JP3152401B2 - 負帯電性トナーの製造方法 - Google Patents

負帯電性トナーの製造方法

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JP3152401B2 JP11263391A JP11263391A JP3152401B2 JP 3152401 B2 JP3152401 B2 JP 3152401B2 JP 11263391 A JP11263391 A JP 11263391A JP 11263391 A JP11263391 A JP 11263391A JP 3152401 B2 JP3152401 B2 JP 3152401B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真、静電記録、
静電印刷などにおける静電荷像を現像するための負帯電
性トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体や静電記録体などの上に
形成された静電潜像を現像する手段としては、液体現像
剤を用いる方法(湿式現像法)と、結着樹脂中に染料、顔
料等の着色剤、更には必要に応じて荷電制御剤等を分散
させたトナー、あるいはこのトナーを固体キャリアと混
合した一成分型ないし二成分型乾式現像剤を用いる方式
(乾式現像法)とが一般に採用されている。そして、これ
ら方式にはそれぞれ長所・短所があるが、現在では、乾
式現像法が多く利用されている。
【0003】ところで、高画質、高耐久性をもたらすた
めに、トナーの小粒径化、シャープな粒径分布、充分な
着色力、及び均一な帯電制御などが要求されている。即
ち、小粒径化は解像力、シャープネス、ハーフトーン再
現性、写真再現性などの品質を向上させる。また、シャ
ープな粒径分布であると、特にハーフトーン再現性及び
写真再現性が良くなる。更に、長時間使用しても現像剤
中のトナーの粒径分布が変化しないため、画質の安定性
と現像剤の長寿命化をもたらす。
【0004】従来のトナーの一般的な製造方法、即ち樹
脂、染・顔料、荷電制御剤を溶融混練し、機械式あるい
は空気衝突式の粉砕機にて粉砕、分級を行なう方法で製
造されたトナーにおいては、特に小粒径のものを得よう
とした場合、次のような欠点がある。即ち、 (1)生産能力や収率が低下し、コスト高になる。 (2)粒径を小さくするほど、荷電制御剤の分散不均一
によりトナー帯電特性が不良となり、地汚れやトナー飛
散を生じ易い。 (3)更に、粉砕で得られた小粒径トナーの表面はかな
り突起物が多く、キャリア、摩擦帯電部材あるいは感光
体のフィルミングを起こし易い。 (4)小粒径化すると、トナー一個一個の着色力が弱ま
る。 (5)感光体上に残った小粒径トナーのクリーニングが
難しい。 (6)特に狭い分布のトナーを得ようとした場合、生産
能力や収率が著しく低下し、コスト高になり、また例え
分級を繰り返したとしても、得られる粒径分布には限界
がある。
【0005】そこで、高画質、高耐久性をもたらすトナ
ー及びその製造方法に関し、多くの提案がなされてい
る。例えば、着色顔料及び荷電制御剤を内部に含有する
核体粒子を懸濁重合法により形成すること(特公昭51
−14895号、特公昭47−51830号公報)が提
案されているが、この方法は表面に付着する分散安定
剤、界面活性剤等の除去が困難で帯電劣化を起し易く、
また環境変動を起こし易い。また、この方法では、小粒
径で且つ粒径分布の狭いものを安定に製造することが困
難である。
【0006】これに対し、小粒径で粒径分布の狭いトナ
ーを簡単に得る方法として、特開昭58−106554
号、同61−18965号、同61−275766号公
報など、粒径分布の狭い粒子の上に着色剤やトナー特性
付与物質を付着、コーティングさせて、いわゆるコアー
シェル構造のトナーを製造しようとする試みが行なわれ
ているが、このような構造のトナーは、着色物質その他
が表面に存在するために電気的特性及び耐久性に劣ると
いう欠点がある。
【0007】また、別のトナー製造方法として、樹脂粒
子を染料溶液中に浸漬して染着する方法が提案されてい
る(特開昭50−46333号、特開平1−10363
1号、特開昭56−154738号、同61−2284
58号、同63−106667号、同64−90454
号公報等)。このような方法は、製造工程が少ないこと
から好ましい方法ではあるが、いずれも充分に検討が試
されておらず、染料が粒子内で均一に着色されているか
は不明で、しかも上記文献の記載内容の知識だけでは実
用化し得るものではなかった。なお、特開昭61−22
8458号公報では、分散重合で製造した粒子に染料を
付与し、着色する試みが述べられているが、この方法に
よると粒子表面に恒久的に付着させた分散安定剤によ
り、トナーの極性を制御しているため、摩擦帯電性は環
境変動に対し不安定であり、経時安定性も良くないとい
う欠点がある。更に、提案されているトナーにおいて
は、いずれも小粒径化に伴うクリーニング不良の問題が
充分に解決されていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】即ち、小粒径で且つ粒
径分布の狭いトナーであって、しかも充分安定な摩擦帯
電特性や良好なクリーニング性を有するものは未だ見出
されていないのが現状である。
【0009】従って、本発明の目的は、このような課題
を解決した粒径分布が狭い小粒経トナーを得ることがで
きる製造方法を提供することにあり、更に詳しくは解像
力、シャープネス、ハーフトーン再現性、写真再現性に
優れた、高着色のトナーであって、且つ環境による帯電
量変化が少なく、また経時で帯電性が安定しており、更
にクリーニング性の良好なトナーを得ることができる製
造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、着色樹脂粒子の表面を酸化処理する工程を含
む製造方法が上記目的に適合することを知見し、本発明
