JP3155079B2 - 1,2−ジクロルエタンの熱分解による塩化ビニルモノマーの製造方法 - Google Patents

1,2−ジクロルエタンの熱分解による塩化ビニルモノマーの製造方法

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JP3155079B2
JP3155079B2 JP23688692A JP23688692A JP3155079B2 JP 3155079 B2 JP3155079 B2 JP 3155079B2 JP 23688692 A JP23688692 A JP 23688692A JP 23688692 A JP23688692 A JP 23688692A JP 3155079 B2 JP3155079 B2 JP 3155079B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1,2−ジクロルエタ
ンを熱分解して塩化ビニルモノマーを製造する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、1,2−ジクロルエタンを熱分解
装置により熱分解して塩化ビニルモノマーを製造するば
あい、まず、1,2−ジクロルエタンを蒸発器で蒸発さ
せ、えられた1,2−ジクロルエタンガスを分解炉内に
設けられた加熱管に導入し、そこで360℃まで加熱
し、ついで、ガスの流れ方向に対し一定の内径を有する
反応管に導入して更に昇温を続け、1,2−ジクロルエ
タンの分解率が58〜60%になるように、反応管出口
温度を通常490〜495℃に調節しながら熱分解を行
なっている。
【0003】高い分解率で運転すると、塩化ビニルモノ
マーの重合のさい問題となるメチルクロライド、ブタジ
エンなどの副反応生成物が増加するとともに、反応管内
でのコーキング速度が促進されて分解炉の連続運転寿命
が短くなる。
【0004】一方、運転寿命を延ばすため低い分解率で
運転すると、分解炉での燃料消費量の増大や分解生成物
を蒸留により分離精製する次工程での蒸留エネルギー使
用量の増大など、エネルギー効率がわるくなる。
【0005】通常、反応管の圧力損失がコーキングが原
因で運転開始当初の圧力損失の2.5倍に達すると運転
継続が困難となり、反応管の過熱による破損が生じる可
能性もあるため、運転を停止して反応管内のカーボンを
除去しなければならない。圧力損失の増大速度はコーキ
ング速度に依存し、通常2〜3カ月を超えると急激に増
大しはじめ、そののち短期間で運転開始当初の2.5倍
に達する。
【0006】運転開始してから圧力損失が約2.5倍に
達して運転を停止するまでの連続運転期間を運転寿命と
称するが、運転停止による経済的な損失を免れるため、
運転寿命を延ばす努力が分解率を高める努力と並行して
今日までなされてきた。
【0007】1,2−ジクロルエタンの所定の分解率お
よび塩化ビニルモノマーの品質を維持し、反応管の運転
寿命を延ばす方法として反応管内径を大きくする方法が
知られている(特公昭59−8245号公報)。しか
し、該公報の反応管は所定の内径を有する1種類の反応
管のみから構成されており、該公報の方法において、運
転寿命は2倍にすることができるが、それでも運転寿命
はその実施例に記載のように4カ月であり充分長いとは
いえない。また分解率も50.49%と比較的低い。
【0008】特開昭63−139140号公報には、分
解炉からの高温の分解流出ガスと分解炉に導入する1,
2−ジクロルエタンとを熱交換することにより1,2−
ジクロルエタンの分解反応帯域を拡大し、副生成物の増
加なしに1,2−ジクロルエタンの分解率の増大を達成
できたことが記載されている。しかし、該公報には反応
管の内径に関する記載はなく、拡大した分解反応帯域の
温度と既存の分解反応帯域の温度との関係が明確でな
く、該公報の方法において、分解率を5〜10%程度増加
することはできているが運転寿命の伸びは明確でない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】塩化ビニルモノマーの
製造にあたり、運転費用低減のため、分解炉の運転寿命
を短縮することなく、分解率を大幅に高める必要があ
