JP3160067B2 - オレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法 - Google Patents

オレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法

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JP3160067B2
JP3160067B2 JP12727592A JP12727592A JP3160067B2 JP 3160067 B2 JP3160067 B2 JP 3160067B2 JP 12727592 A JP12727592 A JP 12727592A JP 12727592 A JP12727592 A JP 12727592A JP 3160067 B2 JP3160067 B2 JP 3160067B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、オレフィン重合用固体触
媒およびこの触媒を用いたオレフィンの重合方法に関
し、さらに詳しくは、溶融張力に優れるとともに分子量
分布が広く成形性に優れたオレフィン重合体が得られ、
しかも高い重合活性でオレフィン重合体を製造すること
ができるようなオレフィン重合用固体触媒およびこの触
媒を用いたオレフィンの重合方法に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】従来からα-オレフィン重合体、
例えばエチレン重合体またはエチレン・α-オレフィン
共重合体を製造するための触媒として、チタン化合物と
有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒あるい
はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからな
るバナジウム系触媒が知られている。
【0003】近年、高い重合活性でエチレン・α-オレ
フィン共重合体を製造することのできる触媒として、ジ
ルコニウム化合物と有機アルミニウムオキシ化合物とか
らなる新しいチーグラー型オレフィン重合触媒が開発さ
れ、またこのような新しい触媒を用いたエチレン・α-
オレフィン共重合体の製造方法が例えば、特開昭58−
19309号公報、特開昭60−35005号公報、特
開昭60−35006号公報、特開昭60−35007
号公報、特開昭60−35008号公報などに提案され
ている。
【0004】これらの従来技術において提案された遷移
金属化合物と有機アルミニウムオキシ化合物から形成さ
れる触媒は、この触媒が出現する前から知られている遷
移金属化合物と有機アルミニウム化合物とから形成され
る触媒に比べて重合活性、特にエチレン重合活性が優れ
ているものの、その大部分は反応系に可溶であり、ほと
んどの場合、製造プロセスが溶液重合系に限定され、分
子量の高い重合体を製造しようとすると重合体を含む溶
液の粘度が著しく高くなって生産性が低下する不都合が
生じたり、粒子性状に優れた球状オレフィン重合体を製
造するのが困難であるという問題がある。
【0005】一方、遷移金属化合物および有機アルミニ
ウムオキシ化合物の少なくとも一方の成分をシリカ、ア
ルミナ、シリカ・アルミナなどの多孔性無機酸化物担体
に担持させた触媒を用いて、懸濁重合系または気相重合
系においてオレフィンを重合しようとする試みもなされ
ている。
【0006】例えば、前記特開昭60−35006号公
報、特開昭60−35007号公報および特開昭60−
35008号公報には、遷移金属化合物および有機アル
ミニウムオキシ化合物をシリカ、アルミナ、シリカ・ア
ルミナなどに担持した触媒を使用し得ることが記載され
ている。
【0007】特開昭60−106808号公報および特
開昭60−106809号公報には、炭化水素溶媒に可
溶なチタン化合物および/またはジルコニウム化合物を
含む高活性触媒成分と充填剤とを予め接触処理して得ら
れる生成物および有機アルミニウム化合物、ならびにさ
らにポリオレフィン親和性の充填剤の存在下で、エチレ
ンあるいはエチレンとα-オレフィンとを共重合させる
ことにより、ポリエチレン系重合体と充填剤からなる組
成物を製造する方法が記載されている。
【0008】特開昭61−31404号公報には、二酸
化珪素または酸化アルミニウムの存在下にトリアルキル
アルミニウムと水とを反応させることにより得られる生
成物と遷移金属化合物からなる混合触媒の存在下に、エ
チレンまたはエチレンとα-オレフィンとを重合または
共重合させる方法が記載されている。
【0009】特開昭61−276805号公報には、ジ
ルコニウム化合物と、アルミノオキサンにトリアルキル
アルミニウムを反応させて得られる反応混合物にさらに
シリカなどの表面水酸基を有する無機酸化物に反応させ
た反応混合物とからなる触媒の存在下に、オレフィンを
重合させることが記載されている。
【0010】特開昭61−108610号公報および特
開昭61−296008号公報には、メタロセンなどの
遷移金属化合物およびアルミノオキサンを無機酸化物な
どの担体に担持した触媒の存在下に、オレフィンを重合
する方法が記載されている。
【0011】しかしながら、これらに記載された担体に
担持した固体触媒成分を用いてオレフィンを懸濁重合系
または気相重合系で重合または共重合した際、前記溶液
重合系に比較して重合活性が著しく低下し、また生成し
た重合体の嵩比重も充分満足するものではなかった。
【0012】ところで、生成した重合体は、成形方法や
用途に応じて種々の特性が要求される。例えばインフレ
ーションフィルムを高速で成形しようとする場合、バブ
ルのゆれ、あるいはちぎれがなく、安定した高速成形を
行うためには、重合体として分子量の割には溶融張力の
大きいものを選択しなければならない。同様の特性が、
中空成形における垂下り、あるいはちぎれを防止するた
めに、あるいはTダイ成形における幅落ちを最小限に押
えるために必要である。また、共重合体では、フィルム
などに成形する場合にはベタつきを防止するため、組成
分布の狭いことが要求される。さらに、重合体の分子量
分布が狭いと成形条件が制限さることがあり、用途によ
っては分子量分布が広いオレフィン重合体が要求されて
いる。従来提案されている担体に担持した固体触媒成分
は、このような要求を満足させるものではなかった。
【0013】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑み
てなされたものであって、溶融張力に優れると共に分子
量分布が広く成形性に優れたオレフィン重合体が得ら
れ、かつ高い重合活性で粒子性状に優れた球状オレフィ
ン重合体を製造することができ、しかも2種以上のモノ
マーを共重合させた際に、組成分布の狭い共重合体を与
えるオレフィン重合用固体触媒を提供することを目的と
している。
【0014】また本発明は、上記のような良好な性質の
触媒を用いたオレフィンの重合方法を提供することを目
的としている。
【0015】
【発明の概要】本発明に係るオレフィン重合用固体触媒
は、 [A](i)II族、III族およびIV族から選ばれる少な
くとも1種の元素の酸化物からなり、(ii)1.0重量
%以上の水を含有する微粒子状担体と、 [B]有機アルミニウムオキシ化合物と、少なくとも2
種の [C]シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む
