JP3158918B2

JP3158918B2 - 自動伴奏装置

Info

Publication number: JP3158918B2
Application number: JP32882494A
Authority: JP
Inventors: 昌夫近藤; 裕樹中薗; 真一伊藤
Original assignee: Yamaha Corp
Current assignee: Yamaha Corp
Priority date: 1994-12-28
Filing date: 1994-12-28
Publication date: 2001-04-23
Anticipated expiration: 2016-04-23
Also published as: JPH08185180A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子楽器等に備えら
れ、予め記憶された伴奏パターンに基づいて演奏者の演
奏に合わせて自動伴奏を行う自動伴奏装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動伴奏装置は、例えばロックや
カントリーなど楽曲の各種スタイル（ジャンル等）に応
じた多種類の伴奏パターンを記憶しており、自動伴奏時
には、演奏者の選択した伴奏パターンに基づいて、鍵盤
等から検出した指定和音に合わせて自動伴奏を行う。

【０００３】ここで、伴奏パターンは、個々の伴奏音の
音高に応じた音高データを発音タイミングを示すタイミ
ングデータとセットにしたものであるが、この音高デー
タとしては例えばＣＭajなど所定和音に基づくキーコー
ドが用いられ、指定和音の種類と根音に応じた音高変換
を考慮したソースパターンとして作成される。

【０００４】すなわち、自動伴奏時には、鍵盤等から入
力される指定和音の種類に応じてソースパターンのキー
コードを音高変換するとともに、全音高を指定和音の根
音に応じてシフトし、和音に合った音高の伴奏音を生成
している。

【０００５】なお、所定和音で作成したソースパターン
を指定和音の種類に合ったように音高変換するために、
ソースパターンのキーコードについてのシフトデータを
和音の種類に対応付けてノート変換テーブルとして記憶
しておき、入力される和音の種類に応じたシフトデータ
をノート変換テーブルから読み出し、この読み出したシ
フトデータをソースパターンのキーコードと演算するこ
とにより和音の種類に応じた伴奏パターンを得るように
している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、多くの伴奏パ
ターンは装飾的な音など和音構成音以外の音を含んでお
り、最適な伴奏パターンを得るためには、これらの和音
構成音以外の音に対して伴奏パターンの種類に応じた音
高変換を行う必要がある。このため、パターン作成者
は、音高変換を行うためのノート変換テーブルをソース
パターン毎（伴奏のスタイル毎）に作成する必要があっ
た。

【０００７】また、ソースパターンのキーコードを単に
指定和音の根音に基づいて音高変換するだけでは、変換
後のキーコードが本来の音域から外れてしまうことがあ
るので、音域制限をする必要がある。なお、この音域制
限では例えば高すぎる音をオクターブ下げるなど行って
いるが、このようにすると、テンションノートがベース
音の領域になるなどして和音の響きが変わってしまうと
いう問題がある。

【０００８】本発明は、伴奏のスタイルに応じた各ソー
スパターン毎にノート変換テーブルを作成する必要がな
く、音域制限を必要としない自動伴奏装置を得ることを
課題とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになした本発明の自動伴奏装置は、基伴奏パターンの
キーコードを該基伴奏パターンの和音と入力される指定
和音とに応じたキーコードに音高変換して自動伴奏を行
う自動伴奏装置であって、前記基伴奏パターンは、所定
の和音の根音と種類に基づいて作成され、該基伴奏パタ
ーンの各キーコードが、該基伴奏パターンの和音に応じ
たスケールに対する属性であって、コード音の属性につ
いては該コード音の属性を複数に細分化した同類属性を
含む属性が割り当てられる基伴奏パターンであって、該
基伴奏パターンを供給する基伴奏パターン供給手段と、
前記指定和音を入力する和音入力手段と、前記基伴奏パ
ターン供給手段から供給された基伴奏パターンのキーコ
ードの属性が前記コード音の属性であり、かつ前記和音
入力手段で入力された指定和音の根音と前記基伴奏パタ
ーンの和音の根音との差分が予め定められた範囲以上の
ときに、前記キーコードの属性を、前記同類属性のうち
の他の属性に変換する属性変換手段と、前記基伴奏パタ
ーンのキーコードを、前記指定和音における属性が、前
記キーコードに割り当てられている属性、或いは前記属
性変換手段によって変換された属性となるように音高変
換する変換手段と、前記音高変換されたキーコードに応
じた伴奏音を生成する伴奏音生成手段と、を備えたこと
を特徴とする。

