JP3155332B2 - スイッチング素子 - Google Patents

スイッチング素子

Info

Publication number
JP3155332B2
JP3155332B2 JP10164692A JP10164692A JP3155332B2 JP 3155332 B2 JP3155332 B2 JP 3155332B2 JP 10164692 A JP10164692 A JP 10164692A JP 10164692 A JP10164692 A JP 10164692A JP 3155332 B2 JP3155332 B2 JP 3155332B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
hard carbon
thin
carbon film
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP10164692A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05119355A (ja
Inventor
均 近藤
英一 太田
裕治 木村
正悦 高橋
誠 田辺
勝幸 山田
健司 亀山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP10164692A priority Critical patent/JP3155332B2/ja
Publication of JPH05119355A publication Critical patent/JPH05119355A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3155332B2 publication Critical patent/JP3155332B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、スイッチング素子、特にアクテ
ィブマトリックス型液晶表示装置用スイッチング素子に
関する。
【0002】
【従来技術】OA機器端末機や液晶TVには大面積液晶
パネルの使用の要望が強く、そのため、アクティブマト
リックス方式では各画素ごとにスイッチを設け、電圧を
保持するように工夫されている。ところで、前記スイッ
チの一つとしてMIM(Metal Insulator Metal)素子
が多く用いられている。これは薄膜二端子素子がスイッ
チングに良好な非線形な電流−電圧特性を示すためであ
る。そして、従来からの薄膜二端子素子は、ガラス板の
ような絶縁基板上に下部電極としてTa,Al,Ti等
の金属電極を設け、その上に前記金属の酸化物又はSi
Ox,SiNx等からなる絶縁膜を設け、更にその上
に、上部電極としてAl,Cr等の金属電極を設けたも
のが知られている。しかし、絶縁体(絶縁膜)に金属酸
化物を用いた薄膜二端子素子(特開昭57−19658
9号、同61−232689号、同62−62333号
等の公報に記載)の場合、絶縁膜は下部電極の陽極酸化
又は熱酸化により形成されるため、工程が複雑であり、
しかも高温熱処理を必要とし(陽極酸化法でも不純物の
除去等を確実にするためには高温熱処理が必要であ
る。)、また膜制御性(膜質及び膜厚の均一性及び再現
性)に劣る上、基板が耐熱材料に限られること、及び、
絶縁膜は物性が一定な金属酸化物からなること等から、
デバイスの材料やデバイス特性を自由に変えることがで
きず、設計上の自由度が狭いという欠点がある。これは
薄膜二端子素子を組込んだ液晶表示装置からの仕様を十
分に満たすデバイスを設計・作製することが困難である
ことを意味する。また、このように膜制御性が悪いと、
素子特性としての電流(I)−電圧(V)特性、特にI
−V特性やI−V特性の対称性(プラスバイアス時とマ
イナスバイアス時との電流比〔I(−)/I(+)〕の
バラツキが大きくなるという問題も生じる。その他、薄
膜二端子素子を液晶表示装置(LCD)用として使用す
る場合、液晶部容量/薄膜二端子素子容量比は一般に1
0以上が望ましいが、金属酸化物膜の場合は誘電率が大
きいことから素子容量も大きくなり、このため、素子容
量を減少させること即ち素子面積を小さくするための微
細加工を必要とする。またこの場合、液晶材料封入時の
ラビング工程等で絶縁膜が機械的損傷を受けることによ
り、微細加工とも相まって歩留り低下を来たすという問
題もある。
【0003】一方、絶縁膜にSiOxやSiNxを用い
たMIM素子(特開昭61−260219号公報)の場
合、絶縁膜はプラズマCVD法、スパッタ法等の気相法