IVB族の遷移金属化合物と、予備重合により生成するオ
レフィン重合体とから形成されることを特徴としてい
る。
【0016】本発明では、上記[A]微粒子状担体は、
乾燥した後、水を吸着させて、吸着水量を1.0重量%
以上としたものであってもよい。また、上記[C]遷移
金属化合物は、アルキル置換シクロペンタジエニル基を
有する配位子を含むIVB族の遷移金属化合物であること
が好ましい。
【0017】本発明に係るオレフィンの重合方法は、上
記のような固体触媒の存在下にオレフィンを重合または
共重合させることを特徴としている。本発明では、予備
重合時に上記[A]〜[C]に加えて所望により[D]
有機アルミニウム化合物を用いてもよく、また重合時
に、所望により有機アルミニウム化合物を用いてもよ
い。
【0018】本発明では、特定の微粒子状担体と少なく
とも2種の遷移金属化合物を用いているので、得られる
オレフィン重合体は、溶融張力に優れると共に分子量分
布が広く成形性に優れている。
【0019】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るオレフィン重
合用固体触媒およびこの触媒を用いたオレフィンの重合
方法について具体的に説明する。
【0020】なお、本発明において「重合」という語
は、単独重合のみならず、共重合を包含した意で用いら
れることがあり、また「重合体」という語は単独重合体
のみならず共重合体を包含した意で用いられることがあ
る。
【0021】本発明で用いられる[A]微粒子状担体
(以下「成分[A]」と記載することがある。)として
は、II族、III族、IV族から選ばれる少なくとも1種の
元素の酸化物からなる微粒子状無機化合物が用いられ
る。
【0022】このような微粒子状無機化合物としては多
孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al
23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、Z
nO、BaO、ThO2等、またはこれらを含む混合
物、例えばSiO2-MgO、SiO2-Al23、SiO
2-TiO2、SiO2-V25、SiO2-Cr23、Si
2-TiO2-MgO等を例示することができる。これら
の中でSiO2、Al23およびMgOからなる群から
選ばれた少なくとも1種の成分を主成分とするこが好
ましい。
【0023】また[A]微粒子状担体は、平均粒径が通
常1〜300μm、好ましくは10〜200μmの範囲
であることが望ましく、比表面積は50〜1000m2
/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲である
ことが望ましく、細孔容積は0.3〜2.5cm3/gの
範囲であることが望ましい。
【0024】このような[A]微粒子状担体は、通常
1.0重量%以上、好ましくは1.2〜20重量%、より
好ましくは1.4〜15重量%の範囲の水を含有してい
ることが望ましい。なお、[A]微粒子状担体が含有す
る水とは、微粒子状担体表面に吸着した吸着水を示す。
【0025】特定量の水を含有した微粒子状担体を得る
方法としては、例えば下記のような方法が挙げられる。 (1)水分を含む空気中に担体を保存し、該担体の水含
量が特定量となるまで放置する方法。
【0026】(2)水分を含む空気中に担体を保存し、
該担体に水を吸着させ、次いで該担体の水含量が特定量
となるまで乾燥する方法。 (3)担体を乾燥した後、水を吸着させる方法。具体的
には、充分乾燥した担体に所定量の水、水蒸気、溶液、
懸濁液等を加え攪拌する方法。この際、乾燥温度として
200℃程度以上の温度を採用する場合には、通常吸着
水の脱離とともに表面水酸基の縮合による脱水をも伴
う。
【0027】微粒子状担体が含有する水を定量するには
加熱減量法を用いることができる。本発明では、空気や
窒素等の乾燥気体の流通下、200℃にて4時間乾燥さ
せた時の重量減を吸着水分量とする。
【0028】このような特定量の水を含有する微粒子状
担体を用いることにより、溶融張力に優れたオレフィン
を高い重合活性で製造し得るオレフィン重合用固体触媒
成分を得ることができる。
【0029】本発明で用いられる[B]有機アルミニウ
ムオキシ化合物(以下「成分[B]」と記載することが
ある。)は、従来公知のアルミノオキサンであってもよ
く、また特開平2−78687号公報に例示されている
ようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物
であってもよい。
【0030】従来公知のアルミノオキサンは、例えば下
記のような方法によって製造することができる。 (1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有す
る塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和
物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩
化第1セリウム水和物等の炭化水素媒体懸濁液に、トリ
アルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を添
加して反応させて炭化水素の溶液として回収する方法。
【0031】(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン等の媒体中で、トリアルキルア
ルミニウム等の有機アルミニウム化合物に直接水や氷や
水蒸気を作用させて炭化水素の溶液として回収する方
法。
【0032】(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒
体中でトリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム
化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシ
ド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0033】なお、該アルミノオキサンは、少量の有機
金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアル
ミノオキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミ
ニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解して
もよい。
【0034】アルミノオキサンの製造の際に用いられる
有機アルミニウム化合物として、具体的には、トリメチ
ルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピ
ルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ
n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、
トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert- ブチルアルミ
ニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアル
ミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアル
ミニウム等のトリアルキルアルミニウム;トリシクロヘ
キシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム
等のトリシクロアルキルアルミニウム;ジメチルアルミ
ニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエ
チルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウム
クロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;ジエチ
ルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウ
ムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライ
ド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミ
ニウムエトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキ
シド;ジエチルアルミニウムフェノキシド等のジアルキ
ルアルミニウムアリーロキシド等が挙げられる。
【0035】これらのうち、トリアルキルアルミニウム
が特に好ましい。また、有機アルミニウム化合物とし
て、下記一般式[I]で表わされるイソプレニルアルミ
ニウムを用いることもできる。
【0036】 (i-C49)x Aly (C510)z … [I] (式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xであ
る。) 上記の有機アルミニウム化合物は、単独であるいは組合
せて用いられる。
【0037】上記のようなアルミノオキサンの製造の際
に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、クメン、シメン等の芳香族炭化水素、ペンタン、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘ
キサデカン、オクタデカン等の脂肪族炭化水素、シクロ
ペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシ
クロペンタン等の脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽
油等の石油留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭
化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素
化物、臭素化物等の炭化水素溶媒が挙げられる。その
他、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル
類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香
族炭化水素が好ましい。
【0038】本発明で用いられる[C]シクロペンタジ
エニル骨格を有する配位子を含むIVB族の遷移金属化合
物(以下、成分[C]と記載することがある。)として
は、下記一般式[II]で表される化合物を例示すること
ができる。本発明では、この成分[C]は少なくとも2
種組み合わせて用いられる。
【0039】MLX … [II] 上記一般式[II]において、MはIVB族の遷移金属であ
るが、具体的には、ジルコニウム、チタンまたはハフニ
ウムであり、Lは遷移金属に配位する配位子であり、少
なくとも1個のLは、シクロペンタジエニル骨格を有す
る配位子であり、シクロペンタジエニル骨格を有する配
位子以外のLは炭素数が1〜12の炭化水素基、アルコ
シキ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキル
シリル基、SO3R(ただし、Rはハロゲンなどの置換
基を有していてもよい炭素数1〜8の炭化水素基であ
る。)または水素原子であり、xは遷移金属の原子価で
ある。
【0040】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
としては、例えばシクロペンタジエニル基またはメチル
シクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニ
ル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチ
ルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタ
ジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、メチルエ
チルシクロペンタジエニル基、プロピルシクロペンタジ
エニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、ブ
チルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペン
タジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基などの
アルキル置換シクロペンタジエニル基あるいはインデニ
ル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニ
ル基などを例示することができる。これらの基はハロゲ
ン原子、トリアルキルシリル基などが置換していてもよ
い。
【0041】これらの遷移金属に配位する配位子の中で
は、アルキル置換シクロペンタジエニル基が特に好まし
い。上記一般式[II]で表される化合物が、シクロペン
タジエニル骨格を有する基を2個以上含む場合、そのう
ち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基は、エチ
レン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデ
ン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリ
レン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン
基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基な
どを介して結合されていてもよい。
【0042】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
以外の配位子としては、下記のようなものが挙げられ
る。炭素数が1〜12の炭化水素基として具体的には、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ
チル基、ペンチル基などのアルキル基;シクロペンチル
基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニ
ル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基、ネオフ
ィル基などのアラルキル基が例示される。
【0043】アルコキシ基としては、メトキシ基、エト
キシ基、ブトキシ基などが例示される。アリーロキシ基
としては、フェノキシ基などが例示される。
