JP3162818B2 - 硫酸バリウムの製造方法 - Google Patents

硫酸バリウムの製造方法

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JP3162818B2
JP3162818B2 JP23957092A JP23957092A JP3162818B2 JP 3162818 B2 JP3162818 B2 JP 3162818B2 JP 23957092 A JP23957092 A JP 23957092A JP 23957092 A JP23957092 A JP 23957092A JP 3162818 B2 JP3162818 B2 JP 3162818B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化粧料成分として好適
な粒子径及び形状を有する硫酸バリウムの製造方法、そ
れにより得られた板状硫酸バリウム及びそれを用いた化
粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】硫酸バリウムは人体に無害で隠蔽力が強
いため、X線の造影剤、γ線吸収材、白色顔料などとし
て工業的に広く使用されている。しかし、化粧料として
の使用、そのなかでも特にファンデーションとして使用
する場合には、従来の硫酸バリウムでは、伸び、付きが
悪く、心地よい使用感に欠けるという欠点がある。ま
た、透明感にも欠け、化粧後に素肌感覚が劣るという問
題もあった。
【0003】これらの問題を解決するものとして、粒径
の大きな硫酸バリウム(特開昭58−41718号公
報)、板状及び針状結晶の硫酸バリウム(特開昭62−
174238号公報)などが提案されている。しかし、
これらの硫酸バリウムを製造するには、合成後に目的に
合致しない粒径や形状の硫酸バリウムの形骸を除去する
などの目的で更に熱処理及び鉱酸処理が必要となるた
め、製造工程が複雑になるという問題がある。また、こ
のような後処理をしても前記形骸を完全に除去すること
は困難で、得られた硫酸バリウム粒子の大きさ、形状と
も化粧料成分としては満足できるものではない。
【0004】また、Bull.Chem.Soc.Japan,Vol.27,No.3,
第121頁においては、硫酸バリウム粒子の大きさと形状
が混合原料の濃度で支配され、濃度が低くなるにつれて
無定形、球状、紡錘状、ダイアモンド型などに種々変形
し、更に粒子の大きさは0.013〜2.0μ程度まで
大幅に変化することが示されている。
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】硫酸バリウムをファン
デーションなどの化粧料成分として使用する場合、好適
な使用感を付与するためには適度に粗大な粒子で、かつ
板状構造であることが好ましい。しかし、上記した従来
技術では、このような粒子の製造自体が困難であった
り、又は製造はできるものの、粒子径の揃った(即ち、
粒度分布の狭い)硫酸バリウムを工業的に安定供給する
ことが困難であった。
【0006】そこで本発明は、上記問題を解決し、化粧
料成分として好適な硫酸バリウムを工業的に安定供給で
きる製造方法を提供することを目的とする。また、本発
明は、その製造方法により得られた板状硫酸バリウム及
びそれを用いた化粧料をも提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは上記
課題を解決すべく原料バリウム化合物と硫酸類化合物と
の反応の条件を種々検討した結果、硫酸バリウムの粒子
径及び形状の制御には、原料濃度だけでなく、原料モル
比、種結晶の濃度、pH及び反応温度の調整が必要であ
り、これらを一定範囲にすればよく発達した板状構造を
有する硫酸バリウムが得られ、当該板状硫酸バリウムは
特定の光学的性質を有し、伸び、付き等の使用感に優
れ、かつ高い光拡散性と透明性、素肌感を有しつつ、シ
ミ・ソバカス等の色むらを見え難くする効果を有し、化
粧料成分として優れているものであることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0008】本発明の硫酸バリウムの製造方法は、反応
開始時のそれぞれの濃度が0.001〜0.1mol/
lであり、かつモル比が1/10〜5/1であるバリウ
ム化合物と硫酸類化合物とを、0.0002〜0.02
重量%の難溶性微結晶の存在下、pH1.0〜12.