を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明によれば、粒径分布が狹い小
粒径合成樹脂粒子を染着法により着色した後、得られた
着色樹脂粒子の表面を乾式法により酸化することを特徴
とする負帯電性トナーの製造方法が提供される。
【0012】本発明の方法によると、粒径分布が狭い小
粒径合成樹脂粒子を染着法により着色し、更に得られた
着色樹脂粒子の表面を乾式酸化することによって、小粒
径、狭粒径分布で高着色力を有し、解像力、シャープネ
ス、ハーフトーン再現性、写真再現性に優れ、しかも環
境及び経時変化に対して帯電量が安定しているという高
信頼性のトナーが得られる。
【0013】(合成樹脂粒子)本発明においては、粒径
分布が狭い小粒径合成樹脂粒子が原料として使用され
る。この場合の合成樹脂粒子としては、例えば親水性有
機液体中に該有機液体に溶解する高分子分散剤を加え、
更にこれに前記有機液体には溶解するが、生成する重合
体は前記有機液体にて膨潤するか若しくはほとんどが溶
解しないビニル単量体の少なくとも一種を加えて重合す
ることにより製造された樹脂粒子(以下これを樹脂粒子
Aと呼ぶ)が好ましく用いられる。樹脂粒子Aは、通常
体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)の比が
1.00≦(Dv/Dp)≦1.20の範囲にあり、Dv
が1〜10μmである。
【0014】なお、樹脂粒子Aの製造方法としては、あ
らかじめ、目的の粒子径よりは小さいが粒度分布の狭い
重合体を利用して、前記の系にて成長させる反応も含ま
れる。成長反応に利用する単量体は、種粒子を製造した
ものと同じ単量体でもまた別の単量体でも良いが、重合
体は親水性有機液体に溶解してはならない。
【0015】上記の種粒子の形成時及び種粒子の成長反
応時に用いる単量体の希釈剤として用いる親水性有機液
体としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコー
ル、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、
n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ter
t−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t
ert−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチ
ルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノー
ル、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルア
ルコール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレ
ングリコール等のアルコール類;メチルセロソルブ、セ
ロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソル
ブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール
モノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチル
エーテル等のエーテルアルコール類などが挙げられる。
これらの有機液体は、単独で若しくは二種以上の混合物
で用いることができる。
【0016】なお、アルコール類及びエーテルアルコー
ル類以外の有機液体で、上述のアルコール類及びエーテ
ルアルコール類と併用することで、有機液体の生成重合
体粒子に対して溶解性をもたせない条件下で種々SP値
を変化させ、重合条件を変え、生成される粒子の大き
さ、種粒子同士の合一及び新粒子の発生を抑制すること
が可能である。この場合の併用する有機液体としては、
ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;四塩化
炭素、トリクロルエチレン、テトラブロムエタン等のハ
ロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルグリコ
ール、トリオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル
類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール
類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサン等のケトン類;ぎ酸ブチル、酢
酸ブチル、プロビオン酸エチル、セロソルブアセテート
等のエステル類;ぎ酸、酢酸、プロピオン酸等の酸類;
ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モ
ノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルホルムアミド等の硫黄、窒素含有有機化合
物類;その他水も含まれる。
【0017】上記、親水性有機液体を主体とした溶媒に
SO4イオン(−2価)、NO2イオン(−1価)、PO
4イオン(−3価)、Clイオン(−1価)、Naイオ
ン(+1価)、Kイオン(+1価)、Mgイオン(+2
価)、Caイオン(+2価)、その他の無機質イオンが
存在した状態で重合を行なっても良い。また、重合開始
時、重合途中、重合末期とそれぞれ混合溶媒の種類及び
組成を変化させ、生成する重合体粒子の平均粒径、粒径
分布、乾燥条件などを調節することができる。
【0018】また、前記の種粒子製造時又は成長粒子の
製造時に使用される高分子分散剤の適当な例としては、
例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル
酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン
酸、フマール酸、マレイン酸又は無水マレイン酸等の酸
