JP3159510B2 - トラクションドライブ流体 - Google Patents

トラクションドライブ流体

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JP3159510B2
JP3159510B2 JP7904192A JP7904192A JP3159510B2 JP 3159510 B2 JP3159510 B2 JP 3159510B2 JP 7904192 A JP7904192 A JP 7904192A JP 7904192 A JP7904192 A JP 7904192A JP 3159510 B2 JP3159510 B2 JP 3159510B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はトラクションドライブ流
体に関する。詳しくは、大きなトラクション係数を有
し、加えてその他の諸性能にも優れるトラクションドラ
イブ流体に関する。
【0002】
【従来の技術】トラクションドライブ流体は、トラクシ
ョンドライブ装置[即ち、回転剛体間の点接触や線接触
により駆動力を伝達する装置:例えば自動車用無断変速
機]の接触部分に介在され、動力を伝達すると共に剛体
同士の直接の接触を防止する潤滑油である。かかる流体
は、剛体同士により挟高圧を受けた時に粘度が高まり、
その結果剛体間動力を効率良く伝達するように機能する
一方で、接触部分から離れたときに、ただちに適度な流
動状態となるものが使用される。
【0003】このトラクションドライブ流体の性能を示
す最も重要なものは、トラクション係数である。このト
ラクション係数が大きいほど、駆動力の伝達が良くな
る。しかも、それに伴なってトラクションドライブ装置
の小型化が図れる。
【0004】また、トラクションドライブ流体に望まれ
る性能の一つとして、適度な粘度を呈することがある。
というのは、あまり粘度が高いと、撹拌ロスが大きく、
動力伝達効率が低く、更に低温始動特性も悪いからであ
る。一方、あまり粘度が低いと、高温での油膜保持に難
が生じ、剛体の焼き付きなどを起こす恐れがあるからで
ある。
【0005】更に、熱や酸化に対しても安定であること
等、通常の潤滑油として要求される他の諸性能も必要と
される。
【0006】この様な要求を考慮して、特開平1−2306
96号公報(以下、第1公報と称す)が、ジシクロペンタ
ジエン及び/またはジヒドロジシクロペンタジエンの重
合体水添物であって、重量平均分子量が 250以上のもの
を含有する流体を、トラクションドライブ用の流体とし
て提案しているが、この公報では、重量平均分子量が32
0,540 の重合体水添物を用いた流体が具体的に開示さ
れ、そのトラクション係数が示されているのみである。
また、特開平1-197594号公報(以下、第2公報と称す)
にはシクロペンタジエン系のトラクションドライブ用流
体が提案されているが、これはシクロペンタジエン系の
3〜6量体の混合物であって、ノルボルネン環二重結合
量Xとシクロペンテン環二重結合量Yの比X/Yが 0.9
〜1.3 のものの水添物で40℃粘度が1〜200cStのもので
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】現在、トラクションド
ライブ装置におけるより高い駆動力の伝達や、トラクシ
ョンドライブ装置の小型化を図るため、また、使いやす
いトラクションドライブ流体を得るため、上記第1,第
2公報でのトラクションドライブ用流体よりも一層トラ
クション係数や粘性のバランスに優れ、しかも前記した
ような諸性能をも満たすトラクションドライブ流体が望
まれている。
【0008】本発明は、かかる課題を解決し得るトラク
ションドライブ流体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】上記の目的を達
成するためになされた本第1発明は、シクロペンタジエ
ンのオリゴマーであってノルボルネン環二重結合量Xと
シクロペンテン環二重結合量Yの比X/Yが0.10〜0.90
であるものの水添物からなる重量平均分子量 200〜300