0、反応温度50〜100℃の条件で反応させることを
特徴とする。
【0009】本発明で用いるバリウム化合物は水等の溶
媒中でBa2+を生じるものであれば特に制限されず、水
酸化バリウム、塩化バリウム、硫化バリウム、硝酸バリ
ウム及び酢酸バリウムなどから選ばれる1種以上を用い
ることができる。これらの中でも水酸化バリウム、塩化
バリウム、硝酸バリウム又は酢酸バリウムが好ましく、
反応により生成する副産物の処理及び入手の容易さから
水酸化バリウム及び塩化バリウムが更に好ましい。
【0010】本発明で用いる硫酸類化合物は水等の溶媒
中でSO4 2-を生じる化合物であり、例えば、硫酸;硫
酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸
リチウムなどの硫酸塩;及び硫酸水素ナトリウムなどの
硫酸水素塩などから選ばれる1種以上を用いることがで
きる。これらの中でも、硫酸、硫酸ナトリウム、硫酸ア
ンモニウム及び硫酸水素ナトリウムが好ましく、入手の
容易さ及び価格の面から硫酸が更に好ましい。
【0011】これらのバリウム化合物と硫酸類化合物
は、その反応開始時の濃度(即ち、Ba2+とSO4 2-
濃度)がいずれも0.001〜0.1mol/lの範囲
であり、かつモル比(バリウム化合物モル数/硫酸類化
合物のモル数)が1/10〜5/1の範囲となるように
調整する必要がある。かかる濃度及びモル比の調整は、
これらの条件を満たすバリウム化合物溶液及び硫酸類化
合物溶液をそれぞれ調製することにより行なうのが好適
である。
【0012】モル比がこの範囲外であると収率が低下す
るだけでなく、未反応の化合物や副産物等の除去操作が
煩雑となる。濃度が0.001mol/l未満であると
過飽和度が低いため結晶成長が不十分となり粗大粒子を
得ることができず、これを化粧料に配合すると使用感が
悪くなる。また、0.1mol/lを超えると過飽和度
が極めて大きいために瞬間的に核発生が起こり、サブミ
クロン以下の超微粒子状結晶しか得られないため、これ
を化粧料に配合するとやはり使用感が悪くなる。好まし
い濃度は0.005〜0.03mol/lである。
【0013】これらのバリウム化合物及び硫酸類化合物
は、難溶性微結晶を存在させた状態で反応させる。
【0014】この難溶性微結晶は目的とする硫酸バリウ
ムの種結晶となるものであり、平均粒子径が0.005
〜10μmの硫酸バリウム、炭酸バリウム、ジルコニ
ア、アルミナ、シリカ及びチタニアなどの無機化合物か
ら選ばれる1種以上を用いることができる。これらの中
でも耐酸性、耐塩基性物質である硫酸バリウム、ジルコ
ニア、アルミナ又はチタニアが好ましい。なお、ここで
いう難溶性とは、常温(約20℃)のイオン交換水1リ
ットルに溶解する重量が50mg以下の場合をいう。
【0015】反応溶液中に存在させる難溶性微結晶の量
は、溶液の合計重量に対して0.0002〜0.02重
量%である。この量が0.0002重量%未満である
と、得られる硫酸バリウムの平均粒子径が非常に大きく
粒子径分布も広いため、化粧料に配合すると伸び、付き
などの使用感が悪くなり、光散乱透過度も低くなる。ま
た、0.02重量%を超えると得られた硫酸バリウム粒
子が小さくなり過ぎ、化粧料に配合すると使用感を著し
く悪化させる。この難溶性微結晶は、二つの原料溶液の
いずれか一方又は両方に添加することにより反応系に存
在させるのが好ましい。
【0016】反応は、反応系のpHを1.0〜12.0
に、反応温度を50〜100℃、好ましくは60〜95
℃に設定保持して行う。このような条件の範囲外である
と得られる硫酸バリウムの結晶構造が崩れるので、これ
を化粧料に配合した場合の使用感も悪く、光透過性も低
下する。なお、その他の反応条件、反応操作等について
は特に制限されるものではなく、例えば、ひとつの溶媒
中にバリウム化合物、硫酸類化合物及び難溶性微結晶を
同時に投入し、反応させることもできる。
【0017】本発明の製造方法によれば、アスペクト比
が5〜100の板状硫酸バリウムを得ることができる。
アスペクト比が5未満であるとファンデーションに配合
した場合にざらつき感が増して使用感が悪く、100を
超えるものは製造が困難で安定供給できない。
【0018】また、本発明の製造方法によれば、体積累
積平均粒子径が3.0〜10.0μmと粗大であり、か
つ篩下累積84.13%における粒子径と平均粒子径と
の比が1.3〜1.8で比較的(従来技術と比べて)粒
度分布が狭い板状硫酸バリウムを得ることができる。体
