JP3158959B2 - 耐汚染性を有する壁紙の製造方法 - Google Patents

耐汚染性を有する壁紙の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の耐汚染性を有する壁紙に
関し、特に、喫煙所、階段周り、子供部屋、洗面所等汚
れ易い場所、清潔さを必要とする場所に適している。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば一般的な壁紙として、
難燃性の裏打紙等の基材にポリ塩化ビニル(PVC)樹
脂層と柄印刷層とを設けた塩化ビニル壁紙や、塩化ビニ
ルシート上に発泡剤を添加した塩化ビニルペーストを塗
布し、発泡により表面に凹凸模様を形成した発泡壁紙が
知られている。また、これらの壁紙には、表面強度を付
与するため、或いは表面のギラギラした光沢感を低下さ
せるためにメカニカルエンボス加工が施されているのが
一般的である。この発泡壁紙は、表面にフィルム等の保
護膜が施されていないため、塩化ビニル壁紙と比べ表面
強度(機械的物性)が劣る。例えば、硬い物などにより
擦られると表面に擦過傷が着いたり、擦られたところの
光沢が変化(光沢がでる)することが問題である。ま
た、表面強度はエンボス加工で押圧されると、ある程度
の強度を持たせることができるが、エンボス版の凹凸の
高低差(凹部の底面と凸部の頂点の差)が大きいと、形
状によっては押しの軽い部分ができて、表面強度の弱い
部分ができることがある。従って、使用できるエンボス
版に大きな高低差(深さ)の凹凸をつけることができな
いため、エンボス加工に用いる版は限定されている。
【0003】また、現在主流のPVC樹脂を用いた壁紙
は、焼却(火災の際の燃焼も含む)時の塩化水素(HC
l)ガスの発生による環境への影響、PVC樹脂に使用
される可塑剤(主としてDOPが使用されている)は、
時が経過するとともに揮発して空気に溶けだす。是には
毒性はほとんど無いが、施工後、表面にブリード(浮き
でてくる)することにより、ほこりなどが付着し汚れ易
くなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題を解決するためになされたもので、その課題とする
ところは、壁紙の表面強度の向上を図り、かつ、汚れに
くく、仮に汚れが付着しても容易に拭き取りなどによ
り、汚れを落とすことができる耐汚染性を有する壁紙の
製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め本発明は、基材上に、カプセル発泡剤と水性エマルジ
ョン樹脂とその他添加剤とからなるコーティング層を設
け、この上に耐汚染性を有する樹脂フィルムを貼着した
後、加熱発泡させ、さらにエンボス加工を施すことを特
徴とする。
【0006】前記耐汚染性を有する樹脂フィルムが、エ
チレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、又はフッ素系
樹脂をベースとしたフィルムであることを特徴とする。
【0007】前記水性エマルジョン樹脂が、内層が軟質
で外層を硬質樹脂で包んだ多層構造の樹脂であることを
特徴とする。
【0008】本発明を詳細に説明する。本発明の耐汚染
性を有する壁紙は、図1に示すように、基材(11)に
発泡剤と水性エマルジョン樹脂とその他添加剤とからな
るコーティング層(12)を設け、この上に耐汚染性を
有する樹脂フィルム(15)を貼着し、加熱発泡させた
後、メカニカルエンボス加工を行って壁紙とした。な
お、コーティング層には任意の柄印刷(13)を施すこ
ともができる。
【0009】本発明に用いる基材(11)としては、難
燃処理した裏打紙、布、或いはガラス繊維等、施工時に
壁面や天井面に容易に貼着可能な基材であれば、限定は
されない。
【0010】コーティング層(12)に用いる発泡剤
は、一般的に用いられるADCA系発泡剤は、加熱する
ことで発泡剤自体が熱分解してN2 ,CO2 ガスを発生
する。この発泡剤は発泡する量は大きいが、ガスが表面
フィルムと樹脂層間に溜まり、「ふくれ現象」が起き
る。これに対して本発明においては、カプセル発泡剤を
使用しているが、これで発泡・エンボス加工時の「ふく
れ現象」を防いでいる。すなわち、カプセル発泡剤は、
炭化水素を内包する塩化ビニリデン等の小球が加熱さ
れ、体積が膨張することにより発泡状態になる。
【0011】また、コーティング層の水性エマルジョン
樹脂は、内層にアルキルアクリレートを主成分とする軟
質樹脂を、外層のアルキルメタクリレートを主成分とす
る硬質樹脂で包み込んだもので、ゴム弾性、ボリューム
感及び表面強度を持たせるものである。
