JP3156933U - 流体流路用管体の構造 - Google Patents
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またこのような更正管として、所定長さの陶器、金属もしくは樹脂製の単位管を複数長さ方向に継ぎ足して必要な長尺管を形成することも公知であり、この場合は隣り合う単位管の長さ方向端部を大径のネジ継ぎ手で接続するようになっているものもある(例えば、特許文献2参照)。
さらに、ジョイントを内周側の肉厚増大部に多条ネジを形成し、かつ接続時の外周を面一の平滑状にしたものもある(例えば、特許文献3参照)。
また、単位管を樹脂製としてその長さ方向両端部の肉厚内に雌雄のジョイント部を設け、接続時に内外周面を面一にしたもの(特許文献4参照)、ネジ継ぎ手式の金属管におけるジョイント部をテーパーネジとし、その一方側の先端をテーパー状突起とし、他方側にこのテーパー状突起が嵌合するテーパー状の凹部を設け、ネジ結合時にテーパー状突起がテーパー状の凹部に嵌合してシール性を高めたもの(特許文献5参照)もある。
しかし、特許文献2のようにジョイント部が一段外径より大型化していると、上記既設管に内挿しようとすれば、ジョイント部分の径だけ更生管の外径を細くする必要があり、それだけ流量が少なくなるので、このような大径のジョイントをなくして接続時の外周面を面一にすることが求められている。
また、特許文献3のようにジョイント部の外表面を面一にしても内周側に肉厚を増大させると、それだけ流量が減少されるので、このようなジョイントによる狭隘部を形成せずに接続時の内周面も面一にすることが求められている。
ところで、特許文献4及び5は、送油パイプのような高圧に耐えなければならない用途に用いられる金属管の継ぎ手構造に関するものであり、このような用途における継ぎ手においては、接続部のシールを維持するため、溶接したり高圧をかけて摩擦接合する等の配慮が必要になり、大がかりな装置を要するものとなる。
一方、例えば、JIS規格の内圧管5種に要求される程度のシール性能(0.5MPa)のものにとっては上記大がかりな設備や作業によって実現される程の高いシール性能は要求されず、このようなものはオーバークオリテイになり、むしろ手作業で迅速かつ手軽に接続でき、しかも上記規格のシール性能を達成できるようにすることが望まれる。
このためには、樹脂管を用いて4条ネジなどの多条ネジで結合することが考えられる。
しかし、特許文献4のように樹脂製にした場合は、ネジ部には本来、結合を可能にするためのクリアランスが設けられているから、このクリアランスを塞ぐようにシール部材を非ネジ部に設けなければならないが、このようなシールだけでは上記規格はクリヤできず、シール部材以外でより確実にクリアランスを塞ぐ必要がある。
さらに、多条ネジを用いれば迅速なネジ結合作業が可能であるが、このネジ結合を利用してシール突起をシール溝へ嵌合させることによりシールしようとすれば、シール突起が軸方向へ移動する量(以下、ストローク量という)が小さい多条ネジでは、シール突起に加わる結合時の軸力が小さくなるからシール圧を高めることが困難であり、所定のシール性能を要求される用途には適用しにくいものであった。
また、特許文献5のように、テーパー状突起とテーパー状溝の嵌合によるシールも考えられるが、テーパー状溝は金属管に設けられているため、シールはテーパー状溝の弾性変形を利用することによって高めることを意図したものではなく、上記大がかりな装置によって単にネジ結合による軸力を高めてテーパー面に対する圧接力を高くするものであるから、4条ネジなどの結合時にシール突起が軸方向へ移動する量(以下、ストローク量という)が小さいものには適用できず、かつ作業で手軽に接続するような用途には適用できない。
さらに、ゴム製シールを有する別体の公知ジョイントを用い、これに樹脂製管の先端を圧入すれば所定のシール性能を得ることができるが、このような圧入接続には大きな力を要するので、やはり手作業で手軽に接続するような用途には適用できない。しかも接続時の外周を面一にするという上記基本的な要請も満足できない。
