JP3148383B2 - ガスバリヤー性透明フィルム - Google Patents

ガスバリヤー性透明フィルム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子フィルムを基材
としたガスバリヤー性フィルムに関する。さらに詳しく
は、可視光領域における透明性を有し、かつ、酸素およ
び水蒸気等の気体の透過率が小さく、さらに、極めて高
い可撓性をもつ透明フィルムに関するものであって、水
蒸気や酸素、その他有害な気体を避けなければならない
精密電子部品への応用ならびに、薬品や食品を包装する
のに適した透明ガスバリヤー性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、高ガスバリヤー性フィルムを
得るためにはアルミニウム等の金属を高分子フィルム上
に蒸着する方法が知られていたが、金属を蒸着した場合
では、透明性が損なわれるため、包装内部の目視検査が
不可能になること、また、金属の電磁波のシールド効果
のため内部の食品をマイクロ波で加熱することができな
くなること、同様の理由で包装内部を金属探知機により
検査ができなくなる等の様々な問題点があった。そこ
で、かねてから透明なガスバリヤー性フィルムの研究が
行われ、ポリプロピレンやポリエステルのフィルムの上
に塩化ビニリデンやビニルアルコール系重合体などのガ
スバリヤー性が優れた樹脂をコーティングしたものや
(特公昭50−28120、特公昭59−4799
6)、ポリエステルフィルム上に酸化珪素や酸化マグネ
シウムの薄膜を真空蒸着あるいはスパッタ法で作成する
こと(特公昭51−4810、特公昭53−12953
0、特開昭63−257630)が行われてきた。さら
に、その必要に応じてガスバリヤー層に保護層を設けた
ものやガスバリヤー性をさらに向上させる目的で接着剤
を用いて他の高分子フィルムをラミネートすることも行
われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の透明ガスバリヤー性フィルムには、以下に述べる
ような問題点があった。すなわち、樹脂をコーティング
するものに関しては、 水蒸気や酸素等の気体の透過率の温度依存性が著し
く、特に、高温ではガスバリヤー性が損なわれる。 樹脂材料と気体分子のと相互作用が大きいため、ある
気体の存在が他の別の気体の透過率に影響を与える。例
えば、ポリ塩化ビニリデンでは水蒸気の存在が酸素の透
過率に著しい影響を与えることが知られている。
【0004】また、酸化珪素のような無機物をコーティ
ングするものに関しては、 ガスバリヤー性を高めると透明性が低下する。 コーティング膜厚が薄いと充分なガスバリヤー性が得
られない。 コーティング膜厚が厚いと基材のと密着性が低下する
上に、脆くなり、可撓性がなくなり加工時にクラックが
入りやすくなる。等である。
【0005】本発明者らは、かかる問題を解決するため
に、鋭意研究を重ねた結果、透明でガスバリヤー性に優
れ、さらに、可撓性にも優れた透明ガスバリヤーフィル
ムを見いだし、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、基
本的に、透明高分子フィルム上の少なくとも片面に、炭
素および弗素を含有した酸化珪素の層が積層されて成
る、波長400から800nmの光に対して75%以上
の透過率を有するガスバリヤー性フィルムを提供するも
のであり、より好ましくは、該炭素および弗素を含有し
た酸化珪素の層が、少なくとも有機珪素ガス、弗化炭素
ガスおよび酸素ガスを用いた減圧プラズマCVDによ
り、透明高分子フィルム上に形成されたものであるか、
少なくとも化学式SiHxFy(x+y=4)またはSi
2HxFy(x+y=6)で表される弗化珪素ガスと酸素
ガスおよび炭素数が6以下の炭化水素ガスを用いた減圧
プラズマCVDにより透明高分子フィルム上に形成され
たものであるか、または、酸化珪素と弗化炭素樹脂を主
体とするターゲットを用いたスパッタ法で作成されたも
のであるガスバリヤー性フィルムであり、また、該炭素
および弗素を含有した酸化珪素の層の厚さが、20nm
から500nmの範囲にあるものであるか、該透明高分
子フィルムが、ポリエステルまたはポリエーテルスルフ
ォンであるガスバリヤー性フィルム、を提供するもので
ある。
【0007】本発明において、基材となる高分子フィル
ムは特に限定しないが、透明性を持ち、ガラス転移温度
がある程度高く、吸湿性の少ないものがのぞましく、例
えば、ポリエステル、ポリエーテルスルファオン、ポリ
