JP3159756B2 - フロー炉の溶接浴を不活性化する装置 - Google Patents

フロー炉の溶接浴を不活性化する装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融溶接浴を収容する
容器及び浴の表面の近傍に伸びる行程に沿って電子回路
を運搬する手段を有する種類の、フロー炉の溶融溶接浴
を不活性にする装置に関する。
【0002】
【従来の技術】フロー炉は回路への電子構成要素のろう
付け又は電子構成要素の前錫メッキに用いられる。ろう
付け又は錫メッキされようとする構成要素は、容器に収
容された溶融溶接材料の浴をノズルを通ってポンプ圧送
することにより得られる液体溶融溶接材料の一つ又は複
数の波と接触させられる。
【0003】これらのフロー炉の使用中に出会う主要問
題点の一つは、通常は空気にさらされている液体溶融溶
接材料浴の酸化である。この酸化は、浴表面に酸化物層
をつくり、その層は常に浴の運動によって破られ、それ
により新しい溶融溶接材料の表面を連続して酸化にさら
している。
【0004】溶融溶接材料による構成要素の金属表面の
濡れを妨げないために、溶融溶接材料の浴は、そこから
スラグを取り除くために規則的に清掃されるべきであ
る。このスラグの連続形成は、機械の使用コストを増加
し(溶接の消費、維持費)、他方では浴中に存在する金
属及び対応する酸化物が鉛のように毒性であるときは、
環境に危険を与える。
【0005】スラグのこの問題点を克服するために、溶
融溶接材料浴の表面を油で被覆することが提案された。
この油のフィルムは、酸化に対して浴に真の保護を与え
るが、一方において周期的に交換すべき油の劣化から、
除去の困難な構成要素又は回路上への油の堆積量又は煙
の発生をもたらす問題点を生じる。
【0006】不活性雰囲気を収容した密閉囲い内にフロ
ー炉を囲むことも提案されたが、この解決案は、フロー
炉が、溶接付け場所の上流に溶接材料による濡れを容易
にするように構成要素の金属部分にフラックスを用いる
ためのフラックス塗布場所、次いでフラックスを乾燥
し、活性化し、波との接触中の熱ショックを低減する予
熱場所を、そして下流に溶接材料を急速に固化し、構成
材料の過熱を避ける冷却場所を有する製造ラインに設け
られ、これらいろいろな場所が密閉囲い内にまとめられ
るという程度において明らかに複雑化する。
【0007】
【発明が解決しよとする課題】本発明の目的は、簡単で
効果的であり、経済的に製作でき、しかも現存のフロー
炉ラインの大部分に特別な改造を加えることなしに適用
できる不活性化装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】これを達成するため本発
明による装置は、溶融溶接浴を収容する容器と、前記溶
融溶接浴の表面の付近に延びる通路に沿って、少なくと
も一つの上流の構成要素と容器の上に配置された一つの
中央構造要素とを備えた、実質的に閉じられたフード組
立体を通って電子回路を運搬する手段とを備えたフロー
炉の溶融溶接浴を不活性化する装置において、その中央
構造要素が、実質的不浸透でフードを形成する前記容器
と上部部分とを共働する下部部分を備え、そのフードが
全体的に平坦な構造であるガスディフューザを内包し、
ガスディフューザの上側のフードの内側に開口したガス
供給管とを備えるフロー炉の溶融溶接浴を不活性化する
ことを特徴とする。
【0009】この構造は、実質的に製造速度を増加し、
例えば前部構造体と中央構造体との間を連続した結果と
して製造ラインの性能を改良し、波との接触からくる熱
ショックを低減し、また金属又は毒性酸化物の発散を減
少させることができる。本発明の他の特徴及び利点は、
限定しない例として与えられた実施態様について、添付
の図面を参照しながら以下になされる記載から明らかに
なるであろう。
【0010】
【実施例】以下の記載及び図面では、同一又は類似の構
成要素は、同一符号で示される図1及び図2には、溶接
材料の浴を収容し、運搬手段によって浴上を動く電子回
路と触れる波を浴の表面に発生する手段(図示せず)を
備えた断熱容器1が示されており、運搬手段は図示され