る。このため、既存の反応管の後方に新たな反応管を連
結することが考えられるが、この方法によれば新たに設
けた反応管でのコーキングが著しく、分解率を所望の程
度に大幅に上げることは困難である。
【0010】本発明は前記問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は1,2−ジクロルエタンを高い分解
率で熱分解することができ、反応管におけるコーキング
の発生程度を低くし反応管の寿命を長くすることのでき
る、1,2−ジクロルエタンの熱分解による塩化ビニル
モノマーの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らはコーキング
を惹き起こさないで、高分解率を達成する方法を鋭意検
討した結果、コーキング速度の支配因子を見出し、その
中で特に寄与率の大きい分解反応温度および分解率の影
響とそれらの相乗効果を定量化することに成功し、コー
キング速度を高めることなく分解率を高める方法を見出
した。一般的に分解率を高めるとコーキング速度が速く
なるが、本発明は、反応管における分解反応温度を下げ
ることによりコーキング速度を抑制し、分解温度を下げ
ることにより同時に起こる1,2−ジクロルエタンの分
解速度の低下は、反応時間を増やすことにより補い、結
果として高い分解率を実現するものである。具体的に
は、反応管を2段構造にし、1段目の分解温度より2段
目の分解温度を低くして熱分解するものである。
【0012】すなわち、本発明は、前方反応管および前
方反応管より内径が大きく長さが短い後方反応管を結ん
でなる反応管を用いて1,2−ジクロルエタンの熱分解
により塩化ビニルモノマーを製造する方法であって、前
方反応管に1,2−ジクロルエタンガスを供給して前方
反応管の出口における熱分解ガスの温度より後方反応管
の出口における熱分解ガスの温度が低くなるように温度
制御を行ないつつ1,2−ジクロルエタンを所定の分解
率まで熱分解し、前方反応管からの熱分解ガス中の未分
解1,2−ジクロルエタンを後方反応管において熱分解
する方法に関する。
【0013】
【作用および実施例】本発明の製造方法は、前方反応管
において所定の分解率まで1,2−ジクロルエタンの熱
分解を行ない、後方反応管の出口においてより高い分解
率がえられるように後方反応管で熱分解を行なうもので
あり、分解率が高くなることによって惹き起こされるコ
ーキング速度の増大を抑制するための手段およびコーキ
ング発生による弊害を緩和するための手段を含む。
【0014】本発明の製造方法によれば、まず、前方反
応管では加熱管から導かれた1,2−ジクロルエタンを
速やかに効率的に熱分解が行なえる450℃〜490℃
まで上昇させる。コーキング抑制のためには、このよう
な比較的高い温度において副生するクロロプレンの濃度
を低く維持しなければならない。
【0015】そのため、前方反応管の内径を小さくして
1,2−ジクロルエタンのガス流速を高め、一方、高い
伝熱係数を確保することにより、速やかに所定の分解温
度までの昇温を行ない、短時間で熱分解を行なう。すな
わち、前方反応管では比較的に高温であるが短時間で熱
分解させることにより、比較的低い所定の分解率まで反
応を行なうとともに、コーキングを抑制する。
【0016】つぎに後方反応管では、後方反応管出口に
おける分解率を目的とする分解率まで高めるため、前方
反応管から導かれた未分解1,2−ジクロルエタンを熱
分解する。ここで後方反応管出口における分解率は、前
方反応管に導入された1,2−ジクロルエタンの量を基
準にした前方反応管内における分解率と、前方反応管に
導入された1,2−ジクロルエタンガスの量を基準にし
た後方反応管における分解率との和である。分解率が高
くなるとクロロプレン濃度も高くなるため、コーキング
が発生しやすいが、後方反応管では管壁温度を下げ、前
方反応管の出口温度から徐々に下げて分解温度を400
〜485℃にまで低くすることによりコーキングを抑制
する。
【0017】低い分解温度で分解率を上げるには、前記
のとおり反応時間を長くすることが必要であり、そのた
め後方反応管の内径を太くしてガス流速を低くする。後
