JP3160053B2 - 内部に照明を有しない時計 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、特に駅建物、プラット
ホーム等の天井に吊設使用するに適した時計であって、
特に内部に照明を有しない時計構造に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】例えば駅構内のプラットホーム等におい
て吊設されている一般的な掛時計は、昼夜問わず、その
時計表示を見ることができるように、例えば図１に示す
ように、その時計文字板１を透過光可能な板材で構成す
ると共に、その文字板１の裏側には、上記文字板を透過
照明せしめるための照明器具２を設備して、昼間におい
ては、上記文字板による時計表示つまり時刻は、外光か
らの反射光で目視し、また夜間にあっては、時計内部に
設備されている照明器具を点灯させ、この照明器具２か
らの照明で文字板を透過照明せしめて時刻を認識するこ
とができるようになっているものである。

【０００３】なお３は時計ムーブメント、４は指針、５
は表示板１及び指針４の前方に位置される透明なる時計
カバーを示す。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、かかる従来
構造の掛時計にあっては、夜間時において、上記文字板
を透過照明せしめるための照明器具を時計内に設備しな
ければならないことから、時計本体が大型化されてしま
うことは勿論のこと、この照明器具を動作せしめるため
の給電設備が必要となって、設備費が嵩むという問題点
があった。さらに上記時計の長期使用によって照明球の
切れが生じて、その都度、新たな照明球と交換しなけれ
ばならず、交換作業の手間と煩わしさを生じるという問
題点があった。

【０００５】さらに従来の時計にあっては、夕暮れ時等
において外来光が不足しているにもかかわらず内部照明
の点灯が遅れているようなときは、時刻表示の確認がし
ずらいという問題点もあった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、かかる従来の
問題点に着目してなされたもので、時計の文字板内に蛍
光染料よりなる蛍光物質を混入せしめて、この蛍光物質
の作用により、表示板に施した表示文字を昼夜の外来光
によって充分な輝度を発生し得る構造となして、時計内
部に照明器具を用いることなく、外部光の採光により表
示輝度を高めて時刻表示を高いコントラストで鮮明に表
示させることができるようにした内部に照明を有しない
時計を提供することにある。

【０００７】

【実施例】以下に本発明を図面に示す実施例に基いて詳
細に説明するが、本発明にあっては、文字板の構成に特
長を有し、さらに照明器具の設備を省略することであっ
て、その他の構成部材は従来例と変りない。従って従来
例の構成部材と同一の部材すなわち時計ムーブメント
３、指針４、透明カバー５は従来例と同一符号を付して
その部材説明は省略する。

【０００８】すなわち図２に示される文字板６の構成
は、図３に示すように透明である、例えばアクリル、ポ
リカーボネート、スチロール、塩化ビニール等の透明樹
脂に、有色又は無色の蛍光染料である蛍光物質７を混合
した着色透明の文字板本体８と、この文字板本体８の裏
面に、例えば白色系の反射性塗料を用いて数字、目盛等
の表示を印刷手段により施した表示部９とからなってい
るものである。従ってこの文字板６によれば、その文字
板６の表面から採光される直射光、分散光は、文字板本
体８の内部へ入射し、その入射光で、文字板本体内の蛍
光染料が励起され、波長の長い蛍光を発生する。つまり
蛍光染料は、外光をエネルギーとして吸収し、波長の長
い蛍光を発生することになる。この蛍光は、透明の文字
板６内を反射しながらその蛍光一部は表示部９により反
射されて文字板の前方へ反射表示され、またその蛍光の
他部は、文字板本体８の内部を全反射しながら辺縁へと
伝わり、その辺縁より蛍光が放射されるものである。こ
の蛍光は約３７０ｎｍ以上のものが有効である。また上
記文字板６の裏面側には、文字板６の表側より裏面に透
過する光を遮るための暗色系遮光板１０が重ね合せられ
るものである。