のナフテン化合物と、40℃での粘度が5〜60センチスト
ークス(cSt )のポリブテンとを、少なくとも含有する
トラクションドライブ流体である。同じく、本第2発明
は、シクロペンタジエンのオリゴマーであってノルボル
ネン環二重結合量Xとシクロペンテン環二重結合量Yの
比X/Yが0.10〜0.90であるものの水添物からなる重量
平均分子量 200以上250 未満のナフテン化合物を含有す
るトラクションドライブ流体である。
【0010】かかる本発明(本第1,第2発明)のトラ
クションドライブ流体は、高いトラクション係数値を有
し、また適度な粘度を有し、しかも他の諸性能にも優れ
ている。
【0011】上記のように本第1発明においては、「シ
クロペンタジエンのオリゴマーの水添物からなる重量平
均分子量(以下、単に分子量と記す) 200〜300 のナフ
テン化合物(以下、所定ナフテン化合物と称す)」を、
必須成分として使用する。第1公報で具体的に開示され
たもの(分子量320,540 )と違い、分子量が 200〜300
である点が、本発明にとって(後述するように)重要で
ある。この所定ナフテン化合物は、単一化合物である必
要はなく、平均値である分子量を測定した場合に、それ
が上記所定の範囲内の値を示すものであればよい。な
お、分子量は、質量スペクトル等から算出できる。
【0012】また、第2公報で開示された、分子量に何
等の特定のない、シクロペンタジエン系の三〜六量体を
主成分とした物と違い、本第1発明で、シクロペンタジ
エンのオリゴマーの水添物からなるナフテン化合物は、
分子量が上記所定の分子量範囲( 200〜300 )と特定さ
れており、そのため、当該オリゴマー水添物が、シクロ
ペンタジエン三、四量体(構造は種々な態様を取り得
る)を主成分とすることが(後述するように)重要であ
る。好ましくは、これらが70%以上含有するもので、特
に好ましくは75%以上含有するものである。ただし、所
定ナフテン化合物中には、三、四量体以外に、五量体な
どの他のオリゴマー水添物も少量含まれてよい。五量体
以上のオリゴマー水添物が主体となると、その分子量は
上記分子量から外れ、樹脂状となる傾向にあるが、全体
として上記所定の分子量範囲を逸脱しない範囲ならば、
それら五量体等が所定ナフテン化合物中に混入していて
もよい。また、二量体以下の水添物が主体となると、そ
の分子量は上記分子量から外れ、トラクション係数は低
くなるが、全体として上記所定の範囲を逸脱しない範囲
ならばそれら二量体などが所定ナフテン物中に混入して
いてもよい。
【0013】上記四量体水添物としては、化学式 (I)〜
(IV)で表される化合物、つまりシクロペンタジエンがデ
ィールス・アルダー反応を繰り返した後に水素化された
化合物((I) )あるいは一部通常の付加反応が起こった
ために(I) の縮合環が一部分切断された構造の化合物
((II)〜(IV))などが挙げられる。このことが、質量ス
ペクトル等の結果から明らかになっている。
【0014】
【化2】 三量体水添物としては、上記の種々の四量体からシクロ
ペンタジエン1つが除かれたものである。
【0015】本第1発明においては、40℃での粘度が5
〜60cSt のポリブテン(以下、所定ポリブテンと称す
る)を、他の必須成分として使用する。本明細書におい
て、ポリブテンとは、その水添物をも含む意味である。
ポリブテンは好ましくは、ポリイソブチレンであり、次
の構造式で示すことができる。
【0016】
【化3】 また、その水添物は次の構造式で示される。
【0017】
【化4】 ただし、上記の重合度nは、40℃の粘度が5〜60cSt に
なるような値である。
【0018】ポリイソブチレンは市販品を使用すればよ
いが、公知の重合方法でも製造することができる。ま
た、その水添物はポリイソブチレン等を水素の存在下に
反応させて製造するものである。
【0019】本第1発明において、上記したように、ナ
フテン化合物のうち特定分子量のものを使用し、同時に
ポリブテンも特定の粘度のものを使用する理由を図1を
参照して説明する。
【0020】図1は、本第1発明の説明図であり、横軸
