JP3160851B2 - 未燃焼炭素を高含有する石炭灰のゼオライト系資材化方法 - Google Patents

未燃焼炭素を高含有する石炭灰のゼオライト系資材化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、未燃焼炭素を総重
量の3分の1含有する石炭灰を原料としてアルカリ水性
媒質と反応させ、反応体中に未燃焼炭素に由来する活性
炭類似物質およびゼオライト様物質を生じさせること
で、この灰から活性炭類似の表面吸着能およびイオン
交換能を兼ね備えた資材を製造する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、石炭火力発電所、製鉄所、製
紙工場等から排出される石炭灰は、その50%以上がセ
メント分野で利用され、セメント原料の1つである粘土
のかわりに用いたり、セメントに少量混合したり、混和
材として利用されてきた。その他の用途として、建築分
野での人工軽量骨材、土木分野での下層路盤材、凍結抑
制層材、遮断層材、セメント安定処理材、フライアッシ
ュ下層路盤材、水産分野での人工魚礁材などが上げられ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来より、石炭灰を利
用する方法としては、これまで、炭素含有量の低い(2
〜5%)石炭灰が使用されてきた。ところが、近年、大
気汚染防止のため窒素酸化物の発生量をおさえることを
目的として、ボイラーの燃焼温度を1600゜Cから1
400゜Cに低下した。最近では、さらに低温で燃焼さ
せることで窒素酸化物の発生量を極度に低くするボイラ
ーも出現している。このため、ほぼ3分の1が未燃焼の
炭素から成るというような高炭素含有石炭灰が多量に排
出されるようになった。この石炭灰は、外観が黒っぽく
なったり、コンクリート混和材に使用した時に充分なコ
ンクリート強度が得られない等の問題が多い。大量に生
じる廃棄物であるこの灰を再資源化するなどの処理法を
開発することが強く要求されている。
【0004】そこで、本発明は、前記問題点に着目して
なされたものであり、その目的は、石炭灰中の未燃焼炭
素含有量が著しく高いという特性を生かして、この廃棄
物を再資源化する処理方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のうち、請求項1の発明は、未燃焼炭素を総重量の略
3分の1含有する石炭灰、又は前記石炭灰に珪藻土,珪
酸ソーダ等の珪酸富化材やアルミドロスを例とするアル
ミニウム富化材を添加した混合物と、水酸化ナトリウム
水溶液などのアルカリ水性媒質とを加熱または加圧など
して反応させ、反応時のオートクレーブに超音波振動の
負荷をかけることにより、前記石炭灰にイオン交換能
及び活性炭類似の表面吸着能を付与することを特徴とす
る。
【0006】この発明では、未燃焼炭素を総重量の略3
分の1含有する石炭灰に、アルミニウム富化材および珪
酸富化材を加らにアルカリ水性媒質を添加して水
熱条件下で反応させることにより、未燃焼炭素に由来す
る活性炭類似物質とゼオライト様物質の混在した資材を
製造する。
【0007】 請求項の発明は、反応時のアルカリ水性
媒質の濃度が0.5〜4.5Nであることを特徴する。
【0008】 請求項の発明は、反応時の加熱が80〜
230゜Cで行なわれることを特徴とする。
【0009】 請求項の発明は、加圧反応がオートクレ
ーブ内にて飽和蒸気圧またはそれ以下で行われることを
特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明で述べているゼオライト系物質と活性炭類
似物質の混合資材とは、約1400゜Cの比較的低温で
燃焼させることにより生じた、未燃焼炭素を総重量の略
3分の1含有する石炭灰をアルカリ溶液中で加熱又は加
圧処理することによって人工的に転換して得られた活性
炭類似物質を含有するゼオライト系資材のことであっ
て、その主成分は、原料の珪礬比、即ち(SiOとA
の重量組成の比)×1.7によって変わり、主
成分として生成するのは、ヒドロキシソーダライト、フ
ィリップサイト、ホージャサイトなどと活性炭類似物質
の混合物である。また、主成分以外の成分としては、ゼ
オライトAなどを少量含むこともあり、非ゼオライト成
分として、未燃焼炭素由来の活性炭類似物質、鉄分、そ
の他の不純物及びゼオライトに至るまでの中間生成物な
ども共存する。。
【0011】 本発明に述べている未燃焼炭素を総重量の
略3分の1含有する石炭灰とは、石炭火力発電所や製鉄
