ
ルエフェドリン塩を、メタノールから再結晶を繰り返す
ことにより無色結晶(3.85g)としてさらに精製した〔H
PLC面積百分率; (2S,4S):(2S,4R)=1.5%:97.9
%〕。
【0027】実施例4(2S,4R)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレン
ジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸の
製造 実質的に純粋な(2S,4R)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチ
ル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-
2-カルボン酸・(1S,2R)-ノルエフェドリン塩 3.85g〔HP
LC面積百分率; (2S,4S):(2S,4R)=1.5%:97.9%〕を
水 20mLに溶解し、1N塩酸 30mLを加え、THF 50mL、酢
酸エチル 50mLを加えて抽出した。有機層を合わせ、水
30mLで2回洗浄し、無水MgSO4で乾燥後、減圧濃縮し
て、実質的に純粋な(2S,4R)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-
メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエ
ピン-2-カルボン酸の無色結晶 2.42gを得た〔HPLC面積
百分率;(2S,4S):(2S,4R)=0.9%:98.9%〕。
【0028】実施例5(2S,4R)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレン
ジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸・
(1R,2S)-ノルエフェドリン塩の製造 実質的に純粋な(2S,4R)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチ
ル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-
2-カルボン酸 2.42g(含量 99.8%;トランス体98.9
%、シス体 0.9%)をメタノール 12mLに懸濁し、(1R,2
S)-ノルエフェドリン 1.33g(1当量)を添加した。つ
いで実施例1と同様の操作により、無色結晶として、実
質的に純粋な(2S,4R)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-
7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-
カルボン酸・(1R,2S)-ノルエフェドリン塩 1.47gを得た
〔HPLC面積百分率; (2S,4S):(2S,4R)=0.4%:99.3
%〕。 融点 193.0〜194.0℃ [α]D 23 +157.0°(c 0.1,MeOH) IR(cm-1, KBr) : 3610, 1670, 1625, 1510, 1490, 125
0, 10421 H-NMR(CD3OD, 300MHz) δ1.08(3H, d, J=6.8Hz, Me),
1.42(3H, d, J=6.8Hz, Me), 3.23(1H, dd, J=1.9,12.7H
z), 3.35(1H,s), 3.37(1H, dd, J=2.0, 13.0Hz),3.42(1
H, d, J=12.6Hz), 3.48〜3.51(1H, m), 4.21(1H, q, J
=7.0Hz), 4.94(1H, d, J=3.5Hz), 6.02(2H, s), 6.80(1
H,s),7.30〜7.33(1H, m), 7.39(4H,m),7.44(1H,s) 元素分析値:C22H25NO6S・0.5MeOH・0.5H2O として、 計算値: C, 59.19; H, 6.18; N, 3.07 実測値: C, 58.95; H, 6.19; N, 2.94
【0029】実施例6(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレン
ジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸の
製造 実質的に純粋な(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチ
ル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-
2-カルボン酸・(1R,2S)-ノルエフェドリン塩 2g〔HPLC
面積百分率; (2R,4R):(2R,4S)=0.5%:99.5%〕を1
N塩酸 20mLに溶解し、酢酸エチル20mLで2回抽出し
た。酢酸エチル層を水 20mLで2回洗浄し、無水MgSO4
乾燥後、減圧濃縮して、実質的に純粋な(2R,4S)-1,2,4,
5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オ
キソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸の無色結晶 1.22g
を得た〔収率94%、HPLC面積百分率;(2R,4R):(2R,4S)
=0.6%:99.4%〕。 融点 194.0〜195.0℃ [α] 23 −210.8°(c 0.50,MeOH) IR(cm-1, KBr) : 1730, 1700, 1660, 1620, 1500, 148
0, 1375, 1280, 1250, 10401 H-NMR(CDCl3) δ1.54(3H, d, J=7Hz, Me), 3.22(1H, d
d, J=5, 15Hz), 3.41(1H, dd, J=12, 14Hz), 3.60(1
H, dd, J=5, 12Hz), 4.05(1H, q, J=7Hz), 6.05(2H,
q, J=1Hz), 6.69(1H,s), 7.52(1H,s) 元素分析値: C13H12O5S として、 計算値: C, 55.71; H, 4.32 実測値: C, 55.54; H, 4.38
【0030】実施例7(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレン
ジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸・
(1R,2S)-ノルエフェドリン塩の製造 ラセミ体の1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレ
ンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸
50.6g(含量 98.8%;トランス体 90.2%、シス体 9.6
%)をメタノール水(容積比1:1)500mLに懸濁し、
トリエチルアミン 25mLを加え、加熱(50℃)溶解させ
た後、(1R,2S)-ノルエフェドリン 13.6g(0.5当量)を
添加した。一旦溶解後、約10分で晶出し、次に30℃まで
約60分かけて冷却し、さらに5℃まで冷却した。同温度
で60分間晶出熟成させた。生成した結晶をろ取し、冷
メタノール水(容積比1:1)200mLで洗浄後、35℃で
減圧下乾燥させ、無色結晶として、実質的に純粋な(2R,
4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレンジオ
キシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸・(1R,2
S)-ノルエフェドリン塩 29.9gを得た〔HPLC面積百分
率; (2R,4R):(2S,4S):(2S,4R):(2R,4S)=0.86%:
0.46%:0.50%:97.9%〕。
【0031】実施例8(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレン
ジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸・
(1R,2S)-ノルエフェドリン塩の製造 ラセミ体の1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレ
ンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸
300g(含量 99.9%;トランス体 82.4%、シス体 17.5
%)をメタノール 1.33Lに加えて5分間かき混ぜた後、
水 1.33Lを加えて懸濁した。懸濁液にトリエチルアミン
109.4gを加えて加熱(50℃)溶解させた後、予めメタ
ノール水(容積比1:1)460mLで溶かした(1R,2S)-ノ
ルエフェドリン 81.6g(0.5当量)の溶液をいっきに加
えた。得られる混合物に、45℃で(2R,4S)-1,2,4,5-テト
ラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-
ベンゾチエピン-2-カルボン酸・(1R,2S)-ノルエフェド
リン塩の種晶を添加し、12分間かき混ぜて晶出させ
た。32℃まで約60分かけて冷却し、さらに5℃まで60分
かけて冷却し、3〜5℃で60分間晶出熟成させた。生
成した結晶をろ取し、冷メタノール水(容積比1:1)
1000mLで洗浄後、35℃で減圧下乾燥させ、無色結晶とし
て、実質的に純粋な(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-
メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエ
ピン-2-カルボン酸・(1R,2S)-ノルエフェドリン塩 174.
