以下、本発明の一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
フロー半田付け装置1は、図1に示されているように、処理室2Aを形成する装置本体ケース2の入口3と出口4との間に配設された水平な搬送ライン5に沿って、実装部品6を搭載したプリント基板7(以下、単に基板7ともいう。)を基板搬送装置(図示外)によって、入口3側から出口4側に水平に搬送するように構成されている。処理室2Aには図示外の窒素ガス供給手段によって窒素ガスが供給され、窒素ガスが満たされており、入口3側から還元ユニット8と半田付けユニット9が搬送ライン5に沿って順に配置されている。
以下、還元ユニット8と半田付けユニット9を説明する。先ず、還元ユニット8を説明する。
図1〜図3に示されているように、密閉されたガス槽10が搬送ライン5の下方に配置されており、ガス槽10の内部にはヒータ11が配置されている。ガス槽10の上面にガスノズル12の下端が取り付けられている。ガスノズル12は垂直に上方に延び、上端の先端部に蟻酸と窒素の混合ガスの噴出口が円形状に開口している。ガスノズル12の下端とガス槽10の上面の接続部は共に開口しており、ガスノズル12とガス槽10は互いに連通している。
ガス槽10の上面に設けられた開口部には蟻酸と窒素の混合ガスの供給ダクト13が接続され、供給ダクト13は蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14(図6参照)に接続されている。したがって、蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14、供給ダクト13及びガス槽10とで、ガスノズル12へ蟻酸と窒素の混合ガスを供給する蟻酸・窒素ガス供給手段を構成している。
以下、蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14を図6に基づいて説明する。窒素ガス発生機15はPSA方式の窒素ガス生成装置であり、圧縮機16で加圧された空気が窒素ガス発生機本体17に送り込まれ、ここで窒素ガスが分離されて生成される。窒素ガス発生機本体17の窒素ガス供給口に接続されている供給ダクト18にはヒータ19が間に接続されるとともに、径が小さくなったベンチュリ部20が途中に形成されている。ベンチュリ部20には蟻酸を収容した蟻酸タンク21から延びる蟻酸供給管22の先端部が接続して内部に臨んでいる。供給ダクト18にはガス槽10に接続されている前記供給ダクト13が接続される。
したがって、窒素ガス発生機15によって生成された窒素ガスが供給ダクト18に供給されると、窒素ガスはヒータ19を通る間に蟻酸の沸点温度以上の温度に加熱される。一方、窒素ガスがベンチュリ部20を通ると、蟻酸が蟻酸供給管22から供給ダクト18内に吸入され、窒素ガスに混合される。このようにして、加熱された窒素と蟻酸の混合ガスが供給ダクト18を通じて供給される。
筒状のガスノズル12の外周囲には筒状の排気ダクト23が隙間をもって同心状に配置されている。排気ダクト23の上端面はガスノズル12と略同一高さ位置にあり、上端は開口している。排気ダクト23の下端は閉塞しており、ガス槽10を収容しているチャンバ24の上面に取り付けられている。
したがって、ガスノズル12の外周と排気ダクト23の内周との間に形成されている断面円環状の隙間が蟻酸と窒素の混合ガスの排気路25を形成し、排気路25の上端の先端部が円環状に開口している。
排気ダクト23の側面部には更に、排気ダクト26が接続されている。本実施形態では、更に、排気ダクト23の上方で搬送ライン5よりも上方に排気ダクト27が配置されており、ダクト27の先端の吸気口27aが下方を臨むようにして配置されている。
2つの排気ダクト26,27は蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28(図7参照)に接続されている。
以下、蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28を図7に基づいて説明する。処理部28は水環真空ポンプ29を有し、その吐出口にセパレータタンク30が接続されている。水環真空ポンプ29内の溶液は蟻酸中和剤水溶液(例えばNaOHが注液された水溶液)が使用される。水環真空ポンプ29の吐出口から排出されるガスと蟻酸中和剤水溶液の混合物はセパレータタンク30内でガスと蟻酸中和剤水溶液31に分離される。セパレータタンク30内の蟻酸中和剤水溶液31はクーラ32で冷却されて水環真空ポンプ29に補給されるように構成されている。水環真空ポンプ29の吸気口にはダクト33が接続されており、ダクト33に前記2つの排気ダクト26,27が接続されている。
