JP3156913B2 - 耐水性に優れたインク組成物 - Google Patents

耐水性に優れたインク組成物

Info

Publication number
JP3156913B2
JP3156913B2 JP27014195A JP27014195A JP3156913B2 JP 3156913 B2 JP3156913 B2 JP 3156913B2 JP 27014195 A JP27014195 A JP 27014195A JP 27014195 A JP27014195 A JP 27014195A JP 3156913 B2 JP3156913 B2 JP 3156913B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkali
soluble
ink composition
water
ink
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP27014195A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09111162A (ja
Inventor
ウィリアム、マリット
藤 弘 伊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP27014195A priority Critical patent/JP3156913B2/ja
Priority to DE69606486T priority patent/DE69606486T2/de
Priority to EP96116821A priority patent/EP0769537B1/en
Priority to US08/733,477 priority patent/US5932631A/en
Publication of JPH09111162A publication Critical patent/JPH09111162A/ja
Priority to HK98110066A priority patent/HK1009284A1/xx
Application granted granted Critical
Publication of JP3156913B2 publication Critical patent/JP3156913B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、インクジェット記録方式に好ましく用いられ
るインク組成物に関し、より詳しくは、インクジェット
記録方式に用いられた際、優れた吐出安定性を有し、か
つ耐水性のある記録画像を形成するインク組成物に関す
る。
【0002】背景技術 現在、インクの小滴をノズルから放出し、紙の様な記録
媒体に付着させる、いくつかの異なったインクジェット
記録方法が知られている。インクジェット記録方式は静
電吸引方式、空気圧送方式、圧電素子の電気的変形を利
用した方式、加熱発泡時の圧力を利用した方式等により
小滴を発生、噴射させ、さらにこのインク小滴を記録用
紙に付着させて記録を行なう。
【0003】インクジェット記録方式に用いられるイン
クはこの分野では良く知られており、このインクは水溶
性染料の溶液、または比較的水に溶解しにくい顔料を水
または水溶性有機溶剤を含む水溶液に分散させた液の形
態をとるのが一般的である。インクジェット記録方式に
用いられるインクに望まれる性能としては、一般的に、
1)記録媒体の種類に無関係な高い記録品質、2)記録
されたインクの、記録媒体の種類に無関係な耐水性、
3)記録表面を軽く擦った時の、記録されたインクの耐
性、4)連続的に記録した頁を重ねても記録画像が汚れ
ないだけの、記録画像の速乾性、5)温度に対するイン
クの安定性、6)実際の記録条件下において記録ヘッド
のノズルを詰らせないというインクの安定性、7)蒸発
により溶剤を失ったインクが、新しいインクに触れた
時、そのインクに再び溶解する、または再分散するもの
であること、が挙げられる。7)として挙げた性能は、
インクジェットプリンターが長時間使用されずおかれた
とき、インク溜めに貯蔵され溶剤成分の蒸発が最少に抑
えられていたインクによりヘッドにパルスを与えること
により、記録ヘッドを“クリーニング”するような態様
において重要である。上記性能の相対的な重要性は、そ
れぞれの記録用途により異なることは無論である。
【0004】一般的に、上記の性能の中には、他の性能
と相容れないものがある。例えば、比較的溶解しにくい
顔料を、水または水溶性有機溶剤を含む水溶液に分散さ
せた液からなるインクは、記録媒体の種類に関係なく、
極めて高い記録品質および記録されたインクの優れた耐
水性を与える様に配合することができる。その様なイン
クの耐水性は、その着色顔料固有の耐水性によるもので
ある。しかし、顔料は、水または水溶性有機溶剤を含む
水溶液に、溶解ではなく、分散されている。従って、こ
の種のインクは、極端な温度または実際の記録条件にお
いて安定性を欠くことがある。更に前記したような、新
鮮なインクと乾燥したインクとを(例えば、ヘッドにお
いて)接触させた際に、顔料が再分散される様にこの種
のインクを配合することは極めて困難である。
【0005】対照的に、水溶性染料を水または水溶性有
機溶剤を含む水溶液に溶解させたインクは、速乾性の記
録画像を形成し、極端な温度および実際の記録条件に対
して優れた安定性を有する。染料が水溶性であるため、
新鮮なインクと乾燥したインクとを接触させた際、染料
は容易に再溶解し得る。この種のインクを配合すること
は比較的容易である。しかし、染料は水溶性であるた
め、あらゆる種類の記録媒体上において耐水性である記
録画像を得ることは難しい。
【0006】比較的溶解し難い顔料を、水または水溶性
有機溶剤を含む水溶液に分散させた液からなるインクに
おける前記のような問題を解決するため、アルカリに可
溶な重合体樹脂を含むインク組成物が提案されている。
特開昭53−114985号公報には、フェノール性官
能基を含む重合体樹脂を使用し、水に不溶な顔料または
分散染料のエマルションを含んだインク組成物が開示さ
れている。このようなインク組成物により重合体を含ま
ないインクよりも良好な発色が得られるとされている。
重合体により安定化させた、水に不溶性の顔料または分
散させた染料の粒子径は3μm未満と記載されている。
【0007】特開昭62−11782号公報、(特公平
5−62632号公報)には、スルホン酸官能基を含む
ポリエステル樹脂を使用し、水不溶性の染料または分散
染料のエマルションを含んだインク組成物が開示されて
いる。このようなインク組成物により重合体を含まない
インクよりも優れた耐水性が得られるとされている。こ
の公報には、重合体により安定化させた、水不溶性の染
料または分散させた染料の粒子径に関する記載はない。
【0008】特開平2−248475号公報には、カル
ボン酸官能基を含む重合体樹脂を使用し、水溶性染料ま
たは水溶性顔料のいずれかを含む重合体分散液によるエ
マルションを含んだインク組成物が開示されている。こ
のようなインク組成物により重合体を含まないインクよ
りも優れた耐水性および耐光性が得られるとされてい
る。この公報では、インク組成物を含むアルカリ可溶性
樹脂は、50℃で3箇月安定であったとされている。
【0009】これら3つの例において使用されているア
ルカリ可溶性重合体は、重合体粒子を含む不溶性顔料お
よび染料の分散液の安定性に大きく貢献していると思わ
れる。しかし、顔料または染料を含む重合体粒子は、水
または水溶性有機溶剤を含む水溶液に、溶解しているの
ではなく、分散している。従って極端な温度や実際の記
録条件において完全に安定ではない、長期間の間に粒子
の沈降が起こるなどの点ではさらなる改良の余地を残す
ものであった。さらに、この種のインクは、乾燥したイ