積累積平均粒子径が3.0μm未満であると、これをフ
ァンデーションに配合した場合、塗布時の伸びが悪くな
り、かさつき感が現れ、一方、体積累積平均粒子径が1
0μmを超えるとざらつき感が増し、付きが悪くなるの
で使用感も悪くなる。篩下累積84.13%における粒
子径と平均粒子径との比が1.3〜1.8の範囲外であ
ると、同様にファンデーションに配合した場合、塗布時
の伸び、付きが悪くなり、かさつき感が現れ、光学的特
性も損なわれる。
【0019】更に、本発明の製造方法によれば、粉体濃
度が20重量%で厚さが15μmの薄膜を形成した時の
光散乱透過度が55%以上で、かつ全光透過度が88%
以上である板状硫酸バリウムを得ることができる。これ
をファンデーションに配合した場合は、光散乱透過度が
55%以上であると光拡散性が高く、全光透過度が88
%以上であると透明性が優れている。
【0020】このような特性を有するため、これらの板
状硫酸バリウムは、化粧料用の体質顔料として使用する
ことができる。この場合、板状硫酸バリウムの配合量
は、化粧料の性質に応じて任意に選択することができる
が、化粧料全量中に0.1〜99重量%、特に10〜9
0重量%であるのが好ましい。
【0021】これらの板状硫酸バリウムを配合した化粧
料としては、ファンデーション、粉おしろい、固形おし
ろい、頬紅、アイシャドー、口紅、アイライナー等のメ
ークアップ化粧料、クリーム、乳液等の基礎化粧料など
が挙げられる。また、これらの化粧料は通常の方法に従
って製造することができ、その製造にあったては、板状
硫酸バリウム以外に、球状の金属酸化物あるいは有機粉
末、及びモノアルキルリン酸亜鉛塩、N−ラウロイルタ
ウリンカルシウム塩等の界面活性剤多価金属塩顔料粉体
等を配合することができる。
【0022】
【実施例】以下において実施例により本発明を説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、以下の実施例及び比較例における体積累積平
均粒子径、アスペクト比、光散乱透過度及び全光透過度
の評価は次の方法により行った。
【0023】体積累積平均粒子径 合成された硫酸バリウムスラリーを常温まで冷却し、5
Cの濾紙で濾過してイオン交換水で洗浄後、100℃で
5時間乾燥して硫酸バリウム粉末を得る。次にこの粉末
をポリアクリル酸ナトリウム(商品名:ポイズ530)
の0.1%水溶液に再分散させ、粒度分布測定装置(堀
場製作所製、形式:LA−700)により測定した。ま
た、得られた結果より、篩下累積84.13%における
粒子径と平均粒子径との比(σg )を求め、粒度分布幅
の指標とした。アスペクト比 走査電子顕微鏡写真から粒子100個の板状面の径と厚
みを計測し、その板状面の径と厚みの比より計算して求
めた。光散乱透過度及び全光透過度 合成された硫酸バリウムスラリーを常温まで冷却し、5
Cの濾紙で濾過してイオン交換水で洗浄後、100℃で
5時間乾燥して硫酸バリウム粉末を得る。次に、分散媒
としてシリコーン油(アミノ変性型シリコーン油:トー
レシリコーン社製:SF8417)を用い、この硫酸バ
リウム粉末を20重量%加えて均一に混練し、アプリケ
ーターにより15μmの薄膜をガラス板上に形成させ
る。更に、これをヘイズメーター(村上色彩技術研究所
製、形式:HR−100)により、平行光線透過率(T
p)と散乱光透過率(Td)を測定し、(Tp+Td)
を全光透過度とし、[Td/(Tp+Td)]×100
を光散乱透過度とした。
【0024】実施例1 特級試薬塩化バリウム2.08gと特級試薬硫酸0.9
8g(モル比=1/1)をイオン交換水1000gにそ
れぞれ溶解し、0.01mol/lの塩化バリウム溶液
と0.01mol/lの硫酸溶液とした。塩化バリウム
溶液には更に体積累積平均粒子径で2.0μmの硫酸バ
リウム粉末0.1165g(0.01165重量%)を
添加した。その後、2lのフラスコに硫酸溶液を仕込
み、テフロン製パドルにより200r.p.m.で攪拌しなが
ら95℃まで加熱した。次に、それに同温度に加熱した
塩化バリウム溶液(硫酸バリウム粉末含有)を10秒間
で滴下投入した。その後、攪拌を3分間継続して反応を
終了させた。反応中のpHは2.0であった。次に、常
温まで冷却し、5Cの濾紙により濾過したのちイオン交
換水を用いて水洗し、その後100℃で5時間乾燥して
硫酸バリウムの粉末2.1gを得た。こうして得られた
硫酸バリウム粉末は、体積累積平均粒子径が5.7μ
m、アスペクト比が33、σg が1.48と比較的粒度
分布が狭く、光散乱透過度は62.6%、全光透過度は