したがって、水環真空ポンプ29が作動すると、ダクト33を通じてポンプ29内に吸入された蟻酸と窒素の混合ガスは、ポンプ29の吐出側から蟻酸中和剤水溶液と混合された状態でセパレータタンク30内に吐出される。そしてセパレータタンク30内で窒素ガスと蟻酸中和剤水溶液31は分離され、分離された窒素ガスはセパレータタンク30の排気口と装置本体ケース2とに接続されている戻りダクト34を通じて処理室2A内に戻される。一方、蟻酸は蟻酸中和剤水溶液に溶け込んで混合ガスから除かれ、蟻酸中和剤水溶液中で中和される。
図1に示されているように、ガス槽10を収容したチャンバ24は上昇・下降アクチュエータ35を介してX−Yテーブル36に支持されている。したがって、ガスノズル12は蟻酸と窒素の混合ガスを基板7の半田接合部に吹き付けるときは、上昇・下降アクチュエータ35により所定高さ位置まで上昇し、処理しないときは所定位置まで下降している。また、ガスノズル12は蟻酸と窒素の混合ガスを基板7の半田接合部に吹き付けるときは、X−Yテーブル36により所定位置に配置される。
次に、半田付けユニット9を説明する。
図1及び図4〜図5に示されているように、密閉された半田槽37が搬送ライン5の下方に配置されており、半田槽37の内部にはヒータ38で加熱されて溶融した半田39が収容されている。また、半田槽37の内部には密閉状態のフローダクト40が水平に設置されている。フローダクト40内の一端部にはプロペラポンプ41のプロペラ41aが配置されており、プロペラ41aの下方のフローダクト40底面に溶融半田39の流入口42が開口している。プロペラ41aの回転軸41bは垂直に上方に延びてフローダクト40及び半田槽37の上面を貫通し、上端部にプーリ43が装着されている。このプーリ43と、プロペラ駆動モータ44の回転軸44aに装着されているプーリ45との間にベルト46が巻回されている。
フローダクト40におけるプロペラ41aと反対側の端部の上面に半田ノズル47の下端が取り付けられている。半田ノズル47は半田槽37の上面に形成されている円形状の開口48を挿通して垂直に上方に延び、上端の先端部に溶融半田39の噴流口が円形状に開口している。半田ノズル47の下端とフローダクト40の上面の接続部は共に開口しており、半田ノズル47とフローダクト40は互いに連通している。
筒状の半田ノズル47の外周囲には筒状の外側ノズル(以下、ガスノズルという。)49が隙間をもって同心状に配置されている。ガスノズル49の上端面は半田ノズル47と略同一高さ位置にあり、上端は開口している。ガスノズル49の下端は開口し、半田槽37の上面の前記円形状の開口48の外周囲に取り付けられており、ガスノズル49と半田槽37は互いに連通している。
したがって、半田ノズル47の外周とガスノズル49の内周との間に形成されている断面円環状の隙間が流通路50を形成し、流通路50の上端の先端部が円環状に開口し、下端の基端部の開口が半田槽37内に臨んでいる。流通路50は蟻酸と窒素の混合ガスが流れる流通路を構成するとともに、半田ノズル47から噴流した後の半田の戻り路を構成する。
半田槽37の上面に設けられた開口部には蟻酸と窒素の混合ガスの供給ダクト51が接続され、供給ダクト51は蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14の供給ダクト18(図6参照)に接続されている。したがって、蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14、供給ダクト51及び半田槽37内における溶融半田39の上方の空間部とで、前記流通路50へ蟻酸と窒素の混合ガスを供給する蟻酸・窒素ガス供給手段を構成している。
筒状のガスノズル49の外周囲には筒状の排気ダクト52が隙間をもって同心状に配置されている。排気ダクト52の上端面はガスノズル49と略同一高さ位置にあり、上端は開口している。排気ダクト52の下端は閉塞しており、半田槽37と後述するチャンバ56の上面に取り付けられている。