ンクと新鮮なインクとを接触させた際、容易に再分散さ
せることができない。
【0010】水または水溶性有機溶剤を含む水溶液と水
溶性染料とからなるインクにおける前記のような問題を
解決するため、アルカリに可溶な重合体樹脂を使用した
インク組成物が提案されている。特公昭40−6581
号公報には、カルボン酸官能基を含む重合体樹脂および
水溶性の塩基性染料を含んでなるインク組成物が記載さ
れている。このようなインク組成物によって重合体を含
まないインクよりも優れた耐水性を付与することができ
るとされている。
【0011】特開昭62−64875号公報、(特公平
5−62633号公報)には、スルホン酸官能基を含む
重合体樹脂および水溶性の塩基性染料を含んでなるイン
ク組成物が記載されている。このようなインク組成物に
より重合体を含まないインクよりも優れた耐水性が得ら
れるとされている。
【0012】特開平5−230413号公報には、カル
ボン酸官能基を含むスチレン系重合体樹脂および水溶性
の塩基性染料を含んでなるインク組成物が記載されてい
る。ここで用いられている重合体の平均分子量は150
0〜30000であり、重合体の酸価は150〜300
である。このようなインク組成物により重合体を含まな
いインクよりも優れた耐水性が得られるとされている。
【0013】これら3つの例に使用されているアルカリ
可溶性重合体は、耐水性に大きく貢献していると思われ
る。しかし、染料が水溶性であるため、記録画像はあら
ゆる種類の記録媒体上で完全に耐水性ではない。染料は
本来水溶性であるため、記録画像を過剰の水に露出する
と、染料がある程度溶解することから改良の余地を残す
ものであった。
【0014】
【発明の概要】本発明は、紙の種類に関係なく、耐水性
の記録画像を紙の上に形成することができるインク組成
物、とりわけインクジェット記録に好ましく用いられる
インク組成物の提供をその目的としている。また、本発
明は、記録された画像が速やかに乾燥するインク組成物
の提供をその目的としている。さらに本発明は、記録ヘ
ッドのノズルを詰まらせることなく、またインク小滴が
記録ヘッドに対して直角でない曲線を描いて放出される
ことない(飛行曲りがない)インク組成物の提供を目的
としている。さらにまた本発明は、乾燥したインク組成
物と新鮮なインク組成物とを接触させた時に乾燥したイ
ンクを容易に再溶解させることができるインク組成物の
提供をその目的としている。
【0015】本発明によるインク組成物は、水と、アル
カリ可溶性樹脂と、発色部分が陽イオンである油溶造塩
染料と、前記アルカリ可溶性重合体および前記油溶造塩
染料の双方をインク組成物中で完全に溶解させる量のア
ルカリとを含んでなるもの、である。
【0016】
【発明の具体的説明】本発明によるインク組成物は、小
径のノズル(一般的に直径が50ミクロン未満のノズ
ル)を通してインクを噴出させる、この分野で公知の方
法のいずれかのインクジェット記録方式にも好ましく使
用することができる。本発明のインク組成物は、また、
ペンの様な筆記用具に使用することも可能である。
【0017】アルカリ可溶性樹脂 本発明において用いられるアルカリ可溶性樹脂は、pH
が4〜7の水には事実上不溶である。ここで、事実上不
溶とは、25℃の水に対する溶解度が好ましくは0.1
g/l未満であることを意味する。さらに、本発明に用
いられるアルカリ可溶性樹脂は水との混合物とされ、さ
らにある量のアルカリが加えられた場合、水に溶解する
ことが必要である。
【0018】アルカリ可溶性樹脂の具体例としては、好
ましくはスルホン酸含有樹脂、カルボン酸含有樹脂、お
よびフェノール樹脂を挙げることができる。
【0019】スルホン酸含有樹脂として分類できるアル
カリ可溶性樹脂としては、例えばスルホン化ポリスチレ
ンおよびスルホン化スチレン−無水マレイン酸共重合体
が挙げられる。前者の種類の重合体樹脂は、例えばNati
onal Starch and Chemical社(10 Finderne Ave., Bridg
ewater, NJ 08807; USA)からVERSA-TLの商品名で幾つか
の異なったグレードのものが市販されている。後者の種
類の重合体樹脂は、例えばNational Starch and Chemic
al社からNATROLの商品名で幾つかの異なったグレードの
ものが市販されている。
【0020】カルボン酸含有樹脂に分類できるアルカリ
可溶性樹脂としては、例えばスチレン−アクリル酸樹
脂、スチレン−マレイン酸樹脂、部分的にエステル化さ
れたスチレン−マレイン酸樹脂、およびイソブチレン−
マレイン酸樹脂が挙げられる。スチレン−アクリル酸樹
脂は、SC Johnson Polymer社(1525 Howe St.; Racine,W
I 53403; USA)からJONCRYL の商品名で幾つかの異なっ
たグレードのものが市販されている。スチレン−マレイ
ン酸樹脂は、Monsanto社(800 N. Lindbergh Blvd.; St.
Louis, MO 63167; USA)からSCRIPSETの商品名で幾つか
の異なったグレードのものが市販されている。部分的に
エステル化されたスチレン−マレイン酸樹脂は、Aldric
h Japan(東京都千代田区)から幾つかの異なったグレー
ドのものが市販されている。具体例としては、ポリ(ス
チレン−コ−マレイン酸)、部分2−ブトキシエチルエ
ステル(カタログ番号41,637−1)、ポリ(スチ
レン−コ−マレイン酸)、部分シクロヘキシル/イソプ
ロピルエステル(カタログ番号41,637−3)、ポ
リ(スチレン−コ−マレイン酸)、部分イソオクチルエ
ステル(カタログ番号41,637−7)、およびポリ
(スチレン−コ−マレイン酸)、部分プロピルエステル
(カタログ番号41,637−5)が挙げられる。イソ
ブチレン−マレイン酸樹脂は、株式会社クラレ(茨城県
鹿島郡)からイソバンの商品名で幾つかの異なったグレ
ードのものが市販されている。
【0021】フェノール樹脂として分類できるアルカリ
可溶性樹脂は、荒川化学工業株式会社(大阪市中央区)
からタマノルの商品名で幾つかの異なったグレードのも
のが市販されている。
【0022】油溶造塩染料 本発明において用いられる塩の発色部分が陽イオンであ
る油溶造塩染料は、水に不溶であるか、実際上不溶であ
る。この場合、実際上不溶とは、25℃での水に対する
溶解度が好ましくは0.1g/l以下であることを意味
する。一般的に、油溶造塩染料とは、トルエン、エタノ
ール、アセトン、酢酸エチル、およびテトラヒドロフラ
ンの様な有機溶剤にある程度可溶であり、発色部分がイ
オン化でき、対イオンと塩を形成している染料を意味す
る。前記有機溶剤に対する油溶性染料の一般的な溶解度
は、25℃で約0.2g/l以上である。油溶造塩染料
である、モノメチン化合物の種類に属するDiaresin Yel
low L3G の25℃における上記有機溶剤に対する溶解度
は、トルエンで1.0g/l、エタノールで9.6g/
l、アセトンで23.5g/l、酢酸エチルで14.0
g/l、およびテトラヒドロフランで67.5g/lで
ある。Diaresin Yellow L3G の水に染料する溶解度は2
5℃で0.1g/l未満である。
【0023】油溶性ではあるが、造塩染料ではない染料
は、本発明において用いられても十分な安定性を得るこ
とができない。油溶性であるが、造塩染料ではない染料
は、アルカリ可溶性樹脂およびアルカリと共に使用した
場合、水溶液を形成しないので、これらの染料は本発明
の範囲外である。
【0024】本発明において用いられる油溶造塩染料
は、電導度測定法により、油溶性であるが、造塩染料で
はない染料から区別することができる。塩橋を使用する
ことにより、油溶性染料の伝動度は、豊富な実験データ
が揃っているアセトニトリルまたはN,N−ジメチルホ
ルムアミドの様な非水性溶剤中で測定することができ
る。油溶性であるが、造塩染料ではない染料は、導電性
