JP3150810B2 - 無電解メッキ材料の製造方法 - Google Patents

無電解メッキ材料の製造方法

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JP3150810B2
JP3150810B2 JP02372693A JP2372693A JP3150810B2 JP 3150810 B2 JP3150810 B2 JP 3150810B2 JP 02372693 A JP02372693 A JP 02372693A JP 2372693 A JP2372693 A JP 2372693A JP 3150810 B2 JP3150810 B2 JP 3150810B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無電解メッキ法による無
電解メッキ材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から広く工業的に行なわれている無
電解メッキ法は、一般的に、基材への金属触媒の担持工
程と、メッキ反応工程の2工程から成り立っていた。こ
の2工程のうち、基材への金属触媒の担持工程は、次の
ような工程を必要としていた。 (イ)基材をアルカリや酸により粗面化する。 (ロ)塩化スズの酸性溶液に、粗面化した基材を浸すこ
とによって、スズカチオンを基材表面に吸着させる。 (ハ)塩化パラジウムの弱酸性溶液に、スズカチオンを
吸着した基材を浸すことにより、パラジウムをスズカチ
オンによって還元し、パラジウム金属をスズカチオンと
結合させる。 また、上記工程以外にも、各工程後に水洗を行なう必要
もあり、最低でも6工程を必要とし、また各工程後に行
なう水洗による廃水の処理も繁雑であった。
【0003】このような従来の金属触媒の担持工程を簡
略化する方法として、本出願人は特願平2−15173
号において、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子
とパラジウム塩などの貴金属塩との錯体を、基材に担持
させる方法を開示した。しかしながら、ここで開示され
ている錯体を担持した基材を60℃以上のメッキ浴に浸
すと、メッキされる前に貴金属イオンがメッキ浴中に溶
出してしまい、連続的にメッキできないという大きな欠
点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の欠点を
解決するためになされたものであり、メッキ浴に浸して
も貴金属イオンが溶出せず、連続的に基材をメッキでき
る方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は無電解メッキ法
における触媒担持工程において、ポリビニルアルコール
樹脂(以下、「PVA樹脂」という)と、該PVA樹脂
のモノマー単位当り4×10-3〜5×10-2モル%のパ
ラジウム塩との錯体を、基材に担持させた後、110〜
160℃で熱処理する無電解メッキ材料の製造方法であ
る。
【0006】
【作用】本発明の無電解メッキ材料の製造方法は、概
ね、PVA樹脂とパラジウム塩との錯体を基材に担持さ
せる金属触媒の担持工程、及びその担持させた基材をメ
ッキ浴に浸すメッキ反応工程の2つの工程からなる。本
発明はこの2工程のうち、前者の金属触媒の担持工程に
おいて、PVA樹脂と、このPVA樹脂のモノマー単位
当り4×10-3〜5×10-2モル%のパラジウム塩との
錯体を、基材に担持させること、及び錯体を基材に担持
させた後に110〜160℃で熱処理する、という2つ
の条件を満たした時に初めて、パラジウムイオンがメッ
キ浴中に溶出することなくメッキ反応が進むことを見出
したのである。
【0007】本発明の基材に担持させる錯体は、PVA
樹脂とパラジウム塩とが配位結合したものである。
【0008】本発明で使用するPVA樹脂は、従来のス
ズイオンのように、基材とパラジウムイオンとを結びつ
ける働きをする。また、PVA樹脂はパラジウム塩と配
位結合させる場合の溶媒として、水を用いることができ
るため、錯体を製造する際に毒性や爆発性などの危険が
なく、取り扱い易いという利点がある。
【0009】本発明で使用するPVA樹脂としては、け
ん化度70〜100モル%、重合度500〜2,000
程度のものを使用すれば良く、特に限定するものではな
い。
【0010】このようなPVA樹脂と配位結合するパラ
ジウム塩はメッキ反応の際に、触媒的働きをする。この
パラジウム塩は塩化物、硫酸塩、酢酸塩、硝酸塩、そし
てその他の塩であっても、パラジウム塩である限り用い
ることができる。
【0011】本発明において、パラジウム塩のPVA樹
脂に対する混合割合は、PVA樹脂のモノマー単位当り
4×10-3〜5×10-2モル%であるのが好ましい。パ
ラジウム塩の混合割合が4×10-3モル%未満である
と、錯体を担持した基材をメッキ浴に浸した際に、PV
A樹脂の溶解と共にパラジウムイオンが溶出してしま
い、メッキ浴中に金属が析出し、5×10-2モル%を越
えると、メッキ速度が低下したり、パラジウムイオンが
溶出してメッキ浴中に金属が析出するためである。より
好ましくは、4.5×10-3〜2.5×10-2モル%であ
る。
【0012】なお、パラジウム塩は1種類である必要は
なく、2種類以上混合しても良い。ただ、この場合にも
パラジウム塩全体の混合割合が、PVA樹脂のモノマー
単位当り4×10-3〜5×10-2モル%である必要があ
る。
【0013】以上のような量的関係にあるPVA樹脂と
パラジウム塩とからなる錯体は、錯体溶液中に基材を浸
したり、錯体溶液を基材にスプレーしたり、基材に塗布