そのうえ、4条ネジなどのストローク量が小さい締結では、使用中に締結部のゆるみが生じるおそれがあり、この場合には長期間にわたって高いシール性能を維持することが困難になる。
そこで、本願考案は、多条ネジの樹脂製単位管を用い、手作業で手軽に接続することができるようにするとともに、所定の規格に合致する程度のシール性能を実現でき、かつ4条ネジなどのストローク量が小さい締結でも、確実な結合を維持して高いシール性能を長期間維持できるようにすることを目的とする。
前記単位管は樹脂製であり、前記雌雄のジョイント部のネジを多条ネジとし、
前記雌雄のジョイント部の一方側に、先端部がテーパー状断面をなして軸方向へ突出するシール突起を設け、他方側にこのシール突起が嵌合するシール溝を設け、
前記雌雄のジョイント部をネジ結合するとき、前記シール突起が前記シール溝を押し広げながら嵌合するとともに、
前記雌雄のジョイント部は、前記シール突起が前記シール溝を押し広げながら嵌合した状態を維持するためのゆるみ止めをなすロック部を備えることを特徴とする。
前記ロック用突起は前記締め代が形成されている状態で前記ロック用凹部へ遊嵌し、
前記増し締め時に前記ロック用凹部へ密に嵌合してロック状態となることを特徴とする。
また、隣り合う単位管をジョイント部で接続するとき、シールは軸方向の嵌合構造で形成され、シール突起が樹脂製のシール溝に対してこれを押し広げながら入り込むので、シール溝の弾性変形によりシール突起はシール溝の壁面へ密着して嵌合し、確実なシール性能を実現ができる。
その結果、所定のシール性能を実現しつつ多条ネジによる迅速な接続が可能となり、手作業で手軽に接続作業ができるようになった。
しかも、雌雄のジョイント部は、ネジ結合が完了してシール突起がシール溝にこれを押し広げながら嵌合したときロック部でロックされるため、ゆるみ止めされ、弾性変形しているシール溝とシール突起による高いシール性能を長期間に維持できる。
そのうえ、締結ストローク量が小さい多条ネジであっても確実に緩みを防止できる。
そのうえ、手首の捩り量だけで締め付け限界を把握できるので、締めすぎ並びに締め付け不足が生じにくくなり、迅速な作業を可能としつつも精度の高い接続が可能になった。
そのうえ、雄側ジョイント及び雌側ジョイントの結合時に、ロック部でロックするようにしたので、締結長ストローク量が小さい4条ネジであっても、確実に結合を維持できる。
更正管1は多数の単位管2を軸方向へ接続して長尺管として構成され、例えば陶器製の既設管3で形成された管路4の内側へ内挿される。なお、既設管3としては陶器製に限らず金属製や樹脂製のものがある。管路4は更正されるべき農業用の旧用水路をなし、一端がマンホール5へ横穴状に開口する。なお、管路4内には全長に亘って予めフェルト製チューブ4aが挿入されている。フェルト製チューブ4aはクッション用であり、その外径は管路4の外径程度であり、内径は更正管1の外径程度であり、更正管1はこのフェルト製チューブ4a内へ挿入される。6は地面、7は既設管3を埋設するため地中に形成される横穴である。
これにより単位管2は更正管1に接続して継ぎ足され、その新たな端部になるので、これを管路4内へ送り込み、さらに別の単位管2を継ぎ足すことを任意回数繰り返せば、自由な長さの長尺管からなる更正管1を形成でき管路4内に新たな流体用流路を形成できる。
このようなジョイント3aにおける単純な嵌合で継ぎ足す形式の管路4では、ジョイント部におけるシールが弱く、この接続部より洩水するおそれが大きくなる。
この単位管2の長さ方向中間部は一般肉厚部30であり、その外径R1、内径R2及び肉厚T(一般肉厚)は任意に設定できるが、例えば、本実施例では外径R1が242mm、内径R2が226mm、一般肉厚部30の肉厚Tは8mmであり、この種の樹脂製更正管においては比較的薄肉になっている。
各ネジ溝12は台形断面をなし、ネジ形成部18の表面から徐々に深くなるように彫り込まれてネジ溝12が形成され、1本のネジ溝12はネジ形成部18の外周に90°の長さで形成される。ネジ溝12の浅い部分は相手側のネジ山が係合する際の導入部となる。