で成膜するが、基板温度が通常300℃程度必要である
ため、低コスト基板は使用できず、また大面積化の際、
基板温度分布のため膜厚、膜質が不均一になり易いとい
う欠点がある。また、これらの絶縁膜を合成する際には
気相でなされることから、ダストが多く発生し、膜のピ
ンホールが多いため素子の歩留りが低下する。更には、
膜ストレスが大きく、膜剥離が起こり、この点からも素
子の歩留りが低下する。
【0004】
【目的】本発明の目的は、広範囲でのデバイス設計が可
能で、しかも素子特性のバラツキが少なく、またしきい
値電圧、耐圧に優れ、歩留り良く製造され、かつ耐環境
性に優れた信頼性の高い薄膜二端子素子を提供すること
である。
【0005】
【構成】本発明は、第一の導体と第二の導体との間に硬
質炭素膜を介在させてなり、硬質炭素膜に接して、その
下に設けられる導体(以下下部導体と記す)中に含有さ
れる酸素量が8原子%以上30原子%以下、より好まし
くは10原子%以上、25原子%以下であることを特徴
とする薄膜二端子素子に関する。本発明の薄膜二端子素
子の構成およびその作成方法を図1に基づき説明する。
本発明の二端子素子は、基板(図示せず)上に下部導体
1、絶縁体(硬質炭素膜)2、上部導体3および画素電
極4を設けてなる。但し、本発明の薄膜二端子素子は、
この図面のものに限定されるものではない。
【0006】基板としては、ガラス、プラスチック等が
用いられる。プラスチックとしては、特にその種類には
制限はないが、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレー
ト、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の耐熱性
プラスチックの使用が好ましい。特にプラスチックの基
板としては、本発明者らが先に提案したように、少なく
とも片面に無機物質からなる薄膜が形成され、プラスチ
ックへの水分の進入を防ぐとともに、プラスチックが含
有している水分等の素子への進入を防ぐことのできるも
の(特開平2−417313号)がさらに好ましい。
【0007】基板上に、ITO、ZnO:Al,In2
3,SnO2等の透明導電性薄膜をスパッタリング、蒸
着等の方法により数百〜数千Åの厚さに成膜し、所定の
パターンにエッチングして画素電極4を設けた。次にA
l,Ta,Ti,Cr,Ni,Cu,Au,Ag,W,
Mo,Pt,Ni−Cr等の導電性薄膜をスパッタリン
グ、蒸着等の方法により数百〜数千Åの厚さに成膜し、
エッチングにより所定のパターンにパターニングして下
部導体1を形成した。この下部導体上に、プラズマCV
D法あるいはイオンビーム法によって、100〜800
0Å、好ましくは200〜6000Å、さらに好ましく
は300〜4000Åの厚さに成膜したのち、所定のパ
ターンにエッチングして硬質炭素膜2を形成した。最後
に、Ni,Pt,Ag,Al,Cr,Ti,Cu,A
u,W,Mo,Ta,Ni−Cr,ITO,ZnO:A
l,In23,SnO2等の導電性薄膜をスパッタリン
グ、蒸着等の方法により数百〜数千Åの厚さに成膜した
後、所定のパターンにエッチングして上部導体3を設け
た。
【0008】上部導体および下部導体は、上記のような
各種導電性薄膜を必要に応じて2層以上重ね合せたもの
を用いてもよい。さらに本発明の素子は、上記図1に示
した構成のものに限られるものではなく、上部導体と下
部導体の位置関係を変えた構成、あるいは上部導体と下
部導体の位置関係を変え、かつ上部導体が画素電極を兼
ねた構成のようなものであってもよい。
【0009】本発明の特徴点の1つは、比較的低温でし
かも簡単な工程で形成でき、膜制御性及び機械強度に優
れた低誘電率の硬質炭素膜を使用することで、広範囲で
のデバイス設計が可能で、しかも素子特性のバラツキが
少なく、またしきい値電圧、耐圧に優れ、歩留りの良い
薄膜二端子素子を提供することにある。本発明の特徴点
の2つは、下部導体1に含有される酸素含有量を、8原
子%以上30原子%以下、より好ましくは10原子%以
上、25原子%以下にコントロールすることにより素子
特性の経時変化が少なく、また膜剥離等による欠陥もほ
とんどない信頼性の高い薄膜二端子素子を提供すること
にある。
【0010】下部導体中に含有される酸素量を変化させ
た時の下部導体上の硬質炭素膜の剥離割合を表1に示
す。剥離割合は、ガラス基板上に図1に示す素子を10
000個(100×100ドット)作製した時の剥離の
生じた素子数の割合として求めた。下部導体の製膜条件
は、Alの場合を記述した。硬質炭素膜は、プラズマC
VD法により1100Å堆積した。堆積条件は、 圧力 :0.035Torr CH4流量 :10SCCM RFパワー:0.6W/cm2 とした。
