JP3158808B2 - 吸音材 - Google Patents

吸音材

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JP3158808B2
JP3158808B2 JP24169593A JP24169593A JP3158808B2 JP 3158808 B2 JP3158808 B2 JP 3158808B2 JP 24169593 A JP24169593 A JP 24169593A JP 24169593 A JP24169593 A JP 24169593A JP 3158808 B2 JP3158808 B2 JP 3158808B2
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一哲 梅岡
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、吸音材に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、以下のような場合に用いられる吸
音材がある。
【0003】(1) リスニングルーム、楽器練習室等
の内装材として用いる。室内の音響特性が問題となる部
屋で、室内残響時間特性、反射特性などを制御するため
に仕上げ用の内装材として使うのである。
【0004】(2) 壁・天井の充填材として用いる。
しゃ音性能が要求される部屋では、壁や天井のしゃ音性
能を向上させるために2重壁構造を採る場合が多いが、
2重壁間に吸音材を充填して更に性能を上げるようにす
るのである。
【0005】(3) その他、吸音ダクトの内貼り用、
騒音を発生する機器の防音カバーの内貼り用などにも用
いる。
【0006】上記用途に用いられる吸音材の一種とし
て、グラスウール、ロックウール、発泡ウレタンなどの
多孔質吸音材がある。これらの多孔質吸音材は内部の連
通した気泡の中に音波が入射すると、それが複雑な断面
形状をした連続気泡であるために、音波が伝搬してゆく
途中で気泡壁面との粘性摩擦などによって音波エネルギ
が材料の中で吸収されるのである。図3の破線にロック
ウール(密度40 kg /m3 、厚み30 mm )の垂直入
射吸音率の周波数特性を示した。
【0007】グラスウール、発泡ウレタンの吸音率特性
も同様の特性であるが、低周波数帯域では小さい吸音率
しかもたない。多孔質材の厚みを増せば、低周波数帯域
の吸音率を上げることが出来るが、厚みが厚くなると部
屋の内装材として使用した場合には部屋が狭くなる。ま
た、ダクトの内貼りとして使用した場合には空気の通路
が狭くなってしまうなどの問題が生じる。
【0008】低周波数帯域の音波に対しては、粉体
縦振動を利用した吸音材がある。数μmから数100μ
mの粒子からなる粉体層(吸音材)に音波が入射する
と、図15に示すような粉体層の縦振動モードが励起さ
れ、そのモードが生じる周波数帯域で吸音率が大きくな
る。なお11は、粉体層の設けられた剛壁である。一次
モードは、粉体層内の波長の1/4が、粉体層の
一致した周波数で生じるが、粉体層内の弾性波の速度は
一般的に数10m/秒と遅いため、30mm程度の薄い
さの層でも500Hz以下の低周波数帯域で一次モード
が生じる。このような粉体粒子からなる粉体層を利用す
ることにより低周波数帯域の音波を効率よく吸収する吸
音材を設計できる。図3にホワイトカーボン(平均粒径
83μm 、かさ密度98 kg/m3、厚み30mm)の垂直
入射吸音率を示したが、270Hz付近を中心に低周波数
帯域で高い吸音率を有することがわかる。粉体粒子の種
類や粉体層の厚さを変えることにより、騒音源の周波数
に合うよう吸音率が高い周波数(吸音ピーク周波数)を
変えることができる。しかし、粉体は流動性があるた
め、実際に使用する時は、ハニカムなどのセルに封入し
なければならず非常に使いにくい。また、吸音周波数帯
域が狭いという欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記事情
に鑑み、形状保持性を有し、低周波数帯域で吸音性が大
く、また、低周波数から高周波数まで広い周波数帯域
で高い吸音率を有する吸音材を提供することを課題とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】この出願の発明の第1
は、グラスウール、ロックウールなどの多孔質吸音材1
穿孔6を空けてプラスチック、鉄などの剛体材からな