するなどの方法で担持させた後、110〜160℃で熱
処理することにより、錯体を担持した基材をメッキ浴中
に浸しても、パラジウムイオンがメッキ浴中に溶出しな
いことを見出した。この熱処理温度が110℃未満であ
ると、メッキ浴中にパラジウムイオンが溶出してしま
い、連続的にメッキすることができず、160℃を越え
ると、均一にメッキできないためである。より好ましく
は、120〜150℃である。
【0014】なお、本発明で使用する基材としては、無
機体、有機体、高分子、有機繊維、又は無機繊維はもち
ろんのこと、それらの繊維より成る不織布、織物などあ
りとあらゆる有体物を用いることができる。例えば、従
来、炭素繊維は油剤の影響などでメッキしにくいもので
あったが、本発明の方法によれば炭素繊維と金属被膜と
の密着性に優れた無電解メッキ材料を得ることができ
る。
【0015】以上のように錯体を担持した基材は、一般
の無電解メッキ法と同様に、基材をメッキ浴に浸して金
属を基材表面に析出させた後、水洗することによって無
電解メッキ材料となる。
【0016】なお、メッキ浴は従来と同様に、ニッケ
ル、銀、コバルト、鉄、銅、亜鉛などの塩化物、硫酸
塩、酢酸塩、硝酸塩、そしてその他の塩からなる金属
塩、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ほう素
ナトリウムなどの還元剤、アンモニア水、クエン酸ナト
リウム、エチレンジアミン、酒石酸ナトリウムなどの緩
衝剤などを主成分としたもので良く、他に光沢剤などを
添加したものであっても良い。
【0017】
【実施例】
(実施例1〜7、比較例1〜2)5重量%のポリビニル
アルコール水溶液となるように、ポリビニルアルコール
樹脂(けん化度95モル%、重合度2,000)を水に
溶解させた。このポリビニルアルコールのモノマー単位
当り、3.0×10-3、4.0×10-3、4.5×1
-3、5.0×10-3、5.5×10-3、6.0×1
-3、7.9×10-3、25×10-3、70×10
-3(順に比較例1、実施例1、実施例2、実施例3、実
施例4、実施例5、実施例6、実施例7、比較例2とい
う)モル%量の塩化パラジウム水溶液を夫々加えた。こ
の混合溶液を室温で24時間撹拌し、パラジウム−ポリ
ビニルアルコール錯体液を得た。
【0018】そして、熱水処理により油剤を除去した、
ポリエステル繊維100%からなる目付50g/m2の不織
布に、前記パラジウム−ポリビニルアルコール錯体液を
15g/m2含浸した後、120℃で30分間、熱処理し
て、不織布に錯体を担持させた。
【0019】この錯体を担持した不織布を、下記配合か
らなる80℃のニッケルメッキ浴に浸し、10分間反応
させることにより、ニッケル金属をポリエステル繊維上
に析出させた後、水洗し、乾燥した。 (メッキ浴の配合) 金属塩:硫酸ニッケル・・・・・・18g/l 還元剤:次亜リン酸ナトリウム・・30g/l 錯化剤:酢酸ナトリウム・・・・・10g/l 緩衝剤:クエン酸ナトリウム・・・10g/l
【0020】このようにしてメッキした不織布のメッキ
性、メッキ厚及び表面抵抗は表1に示すように、パラジ
ウム塩の量が4×10-3〜5×10-2モル%であると、
メッキ性、メッキ厚及び表面抵抗に優れていることがわ
かる。なお、メッキ厚はニッケルの付着量から算出した
値であり、表面抵抗は表面抵抗計(三菱油化製、ロレス
タAP(MCP−T400))を用いて、四端子法によ
り測定した値である。
【0021】
【表1】
【0022】(実施例8〜12、比較例3〜4)熱水処
理により油剤を除去した、ポリエステル繊維100%よ
りなる目付50g/m2の不織布に、実施例6と同様にして
得られたパラジウム−ポリビニルアルコール錯体液を含
浸した後、100、110、130、140、150、
160、170(順に、比較例3、実施例8、実施例
9、実施例10、実施例11、実施例12、比較例4)
℃で30分間、熱処理して、不織布に錯体を担持させ
た。
【0023】この錯体を担持した不織布を、実施例6と
同様にメッキして、ニッケル金属をポリエステル繊維上
に析出させた。このようにしてメッキした不織布のメッ
キ性、メッキ厚及び表面抵抗は表2に示すように、熱処
理温度が110〜160℃であると、メッキ性、メッキ
厚及び表面抵抗に優れていることがわかる。
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】本発明はポリビニルアルコール樹脂と、
このポリビニルアルコール樹脂のモノマー単位当り4×
10-3〜5×10-2モル%のパラジウム塩との錯体を基
材に担持させること、及び錯体を基材に担持させた後に
110〜160℃で熱処理する、という2つの条件を満
たすことによって、パラジウムイオンがメッキ浴中に溶
出することなく、連続的にメッキ反応が進むという優れ
た無電解メッキ材料の製造方法である。
【0026】このようにして得られる無電解メッキ材料
は、帯電防止や電磁場シールドなどの分野において使用
することができるものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無電解メッキ法における触媒担持工程に
    おいて、ポリビニルアルコール樹脂と、該ポリビニルア
    ルコール樹脂のモノマー単位当り4×10-3〜5×10
    -2モル%のパラジウム塩との錯体を、基材に担持させた
    後、110〜160℃で熱処理することを特徴とする無
    電解メッキ材料の製造方法。
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