【表1】 表1から下部導体中の酸素含有量が増加するにつれて硬
質炭素膜の剥離割合が減少することがわかる。剥離割合
は1%以下、好ましくは0%が好適であることから下部
導体中の酸素含有量は8原子%以上、好ましくは10原
子%以上とするのがよい。次に、下部導体中に含有され
る酸素量を変化させたときの素子特性の経時変化量を表
2に示す。特性の経時変化量は、ガラス基板上に図1に
示す素子を作製し、12V印加したときの電流値(Io
n)の初期値に対する保持率(Ion保持率)で示した。
経時の条件は、80℃ドライ雰囲気中で1000時間保
存とした。硬質炭素膜の堆積条件は前述と同じとした。
【表2】 表2から下部導体中の酸素含有量が減少するにつれてI
on保持率が増加することがわかる。Ion保持率は、85
%以上、好ましくは90%以上が好適であることから、
下部導体中の酸素含有量は30原子%以下、好ましくは
25原子%以下とするのがよい。この下部導体中の酸素
含有量の制御は、成膜時の圧力と成膜速度を変えること
によって容易に行うことできる。また、その酸素含有量
の分析は、元素分析の常法、例えばAES,XPS,S
IMS等によって知ることができる。
【0011】次に本発明で用いられる硬質炭素膜につい
て詳しく説明する。この膜は、炭素原子及び水素原子を
主要な組織形成元素として非晶質及び微結晶質の少なく
とも一方を含む硬質炭素膜(i−C膜、ダイヤモンド状
炭素膜、アモルファスダイヤモンド膜、ダイヤモンド薄
膜とも呼ばれる)からなっている。硬質炭素膜の一つの
特徴は気相成長膜であるがために、後述するように、そ
の諸物性が製膜条件によって広範囲に制御できることで
ある。従って、絶縁膜といってもその抵抗値は半絶縁体
から絶縁体までの領域をカバーしており、この意味では
本発明の薄膜二端子素子はMIM素子は勿論のことそれ
以外でも例えば特開昭61−260219号公報でいう
ところのMSI素子(Melal Semi Insulator)や、SI
S素子(半導体−絶縁体−半導体であって、ここでの
「半導体」は不純物を高濃度にドープさせたものであ
る)としても位置付けられるものである。なお、この硬
質炭素膜中には、さらに物性制御範囲を広げるために、
構成元素の一つとして少なくとも周期律表第III族元素
を全構成原子に対し5原子%以下、同じく第IV族元素を
35原子%以下、同じく第V族元素を5原子%以下、ア
ルカリ土類金属元素を5原子%以下、アルカリ金属元素
を5原子%、窒素原子を5原子%以下、酸素原子を5原
子%以下、カルコゲン系元素を35原子%以下、または
ハロゲン系元素を35原子%以下の量で含有させてもよ
い。これら元素又は原子の量は元素分析の常法例えばオ
ージェ分析によって測定することができる。また、この
量の多少は原料ガスに含まれる他の化合物の量や成膜条
件で調節可能である。こうした硬質炭素膜を形成するた
めには有機化合物ガス、特に炭化水素ガスが用いられ
る。これら原料における相状態は常温常圧において必ず
しも気相である必要はなく、加熱或は減圧等により溶
融、蒸発、昇華等を経て気化し得るものであれば、液相
でも固相でも使用可能である。原料ガスとしての炭化水
素ガスについては、例えばCH4、C28、C410等の
パラフィン系炭化水素、C24等のオレフィン系炭化水
素、ジオレフィン系炭化水素、アセチレン系炭化水素、
さらには芳香族炭化水素などすベての炭化水素を少なく
とも含むガスが使用可能である。また、炭化水素以外で
も、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エ
ステル類などであって、少なくとも炭素元素を含む化合
物であれば使用可能である。本発明における原料ガスか
らの硬質炭素膜の形成方法としては、成膜活性種が直
流、低周波、高周波或いはマイクロ波等を用いたプラズ
マ法により生成されるプラズマ状態を経て形成される方
法が好ましいが、より大面積化、均一性向上及び/又は
低温成膜の目的で低圧下で堆積を行わせしめるのには磁
界効果を利用する方法がさらに好ましい。また、高温に
おける熱分解によっても活性種を形成できる。その他に
も、イオン化蒸着法、或いはイオンビーム蒸着法等によ
り生成されるイオン状態を経て形成されてもよいし、真
空蒸着法或いはスパッタリング法等により生成される中
性粒子から形成されてもよいし、さらには、これらの組
み合せにより形成されてもよい。こうして作製される硬
質炭素膜の堆積条件の一例はプラズマCVD法の場合、
概ね次の通りである。 RF出力:0.1〜50W/cm2 圧 力:10-3〜10Torr 堆積温度:室温〜950℃で行なうことができるが、好