にポリブテンの40℃での粘度をとり、縦軸にナフテン化
合物の分子量をとっている。Aの領域は、本第1発明の
範囲内を示している。その他の領域は、本第1発明外の
領域である。つまり、B(ナフテン化合物の分子量が20
0 未満を含む領域)、C(ナフテン化合物の分子量が22
00以上であり、且つポリブテンの粘度が5cSt 未満の領
域)、D(ナフテン化合物の分子量が300 を越え、且つ
ポリブテンの粘度は 5〜60cSt の領域)、及びE(ポリ
ブテンの粘度が60cSt を越える領域)は本発明外の領域
を示す。
【0021】BとDの領域では、トラクション係数が低
い。Cの領域では、熱安定性と酸化安定性に劣る。Eの
領域では、適度な粘度の潤滑油が得られない。Aの領域
では、そのような欠点がなく、高いトラクション係数と
適度な粘度とが得られ、しかも熱安定性や酸化安定性も
良い。かくして、このAの領域を本第1発明としたので
ある。
【0022】また、本第1発明において、所定ナフテン
化合物と所定ポリブテンとを組合せたのは、次の3つの
理由による。まず第1に、所定ナフテン化合物単独に、
所定ポリブテンを混合すると、所定ナフテン化合物の分
子量にかかわらず、混合物の粘度が実用上不適切な範囲
(40℃で、160cSt程度以上)になることが避けられるの
は勿論、それが好ましい値となるからである。しかも、
その場合の混合比は、広範な値を採ることができ、混合
が簡単だからである。第2に、所定ポリブテン単独で
は、トラクション係数がそれほど高くなく(当該係数:
0.078 )、好ましくないからである。そして、更に重要
な第3の理由を図2を用いて説明する。この図は、横軸
に所定ナフテン化合物と所定ポリブテンの混合割合を示
し、縦軸にトラクション係数を示している。所定ナフテ
ン化合物単独の場合のトラクション係数は0.1047であ
り、所定ポリブテン単独の場合のトラクション係数は、
0.078であり、それら両者を混合した時のトラクション
係数は、図の点線のようになると推定される。しかし、
実際両者を組合せた場合のトラクション係数は実線のよ
うになった。このように両者の混合により、トラクショ
ン係数が予想以上に大きくなり、相乗効果が見られた。
これが、両者を組合せた重要な理由である。
【0023】なお、本第1発明において、分子量が200
〜250 の所定ナフテン化合物に、所定ブテンを混合した
ものが、トラクション係数や粘度等の、総合的バランス
に特に優れる。
【0024】本第1発明において、所定ナフテン化合物
と所定ポリブテンとの混合比は、適宜選択すれば、実用
上適正な粘度に簡単になり得る。その値とは、通常、10
〜80cSt 、好ましくは10〜60cSt 、より好ましくは15〜
55cSt である。
【0025】一方、本第2発明は、シクロペンタジエン
のオリゴマーの水添物の単独使用でかまわない。これに
よって、高いトラクション係数及び適度な粘度が得られ
る。但し、そのため,水添物(ナフテン)の分子量は、
200以上250 未満であることを要する。分子量がその下
限値よりも小さいと、トラクション係数が小さく、分子
量がその上限値以上であると、上記ナフテン単独では粘
度が実用上容認不可能な大きさとなるからである。かか
る分子量範囲のナフテンを構成するには、前記したのと
同じように、三,四量体を中心としたものとすればよ
い。本第2発明は、上記水添物の単独使用でもよいの
で、経済性や調製のし易さに関し特に優れる。
【0026】本第1発明での所定ナフテン化合物や本第
2発明で使用するナフテン化合物は、どのように得ても
よいが、石油樹脂製造に際しての副生物を利用して得る
ことが、経済上また便宜上好ましい。代表的な石油樹脂
製造法では、ジシクロペンタジエンを熱重合し、次いで
水素添加し、その後、石油樹脂と、シクロペンタジエン
のオリゴマーの水添物と、その他のものとに分離精製す
る(この工程の詳細については,当業者には周知である
ので、これ以上の説明は省略する)。このシクロペンタ
ジエンのオリゴマーの水添物を更に加熱乾燥してそのま
ま使用するか、或いは粘度を調整するために高沸点分
(沸点 150−180℃/2mmHg程度)、低沸点分(沸点 11