る筒状の粉体封入容器3を埋設し、同粉体封入容器3に
その粒子自身の振動により吸音性能を発現する粉体2を
充填してなることを特徴とする吸音材である。
【0011】多孔質吸音材1としては、グラスウール、
ロックウール等を用い、形状保持性のあるものが使用さ
れる。
【0012】多孔質吸音材1に空ける穿孔6としては直
径20 mm 程度から100 mm 程度のものが好ましい。
【0013】粉体2としては、マイカ、タルク、パーミ
ュキライト等の粒子自振の振動により低周波数帯域での
吸音材特性の良いものを用いる。
【0014】粉2を充填した粉体封入容器3の開口部
は高分子フィルム4等で封止しておくことが好ましい。
【0015】この出願の発明の第2は、グラスウール、
ロックウールなどの多孔質吸音材1に穿孔6を空けてそ
の粒子自身の振動により吸音性能を発現する粉体2を充
填し、該多孔質吸音材1の穿孔6以外の表面部分に、合
板、プラスチック板または鉄板などからなる剛板5を設
置してなることを特徴とする吸音材吸音材である。剛板
5としては、木質の剛板、プラスチック板、または鉄板
等が使用される。
【0016】の出願の発明の第3は、請求項1または
2に記載の吸音材を合板、鉄板、プラスチック板などに
よって作られたボックス7あるいは枠8などに入れるこ
とによって形状保持性を高めた吸音ボックスまたは吸音
材パネルである。
【0017】ボックス7あるいは枠8は、合板、プラス
チック板または鉄板等から形成される。
【0018】この出願の発明の第4は、請求項1、2ま
たは3項に記載の吸音材または吸音パネルを、2重壁の
間隙に配設することにより遮音性を高めた遮音2重壁構
造である。
【0019】この出願の発明の第5は、請求項1、2ま
たは3項に記載の吸音材または吸音パネルを、2重床の
間隙に配設することにより遮音性を高めた遮音2重床構
造である。
【0020】
【作用】請求項1記載の吸音材では、低周波数から高周
波数まで幅広い周波数帯域で吸音性能が高く、形状保持
性もある。
【0021】請求項2記載の吸音材では、高周波数帯域
での吸音率は低いが、低周波数帯域での吸音ピーク周波
数が低域化する。すなわち、より薄型で低周波吸音材が
提供可能となる。
【0022】請求項3記載の吸音パネルでは、前記吸音
材の形状保持性を高める。請求項4記載の吸音構造によ
れば、2重壁の遮音性能を高める。
【0023】請求項5記載の吸音構造によれば、2重床
の遮音性能を高める。
【0024】
【実施例】(実施例1) 本発明に基づく実施例1を、図1、図2により説明す
る。図1に示すように多孔質吸音材であるロックウール
1(密度40 kg/m3、厚み30mm、寸法600×6
00mm)に直径60mmの穿孔6をあけ、その穿孔6に図
2に示す外形60mm、内径58mm、長さ30mmのアクリ
ル円筒からなる粉封入容器3を埋設する。粉2は平
均粒径83μm 、かさ密度98 kg/m3のホワイトカー
ボンを使用した。粉体封入容器3の上部、および下部は
粉体2がもれないように厚み250μmのポリエチレン
フィルム4でふたをしてあるが、このような薄いポリエ
チレンフィルム4は音波透過性であるため、入射した音
波は、粉体封入容器3の中に容易に進入し振動モードを
励起する。ロックウール1の吸音率をα1(τ)、ホワ
イトカーボン2の吸音率をα2(f)とすると実施例1
の角周波数ごとの吸音率α(f)はおおよそ次式であら
わされる値になる。
【0025】α(f)=(S1 α1 (f) +S2 α2
(f) )÷(S1 + S2 ) ただし、S1 は実施例1のロックウール部分の表面積、
2 は同じく実施例1の粉体部分の表面積でS1 =22
15 cm2 、S2 =1385 cm2である。fは周波数を
あらわす。
【0026】実施例1の吸音率特性をロックウール、お
よびホワイトカーボン単独の場合と比較して図3に示
す。
【0027】この場合、粉体2の側面へ、ロックウール
1を通過してきた音波の圧力が直接加わることが無くて
粉体中の縦振動をおこしやすく、図3に示すように実施
例1は幅広い周波数帯域で高い吸音率特性を得ることが
できる。多孔質吸音材は、ロックウールに限らず
スウール、発泡ウレタンなどでもよい。また、粉体2に
対してもホワイトカーボンに限らず、マイカ、タルク、
バーミュキュライトなど粒子自身の振動により低周波数
帯域での吸音性能を発現する粉体であればよい。また、
多孔質吸音材の寸法、厚み、孔の形状、大きさ、数など
は、用途に応じて変える必要がある。図2に示した粉体