【0044】ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、
ヨウ素などが例示される。SO3Rで表される配位子と
しては、p-トルエンスルホナト基、メタンスルホナト
基、トリフルオロメタンスルホナト基などが例示され
る。
【0045】上記一般式[IV]で表される化合物は、例
えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には
下記一般式[II']で表される。 R1 a2 b3 c4 dM … [II'] (式[II']中、Mはジルコニウム、チタンまたはハフ
ニウムであり、R1 はシクロペンタジエニル骨格を有す
る基であり、R2 、R3 およびR4 はシクロペンタジエ
ニル骨格を有する基、アルキル基、シクロアルキル基、
アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキ
シ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基、SO3
または水素原子であり、aは1以上の整数であり、a+
b+c+d=4である。) 本発明では上記一般式[II']においてR2 、R3 およ
びR4 のうち1個がシクロペンタジエニル骨格を有する
基である遷移金属化合物、例えばR1 およびR 2 がシク
ロペンタジエニル骨格を有する基である遷移金属化合物
が好ましく用いられる。これらのシクロペンタジエニル
骨格を有する基はエチレン、プロピレンなどのアルキレ
ン基、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、イ
ソプロピリデンなどのアルキリデン基、シリレン基また
はジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェ
ニルシリレンなどの置換シリレン基などを介して結合さ
れていてもよい。また、R3 およびR4 はシクロペンタ
ジエニル骨格を有する基、アルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリー
ロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基、SO
3Rまたは水素原子である。
【0046】以下に、Mがジルコニウムである遷移金属
化合物について具体的な化合物を例示する。ビス(イン
デニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)
ジルコニウムジブロミド、ビス(インデニル)ジルコニ
ウムビス(p-トルエンスルホナト)ビス(4,5,6,7-テト
ラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス
(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
【0047】エチレンビス(インデニル)ジルコニウム
ジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウム
ジブロミド、エチレンビス(インデニル)ジメチルジル
コニウム、エチレンビス(インデニル)ジフェニルジル
コニウム、エチレンビス(インデニル)メチルジルコニ
ウムモノクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコ
ニウムビス(メタンスルホナト)、エチレンビス(イン
デニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフ
ルオロメタンスルホナト)、エチレンビス(4,5,6,7-テ
トラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0048】イソプロピリデン(シクロペンタジエニル
-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピ
リデン(シクロペンタジエニル-メチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジクロリド、
【0049】ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス
(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリレンビス(ジメチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス
(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジク
ロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)
ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ジメチルシリレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シク
ロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロ
リド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデ
ニル)ジルコニウムジクロリド、
【0050】ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジブロミド、ビス(シクロペンタジエニル)メチル
ジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニ
ル)エチルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペ
ンタジエニル)シクロヘキシルジルコニウムモノクロリ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウ
ムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ベンジ
ルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビ
ス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノハ
イドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジ
ルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニル
ジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジ
ルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムメトキシクロリド、ビス(シクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムエトキシクロリド、ビス(シクロペン
タジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p-ト
ルエンスルホナト)、ビス(シクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
【0051】ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、ビス