類;水酸基を含有するアクリル系単量体、例えばアクリ
ル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキ
シエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタク
リル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロ
キシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、
アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタ
クリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチ
レングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレング
リコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノア
クリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステ
ル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド等;ビニルアルコール又はビニルアルコ
ールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビ
ニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等;ビニ
ルアルコールとカルボキシ基を含有する化合物のエステ
ル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビ
ニル等;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセト
ンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物;
アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸
クロライド類;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビ
ニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子又はそ
の複素環を有するものなどのホモポリマー又は共重合体
系;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリ
オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレン
アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、
ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウ
リルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアクリ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテルなどのポリオキシエチレン系;並びにメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロースなどのセルロース類が挙げられる。
【0019】また、上記親水性モノマーとスチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン等のベンゼン核を有
するもの、その誘導体又はアクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメ
タクリル酸誘導体などの共重合体;更には、架橋性モノ
マー例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエ
チレングリコールジメタクリレート、メタクリ酸アリ
ル、ジビニルベンゼンなどとの共重合体も使用可能であ
る。
【0020】これらの高分子分散剤は、使用する親水性
有機液体、目的とする重合体粒子の種及び種粒子の製造
か成長粒子の製造により適宜選択されるが、特に重合体
粒子同士の合一を主に立体的に防ぐ意味で、重合体粒子
表面への親和性、吸着性が高く、しかも親水性有機液体
への親和性、溶解性の高いものが選ばれる。また、立体
的に粒子同士の反発を高めるために、分子鎖がある程度
の長さのもの、好ましくは、分子量が1万以上のものが
選ばれる。しかし、あまり分子量が高いと、液粘度の上
昇が著しく、操作性、撹拌性が悪くなり、生成重合体の
粒子表面への析出確率のばらつきを与えるため注意を要
する。また、先に挙げた高分子分散剤の単量体を一部、
目的とする重合体粒子を構成する単量体に共存させてお
くことも、安定化には効果がある。
【0021】更に、これら高分子分散剤と共にコバル
ト、鉄、ニッケル、アルミニウム、銅、錫、鉛、マグネ
シウム等の金属又はその合金(特に粒径1μm以下のも
のが好ましい);酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化
亜鉛、酸化チタン、酸化硅素などの酸化物の無機化合物
微粉体;高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベン
ゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、燐酸
エステル等の陰イオン界面活性剤;アルキルアミン塩、
アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導
体、イミダゾリン等のアミン塩型や、アルキルトリメチ
ルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム
塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジ
ウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニ
ウム等の四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤;
脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオ
ン界面活性剤;例えば、アラニン型[例えばドデシルジ
(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチ
ル)グリシン]等のアミノ酸型やベタイン型の両性界面
活性剤を併用しても、生成重合体粒子の安定性及び粒径
分布の改良を更に高めることができる。
【0022】一般に種粒子製造時の高分子分散剤の使用
量は、目的とする重合体粒子形成用の重合性単量体の種
類によって異なるが、通常は親水性有機液体に対し、
0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
高分子分散剤の濃度が低い場合には、生成する重合体粒
子は比較的大粒径のものが得られ、濃度の高い場合に
は、小粒径のものが得られるが、10重量%を越えて用
いても小粒径化への効果は少ない。
【0023】以上挙げた高分子分散剤及び必要に応じ添
加される無機微粉末、顔料、界面活性剤は、種粒子の製
造の際に必要であるのはもちろんであるが、成長反応の
際に粒子同士の合一を防ぐ目的で、添加するビニル単量
体溶液や種粒子分散液に存在させて重合を行なってもよ
い。
【0024】初期に生成する粒子は、親水性有機液体中
と重合体粒子表面に平衡を保って分配された高分子分散
剤によって安定化されるが、未反応のビニル単量体が親
水性有機液体中にかなり存在する場合は、いくぶん膨潤
された粘着性を持ち、高分子分散剤の立体的反発力に打
ち勝って凝集してしまう。更に、極端に親水性有機液体
に対して単量体の量が多い場合は、生成する重合体が完
全に溶解してしまい、重合がある程度進行しないと析出
してこない。この場合の析出の状態は、粘着性の高い塊
状物を形成する様式をとる。従って、粒子を製造する時
の単量体の親水性有機液体に対する量は、おのずと制限
されることになり、親水性有機液体の種類によって多少
異なるが、単量体/親水性有機液体比がおよそ1以下、
好ましくは1/2以下が適当である。
【0025】また、前記のビニル単量体とは、親水性有
機液体に溶解可能なものであり、例えばスチレン、o−
メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,
4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−
tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレ
ン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレ
ン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレ
ン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p
−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどのス
チレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸
プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシ
ル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチ
ル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル
酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル
酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−
エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル
酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタ
クリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチル脂肪酸
モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタク
リロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸若しく
はメタクリル酸誘導体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、
臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル類など
からなる単独又は相互の混合物及びこれらを50重量%
以上含有し、これらと共重合し得る単量体との相互の混
合物を意味する。
【0026】また、本発明で用いる重合体は、耐オフセ
ット性を高める為に、重合性の二重結合を二個以上有す
るいわゆる架橋剤の存在下に重合させたものであっても
良い。好ましく用いられる架橋剤としては、ジビニルベ
ンゼン、ジビニルナフタレン及びそれらの誘導体である
芳香族ジビニル化合物、その他エチレングリコールジメ
タクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、
トリエチレングリコールメタクリレート、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート、
tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、テトラ
エチレングリコールメタクリレート、1,3−ブタンジ
オールジメタクリレートなどのジエチレン性カルボン酸
エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテ
ル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなど全ての
ジビニル化合物および三個以上のビニル基を持つ化合物
が挙げられ、これらは単独又は混合物等で用いられる。
【0027】このように架橋された種粒子を用いて成長
重合反応を引き続いて行なった場合には、成長する重合
体粒子の内部が架橋さたものとなる。また、一方で成長
反応に用いるビニル単量体溶液に上記の架橋剤を含有さ
せた場合には、粒子表面が硬化された重合体が得られ
る。
【0028】また、原料樹脂粒子の製造においては、平
均分子量を調節することを目的として、連鎖移動定数の
大きな化合物を共存させて重合を行なってもよい。例え
ば、メルカプト基を持つ低分子化合物や四塩化炭素、四
臭化炭素等が挙げられる。
【0029】また、前記単量体の重合開始剤としては、
例えば2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)な
どのアゾ系重合開始剤、ラウリルパーオキシド、ベンゾ
イルパーオキシド、tert−ブチルパーオクトエート
などの過酸化物系重合開始剤、過硫酸カリウムのような
過硫化物系開始剤あるいはこれにチオ硫酸ナトリウム、
アミンなどを併用した系が用いられる。なお、重合開始
剤濃度は、ビニル単量体100重量部に対して0.1〜
10重量部が好ましい。
【0030】樹脂粒子Aを得るための重合条件は、重合
体粒子の目標平均粒径、目標粒径分布に合わせて、親水
性有機液体中の高分子分散剤及びビニル単量体の濃度及
び配合比が決定される。一般に粒子の平均粒径を小さく
しようとするならば、高分子分散剤の濃度を高く、ま
た、平均粒径を大きくしようとするならば、高分子分散
剤の濃度が低く設定される。一方、粒径分布を非常に鋭
くしようとするならば、ビニル単量体濃度を低く、ま
た、比較的広い分布でも良い場合は、ビニル単量体濃度
は高く設定される。
【0031】樹脂粒子Aの製造は、親水性有機液体に高
分子分散剤を完全に溶解した後、一種又は二種以上のビ
ニル単量体、重合開始剤、その他必要に応じて無機微粉
末、界面活性剤、染料、顔料等を添加し、30〜300
rpmの通常の撹拌にて、好ましくはなるべく低速で、
しかもパドル型よりもタービン型の撹拌翼を用いて、槽
内の流れが均一になるような速度で撹拌しながら、用い
た開始剤の分解速度に対応した温度にて加熱し、重合す
ることによって行なわれる。なお、重合初期の温度が生
成する粒径に大きな影響を与えるため、単量体を添加し
た後に温度を重合温度まで上げ、開始剤を小量の溶媒に
溶解して投入するのが望ましい。重合の際には、窒素ガ
ス、アルゴンガス等の不活性気体にて、反応容器内の空
気中酸素を充分に追い出す必要がある。若し、酸素パー
ジが不充分であると、微粒子が発生し易い。
【0032】重合を高重合率域で行なうには、5〜40
時間の重合時間が必要であるが、所望の粒子径、粒子径
分布の状態で重合を停止させたり、また重合開始剤を順
次添加したり、高圧下で反応を行なうことにより、重合
速度を速めることができる。重合終了後は、そのまま染
着工程に用いても良いし、沈降分離、遠心分離、デカン
テーションなどの操作により、不必要な微粒子、残存モ
ノマー、高分子分散剤などを除いた後に、重合体スラリ
ーとして回収し、染着を行なっても良い。ただ、高分子
分散剤を除去しない方が、染着系の安定性が高く、不要
な凝集が抑制される。
【0033】(染着工程)本発明においては、粒径分布
が狭い小粒径合成樹脂粒子、好ましくは前記のようにし
て得られた樹脂粒子Aは、先ず染着法により着色され
る。染着法としては、任意の方法が採用されるが、特に
好ましいのは次の方法である。即ち、原料樹脂粒子を溶
解しない有機溶媒中に該樹脂粒子を分散し、この前後に
前記溶媒中に染料を溶解した後、該染料を該樹脂粒子中
に浸透させて着色し、その後、前記溶媒を除去して染着
トナーを得る方法において、染料として、前記染料の前
記有機溶媒に対する溶解度〔D1〕及び前記樹脂粒子の
樹脂に対する前記染料の溶解度〔D2〕の関係が、
〔D1〕/〔D2〕≦0.5、(特に好ましくは〔D1
/〔D2〕≦0.2)となる染料を選択使用するという
方法であり、この方法によると、前記樹脂粒子の深部ま
で染料が浸透(拡散)したトナーを効率良く製造するこ
とができる。
【0034】なお、上記染着法においては、溶解度は2
5℃の温度で測定されたものと定義される。また、染料
の樹脂中への溶解度とは、染料の溶媒中への溶解度と全
く同じ定義であり、樹脂中に染料が相溶状態で含有させ
ることができる最大量を意味する。この溶解状態あるい
は染料の析出状態の観察は、顕微鏡を用いることにより
容易に行なうことができる。なお、樹脂に対する染料の
溶解性を知るには、上記した直接観察による方法の代わ
りに、間接的な観察方法によっても良い。この方法は、
樹脂と溶解度係数が近似する液体、即ち、樹脂をよく溶
解する溶媒を用い、この溶媒対する染料の溶解度を、樹
脂に対する溶解度として定めるものである。
【0035】また、染料としては、カチオン染料、アニ
オン染料等の水溶性染料は、環境変動が大きい恐れがあ
り、またトナーの抵抗が低くなり、転写率が劣化する恐
れがあるので、バット染料、分散染料、油溶性染料の使
用が好ましく、特に油溶性染料が好ましい。なお、所望
の色調に応じて数種の染料を併用することもできる。染
着される染料と原料樹脂粒子との比率(重量)は、着色
度に応じて任意に選択されるが、通常は樹脂粒子100
重量部に対して、染料1〜50重量部が好ましい。
【0036】例えば、染着溶媒にSP値の高いメタノー
ル、エタノール等のアルコール類を使用し、樹脂粒子と