封入容器3の材質もアクリルおよびポリエチレンフィル
ムに限定するものでない。なお、次に、この実施例1と
比較のための実施例2、3を示す。 (実施例2) 本発明に基づく実施例2を図4に示す。
【0028】基本的な構成は、実施例1と同じである
が、図2に示す粉体封入容器3を使用せず、ロックウー
ル1の穿孔に直接粉体2を封入した。その上で、表面全
体をポリエチレンフィルム4で被覆している。この場
合、実施例1に比べてより簡単な構成となるが、粉体円
柱の側面へ、ロックウール1を通過してきた音波の圧力
が直接加わるため粉体中の縦振動がおこりにくく低周波
数帯域での吸音率は実施例1に比べてやや低くなる。こ
の実施例1の吸音率特性は図5に示している。 (実施例3)本発明に基づく実施例3を図6に示す。
【0029】この実施例の基本的構成は実施例2と同じ
であるが図のように、ロックウール1の穿孔6が貫通し
ていない場合である。穿孔6の直径は60 mm で、深さ
は20 mm である。
【0030】この場合でも、粉体2の縦振動が生じ
が、吸音特性は図5に示した実施例2の吸音特性とほぼ
同じで、実施例1に比べてやや低くなる。 (実施例4) 本発明に基づく実施例4を図7に示す。この場合、実施
例2とは、ロックウール1の表面のみを音波に対して容
易に振動しないアクリル板(厚み5mm)で覆った構成が
異なる。粉体2の表面は250ミクロン厚のポリエチレ
ンフィルム4で覆われている。
【0031】アクリル板による剛板5の孔12の開口は
60mmで、粉体層の外径と同じである。このような、剛
板5にて粉体層を包み込む構成にすることにより、高周
波数帯域の吸音率が低下するが、粉体円柱側壁での音波
の圧力の反射が減少し、粉体層の縦振動モードが生じる
周波数が低域化する。すなわち、低周波数帯域で吸音率
が大きくなる。
【0032】この実施例4の吸音率特性を図8に示す。
ロックウール1部分を覆う剛板5としてのアクリル板の
厚みは5 mm に限定するものではないが、音波によって
振動しないという条件より約2 mm 以上の厚みが必要で
ある。剛板5として、アクリル板を用いず、鉄板の場合
は約0.5 mm 、木質の合板の場合は3 mm 程度の厚み
が必要である。 (実施例5)本発明に基づく実施例5を図9に示す。本
実施例は、実施例4に使用したアクリル板5の孔1.2
の直径を60 mm から34 mm に変更したもので他の構
成は実施例4と同様のものである。こうすることにより
粉体層の縦振動モードが更に低周波数帯域側で生じ、吸
音ピーク周波数が低域化する。この実施例の吸音率特性
は図8に示す。 (実施例6)本発明に基づく実施例を図10に示す。図
1に示した実施例1の吸音材を合板(厚み3 mm )で作
られた枠8に入れ吸音パネルとすることにより、形状保
持性をより高めたものである。この吸音パネルの吸音特
性は実施例1と殆んど変わらない。 (実施例7)本発明に基づく実施例7を図11、図12
を用いて説明する。図11に示すように、合板製のボッ
クス7に直径84 mm の穿孔4を多数あけた60 mm 厚
のロックウール1を配置し、その穿孔6にセピオライト
粉体2を封入し、更にロックウール部分のみをアクリル
板5でふたをし、吸音ボックス18とする。
【0033】セピオライト粉体2(平均粒径約50μm
、かさ密度250 kg / m3 )単独では60 mm 厚で
約130 Hz の周波数で吸音ピークを持ち、図11のよ
うに構成することにより低周波数帯域で吸音性能を大き
くすることができる。図11の吸音ボックス18を図1
2に示すように、2重床の空隙部分に並べておく。 2
重床の構造は、スラブ17上に束16を介してパーティ
クルボード13、合板14等を積層した床板15を支持
してなる。2重床の床板の寸法は900×900mm で
あるが、1枚の床板15の下に、図11に示す吸音ボッ
クス18を6個おいた場合、図13に示すように重衝撃
音遮音性能が特に250 Hz 以下の低周波数領域で向上
する。
【0034】図13は、吸音ボックス18を用いた2重
床の床衝撃音レベル(JISに定めるL値)を吸音ボッ
クス18を用いない場合と比較したグラフであるが、吸
音ボックス18を用いた場合の方が向上していることが
わかる。 (実施例8) 本発明に基づく実施例を図14に示す。ロックウール
1(密度40kg/m3)の穿孔6に粉体2であるホワイ
トカーボンを充填した厚み90mmの吸音材を2重壁16
の空隙部に配設する。なお、この場合、図示していない
