JP3149316B2 - サーマルヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
サーマルヘッドおよびその製造方法Info
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Description
その製造方法に係り、特に、シリコン基板を有するサー
マルヘッドおよびその製造方法に関する。
サーマルヘッドは、例えば、複数個の発熱素子を同一基
板上に直線的に配列し、所望の印字情報に従って各発熱
素子を選択的に通電加熱させて、感熱記録紙を発色させ
て印字を行うか、あるいはインクリボンを介して普通紙
にインクを転写させて印字を行うために用いられてい
る。
のであり、シリコンからなる基板1上には、シリコンと
タンタルなどの酸化物からなる保温層2が蒸着法などに
より形成されており、この保温層2は、発熱部に対応す
る位置の上面の断面形状が円弧状に形成されている。こ
の保温層2の上面には、Ta2 N等からなる発熱抵抗体
が蒸着法あるいはスパッタリング法等により、グレーズ
層2の表面に被着された後、エッチングされて、ドット
数に応じた複数個の発熱素子3が直線状に整列して形成
されており、各発熱素子3上の一側には、各発熱素子3
に接続される共通電極4が形成され、また他側には、各
発熱素子3に独立して通電を行う個別電極5がそれぞれ
接続されている。これら共通電極4および個別電極5
は、例えば、Al、Cuあるいは金属からなり、蒸着法
あるいはスパッタリング法等により被着された後、エッ
チングにより所望の形状にパターニングされることによ
り形成されている。
共通電極4および個別電極5の表面には、保温層2、発
熱素子3、共通電極4および個別電極5を保護するため
に、ほぼ5〜10μmの膜厚の保護層6が形成されてお
り、この保護層6は、前記各電極4,5の端子部以外の
すべての表面を被覆するようにされている。また、前記
保護層6は、各発熱素子3を酸化による劣化から保護す
るためのSiO2 等からなるほぼ2μmの膜厚の耐酸化
層7と、インクリボンあるいは感熱記録紙との接触によ
り発生する摩耗から発熱素子3、共通電極4および個別
電極5を保護するためのTa2 O5 等からなるほぼ3〜
8μmの膜厚の耐摩耗層8とが、この順序で積層された
構成とされており、この耐酸化層7および耐摩耗層8
は、蒸着法あるいはスパッタリング法等の手段により順
次形成されている。
ルプリンタのうち熱転写プリンタにおいては、このサー
マルヘッドをインクリボンを介して用紙に圧接させた状
態で、また、感熱プリンタにおいては、直接プラテン上
に搬送される用紙に圧接させた状態で、所定の印字信号
に基づいて発熱素子3の個別電極5に選択的に通電を行
い、所望の発熱素子3を発熱させることにより、前記イ
ンクリボンのインクを溶融して用紙上に転写させるか、
あるいは、感熱記録紙を発色させることにより所望の印
字が行われるものである。
が発生する。そのため、電力効率と印字特性の両者を勘
案して、使用条件に合わせてグレーズ層2の厚さが調整
されており、通常は30〜60μm程度の厚さとされて
いる。
するためには、プリンタのキャリッジに組み込んだサー
マルヘッドの各電極4,5の端子部と、これらの各電極
4,5に給電するためのフレキシブルプリント回路(F
PC)の端子部とを半田めっきにより接続する必要があ
る。ところで、前記各電極4,5の端子部はアルミニウ
ムにより形成されており、このアルミニウム製の端子部
はそのまま半田めっきできないので、半田めっきの前
に、各電極4,5の端子部にニッケルめっきを施さなけ
ればならない。
板1の材料となるシリコンは厳密な意味において絶縁性
でないため、各電極4,5の端子部に無電解ニッケルめ
っきを行うと、保温層2が形成されている表面以外の外
部に露出されている基板1の各表面が完全な絶縁性では
ないことにより、外部に露出されている基板1の各表面
にはニッケル片が析出することになる。そして、このニ
ッケル片がめっき液中を浮遊して各電極4,5の端子部
間に橋架されるように付着すると、端子部間に電気的短
絡が生じてしまい、印字情報に対応した印字を行えなく
なってしまっていた。
なされたものであり、電極の端子間の電気的短絡が生じ
ることなく、良好な品質の印字を行うことのできるサー
マルヘッドおよびその製造方法を提供することを目的と
する。
に、本発明の請求項1に記載のサーマルヘッドは、シリ
コンからなる基板の表面に保温層を形成し、この保温層
の表面に、複数個の発熱素子と、各発熱素子に通電を行
なう共通電極および個別電極とを形成したサーマルヘッ
ドにおいて、前記基板が形成された状態において露出し
ている基板の全面に絶縁層を形成したことを特徴として
いる。
は、請求項1において、前記絶縁層が絶縁性樹脂により
形成されていることを特徴としている。
ッドの製造方法は、シリコンからなる基板の露出してい