してSP値9程度のスチレン/アクリル系樹脂を使用し
た場合、好ましく使用し得る染料としては、例えば、以
下のような染料が挙げられる。 C.I. SOLVENT YELLOW(6,9,17,31,35,100,102,103,105) C.I. SOLVENT Orange(2,7,13,14,66) C.I. SOLVENT RED(5,16,17,18,19,22,23,143,145,146,1
49,150,151,157,158) C.I. SOLVENT VIOLET(31,32,33,37) C.I. SOLVENT BLUE(22,63,78,83〜86,91,94,95,104) C.I. SOLDENT GREEN(24,25) C.I. SOLDENT Brown(3,9)等。
【0037】市販染料では例えば、保土谷化学工業社の
竪染SOT染料Yellow-1,3,4、Orange-1,2,3、Scarlet-1、
Red-1,2,3、Brown-2、Blue-1,2、Violet-1、Green-1,2,
3、Black-1,4,6,8やBASF社のsudan染料、Yellow-140,15
0、Orange-220、Red-290,380,460、Blue-670や三菱化成
社のダイアレジン、Yellow-3G,F,H2G,HG,HC,HL、Orange
-HS,G、Red-GG,S,HS,A,K,H5B、Violet-D、Blue-J,G,N,
K,P,H3G,4G、Green-C、Brown-Aやオリエント化学社のオ
イルカラー、Yellow-3G,GG-S,#105、Orange-PS,PR,#20
1、Scarlet-#308、Red-5B、Brown-GR,#416、Green-BG,#
502、Blue-BOS,IIN、Black-HBB,#803,EE,EX、住友化学
工業社のスミプラスト、ブルーGP,OR、レッドFB,3B、イ
エローFL7G,GC、日本化薬社のカヤロン、ポリエステル
ブラックEX-SH300、カヤセットRed-BのブルーA-2R等を
使用することができる。もちろん、染料は樹脂粒子Aと
染着時に使用する溶媒の組合せで適宜選択されるため、
上記例に限られるものではない。
【0038】染料を樹脂粒子に染着させるために用いる
有機溶媒としては、使用する樹脂粒子が溶解しないも
の、あるいは若干の膨潤をきたすもの、具体的には有機
溶媒の溶解性パラメーター〔SP値〕と使用する樹脂粒
子の〔SP値〕との差が1.0以上、好ましくは2.0
以上のものが好ましい。例えば、スチレン/アクリル系
樹脂に対しては、〔SP値〕が高いメタノール、エタノ
ール、n−プロパノール等のアルコール系か、あるいは
〔SP値〕が低いn−ヘキサン、n−ヘプタン等を使用
するのが好ましい。もちろん〔SP値〕の差があまりに
大きすぎると、樹脂粒子に対する濡れが悪くなり、樹脂
粒子の良好な分散が得られないため、〔SP値〕差は2
〜5が好ましい。
【0039】染着の実施に当っては、染料を溶解した有
機溶媒中に樹脂粒子を分散させた後、液温度を樹脂粒子
のガラス転移温度以下に保持、撹拌することが好まし
い。これにより、樹脂粒子の凝集を防ぎ、染着すること
が可能となる。撹拌の方法は市販されている撹拌機、例
えばホモミキサー、マグネチックスタラー等を用いて撹
拌すればよい。
【0040】また、分散重合等で重合終了時得られるス
ラリー、つまり有機溶媒中に重合樹脂粒子が分散してい
る状態の溶液に、染料を直接添加して前記の条件にて加
熱撹拌してもよい。加熱温度がガラス転移温度超過の場
合は、樹脂粒子同士の融着が生じてしまう。
【0041】染着後のスラリーを乾燥する方法として
は、特に限定はされないが、濾別した後に風乾あるいは
濾別した後に減圧乾燥、あるいは濾別しないで直接減圧
乾燥すればよい。本発明において濾別した後に風乾又は
減圧乾燥して得られた着色粒子は、凝集は殆どなく、投
入した樹脂粒子の粒度分布をほとんど損なわないで再現
する。
【0042】(表面酸化工程)本発明においては、前記
の着色樹脂粒子は、続いて表面酸化処理を受け、負帯電
制御能が付与される。
【0043】一般にプラスチックの表面改質方法として
は、湿式系と乾式系に分けられ、湿式系の表面改質方法
としては、酸性又はアルカリ性水溶液による処理や高分
子コーティングなどが挙げられる。一方、乾式系の表面
改質方法としては、放射線化学に使用されている電子線
とかγ線を用いたもの、コロナ放電を使用したもの、プ
ラズマ反応を利用したものなどが挙げられる。湿式系の
場合、試料が強酸性や強アルカリ性の溶液に浸されるの
で、表面改質は行なわれるものの、試料自身の諸特性に
悪影響を及ぼすことがある。乾式系の場合は、酸、アル
カリという雰囲気は存在しないので、前記のような現象
は起こらない。
【0044】従って、本発明における着色樹脂粒子の表
面酸化処理は、乾式系により行なわれる(乾式法)。こ
の表面酸化処理方法としては、前記した電子線やγ線を
用いる方法、コロナ放電を使用する方法、あるいはプラ
ズマ反応を利用する方法など任意の方法が採用される
が、特にプラズマ反応を利用する方法が好ましい。とい
うのは、プラズマ反応は、電子線とかγ線に比べエネル
ギーが約一万分の一(約10eV)と低いため、物質透
過能が低く、反応は材料の表面近傍に限られ、本発明の
目的に最も合致するからである。
【0045】ただ、プラズマ反応は、エネルギーは低く
ても活性種の濃度が高いので、化学変化は高密度に起こ
る。しかも、前記化学変化は材料表面において無秩序に
起こるため、表面改質として好ましくない反応も起こる
ことが予想される。好ましくない反応としては、目的と
する反応でない結合解離反応を起こし、機械的特性に悪
影響を与えるという現象が挙げられる。例えば、表面構
造において主鎖分子が切断されラジカルが生成し、前記
ラジカルの部分が水素引き抜き反応を起こす。水素引き
抜き反応が無秩序に発生すると、目的の反応生成物が得
られなくなる。従って、プラズマ反応によって引き起こ
される材料表面の化学変化を、制御する必要がある。
【0046】そのため、表面酸化処理の実施に当って