0−150 ℃/2mmHg程度)とに蒸留分離して使用しても
よい。
【0027】本発明のトラクションドライブ流体は、そ
の性能を更に向上する目的で酸化防止剤、粘度指数向上
剤、金属不活性剤、耐摩耗剤、錆止め剤、消泡剤等の種
々の添加剤を加えてもよい。
【0028】本発明の所定ナフテン化合物に、作用効果
の要求程度と、他の性能の要求程度との兼ね合いで、或
いは他の理由で、他のトラクションドライブ流体や、そ
の他の種類の潤滑剤、例えば、パラフィン系鉱油、ナフ
テン系鉱油、アルキルベンゼン、ポリ−アルファ−オレ
フィン、合成ナフテン等の炭化水素類、エステル、エー
テル等の含酸素化合物等の広範な液状物質を配合しても
よい。
【0029】例えば、下記一般式(A)で表わされる化
合物を(1) シクロペンタジエンのオリゴマー(ノルボル
ネン環二重結合量Xとシクロペンテン環二重結合量Yの
比X/Yが0.10〜0.90であるもの)の水添物のからなる
重量平均分子量 200〜300 のナフテン化合物、または、
(1) に40℃での粘度が5〜60センチストークスのポ
リブテンを少なくとも含有するトラクションドライブ流
体、または、シクロペンタジエンのオリゴマー(ノルボ
ルネン環二重結合量Xとシクロペンテン環二重結合量Y
の比X/Yが0.10〜0.90であるもの)の水添物からなる
重量平均分子量200以上 250未満のナフテン化合物に添
加することにより、適度の粘度を有し、高トラクション
係数を維持しつつ、トラクションドライブ流体全体とし
ての蒸発減量を抑制することができる。つまり、高性能
が維持されトラクションドライブ流体の損失が防止でき
る。
【0030】一般式(A)
【0031】
【化5】 [式中、R1 〜R4 は各々独立に水素、メチル基、また
はエチル基である]特に、上式でR1 〜R4 のうち2つ
が水素であるものが、トラクション係数を高く維持する
意味で好ましい。かかる一般式(A)の化合物は、本第
1発明や本第2発明に添加できるばかりでなく、シクロ
ペンタジエンのオリゴマーであってノルボルネン環二重
結合量Xとシクロペンテン環二重結合量Yの比X/Yが
0.10〜0.90であるものの水添物からなる重量平均分子量
200〜300 のナフテン化合物やシクロペンタジエンのオ
リゴマーの水添物を基油とするトラクションドライブ流
体に、添加することによって、本第1,2発明同様にト
ラクション係数、粘性、酸化安定性等を優れたものとす
ることができるばかりでなく、トラクションドライブ流
体の蒸発減量を抑制できる。
【0032】
【実施例】以下、本発明を代表的な実施例により更に詳
細に説明する。
【0033】実施例1、2 平均分子量280 の所定ナフテン化合物(シクロペンタジ
エン四量体水添物を84%、残りは三量体、五量体、その
他のもの、ノルボルネン環二重結合量X/シクロペンテ
ン環二重結合量Yの比X/Y=0.59)と、40℃で粘度が
11.0cSt のポリブテン[ポリイソブチレン(日本油脂
(株)ポリブテンNAS−5H)]とを、混合比63:37
で混合し、トラクションドライブ流体を調製した(実施
例1)。また平均分子量231 の所定ナフテン化合物(シ
クロペンタジエン四量体水添物36%、三量体水添物60
%、残りは五量体その他のもの、前記X/Y=0.30)
と、上と同じポリブテンとを混合比85:15で混合し、ト
ラクションドライブ流体を調製した(実施例2)。
【0034】所定ナフテンとイソブチレンの混合比を上
記のように選択した理由は、混合流体の粘度を、伝達効
率や油膜保持特性等の観点から実用的に特に好ましい20
〜25cSt 前後にするためである。
【0035】得られた組成物の物性(40℃での粘度、10
0 ℃での粘度、粘度指数)を表1に示す。なお、分子量
は、質量スペクトル法により、粘度はJIS K 2283
により測定した。熱安定性と酸化安定性とについても、
各々JIS K 2540およびJIS K 2514に規定さ
れる方法により測定した。
【0036】得られた流体のトラクション係数は次のよ
うにして測定した。測定装置としては、曽田式4ローラ
トラクション試験機を用い、試験条件は、油温30℃、ロ