【００１０】

【作用】本発明の自動伴奏装置は、基伴奏パターンのキ
ーコードを該基伴奏パターンの和音と入力される指定和
音とに応じたキーコードに音高変換して自動伴奏を行
う。基伴奏パターンは、所定の和音の根音と種類に基づ
いて作成され、該基伴奏パターンの各キーコードが、該
基伴奏パターンの和音に応じたスケールに対する属性で
あって、コード音の属性については該コード音の属性を
複数に細分化した同類属性を含む属性が割り当てられる
基伴奏パターンである。基伴奏パターン供給手段から供
給された基伴奏パターンのキーコードの属性が前記コー
ド音の属性であり、かつ指定和音の根音と基伴奏パター
ンの和音の根音との差分が予め定められた範囲以上のと
きは、キーコードの属性を、前記同類属性のうちの他の
属性に変換し、基伴奏パターンのキーコードを、指定和
音における属性が、キーコードに割り当てられている属
性、或いは前記属性変換手段によって変換された属性と
なるように音高変換する。

【００１１】前記和音に応じたスケールに対する音名の
属性は、基伴奏パターンの種類に係わらず音楽的に最適
なものとして決められており、基伴奏パターンのキーコ
ードを基伴奏パターンの和音の属性に基づいて指定和音
に応じて音高変換すると、そのキーコードは基伴奏パタ
ーンの種類に係わらず、音楽的に最適なものに変換でき
る。また、基伴奏パターンのキーコードの属性が前記コ
ード音の属性であり、かつ指定和音の根音と基伴奏パタ
ーンの和音の根音との差分が予め定められた範囲以上の
ときは、キーコードの属性を、前記同類属性のうちの他
の属性に変換し、基伴奏パターンのキーコードを、指定
和音における属性が、キーコードに割り当てられている
属性、或いは前記属性変換手段によって変換された属性
となるように音高変換されるので、音域制限をしなくて
も上記根音の差が変換後のキーコードの音域をシフトさ
せることが無くなる。

【００１２】

【実施例】図１は本発明実施例の自動伴奏装置を適用し
た電子楽器のブロック図であり、ＣＰＵ１はプログラム
メモリ２に格納されている制御プログラムに基づいてワ
ーキングメモリ３のワーキングエリアを使用して電子楽
器全体の制御を行い、鍵盤４の操作による鍵盤演奏、パ
ネルスイッチ等の操作子５の操作によるモードの切換え
やデータの入力処理、リズムパターンメモリ６および伴
奏パターンメモリ７に記憶されている伴奏パターンに基
づく自動伴奏を行う。

【００１３】具体的には、ＣＰＵ１は鍵盤４のキーイベ
ントを検出し、キーイベントのあった鍵に対応するキー
コードをキーオン信号またはキーオフ信号とともに取り
込み、音源８にキーコードとノートオンまたはノートオ
フを出力して鍵盤演奏に対応する発音処理と消音処理を
行う。なお、音源８は入力されるキーコードおよびリズ
ムパターンの伴奏音を発音するための打楽器番号に応じ
た楽音を発生し、この楽音信号はサウンドシステム９に
出力され、サウンドシステム９はＤ／Ａ変換、増幅等を
行って楽音を発生する。

【００１４】また、ＣＰＵ１は操作子５の操作によって
指定されたテンポの情報をタイマ１０に設定し、タイマ
１０はＣＰＵ１から設定されたテンポに応じて８分音符
１個毎に１２回（９６分長に１回）の割込み信号を発生
し、ＣＰＵ１はこの割込み信号により割込み処理を行っ
て自動伴奏の処理を行う。

【００１５】さらに、鍵盤４は低音側の左鍵域と高音側
の右鍵域とに仮想的に分割されており、自動伴奏時に
は、ＣＰＵ１は、右鍵域のキーイベントに対して発音処
理と消音処理を行い、左鍵域のキーイベントに対しては
検出されたキーコードに基づいて和音を検出する。

【００１６】操作子５は、自動伴奏を行う楽曲のスタイ
ルを選択するためのスタイル選択スイッチ、自動伴奏の
スタートとストップを指示するためのスタート／ストッ
プスイッチ、ユーザーによる伴奏パターンおよびリズム
パターンの入力モードを指定するパターン入力スイッ
チ、およびその他のスイッチを備えており、ＣＰＵ１
は、操作子５の各スイッチの操作イベントを検出して操
作イベントのあったスイッチに対応する処理を行う。

【００１７】また、リズムパターンメモリ６と伴奏パタ
ーンメモリ７には、図示しないメモリにプリセットされ
ている多種類のリズムパターンと基伴奏パターンとして
の伴奏パターン（ソースパターン）が記憶され、さら
に、伴奏パターン入力モードにより入力されリズムパタ
ーンと伴奏パターンが記憶される。なお、これらのリズ
ムパターンと伴奏パターンはスタイル選択スイッチで選
択されてパターン番号（ＰＴＮ）によって記憶される。