方反応管では、前方反応管のように温度を上げながら熱
分解するのでなく、温度を下げながら熱分解するため、
ヒートフラックス(単位面積当たりの熱移動量)は前方
反応管よりも小さくてよく、反応管の内径を大きくした
ことによる伝熱面積の相対的低下および伝熱係数の低下
などの熱移動に関する問題は生じないばかりか、むしろ
内径を大きくすることによりコーキングによる圧力損失
の程度を小さくできるという利点がある。
【0018】このように本発明の製造方法によれば、著
しいコーキングを招くことなく1,2−ジクロルエタン
の高い分解率がえられる。これに対し、従来の1段構造
の反応管のみで構成される分解炉反応管で60%以上の
高い分解率をえようとすると反応管の出口温度を通常4
95〜520℃と高い温度に維持しなければならない。
しかし、このような高い温度ではコーキングの発生が著
しい。コーキングを抑制するために出口温度を低下させ
ると高い分解率がえられなくなる。
【0019】本発明において前方反応管の内径は一般的
に10〜15cmのものが用いられ、後方反応管の内径
はこれよりも大きければさしつかえないが、好ましくは
前方反応管の内径の1.1〜2倍のものが使用される。
【0020】なぜなら、後方反応管の内径は、コーキン
グによるカーボンの管内付着で通常1cm程度小さくな
るため、10〜15cm程度である前方反応管の内径の
1.1倍未満にすると、コーキングにより狭められた内
径が前方反応管の内径より小さくなり大きな圧力損失を
招くからである。また、内径を小さくすると、単位長さ
あたりの反応管の表面積Sと体積Vの比S/Vが大きく
なるため、反応管内のガス流体へ熱を容易に伝達するこ
とはできるが、流速が高くなり反応時間が不足し分解率
をアップすることが困難となる。
【0021】一方、2倍を超える内径にすると、反応管
内のガス流体へ熱を伝達しにくくなって、反応時間が長
くなり、副反応生成物の増加とコーキングの促進を招
く。
【0022】前記後方反応管の内径の倍率は、より好ま
しくは1.2〜1.5倍、最も好ましくは1.3〜1.
4倍である。
【0023】後方反応管の長さは前方反応管の長さの1
/20〜1/2、好ましくは1/5〜1/3の長さにす
べきであるが、後方反応管の長さが短すぎると、後方反
応管での分解率が小さくなり前方反応管出口における分
解率に対する後方反応管出口における分解率の上昇が小
さくなる傾向があり、本発明の充分な効果がえられず、
一方、後方反応管の長さが長くなりすぎると、後方反応
管出口の分解率の前方反応管出口の分解率に対する上昇
は大きくなるが、設備費が高くなるばかりでなく、コー
キングおよび圧力損失が増大し、運転寿命が短縮する傾
向がある。前方反応管および後方反応管の長さは、通常
200〜250mおよび10〜100mである。
【0024】後方反応管は、直管に制限されず、曲管と
直管とで構成するのが好ましい。
【0025】後方反応管の出口温度は前方反応管の出口
温度よりも低ければさしつかえないが、好ましい温度差
は5〜150℃である。なぜなら、後方反応管の出口温
度が前方反応管の出口温度と同じか高いばあい、後方反
応管でのコーキングが著しくなり運転寿命を短縮するか
らである。また、後方反応管の出口温度が前方反応管に
比較し著しく低いばあい、熱分解反応が停止し、塩化ビ
ニルモノマーの品質上好ましくないブタジエン、エチル
クロライドなどの副生成物の生成量が増大するため好ま
しくない。したがって、後方反応管の最も好ましい出口
温度はコーキングを促進しない低い温度であるが実質的
に熱分解反応を停止することのない360℃以上であ
り、前方反応管の出口温度(470〜490℃)よりも
5〜150℃低い温度である。この温度差は、より好ま
しくは10〜50℃、最も好ましくは20〜30℃であ
る。
【0026】本発明の製造方法においては、後方反応管
の出口における熱分解ガスの温度を前方反応管の出口に
おける熱分解ガスの温度より低く維持するために、原則
的に後方反応管と前方反応管を別々に温度制御する。
【0027】この温度制御は、後方反応管と前方反応管
とを同じ分解炉内に設置して行なってもよいし、別々に
設けられた分解炉内に設置して行なってもよい。
【0028】同じ分解炉内に設置するばあい、前方反応