90.5%であった。また、この粉末を化粧料であるフ
ァンデーションに配合したところ、従来のマイカ、タル
クなどの体質顔料を配合したものに比べ、使用感が良好
で、化粧膜の透明性も高かった。
【0025】実施例2 特級試薬塩化バリウム4.16gと特級試薬硫酸1.9
6g(モル比=1/1)をイオン交換水1000gにそ
れぞれ溶解し、0.02mol/lのバリウム水溶液と
0.02mol/lの硫酸溶液とした。塩化バリウム溶
液及び硫酸溶液には更に体積累積平均粒子径で0.8μ
mの硫酸バリウム粉末0.01165g(0.0011
65重量%)ずつを添加した。その後、2lのフラスコ
に硫酸溶液(硫酸バリウム粉末含有)を仕込み、テフロ
ン製パドルにより200r.p.m.で攪拌しながら95℃ま
で加熱した。次に、それに同温度に加熱した塩化バリウ
ム溶液(硫酸バリウム粉末含有)を10秒間で滴下投入
した。その後、攪拌を3分間継続して反応を終了させ
た。反応中のpHは1.8であった。次に、常温まで冷
却し、5Cの濾紙により濾過したのちイオン交換水を用
いて水洗し、その後100℃で5時間乾燥して硫酸バリ
ウムの粉末4.4gを得た。こうして得られた硫酸バリ
ウム粉末は、体積累積平均粒子径が7.6μm、アスペ
クト比が79、σg が1.53と比較的粒度分布が狭
く、光散乱透過度は57.8%、全光透過度は91.2
%であった。また、この粉末を化粧料であるファンデー
ションに配合したところ、従来のマイカ、タルクなどの
体質顔料を配合したものに比べ、使用感が良好で、化粧
膜の透明性も高かった。
【0026】実施例3 特級試薬塩化バリウム1.872g及び特級試薬水酸化
バリウム0.171gと特級試薬硫酸0.98g(モル
比=1/1)をイオン交換水1000gにそれぞれ溶解
し、0.01mol/lのバリウム溶液(塩化バリウム
溶液及び水酸化バリウム溶液の混合液)と0.01mo
l/lの硫酸溶液とした。バリウム溶液には更に体積累
積平均粒子径で2.0μmの硫酸バリウム粉末0.05
83g(0.00583重量%)を添加した。その後、
2lのフラスコに硫酸溶液を仕込み、テフロン製パドル
により200r.p.m.で攪拌しながら95℃まで加熱し
た。次に、それに同温度に加熱したバリウム溶液(硫酸
バリウム粉末含有)を25秒間で滴下投入した。その
後、攪拌を3分間継続して反応を終了させた。反応中の
pHは2.0(反応初期)から2.1(反応終期)であ
った。次に、常温まで冷却し、5Cの濾紙により濾過し
たのちイオン交換水を用いて水洗し、その後100℃で
5時間乾燥して硫酸バリウムの粉末2.1gを得た。こ
うして得られた硫酸バリウム粉末は、体積累積平均粒子
径が6.3μm、アスペクト比が47、σg が1.65
と比較的粒度分布が狭く、光散乱透過度は61.0%、
全光透過度は90.9%であった。また、この粉末を化
粧料であるファンデーションに配合したところ、従来の
マイカ、タルクなどの体質顔料を配合したものに比べ、
使用感が良好で、化粧膜の透明性も高かった。
【0027】実施例4 特級試薬塩化バリウム1.872g及び特級試薬水酸化
バリウム0.171gと特級試薬硫酸1.96g(モル
比=1/2)をイオン交換水1000gにそれぞれ溶解
し、0.01mol/lのバリウム溶液(水酸化バリウ
ム溶液及び塩化バリウム溶液の混合液)、0.02mo
l/lの硫酸溶液とした。硫酸溶液には更に体積累積平
均粒子径で0.1μmのジルコニアゾル0.002g
(0.0002重量%)を添加した。その後、2lのフ
ラスコに硫酸溶液(ジルコニアゾル含有)を仕込み、テ
フロン製パドルにより200r.p.m.で攪拌しながら95
℃まで加熱した。次に、それに同温度に加熱したバリウ
ム溶液を25秒間で滴下投入した。その後、攪拌を3分
間継続して反応を終了させた。反応中のpHは1.8
(反応初期)から1.9(反応終期)であった。次に、
常温まで冷却し、5Cの濾紙により濾過したのちイオン
交換水を用いて水洗し、その後100℃で5時間乾燥し
て硫酸バリウムの粉末2.1gを得た。こうして得られ
た硫酸バリウム粉末は、体積累積平均粒子径が5.0μ
m、アスペクト比が29、σg が1.41と比較的粒度
分布が狭く、光散乱透過度は65.1%、全光透過度は
89.9%であった。また、この粉末を化粧料であるフ
ァンデーションに配合したところ、従来のマイカ、タル
クなどの体質顔料を配合したものに比べ、使用感が良好
で、化粧膜の透明性も高かった。
【0028】実施例5 特級試薬水酸化バリウム3.42gと特級試薬硫酸1.