所などで石炭を燃焼させる際に発生する窒素酸化物の発
生量を押えるため、ボイラーの燃焼温度を1600゜C
から1400゜Cに低下させた結果に生じる未燃焼炭素
を多く含む石炭灰のことをいう。前記の石炭灰では未燃
焼炭素の閉める割合が三分の一を占め、JIS規格のフ
ライアッシュの灰粒子形状が直径10μm程度の球形で
あるのに対して、灰粒子の形状が不定形であるものが多
い。
【0012】 本発明で述べているケイ酸富化材とは、成
分としてSiO を有する物質のことをいい、ケイ酸ソ
ーダや、ケイ酸ガラス、ソ−ダ石灰ガラス、カリ石灰ガ
ラス、鉛ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラスと
いったケイ酸塩ガラスなどを例示することができ、これ
らの廃ガラスや珪藻土を用いても良い。
【0013】 前記の珪藻土とは、主要成分が含水非晶質
二酸化珪素である珪藻の遺骸の堆積物であり、通常は粘
土、火山灰、有機物などが混じって存在している。珪藻
土は通常、吸着材、ろ過助剤、保温材、保冷材、充填
剤、研摩材等に利用されている。又、本願においては、
各種用途に使用されたあとの廃珪藻土でも使用すること
ができる。
【0014】 本発明で述べているアルミニウム富化材と
は、成分としてアルミニウムを含む物質のことをいい、
アルミニウムを溶かす工程で廃棄物としてでてきたアル
ミドロスを例示することができる。
【0015】 本発明に述べているアルカリ水性媒質と
は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ
水溶液のことをいい、そのアルカリ濃度は0.5〜4.
5Nであることが、本発明を実施するうえで可能である
が、3.5〜4Nが望ましい。また反応時の加熱条件と
しては80゜C以上であれば本発明を実施するうえで差
し支えないが、反応時間を短縮するために耐圧容器を使
用して80〜230゜Cに加熱するか、または飽和蒸気
圧を利用して加圧すればゼオライト化が迅速に行われ
る。また、耐圧容器を使用してゼオライト化反応をおこ
なう際に、耐圧容器に超音波振動の負荷をかけると反応
が促進され、粒子の内部にまでゼオライト化が進行す
る。
【0016】
【実施例】以下、本発明の概要について説明する。未燃
焼炭素を総重量の3分の1含有する石炭灰であるフライ
アッシュにケイ酸ソーダやガラス末を添加して得た混合
物にアルカリ水溶液を添加し、大気中あるいは耐熱反応
容器中で加熱処理をおこなう。この時、アルカリ水溶液
として、0.5〜4.5Nの水酸化ナトリウム溶液を添
加し80〜230゜Cに加熱して反応させる。この時、
使用する石炭灰の珪礬比により、ケイ酸富化材およびア
ルミニウム富化材の添加量を加減する。珪礬比が1.5
以下の場合には未燃焼炭素とヒドロキシソーダライトを
多く含む活性炭類似物質含有のゼオライト系資材とな
り、珪礬比が2.0〜2.5になると活性炭類似物質と
フィリップサイトを主体とするゼオライト系資材とな
る。さらにケイ酸富化材を増量し珪礬比が3.0をこえ
るようにすると、活性炭類似物質とホージャサイトを主
体とするゼオライト系資材が得られる。次に本発明
施例をあげるが本発明の主旨はこれらの実施例に限定
されるものではない。
【0017】 (実施例1) 未燃焼炭素を総重量の略3分の1含有するフライアッシ
ュ(神戸製鋼所製)20gを採取して、1リットル容の
三角フラスコにとり、これにケイ酸ソーダ15gを添加
しよく混合した。この混合物に3.5Nの水酸化ナトリ
ウム水溶液240mlを加えた。この三角フラスコに還
流冷却管を取り付けて、ホットプレート上でスラリー状
の混合物を80〜90゜Cで過熱し60時間反応させ
た。反応後、過剰の水酸化ナトリウムを水で洗浄除去し
て、0.5N塩化マグネシウム水溶液で洗浄し、再度水
洗した後、風乾して粉末を得た。X線回折によりホージ
ャサイトが生成していることが認められた。このホージ
ャサイトの陽イオン交換容量は230cmol(+)K
−1であった。この結果、ホージャサイトを主体とす
る陽イオン交換物質と活性炭類似物質の混合したゼオラ
イト系資材が得られ、この資材の陽イオン交換容量は1
50cmol(+)Kg−1であった。
【0018】 (比較例1) 未燃焼炭素を総重量の略3分の1含有するフライアッシ
ュ(神戸製鋼株式会社製)20gを採取して、1リット
ル容の三角フラスコにとり、これに3.5Nの水酸化ナ
トリウム水溶液240mlを加えた。この三角フラスコ
に還流冷却管を取り付けて、ホットプレート上でスラリ