(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス
(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(エチルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メ
チルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロ
リド、ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリド、ビス(メチルプロピルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ブチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチ
ルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムビス(メタンスルホナト)、ビス(トリメチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス
(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジ
クロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジクロリド、ビス(ヘキシルシクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチル
シリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド。
【0052】なお、上記例示において、シクロペンタジ
エニル環の二置換体は1,2-および1,3-置換体を含み、三
置換体は1,2,3-および1,2,4-置換体を含む。またプロピ
ル、ブチルなどのアルキル基は、n-、i-、sec-、tert-
などの異性体を含む。
【0053】また、本発明では上記のようなジルコニウ
ム化合物において、ジルコニウム金属を、チタン金属ま
たはハフニウム金属に置換えた遷移金属化合物を用いる
こともできる。
【0054】本発明では上記したような成分[C]は、
2種以上組み合わせて用いる。この場合には、下記
(i)および(ii)から選ばれる少なくとも1種と、
(iii)および(iv)から選ばれる少なくとも1種とを
組み合わせて用いることが好ましい。
【0055】(i)シクロペンタジエニル骨格を有する
配位子を2個有し、かつ、このシクロペンタジエニル骨
格を有する配位子が(置換)アルキレン基、(置換)シ
リレン基などを介して結合されている遷移金属化合物
(以下「ブリッジタイプの遷移金属化合物」とい
う。)。
【0056】(ii)シクロペンタジエニル骨格を有する
配位子を2個有し、かつ、このシクロペンタジエニル骨
格を有する配位子が互いに結合していない遷移金属化合
物(以下、「非ブリッジタイプの遷移金属化合物」とい
う。)であって、シクロペンタジエニル骨格を有する配
位子が2〜5個の置換基を有する遷移金属化合物、 (iii)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子が置
換基を有さない非ブリッジタイプの遷移金属化合物。
【0057】(iv)シクロペンタジエニル骨格を有する
配位子が1個の置換基を有する非ブリッジタイプの遷移
金属化合物。 上記の組み合わせのうち、特に、シクロペンタジエニル
骨格を有する配位子が2〜3個の置換基を有する(ii)
の遷移金属化合物と、(iv)の遷移金属化合物とを組み
合わせて用いることが好ましい。
【0058】成分[C]の混合比は、2種組み合わせる
場合は、一方が5〜95モル%、好ましくは10〜90
モル%、より好ましくは20〜80モル%の範囲である
ことが望ましい。3種以上組み合わせる場合、成分
[C]の混合比は任意であるが、1 つの成分が95モル
%を超えて用いられることはなく、また、5モル%未満
で用いられることはない。
【0059】オレフィン重合用触媒として、少なくとも
2種の遷移金属化合物を用いることにより、分子量分布
が広く、成形性に優れたオレフィン重合体を得ることが
できる。
【0060】本発明で用いられる[D]有機アルミニウ
ム化合物(以下「成分[D]」と記載することがあ
る。)としては、例えば下記一般式[III]で表される
有機アルミニウム化合物を例示することができる。
【0061】R5 n AlX3-n … [III] (式中、R5 は炭素数1〜12の炭化水素基であり、X
はハロゲンまたは水素であり、nは1〜3である。) 上記式[III]において、R7 は炭素数1〜12の炭化
水素基例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリ
−ル基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-
プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基、フェニル基、トリル基等である。
【0062】このような有機アルミニウム化合物とし
て、具体的には以下のような化合物が用いられる。 トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ト
リイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニ
ウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシ
ルアルミニウム等のトリアルキルアルミニム; イソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウ
ム; ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウム
クロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイ
ソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウム
ブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド; メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアミニウ
ムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキク
ロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルア
ルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセ
スキハライド; メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジ
クロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチ
ルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジ
ハライド; ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアル
ミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイド
ライド等。
【0063】また[D]有機アルミニウム化合物とし
て、下記一般式[IV]で表される化合物を用いることも
できる。 R5 nAlY3-n … [IV] (式中、R5 は上記と同様であり、Yは−OR6 基、−
OSiR7 3 基、−OAlR8 2 基、−NR9 2 基、−Si
10 3 基または−N(R11)AlR12 2 基であり、nは1
〜2であり、R6 、R7 、R8 およびR12はメチル基、
エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキ
シル基、フェニル基等であり、R9 は水素、メチル基、
エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシ
リル基等であり、R10およびR11はメチル基、エチル基
等である。) このような有機アルミニウム化合物として、具体的に
は、以下のような化合物が用いられる。
【0064】(i)R5 nAl(OR6)3-n で表される化合
物、例えばジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチル
アルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメ
トキシド等。
【0065】(ii)R5 nAl(OSiR7 3)3-n で表される
化合物、例えばEt2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al
(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiEt3)等。
【0066】(iii)R5 nAl(OAlR8 2)3-n で表され
る化合物、例えばEt2AlOAlEt2 、(iso-Bu)2Al
OAl(iso-Bu)2 等。
【0067】(iv) R5 nAl(NR9 2)3-n で表される化
合物、例えばMe2AlNEt2、Et2AlNHMe 、Me2
lNHEt 、Et2AlN(SiMe3)2、(iso-Bu)2AlN(S
iMe3)2 等。
【0068】(v)R5 nAl(SiR10 3)3-n で表される
化合物、例えば(iso-Bu)2AlSiMe3 等。
【0069】
【化1】
【0070】上記一般式[III]、[IV]で表される有
機アルミニウム化合物の中では、R5 3Al 、R5 nAl(O
6)3-n 、R5 nAl(OAlR8 2)3-n で表される有機アル
ミニウム化合物を好適な例として挙げることができ、R
5 がイソアルキル基であり、n=2であるものが特に好
ましい。これらの有機アルミニウム化合物は、2種以上
混合して用いることもできる。
【0071】本発明におけるオレフィン重合用固体触媒
は、[A]微粒子状担体、[B]有機アルミニウムオキ
シ化合物および少なくとも2種の[C]シクロペンタジ
エニル骨格を有するIVB族の遷移金属化合物、所望によ
りさらに[D]有機アルミニウム化合物を、不活性溶媒
中で混合し、そこへオレフィンを導入して予備重合を行
うことにより調製することができる。
【0072】この際、上記各成分の混合接触順序は任意
に選ばれるが、好ましくは成分[A]と、成分[B]と
を混合接触させ、次いで成分[C]を混合接触させる
か、成分[A]と、成分[B]とを混合接触させ、次い
で成分[C]、さらに成分[D]の順に混合接触させる
か、成分[A]と、成分[B]とを混合接触させ、次い
で成分[D]、さらに成分[C]の順に混合接触させる
か、あるいは、成分[A]と、成分[B]とを混合接触
させ、次いで成分[D]と成分[C]とを同時に、また
は予め成分[D]と成分[C]とを混合接触したものを
混合接触させることが選ばれる。なお、成分[C]は予
め混合して用いることが好ましく、混合接触は攪拌下に
行うことが望ましい。
【0073】図1に、本発明に係るオレフィン重合用固
体触媒の調製工程を示す。本発明に係るオレフィン重合
用固体触媒の調製に用いられる不活性炭化水素媒体とし
ては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等
の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、
メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロ
リド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化
炭化水素あるいはこれらの混合物等を挙げることができ
る。
【0074】成分[A]、成分[B]、成分[C]およ
び成分[D]を混合接触させる際の混合温度は、通常−
100〜200℃、好ましくは−70〜100℃の範囲
であることが望ましい。成分[A]と成分[B]との混
合順序は任意であるが、後に添加する成分を5分〜2時
間かけて添加することが望ましい。成分[A]、成分
[B]は前記条件で混合接触させた後、さらに−30〜
200℃、好ましくは0〜120℃の範囲の温度で、1
0分〜10時間、好ましくは1〜6時間混合接触させ、
その後成分[C]を混合接触させ、さらに所望により成
分[D]を混合接触させることが望ましい。
【0075】成分[A]、成分[B]および成分
[C]、所望により成分[D]を混合接触させるに際し
て、成分[A]が含有する水(H2O)と、成分[B]
のアルミニウム(Al)とのモル比(H2O/Al)
は、通常0.02〜0.8、好ましくは0.05〜0.5の
範囲である。
【0076】成分[C]は成分[A]1g当り、通常1
-5〜5×10-3モル、好ましくは5×10-5〜10-3
モルの範囲の量で用いられ、成分[C]の濃度は、約1
-4〜2×10-2モル/リットル、好ましくは2×10
-4〜10-2モル/リットルの範囲である。
【0077】成分[B]のアルミニウムと、成分[C]
中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常1
0〜3000、好ましくは20〜2000の範囲であ
る。必要に応じて用いられる成分[D]のアルミニウム
原子(AlD)と成分[B]のアルミニウム原子(A
B)の原子比(AlD /AlB)は、通常0.02〜
3、好ましくは0.05〜1.5の範囲である。
【0078】本発明では上記のような成分[A]、成分
[B]および、成分[C]、所望により成分[D]の存
在下に、オレフィンを予備重合する。予備重合に際して
は、遷移金属化合物は、通常10-5〜2×10-2モル/
リットル、好ましくは5×10-5〜10-2モル/リット
ルの範囲の量で用いられ、予備重合温度は−20〜80
℃、好ましくは0〜50℃の範囲であり、また予備重合
時間は0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間程
度である。
【0079】予備重合に用いられるオレフィンとして
は、重合に用いられるオレフィンの中から選ばれるが、
好ましくはエチレンまたはエチレンとα-オレフィンの
混合物である。
【0080】上記のようにして得られた本発明に係るオ
レフィン重合触媒は、少なくとも2種の成分[C]が、
触媒成分[B]と共に触媒成分[A]に担持されてい
る。このような本発明のオレフィン重合用固体触媒は、
成分[A]1g当り約5×10 -6〜10-3グラム原子、