管と後方反応管との間に仕切壁を設け、後方反応管の炉
内温度を前方反応管の炉内温度よりも低い温度に調節で
きるようにすることにより、後方反応管の出口温度を低
く保つことができる。また、後方反応管のためのバーナ
ーへの燃料供給量を制限してもよい。この態様において
は、前方反応管と後方反応管は直接接続されており、前
方反応管の出口温度は後方反応管の入口温度である。
【0029】この態様において本発明の製造方法を実施
するための一般的装置を図1に概略的に示す。図1にお
いて、1は前方反応管、2は後方反応管、3は後方連絡
管、4は急冷塔、5は蒸発器、6は分解炉、7は加熱管
を表わす。この装置において、まず、1,2−ジクロル
エタンが蒸発器5に送られる。ここで蒸発した1,2−
ジクロルエタンガスは加熱管7に送られて所定の温度に
予熱される。予熱された1,2−ジクロルエタンガスは
前方反応管1に送られて所定の分解率まで熱分解され
る。熱分解されたガスは後方反応管2に送られ、そこで
ガス中の1,2−ジクロルエタンがさらに熱分解され後
方反応管2の出口における分解率が高くなる。ここで、
分解炉6において前方反応管と後方反応管の間に仕切壁
8が設けられており、前方反応管出口の温度より後方反
応管出口の温度の方が低くなるような加熱が行なわれ
る。後方反応管出口を出たガスは後方連絡管を通って急
冷塔4に送られて冷却される。
【0030】別々に設けられた分解炉に後方反応管と前
方反応管とをそれぞれ設置するばあい、それぞれの分解
炉の炉内温度調整により、後方反応管の出口温度を低く
保つことができる。この態様においては、前方反応管と
後方反応管との間に両者を接続するための中間連絡管、
すなわち二つの分解炉を接続するための中間連絡管が存
在する。このばあい、前方反応管の出口温度は、中間連
絡管の入口温度である。
【0031】この態様の本発明の製造方法を実施するた
めの一般的装置を図2に概略的に示す。図2において、
9は中間連絡管を表わし、他の数字は図1と同じものを
示す。この装置においても、図1の装置と同様の熱分解
が行なわれるが、前方反応管出口を出た熱分解ガスの温
度は中間連絡管9を通過中に低下するので、その温度低
下の程度に応じて後方反応管2の加熱を調節する。
【0032】また、後方反応管を、分解炉とは別の容器
に入れて温度を調整してもよい。容器に入れるばあい、
容器内には熱媒体として液またはガスを通し、後方反応
管を加熱または冷却した熱を他の装置に利用してもよ
い。この態様においても、前方反応管と後方反応管との
間に両者を接続するための中間連絡管、すなわち分解炉
と別の容器を接続するための中間連絡管が存在する。
【0033】この態様の本発明の製造方法を実施するた
めの一般的装置を図3に概略的に示す。図3において1
0は容器を表わす。
【0034】中間連絡管は外部との熱授受を行なわない
が、連絡管内で前方反応管からの分解ガスの保有してい
る顕熱で熱分解が起こるため、後方反応管に近い機能を
有する。したがって、その内径は前方反応管の1.1〜
2倍とし、長さは後方反応管の1/20〜1/2とする
のがよい。
【0035】通常、後方反応管の流路数は前方反応管の
流路数と同数とするが、後方反応管の流路数を前方反応
管の流路数よりも少なくするばあいは、Y型の形状をし
た中間連絡管を用いて流路を集合させることができる。
【0036】後方反応管は、一般的には、次工程の急冷
塔に後方連絡管により直接接続される。後方連絡管の内
径は通常後方反応管と同一の内径とするが、数本の後方
反応管を一本の後方連絡管に集合させるばあいは後方反
応管の断面積の和を後方連絡管の断面積と等しくする。
後方反応管は、後方反応管と同じ熱媒体を用いた急冷用
熱交換器に通したのち、急冷塔に接続することもでき
る。この熱交換器に用いる管は後方反応管と同一の内径
を有する単一管とすることも可能であるが、内径の小さ
い複数の管で構成することも可能である。
【0037】後方連絡管は前述の中間連絡管とは異なり
熱分解反応を意図しておらず、後方反応管とは内径、長
さ、管内温度の点で関連性はない。
【0038】前方反応管および後方反応管の長さ、内
径、出口温度は前記関係を満たすように自由に選定する
ことができる。