をほとんど、またはまったく示さず、非電解質を示す導
電性値を与える。油溶造塩染料は大きな導電性を示し、
電解質の種類を示す値、例えば1:1、1:2、1:
3、2:2、を与える。市販されている油溶造塩染料の
ほとんどは、1:1電解質である。
【0025】本発明において用いられる油溶造塩染料は
さらに、塩の発色部分が陽イオンのものである。油溶造
塩染料であるが塩の発色部分が陰イオンである多くの染
料を、アルカリ可溶性樹脂およびアルカリと共に使用し
た場合、十分な耐水性を得ることができない。
【0026】本発明において用いられる塩の発色部分が
陽イオンである油溶造塩染料は、電気泳動法を使用する
ことにより、塩の発色部分が陰イオンである油溶造塩染
料から区別することができる。油溶造塩染料をポリアク
リルアミドゲル上に載せた簡単な電気泳動装置を使用
し、発色部分の電荷を区別することは容易である。染料
の発色部分が陽イオンである場合、染料の着色部分が負
に帯電した電極に移動する。同様に、染料の発色部分が
陰イオンである場合、染料の着色部分は正に帯電した電
極に移動する。
【0027】また、陽イオン系発色部分および陰イオン
系発色部分の双方が単一の染料中に存在する油溶造塩染
料もまた存在するがこの様な染料を本発明のアルカリ可
溶性樹脂およびアルカリと共に使用しても、十分な耐水
性を得ることができない。
【0028】本発明において用いられる油溶造塩染料と
しては、例えばAizen Spilon Yellow C-GNH (商品名、
保土谷化学工業株式会社製)、Aizen Spilon Yellow C-
2GH(商品名、保土谷化学工業株式会社製)、Aizen Spi
lon Red C-GH (商品名、保土谷化学工業株式会社
製)、Aizen Spilon Red C-BH (商品名、保土谷化学工
業株式会社製)、Aizen Spilon Blue C-RH(商品名、保
土谷化学工業株式会社製)、Aizen Spilon Violet C-RH
(商品名、保土谷化学工業株式会社製)、Oplas Yellow
140(オリエント化学工業株式会社製)、Alcohol Blue
B-10 (中央合成株式会社製)、Alcohol Pink P-30
(中央合成株式会社製)、Alcohol Yellow Y-10 (中央
合成株式会社製)、およびDiaresin Yellow L3G (三菱
化成工業株式会社製)が挙げられる。
【0029】市販されてはいないが、塩の発色部分が陽
イオンである油溶造塩染料である他の染料を用いること
も可能である。インクジェット記録には、ピーク吸収が
675nm付近にあるシアン色の染料が好ましい。ピー
ク吸収が675nm付近にある油溶性の銅フタロシアニ
ン染料が市販されている。この様な油溶性銅フタロシア
ニン染料を、そのピーク吸収を変えずに、化学的に変性
させ、油溶造塩性の類似体とし、用いることができる。
変性方法としては、フタロシアニンリング系をスルホン
化し、次いでスルホニル基を、陽イオン系官能基を含む
アミンでアミド化する方法が挙げられる。この様な染料
は本発明に包含される。
【0030】アルカリ 本発明において用いられるアルカリは、インク組成物中
においてアルカリ可溶性樹脂および油溶造塩染料を溶解
させるものであれば特に限定されない。本発明において
好ましく用いることができるアルカリとしては、無機塩
基、水溶性の有機塩基、および僅かに水溶性の有機塩基
が挙げられる。
【0031】無機塩基としては、NaOH、KOH、L
iOH、CsOH、メタケイ酸ナトリウム、リン酸水素
二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、重炭酸ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、およびアンモニアが挙げられる。
【0032】水溶性有機塩基の例としては、メチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミ
ン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールア
ミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N
−メチル−エタノールアミン、N,N−ジメチルエタノ
ールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジプロピ
ルアミン、ジブチルアミン、トリプロパノールアミン、
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、エチレンジ
アミン、N,N´−ジメチルエチレンジアミン、N,
N,N´N´−テトラメチルエチレンジアミン、水酸化
テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモ
ニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テ
トラブチルアンモニウムが挙げられる。
【0033】僅かに水溶性の有機塩基としては、トリプ
ロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミ
ン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルア
ミン、およびジヘキシルアミンが挙げられる。
【0034】アルカリの選択は、アルカリ可溶性樹脂の
種類、油溶造塩染料の種類、アルキレングリコールまた
はポリアルキレングリコールの水溶性モノアルキルエー
テルの様な所望により添加される添加剤の濃度および種
類、ならびに所望の耐水性を勘案して決定される。スル
ホン酸含有樹脂およびカルボン酸含有樹脂を使用する場
合、比較的弱塩基性の塩基を用いることができ、例えば
室温で揮発性の有機アミンを用いるのが好ましい。フェ
ノール樹脂を使用する場合、比較的強塩基性の塩基を用
いることが好ましく、例えば水酸化ナトリウムの様な無
機塩基を用いるのが好ましい。
【0035】同一の樹脂を使用しても、使用する染料の
種類に応じて、異なった塩基を使用することが好ましい
場合がある。例えば、スチレン−アクリル酸の2:1混
合物(JONCRYL 682) およびAizen Spilon Red C-BH は、
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いること
が好ましい。また、スチレン−アクリル酸(JONCRYL 68
2) およびDiaresin Yellow L3G の2:1混合物は、ト
リエチルアミンまたはNaOHの様なより強い塩基を用
いることが好ましい。
【0036】不揮発性アルカリおよび揮発性アルカリの
双方を使用するのが望ましいことがある。不揮発性アル
カリは、十分な貯蔵寿命が得られる様に、インクをある
一定のpHに維持し、揮発性アルカリは、記録画像の良
好な耐水性を与えるものと思われるからである。
【0037】インク組成物 以下はあくまで仮定であって、本発明を限定する意図の
もと理解されないことを条件として、本発明によるイン
ク組成物が安定で、かつ耐水性ある印字が形成出来る理
由は以下の通りと考えられる。本発明によるインク組成
物中においては、アルカリ可溶性樹脂に、油溶染料が、
双方の電荷の吸引力により付着しているものと思われ
る。その結果、着色成分はインク組成物中に安定に存在
することができるものと考えられる。一方、記録媒体上
で乾燥したインク組成物に水が付着しても、付着する水
のpHは一般に中性ないし酸性であり、また乾燥したイ
ンク組成物中のアルカリ成分が溶け出し、付着した水の
アルカリ不活性樹脂が再溶解するほどのアルカリ性とす
るには水は大過剰であることが一般的であると考えられ
る。すなわち、通常の水の付着によって、着色剤たる染
料が再溶解することはない。以上のような機序により、