ましくは室温〜300℃ このプラズマ状態により原料ガスがラジカルとイオンと
に分解され反応することによって、基板上に炭素原子C
と水素原子Hとからなるアモルファス(非晶質)及び微
結晶質(結晶の大きさは数10Å〜数μm)の少くとも
一方を含む硬質炭素膜が堆積する。硬質炭素膜の諸特性
を表3に示す。 (以下余白)
【表3】 注)測定法; 比抵抗(ρ) :コプレナー型セルによるI-V
特性より求める。 光学的バンドギャップ(Egopt):分光特性から吸収係数
(α)を求め、数1式の関係より決定。
【数1】 膜中水素量〔C(H)〕:赤外吸収スペクトルから29
00cm-1近のピークを積分し、吸収断面積Aを掛けて
求める。すなわち、 〔C(H)〕=A・∫α(ν)/ν・dν SP3/SP2比 :赤外吸収スペクトルを、SP
3,SP2にそれぞれ帰属されるガウス関数に分解し、そ
の面積比より求める。 ビッカース硬度(H) :マイクロビッカース計によ
る。 屈折率(n) :エリプソメーターによる。 欠陥密度 :ESRによる。 こうして形成される硬質炭素膜はIR吸収法及びラマン
分光法による分析の結果、夫々、図2及び図3に示すよ
うに炭素原子がSP3の混成軌道とSP2の混成軌道とを
形成した原子間結合が混在していることが明らかになっ
ている。SP3結合とSP2結合の比率は、IRスペクト
ルをピーク分離することで概ね推定できる。IRスペク
トルには、2800〜3150cm-1に多くのモードの
スペクトルが重なって測定されるが、それぞれの波数に
対応するピークの帰属は明らかになっており、図4に示
したごときガウス分布によってピーク分離を行ないそれ
ぞれのピーク面積を算出し、その比率を求めればSP3
/SP2を知ることができる。また、前記の硬質炭素膜
は、X線及び電子線回折分析によれば、アモルファス状
態(a−C:H)、及び/又は数10Å〜数μm程度の
微結晶粒を含むアモルファス状態にあることが判かる。
一般に量産に適しているプラズマCVD法の場合には、
RF出力が小さいほど膜の比抵抗値および硬度が増加
し、また低圧力なほど活性種の寿命が増加するために基
板温度の低温化、大面積での均一化が図れ、かつ比抵
抗、硬度が増加する傾向にある。更に、低圧力ではプラ
ズマ密度が減少するため、磁場閉じ込め効果を利用する
方法は比抵抗の増加には特に効果的である。さらにま
た、この方法(プラズマCVD法)は常温〜150℃程
度の比較的低い温度条件でも同様に良質の硬質炭素膜を
形成できるという特徴を有しているため、薄膜二端子素
子製造プロセスの低温化には最適である。従って、使用
する基板材料の選択自由度が広がり、基板温度をコント
ロールし易いために大面積に均一な膜が得られるという
特徴をもっている。硬質炭素膜の構造、物性は表1に示
したように、広範囲に制御可能であるため、デバイス特
性を自由に設計できる利点もある。さらには膜の誘電率
も3〜5と従来のMIM素子に使用されていたTa
25,Al23,SiNx等と比較して小さいため、同
じ電気容量を持った素子を作る場合、素子サイズが大き
くてすむので、それほど微細加工を必要とせず、歩留り
が向上する(駆動条件の関係からLCDとMIM素子と
の容量比はC(LCD):C(MIM)=10:1程度
必要である)。さらに膜の硬度が高いため、液晶材料封
入時のラビング工程による損傷が少なくこの点からも歩
留りが向上する。液晶駆動用薄膜二端子素子として好適
な硬質炭素膜は、駆動条件から膜厚が100〜8000
Å、比抵抗が106〜1013Ω・cmの範囲であること
が有利である。なお、駆動電圧と耐圧(絶縁破壊電圧)
とのマージンを考慮すると膜厚は200Å以上であるこ
とが望ましく、また、画素部と薄膜二端子素子部の段差
(セルギャップ差)に起因する色むらが実用上問題とな
らないようにするには膜厚は6000Å以下であること
が望ましいことから、硬質炭素膜の膜厚は200〜60
00Å、比抵抗は5×106〜1012Ω・cmであるこ
とがより好ましい。
【0012】本発明者らは、先に絶縁膜として硬質炭素
膜を使用したMIM素子を提案したが、絶縁膜の厚さは
20〜100Åと薄いものであった。この絶縁膜の場
合、その伝導機構はトンネル伝導であり、むしろ高速ス
イッチやトンネル発光等、超薄膜素子としての応用には
適している。しかし、液晶表示装置等に応用する場合
は、硬質炭素膜のピンホールによる素子の欠陥数は膜厚
が減少にともなって増加し、300Å以下では特に顕著
になること(欠陥率は1%を超える)、及び、膜厚の面
内分布の均一性(ひいては素子特性の均一性)が確保で
きなくなる(膜厚制御の精度は30Å程度が限度で、膜
厚のバラツキが10%を超える)ことから、膜厚は30