【0039】最終の分解率を高く、かつ運転寿命を長く
するために、前方反応管の出口における分解率より後方
反応管の出口における分解率が2〜15%高くなるよう
にすることが好ましい。このことは、前方反応管に導入
された1,2−ジクロルエタンの量を基準にした後方反
応管のみにおける1,2−ジクロルエタンの分解率が2
〜15%であることを意味する。この分解率の差は、よ
り好ましくは5〜10%、もっとも好ましくは6〜8%
である。
【0040】また、前方反応管の出口における分解率を
50〜60%として運転するのが好ましい。これより高
い分解率で運転すると前方反応管において後方反応管よ
りも早く閉塞が起こる傾向があり、これより低い分解率
で運転すると後方反応管での閉塞が起き運転寿命が短く
なる傾向があり好ましくない。この前方反応管出口の分
解率は、より好ましくは53〜58%、もっとも好まし
くは55〜56%である。
【0041】本発明の方法は、1,2−ジクロルエタン
の熱分解速度を促進する四塩化炭素などの触媒の存在下
またはクロロプレンなどのコーキング促進物質の存在下
でも有効である。
【0042】本発明をつぎの具体的な実施例により説明
するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されない。
【0043】実施例1 350℃のガス状1,2−ジクロルエタンを、内径11
cmの低分解領域である前方反応管(長さ200m)に
圧力15atm、供給量毎時6600kgで供給し、出
口温度を485℃として熱分解を行ない、ついでこの熱
分解ガスを仕切壁によって仕切られた同じ分解炉内に設
けられた内径15cmの高分解領域である後方反応管
(長さ50m)に供給し、後方反応管の出口温度を48
0℃として、さらに熱分解を行なった。
【0044】前記条件にて、前方反応管出口における分
解率は56%であり、後方反応管出口における分解率は
65%であり、6カ月の連続運転後、圧力損失は1.5
kg/cm2 から3.0kg/cm2 へと2倍増加し
た。
【0045】なお、前方反応管出口における分解率Xは
前方反応管出口のガスをサンプリングし、急速冷却した
のち、熱分解により生成した塩化水素のモル数Hと未分
解の1、2−ジクロルエタンモル数Eを測定し、次式に
より計算して求めた。また、後方反応管出口における分
解率も同様な方法でもとめた。
【0046】X=H/(H+E)×100 実施例2 実施例1と同じ前方反応管を用いて同じ条件で熱分解を
行なったのち、分解ガスを10mの長さをもった中間連
絡管に導入した。ついで、中間連絡管出口からの分解ガ
スを分解炉とは別の容器に入れられた実施例1と同じ後
方反応管に導入し、出口温度を475℃として、さらに
熱分解を行なった。
【0047】前記条件にて、前方反応管出口における分
解率は56%であり、後方反応管出口における分解率は
66%であり、6ケ月の連続運転後、圧力損失は1.5
kg/cm2 から3.2kg/cm2 へと2.1倍に増
加した。
【0048】実施例3 後方反応管反応管の出口温度が445℃である以外は実
施例1と同じ装置および条件で熱分解を行なった。
【0049】前記条件にて、前方反応管出口における分
解率は56%であり、後方反応管出口における分解率は
62%であり、6ケ月の連続運転後、圧力損失は1.5
kg/cm2 から3.0kg/cm2 へと2倍に増加し
た。
【0050】比較例1 360℃のガス状1,2−ジクロルエタンを、内径11
cmの低分解領域である前方反応管(長さ200m)に
圧力15atm、供給量毎時6600kgで供給し、出
口温度497℃で熱分解し、ついでこの熱分解ガスを仕
切壁によって仕切られた同じ分解炉内に設けられた内径
11cmの高分解領域である後方反応管(長さ50m)
に供給し、後方反応管の出口温度510℃でさらに熱分
解を行なった。
【0051】前記条件にて、前方反応管出口における分
解率は61%であり、後方反応管出口における分解率は
64%であったが、3カ月の連続運転後、早くも全圧力
損失が1.6kg/cm2 から3.8kg/cm2 へと
約2.4倍に増加した。すなわち、分解率は実施例1と
ほぼ同じであるが、運転寿命は約半分であった。