好ましくは10-5〜3×10-4グラム原子の範囲の遷移
金属原子が担持され、約10-3〜10-1グラム原子、好
ましくは2×10-3〜5×10-2グラム原子の範囲のア
ルミニウム原子が担持されている。
【0081】さらに予備重合によって生成する重合体量
は、成分[A]1g当り約0.1〜500g、好ましく
は0.3〜300g、特に好ましくは1〜100gの範
囲であることが望ましい。
【0082】上記のようなオレフィンが予備重合された
オレフィン重合用固体触媒を用いてオレフィンの重合を
行なうに際して、成分[C]の遷移金属化合物は、重合
容積1リットル当り遷移金属原子に換算して通常は10
-8〜10-3グラム原子、好ましくは10-7〜10-4グラ
ム原子の範囲の量で用いられることが望ましい。この
際、必要に応じて有機アルミニウム化合物やアルミノオ
キサンを用いてもよい。この際用いられる有機アルミニ
ウム化合物としては、上述したような成分[D]と同様
な化合物が挙げられる。使用量としては、遷移金属原子
1グラム原子当り0〜500モル、好ましくは5〜20
0モルの範囲であることが望ましい。
【0083】なお、本発明では、オレフィン重合用触媒
は、上記のような各成分以外にもオレフィン重合に有用
な他の成分を含むことができる。このようなオレフィン
重合用触媒により重合することができるオレフィンとし
ては、エチレン、および炭素数が3〜20のα-オレフ
ィン、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メ
チル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-
メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセ
ン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセ
ン、1-エイコセン;炭素数が3〜20の環状オレフィ
ン、例えばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボル
ネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセ
ン、2-メチル1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オ
クタヒドロナフタレン等を挙げることができる。さらに
スチレン、ビニルシクロヘキサン、ジエン等を用いるこ
ともできる。
【0084】本発明では、重合は懸濁重合等の液相重合
法あるいは気相重合法いずれにおいても実施できる。液
相重合法においては触媒調製法の際に用いた不活性炭化
水素溶媒と同じものを用いることができ、オレフィン自
身を溶媒として用いることもできる。
【0085】このようなオレフィン重合用触媒を用いた
オレフィンの重合温度は、通常−50〜150℃、好ま
しくは0〜100℃の範囲である。重合圧力は、通常常
圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/
cm2の範囲の条件下であり、重合反応は、回分式、半
連続式、連続式のいずれの方法においても行うことがで
きる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて
行なうことも可能である。得られるオレフィン重合体の
分子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合
温度を変化させることによって調節することができる。
【0086】本発明に係るオレフィン重合用触媒により
得られたオレフィン重合体は、ASTMD1238-65Tに従い、
190℃、2.16kg荷重の条件下に測定されるMF
Rが、通常0.001〜100g/10分の範囲であ
る。
【0087】さらに、溶融張力(MT)とMFRとが、
通常 log MT≧−0.66log MFR+0.5 で示される関係を満たしている。
【0088】このように本発明により製造されるエチレ
ン系重合体は、溶融張力に優れ、成形性が良好である。
なお、溶融張力は、溶融させたポリマーを一定速度で延
伸した時の応力を測定することにより決定される。すな
わち、生成ポリマー粉体またはその粉体を一旦デカンに
溶融後、デカンに対し5倍量以上のメタノール/アセト
ン(1/1)溶液中で析出させたポリマーを測定サンプ
ルとし、東洋精機製作所製、MT測定機を用い、樹脂温
度190℃、押し出し速度10mm/分、巻取り速度1
0〜20m/分、ノズル径2.09mmφ、ノズル長さ
8mmの条件で行なった。溶融張力の測定時には、エチ
レン系共重合体に、あらかじめ架橋安定剤としての2,6-
ジ-t-ブチルパラクレゾールを0.1重量%配合した。
【0089】
【発明の効果】本発明に係るオレフィン重合用固体触媒
は、1.0重量%以上の水を含有する微粒子状担体
[A]に、有機アルミニウムオキシ化合物[B]と、少
なくとも2種のシクロペンタジエニル骨格を有するIVB
族の遷移金属化合物[C]と、所望により有機アルミニ
ウム化合物[D]の存在下オレフィンを予備重合させる
ことにより形成される。
【0090】このようなオレフィン重合用固体触媒は、
溶融張力に優れたオレフィン重合体が得られ、かつ高い
重合活性で粒子性状に優れた球状オレフィン重合体を製
造することができ、しかも2種以上のモノマーを共重合
させた際に、組成分布の狭い共重合体を得ることがで
る。また、このようなオレフィン重合用触媒を用いる
と、従来の触媒を用いて同一の条件でオレフィンを重合
した場合に較べて、平均分子量の大きなオレフィン重合
体を得ることができる。さらに、本発明により得られる
重合体は分子量分布が広く、溶融張力にも優れているの
で成形性に優れている。
【0091】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0092】
【実施例1】 [水吸着担体の調製]電気炉に装填した内径45mmの
石英管に150gのシリカ(富士デヴィソン社製 F-94
8)を入れ、窒素流通下に200℃で4時間、次いで7
00℃にて7時間乾燥を行った。
【0093】次に、500mlのナスフラスコに上記で
得た乾燥シリカ30gを入れ、窒素雰囲気下に1.6m
lの水を加えて1時間回転させて攪拌した。このように
して水吸着シリカを得た。
【0094】該水吸着シリカを20gとり、窒素流通下
に200℃にて4時間乾燥を行ったところ1.00gの
減量が認められた。したがって、該水吸着シリカの水の
量は5.00重量%となる。
【0095】[固体触媒成分(A-1)の調製]窒素置換
した400mlのガラス製フラスコにトルエンを85m
l、有機アルミニウムオキシ化合物(シェリング社製メ
チルアルミノキサンをドライ化した後トルエンで再溶解
したもの、Al濃度;1.15グラム原子/リットル)
65.2mlを入れ、攪拌しながら系を0℃とした。こ
こへ、上記で得た水吸着シリカの9.0gを窒素雰囲気
下30分かけて添加した。次いで20〜25℃にて1時
間、80℃にて3時間反応させた。このようにして固体
触媒成分(A-1)を得た。
【0096】[固体触媒(C-1)の調製]窒素置換した
400mlのガラス製フラスコにヘキサン150mlを
入れ、攪拌下に上記で得た固体触媒成分(A-1)をAl
原子に換算して15ミリグラム原子、ビス(n-プロピル
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを0.