また、図2に明らかなように、4条の各ネジ山13は、一つのネジ山13の周方向における端部が隣接する他のネジ山13と軸方向で部分的に重なるように配置され、このように隣り合うネジ山13が部分的に軸方向で重なると、結合時における軸方向の引っ張りに対して結合強度が高くなる。
各ネジ山13の周方向長さは、単位管2の外周における略1/4周長程度である。なお図2では3つのネジ山13が見えており、残り1つは裏側になって見えていない。
この4条ネジは、ピッチ7mm、リード28mmに設定されている。
なお、軸方向線Jは軸線Cに平行な線であり、軸方向を示す線である。
雌側ジョイント20においても、隣り合うネジ溝22が部分的に軸方向で重なることにより、結合時における軸方向の引っ張りに対して結合強度が高くなっている。
なお図2では3つのネジ溝22が見えており、残り1つは裏側になって見えていない。
ここで、雌側ジョイント20において、薄肉端部21の肉厚をT1、ネジ山22の高さをT2、段差24の高さをT3、一般肉厚30の肉厚をTとすれば、雄側ジョイント20と同様に、T1+T2+T3=Tとなる(図6参照)。
なお、ロック用突起31とロック用凹部32の位置は周方向へ略90°ずれた位置に形成されている。このロック用突起31とロック用凹部32は単純なロック部材としてだけでなく接続時に位置決め手段としても役立っている。
シール溝25の深さはシール突起15より長い4mmであり、シール突起15がシール溝25へ嵌合して外側斜面16と外壁面26及び内側斜面17と内壁面27がそれぞれ当接し、テーパー接合により接合部がシールされる。この段階はシール突起15へ特別な軸力をかけない初期嵌合状態であり、シール溝25の開口部には外側斜面16及び内側斜面17の各テーパー面上の中間点であるQ点が位置し、屈曲点Pが段差24の手前0.4mmの位置にあり、カット部15aはシール溝25の底部25aから1mm手前に位置するようになっている(この位置を初期嵌合位置ということにする)。
このため、締め代35の存在により、JIS規格5種の内圧管のに要求される耐圧要件である0.5MPaよりも遙かに高い流体圧1.0MPa程度の内圧にも耐える高シール性を実現でき、樹脂製でありながらもシール性において上記JIS規格を容易にクリヤーできる。
このとき、シール材40はシール溝25内へ予め充填するだけで済むので、ネジ結合前に簡単に充填しておくことができ、作業性に優れたものになる。
なお、締め代35が無くなったシール完了状態では、シール突起15がP点近くまでシール溝25へ嵌合し、これにともなうシール溝25側からの反力が強まり、この反力が緩み方向へ相対回転させるように作用するので、シール完了状態になると、ロック用突起31がロック用凹部32へ入り込んでロックすることにより、緩みを防止している。
この状態では、シール突起15がシール溝25へ殆ど抵抗無く嵌合して初期嵌合状態となり、締め代35も所定のクリアランスを保たれている。
そのうえ、シール溝25の中に液状又は粘液状のシール材を充填すればさらにシール性を高めることができる。
そのうえ、シール状態でロックされるから、使用中の自然な緩みが生じないから、この高いシール性を長期間維持できる。
しかも、このとき略90°の回転で接続できるから、比較的狭いマンホール5内にて容易に作業でき、しかもマンホール5の外から快適かつ迅速に作業できる。
しかも、シール突起15がシール溝25を弾性変形させて押し開きながら嵌合することによりテーパー接合することにより十分に高いシール性を実現できる。
さらに、シール溝25内へシール材を入れれば、シール性を確実かつより一層高めることができ、樹脂製でありながらも使用に十分な高シール性を実現できる。
その結果、既設管3内へ内挿するものであっても、更正管1を可及的に大径化でき、大流量を確保できる。そのうえ、更正管1の外周面全体が平滑になるので、既設管3の内側へスムーズに送り込みやすくなって作業性を向上でき、特にフェルト製チューブ4a内へ挿入する際は作業性を顕著に向上できるため、更生管に好適なものとなる。
すなわち、ロック用突起31とロック用凹部32にそれぞれ直角壁34aと同34b及び斜面33aと同33bを設け、締め代35のクリアランスdが形成されている増し締め前の状態ではロック用突起31がロック用凹部32へ遊嵌し、雄側ジョイント10及び雌側ジョイント20を締め代35のクリアランスdが解消されるように増し締めするときは、ロック用突起31がロック用凹部32へ密に嵌合してロック状態となるようにしたので、増し締め状態で雄側ジョイント10及び雌側ジョイント20の結合をロックでき、ロックが容易になり、かつロック部(31・32)の形成も容易になる。
また、ジョイント部に設けられるネジは必ずしも4条ネジで有る必要はなく、2条以上の
多条ネジであれば足りる。
さらに、シール性能の基準は、必ずしもJIS規格の等級(5種)に限定されず、他の規格における同等のシール性能を要求される等級でもよい。
31:ロック用突起、32:ロック用凹部、33a・33b:斜面、34a・34b:直角壁、33c:先端、35:締め代、36:底部
Claims (9)
- 流体の流路を形成するため、所定長さの単位管の長さ方向一端側にネジを外周面に形成した雄ジョイント部を設け、他端側にネジを内周面に形成した雌ジョイント部を設け、これら雌雄のジョイント部はそれぞれ単位管の一般肉厚内に形成するとともに、この単位管を長さ方向へ複数継ぎ足して長尺の管体とし、接続時における長尺管体の外表面が面一になるようにした流体流路用管体の構造において、
前記単位管は樹脂製であり、前記雌雄のジョイント部のネジを多条ネジとし、
前記雌雄のジョイント部の一方側に、先端部がテーパー状断面をなして軸方向へ突出するシール突起を設け、他方側にこのシール突起が嵌合するシール溝を設け、
一方、前記雌雄のジョイント部間には、前記多条ネジによる締結時に増し締め用のクリアランスをなす締め代を形成し、
前記雌雄のジョイント部をネジ結合するとき、前記締め代を解消するように増し締めするとき、前記シール突起が前記シール溝を押し広げながら嵌合するとともに、
前記雌雄のジョイント部は、前記シール突起が前記シール溝を押し広げながら嵌合した状態を維持するためのゆるみ止めをなすロック部を備えることを特徴とする流体流路用管体の構造。 - 前記ロック部は、前記雌雄のジョイント部のいずれか側に設けられるロック用突起と他方側に設けられるロック用凹部を備え、
前記ロック用突起は前記締め代が形成されている状態で前記ロック用凹部へ遊嵌し、
前記増し締め時に前記ロック用凹部へ密に嵌合してロック状態となることを特徴とする請求項1に記載した流体流路用管体の構造。 - 前記ロック用突起とロック用凹部は、それぞれ斜面と直角壁を備え、ロック時に前記斜面同士及び直角壁同士が当接することを特徴とする請求項2に記載した流体流路用管体の構造。
- 前記ロック用突起は、前記斜面と直角壁をつなぐ先端を備え、前記ロック用凹部は、前記斜面と直角壁をつなぐ底部を備え、前記先端の幅が前記底部の幅よりも広いことを特徴とする請求項3に記載した流体流路用管体の構造。
- 前記シール突起は先端部をV字状断面とし、前記シール溝は前記シール突起が嵌合するV字状断面溝とし、前記シール突起のV字状をなす開き角度が前記シール溝のV字状をなす開き角度よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載した流体流路用管体の構造。
- 前記シール溝には角断面のシール材が充填されることを特徴とする請求項5に記載した流体流路用管体の構造。
- 前記雌雄のネジは、各ジョイント部の周方向に略1/4周毎に形成された4本のネジ溝とこのネジ溝に係合する4本のネジ山からなる4条ネジであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載した流体流路用管体の構造。
- 前記単位管を継ぎ足した長尺の管体は更正管として用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載した流体流路用管体の構造。
- 前記単位管は、マンホール外にて、手で持ってマンホール内へ差し込んだ状態で継ぎ足し接続するものであることを特徴とする請求項8に記載した流体流路用管体の構造。
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