【0052】比較例2 360℃のガス状1,2−ジクロルエタンを、内径11
cmの反応管(長さ200m)に圧力15atm、供給
量毎時6600kgで供給し、出口温度470℃で熱分
解した。
【0053】前記条件にて、6カ月の連続運転後、圧力
損失の増加は、1.4kg/cm2から3.5kg/c
2 へと約2.5倍に押さえることができたが、反応管
出口における分解率は52%にとどまった。すなわち、
実施例1と同じ運転期間において分解率は13%低かっ
た。
【0054】比較例3 後方反応管の出口温度が445℃である以外は比較例1
と同じ装置および条件で熱分解を行なった。
【0055】前記条件にて、前方反応管出口における分
解率は61%であり、後方反応管出口における分解率は
62%であったが、3ケ月の連続運転後、早くも全圧力
損失が1.6kg/cm2 から3.4kg/cm2 へと
2.1倍に増加した。
【0056】すなわち、分解率および後方反応管の出口
温度を実施例1よりも小さくしたにも拘らず運転寿命は
約半分であった。
【0057】比較例4 前方反応管の出口温度が490℃で、後方反応管の出口
温度が495℃である以外は実施例1と同じ装置および
条件で熱分解を行なった。
【0058】前記条件にて、前方反応管出口における分
解率は58%であり、後方反応管出口における分解率は
72%であり、2.5ケ月の連続運転後、圧力損失は
1.5kg/cm2 から3.8kg/cm2 へと2.5
倍に増加した。
【0059】
【発明の効果】本発明の方法によれば、反応管の運転寿
命を長く保ちながら1,2−ジクロルエタンを高い分解
率で熱分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を実施するための装置の概略
図である。
【図2】本発明の製造方法を実施するための別の装置の
概略図である。
【図3】本発明の製造方法を実施するための別の装置の
概略図である。
【符号の説明】
1 前方反応管 2 後方反応管 3 後方連絡管 4 急冷塔 5 蒸発器 6 分解炉 7 加熱管 8 仕切壁 9 中間連絡管 10 容器

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前方反応管および前方反応管より内径が
    大きく長さが短い後方反応管を結んでなる反応管を用い
    て1,2−ジクロルエタンの熱分解により塩化ビニルモ
    ノマーを製造する方法であって、前方反応管に1,2−
    ジクロルエタンガスを供給して前方反応管の出口におけ
    る熱分解ガスの温度より後方反応管の出口における熱分
    解ガスの温度が低くなるように温度制御を行ないつつ
    1,2−ジクロルエタンを所定の分解率まで熱分解し、
    前方反応管からの熱分解ガス中の未分解1,2−ジクロ
    ルエタンを後方反応管において熱分解することを特徴と
    する方法。
  2. 【請求項2】 前方反応管の出口における熱分解ガスの
    温度より後方反応管の出口における熱分解ガスの温度が
    5℃〜150℃低くなるように温度制御を行なう請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】 後方反応管の内径が前方反応管の内径の
    1.1〜2倍である請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 後方反応管の長さが前方反応管の長さの
    1/20〜1/2である請求項1、2または3記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 前方反応管と後方反応管の間に中間連絡
    管が存在し、中間連絡管の長さが後方反応管の長さの1
    /20〜1/2である請求項1、2、3または4に記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 前方反応管の出口における1,2−ジク
    ロルエタンの分解率が50〜60%である請求項1、
    2、3、4または5記載の方法。
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