したがって、ガスノズル49の外周と排気ダクト52の内周との間に形成されている断面円環状の隙間が蟻酸と窒素の混合ガスの排気路53を形成し、排気路53の上端の先端部が円環状に開口している。
排気ダクト52の側面部には更に、排気ダクト54が接続されている。本実施形態では、更に、排気ダクト52の上方で搬送ライン5よりも上方に排気ダクト55が配置されており、ダクト55の先端の吸気口55aが下方を臨むようにして配置されている。
2つの排気ダクト54,55は、蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28(図7参照)の水環真空ポンプ29の吸気口に接続されているダクト33に接続されている。
図1に示されているように、半田槽37は装置本体ケース2内に設けられているチャンバ56内に収容されている。チャンバ56は上昇・下降アクチュエータ57を介してX−Yテーブル36に支持されている。したがって、半田ノズル47は半田付け処理を行うときは、上昇・下降アクチュエータ57により所定高さ位置まで上昇し、処理しないときは所定位置まで下降している。また、半田ノズル47は半田付け処理を行うときは、X−Yテーブル36により所定の半田接合部位置に配置される。
以下、本発明の作用を説明する。
装置本体ケース2の入口3から基板搬送装置によって処理室2A内に進入した基板7は、搬送ライン5に沿って搬送され、還元ユニット8の箇所で停止する。ここでは、加熱された蟻酸と窒素の混合ガスが基板7の半田接合部に吹き付けられ、半田接合部の酸化膜が蟻酸で還元されて除去される。
すなわち、蟻酸と窒素の混合ガスが蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14から供給ダクト13を通じてガス槽10に流入し、ガス槽10内のヒータ11で加熱されながら、ガスノズル12に供給される。蟻酸と窒素の混合ガスはガスノズル12の上端の円形状の開口から吹き出され、基板7の半田接合部に接触し、半田接合部の酸化膜が蟻酸で還元されて除去される。
蟻酸と窒素の混合ガスは、その後、蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28の水環真空ポンプ29により、排気路25の上端の円環状の開口から周囲の雰囲気ガスである窒素ガスと一緒に排気路25に吸入され、ダクト26,33を通じて蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28に流入する。同様に、排気ダクト27の吸気口27aから蟻酸と窒素の混合ガスと周囲の雰囲気ガスである窒素ガスが一緒に排気ダクト27に吸入され、ダクト27,33を通じて蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28に流入する。
蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28において、ダクト33を通じて水環真空ポンプ29内に吸入された蟻酸と窒素の混合ガスは、ポンプ29の吐出側から蟻酸中和剤水溶液と混合された状態でセパレータタンク30内に吐出される。そしてセパレータタンク30内で窒素ガスと蟻酸中和剤水溶液31は分離され、分離された窒素ガスはセパレータタンク30の排気口から戻りダクト34を通じて処理室2A内に戻される。一方、蟻酸は蟻酸中和剤水溶液に溶け込んで混合ガスから除かれ、蟻酸中和剤水溶液中で中和される。
基板7は次に、処理室2A内を搬送ライン5に沿って基板搬送装置により搬送されて半田付けユニット9の箇所で停止する。ここで、基板7の半田接合部が半田付けされる。この半田付け時にも、蟻酸と窒素の混合ガスが半田接合部に吹き付けられて半田接合部と溶融半田の酸化物の除去及び酸化の防止が図られる。
プロペラ駆動モータ44が駆動されてプロペラ41aが回転されると、半田槽37内の溶融半田39がフローダクト40の流入口42からフローダクト40内に流入し、フローダクト40内を圧送されて半田ノズル47に送り込まれ、半田ノズル47の上端の円形状の噴流口から溶融半田39が一定の高さで噴流する。この噴流溶融半田に基板7の半田接合部が接触し、半田接合部が半田付けされる。
溶融半田39は、その後、流通路50の上端の円環状の開口から流通路50に流入し、流通路50を流下して半田槽37内に戻る。