が、この粉体2は、アクリル製の粉体封入容器に充填し
てある。
【0035】2重壁16は、石膏ボード17の12 mm
厚さのもの2枚重ねを150 mm 角の間柱18を介して
配置して形成されている。
【0036】このような構造をとることにより壁の音響
透過損失を向上させることができる。
【0037】
【発明の効果】請求項1記載の吸音材では、低周波数か
ら高周波数まで幅広い周波数帯域で吸音性能が高く、形
状保持性もある吸音材を提供することができる。
【0038】請求項2記載の吸音材では、高周波数帯域
での吸音率は低いが、低周波数帯域での吸音ピーク周波
数が低域化した吸音材を提供することができる。
【0039】請求項3記載の吸音パネルでは、前記吸音
材の形状保持性を高める。請求項4記載の吸音構造によ
れば、2重壁の遮音性能を高める。
【0040】請求項5記載の吸音構造によれば、2重床
の遮音性能を高める。
【図面の簡単な説明】
【図 1】本発明の実施例1を示す一部断面斜視図。
【図 2】同上の要部斜視図
【図 3】同上の吸音率を示すグラフ図。
【図 4】発明の実施例2を示す一部断面斜視図。
【図 5】同上の吸音率を示すグラフ図。
【図 6】発明の実施例3を示す一部断面斜視図。
【図 7】本発明の実施例4を示す一部断面斜視図。
【図 8】同上の吸音率を示すグラフ図。
【図 9】発明の実施例5を示す一部断面斜視図。
【図10】発明の実施例6を示す斜視図。
【図11】発明の実施例7を示す斜視図。
【図12】同上の使用状態を示す断面図。
【図13】同上の床衝撃音レベルを示すグラフ図。
【図14】発明の実施例8を示す断面図。
【図15】発明を説明する概念図。
【符号の説明】
1 多孔質吸音材(ロックウール) 2 粉体(ホワイトカーボン) 3 粉体封入容器 4 高分子フィルム(ポリエチレンフィルム) 5 剛板(アクリル板) 6 穿孔 7 ボックス 8 枠 10 粉体層 11 剛壁 12 孔 18 吸音ボックス
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI E04B 1/86 E04B 1/86 L M (72)発明者 安藤 秀行 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工 株式会社内 (72)発明者 上垣百合子 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−40941(JP,A) 特開 平4−314098(JP,A) 特開 平4−194243(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10K 11/16 - 11/175 E04B 1/86 - 1/99 C04B 32/00 C04B 38/00 303

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラスウール、ロックウールなどの多孔
    質吸音材1に穿孔6を空けてプラスチック、鉄などの剛
    体材からなる筒状の粉体封入容器3を埋設し、同粉体封
    入容器3にその粒子自身の振動により吸音性能を発現す
    る粉体2を充填してなることを特徴とする吸音材。
  2. 【請求項2】 グラスウール、ロックウールなどの多孔
    質吸音材1に穿孔6を空けてその粒子自身の振動により
    吸音性能を発現する粉体2を充填し、該多孔質吸音材1
    の穿孔6以外の表面部分に、合板、プラスチック板また
    は鉄板などからなる剛板5を設置してなることを特徴と
    る吸音材。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の吸音材を合
    板、鉄板、プラスチック板などによって作られたボック
    ス7あるいは枠8などに入れることによって形状保持性
    を高めた吸音ボックスまたは吸音材パネル。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3項に記載の吸音材
    または吸音パネルを、2重壁の間隙に配設することによ
    り遮音性を高めた遮音2重壁構造。
  5. 【請求項5】 請求項1、2または3項に記載の吸音材
    または吸音パネルを、2重床の間隙に配設することによ
    り遮音性を高めた遮音2重床構造。
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