【００１８】この実施例における伴奏パターンは、アル
ペジオ等の各種のコード音に対応するコードバッキング
１〜３の３つのパートからなるコードパターンと、ベー
ス音に対応する１つのベースパターンとで構成され、こ
れらのコードバッキング１〜３およびベースパターン
は、それぞれパート番号（ＰＲＴ＝０〜３）によって指
定される。

【００１９】なお、各伴奏パターンは、各パート毎にキ
ーコード、タイミング、キーオンまたはキーオフのデー
タをセットにして順次記憶したものであり、リズムパタ
ーンは打楽器番号とタイミングのデータをセットにして
順次記憶したものである。

【００２０】ところで、次表１に示したように、和音の
種類に対して取り得るスケール（音階）はそれぞれ決ま
っており、これらのスケールの各々について、和音構成
音はコード音（ｃ）、和音構成音以外でスケール上の音
はスケール音（ｓ）、スケールから外れた音はノンスケ
ール音（ｎ）として、音名（Ｃ，Ｃ♯，Ｄ，Ｄ♯，…）
に対して属性（ｃ，ｓ，ｎ）が音楽的に決まっている。

【００２１】

【表１】

【００２２】そこで、自動伴奏のソースパターンのキー
コードを、ソースパターンの和音に対応させてこれらの
属性で分類し、各属性に応じたノート変換テーブルによ
り指定和音においても同じ属性になるように音高変換を
行うと、伴奏パターンの種類に係わりなく音楽的に最適
な音高変換を行うことができる。

【００２３】ただし、表１からわかるように、同じ和音
の種類で同一音名でもスケールの違いによって属性が異
なるものがあるので、各音名に対して、同じ和音の種類
の中の全てのスケールで同一の属性となる場合はその属
性とし、同じ和音の種類の中の全てのスケールで複数の
属性となる場合は、１つでもノンスケール音（ｎ）とな
るものがある場合はノンスケール音とする。なお、コー
ド音とスケール音の混在はありえない。

【００２４】このような条件で属性を決定すると、各和
音の種類に対する各音名の属性は表１の「ｒｅｓｕｌ
ｔ」の欄のようになり、和音の種類と音名に対して１つ
の属性を対応させた分類テーブルが得られる。

【００２５】図２は上記の条件に従って作成した実施例
における分類テーブルの一例を示す図であり、この分類
テーブルは、各和音の種類（ＴＰ）に対して各音名
（Ｃ，Ｃ♯，Ｄ，Ｄ♯，…）がコード音（ｃ1 〜ｃ5
）、スケール音（ｓ）およびノンスケール音（ｎ）の
何れの属性を有するかを分類したものである。

【００２６】また、この実施例では、コード音の属性に
ついては、コードバッキングを生成するための重要度を
考慮して“ｃ1 〜ｃ5 ”のように重要度の高い順に同類
の属性として分類するようにしている。なお、コード音
の記号（ｃ）に付した数字は、コード音の属性の中でも
コードバッキングを生成するために重要な音名ほど小さ
な値をとる。このうち、“ｃ1 ，ｃ2 ，ｃ3 ”は和音の
特徴を表す重要な属性であり、４音コードや５音コード
の場合のテンションノートはこの“ｃ1 ，ｃ2，ｃ3 ”
のどれかに割り当てられている。また、１度および５度
のノートは“ｃ4 ，ｃ5 ”に割り当てられている。

【００２７】なお、このような、和音、属性および音名
の関係は、和音の種類ＴＰとノートコードＮＴ（音名に
対応するコード）を引数とする配列レジスタに各属性
（ｃ1〜ｃ5 ，ｓ，ｎ）を示すデータを格納することに
より、分類テーブルＡＴＢＬ（ＴＰ，ＮＴ）として分類
テーブルメモリ１１に記憶されている。

【００２８】そして、自動伴奏時には、ソースパターン
から読み出したキーコードをノートコードＮＴに変換
し、このノートコードＮＴとソースパターンの和音の種
類ＳＴＰから属性ＡＴＢＬ（ＳＴＰ，ＮＴ）を求め、こ
の属性に対応するノート変換テーブルを選択する。そし
て、このノート変換テーブルにより、属性が“ｃ1 〜ｃ
5 ”のものは指定和音における属性が“ｃ1 〜ｃ5 ”と
なるように、また、属性が“ｓ”のものは指定和音にお
ける属性が“ｓ”となるように、さらに、属性が“ｎ”
のものは指定和音における属性が“ｎ”となるようにキ
ーコードを変換し、このキーコードに基づいて伴奏音を
発生する。