96g(モル比=1/1)をイオン交換水2000gに
それぞれ溶解し、0.01mol/lの水酸化バリウム
溶液と0.01mol/lの硫酸溶液とした。硫酸溶液
には更に体積累積平均粒子径で0.01μmのチタニア
粉末0.01g(0.0005重量%)を添加した。そ
の後、5lのフラスコに硫酸溶液(チタニア粉末含有)
を仕込み、テフロン製パドルにより200r.p.m.で攪拌
しながら95℃まで加熱した。次に、それに同温度に加
熱した水酸化バリウム溶液を3分間で滴下投入した。そ
の後、攪拌を3分間継続して反応を終了させた。反応中
のpHは2.0(反応初期)から7.0(反応終期)で
あった。次に、常温まで冷却し、5Cの濾紙により濾過
したのちイオン交換水を用いて水洗し、その後100℃
で5時間乾燥して硫酸バリウムの粉末4.4gを得た。
こうして得られた硫酸バリウム粉末は、体積累積平均粒
子径が3.8μm、アスペクト比が8、σg が1.57
と比較的粒度分布が狭く、光散乱透過度は69.1%、
全光透過度は88.5%であった。また、この粉末を化
粧料であるファンデーションに配合したところ、従来の
マイカ、タルクなどの体質顔料を配合したものに比べ、
使用感が良好で、化粧膜の透明性も高かった。
【0029】実施例6 特級試薬塩化バリウム1.872g及び特級試薬水酸化
バリウム0.171gと特級試薬硫酸0.98g(モル
比=1/1)をイオン交換水1000gにそれぞれ溶解
し、0.01mol/lのバリウム溶液(塩化バリウム
溶液と水酸化バリウム溶液の混合液)と0.01mol
/lの硫酸溶液とした。いずれの溶液にも更に体積累積
平均粒子径で6.0μmの硫酸バリウム粉末0.03g
(合計で0.006重量%)ずつを添加した。その後、
2lのフラスコに硫酸溶液(硫酸バリウム粉末含有)を
仕込み、テフロン製パドルにより200r.p.m.で攪拌し
ながら95℃まで加熱した。次に、それに同温度に加熱
したバリウム溶液(硫酸バリウム粉末含有)を5秒間で
滴下投入した。その後、攪拌を3分間継続して反応を終
了させた。反応中のpHは2.0(反応初期)から2.