ー状の混合物を80〜90゜Cで過熱し60時間反応さ
せた。反応後、過剰の水酸化ナトリウムを水で洗浄除去
して、0.5N塩化マグネシウム水溶液で洗浄し、再度
水洗した後、風乾して粉末を得た。X線回折によりフィ
リップサイトが生成したことを認めた。このフィリップ
サイトのイオン交換容量は170cmol(+)Kg
−1であった。この結果、フィリップサイトを主体とす
る陽イオン交換物質と活性炭類似物質の混合したゼオラ
イト系資材が得られ、この資材のイオン交換容量は11
0cmol(+)Kg−1であった。
【0019】 (実施例2) 1リットル容の攪拌機付オートクレーブ(東洋高圧株式
会社製)に超音波発信機(株式会社日本精機製作所製、
MODEL US−600T)を設置し、この反応容器
に非結晶性のケイ酸アルミニウムの含有量が(65%)
であり、珪礬比約(2.5)のフライアッシュ(神戸製
鋼株式会社製)20gおよび4Nの水酸化ナトリウム水
溶液200mlをオートクレーブにいれ、蓋を閉めた
後、600Wで25kHzの超音波を発信させながら飽
和蒸気圧で加圧し、内部の温度が120゜Cに達するま
で加熱した。この状態を3時間保った後、蒸気を抜い
て、大気圧にもどし、内部の反応生成物を取りだした。
この反応生成物を水洗することなく、X線回折により結
晶構造を確認した結果、細孔の奥までフィリップサイト
を主体とする陽イオン交換物質と活性炭類似物質の混合
したゼオライト系資材が得られた。このフィリップサイ
トの陽イオン交換容量は350cmol(+)Kg−1
であった。この結果、フィリップサイトを主体とする陽
イオン交換物質と活性炭類似物質の混合したゼオライト
系資材が得られ、この資材の陽イオン交換容量は230
cmol(+)Kg−1であった。
【0020】 (比較例2) 実施例2と同じ方法で超音波の発信のみを行わず、ゼオ
ライト化反応を行ない、X線回折を行った結果、フィリ
ップサイトを主体とする陽イオン交換物質が生成してい
ることを認めたが、細孔の奥ではゼオライトへの転換が
認められなかった。このフィリップサイトの陽イオン交
換容量は240cmol(+)Kg−1であった。この
結果、フィリップサイトを主体とする陽イオン交換物質
と活性炭類似物質の混合によるゼオライト系資材がえら
れるが、陽イオン交換容量は実施例2よりも弱く160
cmol(+)Kg−1であった。
【0021】 (実施例3) 1リットル容の攪拌機付オートクレーブ(東洋高圧株式
会社製)に超音波発信機(株式会社日本精機製作所製、
MODEL US−600T)を設置し、この反応容器
に非結晶性のケイ酸アルミニウムの含有量が(65%)
であり、珪礬比約(2.5)の未燃焼炭素を総重量の略
3分の1含有するフライアッシュ(神戸製鋼株式会社
製)20gおよびガラス粉末(西日本環境開発協同組合
製)10gをよく混合し、実施例2で用いた反応容器に
いれ、そのうえから3.5Nの水酸化ナトリウム水溶液
240mlを入れ、蓋を閉めた後、600Wで25kH
zの超音波を発信させながら飽和蒸気圧で加圧し、内部
の温度が80〜90に゜Cに達するまで加熱した。この
状態を30時間保った後、蒸気を抜いて、大気圧にもど
し、内部の反応生成物を取りだした。この反応生成物を
水洗し風乾して粉末を得た。この粉末をX線回折により
結晶構造を確認した結果、細孔の奥までホージャサイト
を主体とする陽イオン交換物質が生成していることを認
めた。このホージャサイトの陽イオン交換容量は360
cmol(+)Kg−1であった。この結果、ホージャ
サイトを主体とする陽イオン交換物質と活性炭類似物質
の混合によるゼオライト系資材が得られ、この陽イオン
交換容量は240cmol(+)Kg−1であった。
【0022】 (比較例3) 実施例3と同じ方法で超音波の発信のみを行わず、ゼオ
ライト化反応を行ない、X線回折を行った結果、ホージ
ャサイトを主体とする陽イオン交換物質が生成している
のが確認されたが、細孔の奥ではゼオライトへの転換が
認められなかった。このホージャサイトの陽イオン交換
容量は240cmol(+)Kg−1であった。この結
果、ホージャサイトを主体とする陽イオン交換物質と活
性炭類似物質の混合によるゼオライト系資材がえられる
が陽イオン交換容量は実施例3よりも弱く、160cm
ol(+)Kg−1であった。
【0023】 (実施例4) 1リットル容の攪拌機付オ
ートクレーブ(東洋高圧株式会社製)に超音波発信機
(株式会社日本精機製作所製、MODEL US−60
0T)を設置し、この反応容器に非結晶性のケイ酸アル
ミニウムの含有量が(65%)であり、珪礬比約(2.