【００２９】ただし、属性が“ｃ1 〜ｃ5 ”のものにつ
いては、変換後のキーコードがコード音としてふさわし
い音域となるように、指定和音の根音がソースパターン
の和音の根音よりも所定範囲以上離れているときは、こ
の同類の属性“ｃ1 〜ｃ5 ”の中で属性を変換する。こ
のために、プログラムメモリ２には、ソースパターンの
和音の根音と指定和音の根音との差分に応じて上記コー
ド音の属性を変換する属性変換テーブルが記憶されてい
る。

【００３０】図３は実施例の属性変換テーブルを示す図
である。なお、この属性変換テーブルは、根音の差分Ｌ
とコード音の属性（ｃj)の添字ｊを引数とする配列レジ
スタに各属性（ｃ1 〜ｃ5 ）に対応する添字ｊのデータ
を格納することにより、属性変換テーブルＳＦＬ（ｊ，
Ｌ）としてプログラムメモリ２に記憶されている。

【００３１】この属性変換テーブルは、図３(A) のよう
に属性“１，２，３”（ｃ1 ，ｃ2，ｃ3 ）の組を一つ
の群として変換し、図３(B) のように属性“４，５”
（ｃ4，ｃ5 ）の組を一つの群として変換する。なお、
このように２つの群に分けて扱うのは、属性“ｃ1 ，ｃ
2 ，ｃ3 ”の音は和音の特徴を表す重要な属性であるの
でこれらの音を属性“ｃ4 ，ｃ5 ”の１度や５度と分離
することにより和音の特徴の再現性を保持するためであ
る。また、属性“ｃ1 ，ｃ2 ，ｃ3 ”のテンションノー
トが１度や５度に置き変わって低い音となり、和音の響
きが変わってしまうのを防止するためである。なお、こ
の属性変換は全てのソースパターンについて行うもので
はなく、各ソースパターン毎に属性変換を行うか否かを
示すフラグが設定されている。

【００３２】上記の各群において属性の変換を次のよう
に変換する。すなわち、属性“１，２，３”について
は、根音の差分Ｌが“−１〜２”の場合は恒等置換と
し、Ｌが“３〜６，−６”の場合は“１”を“３”に、
“２”を“１”に、“３”を“２”にそれぞれ変換す
る。また、Ｌが“−５〜−２”の場合は“１”を“２”
に、“２”を“３”に、“３”を“１”にそれぞれ変換
する。属性“４，５”については、差分Ｌが“−２〜
３”の場合は恒等置換とし、Ｌが“４〜６，−６〜−
３”の場合は“４”を“５”に、“５”を“４”にそれ
ぞれ変換する。

【００３３】図４は属性変換の一例を示す図である。こ
の例は、ＣMaj9のソースパターンを種類がMaj9の指定和
音に音高変換する場合の属性変換の例を示しており、図
４(A) は属性変換前のノートコードと属性の関係を示
し、図４(B) は属性変換後のノートコードと属性の関係
を示している。

【００３４】図５は実施例におけるノート変換テーブル
の一例を示す図である。このノート変換テーブルは、属
性に応じたインデックス（ＡＴ）、和音の種類（Ｔ
Ｐ）、ノートコード（ＮＴ）を引数とする配列レジスタ
にキーコードのシフトデータ（０，−１，−２，…）を
記憶したもので、ノート変換テーブルＮＴＴ（ＡＴ，Ｔ
Ｐ，ＮＴ）としてノート変換テーブルメモリ１２に記憶
されている。

【００３５】なお、図５(A) は属性がコード音でコード
バッキングの音高変換に用いるノート変換テーブルの一
例、図５(B) は属性がコード音でベースの音高変換に用
いるノート変換テーブルの一例、図５(C) は属性がスケ
ール音のノート変換テーブルの一例、および、図５(D)
は属性がノンスケール音のノート変換テーブルの一例を
示している。なお、図５(A) のノート変換テーブルは音
を下にシフトする場合は最大で半音４つで、音を上にシ
フトする場合は最大で半音７つとなっている。

【００３６】以上の構成により、自動伴奏時に、ＣＰＵ
１は現在選択されているソースパターンのキーコードを
伴奏パターンメモリ７から読み出し、このキーコードに
対応するノートコードにより分類テーブルメモリ１１の
分類テーブルを参照してこのキーコードをソースパター
ンの和音の種類に応じてコード音、スケール音および非
スケール音の何れかの属性に分類する。そして、ソース
パターンの根音と指定和音の根音との差分が所定値以上
であれば属性を属性変換テーブルで変換し、これらの属
性と指定和音とに応じてノート変換テーブルメモリ１３
に記憶されているノート変換テーブルを参照してキーコ
ードを音高変換する。