ーラ温度30℃、平均ヘルツ圧 1.2GPa ころがり速度 3.6
m/s 及びすべり率 3.0%とした。この条件下では、いか
なる油においてもすべり率3%付近でトラクション係数
が最大になるので、測定したトラクション係数は最大ト
ラクション係数ととらえても差し支えない。得られたト
ラクション係数の値も表1に示す。
【0037】比較例1〜5 表1に示すような成分を、表1に示す混合比で組成物を
調製し、物性、酸化安定性・熱安定性、トラクション係
数を実施例1と同様に調べた。それらの結果も表1に示
す。明示された混合比は、潤滑油組成物の粘度を実用的
に特に好ましい20〜25cSt 程度となるように、言い替え
ると粘度が実用的に特に好ましい範囲内で実施例1と比
較ができるように、選択したものである。なお、比較例
1,2,3,4,5は、それぞれ図1のD,D,B,
C,Eの領域のものであるが、Cの領域の比較例4で
は、どのような混合比のものでも熱安定性と酸化安定性
が劣り、Eの領域の比較例5では、どのような混合比の
ものでも適当な粘度(10〜60cSt )のものが得られなか
った。ちなみに比較例1に使用したナフテン化合物の四
量体の割合は、10%、比較例2では2%、比較例3は1
%である。
【0038】
【表1】 評 価 表1から明らかなように、本第1発明に係る実施例1、
2の組成物は、それ以外の比較例1〜5よりも、優れた
トラクション係数を示している。その比較例1,2は、
ナフテン化合物については、分子量 320または540 のも
のが使用されている前記第1公報開示のものに相応する
かまたは近似するものと思われるが、これに比較しても
良い結果がでているのである。そして、実施例1、2の
ものは、酸化安定性や熱安定性も高かった。
【0039】実施例3〜5 表2に示すような成分を、表2に示す混合比で調製し、
物性、酸化安定性・熱安定性、トラクション係数を実施
例1と同様に調べた。それらの結果も表2に示す。
【0040】なお、実施例3及び実施例5で用いた所定
ナフテン化合物は、次のようなものである。シクロペン
タジエン四量体水添物を75%、残りは三量体、五量体そ
の他のもので前記X/Y=0.41のものである。実施例4
で用いた所定ナフテン化合物は、実施例1で用いたもの
と同じである。
【0041】これから見てもわかるように、トラクショ
ン係数が高く、酸化安定性、熱安定性も良好である。
【0042】
【表2】 実施例6 減圧蒸留により所定ナフテン化合物を分留した高沸点
分、低沸点分のうちの次のフラクション(A),(B)
を53:47の割合で混合してトラクションドライブ流体を
調整した。
【0043】 組 成(%) 40℃粘度 100 ℃粘度 粘度指数 三量体 四量体 その他 フラクション(A) 10.25 2.63 82.9 96.8 3.2 − フラクション(B) 255.0 11.26 (-)89.6 0.1 99.2 0.7 このものは、40℃/100 ℃粘度=23.36/4.07、粘度指数
=46.5、重量平均分子量238 、トラクション係数=0.10
10、前記X/Y=0.43、酸化安定性、熱安定性は良好で
あった。
【0044】 実施例A1〜A4 フラクション(A) フラクション(B) 40℃粘度 分子量 X/Y 実施例A1 30 : 70 65.90 247 0.43 実施例A2 30 : 70 65.90 247 0.43 実施例A3 0 : 100 255.0 268 0.43 実施例A4 30 : 70 65.90 247 0.43 上表の各シクロペンタジエンオリゴマー水添物と、ビシ
クロヘキシル、エチルビシクロヘキシルまたはトリエチ
ルビシクロヘキシルとを上表に示す割合で混合し、40
℃での動粘度が同程度で且つ実用化に好ましい値になる
ようなトラクションドライブ流体を調製し、それらのト
ラクション係数と蒸発損失を調べた。トラクション係数
は実施例1と同様に、また,蒸発減量は、熱天秤を利用
し各トラクションドライブ流体の120℃、5時間保持
後の減量割合を求めることによって調べた。結果は下記
表に示す。
【0045】参考例A1 シクロペンタジエンオリゴマー水添物(フラクション