た例では、回路を支持する枠がその上に配置される移送
ベルト4をそれぞれ支持する1対のレール3を有する。
【0011】本発明によれば、容器1の真上に配置され
た中央構造部材5、及び典型的には電子回路の走行方向
で容器1の上流に配置された前部構造部材6と容器1の
下流に配置された後部構造部材7を有するフード組立体
(図1)は、運搬手段3,4と組み合わせられる。
【0012】中央構造部材5は、2本のレール3上に気
密に取りつけられ、前記レールをまたいでいるフード8
の形状をした上側部分、及びその横断面が容器1の内側
横断面と対応し、浴中に浸漬されることによって容器1
にほぼ気密に受け入れられ、上方部分が2本のレール3
の対向面間に挿入されるスカート形状をした下側部分を
含んでいる。したがって中央構造部材5は、浴2の真上
に、運搬手段3,4が通り、周囲の大気から浴2の表面
を遮断する内部空間10を限定する。
【0013】前部構造部材6及び後部構造部材7は同様
に、それぞれレール3上に取りつけられ、中央構造部材
5の上側フード8に連続して接続されている上側フード
11,12、及びそれぞれレール3間に取りつけられ、
スカート9に連続して接続されている下側フード13,
14を含んでいる。
【0014】典型的には窒素、アルゴンのような不活性
ガス、又はそのような不活性ガスと水素のような還元性
ガスの還元性混合物のような非酸化性ガス源に接続され
た管路15は、後のフラックス化及び洗浄の工程を最適
にできるように、上側フード8,11,12内に開口す
る。フード組立体内部を周囲の大気から気密にするよう
に、前部構造部材6及び後部構造部材7は、それぞれそ
の入口及び出口に、上側フード11,8,12からレー
ル3の間に垂れる一組の柔軟なスクリーン16を備えて
いる。
【0015】各スクリーン16は典型的には、例えばシ
リコーン(ケイ素樹脂)製の2組の柔軟な薄膜シートか
らなり、1組の薄膜シートは他の組の薄膜シートに対し
て横方向にずらされている。構造部材6,5,7を通る
保護ガスの層流が均等に流れるように、上側フード1
1,8,12は、回路運搬通路と管路15との間に配置
することによって運搬通路のすぐ上に張り出す平らな全
体形状のディフューザ17を有する。
【0016】上流部を限定する前部構造部材6は、上流
予熱場所の代わりに熱い保護ガスを供給されてもよい。
同様に後部構造部材12は、通常の下流冷却場所の代わ
りに冷い保護ガスを供給されてもよい。もし前に存在す
る上流予熱場所が石英管18による赤外線加熱式である
ならば、下側フード13には、赤外線照射を透過するガ
ラス板19が設けられるべきである。もし使用者が浴2
の表面の波を目で見て検査したいと希望するならば、中
央構造部材5に覗き窓20を任意に設けるべきである。
【0017】図3には、回路が移送チェーン22によっ
て支持されたフックから下げられ、レール3間の空間が
溶接される回路の寸法によって修正される種類の回路運
搬手段を用いるのに適した変形が示されている。この態
様では、上側フード8はその上部に、レール3間の間隔
を変えられるように横方向に伸びる二つの翼80を含
み、翼は前記レールに取りはずし可能に取りつけられ
る。
【0018】上側フード8,11,12及び下側フード
9,13,14は、柔軟な隔壁70によって気密かつ取
りはずし可能に互に連結され、隔壁は例えば金属製でそ
れにより運搬手段を完全に取り囲んでいる。この目的の
ために中央構造部材5のスカート9を限定する下側部分
は、その上部に、上側フード8の翼80に対向して取り
つけられる外側横方向に伸びる翼90も有している。
【0019】実際、前部構造部材6及び後部構造部材7
の長さ(運搬手段の行程に沿った)は、溶接付け又は処
理されるべき電子回路板の長さより長い。そのような構
造によって、不活性又は還元性雰囲気の入れ代わり率
(囲い内容積に対する囲いと接する全ガス流量の比)の
範囲は、ほぼ45dmの内容積をもち回路長さの2倍
より短いフード組立体について次のとおりである。 −前部構造部材6:100〜750/hr −中央構造部材5:50〜500/hr −後部構造部材7:0〜500/hr。
【0020】不活性ガスとして窒素を用いることによ