【００３７】図６は実施例における制御プログラムのメ
インルーチン、図７は割込み処理ルーチンのフローチャ
ート、図８および図９はサブルーチンのフローチャート
であり、各フローチャートに基づいて実施例の動作を説
明する。なお、以下の説明およびフローチャートにおい
て、制御に用いられるレジスタおよびフラグを下記のラ
ベルで表記し、各レジスタおよびフラグとそれらの記憶
内容は特に断らない限り同一のラベルで表す。

【００３８】ＲＴ：指定和音の根音のレジスタＴＰ：指定和音の種類のレジスタＳＲＴ（ｉ）：パターン番号ｉのソースパターンの和音
の根音のレジスタＳＴＰ（ｉ）：パターン番号ｉのソースパターンの和音
の種類のレジスタＲＵＮ：自動伴奏のスタート／ストップを示すフラグＰＴＮ：伴奏パターンおよびリズムパターンのパターン
番号のレジスタＰＲＴ：伴奏パターンのパートを示すパート番号のレジ
スタＫＣ：キーコードのレジスタＮＴ：ノートコードのレジスタＡＴＢＬ（ｋ，ｍ）：分類テーブルＡＴＲＢ：分類された属性のレジスタｊ：コード音の属性のうちの種類を区別する添字のレジ
スタＳＦＬＦ（ＰＴＮ）：パターン番号ＰＴＮのパターンに
ついて属性変換をするか否かを示すフラグＬ：ソースパターンの和音の根音と指定和音の根音の差
分のレジスタＳＦＬ（ｊ，Ｌ）：属性変換テーブルＮＴＴ（ｐ，ｋ，ｍ）：ノート変換テーブルＡＴ：属性とノート変換テーブルを対応させるインデッ
クスのレジスタＤ：ノート変換テーブルのシフトデータのレジスタ

【００３９】先ず、電源の投入等によってＣＰＵ１が図
６のメインルーチンの処理を開始すると、ステップＳ１
で各フラグおよびレジスタのリセット等の初期設定を行
い、ステップＳ２で鍵盤４におけるキーイベントの有無
を判定し、キーイベントが無ければステップＳ６に進
み、キーイベントが有ればステップＳ３に進む。

【００４０】ステップＳ３では、「イベントキーが左鍵
域でかつＲＵＮ＝１」であるか否かを判定し、「イベン
トキーが左鍵域でかつＲＵＮ＝１」でなければステップ
Ｓ４でイベントキーについての発音または消音処理を行
ってステップＳ６に進む。「イベントキーが左鍵域でか
つＲＵＮ＝１」であれば、ステップＳ５でイベントキー
のキーコードに基づいて和音を検出し、指定和音の根音
をレジスタＲＴに格納するとともに指定和音の種類をレ
ジスタＴＰに格納してステップＳ６に進む。

【００４１】ステップＳ６では、操作子５におけるスタ
イル選択スイッチのオンイベントの有無を判定し、オン
イベントが無ければステップＳ８に進み、オンイベント
が有ればステップＳ７で、選択されたスタイルに対応す
るパターン番号をレジスタＳＴＮに格納し、ステップＳ
８に進む。

【００４２】ステップＳ８では、操作子５におけるスタ
ート／ストップスイッチのオンイベントの有無を判定
し、オンイベントが無ければステップＳ１２に進み、オ
ンイベントが有れば、ステップＳ９でフラグＲＵＮを反
転してステップＳ１０でＲＵＮ＝１となったか否かを判
定する。ＲＵＮ＝１となっていなければ（ＲＵＮ＝
０）、自動伴奏状態でストップが指示されたことになる
のでステップＳ１２に進み、ＲＵＮ＝１となっていれば
自動伴奏のスタートが指示されたことになるので、ステ
ップＳ１１でタイミングクロックをクリアしてステップ
Ｓ１２に進む。そして、ステップＳ１２では、ユーザに
よる伴奏パターン、リズムパターンおよび和音情報の入
力処理や音色の選択などその他の処理を行い、各処理が
終了するとステップＳ２に戻ってステップＳ２以降の処
理を繰り返す。

【００４３】図７の割込み処理は、タイマ１０からの割
込み信号により９６分長毎に起動され、先ずステップＳ
２１でＲＵＮ＝１であるか否かを判定する。ＲＵＮ＝１
でなければ元のルーチンに復帰し、ＲＵＮ＝１であれ
ば、ステップＳ２２で、パターン番号ＰＴＮのリズムパ
ターン中の現在のタイミングクロックに対応するデータ
（楽器番号）を読み出し、音源８に出力して再生する。