は、導入ガスとして酸素を用い、目的としない反応を抑
えるため、プラズマによって生成する活性種の内、イオ
ンによって起こる反応が極力抑えられるプラズマ反応条
件を採用し、且つ材料表面にイオンがあたらない場所に
材料を設置することが好ましい。ここでいうイオンによ
る反応としては、スパッタ現象が挙げられる。スパッタ
により材料表面は、イオンで叩かれ結合が無秩序に切断
されることにより、機械的強度が低下する。つまり物理
的な力になるスパッタでは、目的とする酸素に起因する
結合生成は起きない。
【0047】上記のようにスパッタによる反応では目的
の反応が起きないので、可能なかぎりラジカルによる反
応が選択的に起こる反応条件を検討したところ、表面処
理を行なう材料を電極間から離れた場所に設置し、また
プラズマ反応時の加速電圧をプラズマ生成に可能なかな
り低い条件まで下げることにより、目的とする反応が容
易に達成されることが判明した。
【0048】なお、この表面酸化処理は、トナー表面の
炭素と結合する酸素の比率が1〜50原子%、特に5〜
40原子%程度とするように行なうのが好ましい。
【0049】(その他)なお、本発明方法においては、
トナーに再結晶、粉砕、乳化などの手段により微粒化さ
れた比較的Tgの高い微小粒子、例えばPMMA(ポリ
メチルメタクリレート)、PTFE(ポリテトラフルオ
ロエチレン)、PVDF(ポリ弗化ビニリデン)等のサ
ブミクロンの微粒子を打ち込むことも可能である。、ま
た、ポリオレフィン、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、
高級アルコール類、パラフィンワックス類等の離型剤を
トナー表面に打ち込み処理することもできる。
【0050】更に、本発明においては、トナー粒子に添
加剤を含有させることができる。この場合の添加剤とし
ては、酸化チタン粒子、疎水性シリカ粒子、ステアリン
酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど公知の微粒子が
用いられる。混合方法としては、Vブレンダー、ボール
ミルなどの一般的な混合装置を使用すればよい。
【0051】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、以下に示す部及び%はいずれも重量基準である。
【0052】実施例1 先ず、下記のようにして分散重合法により母体粒子を製
造した。即ち、撹拌翼、冷却器を取り付けた三つ口フラ
スコにメタノール320部を入れ、ポリビニルピロリド
ン(平均分子量4万)6.4部を小量ずつ撹拌しながら
添加し、完全に溶解させた。更に、以下の組成のものを
添加し、完全に溶解させた。 スチレン 25.6部 n−ブチルメタクリレート 6.4部 2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.2部
【0053】これらを撹拌しながらフラスコ内を窒素ガ
スでパージし、1時間放置した。60℃±0.1℃の恒
温水槽中で、200rpmの撹拌速度で撹拌しながら重
合を開始した。加熱後15分すると、液は白濁し始め、
20時間重合後も白濁した安定な分散液であった。一部
サンプリングしてガスクロマトグラフィーで、内部標準
法による測定を行なった結果、重合率は92%であるこ
とが確認された。
【0054】得られた分散液を冷却し、遠心分離機にて
2000rpmで遠心分離すると、重合体粒子は完全に
沈降し、上部の液は透明であった。上澄み液を除き、新
たにメタノール200部を加え、1時間撹拌洗浄した。
遠心分離しメタノールで洗浄する操作を繰り返し、濾過
した。濾別したものを、50℃にて24時間減圧乾燥
し、95%の収率で白色粉末のスチレン/n−ブチルメ
タクリレート共重合体粒子を得た。得られた粒子は体積
平均粒径Dv=7.40μm、Dv/Dp=1.07
(個数平均粒径6.92μm)であった。また、Tgは6
5℃であった。
【0055】次に、メタノール200部中にオイルブラ
ック803(オリエント化学社)1.0部を加熱溶解し
た後、冷却し1μmフィルターで濾別し、染料溶液を作
成した。続いて、該濾液に前記の共重合体粒子24部を
加えて分散させ、50℃で1時間加熱撹拌した。その
後、分散液を室温まで冷却し濾別したのち、50℃で2
4時間減圧乾燥し、着色樹脂粒子を得た。
【0056】次に、RIE装置〔日電アネルバ製:リア
クティブ・イオン・エッチング(RIE)装置(DEM
−451型)〕を用いて、着色樹脂の低温プラズマ反応
を行なった。サンプルは、可能なかぎりイオン衝撃を避
けるため、電極から離れた排気口の脇に設置した。チャ
ンバー内を0.2Paまで高真空とし、酸素ガスを導入
しながら酸素ガス流量を50SCCMとし、排気系を調
節してガス圧を20Paとした。ガス圧が一定となった
ら、高周波を発振してプラズマを発生させた。この時の
進行波及び反射波は、それぞれ200W、Ca.5Wと
した。また、上記のときの加速電圧は400Vであっ
た。基板温度は室温で行なった。プラズマ中におけるラ
ジカルの反応は50secで終了させ、反応が終了後ガ
スを流したまま真空度を5Paとして維持させた。その
後ガス導入を止め、0.2Paの高真空中で20sec
放置した。
【0057】サンプルを取り出して表面状態をESCA
で測定したところ、新たにカルボニル基及びカルボキシ
ル基に起因するピークが現れた(表面組成比は12%で
あった)。更に動的粘弾性の測定では、機械的強度の減
少や増加は見られなかった。つまり、上記のデータから
いえることは、イオンによる物理的なスパッタリングに
よる高分子表面の主鎖結合解離又は主鎖同士の再結晶は
起きてはおらず、ほとんどラジカルによる反応のみが起
きているものと考えられる。
【0058】以上のようにして本発明のトナーを得た。
得られたトナーの帯電量をブローオフ装置を用いて測定
したところ、−22.6(μC/g)であった。本トナ
ーを用いて、リコー社製デジタル複写機イマジオ420
にて画像を形成したところ、細線再現性が良好でハーフ