インク組成物の高い安定性と、印字物の高い耐水性が得
られるものと考えられる。
【0038】インク組成物中のアルカリ可溶性樹脂の量
は、本発明の目的が達成される範囲で重合体の種類、重
合体の分子量、および他のインク成分(染料、アルカ
リ、および所望により使用する添加剤、例えばアルキレ
ングリコールまたはポリアルキレングリコールの水溶性
モノアルキルエーテル)を勘案して適宜決定されてよい
が、好ましくは1〜15重量%程度の範囲である。この
範囲であると、妥当な強度を有する記録画像を得るのに
十分な量の染料を可溶化することができ、分子量が非常
に低いアルカリ可溶性樹脂であっても、適正なインクの
粘度が得られる。インクジェット記録に用いられる場
合、インク組成物の粘度は20℃で10cps以下とな
るようアルカリ可溶性重合体の量が決定されるのが好ま
しい。
【0039】油溶造塩染料は、アルカリ可溶性樹脂の重
量に対して0.05〜3重量部の量でより好ましくは
0.2〜1.2重量部の量で存在させるのが好ましい。
【0040】アルカリの量は、アルカリ可溶性重合体お
よび油溶造塩染料を完全に溶解させる量である限り、特
に限定されないが、重合体および染料を溶解させるのに
必要な最小量よりも僅かに過剰なアルカリ量であるのが
好ましい。より大きなインクの安定性を得るためには、
重合体および染料を溶解させるのに必要な最小量より1
0%以上過剰なアルカリ量であるのが好ましい。
【0041】アルカリ可溶性樹脂および油溶造塩染料を
溶解させるのに必要なアルカリの最小量は、アルキレン
グリコールまたはポリアルキレングリコールの水溶性モ
ノアルキルエーテルの様な所望により使用する添加剤の
量により僅かに影響される。したがって、所望により使
用する添加剤を使用する場合、その添加剤は、アルカリ
を加える前に添加するのが有利であるが、これに限定さ
れるものではない。
【0042】本発明によるインク組成物には、記録画像
に速乾性を与えるために、アルキレングリコールまたは
ポリアルキレングリコールの水溶性モノアルキルエーテ
ルを加えることができる。これらを添加することによ
り、印字の乾燥性を改善することができる。しかしなが
ら、重合体と染料のある種の組合せでは、アルキレング
リコールまたはポリアルキレングリコールの水溶性モノ
アルキルエーテルを加えずに、記録画像を十分迅速に乾
燥させることも可能である。
【0043】アルキレングリコールまたはポリアルキレ
ングリコールの水溶性モノアルキルエーテルとしては、
例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレ
ングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール
モノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ
−i−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n
−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−s−ブチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノ−i−プロピルエーテル、ジエチレン
グリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノ−s−ブチルエーテル、トリエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノ
エチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−プ
ロピルエーテル、トリエチレングリコールモノ−i−プ
ロピルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブ
チルエーテル、トリエチレングリコールモノ−s−ブチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、およびプロピレングリコールモノエチルエーテルが
挙げられる。アルキレングリコールまたはポリアルキレ
ングリコールの水溶性モノアルキルエーテルの量は、1
〜40%が好ましく、より好ましくは5〜30%であ
る。
【0044】本発明によるインク組成物は、上記の成分
に加えてさらに、グリセロールの様な湿潤剤、殺菌剤、
界面活性剤、およびインクの粘度調節に使用できる他の
水溶性樹脂を含むことができる。
【0045】本発明によるインク組成物は、好ましくは
染料およびアルカリ可溶性樹脂の均質な混合物を最初に
製造し、十分な量のアルカリを加えてた水に溶解させる
ことによって製造することができる。均質な混合物を水
に溶解させる前に、アルキレングリコールまたはポリア
ルキレングリコールの水溶性モノアルキルエーテルの様
な所望により使用する添加剤を混合物に加えておくと、
一般的に溶解はさらに促進されるので好ましい。
【0046】油溶性染料およびアルカリ可溶性樹脂の均
質な混合物は、種々の方法により製造することができ
る。好ましい方法の一つは、染料をアルカリ可溶性樹脂
とともに高温、高せん断率下において混合することであ
る。好ましい温度は、アルカリ可溶性樹脂の軟化点より
高く、油溶造塩染料の分解温度よりも低い温度である。
高せん断率は、プラスチックの押出し成形用に設計され
た混合装置を使用して作用させることができる。もう一
つの好ましい方法は、重合体および染料の両方を互いに
相容性がある揮発性溶剤に溶解させ、次いで溶液を噴霧
乾燥させる方法である。別の方法では、染料が可溶であ
り、重合体が不溶であるが、膨潤し得る溶剤で重合体を
膨潤させる。高い温度および圧力を使用し、膨潤した重
合体に染料が染み込む速度を増加することができる。
【0047】また、本発明によるインク組成物は、アル
カリ存在下にアルカリ可溶性樹脂を水に溶解し、この溶
液に油溶染料を添加してこれを溶解することにより製造
されてもよい。
【0048】
【実施例】下記の実施例により本発明をさらに説明す
る。実施例1 ステンレス鋼製のビーカー中でAizen Spilon Violet C-
RH(商品名、保土谷化学工業株式会社製)2.5gをフ
ェノール樹脂タマノルPA(商品名、荒川化学工業株式
会社製)5gと混合した。混合物を180℃において1
0分間加熱している間、ステンレス鋼製のスパチュラを
使用して混合物を強く攪拌した。加熱および混合の後、
均質な半透明でガラス状の混合物が得られた。室温に冷
却した後、ガラス状の樹脂−染料材料を小片に砕き、1
00mlの試料びんに移した。40%NaOH水溶液
3.25gおよび超純水79.25gも試料びんに入れ
た。この混合物を室温で6時間攪拌し、その間にガラス
状の樹脂−染料材料の大部分が溶解した。エチレングリ
コールモノ−n−ブチルエーテル10gを加え、混合物
をさらに1時間攪拌した。5μmのステンレス鋼メッシ
ュを通して混合物を濾過し、未溶解粒子を除去した。こ
のインク組成物の粘度は20℃において3.8cpsで
あり、pHは12.5であった。
【0049】実施例2 ステンレス鋼製のビーカー中でAizen Spilon Blue C-RH
(商品名、保土谷化学工業株式会社製)2.5gをフェ
ノール樹脂タマノルPA(商品名、荒川化学工業株式会
社製)5gと混合した。実施例1と同様にして混合物を
加熱、混合し、均質な半透明でガラス状の混合物を得
た。実施例1と同様にして、ガラス状の樹脂−染料材料
を超純水79.25gおよび40%NaOH水溶液3.
25gに本質的に溶解させた。ジエチレングリコールモ
ノエチルエーテル10gを加え、混合物をさらに1時間
攪拌した。5μmのステンレス鋼メッシュを通して混合
物を濾過し、未溶解粒子を除去した。このインク組成物
の粘度は20℃において3.7cpsであり、インク組