0Å以上であることがより望ましい。また、ストレスに
よる硬質炭素膜の剥離が起こりにくくするため、及び、
より低デューティ比(望ましくは1/1000以下)で
駆動するために、膜厚は4000Å以下であることがよ
り望ましい。これらを総合して考慮すると、硬質炭素膜
の膜厚は300〜4000Å、比抵抗は107〜1011
Ω・cmであることが一層好ましい。
【0013】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。 実施例1 パイレックス基板上に、図1に示すような薄膜二端子素
子を以下のように作製した。まず、ITOをスパッタリ
ング法により500Å厚に堆積後、パターニングして画
素電極4を形成した。次にAlを蒸着法により600Å
厚に堆積後、パターニングして下部導体1を形成した。
Alの成膜条件は以下の通りとした。 圧 力:4.0×10-6Torr 成膜速度:10Å/sec Al膜中の酸素量は15原子%であった。次いで硬質炭
素膜をプラズマCVD法により900Å堆積させたの
ち、ドライエッチングによりパターンニングし、絶縁膜
2とした。さらに、この上にNiをEB蒸着法により1
000Å厚に堆積後、パターニングして上部導体3を形
成した。この時硬質炭素膜の成膜条件は以下の通りであ
る。 圧 力:0.035Torr CH4 流量:10SCCM RFパワー:0.3W/cm2 実施例2 プラスチック基板上に、図6に示すような薄膜二端子素
子を以下のように作製した。まず、ITOをスパッタリ
ング法により700Å厚に堆積後、パターンニングして
画素電極4を形成した。次にAlを蒸着法により100
0Å厚に堆積後、パターンニングして下部導体1を形成
した。Alの成膜条件は以下の通りとした。 圧 力:2.0×10-6Torr 成膜速度:12Å/sec Al膜中の酸素量は10原子%であった。次いで硬質炭
素膜をプラズマCVD法により1100Å堆積させたの
ち、NiをEB蒸着法により1000Å堆積させた。N
i、硬質炭素膜を順次エッチングし、上部導体3、絶縁
膜2を形成した。この時硬質炭素膜の成膜条件は以下の
通りである。 圧 力:0.035Torr CH4 流量:10SCCM RFパワー:0.6W/cm2
【0014】
【効果】本発明の薄膜二端子素子は絶縁膜に硬質炭素膜
を用いており、この硬質炭素膜は、 1) プラズマCVD法等の気相合成法で作製されるた
め、成膜条件によって物性が広範に制御でき、従ってデ
バイス設計上の自由度が大きい、 2) 硬質でしかも厚膜にできるため、機械的損傷を受
け難く、また厚膜化によるピンホールの減少も期待でき
る、 3) 室温付近の低温においても良質な膜を形成できる
ので、基板材質に制約がない、 4) 膜厚、膜質の均一性に優れているため、薄膜デバ
イス用として適している、 5) 誘電率が低いので、高度の微細加工技術を必要と
せず、従って素子の大面積化に有利であり、さらに誘電
率が低いので素子の急峻性が高く、Ion/Ioff 比がと
れるので、低デューティ比での駆動が可能である、等の
特長を有し、また、下部電極中の酸素含有量を特定の範
囲にコントロールすることで耐環境性の点ですぐれてい
るので特に信頼性の高い液晶表示用スイッチング素子と
して好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMIM素子の1例を示す図である。
【図2】本発明で使用した硬質炭素膜をIR吸収法で分
析した結果を示すIRスペクトル図である。
【図3】本発明で使用した硬質炭素膜をラマン分光法で
分析した結果を示すラマンスペクトル図である。
【図4】図2のIRスペクトルのガウス分布を示す図で
ある。
【図5】本発明のMIM素子の他の1例を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 下部導体 2 絶縁膜 3 上部導体 4 画素電極
フロントページの続き (72)発明者 高橋 正悦 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 田辺 誠 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 山田 勝幸 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 亀山 健司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 平3−290625(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1365 H01L 49/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部電極と上部電極との間に、絶縁膜を