1(反応終期)であった。次に、常温まで冷却し、5C
の濾紙により濾過したのちイオン交換水を用いて水洗
し、その後100℃で5時間乾燥して硫酸バリウムの粉
末2.1gを得た。こうして得られた硫酸バリウム粉末
は、体積累積平均粒子径が8.9μm、アスペクト比が
85、σg が1.55と比較的粒度分布が狭く、光散乱
透過度は56.0%、全光透過度は91.5%であっ
た。また、この粉末を化粧料であるファンデーションに
配合したところ、従来のマイカ、タルクなどの体質顔料
を配合したものに比べ、使用感が良好で、化粧膜の透明
性も高かった。
【0030】実施例7〜10 実施例1〜6に準じて表1及び表2に示す条件で反応を
行った。結果はまとめて表3に示す。また、各実施例で
得られた硫酸バリウムの粉末を化粧料であるファンデー
ションに配合したところ、従来のマイカ、タルクなどの
体質顔料を配合したものに比べ、使用感が良好で、化粧
膜の透明性も高かった。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】比較例1 特級試薬塩化バリウム2.08gと特級試薬硫酸0.9
8g(モル比=1/1)をイオン交換水1000gにそ
れぞれ溶解し、0.01mol/lのバリウム溶液と
0.01mol/lの硫酸溶液とした。その後、2lの
フラスコに硫酸溶液を仕込み、テフロン製パドルにより
200r.p.m.で攪拌しながら95℃まで加熱した。次
に、それに同温度に加熱した塩化バリウム溶液を10秒
間で滴下投入した。その後、攪拌を3分間継続して反応
を終了させた。反応中のpHは2.0であった。次に、
常温まで冷却し、5Cの濾紙により濾過したのちイオン
交換水を用いて水洗し、その後100℃で5時間乾燥し
て硫酸バリウムの粉末2.1gを得た。こうして得られ
た硫酸バリウム粉末は、体積累積平均粒子径が11.2
μm、アスペクト比が95、σg が1.88と比較的粒
度分布が広い粗大な結晶であり、光散乱透過度は31.
0%、全光透過度は91.5%であった。また、この粉
末を化粧料であるファンデーションに配合したところ、
結晶が粗大過ぎるためにざらつき感が増し、肌への付き
も悪くなり、光散乱性も劣っていた。
【0035】比較例2 特級試薬塩化バリウム1.872g及び特級試薬水酸化
バリウム0.171gと特級試薬硫酸1.96g(モル
比=1/2)をイオン交換水1000gにそれぞれ溶解
し、0.01mol/lのバリウム溶液(塩化バリウム
溶液と水酸化バリウム溶液の混合液)と0.02mol
/lの硫酸溶液とした。バリウム溶液には更に体積累積
平均粒子径で0.8μmの炭酸バリウム粉末0.3g
(0.03重量%)を添加した。その後、2lのフラス
コに硫酸溶液(硫酸バリウム粉末含有)を仕込み、テフ
ロン製パドルにより200r.p.m.で攪拌しながら95℃
まで加熱した。次に、それに同温度に加熱したバリウム
溶液(炭酸バリウム粉末含有)を25秒間で滴下投入し
た。その後、攪拌を3分間継続して反応を終了させた。
反応中のpHは1.8(反応初期)から1.9(反応終
期)であった。次に、常温まで冷却し、5Cの濾紙によ
り濾過したのちイオン交換水を用いて水洗し、その後1
00℃で5時間乾燥して硫酸バリウムの粉末2.1gを
得た。こうして得られた硫酸バリウム粉末は、体積累積
平均粒子径が1.2μm、σg が73と結晶構造の未発
達な微粒状結晶であり、光散乱透過度は45.0%、全
光透過度は87.0%であった。また、この粉末を化粧
料であるファンデーションに配合したところ、微粒であ
るため使用感が悪く、肌への付きも悪くなり、光散乱
性、透明性も劣っていた。
【0036】比較例3〜5 比較例1、2に準じて表1及び2に示す条件で反応を行
った。結果はまとめて表3に示す。また、各比較例で得
られた硫酸バリウムの粉末を化粧料であるファンデーシ
ョンに配合したところ、比較例3は結晶がやや粗大過ぎ
るためざらつき感があり、光散乱性も劣っていた。ま
た、比較例4はアスペクト比が低いのでざらつき感があ
り、光散乱性も劣っていた。更に、比較例5は微粒であ
るため使用感が悪く、光散乱性、透明性も劣っていた。
【0037】
【表4】 実施例11 パウダーファンデーション: (成分) (重量%) (1)マイカ 残量 (2)実施例1で得られた粉体 50 (3)タルク 20 (4)酸化チタン 10 (5)ベンガラ 0.8 (6)黄酸化鉄 2.5 (7)黒酸化鉄 0.1 (8)流動パラフィン 8 (9)ミツロウ 2 (10)防腐剤 適量(11)香料 微量 合計 100
【0038】(製法)成分(1)〜(7)を混合粉砕す
る。これを高速ブレンダーに移し、更に成分(8)〜
(10)を80℃で混合溶解したものを加えて均一に混
合する。この混合物に成分(11)を加えて混合した
後、再び粉砕してふるいを通す。これを金皿に圧縮成型
してパウダーファンデーションを得る。
【0039】実施例12 実施例11において、実施例1で得られた粉体の代わり
に実施例4で得られた粉体を用いる以外は実施例11と
同様にして、パウダーファンデーションを得る。