02ミリモルおよびビス(1,3-ジメチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジクロリドを0.04ミリモル、
トリイソブチルアルミニウムを1.5ミリモル添加し、
エチレンガス(常圧)を連続的に導入し、30℃で2時
間予備重合を行った。この操作により、シリカ1gに対
してジルコニウムを0.033ミリグラム原子、アルミ
ニウムを9.0ミリグラム原子およびポリエチレンを6.
9g含有する固体触媒(C-1)を得た。
【0097】[エチレンの常圧懸濁重合]窒素置換した
内容積1リットルのガラス製重合器に精製したn-デカン
1リットル、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモ
ルを入れ、エチレンを250リットル/hr、水素を0.
15リットル/hr流通させながら70℃まで昇温した。
次いで、上記で得た固体触媒(C-1)をジルコニウム原
子換算で0.02ミリモル添加し、系を75℃に保って
2時間エチレンの常圧懸濁重合を行った。得られた重合
体は72.2gであった。重合活性は3610g-PE/
mmol-Zrに相当する。
【0098】このようにして得られた重合体のMFRは
0.65g/10min.、Mw/Mnは4.2、メルトテン
ションは7gであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオレフィン重合用触媒の調製工程
を示す説明図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−234710(JP,A) 特開 昭60−35008(JP,A) 特開 平3−203904(JP,A) 特開 平5−140224(JP,A) 特開 昭63−152608(JP,A) 特開 平1−207303(JP,A) 特開 平2−173104(JP,A) 特開 平4−7306(JP,A) 特開 平5−155924(JP,A) 特開 平5−155930(JP,A) 国際公開88/5058(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 4/60 - 4/70

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[A](i)II族、III族およびIV族から
    選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなり、 (ii)1.0重量%以上の水を含有する微粒子状担体
    と、 [B]有機アルミニウムオキシ化合物と、 少なくとも2種の [C]シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む
    IVB族の遷移金属化合物と、 予備重合により生成するオレフィン重合体とから形成さ
    れるオレフィン重合用固体触媒。
  2. 【請求項2】[A](i)II族、III族およびIV族から
    選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなり、 (ii)1.0重量%以上の水を含有する微粒子状担体
    と、 [B]有機アルミニウムオキシ化合物と、 少なくとも2種の [C]シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む
    IVB族の遷移金属化合物と、 [D]有機アルミニウム化合物と予備重合により生成す
    るオレフィン重合体とから形成されるオレフィン重合用
    固体触媒。
  3. 【請求項3】 前記[A]微粒子状担体が、乾燥した
    後、水を吸着させて、吸着水量を1.0重量%以上とし
    た担体である請求項1または請求項2に記載のオレフィ
    ン重合用固体触媒。
  4. 【請求項4】 前記[C]遷移金属化合物が、アルキル
    置換シクロペンタジエニル基を有するIVB族の遷移金属
    化合物である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載
    のオレフィン重合用触媒。
  5. 【請求項5】 前記少なくとも2種の[C]遷移金属化
    合物が、 (ii)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個
    有し、かつ、このシクロペンタジエニル骨格を有する配
    位子が互いに結合していない遷移金属化合物であって、
    シクロペンタジエニル骨格を有する配位子が2〜5個の
    置換基を有する遷移金属化合物、および (iv)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個
    有し、かつ、このシクロペンタジエニル骨格を有する配
    位子が互いに結合していない遷移金属化合物であって、
    シクロペンタジエニル骨格を有する配位子が1個の置換
    基を有する遷移金属化合物である請求項4に記載のオレ
    フィン重合用固体触媒。
  6. 【請求項6】 前記(ii)遷移金属化合物と(iv)遷移
    金属化合物との組合せからなる[C]遷移金属化合物に
    おいて、(ii)遷移金属化合物および(iv)遷移金属化
    合物のうち一方が20〜80モル%の範囲にある請求項
    5に記載のオレフィン重合用固体触媒。
  7. 【請求項7】 前記[A]微粒子状担体が1.4〜15
    重量%の範囲の水を含有する請求項1ないし6のいずれ
    かに記載のオレフィン重合用固体触媒。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載のオ
    レフィン重合用固体触媒の存在下に、オレフィンを重合
    または共重合させることを特徴とするオレフィンの重合
    方法。
  9. 【請求項9】請求項1ないし7のいずれかに記載のオレ
    フィン重合用固体触媒および有機アルミニウム化合物の
    存在下に、オレフィンを重合または共重合させることを
    特徴とするオレフィンの重合方法。
JP12727592A 1992-01-16 1992-05-20 オレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法 Expired - Fee Related JP3160067B2 (ja)

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