【００４４】次に、ステップＳ２３で、伴奏パターンに
ついて再生するパートのパート番号ＰＲＴを“０”にセ
ットし、ステップＳ２０４でのＰＲＴのインクリメント
とステップＳ２０５の判定処理により、コードバッキン
グ１〜３およびベースパターンの各パートについてステ
ップＳ２４以降の処理を繰り返す。

【００４５】ステップＳ２４では、伴奏パターンメモリ
１２から、パターン番号ＰＴＮの伴奏パターンのパート
ＰＲＴ中で現在のタイミングクロックに対応するデータ
を読み出し、ステップＳ２５で再生データがあるか否か
を判定し、再生データがなければステップＳ２０４に進
み、再生データがあればステップＳ２６に進む。

【００４６】ステップＳ２６では、再生データがキーオ
ンデータであるか否かを判定し、キーオンデータでなけ
れば、ステップＳ２７でキーオフ信号をＰＲＴに対応す
るチャンネル番号と共に音源８に出力して消音処理を行
い、キーオンデータであれば、ステップＳ２８で発音キ
ーコードすなわち伴奏パターンの読出しデータであるキ
ーコードをレジスタＫＣに格納し、ステップＳ２９でパ
ート番号ＰＲＴ＝３（ベースパターンのパート）である
か否かを判定する。

【００４７】ＰＲＴ＝３でなければコードパターン（コ
ードバッキング１〜３：ＰＲＴ＝０，１，２）の再生で
あるので、ステップＳ２０１で図８のコードパターンに
ついての音高変換処理を行い、ＰＲＴ＝３であればベー
スパターンの再生であるので、ステップＳ２０２で図９
のベースパターンについての音高変換処理を行う。

【００４８】後述説明するようにコードパターンまたは
ベースパターンについての音高変換処理が終了すると、
ステップＳ２０３で、キーオン信号および音高変換され
たキーコードＫＣを、ＰＲＴに対応するチャンネル番号
と共に音源８に出力し、発音処理を行う。

【００４９】そして、ステップＳ２０４でＰＲＴをイン
クリメントしてステップＳ２０５でＰＲＴ＝４であるか
否かを判定し、ＰＲＴ＝４でなければ伴奏パターンの再
生パートが残っているのでステップＳ２４以降の処理を
行い、ＰＲＴ＝４であれば全てのパートを再生したので
ステップＳ２０６でタイミングカウンタでカウントを行
って元のルーチンに復帰する。

【００５０】図８のコードパターンについての音高変換
処理では、先ず、ステップＳ３１で、読出しデータのキ
ーコードＫＣをパターン番号ＰＴＮの伴奏パターンの和
音の根音ＳＲＴ（ＰＴＮ）で音高シフトして、そのノー
トコードをレジスタＮＴに格納し、ステップＳ３２で、
パターン番号ＰＴＮの伴奏パターンの和音の種類ＳＴＰ
（ＰＴＮ）と発音ノートコードＮＴとに対応する分類テ
ーブルのデータＡＴＢＬ（ＳＴＰ（ＰＴＮ），ＮＴ）を
レジスタＡＴＲＢに格納する。

【００５１】次に、ステップＳ３３で、ＡＴＲＢ＝ｃｊ
（コード音）であるか否かを判定し、ＡＴＲＢ＝ｃｊで
なければ発音ノートコードＮＴの属性がスケール音かノ
ンスケール音であるのでステップＳ３４に進み、ステッ
プＳ３４で、ＡＴＲＢ＝ｓ（スケール音）のときＡＴに
“６”をセットし、ＡＴＲＢ＝ｎ（ノンスケール音）の
ときＡＴに“７”をセットし、ステップＳ３９に進む。

【００５２】ステップＳ３３でＡＴＲＢ＝ｃｊであれば
発音ノートコードＮＴの属性がコード音であるのでステ
ップＳ３５に進み、ステップＳ３５で、ＳＦＬＦ（ＰＴ
Ｎ）＝１であるか否かを判定し、ＳＦＬＦ（ＰＴＮ）＝
１でなければ属性変換を行わないソースパターンである
ので、ステップＳ３８で、レジスタＡＴに“ｊ−１”を
セットしてステップＳ３９に進む。

【００５３】ステップＳ３５でＳＦＬＦ（ＰＴＮ）＝１
であれば、属性変換の対象となるソースパターンである
ので、ステップＳ３６で、指定和音の根音ＲＴとソース
パターンの和音の根音ＳＲＴ（ＰＴＮ）の差分を求めて
レジスタＬに格納し、ステップＳ３７で、求めた属性の
添字ｊと根音の差分Ｌに応じた属性変換テーブルから変
換後の属性の添字ＳＦＬ（ｊ，Ｌ）を読み出してレジス
タｊに格納し、ステップＳ３８で、レジスタＡＴに“ｊ
−１”をセットしてステップＳ３９に進む。