トーンの鮮やかな、鮮明な画像が得られた。
【0059】実施例2 先ず、下記のようにして分散重合法により母体粒子を製
造した。即ち、撹拌翼、冷却器を取り付けた三つ口フラ
スコにメタノール320部を入れ、ポリビニルピロリド
ン(平均分子量4万)6.4部を小量ずつ撹拌しながら
添加し、完全に溶解させた。更に、以下の組成のものを
添加し、完全に溶解させた。 スチレン 25.6部 メチルアクリレート 6.4部 2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.2部
【0060】これらを撹拌しながらフラスコ内を窒素ガ
スでパージし、1時間放置した。60℃±0.1℃の恒
温水槽中で、200rpmの撹拌速度で撹拌しながら重
合を開始した。加熱後15分すると、液は白濁し始め、
20時間重合後も白濁した安定な分散液であった。一部
サンプリングしてガスクロマトグラフィーで、内部標準
法による測定を行なった結果、重合率は90%であるこ
とが確認された。
【0061】得られた分散液を冷却し、遠心分離機にて
2000rpmで遠心分離すると、重合体粒子は完全に
沈降し、上部の液は透明であった。上澄み液を除き、新
たにメタノール200部を加え、1時間撹拌洗浄した。
遠心分離しメタノールで洗浄する操作を繰り返し、濾過
した。濾別したものを、50℃にて24時間減圧乾燥
し、94%の収率で白色粉末のスチレン/メチルアクリ
レート共重合体粒子を得た。得られた粒子は体積平均粒
径Dv=7.20μm、Dv/Dp=1.15(個数平
均粒径6.26μm)であった。また、Tgは69℃で
あった。
【0062】次に、メタノール200部中にオイルブラ
ック803(オリエント化学社)1.0部を加熱溶解し
た後、冷却し1μmフィルターで濾別し、染料溶液を作
成した。続いて、該濾液に前記の共重合体粒子24部を
加えて分散させ、50℃で1時間加熱撹拌した。その
後、分散液を室温まで冷却し濾別したのち、50℃で2
4時間減圧乾燥し、着色樹脂粒子を得た。
【0063】次に、RIE装置〔日電アネルバ製:リア
クティブ・イオン・エッチング(RIE)装置(DEM
−451型)〕を用いて、着色樹脂の低温プラズマ反応
を行なった。サンプルは、可能なかぎりイオン衝撃を避
けるため、電極から離れた排気口の脇に設置した。チャ
ンバー内を0.2Paまで高真空とし、酸素ガスを導入
しながら酸素ガス流量を50SCCMとし、排気系を調
節してガス圧を20Paとした。ガス圧が一定となった
ら、高周波を発振してプラズマを発生させた。この時の
進行波及び反射波は、それぞれ200W、Ca.5Wと
した。また、上記のときの加速電圧は400Vであっ
た。基板温度は室温で行なった。プラズマ中におけるラ
ジカルの反応は20secで終了させ、反応が終了後ガ
スを流したまま真空度を5Paとして維持させた。その
後ガス導入を止め、0.2Paの高真空中で20sec
放置した。
【0064】サンプルを取り出して表面状態をESCA
で測定したところ、新たにカルボニル基及びカルボキシ
ル基に起因するピークが現れた(表面組成比は8%であ
った)。更に動的粘弾性の測定では、機械的強度の減少
や増加は見られなかった。つまり、上記のデータからい
えることは、イオンによる物理的なスパッタリングによ
る高分子表面の主鎖結合解離又は主鎖同士の再結晶は起
きてはおらず、ほとんどラジカルによる反応のみが起き
ているものと考えられる。
【0065】以上のようにして本発明のトナーを得た。
得られたトナーの帯電量をブローオフ装置を用いて測定
したところ、−20.1(μC/g)であった。本トナ
ーを用いて、リコー社製デジタル複写機イマジオ420
にて画像を形成したところ、細線再現性が良好でハーフ
トーンの鮮やかな、鮮明な画像が得られた。
【0066】比較例 実施例2で得られた着色樹脂粒子(低温プラズマ反応に
よる表面処理を行なう前のもの)そのものを、トナーと
した。
【0067】このトナーの帯電量をブローオフ装置を用
いて測定したところ、+78.4(μC/g)であっ
た。本トナーを用いて、イマジオ420にて画像を形成
したところ、きれいな画像はまったく得られなかった。
【0068】
【発明の効果】本発明の負帯電性のトナーの製造方法
は、粒径分布が狭い小粒径合成樹脂粒子を染着法により
着色し、更に得られた着色樹脂粒子の表面を酸化処理す
るという構成からなるので、次のような卓越した効果を
奏する。 (イ)解像力、シャープネス、ハーフトーン再現性、写
真再現性に優れた高着色のトナーを得ることができる。 (ロ)環境による帯電量変化が少なく、長時間使用して
も現像剤中のトナーの粒径分布、帯電量が変化しない、
信頼性の高いトナーを得ることができる。 (ハ)クリーニング性の非常に良好なトナーを得ること
ができる。 (ニ)従来のトナーの製造法に比べ、簡易な設備で、低
コストで効率的にトナーを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−44649(JP,A) 特開 昭62−8169(JP,A) 特開 昭61−228458(JP,A) 特開 昭50−46333(JP,A) 特開 昭61−18965(JP,A) 特開 昭63−297402(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒径分布が狭い小粒径合成樹脂粒子を染
    着法により着色した後、得られた着色樹脂粒子の表面を
    乾式酸化することを特徴とする負帯電性トナーの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 粒径分布が狭い小粒径合成樹脂粒子を染
    着法により着色した後、得られた着色樹脂粒子の表面を
    酸素ガスを用いる低温プラズマ反応により酸化させ、該
    表面の炭素と結合する酸素の比率を1〜50原子%とす
    ることを特徴とする負帯電性トナーの製造方法。
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