る全表面を絶縁化処理し、前記基板の表面に保温層を形
成し、前記保温層の表面に、複数個の発熱素子と、端子
部を有し各発熱素子に通電を行なう共通電極および個別
電極とを形成し、前記電極の端子部にめっき処理を施す
ことを特徴としている。
よれば、電極の端子部にめっき処理を施すに際し、露出
している基板の表面が絶縁性を有しているので、露出し
ている基板の表面にニッケル片が析出することがない。
したがって、析出したニッケル片が電極の端子部間に橋
架されるように付着するおそれがない。
する。なお、本発明のサーマルヘッドの構成は、図面上
においては前述した図3と同様なので、その図示は省略
する。
の3つの実施例を併示したものであり、このうちの第1
実施例についてまず説明する。
コン製の基板を形成する。
記基板上に複数のサーマルヘッドに対応するように蒸着
などにより保温層を形成する。
素雰囲気において保温層の形成された基板を加熱する熱
処理(アニール)を行う。この酸素雰囲気における熱処
理を行うことにより、前記保温層の組織を安定化させた
うえで、基板の露出している各側面および裏面を含む全
表面を酸化する。これにより、基板の露出している全表
面を電気的に絶縁性を有するものとする。なお、このと
き保温層の表面も同時に酸化されるが、保温層の物質自
体は酸素が増すだけで問題はない。
記保温層上に複数のサーマルヘッドに対応するようにそ
れぞれ複数個の発熱素子を形成するとともに、ステップ
ST5に示すように、各発熱素子に通電を行なう共通電
極および個別電極とを各発熱素子に接続するように形成
する。さらに、ステップST6に示すように、保温層、
発熱素子、共通電極および個別電極の表面に、これらの
保温層、発熱素子、共通電極および個別電極を保護する
ための保護層を形成する。
ための保温層、発熱素子、共通電極、個別電極および保
護層を基板上に形成したら、このサーマルヘッドをプリ
ンタに搭載するため、共通電極および個別電極の端子部
とフレキシブルプリント回路の端子部とを電気的に接続
する必要がある。ところが、アルミニウムからなる共通
電極および個別電極の端子部には直接半田めっきを行う
ことができないので、ステップST7に示すように、共
通電極および個別電極の端子部に無電解ニッケルめっき
を行う。ところで、基板の露出表面は、前記ステップS
T3において酸素雰囲気での熱処理を行って、基板の露
出している全表面が電気的に絶縁性を有するようにされ
ているので、このステップST7の端子部への無電解ニ
ッケルめっきのときに、基板の露出しているいずれの表
面にもニッケル片が析出することはない。
に、共通電極および個別電極の端子部とプリンタのフレ
キシブルプリント回路の端子部との電解半田めっきを行
って、サーマルヘッドをプリンタに搭載することができ
る。
なる基板の露出表面には、前記ステップST3において
酸素雰囲気での熱処理を行って、基板の露出している全
表面が電気的に絶縁性を有するようにされているので、
ステップST7の端子部への無電解ニッケルめっきのと
きに、基板の露出している全表面にニッケル片が析出す
ることはない。
端子部間に橋架されるように付着するおそれがなく、こ
の結果、電極の端子間の電気的短絡が生じることなく、
良好な品質の印字を行うことができる。
ルヘッドを製造するように説明したが、一般に、サーマ
ルヘッドの製造においては、複数のサーマルヘッドを含
むサーマルヘッドユニットを1枚のシリコン製の基板上
に形成して、サーマルヘッド製造の最終段階でダイヤモ
ンドブレードなどによりこのサーマルヘッドに分断する
ようにしている。このように、一度サーマルヘッドユニ
ットを形成する場合には、前述したステップST3にお
いて熱処理により絶縁化される絶縁製基板の表面は、個
々のサーマルヘッドの側面および裏面ではなく、サーマ
ルヘッドユニットの側面および裏面となるが、このよう
にサーマルヘッドユニットの側面および裏面のみを絶縁
化すれば、析出したニッケル片が電極の端子部間に橋架
されるように付着するおそれがなくなる。
法の第2実施例によれば、図1のステップST3におい
て、保温層の組織を安定化させるために窒素雰囲気にお
いて熱処理を行った後、ステップST3´において、酸
素雰囲気での熱処理を行って、基板の露出している全表
面の絶縁化をはかっている。また、本発明のサーマルヘ
ッドの製造方法の第3実施例によれば、図1のステップ
ST3において、保温層の組織を安定化させるために真
空雰囲気において熱処理を行った後、ステップST3´
において、酸素雰囲気での熱処理を行って、基板の露出
している全表面の絶縁化をはかっている。
おいても、前述した第1実施例とほぼ同様の作用効果を
奏することができる。
ヘッドの製造方法のさらに別の3つの実施例(第4〜第
6実施例)について説明する。これらの各実施例は、保
温層を形成する前に、まず基板を酸素雰囲気中で熱処理
して基板の全表面を酸化するという点が前述した第1〜
第3実施例とは異なるものである。