【0040】
【表5】 比較例6 (成分) (重量%) (1)マイカ 残量 (2)ナイロンパウダー 10 (3)タルク 20 (4)酸化チタン 10 (5)ベンガラ 0.8 (6)黄酸化鉄 2.5 (7)黒酸化鉄 0.1 (8)流動パラフィン 8 (9)ミツロウ 2 (10)防腐剤 適量(11)香料 微量 合計 100
【0041】(製法)成分(1)〜(7)を混合粉砕す
る。これを高速ブレンダーに移し、更に成分(8)〜
(10)を80℃で混合溶解したものを加えて均一に混
合する。この混合物に成分(11)を加えて混合した
後、再び粉砕してふるいを通す。これを金皿に圧縮成型
してパウダーファンデーションを得る。
【0042】試験例1 実施例11、12及び比較例6で得られたパウダーファ
ンデーションについて、専門パネラー15名により、シ
ミ・ソバカスの見え難さ、キメの細かさ、素肌感及びカ
バー力を評価した。各項目についての評価は、好ましく
ないものを1点〜全も好ましいものを10点として行
い、15名の評価点の平均で示した。結果を表6に示
す。
【0043】
【表6】
【0044】表6から明らかなように、本発明の化粧料
は、配合された板状硫酸バリウムの光散乱透過度が大き
いため、肌に塗布した場合にシミ・ソバカス等の色むら
が見え難くなり、また肌の質感を表すキメの細かさも向
上して感じられる。更に、従来の化粧料では同時に満足
させることができなかった素肌感とカバー力を同時に満
足させることができるものである。
【0045】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、体積累積平
均粒子径及びσg で評価される粒度分布幅が従来技術の
ものと比較的して狭く、またアスペクト比から明らかな
とおり板状の結晶構造をした硫酸バリウムを得ることが
できる。更に、この硫酸バリウムは光散乱透過度や光全
透過度などの光学的性質も優れている。また、本発明の
製造方法によれば、このような優れた性質を有する硫酸
バリウムを、再現性よく安定に供給することができる。
このため、本発明の製造方法により得られた硫酸バリウ
ム、特に板状結晶構造の硫酸バリウムをファンデーショ
ンなどの化粧料成分として使用した場合、伸び、付きな
どの使用感を向上させ、更に透明感が高いので素肌感を
保持しつつ、その一方で、しみ、そばかすなどの色むら
をも見えにくくすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 俊光 和歌山県和歌山市西浜1450 花王水軒寮 (72)発明者 塚原 逸朗 和歌山県那賀郡岩出町相谷620−502 (56)参考文献 特開 平3−257016(JP,A) 特開 平4−231324(JP,A) 特開 平4−5215(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01F 11/46 A61K 7/02 A61K 7/021

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応開始時のそれぞれの濃度が0.00
    1〜0.1mol/lであり、かつモル比が1/10〜
    5/1であるバリウム化合物と硫酸類化合物とを、0.
    0002〜0.02重量%の難溶性微結晶の存在下、p
    H1.0〜12.0、反応温度50〜100℃の条件で
    反応させることを特徴とする硫酸バリウムの製造方法。
  2. 【請求項2】 バリウム化合物が、水酸化バリウム、塩
    化バリウム、硝酸バリウム及び酢酸バリウムから選ばれ
    る1種以上で、硫酸類化合物が、硫酸、硫酸ナトリウ
    ム、硫酸水素ナトリウム及び硫酸アンモニウムから選ば
    れる1種以上で、難溶性微結晶が、平均粒子径が0.0
    05〜10μmの硫酸バリウム、ジルコニア、アルミナ
    及びチタニアから選ばれる1種以上である請求項1記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 硫酸バリウムが、アスペクト比が5〜1
    00の板状硫酸バリウムである請求項1又は2記載の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 硫酸バリウムが、体積累積平均粒子径が
    3.0〜10.0μmであり、かつ篩下累積84.13
    %における粒子径と平均粒子径との比が1.3〜1.8
    の板状硫酸バリウムである請求項1又は2記載の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 硫酸バリウムが、粉体濃度が20重量%
    で厚さが15μmの薄膜を形成した時の光散乱透過度が
    55%以上で、かつ全光透過度が88%以上の板状硫酸
    バリウムである請求項1又は2記載の製造方法。
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