JP3160847B2 - 乗用車用シートのクッション性調整機構 - Google Patents

乗用車用シートのクッション性調整機構

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乗用車のシートのクッ
ションに空気ばねを用いて、そのクッション性を高め、
走行中の種々の条件や、乗員の体重等に対応させること
ができる乗用車用シートのクッション性調整機構に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、空気ばねを利用して、車両のシー
トのクッション性を高めたものとしては、図11に示す
トラック等の大型車用シートのクッション性調整機構が
あり、このクッション性調整機構は、車両の床面に取付
けられるレール1と、シート2が取付けられたシートレ
ール3とに、クロスリンク4,5を一端が回動可能、他
端がスライド可能に取付ける。
【0003】そして、レール1とシートレール3間に
は、空気ばね6及びダンパー7を取付けて、空気ばね6
によりクッション性と、ダンパー7による減衰性の制御
によって、シートのクッション性、及びそのクッション
の調整性を得ているものである。
【0004】しかし乗用車は、車両自体のサスペンショ
ンがよいため、それほど空気ばねを使用して、シートの
クッション性を高めるような、調整機構を要求されるこ
とがなく、このような乗用車用シートのクッション性調
整機構が、生産されたり、使用されることはなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】然るに、近来乗用車の
クッション性がよくなるにつれ、どのような路面状態,
走行状態でもシートのクッション性を良好に保つ要求が
現れるようになった。
【0006】しかし、前述のような従来の空気ばねを利
用したシートのクッション性調整機構は、クロスリンク
4,5を使用する等の理由によって、大型化してしま
い、乗用車のような座面の低い車両に対しては、シート
の下部にその機構全体が収まらなくなってしまう欠点が
ある。
【0007】しかも、前述のシートのクッション性調整
機構は重量も大で、乗用車のような積載重量の少ない車
両に設置するには不向きであるばかりでなく、前述のよ
うに、乗用車は車両自体のサスペンションがよいため
に、単純な前述のような空気ばね、ダンパーを使用した
ものでは、シートのクッション性を高めるには至らなか
った。
【0008】本発明は、従来の空気ばねを使用したシー
トのクッション性調整機構の前述の問題点を解決し、乗
用車にも採用できる小型、軽量の空気ばねを使用したク
ッション性調整機構を提供すると共に、走行条件の変
化、乗員の体重等が変化しても、良好なクッション性が
得られる乗用車用シートのクッション性調整機構を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決するための、乗用者用シートのクッション性調整
機構の手段に関し、その手段は、乗用車の床面に設置さ
れる取付けレールと、ベースブラケットとシートの座部
が取付けられるパッド受けとの間に設けた伸縮自在の
気ばねと、伸縮自在の前記空気ばねに空気を供給するエ
アーポンプと、伸縮自在の前記空気ばねとの間に設けら
れた複数の空気室と、該空気室と伸縮自在の前記空気ば
ねとの間に設けられた給気バルブと、伸縮自在の前記空
気ばね内の空気を排出する排気バルブとを備えたクッシ
ョン性調整機構であって、この調整機構には、エアーの
圧力を検出する圧力センサと、シートの高さを検出する
検出センサと、路面の状況を検出する路面センサとが接
続されて制御回路が備えられ、前記給気バルブが前記制
御回路の信号で開閉されて、伸縮自在の前記空気ばねと
前記空気室との合計容積を変えて、伸縮自在の前記空気
ばねと前記空気室とで形成される固有振動数を変化させ
ることを特徴とする。
【0010】
【作用】本発明の乗用車用シートのクッション性調整機
構は、座部を支持する空気ばねと、これに接続された複
数の空気室との間を、給気バルブで連通、遮断して、空
気ばねと空気室とで形成される空気容積で決定される固
有振動数を変化させ、最適なクッション性を得るもので
ある。
【0011】
【実施例】次に、本発明の一実施例を図1乃至図6につ
いて説明する。図1に示すように、乗用車の床面に設置
される左右のスライドレール11に、スライド可能に取
付けられているベースブラケット12には、4つの空気
ばね13の下面が取付けられており、この空気ばね13
の上面には高剛性のパッド受け14が取付けられてい
る。
【0012】この高剛性のパッド受け14が合成樹脂で
形成される場合には、図4,図5に示すようにパッド受
け14の下面に、円形の窪み面14aを形成した環突条
14bを形成し、これを空気ばね13の上面に嵌込むこ
とで、空気ばね13にパッド受け14が取付けられる。
【0013】この空気ばね13には、図6に示すよう
に、これに圧縮された空気を送るエアポンプ15との間
に、2つのバイパス16a,16bとが設けられるが、
各バイパス16a,16bには、容量の異なる空気室1
7がそれぞれに設けられると共に、空気室17と空気ば
ね13との間のバイパス16a,16bには、給気バル
ブ18が設置されている。
【0014】従って、給気バルブ18を開くと、空気ば
ね13の容積と、開かれた給気バルブ18が設けられて
いるバイパス16a,もしくは16bの空気室17の容
積とで、一つの固有振動数が決定され、この容積を大き
くすると、固有振動数は低く抑えることができる。
【0015】そして、いずれか一方の給気バルブ18の
開閉、両給気バルブ18の開放、閉鎖によって、空気ば
ね13に連通する空気容積が変化できるため、4通りの
固有振動数とすることができ、2つの給気バルブ18の
開閉の制御による固有振動数の変化で、如何なる振動に
対しても有効な振動減衰を果たすことができ、シートに
対するクッション性を高めることができる。
【0016】上記の実施例においては、4つの空気ばね
13を用いたが、図7に示すように、空気ばね13の数
を2に、図8に示すように空気ばね13の数を3にする
こともでき、更に両図に示すように、空気ばね13と並
列に、ダンパー19を設置し、このダンパー19による
減衰力で、空気ばね13の振動に対する共振を防止する
こともできる。
【0017】更に、パッド受け14としては、図4,図
5に示した合成樹脂のものの他に、図9に示したワイヤ
ーで網状に形成し、あるいは鉄板のプレス成型品を用い
ることができる。
【0018】次に、本発明を乗用車に乗った人の重量、
路面の状況を判断して、エアークッションを変化させる
実施例を説明するが、この実施例においては、前実施例
が2つのバイパス16a,16bであったのに対し、3
つのバイパス16a,16b,16cの3つが空気ばね
13に対して設けられ、各バイパス16a,16b,1
6cには、各容積が順に小さくなる空気室17a,17
b,17cが設けられる。
【0019】そして、各バイパス16a,16b,16
cには、空気室17a,17b,17cと空気ばね13
との間に給気バルブ18a,18b,18cが設けら
れ、かつ各バイパス16a,16b,16cは、同一の
空気源であるエアポンプ15に接続されている。
【0020】前記空気ばね13と各給気バルブ18a,
18b,18cは、一つの排気バルブ20に接続され、
これらの給気バルブ18a,18b,18cと排気バル
ブ20とは、制御回路21の出力によって、その開閉が
制御される。
【0021】前記制御回路21には、エアポンプ15か
ら送り出されるエアーの圧力を検出する圧力センサ2
2、シートの床面からの高さを検出する高さ検出センサ
23、乗用車が走行している路面の状況を検出する路面
センサ24が接続されており、制御回路21はこれらの
入力を判断して、給気バルブ18a,18b,18c及
び排気バルブ20を動作させる信号を送り出すものであ
る。
【0022】この実施例において、固有振動数、すなわ
ちばね定数を調整する場合には、給気バルブ18a,1
8b,18cのいずれか1、または2乃至3を制御回路
21の出力で開いて、その給気バルブ18a,18b,
18cで空気ばね13に接続されている空気室17a,
17b,17cと空気ばね13の合計容積を変えて調整
するもので、このように3つの空気室17a,17b,
17cを設けた場合には、8通りの組み合わせができる
ので、8段階に固有振動数を調整できる。
【0023】また、この実施例でアクティブ制御を行う
場合は、路面センサ24で走行状態を検出し、不快な振
動が検出された場合には、給気バルブ18a,18b,
18cのいずれかあるいは全てを開き、空気ばね13に
接続される空気室17a,17b,17cの容積を大き
くし、固有振動数を低くして、振動伝達率を下げる。
【0024】更に、この実施例でH/P高さを一定に保