【0012】また、耐汚染性を有する樹脂フィルムは、
エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(クラレ
(株)社製、商品名エバール)フィルムをコーティング
層上に熱圧着することで、壁紙の表面強度を向上させる
とともに、ハロゲンを含まない製品となるので、燃焼時
のハロゲン化合物のガスが発生しない。また、フッ素系
樹脂をベースとしたフィルムは、接着剤を介して貼着す
るもので、汚れに対する強さ、すなわち、汚れにくく、
油性インキ等で汚しても洗剤や溶剤で容易に落とすこと
ができ、跡が残らない。
【0013】
【作用】本発明の耐汚染性を有する壁紙は、コーティン
グ層上に、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂に
よるフィルム、若しくはフッ素系樹脂をベースとしたフ
ィルムを貼着することにより、表面強度の向上と汚れに
くい壁紙が得られる。さらにコーティング層は、カプセ
ル発泡剤と水性エマルジョン樹脂とその他添加剤を配合
したものからなり、ゴム弾性、ボリューム感を壁紙に与
える。
【0014】
【実施例】壁紙の基材として裏打紙(特種製紙(株)社
製、「TT−120cw」)を用いて、これにカプセル
発泡剤10〜12重量部と、水性エマルジョン樹脂とそ
の他添加剤として、グラフト剤(アルリメタクリレー
ト)、分散剤(ポリカルボン酸)、消泡剤(非シリコン
系樹脂)、湿潤剤(ジアルキルスルホンコハク酸ソー
ダ)、ブロッキング防止剤(シリコンオイル)、顔料
(酸化チタン)、増粘剤(ポリアクリル酸ソーダ)、難
燃剤(水酸化アルミニウム)を水・乳化剤(ステアリン
酸ナトリューム)とモノマーで重合させたコーティング
層を、コンマコーターにより膜厚80μm/m2 、炉内
温度90〜130℃で塗工乾燥させて、この上にグラビ
ア印刷により木目柄の柄印刷層を施し、その後、フッ素
系樹脂によるエチレン−テトラフロロエチレンフィルム
の片面に、60メッシュのグラビアロールで接着剤(ソ
ニーケミカル(株)社製、90A14)を塗布、乾燥さ
せながら貼り合わせた。貼り合わせた後、150〜17
0℃の温度で加熱し、発泡させた後、メカニカルエンボ
ス加工を行って壁紙を得た。
【0015】
【発明の効果】本発明は以上の構成であるから、下記に
示す如き効果がある。すなわち、壁紙表面に貼着する樹
脂フィルムが、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹
脂の場合には、燃焼時の煙濃度が少ない。しかも有害な
ハロゲン化合物のガスが発生しない。また、フィルムを
貼着することにより、表面強度、耐薬品性、耐溶剤性、
汚れに強い壁紙となる。特に、フッ素系樹脂をベースと
したフィルムを貼着した場合は効果が大である。また、
コーティング層にはアクリル系樹脂を使用しているの
で、従来のPVC壁紙と比べ、耐候性が優れている。さ
らに、カプセル発泡剤の使用により、著しいボリューム
感が生じ、施工時には下地の凹凸を吸収するとともに、
貼り替え時も剥しやすい等の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐汚染性を有する壁紙の、一実施例を
示す断面図である。
【符号の説明】
11…基材 12…コーティング層 13…柄印刷層 15…耐汚染性を有する樹脂フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B05D 1/00 - 7/26 D06N 1/00 - 7/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に、カプセル発泡剤と水性エマルジ
    ョン樹脂とその他添加剤とからなるコーティング層を設
    け、この上に耐汚染性を有する樹脂フィルムを貼着した
    後、加熱発泡させ、さらにエンボス加工を施すことを特
    徴とする、耐汚染性を有する壁紙の製造方法。
  2. 【請求項2】前記耐汚染性を有する樹脂フィルムが、エ
    チレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、又はフッ素系
    樹脂をベースとしたフィルムであることを特徴とする、
    請求項1に記載の耐汚染性を有する壁紙の製造方法。
  3. 【請求項3】前記水性エマルジョン樹脂が、内層が軟質
    で外層を硬質樹脂で包んだ多層構造の樹脂であることを
    特徴とする、請求項1又は2に記載の耐汚染性を有する
    壁紙の製造方法。
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