一方、蟻酸と窒素の混合ガスが蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14から供給ダクト51を通じて半田槽37の上部空間内に流入し、半田槽37内の熱で加熱されながら、流通路50に供給される。蟻酸と窒素の混合ガスは流通路50の上端の円環状の開口から吹き出され、基板7の半田接合部に接触し、半田接合部と溶融半田の酸化物の除去及び酸化の防止が図られる。
蟻酸と窒素の混合ガスは、その後、蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28の水環真空ポンプ29により、排気路53の上端の円環状の開口から周囲の雰囲気ガスである窒素ガスと一緒に排気路53に吸入され、ダクト54,33を通じて蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28に流入する。同様に、排気ダクト55の吸気口55aから蟻酸と窒素の混合ガスと周囲の雰囲気ガスである窒素ガスが一緒に排気ダクト55に吸入され、ダクト55,33を通じて蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28に流入する。
蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28において、ダクト33を通じて水環真空ポンプ29内に吸入された蟻酸と窒素の混合ガスは、ポンプ29の吐出側から蟻酸中和剤水溶液と混合された状態でセパレータタンク30内に吐出される。そしてセパレータタンク30内で窒素ガスと蟻酸中和剤水溶液31は分離され、分離された窒素ガスはセパレータタンク30の排気口から戻りダクト34を通じて処理室2A内に戻される。一方、蟻酸は蟻酸中和剤水溶液に溶け込んで混合ガスから除かれ、蟻酸中和剤水溶液中で中和される。
なお、還元ユニット8と半田付けユニット9は、X−Yテーブル36に載っており動作は同期しており、上昇・下降も上昇・下降アクチュエータ35,57により同期して動作する。したがって、還元ユニット8による還元時、及び半田付けユニット9による半田付け時には、X−Yテーブル36と上昇・下降アクチュエータ35,57により、還元ユニット8と半田付けユニット9は所定の位置に配置され、半田付け部の局部的な還元処理と半田付け処理が実施される。
このようにして、従来のフラックスを使用せずに半田付けを行なうことができるため、半田付け後、従来のような洗浄処理も不要となる。
そして蟻酸と窒素の混合ガスが、半田ノズル47の上端の円形状の噴流口から噴流する溶融半田39の周囲を取り囲むようにして、流通路50の上端の円環状の開口から吹き出されるため、半田接合部及び溶融半田の酸化物の除去及び酸化防止が効果的に行われる。
また、周囲の雰囲気ガスである窒素ガスが酸化物除去処理後の蟻酸と窒素の混合ガスと一緒に排気されるが、蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28で窒素ガスが分離されて、雰囲気ガスが供給されている処理室2A内に戻されるため、雰囲気ガスである窒素ガスの減少を防ぐことができ、雰囲気ガスである窒素ガスの消費量の増加を抑えることができる。
なお、上記実施形態では、半田槽37内における溶融半田39の上方の空間部がガス供給手段におけるガス供給路の一部を構成したが、本発明はこれに限ることはない。例えば、蟻酸と窒素の混合ガスの供給ダクトを排気ダクト52とガスノズル49を貫通して流通路50に連通するように構成することもできる。
以下、本発明の別の実施形態を図6〜図9に基づいて説明する。上記実施形態では、半田接合部を局部的に半田付けする例を示したが、本実施形態は基板全体の半田接合部を半田付けする場合を示している。
フロー半田付け装置61は、図8に示されているように、装置本体ケース62の入口63と出口64との間に配設された傾斜した搬送ライン65に沿って、実装部品66を搭載したプリント基板67(以下、単に基板67ともいう。)を基板搬送装置(図示外)によって、入口63から出口64まで搬送するように構成されている。
装置本体ケース62の内部には処理室68Aを形成する処理ケース68が搬送ライン65上に配置されている。搬送ライン65は処理ケース68の入口69と出口70を貫通しており、基板搬送装置によって基板67が処理室68A内を入口側から出口側に搬送されるように構成されている。処理室68Aには図示外の窒素ガス供給手段によって窒素ガスが供給され、窒素ガスが満たされている。