成物のpHは12.5であった。
【0050】実施例3 ステンレス鋼製のビーカー中でAizen Spilon Yellow C-
GNH (商品名、保土谷化学工業株式会社製)2.5gを
フェノール樹脂タマノルPA(商品名、荒川化学工業株
式会社製)5gと混合した。実施例1と同様にして混合
物を200℃に加熱し、混合し、均質な半透明でガラス
状の混合物を得た。実施例1と同様にして、ガラス状の
樹脂−染料材料を超純水80.1gおよび40%NaO
H水溶液2.4gに本質的に溶解させた。ジエチレング
リコールモノメチルエーテル10gを加え、混合物をさ
らに1時間攪拌した。5μmのステンレス鋼メッシュを
通して混合物を濾過し、未溶解粒子を除去した。このイ
ンク組成物の粘度は20℃において3.7cpsであ
り、インク組成物のpHは12.3であった。
【0051】実施例4 ステンレス鋼製のビーカー中でAizen Spilon Yellow C-
2GH (商品名、保土谷化学工業株式会社製)2.5gを
フェノール樹脂タマノルPA(商品名、荒川化学工業株
式会社製)5gと混合した。実施例1と同様にして混合
物を200℃に加熱し、混合し、均質な半透明でガラス
状の混合物を得た。実施例1と同様にして、ガラス状の
樹脂−染料材料を超純水80.1gおよび40%NaO
H水溶液2.4gに本質的に溶解させた。トリエチレン
グリコールモノ−n−ブチルエーテル10gを加え、混
合物をさらに1時間攪拌した。5μmのステンレス鋼メ
ッシュを通して混合物を濾過し、未溶解粒子を除去し
た。このインク組成物の粘度は20℃において4.1c
psであり、インク組成物のpHは12.4であった。
【0052】実施例5 ステンレス鋼製のビーカー中でOplas Yellow 140(商品
名、オリエント化学工業株式会社製)2.5gをフェノ
ール樹脂タマノルPA(商品名、荒川化学工業株式会社
製)5gと混合した。実施例1と同様にして混合物を1
60℃に加熱し、混合し、均質な半透明でガラス状の混
合物を得た。実施例1と同様にして、ガラス状の樹脂−
染料材料を超純水80.5gおよび40%NaOH水溶
液2gに本質的に溶解させた。ジエチレングリコールモ
ノ−n−ブチルエーテル10gを加え、混合物をさらに
1時間攪拌した。5μmのステンレス鋼メッシュを通し
て混合物を濾過し、未溶解粒子を除去した。このインク
組成物の粘度は20℃において3.5cpsであり、イ
ンク組成物のpHは10.9であった。
【0053】実施例6 ステンレス鋼製のビーカー中でAizen Spilon Red C-BH
(商品名、保土谷化学工業株式会社製)2.5gをフェ
ノール樹脂タマノルPA(商品名、荒川化学工業株式会
社製)5gと混合した。実施例1と同様にして混合物を
加熱し、混合し、均質な半透明でガラス状の混合物を得
た。実施例1と同様にして、ガラス状の樹脂−染料材料
を超純水78.75gおよび40%NaOH水溶液3.
75gに本質的に溶解させた。ジエチレングリコールモ
ノ−n−ブチルエーテル10gを加え、混合物をさらに
1時間攪拌した。5μmのステンレス鋼メッシュを通し
て混合物を濾過し、未溶解粒子を除去した。このインク
組成物の粘度は20℃において4.2cpsであり、イ
ンク組成物のpHは12.8であった。
【0054】実施例7 ステンレス鋼製のビーカー中でAlcohol Blue B-10 (商
品名、中央合成株式会社製)2.5gをフェノール樹脂
タマノルPA(商品名、荒川化学工業株式会社製)5g
と混合した。実施例1と同様にして混合物を加熱し、混
合し、均質な半透明でガラス状の混合物を得た。実施例
1と同様にして、ガラス状の樹脂−染料材料を超純水7
9.25gおよび40%NaOH水溶液2.35gに本
質的に溶解させた。ジエチレングリコールモノ−n−ブ
チルエーテル10.9gを加え、混合物をさらに1時間
攪拌した。5μmのステンレス鋼メッシュを通して混合
物を濾過し、未溶解粒子を除去した。この水溶液インク
組成物の粘度は20℃において3.7cpsであり、イ
ンク組成物のpHは11.5であった。
【0055】実施例8 ステンレス鋼製のビーカー中でAlcohol Blue B-10 (商
品名、中央合成株式会社製)3.0gをスチレン−アク
リル酸樹脂JONCRYL 682 (商品名、SC JohnsonPolymer
社製)7.5gと混合した。実施例1と同様にして混
合物を加熱し、混合し、均質な半透明でガラス状の混合
物を得た。実施例1と同様にして、ガラス状の樹脂−染
料材料を超純水76gおよびトリエチルアミン3.5g
に本質的に溶解させた。ジエチレングリコールモノエチ
ルエーテル10gを加え、混合物をさらに1時間攪拌し
た。5μmのステンレス鋼メッシュを通して混合物を濾
過し、未溶解粒子を除去した。このインク組成物の粘度
は20℃において4.3cpsであり、インク組成物の
pHは8.9であった。
【0056】実施例9 ステンレス鋼製のビーカー中でDiaresin Yellow L3G
(商品名、三菱化成工業株式会社製)3.0gをスチレ
ン−アクリル酸樹脂JONCRYL 682 (商品名、SC Johnson
Polymer 社製)7.5gと混合した。実施例1と同様
にして混合物を加熱し、混合し、均質な半透明でガラス
状の混合物を得た。実施例1と同様にして、ガラス状の
樹脂−染料材料を超純水62.9gおよびジイソプロピ
ルエチルアミン6.7gに本質的に溶解させた。ジエチ
レングリコールモノ−n−ブチルエーテル19.9gを
加え、混合物をさらに1時間攪拌した。5μmのステン
レス鋼メッシュを通して混合物を濾過し、未溶解粒子を
除去した。このインク組成物の粘度は20℃において
4.4cpsであり、インク組成物のpHは10.3で
あった。
【0057】実施例10 ステンレス鋼製のビーカー中でAizen Spilon Red C-BH
(商品名、保土谷化学業株式会社製)3.0gをスチレ
ン−アクリル酸樹脂JONCRYL 682 (商品名、SCJohnson
Polymer 社製)7.5gと混合した。実施例1と同様
にして混合物を加熱し、混合し、均質な半透明でガラス
状の混合物を得た。実施例1と同様にして、ガラス状の
樹脂−染料材料を超純水75.7gおよびトリエチルア
ミン3.8gに本質的に溶解させた。ジエチレングリコ
ールモノ−n−ブチルエーテル10gを加え、混合物を
さらに1時間攪拌した。5μmのステンレス鋼メッシュ
を通して混合物を濾過し、未溶解粒子を除去した。この
インク組成物の粘度は20℃において4.2cpsであ
り、インク組成物のpHは8.1であった。
【0058】実施例11 Aizen Spilon Violet C-RH(商品名、保土谷化学業株式
会社製)2.0gを、0.1N硫酸で洗浄し、水洗し、
次いで真空乾燥させたスルホン化ポリスチレン樹脂VERS
A-TL(商品名、National Starch and Chemical製)8.
0gと混合した。この染料と樹脂の混合物およびエタノ
ール80gを、200mlのテフロンライニングしたス
テンレス鋼製の分解用圧力容器に移した。分解用圧力容
器を密封し、100℃のオーブン中に24時間置いた。
室温に冷却した後、ゲル状混合物を100mlの試料び
んに移した。混合物をホットプレート上で加熱し、エタ
ノールを数時間かけて徐々に蒸発させた。試料びんおよ
びその内容物をデシケーター中、減圧で24時間さらに
乾燥させ、残留エタノールを完全に除去した。この試料
びんに、30%トリメチルアミン水溶液1.35gおよ
び超純水76.65gを入れた。混合物を常温で6時間
攪拌し、この間に固体物質の大部分が溶解した。エチレ
ングリコールモノエチルエーテル12gを加え、混合物
をさらに1時間攪拌した。5μmのステンレス鋼メッシ
ュを通して混合物を濾過し、未溶解粒子を除去した。こ
のインク組成物の粘度は20℃において4.5cpsで
あり、インク組成物のpHは7.3であった。