に示すようにシリコン製の基板を形成した後、ステップ
ST1´に示すように、前記基板をまず酸化雰囲気にお
いて熱処理することにより、基板の露出している各側面
および裏面を含む全表面を酸化する。これにより、基板
の露出している全表面を電気的に絶縁性を有するものと
する。
うに、基板上に保温層を形成した後、ステップST3に
おいて酸素雰囲気で再度熱処理を行なって保温層の組織
を安定化させる。
を形成するステップST4以降の工程は前述した第1〜
第3実施例のものと同様である。
法の第5実施例によれば、図2のステップST3におい
て、保温層の組織を安定化させるために酸素雰囲気に代
えて窒素雰囲気において熱処理を行なっている。
法の第6実施例によれば、図2のステップST3におい
て、保温層の組織を安定化させるために、酸素あるいは
窒素雰囲気ではなく真空雰囲気により熱処理を行なって
いる。
び第6実施例によれば、前述した第1〜第3実施例と同
様に作用効果を奏することができる。また、保温層を形
成する前の基板だけの状態で熱処理を行なうようにすれ
ば、第1〜第3実施例における保温層形成後の熱処理に
比べてより高温での熱処理が可能となる。すなわち、保
温層形成後の熱処理においては約800℃が上限である
のに対して基板だけの状態での熱処理においては約11
00℃での熱処理が可能となる。したがって、より高温
での熱処理により絶対的な絶縁性を有する酸化層をより
短時間のうちに形成できるという効果もある。
処理、炭化処理あるいはLPD処理(液相コート)を行
うことも可能である。
いては、基板の表面の絶縁化処理を熱処理により行うよ
うに説明したが、保温層の形成後に、基板の表面に絶縁
性樹脂を塗布するか、あるいは基板の表面を絶縁性テー
プにより被覆するようにしても、端子部への無電解ニッ
ケルめっきのときに、基板の露出している表面へのニッ
ケル片の析出を防止することができる。なお、前記絶縁
性樹脂あるいは絶縁性テープ最終段階で除去してもよい
し、場合によっては除去しなくともよい。
ものではなく、必要に応じてその他の変更が可能であ
る。
よびその製造方法によれば、電極の端子部への無電解ニ
ッケルめっきのときに端子間の電気的短絡が生じること
なく、良好な品質の印字を行うことができる。
例(第1〜第3実施例)を併示するフローチャート
例(第4〜第6実施例)を併示するフローチャート
Claims (3)
- 【請求項1】 シリコンからなる基板の表面に保温層を
形成し、この保温層の表面に、複数個の発熱素子と、各
発熱素子に通電を行なう共通電極および個別電極とを形
成したサーマルヘッドにおいて、前記基板が形成された
状態において露出している基板の全面に絶縁層を形成し
たことを特徴とするサーマルヘッド。 - 【請求項2】 前記絶縁層が絶縁性樹脂により形成され
ていることを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッ
ド。 - 【請求項3】 シリコンからなる基板の露出している全
表面を絶縁化処理し、前記基板の表面に保温層を形成
し、前記保温層の表面に、複数個の発熱素子と、端子部
を有し各発熱素子に通電を行なう共通電極および個別電
極とを形成し、前記電極の端子部にめっき処理を施すこ
とを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18020794A JP3149316B2 (ja) | 1994-08-01 | 1994-08-01 | サーマルヘッドおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18020794A JP3149316B2 (ja) | 1994-08-01 | 1994-08-01 | サーマルヘッドおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0839855A JPH0839855A (ja) | 1996-02-13 |
JP3149316B2 true JP3149316B2 (ja) | 2001-03-26 |
Family
ID=16079278
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3326095B2 (ja) | 1996-12-27 | 2002-09-17 | 日本発条株式会社 | 導電性接触子 |
WO1999004274A1 (en) * | 1997-07-14 | 1999-01-28 | Nhk Spring Co., Ltd. | Conductive contact |
-
1994
- 1994-08-01 JP JP18020794A patent/JP3149316B2/ja not_active Expired - Fee Related
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