カーボネート、ポリオレフィンフィルム等が挙げられ、
特に、ポリエステル、ポリエーテルスルフォンが好まし
い。
【0008】本発明で用いられる、高分子フィルム基材
に積層する炭素および弗素を含有した酸化珪素の層は、
特に透明性を損ねない範囲でかつガスバリヤー性を保
ち、高分子基材との密着性を確保できる厚さであれば良
い。具体的には、20nm以上500nm以下がよく、
さらには20nm以上300nmがより好ましい。20
nm未満では均一で連続した膜を形成することが難し
く、500nmを越えると高分子基材との密着性や可視
光に対する透明性が減少する。
【0009】該膜厚の測定には、触針粗さ計、繰り返し
反射干渉計、マイクロバランス、水晶振動子法等がある
が、水晶振動子法では成膜中に膜厚測定が可能なので所
望の膜厚を得るのに適している。また、前もって成膜の
条件を定めておき試験基材上に成膜を行い、成膜時間と
膜厚との関係を調べた上で、成膜時間により膜厚を制御
する方法も勿論採用出来る。
【0010】本発明において、酸化珪素中に含有される
炭素と弗素の量、すなわちその組成は、透明フィルムの
可撓性を左右する重要な因子である。炭化珪素中に含ま
れる炭素と弗素の合計の量は、多い程フィルムの可撓性
は上昇するが、余り多すぎると膜の密着性が劣化する。
より具体的には、炭素と弗素の合計の量が5原子%〜4
0原子%が望ましく、より望ましくは5原子%〜20原
子%である。なお、本発明において作成される膜中の炭
素と弗素の原子比F/Cは、下記に詳述するいずれの製
造法においても0.5〜1.5程度である。また、上記
酸化珪素中には、鉄、ニッケル、クロム、チタン、マグ
ネシウム、アルミ、インジュウム、亜鉛、錫、アンチモ
ン、タングステン、モリブデン、銅等が、本発明の目的
を妨害しない程度で微量含まれてもよい。
【0011】本発明において、上記の如く規定される炭
素および弗素を含んだ酸化珪素膜の組成は、X線光電子
分光法やX線マイクロ分析法、オージェ電子分光法、ラ
ザフォード後方散乱法等を用いて分析・決定することが
できる。例えば、ラザフォード後方散乱法を用いる場合
には、供試体フィルムを真空容器中に設置し、試料表面
からほぼ、1〜4MeVに加速したα粒子を照射し、後
方散乱されてくるイオンのエネルギーを分析することに
より膜の深さ方向の組成やさらには膜中におけるその組
成の均一性をも確認することができる。
【0012】本発明に酸化珪素層の表面層の帯電を防ぐ
ために適宜表面に金等を蒸着しても良い。ここで、後方
散乱されてくるα粒子の量は注目する原子の散乱断面積
の関数となるので、得られる組成情報は、原子分率とな
りしたがって、本発明の組成は原子%で規定されてい
る。また、オージェ電子分光法で分析を行う場合には超
高真空の容器の中に供試体を設置し、供試体表面に1〜
10keVに加速した電子線を照射し、その時に放出さ
れるオージェ電子を検出することにより組成を調べるこ
とができる。この場合、供試体の電気抵抗は高いので帯
電の影響が出ないように、1次電子線の電流を10pA
以下に抑え更にエネルギーも2keV以下にすることが
好ましい。電子線の代わりにX線を用いたX線光電子分
光法は、オージェ電子分光法よりも帯電の影響が出にく
い点が有利である。
【0013】炭素および弗素を含有した酸化珪素の膜即
ち層を高分子基材の上に形成するときには、該基材の前
処理として、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放
電処理、逆スパッタ処理、表面粗面化処理、化学処理等
の公知のアンダーコートを施したりすること適宜行うこ
とができる。また、透明フィルムの表面に必要に応じて
保護層を形成することが望ましい。保護層は透明なプラ
スチックであればよく、ポリエステル樹脂、アクリル樹
脂、ビニル樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0014】以下、本発明を実施の態様を添付図面を参
照しつつ説明する。まず、添付図面について説明する
に、図1〜図3は、本発明のガスパリヤー性透明フィル
ムを製造するに適した装置を示す図であり、図4は本発
明により製造した高ガスバリヤー性透明フィルムの層構
成を示す図、図5は比較例の透明フィルムの層構成を示
す図である。ここで、1、8、15は フィルム供給ロ
ーラー、2、9、16は透明フィルム、3、10、17
は真空容器、4、11、18は真空ポンプ、5、12、
19はガス導入口、6、13は高周波電極、20はスパ
ッタ用ターゲット、7、14、21はフィルム巻きとり
ローラー、22は基材フィルム、23は炭素ならびに弗
素を含有する酸化珪素層、24は従来の酸化珪素層を示
す。
【0015】図1は、請求項2に対応する実施の態様で
あって、供給ローラー1から透明フィルム2を真空容器
3内に導入する。真空容器3は真空ポンプ4を用いて排
気され所望の真空度を維持されている。真空容器へは、
ガス導入口5から、酸化珪素層を形成するための原料ガ
スが導入される。ここで導入されるガスは、例えば、有
機珪素化合物ならびに弗化炭素、酸素である。
【0016】該有機珪素化合物としては、テトラメチル
ジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチ
ルシラン、芳香族シラン化合物等が挙げられる。なお、
室温での蒸気圧が低い化合物は、適宜、キャリヤーガス
としてヘリウムあるいはアルゴン等の希ガスを用いてバ
ブリングすることにより真空容器に導入される。また、
弗化炭素ガスとしては、フルオロメタンやフルオロエタ
ン、フルオロプロパン等のパーフルオロアルカン、フロ
ロアルカン、フルオロエチレン、フルオロベンゼン等を
挙げることができる。酸素ガスのかわりに容器内で酸素
を放出しうるガス、例えば、水蒸気も使用し得る。
【0017】以上の様な薄膜を形成するための反応ガス
を導入しながら、高周波電極6から高周波を導入しプラ
ズマを生成し、フィルム上に好ましくは、100℃以下
で膜を形成する。斯くして、膜が形成された後の高分子
フィルムは巻きとりローラー7により巻きとられる。な
お、高周波の導入には、容量結合あるいは誘導結合いず
れも使用しうる。また、必要ならば膜を生成する前に、
密着性等の性能向上のための前処理を適宜真空容器内で
行うことも可能である。
【0018】一方、図2は、請求項3に対応する実施の
態様であって、供給ローラー8から透明フィルム9を真
空容器10内に導入する。真空容器は真空ポンプ11を
用いて排気され所望の真空度を維持されている。真空容
器へはガス導入口12からガスが導入される。ここで導
入されるがガスは、化学式SiHxFy(x+y=4)ま
たはSi2HxFy(x+y=6)で表される弗化珪素ガ
スと酸素ガスおよび炭素数が6以下の炭化水素ガスまた
は弗化炭素ガスである。酸素ガスのかわりに水蒸気も使
用し得る。上記の反応ガスを導入しながら、高周波電極
13から高周波を導入しプラズマを生成し、フィルム上
に好ましくは100℃以下で膜を形成する。膜が形成さ
れた後の高分子フィルムは、巻きとりローラー14によ
り巻きとられる。高周波の導入には、容量結合あるいは
誘導結合いずれも使用しうる。また、必要ならば膜を生
成する前に、密着性等の性能向上のための前処理を適宜
真空容器内で行うことも可能である。
【0019】さらに、図3は請求項4に対応する実施の
態様であって、供給ローラー15から透明フィルム16
を真空容器17内に導入する。真空容器は真空ポンプ1
8を用いて排気され所望の真空度を維持されている。真
空容器へはガス導入口19からガスが導入される。ここ
で導入されるがガスは、0〜50%の範囲で酸素を含有
するアルゴンである。スパッタのターゲット20には高
周波が印加され、グロー放電により生成されたイオンに
よりターゲット表面がスパッタされフィルム上に膜が好
ましくは100℃以下で形成される。このターゲットは
酸化珪素と弗素樹脂からなる。酸化珪素と弗素樹脂は互
いに接着すること可能であるし、あるいは、酸化珪素の
ターゲットの上に弗素樹脂をのせること、あるいは、弗
素樹脂のターゲットの上に酸化珪素をのせることによっ
ても目的を達し得る。
【0020】作成する膜の組成を所望の範囲に変えるに
は、弗素樹脂と酸化珪素のターゲット上の割合を変化さ
せればよい。使用し得る弗素樹脂としては、ポリテトラ
フルオロエチレン、テトラフルオロエチエレン−パーフ
ルオロアルキルニルビニルエーテル共重合体、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンー
フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフル
オロエテチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフ
ルオロエチレン、ポリビニルフルオライド等である。膜
が形成された後の高分子フィルムは巻きとりローラー2
1により巻きとられる。また、必要ならば膜を生成する
前に、密着性等の性能向上のための前処理を適宜真空容
器内で行うことも可能である。
【0021】
【実施例】次に、実施例、比較例により、本発明をより
具体的に説明する。すなわち、上記図面1〜3で説明し
たごとくして、実際に透明フィルムを製造した。なお、
気体の透過率の試験はASTM1434−66に準拠し
て行った。 実施例1) 図1の装置を用い、有機珪素ガスとしてテトラメチルジ
シロキサンを、弗化炭素ガスとしてはテトラフルオロメ
タン、さらに酸素供給源として酸素を用いて、図4に示
す通り、厚さ50μmのPESフィルム22上に、合計
で12原子%の炭素および弗素を含有する酸化珪素層2
3を厚さ200nm作成した。
【0022】実施例2) 図2の装置を使用し、4弗化珪素ガスとメタンおよび酸
素ガスを用い、図4に示す通り、厚さ50μmのPES
22の上に、12原子%の炭素および弗素を含有する酸
化珪素層23を厚さ200nm作成した。
【0023】実施例3) 図3の装置を使用し、酸化珪素をターゲットの上に、厚
さ1mmのテトラフルオロエチレンのシートを面積比で
10%を占めるようにして設置し、図4に示す通り、厚
さ50μmのPES22の上に、炭素および弗素を含有
する酸化珪素層23を厚さ200nm作成した。
【0024】実施例4) 図1の装置を使用し、有機珪素ガスとしてテトラメチル
ジシロキサンを、弗化炭素ガスとしてはテトラフルオロ
メタン、さらに酸素供給源として酸素を用いて、図4に
示す通り、厚さ50μmのPESフィルム22上に、合
計で5原子%の炭素および弗素を含有する酸化珪素層2
3を厚さ200nm作成した。実施例1〜4に対する波
長400nm〜800nmの可視光の透過率を分光光度
計により測定したところ、いずれの場合においても75
%以上であった。
【0025】比較例1) 図1の装置を使用し、テトラメチルジシロキサンと酸素
を用いて、図5に示す通り、厚さ50μmのPESフィ
ルム22上に、プラズマ−CVD法により酸化珪素層2
4を厚さ200nm作成した。
【0026】比較例2) 図3の装置を使用し、酸化珪素をターゲットを用いて図
5に示す構成の通り、厚さ50μmのPES22の上
に、酸化珪素層24を厚さ200nm作成した。気体の
透過率測定は、上記供試体を曲率半径1mmで180°
曲げを任意の方向に10回繰り返した前後で行った。測
定結果は表1の通りとなった。
【0027】
【表1】
【0028】実施例5) 図3の装置を使用し、酸化珪素をターゲットの上に、厚
さ1mmのテトラフルオロエチレンのシートを面積比で
10%を占めるようにして設置し、図4に示す通り、厚
さ50μmのPES22の上に、炭素および弗素を含有
する酸化珪素層23を厚さ20nm作成した。
【0029】実施例6) 図1の装置を使用し、有機珪素ガスとしてテトラメチル
ジシロキサンを、弗化炭素ガスとしてはテトラフルオロ
メタン、さらに酸素供給源として酸素を用いて、図4に
示す通り、厚さ50μmのPESフィルム22上に、炭
素および弗素を合計で12原子%を含有する酸化珪素層
23を厚さ20nm作成した。
【0030】実施例7) 図1の装置を使用し、有機珪素ガスとしてテトラメチル
ジシロキサンを、弗化炭素ガスとしてはテトラフルオロ
メタン、さらに酸素供給源として酸素を用いて、図4に
示す通り、厚さ50μmのPESフィルム22上に、炭
素および弗素を合計で40原子%含有する酸化珪素層2
3を厚さ200nm作成した。
【0031】比較例3) 有機珪素ガスとしてテトラメチルジシロキサンをもち
い、弗化炭素ガスとしてはテトラフルオロメタン、さら
に酸素供給源として酸素を用いて、図4に示す通り、厚
さ50μmのPESフィルム上に、炭素および弗素を合
計で12原子%を含有する酸化珪素層24を厚さ10n
m作成した。
【0032】比較例4) 図1の装置を使用し、有機珪素ガスとしてテトラメチル
ジシロキサンを、弗化炭素ガスとしてはテトラフルオロ
メタン、さらに酸素供給源として酸素を用いて、図4に
示す通り、厚さ50μmのPESフィルム22上に、炭
素および弗素を合計で50原子%含有する酸化珪素層2
4を厚さ200nm作成した。実施例5〜7および比較
例3について酸素ガス透過率を測定した結果を表2にま
とめた。
【0033】
【表2】
【0034】実施例8) 図1の装置を使用し、有機珪素ガスとしてテトラメチル
ジシロキサンを、弗化炭素ガスとしてはテトラフルオロ
エタン、さらに酸素供給源として酸素を用いて、図4に
示す通り、厚さ50μmのPESフィルム22上に、炭
素および弗素を合計で20原子%含有する酸化珪素層2
3を厚さ500nm作成した。
【0035】比較例5) 図1の装置を使用し、有機珪素ガスとしてテトラメチル
ジシロキサンを、弗化炭素ガスとしてはテトラフルオロ
エタン、さらに酸素供給源として酸素を用いて、図4に
示す通り、厚さ50μmのPESフィルム22上に、炭
素および弗素を合計で20原子%含有する酸化珪素層2
4を厚さ600nm作成した。
【0036】実施例7および比較例5については、分光
光度計により可視光の透過率を測定した。また、スコッ
チテープテストにより密着性の評価を行った。その結果
を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】実施例9) 図1の装置を使用し、有機珪素ガスとしてヘキサメチル
ジシロキサンを、弗化炭素ガスとしてはテトラフルオロ
エタン、さらに酸素供給源として酸素を用いて、図4に
示す通り、厚さ50μmのPETフィルム22上に、炭
素および弗素を合計で40原子%含有する酸化珪素層2
3を厚さ500nm作成したところ、酸素ガス透過率
は、0.1cc/m2/24hr/1atmであった。
【0039】実施例10) 図1に示した装置を使用し、有機珪素ガスとしてテトラ
メチルジシロキサンをもちい、弗化炭素ガスとしてはテ
トラフルオロメタン、さらに酸素供給源として酸素を用
いて、図4に示す通り、厚さ50μmのPESフィルム
22上に、炭素および弗素を合計でX原子%含有する酸
化珪素層23を厚さYnm作成したものについて、曲げ
試験の前後での酸素透過率の測定結果について表4に示
す。なお、表4には、本発明で規定する範囲外の比較例
に相当するものを併せて示した。
【0040】
【表4】
【0041】以上の通り、請求の範囲に示された量の炭
素と弗素を含有する酸化珪素を特定の膜厚で透明高分子
フィルム上に形成することにより、透明性、ガスバリヤ
ー性、優れた可撓性を兼ね備えた透明ガスバリヤーフィ
ルムを製造することが可能になることが示された。
【0042】
【発明の効果】高分子フィルムの表面に炭素および弗素
を特定量含有した酸化珪素の層を設けることにより、可
撓性を損なうことなく、透明性およびガスバリヤー性の
極めて優れた透明ガスバリヤーフィルムを得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明フィルムの製造に用いる装置の説
明図。
【図2】本発明の透明フィルムの製造に用いる装置の説
明図。
【図3】本発明の透明フィルムの製造に用いる装置の説
明図。
【図4】本発明の高ガスバリヤー性透明フィルムの層構
成を示す図。
【図5】従来の透明フィルムの層構成を示す図。
【符号の説明】
1 フィルム供給ローラー 2 透明フィルム 3 真空容器 4 真空ポンプ 5 ガス導入口 6 高周波電極 7 フィルム巻きとりローラー 8 フィルム供給ローラー 9 透明フィルム 10 真空容器 11 真空ポンプ 12 ガス導入口 13 高周波電極 14 フィルム巻きとりローラー 15 フィルム供給ローラー 16 透明フィルム 17 真空容器 18 真空ポンプ 19 ガス導入口 20 スパッタ用ターゲット 21 フィルム巻きとりローラー 22 基材フィルム 23 炭素ならびに弗素を含有する酸化珪素層 24 酸化珪素層

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明高分子フィルム上の少なくとも片面
    に、少なくとも有機珪素ガス、弗素炭素ガス及び酸素ガ
    スを用いた減圧プラズマCVDにより、炭素原子及び弗素
    原子を合計して5〜40原子%含有した酸化珪素の層が形
    成された、波長400から800nmの光に対し75%以上の透
    過率を有するガスバリヤー性フィルム。
  2. 【請求項2】透明高分子フィルム上の少なくとも片面
    に、少なくとも化学式SiHxFy(x+y=4)又はSi2H
    xFy(x+y=6)で表される弗素珪素ガスと酸素ガス
    及び炭素数が6以下の炭化水素ガスを用いた減圧プラズ
    マCVDにより、炭素原子及び弗素原子を合計して5〜40
    原子%含有した酸化珪素の層が形成された、波長400か
    ら800nmの光に対し75%以上の透過率を有するガスバ
    リヤー性フィルム。
  3. 【請求項3】 炭素原子及び弗素原子を含有した酸化珪
    素の層の厚さが、20nmから500nmの範囲にある請
    求項1又は2記載のガスバリヤー性フィルム
  4. 【請求項4】透明高分子フィルムが、ポリエチレン又は
    ポリエーテルスルフォンである請求項1乃至3記載のガ
    スバリヤー性フィルム
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