5)の未燃焼炭素を総重量の略3分の1含有するフライ
アッシュ(神戸製鋼株式会社製)20gおよびアルミド
ロス(社団法人軽金属協会より入手)4gをよく混合
し、実施例2で用いた反応容器にいれ、その珪礬比を約
2とし、そのうえから4Nの水酸化ナトリウム水溶液2
00mlを入れ、蓋を閉めた後、600Wで25kHz
の超音波を発信させながら飽和蒸気圧で加圧し、内部の
温度が120に゜Cに達するまで加熱した。この状態を
1時間保った後、蒸気を抜いて、大気圧にもどし、内部
の反応生成物を取りだした。この反応生成物を水洗する
ことなく風乾して粉末を得た。この粉末をX線回折によ
り結晶構造を確認した結果、細孔の奥までヒドロキシー
ソーダライトを主体とする陽イオン交換物質が生成して
いることを認めた。このヒドロキシソーダライトの陽イ
オン交換容量は470cmol(+)Kg−1であっ
た。この結果、ヒドロキシソーダライトを主体とする陽
イオン交換物質と活性炭類似物質の混合したゼオライト
系資材が得られ、この陽イオン交換容量は310cmo
l(+)Kg−1であった。
【0024】 (比較例4) 実施例4と同じ方法で超音波の発信のみを行わず、ゼオ
ライト化反応を行ない、X線回折を行った結果、ヒドロ
キシソーダライトを主体とする陽イオン交換物質が生成
したことが確認されたが、細孔の奥ではゼオライトへの
転換が認められなかった。このヒドロキシソーダライト
の陽イオン交換容量は260cmol(+)Kg−1
あった。この結果、ヒドロキシソーダライトを主体とす
る陽イオ ン交換物質と活性炭類類似物質の混合したゼオ
ライト系資材が得られるが、陽イオン交換容量は実施例
4よりも弱く170cmol(+)Kg−1であった。
【0025】 (実施例5) 1リットル容の攪拌機付オートクレーブ(東洋高圧株式
会社製)に超音波発信機(株式会社日本精機製作所製、
MODEL US−600T)を設置し、この反応容器
に非結晶性のケイ酸アルミニウムの含有量が(65%)
であり、珪礬比約(2.5)の未燃焼炭素を総重量の略
3分の1含有するフライアッシュ(神戸製鋼株式会社
製)20g及びガラス粉末(西日本環境開発協同組合
製)5.5gを混合し、その珪礬比を約4とし、その上
から4N水酸化ナトリウム水溶液200mlを入れ、蓋
を閉めた後、600Wで25KHzの超音波を発信させ
ながら飽和蒸気圧により加圧し、オートクレーブ内の温
度が200゜Cに達するまで加圧した。この状態を0.