    介在させてなる薄膜二端子素子において、絶縁膜として
    硬質炭素膜を使用し下部電極に含有される酸素含有量が
    8原子%以上30原子%以下であることを特徴とする薄
    膜二端子素子。
JP10164692A 1991-06-21 1992-03-27 スイッチング素子 Expired - Fee Related JP3155332B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10164692A JP3155332B2 (ja) 1991-06-21 1992-03-27 スイッチング素子

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17761091 1991-06-21
JP3-177610 1991-06-21
JP10164692A JP3155332B2 (ja) 1991-06-21 1992-03-27 スイッチング素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05119355A JPH05119355A (ja) 1993-05-18
JP3155332B2 true JP3155332B2 (ja) 2001-04-09

Family

ID=26442498

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10164692A Expired - Fee Related JP3155332B2 (ja) 1991-06-21 1992-03-27 スイッチング素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3155332B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4541787B2 (ja) * 2004-07-06 2010-09-08 株式会社神戸製鋼所 表示デバイス
JP5096522B2 (ja) * 2010-05-27 2012-12-12 株式会社神戸製鋼所 表示デバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05119355A (ja) 1993-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2799875B2 (ja) 液晶表示装置
JPH02308226A (ja) 液晶表示装置
JP3155332B2 (ja) スイッチング素子
JP2798963B2 (ja) 液晶表示装置
JP3009520B2 (ja) 薄膜積層デバイス用プラスチック基板およびそれを用いた薄膜積層デバイス
JP2798962B2 (ja) 液晶表示装置
JP2854316B2 (ja) 液晶表示装置
JPH03163533A (ja) 薄膜二端子素子
JP2816172B2 (ja) Mim素子
JPH0756194A (ja) アクティブマトリクス基板および液晶表示装置
JP2986933B2 (ja) 薄膜積層デバイス
JP2989285B2 (ja) 基板付薄膜積層デバイス
JP2798964B2 (ja) 液晶表示装置
JPH04113324A (ja) 液晶表示装置
JP2987531B2 (ja) 液晶表示装置
JP2994056B2 (ja) 薄膜二端子素子
JPH03163532A (ja) 薄膜二端子素子
JPH06337441A (ja) 薄膜二端子素子
JPH03163531A (ja) アクティブマトリクス基板
JP2942604B2 (ja) 液晶表示装置
JP3234015B2 (ja) 薄膜積層デバイス
JPH06102538A (ja) アクティブマトリックス基板
JPH03238424A (ja) 液晶表示装置
JPH03223723A (ja) アクティブマトリクス基板
JPH04299318A (ja) 薄膜積層デバイス用プラスチック基板およびそれを用いた薄膜積層デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080202

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090202

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees