JP3155436B2 - コーンフレークおよびその製造方法 - Google Patents

コーンフレークおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコーンフレークおよびそ
の製造方法および該コーンフレークを含有する調整ココ
アに関し、詳しくはコーンフレークを液糖と糖類および
油脂類で被覆することにより、冷飲料中で食感を保持す
ることを特徴とするコーンフレークおよびその製造方法
および該コーンフレークと冷水即溶性ココアパウダーを
含有する調整ココアに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の調整ココアは水または牛乳に溶解
させて飲用する嗜好飲料であり、飲むおいしさと食べる
おいしさ(味、食感)を同時に満たすものはなかった。
調整ココア中に、マシュマロ、キャンデー、クッキー等
を含有したものは以前から存在するが、量が少なく、食
感に訴えるものではなかった。また飲用時に溶けてしま
うなど、見た目のおもしろさが主目的であり、食べるお
いしさを飲用と共に満足させるものではない。
【0003】そこで、ココアおよび冷牛乳に相性がよ
く、食感をも満足させるものを検討した結果、最良のも
のとしてコーンフレーク等のシリアル食品があげられ
る。シリアル食品の製造法としては例えば特開昭58−
47455、特開昭63−185341等が知られてい
る。しかしこれらの方法により得られたコーンフレーク
はコーンフレークそのものの風味や外観、食感の改良に
重点がおかれていた。従って、これらのコーンフレーク
に冷牛乳をかけて食する場合、牛乳に接触するとすぐに
吸湿してやわらかくなり、サクサクとした独特の食感が
損なわれてしまうという欠点を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】調整ココアと、コーン
フレークを混合したものに冷牛乳を注いで飲用および食
用する際には、まず調整ココア部を牛乳に溶解させるた
めにスプーン等で撹拌する必要が生じる。同時にコーン
フレークも牛乳中で撹拌されるためにコーンフレーク生
地への吸湿が著しく進行する。このため、ココアの飲用
と同時にコーンフレークのサクサクした食感を楽しむこ
とができなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、コーンフ
レークが冷飲料中でサクサクした食感を保持し得るため
に、コーンフレークを液糖と糖類および油脂類からなる
シロップ液で被覆し、表面にキャンディー状の皮膜を形
成させることに着目した。さらに、乳化剤を被覆した冷
水即溶性ココアパウダーを使用した調整ココアに、該コ
ーンフレークを混合した結果、ココア部は冷牛乳へ容易
に分散し、さらにコーンフレークはサクサクとした食感
を保持し、飲用と同時に食感も楽しめる飲料になること
を見い出した。そして該コーンフレークについて、冷飲
料中での食感の保持、ココアとの相性、調整ココア中で
の保存の面からさらに鋭意検討を重ね本発明を完成し
た。以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】本発明のコーンフレークについて詳細に説
明する。すなわち、食感の保持のためコーンフレークを
液糖と糖類および油脂類等で被覆する。被覆されるセン
ターとしては、コーングリッツ、水飴、砂糖、食塩を蒸
煮し乾燥したものを調質し、圧ぺん、焙焼した一般的な
コーンフレークが使用できる。そして、液糖と糖類が
0〜80重量%、油分3〜10重量%より成るシロッ
プ液を回転釜、あるいは回転ドラム中で回転させなが
ら、上記コーンフレーク対して60〜90重量%スプ
レーした後、水分が3重量%以下になるまで乾燥し、ほ
ぐしながら冷却する。その結果、冷飲料中で吸湿しにく
く、4〜5分間食感を保持できるコーンフレークを得る
ことができる。
【0007】シロップ液の配合は、液糖と糖類および油
脂類のバランスおよび種類が問題となる。まず糖類であ
るが、乾燥後の再結晶防止のために液糖を20重量%
必要とし液糖と糖類が60〜80重量%になるように
調節した。60重量%以下では乾燥効率が著しく悪化
し、また80重量%以上ではシロップ液の粘性が高く、
スプレー時にコーンフレーク同士の付着が著しい。これ
は、コーンフレークに平面部が多いために、コーンフレ
ーク表面がシロップ液で覆われると平面部同士が付着し
やすくなるためである。
【0008】本発明で使用される液糖には、はちみつ、
メイプルシュガー、水飴等が含まれる。また本発明で使
用される糖類としては、単糖類、二類、オリゴ糖類、
多糖類等が含まれ、吸湿しにくいものが好ましい。具体
的にはぶどう糖、乳糖、蔗糖、麦芽糖、イソマルトオリ
ゴ糖、デキストリン、澱粉等があげられる。これらは一
種または二種以上で使用することができる。
【0009】また、シロップ液中の油脂類の量は、食
感、風味、吸湿防止の面から、3〜10%が好ましい。
使用する油脂の種類については、風味について他原料と
の相性を十分検討を必要とするが、常温で固体のものが
好ましく、体温付近でシヤープに溶解する性質のもの、
すなわち、融点として25〜35℃のものを使用する。
安定性の面ではAOM(Active Oxygen
Method)で少なくとも200時間は必要となる。
本発明で使用される油脂類としては、ヤシ油、パーム核
油を原料とするラウリン系油脂、トランス酸型の植物性
硬化油およびその分別油脂等があげられ、具体的にはカ
カオバター、ココアバター代用脂等があげられる。
【0010】また混合する油脂中に上記油脂以外に融点
の高い油脂(融点50℃以上)を1.0%以上添加して
おくと、乾燥後の冷却、ほぐしの段階でほぐれ易く、コ
ーンフレーク同士が付着し塊となるのを防止することが
できる。食感、吸湿防止の面からは油脂量の多い方が良
いが、10%以上になると、表面のべとつき、ココアの
付着など悪影響を及ぼす。また3%以下では、特に吸湿
防止の面で効果が得られない。
【0011】以上の様な原料で調製されたシロップ液を
コーンフレークへ被覆する割合は、コーンフレークに対
し、60〜90重量%の範囲が好ましい。60重量%以
下の被覆率では、冷飲料中での吸湿防止、食感の保持の
面で効果が得られない。また90重量%以上になるとコ
ーンフレーク同士の付着が激しく、乾燥後、コーンフレ
ークがほぐれにくくなり、作業性を著しく悪化させる。
【0012】尚、コーンフレークの風味であるが、ココ
アとの相性の良いものとして、チョコレート、アーモン
ド、キャラメル、ミルク、フルーツ系等の風味があげら
れる。シロップ液にこれらの風味の原料、例えばココア
パウダー、アーモンドペースト、全脂練乳、香辛料等を
混合しておくことにより、コーンフレークにシロップ液
原料由来の風味を付与することができる。また必要に応
じて乳化剤、調味料、着色料、ミネラル添加剤等を添加
しても良い。
【0013】一方、冷水即溶性ココアパウダーについて
説明する。原料となるココアパウダーは、油脂量10〜
12%のものを使用する。乳化剤を植物性油脂を溶媒と
してココアパウダーにスプレーし、混練することにより
冷水即溶性ココアパウダーを得ることができる。乳化剤
はHLBの高いもの、好ましくはHLB10以上のもの
を用いる。具体的な乳化剤としてはレシチン、シュガー
エステル等があげられる。乳化剤の添加量は乳化剤の種
類にもよるが、分散性の向上と風味への影響を考慮して
十分な検討を要する。最も一般的なレシチンの場合は、
ココアパウダーに対して1〜10%、好ましくは2〜5
%が適当である。また、乳化剤のスプレーおよび、ココ
アパウダーとの混練の際はカカオバターと乳化剤のなじ
みをよくするために油脂を溶解させた状態で行うことが
好ましい。
【0014】さらに、乳化剤とココアパウダーの混練時
に溶媒油脂とココアパウダーが練られるためダマが生
じ、最終製品の溶解性や見た目に悪影響を及ぼすので、
混練後グラニュー糖を混合し混合粉砕を行うと良い。上
記の冷水即溶性ココアパウダーに、砂糖、粉乳等を混合
し、さらに加湿する。原料中の砂糖をバインダーとして
顆粒化し、乾燥することにより冷牛乳用の調整ココア
(アイスココア)となる。
【0015】
【実施例】以下実施例をあげて本発明をさらに具体的に
説明する。実施例1 グラニュー糖40重量%、液糖20重量%、ココアパウ
ダー10重量%、全脂練乳5重量%、植物性油脂5重量
%、レシチン0.5重量%、香料0.5重量%、仕込水
19.0重量%を蒸気釜中で加熱しながら、混合、溶解
させシロップ液を調製した。シロップ液の品温は80℃
以下で調製し、香料の添加は最後に行った。
【0016】センターとなるコーンフレークを50℃ま
で加温した後、回転釜に入れ、回転させながら先に調製
したシロップ液をコーンフレークに対して80重量%ス
プレーする。コーンフレークにシロップ液が均一に被覆
されるまで、回転釜を回転させた後、コーンフレークを
取り出した。さらに通風乾燥機135℃中で15分間乾
燥し、水分を3%以下とした。乾燥後、ほぐしながら、
冷風で30℃以下になるまで冷却し、コーンフレークを
得た。
【0017】実施例2 グラニュー糖40重量%、液糖20重量%、アーモンド
ペースト10重量%、全脂練乳5重量%、植物性油脂5
重量%、レシチン0.5重量%、香料0.5重量%、仕
込水19.0重量%をシロップ液の原料とし、実施例1
と同様に調製して、アーモンド風味のコーンフレークを
得た。
【0018】実施例3 コーンフレークの冷牛乳中での食感保持状態 実施例1のコーンフレークの冷牛乳中での食感保持状態