つようにする場合には、乗員が着座した際のシートの高
さを、高さ検出センサ23が検出して、そのH/Pが低
い場合には、制御回路24が出力し、給気バルブ18
a,18b,18cを開いて、エアポンプ15で供給さ
れた空気によって、H/Pを上げる。
【0025】このように、H/P高さの調整に際し、給
気バルブ18a,18b,18cを開くのは、空気ばね
13と、空気室17a,17b,17cの内圧を等しく
するためであり、またH/Pが高い場合には、制御回路
24で給気バルブ18a,18b,18cを開いた後に
排気バルブ20を開き、空気を排出してH/P高さを下
げる。
【0026】尚、空気ばね13として使用する素材、形
状は金属,ゴムのベローズで、特にステンレスの金属ベ
ローズは、ゴムのように横に膨張することなく、走行状
態に応じたアクティブ制御に極めて効果的である。
【0027】
【発明の効果】本発明は以上のように、クロスリンク等
の大型の調整機構を用いないので、小型、かつ軽量とす
ることができ、乗用車の床面からの高さ、場所が少な
く、積載重量の少ない車両のシートのクッション性調整
機構として好適なものである。
【0028】そして、固有振動数、すなわちばね定数を
必要に応じて、空気ばねに接続される空気室の変更、も
しくは増減して変えることができるため、路面の差によ
る車両の振動等の走行状況に、手動、あるいはこれを検
知する路面センサを用いて、その検出にしたがって制御
回路で、給気バルブを操作し、車両振動のアクティブ制
御を行うこともできる。
【0029】更に、シート高さの検出センサを設け、そ
の検知に従う制御回路の出力で、給気バルブの操作を行
えば、体重差に係わらず、H/P高さを一定に保たせる
こともできる等の効果をも果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のシート部の斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】パッド受けの一例を示す斜視図である。
【図5】図4のC−C線断面図である。
【図6】本発明の空気回路の一例を示す空気回路図であ
る。
【図7】本発明のシート部の他の実施例の斜視図であ
る。
【図8】本発明のシート部の更に他の実施例の斜視図で
ある。
【図9】パッド受けの他の例の斜視図である。
【図10】本発明の空気回路の他の実施例の空気回路図
である。
【図11】従来のエアークッションの側面図である。
【符号の説明】
11 スライドレール 12 ベースブラケット 13 空気ばね 14 パッド受け 15 エアポンプ 16a,16b,16c バイパス 17,17a,17b,17c 空気室 18,18a,18b,18c 給気バルブ 20 排気バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−74728(JP,A) 実開 昭64−9830(JP,U) 実開 昭61−38231(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A47C 7/00 - 7/74 B60N 2/00 - 2/54

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乗用車の床面に設置される取付けレール
    と、ベースブラケットとシートの座部が取付けられるパ
    ッド受けとの間に設けた伸縮自在の空気ばねと、伸縮自
    在の前記空気ばねに空気を供給するエアーポンプと、伸
    縮自在の前記空気ばねとの間に設けられた複数の空気室
    と、該空気室と伸縮自在の前記空気ばねとの間に設けら
    れた給気バルブと、伸縮自在の前記空気ばね内の空気を
    排出する排気バルブとを備えたクッション性調整機構で
    あって、 この調整機構には、エアーの圧力を検出する圧力センサ
    と、シートの高さを検出する検出センサと、路面の状況
    を検出する路面センサとが接続されて制御回路が備えら
    れ、前記給気バルブが前記制御回路の信号で開閉され
    て、伸縮自在の前記空気ばねと前記空気室との合計容積
    を変えて、伸縮自在の前記空気ばねと前記空気室とで形
    成される固有振動数を変化させることを特徴とする乗用
    車用シートのクッション性調整機構。
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