【０００９】この実施例のように、時計文字板６の構成
を、蛍光染料である蛍光物質７を混入した透明の樹脂に
より着色成形し、さらにその裏面に反射性の塗料による
目盛数字等の表示部９を施したものであるから、この文
字板６に、その表面より外光が入射されることによっ
て、先に述べたように、文字板６内の蛍光染料による着
色蛍光が生じ、この蛍光が透明の文字板の表示部９及び
辺縁に到達され、その表示部９で反射された反射光は、
その文字板の表面方向へ反射されることによって高い輝
度コントラストで表示部９の反射表示がなされるもので
ある。この表示部９の反射照明輝度は、その文字板６の
受光（入射光）量に比例することから文字板６の受光面
積、すなわち表示板表面の表示部９を除く部分が広い程
表示部９の照明輝度が高められる。

【００１０】また文字板６の裏側に暗色系遮光板１０を
重ね合せていることから、この暗色系遮光板１０による
光反射抑制作用（暗色作用）によって文字板６の表側か
ら、その文字板６の内部に入射された光の表示部9以外
の部分での光反射が抑制されるので、上記暗色系遮光板
１０に対して表示部９の輝度コントラストを高めること
ができる。

【００１１】従って本実施例の透明の文字板によれば、
該文字板がその表面より外光を受けることにより、その
文字板６内の蛍光染料である蛍光物質７による蛍光を生
じて、該文字板の裏面に施してある表示部９が文字板本
体８を透して有効に反射照明されるので、該文字板を組
付ている時計機構の内部に照明球を設備する必要がな
く、さらには電源設備も不要であることから、経済性に
優れ、特に電源設備を省くことができることは、駅プラ
ットホーム等に吊持使用する掛時計の場合は、設備費、
メンテナンスの削減及び電気的エネルギーの省力化に大
いに役立つ。

【００１２】

【発明の効果】以上のように本発明は、透明樹脂により
板状に成形され、さらにその板状裏面に、反射性を有す
る塗料によって目盛、数字等の表示部を施してなる文字
板と、該文字板の裏側に重ねられる暗色系遮光板とを具
備してなる時計において、該文字板を、透明樹脂に蛍光
染料である蛍光物質を混入して透明に成形し、該文字板
の表面から入射した外光により蛍光を生ぜしめ、上記表
示部が暗色系遮光板に対して高輝度コントラストで照明
されるようにした内部に照明を有しない時計であること
から、この時計によれば、その文字板がその表面から外
光を受けることにより、文字板６内の蛍光染料による蛍
光を生じて、透明の文字板の裏面に施してある表示部が
文字板本体８を透して有効に反射照明されるので、該文
字示板を組付て成る時計機構の内部に照明球を設備する
必要がなく、さらには電源設備も不要であることから、
経済性に優れ、特に電源設備を省くことができる。従っ
てこの時計を、例えば駅プラットホーム等に吊持使用す
る掛時計として使用すれば、設備費、メンテナンスの削
減及び電気的エネルギーの省力化に大いに役立つという
効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来例の時計説明図。

【図２】本発明実施例の時計説明図。

【図３】本発明実施例の文字板構成説明図。

【符号の説明】

３…時計ムーブメント ４…指針 ５…時計カバー ６…文字板 ７…蛍光物質 ８…文字板本体 ９…表示部 １０…暗色系遮光板

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透明樹脂により板状に成形され、さらに
   その板状裏面に、反射性を有する塗料によって目盛、数
   字等の表示部を施してなる文字板と、該文字板の裏側に
   重ねられる暗色系遮光板とを具備してなる時計におい
   て、上記文字板を、透明樹脂に蛍光染料である蛍光物質
   を混入して透明に成形し、該文字板の表面から入射した
   外光により蛍光を生ぜしめ、上記表示部が暗色系遮光板
   に対して高輝度コントラストで反射照明されるようにし
   たことを特徴とする内部に照明を有しない時計。