(A):フラクション(B)=64:36、40℃での
粘度は25.97cSt、分子量 226、X/Yは0.43)のトラク
ション係数と蒸発損失を調べた。この結果も下記表に示
す。
【0046】
【表3】 評 価 上記実施例A1〜A4と参考例A1との比較から明らか
なように、前記一般式(A)で表される化合物を添加す
ると、高いトラクション係数と適度な粘度を維持しつ
つ、蒸発減量を低下することができる。
【0047】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明のト
ラクションドライブ流体は、トラクション係数が向上
し、また(伝達効率・低温始動性・油膜特性保持等の観
点から)好ましい値の粘度を取ることができる。しか
も、酸化安定性や熱安定性等の、潤滑油として要求され
る他の諸性能にも優れている。これを使用すれば、特
に、次の点、即ちトラクションドライブ装置における駆
動力の伝達の効率化と、トラクションドライブの小型化
とをいっそう図ることが可能である。
【0048】更に、前記一般式(A)で表される化合物
を利用した場合には、蒸発損失を減少でき、無駄な損失
を減少できる。
【0049】また、本発明の中で、特に本第1発明は、
所定ナフテンとポリブテンとの相乗作用により高いトラ
クション係数を得た状態において、適正な粘度を容易に
得ることができ、本第2発明は、単独成分でトラクショ
ン係数の高いトラクションドライブ流体を構成すること
ができ、結果的にコストがかからず、しかも調製が極め
て簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の説明図である。
【図2】本発明において、所定ナフテン化合物と、所定
ポリブテンとを組合せた理由を説明するための説明図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10M 109:02 105:04 107:08) C10N 20:02 30:06 30:08 30:10 40:04 60:02 (72)発明者 佐藤 剛久 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡一丁目3番 1号 東燃株式会社 総合研究所内 (72)発明者 富沢 広隆 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡一丁目3番 1号 東燃株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平1−230696(JP,A) 特開 平1−197594(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10M 105/00 - 111/06 C10N 40:04 WPI(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロペンタジエンのオリゴマーであっ
    てノルボルネン環二重結合量Xとシクロペンテン環二重
    結合量Yの比X/Yが0.30〜0.60であるものの
    水添物からなる重量平均分子量200〜300のナフテ
    ン化合物と、 40℃での粘度が5〜60センチストークスのポリブテ
    ン及び/又は下記一般式(A)で表わされる化合物とを、 少なくとも含有するトラクションドライブ流体。 一般式(A) 【化1】 [式中、R〜Rは各々独立に水素、メチル基、また
    はエチル基である]
  2. 【請求項2】 シクロペンタジエンのオリゴマーであっ
    てノルボルネン環二重結合量Xとシクロペンテン環二重
    結合量Yの比X/Yが0.30〜0.60であるものの
    水添物からなる重量平均分子量200以上250未満の
    ナフテン化合物を含有するトラクションドライブ流体。
  3. 【請求項3】 上記一般式(A)で表される化合物を添加
    混合してなる請求項2記載のトラクションドライブ流
    体。
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