り、次の結果が得られた。 −溶接浴表面の高さで測定された酸素:7ppm; −廃スラグ重量:20g/hr(大気にさらされた浴の
900g/hrの代わりに)。
【0021】保護ガスの洩れが、後部構造部材7の出口
を経て主として起こるので、この出口の近傍にガス状排
出物の排出及び/又は循環用の小さな吸引フードを設け
るのが有利であろう。本発明は、特定の態様について述
べられてきたが、本発明はそれによって限定されるもの
ではなく、当業者に明らかな改良態様及び変形態様を受
け入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるフロー炉の溶融溶接浴を不活性に
する装置の長手方向断面図。
【図2】図1の線II−IIに沿った断面図。
【図3】変形実施態様の図2と同様な図。
【符号の説明】
1 浴2の断熱容器 2 溶融溶接材料の浴 3 1対のレール 4 移送ベルト 5 フードの中央構造部材 6 同前部構造部材 7 同後部構造部材 8 中央構造部材5の上側部分(フード) 9 同下側部分(スカート) 10 浴2の上の内部空間 11,12 前部構造部材6,後部構造部材7の上側フ
ード 13,14 同下側フード 15 非酸化性ガスの管路 16 柔軟なスクリーン 17 ディフィーザ 18 石英管による赤外線加熱 19 ガラス板 20 覗き窓 21 フック 22 移送チェーン 70 柔軟な隔壁 80 上側フード8の翼 90 スカート9の翼
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 シルビエ・メルル フランス国.94240・レイエ・レ・ロー ゼ.アレー・デユ・パルク・ド・ラ・ビ エブル.17 (72)発明者 ミシエル・ヴエルラツク フランス国.92320・シヤテイロン.ア レー・デユ・セドル.5 (56)参考文献 特開 平2−303675(JP,A) 特開 昭61−126964(JP,A) 特表 平5−503664(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 1/08

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融溶接浴を収容する容器と、前記溶融
    溶接浴の表面の付近に延びる通路に沿って、しかも少な
    くとも一つの上流構造部材と容器の上に配置された一つ
    の中央構造部材とを有する、実質的に閉じられたフード
    組立体を通って電子回路を運搬する手段とを備えたフロ
    ー炉の溶接浴を不活性化する装置において、 前記中央構造部材が、前記容器と実質的に不浸透的に共
    働する上側部分とフードの形状の下側部分とを備え、前
    記フードが全体的に平坦な構造であるガスディフューザ
    を内包し、ガスディフューザの上方のフードの内側にガ
    ス供給管が開口したことを特徴とするフロー炉の溶接浴
    を不活性化する装置。
  2. 【請求項2】 フード組立体が、下流構造部材を有する
    請求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】 フード組立体の各構造部材が、その入口
    及び/又は出口に少くとも1枚の柔軟な気密スクリーン
    を有する請求項1記載の装置。
  4. 【請求項4】 運搬手段が、1対のレールを有し、フー
    ド形状の上側部分がレール上に気密に取りつけられてい
    る請求項1記載の装置。
  5. 【請求項5】 中央構造部材の下側部分がスカート形状
    をしており、容器の内側横断面と対応する横断面を有す
    る請求項4記載の装置。
  6. 【請求項6】 前記フードの各構造部材が不浸透性であ
    り、しかも運搬手段を完全に取り囲むため、柔軟な隔壁
    によって取り外し可能に相互連結されることを特徴とす
    る請求項5に記載の装置。
  7. 【請求項7】 上流構造部材が加熱手段を有する請求項
    6記載の装置。
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