装置本体ケース62の内部には入口63側から還元ユニット71と半田付けユニット72が搬送ライン65に沿って順に配置されている。
以下、還元ユニット71と半田付けユニット72を説明する。先ず、還元ユニット71を説明する。
還元ユニット71は図8に示されているように、処理室68A内に配置されているガス槽73を有している。ガス槽73は上ケース73aと下ケース73bで構成され、上ケース73aの上面に固定されている開閉用アクチュエータ74によって上下に開閉可能に構成されている。すなわち、ガス槽73は、基板67の待機状態では、上ケース73aが開閉用アクチュエータ74によって上昇して開状態とされ、基板67の還元処理時は、上ケース73aが下降して閉じられ、閉状態とされる。
ガス槽73の下ケース73bの下面に設けられた開口部には蟻酸と窒素の混合ガスの供給ダクト75が接続されている。供給ダクト75は前記実施形態で説明した蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14(図6参照)における供給ダクト18に接続されている。したがって、蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14及び供給ダクト75で蟻酸と窒素の混合ガスを供給する蟻酸・窒素ガス供給手段を構成している。蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14(図6参照)は前記実施形態で説明したので、説明は省略する。
ガス槽73の上ケース73aの側面に設けられた開口部には排気ダクト76が接続されている。排気ダクト76は蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28(図7参照)の水環真空ポンプ29の吸気口に接続されているダクト33に接続されている。蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28(図7参照)は前記実施形態で説明したので、説明は省略する。
次に、半田付けユニット72を説明する。
図8に示されているように、密閉された半田槽77が搬送ライン65の下方に配置されており、半田槽77の内部にはヒータ78で加熱されて溶融した半田79が収容されている。また、半田槽77の内部には密閉状態のフローダクト80が水平に設置されている。前記実施形態で説明した半田付けユニット9と同様に、フローダクト80内の一端部にはプロペラポンプのプロペラが配置されており、プロペラの下方のフローダクト80底面に溶融半田79の流入口が開口している。プロペラの回転軸は垂直に上方に延びてフローダクト80及び半田槽77の上面を貫通し、上端部にプーリが装着されている。このプーリと、プロペラ駆動モータの回転軸に装着されているプーリとの間にベルトが巻回されている。
フローダクト80におけるプロペラと反対側の端部の上面に一対の半田ノズル81,82の下端がそれぞれ取り付けられている。一対の半田ノズル81,82は搬送ライン65に沿って間隔をおいて設けられている。
搬送ライン65に沿って後方の半田ノズル81は半田槽77の上面に形成されている長孔形状の開口83を挿通して垂直に上方に延び、上端の先端部に溶融半田79の噴流口が開口している。噴流口の形状(図9参照)は搬送ライン65に直交する平行な水平の2本の直線の両端が円弧で接続されている長孔形状をなしている。半田ノズル81の下端とフローダクト80の上面の接続部は共に開口しており、半田ノズル81とフローダクト80は互いに連通している。
筒状の半田ノズル81の外周囲には筒状の外側ノズル(以下、ガスノズルという。)84が隙間をもって同心状に配置されている。ガスノズル84の上端面は半田ノズル81より少し低く、上端は開口している。ガスノズル84の下端は開口し、半田槽77の上面の前記長孔形状の開口83の外周囲に取り付けられており、ガスノズル84と半田槽77は互いに連通している。
したがって、半田ノズル81の外周とガスノズル84の内周との間に形成されている断面細長環状の隙間が流通路85(図8及び図9参照)を形成し、流通路85の上端の先端部が細長の環状に開口し、下端の基端部の開口が半田槽77内に臨んでいる。流通路85は蟻酸と窒素の混合ガスが流れる流通路を構成するとともに、半田ノズル81から噴流した後の半田の戻り路を構成する。
蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14における供給ダクト18(図6参照)に接続されている蟻酸と窒素の混合ガスの供給ダクト86が、後述する排気ダクト87の側部とガスノズル84の側部を貫通して前記流通路85に接続している。したがって、蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14及び供給ダクト86で、前記流通路85へ蟻酸と窒素の混合ガスを供給する蟻酸・窒素ガス供給手段を構成している。
筒状のガスノズル84の外周囲には筒状の排気ダクト87が隙間をもって同心状に配置されている。排気ダクト87の上端面はガスノズル84と略同一高さ位置にあり、上端は開口している。排気ダクト87の下端は閉塞しており、半田槽77の上面に取り付けられている。
したがって、ガスノズル84の外周と排気ダクト87の内周との間に形成されている断面細長環状の隙間が蟻酸と窒素の混合ガスの排気路88(図8及び図9参照)を形成し、排気路88の上端の先端部が細長の環状に開口している。排気ダクト87の側面部には更に、排気ダクト89が接続されている。
搬送ライン65に沿って前方の半田ノズル82についても、その外側に、上記後方の半田ノズル81側と同様に、ガスノズル90と排気ダクト91が設けられている。したがって、半田ノズル82とガスノズル90で形成される流通路92、及びガスノズル90と排気ダクト91で形成される排気路93が、後方の半田ノズル81側と同様に形成されている。前後のガスノズル84,90の外側の排気ダクト87,91は連通ダクト94によって接続されており、前後の排気路88,93は連通ダクト94によって互いに連通している。95は半田槽77の上面に設けられている長孔形状の開口である。
前方の半田ノズル82側については、蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14、供給ダクト86、後方の半田ノズル81側の流通路85、及び半田槽77内における溶融半田79の上方の空間部とで、前記流通路92へ蟻酸と窒素の混合ガスを供給する蟻酸・窒素ガス供給手段を構成している。
本実施形態では、更に、前後の排気ダクト87,91の上方で搬送ライン65よりも上方に排気ダクト96が配置されており、ダクト96の先端の吸気口96aが下方を臨むようにして配置されている。
後方の半田ノズル81側の排気ダクト87の側部に接続されている排気ダクト89と搬送ライン65の上方の排気ダクト96は、蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28(図7参照)の水環真空ポンプ29の吸気口に接続されているダクト33に接続されている。
装置本体ケース62内に配置されている半田付けユニット72は、前後の半田ノズル81,82、ガスノズル84,90及び排気ダクト87,91の上方部分が処理ケース68の下面部を貫通して処理室68A内に突出するようにして配置されており、上端先端部が搬送ライン65の下方位置に配置されている。搬送ライン65の上方にある排気ダクト96の吸気口96aも処理室68A内に配置されている。
以下、本発明の作用を説明する。
装置本体ケース62の入口63から基板搬送装置によって装置本体ケース62内に進入した基板67は、搬送ライン65に沿って搬送され、処理ケース68の入口69から処理室68A内を搬送されて還元ユニット71の箇所で停止する。ここでは、加熱された蟻酸と窒素の混合ガスが基板67の全体の半田接合部に吹き付けられ、半田接合部の酸化膜が蟻酸で還元されて除去される。
すなわち、基板67は、上ケース73aが開閉用アクチュエータ74によって上昇して開状態とされているガス槽73内に搬送される。基板67がガス槽73内に搬入されると、上ケース73aが下降してガス槽73が閉じられ、閉状態とされる。
次に、蟻酸と窒素の混合ガスが蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14から供給ダクト75を通じてガス槽73内に流入し、基板67の全体の半田接合部に接触し、半田接合部の酸化膜が蟻酸で還元されて除去される。