【0059】実施例12 Alcohol Yellow Y-10 (商品名、中央合成株式会社製)
3.0gを、0.1N硫酸で洗浄し、水洗し、次いで真
空乾燥させたスルホン化ポリスチレン樹脂VERSA-TL(商
品名、National Starch and Chemical製)8.0gと混
合した。この染料と樹脂の混合物およびエタノール80
gを、200mlのテフロンライニングしたステンレス
鋼製の分解用圧力容器に移した。分解用圧力容器を密封
し、100℃のオーブン中に24時間置いた。室温に冷
却した後、ゲル状混合物を100mlの試料びんに移し
た。混合物をホットプレート上で加熱し、エタノールを
数時間かけて徐々に蒸発させた。試料びんおよびその内
容物をデシケーター中、減圧で24時間さらに乾燥さ
せ、残留エタノールを完全に除去した。この試料びん
に、30%トリメチルアミン水溶液1.45gおよび超
純水77.55gを入れた。混合物を常温で6時間攪拌
し、この間に固体物質の大部分が溶解した。エチレング
リコールモノ−n−ブチルエーテル10gを加え、混合
物をさらに1時間攪拌した。5μmのステンレス鋼メッ
シュを通して混合物を濾過し、未溶解粒子を除去した。
このインク組成物の粘度は20℃において4.6cps
であり、インク組成物のpHは7.2であった。実施例
1〜12のすべてのインクを80,000rpmで2時
間超遠心分離した。これらの試料で、分離した相は観察
されなかった。これらの結果から、すべてのインク組成
物中の全ての成分が溶解しているものであることがわか
った。
【0060】比較例1 特開平5−230413号公報に記載されている顔料型
インクの組成に類似した組成を有する、スチレン−アク
リル酸樹脂JONCRYL 62(商品名、SCJohnson Polymer 社
製)を含む顔料型インクを製造した。この顔料型インク
の組成は、JONCRYL 62(21%)、Color Black SB-5
(7.1%、商品名、Degussa 社製)、Neocol YSK
(0.4%、商品名、第一工業製薬株式会社製)、エチ
レングリコール(6.5%)、および超純水(65%)
である。混合物を数時間混合し、均質な混合物を得た。
【0061】比較例2 特開平5−230413号公報の実施例8と類似の組成
を有する、水溶性の塩基性染料およびスチレン−アクリ
ル酸樹脂JONCRYL 680 (商品名、SCJohnson Polymer 社
製)を含むインクを製造した。C.I. Basic Blue 7 の代
わりにC.I. Basic Red 12(Aizen Astra Phloxine FF Co
nc. 、商品名、保土谷化学業株式会社製)を使用した。
この水溶性の塩基性染料を含むインクの組成は、C.I. B
asic Red12 (2.5%)、JONCRYL 680 (7.5
%)、28%アンモニア溶液(0.87%)、トリエタ
ノールアミン(2.13%)、プロピレングリコール
(15%)、および超純水(72%)である。特開平5
−230413号公報の実施例8に記載されているのと
同じ製造方法を使用した。
【0062】評価試験 上記の様に製造したインクを下記の試験で評価した。 1)連続記録 インク組成物試料を脱気し、MJ-700V2C (商品名、セイ
コーエプソン株式会社製)を使用し、25℃、相対湿度
30%で24時間連続的に記録した。頁あたりの噴射さ
れたインクの重量を、5分後および6時間毎に測定し
た。天秤の最大感度は0.01gであった。この試験の
結果は下記の標準、すなわち5回測定の標準偏差が0.
5以下(◎)、5回測定の標準偏差が0.5を超え、
1.0以下(○)、5回測定の標準偏差が1を超え、
1.5以下(△)、5回測定の標準偏差が1.5を超え
る(×)、を使用して評価した。
【0063】2)不連続記録 インク組成物試料を脱気し、記録ヘッドの全ノズルを使
用するラインパターンプログラムを使用して記録した。
記録プログラムは、MJ-700V2C (商品名、セイコーエプ
ソン株式会社製)を使用し、25℃、相対湿度30%で
2時間実行した。使用した記録プログラムは、1分間記
録し、続いて1分間休止する操作を繰り返す不連続プロ
グラムであった。休止期間中、記録ヘッドにインクの乾
燥を防止するためのカバーをしなかった。2時間試験の
最後に記録した試料を顕微鏡で検査し、下記の基準によ
り評価した。すなわち目詰まりの証拠が無く、記録プロ
グラムの最後の再始動でドットのすべてが観察された
(◎)、僅かな目詰まりがあり、記録プログラムの最後
の再始動でドットの1〜5が欠けている(○)、かなり
の目詰まりがあり、記録プログラムの最後の再始動でド
ットの6〜20が欠けている(△)、許容できない目詰
まりがあり、記録プログラムの最後の再始動でドットの
21以上が欠けている(×)、として評価した。
【0064】3)ベタ印字乾燥速度 インク組成物試料を脱気し、最高濃度のベタ印字で長方
形ブロック1cm×7.2cmを記録するプログラムを使用
し、ゼロックスP紙(商品名、富士ゼロックス株式会社
製)上に記録した。試料はMJ-700V2C (商品名、セイコ
ーエプソン株式会社製)を使用して記録した。ブロック
の記録が完了した直後に、光沢のある、光を反射する液
体インクが完全に消えるまでの時間を測定した。下記の
基準、すなわち1秒間以下(◎)、1秒間を超え、2秒
間以下(○)、2秒間を超え、5秒間以下(△)、5秒
間を超える(×)、を使用して評価した。
【0065】4)乾燥したインクの再溶解/再分散 1μl のインク試料をテフロンブロック(15mm×10
mm×1mm)上に載せ、室温で24時間放置して乾燥させ
た。試料をさらに40℃で72時間乾燥させた。次に、
試料を載せたテフロンブロックを、20mlの本来のイ
ンク組成物中に浸漬した。1時間後にピンセットを使用
して取り出し検査した。乾燥したインクの一部がテフロ
ンブロック上に残っていた場合、試料を本来のインク組
成物中に戻した。1)浸漬、2)取り出し、および3)
検査の順序を、1時間間隔で5時間まで、あるいはテフ
ロンブロック上に試料が残っている証拠が無くなるま
で、繰り返した。下記の基準、すなわち1時間以下
(◎)、1時間を超え、2時間以下(○)、2時間を超
え、4時間以下(△)、4時間を超える(×)、を使用
して評価した。
【0066】5)記録した試料の耐水性 インク組成物試料を脱気し、MJ-700V2C (商品名、セイ
コーエプソン株式会社製)を使用してゼロックスPおよ
びR紙(商品名、富士ゼロックス株式会社製)上に文字
および図形を記録した。記録した試料を24時間放置し
て乾燥させた。次いで、記録した文字および図形の両方
の上に水滴(各水滴は0.05ml)を注意深く載せ
た。湿らせた試料を24時間乾燥させた。記録画像の耐
水性を下記の基準で評価したすなわち2種類の紙で、湿
らせていない文字と比較して、湿らせた記録試料が文字
および図形の両方に関して変化していない(◎)、2種
類の紙で、湿らせた記録試料が文字に関しては変化して
いないが、最高濃度のベタ印字図形に関しては僅かな退
色および/または滲みを示す(○)、湿らせた記録試料
が、文字に関しては一方の種類の紙だけが変化していな
いが、最高濃度のベタ印字図形に関しては両方の種類の
紙で僅かな退色および/または滲みを示す(△)、2種
類の紙で、文字および図形が退色および/または滲みを
示す(×)、を使用して評価した。
【0067】本発明による上記の実施例および比較例の
インクを上記の試験方法で評価した。結果は下記の第1
表に示される通りであった。
【0068】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−34169(JP,A) 特開 昭56−49772(JP,A) 特開 平6−136306(JP,A) 特開 平8−269374(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/00 - 11/20