【００５４】ステップＳ３９では、読出しデータのキー
コードＫＣを指定和音の根音ＲＴで音高シフトしてその
ノートコードをレジスタＮＴに格納し、ステップＳ３０
１で、ＡＴに応じて選択したノート変換テーブルから、
指定和音の種類ＴＰと上記ノートコードＮＴに対応する
シフトデータＮＴＴ（ＡＴ，ＴＰ，ＮＴ）を読み出し、
これをレジスタＤに格納する。そして、ステップＳ３０
２で、読出しデータのキーコードＫＣに対してシフトデ
ータＤを加算することにより音高変換し、元のルーチン
に復帰する。

【００５５】図９のベースパターンについての音高変換
処理では、コードパターンのときと同様に、先ず、ステ
ップＳ４１で、ベースパターンの読出しデータのキーコ
ードＫＣをＳＲＴ（ＰＴＮ）で音高シフトしてレジスタ
ＮＴに格納し、ステップＳ４２で、分類テーブルのデー
タＡＴＢＬ（ＳＴＰ（ＰＴＮ），ＮＴ）をレジスタＡＴ
ＲＢに格納する。

【００５６】次に、ステップＳ４３で、ＡＴＲＢ＝ｃ
（コード音でｃ１，ｃ２，…ｃｊの全て）のときＡＴに
“５”をセットし、ＡＴＲＢ＝ｓ（スケール音）のとき
ＡＴに“６”をセットし、ＡＴＲＢ＝ｎ（ノンスケール
音）のときＡＴに“７”をセットする。

【００５７】そして、コードパターンのときと同様に、
ステップＳ４４で読出しデータのキーコードＫＣを指定
和音の根音ＲＴで音高シフトしてそのノートコードをレ
ジスタＮＴに格納し、ステップＳ４５で、ＡＴに応じて
選択したノート変換テーブルから、指定和音の種類ＴＰ
と上記ノートコードＮＴに対応するシフトデータＮＴＴ
（ＡＴ，ＴＰ，ＮＴ）を読み出し、これをレジスタＤに
格納する。そして、ステップＳ４６で、読出しデータの
キーコードＫＣに対してシフトデータＤを加算すること
により音高変換し、元のルーチンに復帰する。

【００５８】なお、この実施例では、ソースパターンの
キーコードＫＣがその属性に対応する指定和音の根音と
種類で決められるスケールの属性になるようにシフトデ
ータＤを加算することによって、最終的なキーコードに
対する根音シフトを必要としないので、伴奏パターンの
音高がパターン全体的に上下することがなく、自然な流
れになる。

【００５９】以上のように、伴奏パターンの読出しデー
タのキーコードは、そのノートコードと伴奏パターン
（ソースパターン）の和音の種類とに基づいてコード
音、スケール音またはノンスケール音の何れかに分類さ
れ、さらに、この分類結果に応じたノート変換テーブル
に基づいて音高変換される。なお、図５のノート変換テ
ーブルの例からわかるように、コード音はコード音に変
換され、スケール音はコード音またはスケール音に変換
され、ノンスケール音はスケール音またはノンスケール
音に変換される。

【００６０】このように、伴奏パターンのキーコード
を、コード音、スケール音およびノンスケール音などの
ような和音の種類に応じたスケールに対する音名の属性
に応じて分類し、それぞれの属性に応じたノート変換テ
ーブルにより指定和音においても同じ属性になるように
音高変換するようにしているので、異なる伴奏パターン
を同じノート変換テーブルで変換しても、音楽的にそれ
ぞれの伴奏パターンに適した音高に変換される。

【００６１】このため、伴奏パターン（ソースパター
ン）毎にノート変換テーブルを作成する必要がないばか
りか、ユーザが作成した伴奏パターンでも同じノート変
換テーブルで音高変換を行うことができる。

【００６２】また、属性がコード音であるキーコードに
対して、ソースパターンの和音の根音と指定和音の根音
とが所定範囲以上離れている場合に、同じコード音でも
別の同類の属性に変換して最寄りの音程に変換するよう
にしているので、根音の差によるパターンのシフトが生
じず、音域制限をしなくてもよい。このため、音域制限
によるオクターブの折り返し等がなくなる。