蟻酸と窒素の混合ガスは、その後、蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28の水環真空ポンプ29により、ダクト76,33を通じて蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28に流入する。
蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28において、ダクト33を通じて水環真空ポンプ29内に吸入された蟻酸と窒素の混合ガスは、ポンプ29の吐出側から蟻酸中和剤水溶液と混合された状態でセパレータタンク30内に吐出される。そしてセパレータタンク30内で窒素ガスと蟻酸中和剤水溶液31は分離され、分離された窒素ガスはセパレータタンク30の排気口と処理ケース68とに接続されている戻りダクト34を通じて処理室68A内に戻される。一方、蟻酸は蟻酸中和剤水溶液に溶け込んで混合ガスから除かれ、蟻酸中和剤水溶液中で中和される。
基板67の半田接合部の還元処理が完了し、蟻酸と窒素の混合ガスがガス槽73から排気されると、窒素ガスがガス槽73に供給された後、開閉用アクチュエータ74によりガス槽73が開状態にされる。
窒素ガスの供給については、窒素ガス供給源をガス槽73に接続してもよいし、蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14を利用することもできる。蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14を利用する場合は、供給部14における供給ダクト18のベンチュリ部20の上流側に切替弁を設けて、ガス槽73に接続する供給ダクトを設け、この供給ダクトを通じて蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14から窒素ガスをガス槽73に供給する、あるいは、蟻酸供給管22に開閉弁を設けて窒素ガスのみを供給するときは、開閉弁を閉じて窒素ガスを供給ダクト75を通じてガス槽73に供給するようにすることもできる。
基板67は次に、処理室68A内を搬送ライン65に沿って基板搬送装置により搬送されながら、半田付けユニット72によって基板67の全体の半田接合部が半田付けされる。この半田付け時にも、蟻酸と窒素の混合ガスが基板67の全体の半田接合部に吹き付けられて半田接合部と溶融半田の酸化物の除去及び酸化の防止が図られる。
プロペラ駆動モータが駆動されてプロペラが回転されると、半田槽77内の溶融半田79がフローダクト80の流入口からフローダクト80内に流入し、フローダクト80内を圧送されて一対の半田ノズル81,82に送り込まれ、これらの半田ノズル81,82の上端の長孔形状の噴流口からそれぞれ溶融半田79が一定の高さで噴流する。これらの噴流溶融半田に基板67の半田接合部が順次接触し、半田接合部が半田付けされる。
基板67は先ず前方の半田ノズル82から噴流する溶融半田79に接触して基板67の全体の半田接合部が半田付けされる。溶融半田79は、その後、流通路92の上端の細長環状の開口から流通路92に流入し、流通路92を流下して半田槽77内に戻る。
一方、蟻酸と窒素の混合ガスが蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14から供給ダクト86及び流通路85を通じて半田槽77の上部空間内に流入し、半田槽77内の熱で加熱されながら、流通路92に供給される。蟻酸と窒素の混合ガスは流通路92の上端の細長環状の開口から吹き出され、基板67の半田接合部に接触し、半田接合部と溶融半田の酸化物の除去及び酸化の防止が図られる。
蟻酸と窒素の混合ガスは、その後、蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28の水環真空ポンプ29により、排気路93の上端の細長環状の開口から周囲の雰囲気ガスである窒素ガスと一緒に排気路93に吸入され、連通ダクト94、排気路88、及びダクト89,33を通じて蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28に流入する。同様に、排気ダクト96の吸気口96aから蟻酸と窒素の混合ガスと周囲の雰囲気ガスである窒素ガスが一緒に排気ダクト96に吸入され、ダクト96,33を通じて蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28に流入する。
蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28において、ダクト33を通じて水環真空ポンプ29内に吸入された蟻酸と窒素の混合ガスは、ポンプ29の吐出側から蟻酸中和剤水溶液と混合された状態でセパレータタンク30内に吐出される。そしてセパレータタンク30内で窒素ガスと蟻酸中和剤水溶液31は分離され、分離された窒素ガスはセパレータタンク30の排気口から戻りダクト34を通じて処理室68A内に戻される。一方、蟻酸は蟻酸中和剤水溶液に溶け込んで混合ガスから除かれ、蟻酸中和剤水溶液中で中和される。
基板67は次に、後方の半田ノズル81から噴流する溶融半田79に接触して、基板67の全体の半田接合部の半田付けが更に行なわれる。溶融半田79は、その後、流通路85の上端の細長環状の開口から流通路85に流入し、流通路85を流下して半田槽77内に戻る。
一方、蟻酸と窒素の混合ガスが蟻酸と窒素の混合ガスの供給部14から供給ダクト86を通じて流通路85に供給され、流通路85の上端の細長環状の開口から吹き出され、基板67の半田接合部に接触し、半田接合部と溶融半田の酸化物の除去及び酸化の防止が図られる。
蟻酸と窒素の混合ガスは、その後、蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28の水環真空ポンプ29により、排気路88の上端の細長環状の開口から周囲の雰囲気ガスである窒素ガスと一緒に排気路88に吸入され、ダクト89,33を通じて蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28に流入する。同様に、排気ダクト96の吸気口96aから蟻酸と窒素の混合ガスと周囲の雰囲気ガスである窒素ガスが一緒に排気ダクト96に吸入され、ダクト96,33を通じて蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28に流入する。
蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28において、ダクト33を通じて水環真空ポンプ29内に吸入された蟻酸と窒素の混合ガスは、ポンプ29の吐出側から蟻酸中和剤水溶液と混合された状態でセパレータタンク30内に吐出される。そしてセパレータタンク30内で窒素ガスと蟻酸中和剤水溶液31は分離され、分離された窒素ガスはセパレータタンク30の排気口から戻りダクト34を通じて処理室68A内に戻される。一方、蟻酸は蟻酸中和剤水溶液に溶け込んで混合ガスから除かれ、蟻酸中和剤水溶液中で中和される。
このようにして、従来のフラックスを使用せずに半田付けを行なうことができるため、半田付け後、従来のような洗浄処理も不要となる。
そして蟻酸と窒素の混合ガスが、半田ノズル81,82の上端の長孔形状の噴流口から噴流する溶融半田79の周囲を取り囲むようにして、流通路85,92の上端の細長環状の開口から吹き出されるため、半田接合部及び溶融半田の酸化物の除去及び酸化防止が効果的に行われる。
また、周囲の雰囲気ガスである窒素ガスが酸化物除去処理後の蟻酸と窒素の混合ガスと一緒に排気されるが、蟻酸と窒素の混合ガスの処理部28で窒素ガスが分離されて、雰囲気ガスが供給されている処理室68A内に戻されるため、雰囲気ガスである窒素ガスの減少を防ぐことができ、雰囲気ガスである窒素ガスの消費量の増加を抑えることができる。
前記2つの実施形態では、ベンチュリ部(図6)を使用して蟻酸と窒素の混合ガスの供給部を構成したが、本発明はこれに限られることはない。
また、前記2つの実施形態では、酸化物除去処理後の蟻酸と窒素の混合ガスを周囲の雰囲気ガスである窒素ガスと一緒に排気し更に雰囲気ガスである窒素ガスを分離する処理部として、本発明は水環真空ポンプ29(図7)を使用したが、本発明はこれに限られることはない。
また、前記2つの実施形態では、還元性ガスとして蟻酸ガスを使用し、不活性ガスとして窒素ガスを使用したが、本発明はこれらに限られることはない。
また、前記2つの実施形態では、還元性ガスに不活性ガスを混合したガス(実施形態では蟻酸と窒素の混合ガス)を使用したが、還元性ガス(例えば蟻酸ガス)のみを使用することも可能である。