について、未処理のコーンフレークおよび市販の糖衣掛
けコーンフレークと比較した。ビーカーに5gのコーン
フレークを入れ、10℃の冷牛乳を注ぎ、スパーテルで
10回、毎秒2回の速度で撹拌した。一分毎に飲用し、
食感を以下の評価基準により比較した。 サクサクした食感有り ;○ 多少吸湿あるが、食感有り;△ 完全に吸湿、食感悪い ;×
【0019】
【表1】 以上の結果より、実施例1のコーンフレークは、冷牛乳
中で4分〜5分間サクサクとした食感を保持し、その食
感を楽しむことができた。
【0020】実施例4 シロップ液の配合について コー
ンフレークに対する被覆率80重量%における、液糖と
糖類の含有率と油脂含有率との関係における食感の保
持状態について検討した。実施例1のシロップ液の液糖
と糖類および油脂量を調節してスプレーし、乾燥したコ
ーンフレークに冷牛乳を注いでから3分後の食感を官能
評価にて比較した。評価基準は、実施例3と同様に設定
した。また、シロップ液の粘度、コーンフレークの付
着、乾燥効率の面から作業性に問題のあるものについて
は黒塗りの記号で表示した。 作業性の評価基準 乾燥効率;135℃、15分間の乾燥で水分が3重量%
以下になること。 コーンフレークのほぐれ;塊となったコーンフレークが
5%以下であること。 (乾燥後、冷風をあてながら、回転ドラムあるいは回転
釜中で5分間運転し、ほぐした後の状態を測定。)
【0021】
【表2】 以上の結果よりシロップ液の配合として、液糖と糖類が
60〜80重量%、油分3〜10重量%に調整すること
が、冷牛乳中での食感の保持また作業性の面から最良で
あった。
【0022】実施例5 シロップ液の被覆率について コーンフレークに対するシロップ液の被覆率と食感の保
持状態について、実施例1のシロップ液を様々な比率で
スプレーし、実施例4と同様の官能評価を行った。
【0023】
【表3】 以上の様に作業性および冷飲料中における食感の保持の
面から、被覆率としては60〜90%が適当である。
【0024】実施例6 ココアパウダー(脂肪分10〜12%)64.0重量部
に、レシチン3.0重量部と植物性油脂3.0重量部の
混合物を常法によりスプレーした。さらにグラニュー糖
30.0重量部を混合、粉砕して冷水即溶性ココアパウ
ダーを得た。該冷水即溶性ココアパウダー50.0重量
部に、グラニュー糖49.5重量部、香料0.5重量部
を混合後、流動層造粒装置を用いて造粒し、水分が2%
以下になるまで乾燥して冷水即溶性の調整ココアを得
た。上記調整ココア10gに、実施例1で得られたコー
ンフレーク5gを混合して製品とした。飲用方法として
は、上記製品に冷牛乳を掛けてココアが溶解するまでス
プーンで撹拌し飲用する。サクサクとした食感を持っ
た、新しいタイプの飲料となった。
【0025】本発明により得られた製品の嗜好値および
選択率について、小学生30名をパネルとして調査を実
施した。嗜好値の評価基準については、以下の通りであ
る。 おいしい +2 少しおいしい +1 どちらともいえない 0 少しまずい −1 まずい −2
【0026】
【表4】 以上の結果より、本発明のコーンフレーク入りアイスコ
コアは、通常のアイスココア、また市販のコーンフレー
ク入りアイスココアと比較し、サクサクとした食感を飲
用時に有し、また嗜好値、選択率について有意に勝る結
果が得られた。
【0027】
【発明の効果】本発明により得られたコーンフレーク
は、冷飲料中でもサクサクした食感を保持できる。従っ
て、冷水即溶性の調整ココアと混合し、冷牛乳において
飲用する等、ココアを飲むおいしさに食べるおいしさが
加わった新しいタイプの飲料への応用が可能となった。
特に子供のおやつ、または朝食などに最適のコーンフレ
ーク入り飲料として期待できる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液糖と糖類が60〜80重量%、融点2
    5〜35℃で且つ少なくともAOM200時間の油分
    3〜10重量%より成るシロップ液をコーンフレークに
    対して60〜90重量%スプレーした後、水分が3重量
    %以下になるまで乾燥することを特徴とするコーンフレ
    ークの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製造方法によって得ら
    れ、冷飲料中で食感を保持することを特徴とするコーン
    フレーク。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のコーンフレークと冷水即
    溶性ココアパウダーを含有することを特徴とする調整コ
    コア。
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