5時間保った後、蒸気を抜いて大気圧に戻し、内部の反
応生成物を取りだした。この反応生成物を水洗すること
なく、X線回折により構造を確認した結果、細孔の奥ま
でホージャサイトを主体とする陽イオン交換物質が生成
していることを認めた。このホージャサイトの陽イオン
交歓容量は300cmol(+)Kg−1であった。こ
の結果、ホージャサイトを主体とする陽イオン交換物質
と、活性炭類似物質の混合したゼオライト系資材が得ら
れ、陽イオン交換容量は200cmol(+)Kg−1
であった。
【0026】 (比較例5) 実施例4と同じ方法で超音波の発信のみを行わず、ゼオ
ライト化反応を行ない、X線回折を行った結果、ホージ
ャサイトを主体とする陽イオン交換物質が生成したこと
が確認されたが、細孔の奥ではゼオライトへの転換が認
められなかった。このホージャサイトの陽イオン交換容
量は220cmol(+)Kg−1であった。この結
果、ホージャサイトを主体とする陽イオン交換物質と活
性炭類類似物質の混合したゼオライト系資材が得られる
が、陽イオン交換容量は実施例5よりも弱く140cm
ol(+)Kg−1であった。
【0027】 前記の本発明の実施例で得られたゼオライ
ト系資材のもつ吸着機能を利用する例を次に示す。未燃
焼炭素を総重量の略3分の1含有する石炭灰(炭素含有
量28.9重量%)及び炭素含有量の少ない石炭灰(炭
素含有量.7%)を出発物質として、実施例2の操作
方法でフィリップサイトを主要ゼオライト成分とする資
材を準備し、前記の各資材をナトリウム型、及びカルシ
ウム型にしたものについて農薬に対する吸着能力の比較
を行った。この場合の試験に使用する農薬としては、日
常において汎用され、除去することの困難な有機リン系
農薬であるEPNおよびダイアジノンを採用した。
【0028】 前記農薬の初期濃度としては、土壌溶液中
に残存可能な濃度を採用し、ダイアジノンについては
0.21ppm水溶液,EPNについては0.48pp
mとした。また、農薬に対する吸着性を試験するにあた
り、pH依存性をみるために、前記農薬の水溶液の液性
が酸性のものと中性のものを用意した。分析にいたる操
作としては、人工ゼオライト資材を農薬の水溶液に混合
し、24時間振盪後に上ずみ液を採取する。前記上ずみ
液を定法で分析測定し、濃度減少量から吸着率を算出し
た。その結果を表1に示す。表1にて、NaLCはナト
リウム型の低炭素から成るゼオライト系資材を、NaH
Cはナトリウム型の高炭素から成るゼオライト系資材
を、CaLCはカルシウム型の低炭素から成るゼオライ
ト系資材を、CaHCはカルシウム型の高炭素から成る
ゼオライト系資材をそれぞれ表わしている。
【0029】
【表1】
【0030】表1にて、従来の石炭灰より合成した資材
未燃焼炭素を総重量の略3分の1含有する石炭灰より
合成した資材について、農薬に対する吸着量を比較する
と、未燃焼炭素を総重量の略3分の1含有する資材の方
が吸着性にすぐれていることが認められる。このこと
は、未燃焼炭素に由来する活性炭類似物質が活性炭様の
吸着作用を有しているためと考えられる。また、ダイア
ジノンに関しては、pHが中性よりも酸性側で吸着性を
増し、農薬の水溶液のpHによって吸着性に差を生じる
ことが認められる。このことは、ダイアジノンの複素環
の窒素が水素イオンと結びついて正に荷電し、人工ゼオ
ライトの負電荷部分に付着しやすくなるために吸着量が
増加することを示している。一般的に、人工ゼオライト
に吸着しやすい農薬はカチオン性であり、ノニオン性あ
るいは、アニオン性の農薬に対しては人工ゼオライトの
交換イオンをカルシウム、鉄などの多価イオンに置き換
えることにより吸着性を上げることができる。
【0031】 次に、前記の本発明の実施例で得られた
ゼオライト系資材のもつイオン交換能と吸着能及び活
性炭類似物質の吸着能に着目し、前記の資材を、植物を
養液栽培する際に使用する培養液に緩衝能力保持材とし
て利用する例を示す。一般に、養液栽培において、培養
液のpHは、栽培している植物の根から分泌される各種
有機酸などの影響により大きく変動し、このpHの大き
な変動および栽培中の植物根から生じる各種有害成分の
存在は植物の成育にただちに悪影響をあたえてしまう。
この問題を解決するための例として、培養液に酸および
アルカリに対する緩衝能力をもたせ栽培中の植物根より
有害物質を低減させる方法が考えられる。その方法と
は、植物の成育に必要な養分を水に溶解させた培養液
に、前記の本発明の実施例で得られた炭素含有量の多い
ゼオライト系資材をナトリウム型にしたものと水素型に
したものとを混合するものであり、具体例を次に示す。
【0032】 水1リットルにN:0.26g,P
:0.12g,KO:0.36g,MgO:7
5mg,MnO:1.5mg,B:1.5mg,
CaO:0.23g,Fe:2.7mgを添加し、混合
したものを培養液とした。前記の培養液より100ml
を分注したものに、実施例2で得られ、かつナトリウム
型および水素型にかえられたゼオライト系資材をそれぞ
れ1gずつ添加したものを懸濁培養液とした。この混濁
液100mlと前記の培養液100mlに0.1Nの水
酸化ナトリウム水溶液および0.1Nの塩酸を滴下させ
pHの変化を記録し緩衝能力の比較を行った。
【0033】 前記の培養液と混濁培養液に0.1Nの塩
酸を滴下させていった場合のpH変動は、塩酸の滴下を
5mlまで行う間に、培養液がpH5.2から2.8に
変化しているのに対して混濁培養液は4.2から3.4
であった。また、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を
5mlまで滴下させていく間のpH変動は、培養液でp
H5.2から8.2であったのに対して混濁培養液はp
H4.2から4.3であった。このように混濁培養液は
pHに対して変動が少なく緩衝力を付与されているのが
認められる。このように、混濁培養液に塩酸または水酸
化ナトリウムを添加してもpH変動が少ない理由として
次のことが考えられる。
【0034】 混濁培養液に塩酸を滴下していった場合に
は、塩酸より生じる水素イオンが混濁培養液中に存在す
るナトリウム型ゼオライトのナトリウムとイオン交換さ
れ、水素イオンがゼオライトに取り込まれるために、p
H低下が起こりにくい。また、混濁培養液に水酸化ナト
リウム水溶液を滴下していった場合には、ナトリウムイ
オンが混濁培養液中に存在する水素型ゼオライトの水素
とイオン交換され、ゼオライトより水素イオンが放出さ
れる。この水素イオンと、水酸化ナトリウム中の水酸イ
オンが結合し水が生成するために、pHの上昇が起こり
にくい。
【0035】 また、混濁培養液中に添加されているゼオ
ライト系資材には未燃焼炭素に由来する活性炭類似物質
が多く含まれており、栽培中の植物根より生じる各種の
有害成分を吸着する。
【0036】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、未燃焼炭
素を総重量の略3分の1含有する石炭灰を、アルカリ条
件下で加熱または加圧することにより、ゼオライト様物
質と未燃焼炭素に由来する活性炭類似物質の混在した資
材を得る事ができる。この資材を構成するゼオライト様
物質は、ゼオライト及びゼオライトに至るまでの中間生
成物からなり、吸着性及びイオン交換能力の優れた物質
である。また、この資材を構成する未燃焼炭素由来の活
性炭類似物質も吸着性を有し、CODを低下させるのに
効果がある。従って、本発明によって得られるゼオライ
ト系資材は、さらに幅の広い吸着性を持ち、かつ除去す
る物質の特性に応じてゼオライト部分の型を変更できる
ので、用途の広い吸着資材として利用することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−213627(JP,A) 特開 昭60−226413(JP,A) 山根英二、他4名、“フライアッシュ を原料とするゼオライトの合成”1999年 年会講演予稿集、日本セラミックス協 会、1999年3月25日、p.165 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 39/00 - 39/54 B09B 3/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未燃焼炭素を総重量の略3分の1含有す
    石炭灰、又は前記石炭灰に珪酸富化材あるいはアルミ
    ニウム富化材の少なくとも1種または2種を添加した混
    合物を、アルカリ水性媒質と加熱または加圧して反応さ
    、反応時のオートクレーブに超音波振動の負荷をか
    、前記石炭灰に陽イオン交換能及び活性炭類似の表面
    吸着能を付与することを特徴とする未燃焼炭素を高含有
    する石炭灰のゼオライト系資材化方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ水性媒質の濃度が0.5〜4.
    5Nである請求項1記載の未燃焼炭素を高含有する石炭
    灰のゼオライト系資材化方法。
  3. 【請求項3】 反応時の加熱が80〜230゜Cで行な
    われる請求項1記載の未燃焼炭素を高含有する石炭灰の
    ゼオライト系資材化方法。
  4. 【請求項4】 加圧反応がオートクレーブ内にて飽和蒸
    気圧ないし飽和蒸気圧以下で行われる請求項1記載の未
    燃焼炭素を高含有する石炭灰のゼオライト系資材化方
    法。
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