8gを得た〔HPLC面積百分率; (2R,4R):(2S,4S):(2S,4
R):(2R,4S)=0.94%:0.31%:0.46%:98.0%〕。
【0032】実施例9(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレン
ジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸の
製造 実質的に純粋な(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチ
ル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-
2-カルボン酸・(1R,2S)-ノルエフェドリン塩 138.4g〔H
PLC面積百分率; (2R,4R):(2S,4S):(2S,4R):(2R,4S)
=0.94%:0.31%:0.46%:98.0%〕をアセトン 554mL
に懸濁し、1N塩酸 353mLを加えたところ、溶解しなが
ら晶出した。室温(28℃)で30分間晶出熟成させた後、
水 478mLを加え、さらに30分間晶出熟成させた。生成し
た結晶をろ取し、水 830mLで洗浄後、40℃で減圧下乾燥
させ、実質的に純粋な(2R,4S)-1,2,4,5-テトラヒドロ-4
-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエ
ピン-2-カルボン酸の無色結晶 81.4gを得た〔収率90.4
%、HPLC面積百分率; (2R,4R):(2S,4S):(2S,4R):(2
R,4S)=0.09%:0%:0%:99.9%〕。
【0033】
【発明の効果】本発明の方法によれば、骨疾患予防治療
剤として有用な光学活性化合物の原料化合物である光学
活性ベンゾチエピン誘導体、すなわち(2R,4S)-1,2,4,5-
テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキ
ソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボン酸を、簡便な操作で高
純度かつ好収率に効率よく製造することのできる工業的
に極めて有利な方法を提供することができる。また、本
発明の方法により得られる光学活性ベンゾチエピン誘導
体は、例えば、EP-A-719782に記載の骨疾患予防治療剤
として有用な光学活性化合物の合成原料として使用する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−364179(JP,A) 特開 平7−101951(JP,A) 特開 平7−2727(JP,A) 特開 平6−234766(JP,A) 特開 平8−231569(JP,A) 特開 平9−263545(JP,A) 特開 平5−294960(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 495/04 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) 【化1】 [式中、Rは低級アルキル基を示す。]で表わされるベ
    ンゾチエピン誘導体を、式(II) 【化2】 [式中、R1は置換されていてもよいフェニル基を示
    す。R2、R3およびR4は同一または異なっていてもよ
    く、水素原子または低級アルキル基を示す。R5は水素
    原子、水酸基、低級アルキル基または低級アルコキシ基
    を示す。]で表わされる化合物またはその塩の光学活性
    体と反応させることを特徴とする光学活性ベンゾチエピ
    ン誘導体のアミン塩の製造法。
  2. 【請求項2】式(II)で表わされる化合物が、ノルエフ
    ェドリンである請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】式(III) 【化3】 [式中、Rは低級アルキル基を示す。R1は置換されて
    いてもよいフェニル基を示す。R2、R3およびR4は同
    一または異なっていてもよく、水素原子または低級アル
    キル基を示す。R5は水素原子、水酸基、低級アルキル
    基または低級アルコキシ基を示す。]で表わされる化合
    物の光学活性体。
  4. 【請求項4】(2R,4S)−1,2,4,5−テトラ
    ヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−
    オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボン酸・(1
    R,2S)−ノルエフェドリン塩である請求項3記載の
    光学活性体。
  5. 【請求項5】(2R,4S)−1,2,4,5−テトラ
    ヒドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−
    オキソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボン酸・(1
    R,2S)−ノルエフェドリン塩を脱アミン処理に付し
    て得られる(2R,4S)−1,2,4,5−テトラヒ
    ドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オ
    キソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボン酸またはその
    反応性誘導体もしくは塩と、4−アミノベンジルホスホ
    ン酸ジエチルもしくはそのアミノ基における反応性誘導
    体またはこれらの塩とを反応させることを特徴とする、
    (2R,4S)−N−[4−(ジエトキシホスホリルメ
    チル)フェニル]−1,2,4,5−テトラヒドロ−4
    −メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オキソ−3
    −ベンゾチエピン−3−カルボキサミドの製造法。
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