JP3162484U - 衣類包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】黄ばみに代表される衣類の変色や退色を有効に抑制する衣類包装体を提供する。【解決手段】ウェットクリーニングされた衣類1と、ウェットクリーニングされた衣類1の周囲を覆っており、酸化防止剤を含まない包装材3と、包装材3で覆われた衣類1を内部に収納する収納箱2とを有する。【選択図】図1

Description

本考案は、衣類包装体に係り、特に、クリーニングされた衣類の保存に関する。
例えばウェディングドレスのように、持ち主にとって人生の記念や思い出となる衣類については、クリーニング代が多少高くても、その綺麗さを長期間にわたって維持したいというニーズが高い。従来、このような衣類には、ドライクリーニング(油性溶剤中でのワッシャー洗浄)を主体にしたクリーニング処理が施されることが多い。しかしながら、ドライクリーニングは、油溶性物質の除去は可能であるが、水溶性物質である汗などに含まれるタンパク質や脂質などを十分に除去することができない。そして、水溶性物質が衣類に付着したまま残ると、大気中の酸素との結合による酸化、或いは、衣類に付着した微生物の新陳代謝による分解によって、経時変化としての黄ばみが衣類に生じる。
このような黄ばみの低減を図るべく、ドライクリーニングされた衣類をビニール製カバー等で真空パック化することも行われている。しかしながら、この手法は、黄ばみの発生を遅らせることはできても、黄ばみの発生自体を防止することは困難である。なぜなら、ビニールという材質の特性上、酸素の進入を完全に防止し、或いは、微生物の呼吸を完全に阻止することはできないからである。また、ビニール製カバーには、それ自体の酸化を防止するための酸化防止剤が含まれており、これが大気中の窒素化合物と反応することによって、カバーとの接触部位における衣類の黄ばみを招くからである。
非特許文献1には、酸化防止剤をはじめとした化学物質の酸化による衣類の黄ばみ(黄色物質)の詳しい発生メカニズムが記載されている。具体的には、ビニール製カバーに含まれるジブチルヒドロキシトルエン(BHT)が、窒素化合物と結合することで、黄色物質(例えば、ジブチルキノンメチド)が生成され、これが衣類に付着することで、衣類に黄ばみが発生する。
「繊維事故の原因解析について(その13)−黄変−」 染色工業 Vol.46 No6 P261-P266 1998年1月
本考案は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、黄ばみに代表される衣類の変色や退色を有効に抑制することである。
かかる課題を解決するために、第1の考案は、ウェットクリーニングされた衣類と、ウェットクリーニングされた衣類が周囲の物と直接接触しないように、衣類の周囲を覆っており、通気性を有し、酸化防止剤を含まないシート状の和紙とを有する衣類包装体を提供する。
また、第1の考案によれば、ウェットクリーニングされた衣類の周囲を通気性を有し、酸化防止剤を含まないシート状の和紙で覆うことで、衣類が和紙以外の物と直接接触することがない。この和紙は、酸化防止剤を含んでいないので、大気中の窒素化合物との反応は生じない。したがって、和紙が衣類と接触しても、衣類の変色や退色を招くことはない。
第1の実施形態にかかる衣類包装体の構成図 第2の実施形態にかかる衣類包装体の構成図 第3の実施形態にかかる衣類包装体の構成図
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる衣類包装体の構成図である。この衣類包装体は、衣類1と、衣類1を収納する収納箱2と、衣類1を包装する包装材3とで構成される。衣類1は、一例として、白、黄、ブルー、ピンクとった明色系ウェディングドレスを想定しており、水を用いたウェットクリーニングが施された物である。ただし、衣類1は、ウェディングドレスに限定されず、その綺麗さを長期間にわたって維持すべき物であればよい。
収納箱2は、上蓋2aと下箱2bとで構成されており、折り畳んだ衣類1を収納可能な内部スペースを有する。一例として、この収納箱2は、ボール紙質で組み立てられており、幅約50cm×高さ約20cm×奥行き約40cmのサイズを有する。包装材3は、通気性を有し、かつ、酸化防止剤を含まないシート状のものである。具体的には、自然素材である和紙を材料としており、衣類1の周囲を四方から覆うことが可能な寸法に裁断されている。衣類1の包装は、まず、衣類1を包装材3で覆い、これを下箱2b内に収納した上で、上蓋2aを下箱2bの上方から被せることによって完了する。
本実施形態によれば、ドライクリーニングではなくウェットクリーニングを衣類1に施すことで、変色や退色の原因となる水溶性物質を有効に除去できる。また、この衣類1の周囲を包装材3で覆うことで、衣類1が包装材3以外の物と直接接触することがない。この包装材3は、酸化防止剤を含んでいないので、大気中の窒素化合物との反応は生じない。したがって、包装材3が衣類1と接触しても、黄ばみに代表されるような衣類1の変色等を招くことはない。
また、衣類包装体を構成する収納箱2および包装材3は、比較的安価に入手可能であり、十分な通気性を有するので、衣類1に付着する細菌の繁殖や、細菌による悪臭を解消することができる。さらに、包装材3によって包装された衣類1をさらに収納箱2に収納することにより、衣類1または包装材3の損傷、或いは、これらの紫外線による劣化を防ぐことができる。
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態にかかる衣類包装体の構成図である。この衣類包装体は、衣類1と、収納箱2と、包装材3とを有する点では第1の実施形態と同様であるが、包装材3が収納箱2の内壁に予め取り付けられている点で第1の実施形態と相違する。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏するほか、衣類1を包装材3で包装する手間を省くことができる。
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態にかかる衣類包装体の構成図である。この衣類包装体は、衣類1と、衣類1をかけるハンガー4と、包装材3とを有する。衣類1および包装材3は、第1の実施形態と同じ材質から構成されている。ハンガー4は、衣類1をクローゼットに収納する場合に用いる収納具であるが、包装材3と同様に酸化防止剤を含有しないものが好ましい。包装材3は、ハンガー4にかけられた衣類1の周囲を覆っている。具体的には、包装材3を釣鐘状に立体形成し、その頂部には、ハンガー4のフックが突出するように若干径の穴が設けられている。また、包装材3の下部には、衣類1を十分通すことができる程度の開口部が設けられている。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を有することに加えて、ハンガー4を利用することにより、吊り掛け形態で収納可能となる。また、収納箱2を必要としないので、コスト的にも有利である。
なお、上述した各実施形態では、ウェットクリーニングされた衣類1を対象に説明したが、酸素との結合等に起因した黄ばみを問題としないのであれば、ドライクリーニングされた衣類1を対象としてもよい。
本考案は、ウエディングドレスのような持ち主にとって思い出となる衣類であって、特に明色系のものにおいて、変色や退色を長期に渡って有効に抑制することに広く適用できる。
1 衣類
2 収納箱
2a 上蓋
2b 下箱
3 包装材
4 ハンガー

Claims (1)

  1. 衣類包装体において、
    ウェットクリーニングされた衣類と、
    前記ウェットクリーニングされた衣類が周囲の物と直接接触しないように、前記衣類の周囲を覆っており、通気性を有し、酸化防止剤を含まないシート状の和紙と
    を有することを特徴とする衣類包装体。
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