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水と、アルカリ可溶性樹脂と、発色部分が
    陽イオンである油溶造塩染料と、前記アルカリ可溶性重
    合体および前記油溶造塩染料の双方をインク組成物中で
    完全に溶解させる量のアルカリとを含んでなる、インク
    組成物。
  2. 【請求項2】前記油溶造塩染料を、前記アルカリ可溶性
    樹脂基準で0.05〜3重量部含んでなる、請求項1記
    載のインク組成物。
  3. 【請求項3】アルキレングリコールまたはポリアルキレ
    ングリコールの水溶性モノアルキルエーテルをさらに含
    んでなる、請求項1または2に記載のインク組成物。
  4. 【請求項4】インクの粘度が20℃において10cps
    未満であり、インクジェット記録に用いられる、請求項
    1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
  5. 【請求項5】前記アルカリ可溶性樹脂がスルホン酸官能
    基を含み、かつそのpH4〜7の水に対する溶解度が2
    5℃において0.1g/l未満のものである、請求項1
    〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
  6. 【請求項6】前記アルカリ可溶性樹脂がカルボン酸官能
    基を含み、かつそのpH4〜7の水に対する溶解度が2
    5℃において0.1g/l未満のものである、請求項1
    〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
  7. 【請求項7】前記アルカリ可溶性樹脂がフェノール官能
    基を含み、かつそのpH4〜7の水に対する溶解度が2
    5℃において0.1g/l未満のものである、請求項1
    〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
  8. 【請求項8】前記油溶造塩染料の水に対する溶解度が2
    5℃において0.1g/l未満である、請求項1〜7の
    いずれか一項に記載のインク組成物。
  9. 【請求項9】前記アルカリ可溶性樹脂が1〜15重量%
    の量であり、油溶造塩染料のアルカリ可溶性樹脂の重量
    に対する量が0.2〜1.2重量部である、請求項1〜
    8のいずれか一項に記載のインク組成物。
  10. 【請求項10】さらに、ジエチレングリコールモノメチ
    ルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
    ル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、
    またはそれらの混合物から選択されるアルキレングリコ
    ールまたはポリアルキレングリコールの水溶性モノアル
    キルエーテルをさらに含んでなる、請求項1〜9のいず
    れか一項に記載のインク組成物。
  11. 【請求項11】請求項1〜10項のいずれか一項に記載
    のインク組成物の製造法であって、アルカリ可溶性樹脂
    および油溶造塩染料を、重合体の軟化点より高く、染料
    の分解温度より低い温度で混合し、得られた重合体と染
    料の混合物を、アルカリ可溶性樹脂および油溶造塩染料
    を完全に溶解させる量のアルカリを加えた水に溶解させ
    ることを含んでなる、方法。
  12. 【請求項12】請求項1〜10のいずれか一項に記載の
    インク組成物の製造法であって、アルカリ存在下にアル
    カリ可溶性樹脂を水に溶解し、更に油溶造塩染料を溶解
    することを含んでなる、方法。
JP27014195A 1995-10-18 1995-10-18 耐水性に優れたインク組成物 Expired - Fee Related JP3156913B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27014195A JP3156913B2 (ja) 1995-10-18 1995-10-18 耐水性に優れたインク組成物
DE69606486T DE69606486T2 (de) 1995-10-18 1996-10-18 Tintenzusammensetzung mit guter Wasserbeständigkeit
EP96116821A EP0769537B1 (en) 1995-10-18 1996-10-18 Ink composition having excellent waterfastness
US08/733,477 US5932631A (en) 1995-10-18 1996-10-18 Ink composition having excellent waterfastness
HK98110066A HK1009284A1 (en) 1995-10-18 1998-08-21 Ink composition having excellent waterfastness