【００６３】

【発明の効果】以上説明したように本発明の自動伴奏装
置によれば、和音に応じたスケールに対する音名の属性
に基づいて、基伴奏パターンのキーコードを該基伴奏パ
ターンの和音と入力される指定和音とに応じたキーコー
ドに音高変換して自動伴奏を行い、この音高変換の際
に、基伴奏パターンのキーコードの属性が前記コード音
の属性であり、かつ指定和音の根音と基伴奏パターンの
和音の根音との差分が予め定められた範囲以上のとき
は、キーコードの属性を、前記同類属性のうちの他の属
性に変換し、基伴奏パターンのキーコードを、指定和音
における属性が、キーコードに割り当てられている属
性、或いは前記属性変換手段によって変換された属性と
なるように音高変換するようにしたので、基伴奏パター
ンのキーコードを基伴奏パターンの種類に係わらず音楽
的に最適なものに変換でき、各伴奏パターンの種類に応
じたソースパターン毎にノート変換テーブルを作成する
必要がない。また、指定和音の根音と基伴奏パターンの
根音とが大きく離れている場合でも、根音の差が変換後
のキーコードの音域をシフトさせることが無くなり、音
域制限を必要としない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の自動伴奏装置を適用した電子楽
器のブロック図である。

【図２】実施例における分類テーブルの一例を示す図で
ある。

【図３】実施例における属性変換テーブルを示す図であ
る。

【図４】実施例における属性変換の一例を示す図であ
る。

【図５】実施例におけるノート変換テーブルの一例を示
す図である。

【図６】実施例におけるメインルーチンのフローチャー
トである。

【図７】実施例における割込み処理のフローチャートで
ある。

【図８】実施例におけるコードパターンについての音高
変換処理のフローチャートである。

【図９】実施例におけるベースパターンについての音高
変換処理のフローチャートである。

【符号の説明】

１ＣＰＵ２プログラムメモリ３ワーキングメモリ７伴奏パターンメモリ１１分類テーブルメモリ１２ノート変換テーブルメモリ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G10H 1/38

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】基伴奏パターンのキーコードを該基伴奏
パターンの和音と入力される指定和音とに応じたキーコ
ードに音高変換して自動伴奏を行う自動伴奏装置であっ
て、前記基伴奏パターンは、所定の和音の根音と種類に基づ
いて作成され、該基伴奏パターンの各キーコードが、該
基伴奏パターンの和音に応じたスケールに対する属性で
あって、コード音の属性については該コード音の属性を
複数に細分化した同類属性を含む属性が割り当てられる
基伴奏パターンであって、該基伴奏パターンを供給する
基伴奏パターン供給手段と、前記指定和音を入力する和音入力手段と、前記基伴奏パターン供給手段から供給された基伴奏パタ
ーンのキーコードの属性が前記コード音の属性であり、
かつ前記和音入力手段で入力された指定和音の根音と前
記基伴奏パターンの和音の根音との差分が予め定められ
た範囲以上のときに、前記キーコードの属性を、前記同
類属性のうちの他の属性に変換する属性変換手段と、前記基伴奏パターンのキーコードを、前記指定和音にお
ける属性が、前記キーコードに割り当てられている属
性、或いは前記属性変換手段によって変換された属性と
なるように音高変換する変換手段と、前記音高変換されたキーコードに応じた伴奏音を生成す
る伴奏音生成手段と、を備えたことを特徴とする自動伴
奏装置。
【請求項２】前記基伴奏パターン供給手段は、前記基伴奏パターンを構成する基キーコードを供給する
基キーコード供給手段と、前記基伴奏パターンにおける前記所定の和音の根音と種
類を供給する和音供給手段と、前記基キーコード供給手段から供給される各キーコード
について、前記和音供給手段から供給される和音に応じ
た該キーコードの前記属性を検出する属性検出手段であ
って、前記コード音の属性については同類属性のうちの
何れかをも検出する属性検出手段と、からなることを特徴とする請求項１記載の自動伴奏装
置。
【請求項３】前記属性は前記供給された和音の構成音
であるコード音、前記供給された和音において取りうる
スケール上の音のうち、前記コード音以外の音であるス
ケール音、前記スケール上の音以外の音であるノンスケ
ール音の何れかであり、前記コード音は更にその重要度
に応じて複数の属性に細分化されており、前記コード音
の属性は前記コード音における複数の属性のうちの重要
度の高い複数属性を同類属性としてグループ化したも
の、又は重要度の低い複数属性を同類属性としてグルー
プ化したものであることを特徴とする請求項１記載の自
動伴奏装置。
【請求項４】前記基伴奏パターン供給手段は複数の基
伴奏パターンのうちの選択されたものを供給するもので
あり、各基伴奏パターン毎に前記変換手段による属性の
変換を行うか否かが設定されているものであって、前記変換手段は、前記基伴奏パターン供給手段によって
供給された基伴奏パターンが属性の変換を行うことが設
定されているものであった場合にのみ、属性の変換を行
うことを特徴とする請求項１記載の自動伴奏装置。