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27014195A JP3156913B2 (ja) 1995-10-18 1995-10-18 耐水性に優れたインク組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09111162A JPH09111162A (ja) 1997-04-28
JP3156913B2 true JP3156913B2 (ja) 2001-04-16

Family

ID=17482123

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27014195A Expired - Fee Related JP3156913B2 (ja) 1995-10-18 1995-10-18 耐水性に優れたインク組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3156913B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4045556B2 (ja) * 1998-08-06 2008-02-13 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録用インク
WO2002102905A1 (en) 2001-06-14 2002-12-27 Ciba Specialty Chemicals Holding Inc. Process for printing using an aqueous ink composition
JP5687445B2 (ja) * 2010-07-12 2015-03-18 ゼネラル株式会社 インクジェットインク

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09111162A (ja) 1997-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3016131B2 (ja) 水性相変化インク組成物及びそのプリント方法
US5932631A (en) Ink composition having excellent waterfastness
EP0928321B1 (en) Binder resins for ink compositions
US5958998A (en) Ink jet inks
JPH03240557A (ja) 印写方法
US20020143080A1 (en) Water based ink capable of decolorizing or discoloring and a process for the production of the same
JPH04359072A (ja) 水性記録用インク組成物
JP3156913B2 (ja) 耐水性に優れたインク組成物
JP3952348B2 (ja) 低吸液性印刷用紙に用いられるブラックインク組成物
JPH04359071A (ja) 水性記録用インク組成物
EP1167469A2 (en) An ink for inkjet printing that produces a durable image
JP2010506967A (ja) インクジェットインク
JP4158303B2 (ja) インクジェット記録用水性顔料インキ
JP5118277B2 (ja) 消色可能水性インキ組成物
JP3235687B2 (ja) 水性インク組成物
JP4521891B2 (ja) インクジェット記録用ブラックインクおよび記録方法
JP3971939B2 (ja) 消色可能水性インキ組成物
JP3127826B2 (ja) 耐水性に優れたインク組成物
JP3677897B2 (ja) 油性黒色インキ
EP0148615B1 (en) Inks for transparency films
JP2001279138A (ja) インクジェットプリンター用黒色インク
JP4063859B2 (ja) 水性インキ組成物用水性顔料分散体、その製造方法および水性インキ組成物
JPH1121492A (ja) 油性マーキングペン用インキ組成物
JP4389317B2 (ja) 黒色水性インク組成物およびその製造方法
JP3098900B2 (ja) 耐水性を有する水性インキ組成物

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080209

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090209

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090209

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100209

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110209

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110209

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120209

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees