JP3148069B2 - トナー容器及びその製造方法 - Google Patents

トナー容器及びその製造方法

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JP3148069B2 JP03462794A JP3462794A JP3148069B2 JP 3148069 B2 JP3148069 B2 JP 3148069B2 JP 03462794 A JP03462794 A JP 03462794A JP 3462794 A JP3462794 A JP 3462794A JP 3148069 B2 JP3148069 B2 JP 3148069B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乾式電子写真複写機や
プリンター等の画像形成装置に粉体現像剤を補給するた
めのトナー容器及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来トナー容器やプロセスカートリッジ
のハウジングは、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、
アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合樹脂
(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン
(PE)等のプラスチックを利用しており、成型色はト
ナー汚れを目立たなくするために黒色とすることが多か
った。
【0003】成型品の着色は着色顔料を使用するのが一
般的であるが、着色顔料の分散剤としてステアリン酸カ
ルシウム等を100〜10000ppm程度の量添加し
ている。
【0004】また、トナー容器やプロセスカートリッジ
の材料の選定において、トナーの構成成分を考慮するこ
とはなく、専らコストや製造上の都合で決めていた。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】そこで上記従来例
においては、使用済みのトナー容器を回収し、再び原料
として再生利用することは可能であるが、トナー排出後
のトナー容器には少量とはいえトナーが容器内壁に付着
して残っており、これにより、再生利用時に物性劣化な
どの弊害を生ずる虞がある。
【0006】もし回収、再生利用するなら、洗浄してト
ナーを除去してから、乾燥、粉砕、ペレット化する必要
があり、排水処理施設を含めた大掛かりな設備が必要と
なる。また、着色原料の分散剤として添加されるステア
リン酸カルシウム等の物質が、容器とシールフィルム等
のヒートシール接着の接着力を阻害する作用をし、接着
力を弱めたり不安定にすると言う問題があった。
【0007】本発明は上記従来例の問題点を解決し、回
収、再生に好適なトナー容器を提供するとともにこれら
の新規製造又は再製造方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的達成の
ため、本発明は次のような手段をとる。
【0009】トナー容器を、トナーのバインダー樹脂
と、該バインダー樹脂と相溶性のある成型原料樹脂とを
混合して成型してなることを特徴とし、かつ該樹脂はア
イゾット衝撃強度(JIS K 7110)を8.0〜
13.0(kgf・cm/cm2 )に設定し、トナーと
混合することによりアイゾット衝撃強度を6.0〜1
0.0(kgf・cm/cm2 )に調節したことを特徴
とする。
【0010】また、本発明のトナー容器を新規に製造す
る方法は、トナーと該トナーのバインダー樹脂と相溶性
のある成型原料樹脂とを混合し、混練機を通してペレッ
ト化し、これを原料として成型することを特徴とする。
【0011】また、本発明のトナー容器を再生するため
の製造方法は、トナー容器をその内部に収納するトナー
のバインダー樹脂と、該バインダー樹脂と相溶性のある
成型原料樹脂とで構成し、これを使用後に回収し、残留
トナーが付着したまま粉砕、混練ペレット化し、これを
原料として再びトナー容器又はプロセスカートリッジの
トナー収納部を成型することを特徴とする。
【0012】《作用》トナーのバインダー樹脂と容器の
樹脂とを互いに相溶性のあるものにしているため、均一
に混合でき、物性の劣化も極力少なくできる。かつ容器
の樹脂は、アイゾット衝撃値をはじめとする物性が、必
要とする強度よりもやや強いものを使用することによ
り、トナーとともに再生しても実用上問題のない強度を
維持できる。
【0013】この再生工程において、粉砕後にペレット
化を行なえばトナーの樹脂に対する分散が良くなるので
より好ましい。
【0014】着色するための顔料添加が不要となり、製
造コストを低くするとともに、ステアリン酸カルシウム
等の分散剤も不要または減量できるため、ヒートシール
接着力を高いレベルで安定的に維持できる。
【0015】
【実施例】
《実施例1》以下、本発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。なお本実施例は、使用済みのトナー容器又
はプロセスカートリッジのトナー収納部にトナーが残留
付着した状態で、トナー容器又はプロセスカートリッジ
を粉砕、混練、ペレット化して再度成形するものであ
る。この場合、樹脂製のハウジングにトナー収容部を形
成し、該ハウジングに少なくとも現像スリーブを設けた
プロセスカートリッジのトナー収納部もトナー容器と同
様にプラスチック成型されて、画像形成装置にトナーを
補給するものであるから、前記トナー収納部の実施例
は、トナー容器の実施例に代表させて説明する。
【0016】図1は本発明を実施したトナー容器の斜視
図である。ここで1はポリスチレン樹脂を成型原料樹脂
としてプラスチック成型された容器本体、2はシールフ
ィルムである。フィルム2は容器本体1の開口部を密封
するように開口部の周囲に剥離可能にヒートシール接着
2Aされ、一端を折り返して把持部としている。トナー
容器の内部には、所定量のトナーが収容される。
【0017】トナー補給時には、トナー容器を複写機等
の画像形成装置本体の所定の位置にセットし、フィルム
2の把持部を引いてフィルムを引き剥がして開封する。
【0018】本実施例において、トナーのバインダー樹
脂は、スチレン・アクリル・共重合樹脂とした。これに
磁性体、荷電制御剤、離型剤、外添剤を添加したものが
より好ましいトナーである。
【0019】磁性体は着色剤の役割をも兼ねており、そ
の材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライ
ト等の酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属あ
るいはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、
鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウ
ム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セ
レン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属
の合金及びその混合物が挙げられる。
【0020】これらの磁性体は平均粒径が0.1〜2.
0μm、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものが望
ましく、トナー中に含有させる量としては樹脂成分10
0重量部に対し約20〜200重量部、特に好ましくは
樹脂成分100重量部に対し40〜150重量部が良
い。
【0021】これらの磁性体を含んだトナーを樹脂に混
合することにより、樹脂の成型収縮率が小さくなり、ト
ナー容器を成型した際に寸法精度、寸法安定性が向上
し、ヒケやソリなどの成型不良を低減する作用をする。
【0022】次に荷電制御剤について説明する。荷電制
御剤はトナー粒子に配合(内添)又はトナー粒子と混合
(外添)して用いることが好ましい。荷電制御剤によっ
て、現像システムに応じた最適の荷電コントロールが可
能となり、特に本発明実施例ではトナー容器の器壁に荷
電制御剤が含まれることでトナーと同極性となり、トナ
ーが付着しにくくなるのでトナー排出性が向上し、容器
内に残留するトナーの量を減らす効果があるので好まし
い。
【0023】正荷電制御剤としては、ニグロシン及び脂
肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモ
ニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如
き四級アンモニウム塩;ジブチルスズオキサイド、ジオ
クチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイ
ドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレ
ート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズ
ボレートの如きジオルガノスズボレートを単独で或いは
2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0024】これらの中でも、ニグロシン系、四級アン
モニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられ
る。
【0025】負荷電制御剤としては、例えば有機金属錯
体、キレート化合物が有効で、その例としてはアルミニ
ウムアセチルアセテート、鉄(II)アセチルアセテー
ト、3,5−ジターシャリーブチルサリチル酸クロムが
挙げられる。好ましくはアセチルアセトン金属錯体(モ
ノアルキル基置換体又はジアルキル基置換体を包含)又
はサリチル酸系金属塩(モノアルキル基置換体及びジア
ルキル基置換体を包含)が良い。
【0026】上述した荷電制御剤は、微粒子状として用
いることが好ましい。この場合、この荷電制御剤の個数
平均粒径は、具体的には、4μm以下(更に好ましくは
3μm以下)であることが好ましい。
【0027】トナー粒子に内添する際、このような荷電
制御剤はバインダー樹脂100重量部に対して、好まし
くは0.1〜20重量部、より好ましくは0.2〜10
重量部用いることが良い。
【0028】次に離型剤について説明する。離型剤とし
てポリオレフィンが好ましく、これによってトナーとし
てはオフセット現象の問題を解決できるが、特に本発明
実施例の場合、トナー容器を射出成型する際にも離型
性、成型性が良くなる効果があるので好ましい。
【0029】離型剤として適用できるポリオレフィン
は、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−
ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンの如きα−オレフ
ィンの単独重合体、2種以上のα−オレフィンの共重合
体またはポリオレフィンの酸化物が挙げられ、更にこれ
らのポリオレフィンは、ビニル系グラフト変性ポリオレ
フィンであっても良い。
【0030】本発明実施例に用いられるポリオレフィン
としては、GPC測定において重量平均分子量(Mw)
が好ましくは2000〜30000、より好ましくは5
000〜18000の低分子量のものが良い。
【0031】バインダー樹脂に対するポリオレフィンの
添加量としては、バインダー樹脂100重量部に対し
て、0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは
0.1〜10重量部である。0.1重量部より少ない場
合には、耐オフセット性への効果は発揮し得ず、また2
0重量部より多い場合には、バインダー樹脂中に析出す
るポリオレフィンの粒子が大きくなり、トナーのブロッ
キング性が低下しやすいと同時に、成型したトナー容器
の強度が不十分となり、さらにはヒートシールの接着強
度にも支障を来たす。
【0032】外添剤としては、帯電安定性、現像性、流
動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末を添加すること
が好ましい。
【0033】シリカ微粉末は、BET法で測定した窒素
吸着により比表面積が30m2 /g以上(特に好ましく
は50〜400m2 /g)の範囲のものが良好な結果を
与える。トナー100重量部に対してシリカ微粉末0.
01〜8重量部、好ましくは0.1〜5重量部使用する
のが良い。
【0034】また、本発明実施例に用いられるシリカ微
粉末は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロール、な
どの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニ
ス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シ
ランカップリング剤、官能基を有するシランカップリン
グ剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤で、或いは
種々の処理剤で併用して処理されていることも好まし
い。
【0035】他の外添剤としては、例えばテフロン、ス
テアリン酸亜鉛、ポロフッ化ビニリデンの如き滑剤、中
でもポリフッ化ビニリデンが好ましい。或いは酸化セリ
ウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨
剤、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい。或いは
例えば酸化チタン、酸化アルミニウム等の流動性付与
剤、中でも特に疎水性のものが好ましい。ケーキング防
止剤、或いは例えばカーボンブラック、酸化亜鉛、酸化
アンチモン、酸化スズ等の導電性付与剤、または逆極性
の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量
用いることもできる。
【0036】以上のような外添剤が添加されることで、
トナーの付着したトナー容器を粉砕し必要に応じて追加
される成型原料樹脂とともに混練、ペレット化する過程
において、外添剤が流動化剤として働いて均一に分散、
混合させる作用をし、均一な着色と混練安定性がえられ
るので好ましい。このような作用を効果的に行う外添剤
としては、シリカ微粉末、ポリフッ化ビニリデン、チタ
ン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化アルミニウムが
特に好ましい。
【0037】また、シリカがシリコーンワニス、各種変
性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリ
コーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有する
シランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の
処理剤で、或いは種々の処理剤で併用して処理されてい
る場合には、トナー容器を射出成型する際に離型性、成
型性が良くなる効果があるのでより好ましい。
【0038】一方、トナー容器は、トナーのバインダー
樹脂と相溶性のある耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIP
S)を射出成型して作った。容器の重量(目付量)は約
200gであった。
【0039】まず予備実験として、未使用のトナー容器
の粉砕物に、種々の量のトナーを添加して混練、ペレッ
ト化し、試験片を射出成型してその物性測定を行なった
ところ、下記表1のような結果を得た。
【0040】ここで、測定方法としてはアイゾット衝撃
値はVノッチ付きでJIS−K−7110に、曲げ強度
と曲げ弾性率はJIS−K−7203に、MIはJIS
−K−7210にそれぞれ準拠した。
【0041】
【表1】
【0042】曲げ強度や曲げ弾性率はほとんど変化無い
が、アイゾット衝撃値はわずかに低下していることがわ
かる。MI(メルト・インデックス)は逆に若干上昇し
ており、流動性はやや向上していることがわかる。
【0043】次に上記トナー容器による回収、再生実験
を行なった。トナーの排出テストを行なったところ、ト
ナー容器への残量(付着量)は1個当たり1〜2g(=
0.5〜1.0%)であった。そこで、アイゾット衝撃
値が9.5(kgf・cm/cm2 )のグレードのHI
PS樹脂を選択して、トナー容器を成型した。これの開
口部にフィルムを接着し、前記構成成分でなるトナーを
所定量充填してサンプルとした。
【0044】これを使って実際にトナーの補給を行な
い、使用済みのトナー容器を回収した。なおフィルムは
トナー補給時に取り除かれている。これらの使用済みト
ナー容器を、トナーが付着したまま状態で数ミリ角の大
きさまで粉砕し、混練機を通してペレット化した。これ
を原料として、射出成型にて再び容器本体1を作った
(図2のフローチャート参照)。
【0045】上記使用後のトナー容器の再生乃至再製造
する方法をより詳しく説明する。
【0046】即ち、粉砕機の一実施例を図4に示す。図
中右上より使用済みのトナー容器を粉砕機20に矢印A
方向に投入すると、高速で回転する回転体に取り付けら
れたハンマ21によりトナー容器を打ち砕くとともに、
ロッドにより支持された衝撃板22に打ちつけて衝撃粉
砕を行う。これにより使用済みのトナー容器は数ミリ角
程度の大きさに粉砕するとともに、トナー容器に若干量
付着していた残留トナーと均一に混合される。
【0047】次に、混練機の一実施例を図5に示す。混
練機30のホッパー31に投入された前記粉砕物は、ヒ
ーター32で加熱・溶融されながら、モータにより歯車
34,35を介して回転させるスクリュー33で移送さ
れ先端のダイより押し出される。このときスクリューに
より溶融物に剪断応力が加えられ、トナーと樹脂とが均
一に混練される。ダイから押し出されたら冷却・裁断し
てペレットとする。
【0048】次に、射出成型機の一実施例を図6に示
す。射出成型機40のホッパー41に供給された前記ト
ナーと樹脂を混練してなるペレットは、モータにより歯
車45,46を介して回転されるスクリュー42の回転
によってヒーターで加熱されたシリンダー前部へ送られ
て行き、混練・可塑化される。シリンダー前部における
可塑化量の増加とともにスクリューは後退し、所定量に
達したときスクリューの回転は停止する。次に射出シリ
ンダー43に高圧油を送ってスクリューを前進させ、シ
リンダー前部の材料を500〜2000kgf/cm2
程度の高圧で金型44に射出し、冷却を待って成型品を
取り出す。
【0049】以上のようにして再生又は再製造された容
器にフィルムを接着し、所定量のトナーを充填して振動
テスト(JIS−Z0232準拠)及び落下テスト(J
IS−Z0202準拠)を行なったところ、ヴァージン
材で作ったものと同様に、容器の割れやフィルムのはが
れ等の不都合は発生しなかった。また、アイゾット衝撃
値は8.7(kgf・cm/cm2 )であった。
【0050】以上説明した様に、トナーのバインダー樹
脂とトナー容器の材料を相溶性のある樹脂とすることに
より、トナー容器にトナーが付着した状態で再生して
も、物性の劣化を少なくすることができ、さらに物性値
(アイゾット衝撃強度)のやや高いグレードでトナー容
器を成型することにより、再生してなるトナー容器の物
性値(アイゾット衝撃強度)をトナーを混合しないヴァ
ージン樹脂でなるトナー容器と同等にすることができ
た。この場合、後述する実施例のように、トナーの含有
比率は30重量%まで許容することができる。
【0051】さらにヒートシール性について、トナーを
混合することで黒く着色したものと、ヴァージン材に黒
色顔料を添加したものとで、比較した。トナー混合容器
は前記回収再生実験で作成したもので、トナーが0.5
〜1.0%程度含まれ、充分に黒く着色されているもの
を用いた。同じ樹脂のヴァージン材に黒色顔料としてカ
ーボンブラック1.0wt.%、分散剤としてステアリ
ング酸カルシウム1.0wt.%をそれぞれ添加したも
のを比較例とした。これらの容器にエチレン酢酸ビニル
共重合体を含むシーラント層にポリエチレン、ナイロン
及びポリエステルを積層したイージーピールフィルムを
ヒートシールし、ピーリング強度を測定した。ヒートシ
ール条件は140℃、5kgf/cm2 (ボア径;φ1
00)、2.5秒とした。ピーリング方向は180°と
45°の2方向、ピーリング速度は200mm/分とし
た。
【0052】その結果下記表2のようになり、トナーで
着色したものはカーボンブラック(分散剤としてステア
リング酸カルシウムも含む)で着色したものよりも強い
接着強度を示し、特に45°方向へのピーリングにおい
てその差が顕著である。45°方向のピーリングは内圧
上昇(減圧環境、高温環境など)に対する抵抗力を意味
しており、180°方向のピーリングは開封時の操作性
を表している。すなわちトナーで着色することで顔料を
着色した場合に比較して操作性を損なうことなく、耐圧
強度としての接着強度を高くすることができた。
【0053】
【表2】
【0054】ここでのトナーは付着残留したトナーであ
って、クリーナから回収された廃トナーではない。
【0055】《比較例》従来と同様のトナー容器は実施
例の予備実験と同様のHIPS樹脂を使用し、トナーは
ポリエステル樹脂を主成分としたものを使って、前記予
備実験と同じ要領でトナーを混合してペレット化し、試
験片を作ってアイゾット衝撃値で測定したところ下記表
3のような結果となった。
【0056】
【表3】
【0057】トナーを添加して行くと、アイゾット強度
は急激に低下し、5%以上の添加量では非常に脆くな
り、測定できなかった。
【0058】もし、トナー残量を1%見込んで、あらか
じめアイゾット衝撃値の高いグレードを使うとするなら
ば、ヴァージンでアイゾット衝撃値が17(kgf・c
m/cm2 )程度必要と考えられる。しかし、HIPS
ではこのようなグレードは実際上存在せず、実施例に示
したような回収・再生は成立しない。
【0059】《実施例2》本発明は上記実施例の態様に
限定されるものではない。即ち、本実施例においては、
トナーのバインダー樹脂と相溶性の樹脂としてポリステ
ル樹脂が用いられる。
【0060】図3はボトルタイプのトナー容器であり、
ポリエステル樹脂をストレッチ・プロー法で成型したも
のである。ボトルの重量(目付量)は約150gであっ
た。このボトルにポリエステルを主成分とするトナーを
充填し、実際のトナー補給を行なった。
【0061】使用済みのボトルを回収したところ、トナ
ーの残量(付着量)はボトル一本当たり3〜5g(=2
〜3.3%)であった。これらのボトルを実施例1と同
様にしてトナーが付着したままの状態で数ミリ角の大き
さまで粉砕し、混練、ペレット化した。これを原料とし
必要に応じ成型樹脂を追加して、ストレッチ・ブロー法
で再びボトル成型し、トナーを充填して振動テスト(J
IS−Z0232準拠)及び落下テスト(JIS−Z0
202準拠)を行なったところ、ヴァージン材で作った
ものと同様にボトルの割れ等の不都合は発生しなかっ
た。
【0062】《実施例3》次に、廃トナーを容器の製造
に利用する方法について説明する。成型原料樹脂とし
て、前記のようにトナーのバインダー樹脂と相溶性のあ
る樹脂、即ち前記実施例1、2で使用したと同様のポリ
スチレン樹脂(HIPS)、ポリエステル樹脂を準備す
る。該成型原料樹脂と廃トナーを含有比率が30重量%
以下で混合した素材により、射出もしくはブロー成型し
て容器を製造する。
【0063】本実施例において表1を参考に、トナー容
器を成型すべき原料樹脂である前記ポリスチレンを、ア
イゾット衝撃強度(JIS K 7110)を8.0〜
13.0(kgf・cm/cm2 )に設定し、該原料樹
脂と廃トナーとを混合することにより射出成型後のアイ
ゾット衝撃強度は6.0〜10.0(kgf・cm/c
2 )に調節されたトナー容器が成型された。
【0064】この場合のトナーの含有比率は30重量%
以上であれば、上記強度が達成された。以上のようなト
ナー容器の構成及びその製造工程を実施し、容器の成型
に廃トナーを用いることにより、廃トナーを再利用する
ことができ、また上記の様な強度のトナー容器を成型す
る際、廃トナーが不足の場合等には、新規のトナーを使
用することも可能である。
【0065】なお以上の実施例は、トナー容器について
説明したが、プロセスカートリッジに備えられプロセス
カートリッジ内トナーを収納するトナー容器も同様の製
造及び構成とすることができることは勿論であり、その
説明は前記各説明を援用する。また、成型原料樹脂は、
前記実施例のポリスチレン、ポリエステルに限ることな
く、トナーのバインダー樹脂と相溶性のある樹脂であれ
ば本発明に使用できる。
【0066】なお前記プロセスカートリッジとは、プロ
セス手段としての帯電手段、現像手段またはクリーニン
グ手段と像担持体としての電子写真感光体とを一体的に
カートリッジ化し、このカートリッジを画像形成装置
(例えば、複写機、LBP等)本体に対して着脱可能と
するものである。及び帯電手段、現像手段、クリーニン
グ手段の少なくとも一つと電子写真感光体とを一体的に
カートリッジ化して画像形成装置(例えば、複写機、L
BP等)本体に着脱可能とするものである。更に、少な
くとも現像手段と電子写真感光体とを一体的にカートリ
ッジ化して装置本体(例えば、複写機、LBP等)に着
脱可能とするものをいう。そこで本発明は、前記実施例
で説明したトナー容器を備え、像担持体とプロセス手段
とを一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを
画像形成装置本体に対して着脱可能とするプロセスカー
トリッジに適用できる。さらに本発明は、前述実施例で
説明したトナー容器の製造方法を用いて製造したトナー
容器を備え、像担持体とプロセス手段とを一体的にカー
トリッジ化して、このカートリッジを画像形成装置本体
に対して着脱可能とするプロセスカートリッジに適用で
きる。
【0067】
【発明の効果】
(1)使用済みのトナー容器を、簡便な工程で再生でき
る。
【0068】(2)処理の困難なプラスチック廃棄物を
減らすことができる。
【0069】(3)資源、原料の節約ができる。
【0070】(4)着色剤の添加が不要となり、製造コ
ストを低減できる。
【0071】(5)着色剤を分散する目的で添加されて
いたステアリン酸カルシウム等の接着阻害となる物質を
使用しなくても着色が可能となり、後工程のヒートシー
ルにおいて接着力の増強と安定化が図れる。
【0072】(6)トナーに磁性体が含まれる場合、成
型収縮率を低下させ、寸法精度、寸法安定性の向上、ヒ
ケ、ソリ等の成型不良の改善に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例であるボックスタイプのトナー
容器の斜視図である。
【図2】再生工程を表わすフローチャートである。
【図3】本発明の他の実施例であるボトルタイプのトナ
ー容器の斜視図である。
【図4】本発明のトナー容器等を製造するために用いら
れる粉砕機の一実施例を示す図である。
【図5】本発明のトナー容器等を製造するために用いら
れる混練機の一実施例を示す図である。
【図6】本発明のトナー容器等を製造するために用いら
れる射出成型機の一実施例を示す図である。
【符号の説明】
1…トナー容器 2…シールフィ
ルム 2A…ヒートシール 20…粉砕機 30…混練機 40…射出成型

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トナーを収容するトナー容器において、 前記トナー容器がトナーと該トナーのバインダー樹脂と
    相溶性のある原料樹脂とを混合してプラスチック成型さ
    れ、該成型原料樹脂はアイゾット衝撃強度(JIS K
    7110)を8.0〜13.0(kgf・cm/cm
    2 )に設定し、トナーと混合することによりアイゾット
    衝撃強度を6.0〜10.0(kgf・cm/cm2
    に調節したことを特徴とするトナー容器。
  2. 【請求項2】 トナーの含有比率が30重量%以下であ
    ることを特徴とする、請求項1記載のトナー容器。
  3. 【請求項3】 トナーのバインダー樹脂がスチレン・ア
    クリル共重合体でなり、成型原料樹脂がポリスチレンま
    たはアクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体
    でなることを特徴とする、請求項1記載のトナー容器。
  4. 【請求項4】 トナーのバインダー樹脂がポリエステル
    でなり、成型原料樹脂がポリエステルでなることを特徴
    とする、請求項1記載のトナー容器。
  5. 【請求項5】 トナーが磁性体を含有することを特徴と
    する、請求項1記載のトナー容器。
  6. 【請求項6】 前記トナー容器は、画像形成装置にトナ
    ーを補給するためのトナー補給容器であることを特徴と
    する、請求項1〜5のいずれかに記載のトナー容器。
  7. 【請求項7】 前記請求項1〜5のいずれかに記載のト
    ナー容器を備え、像担持体とプロセス手段とを一体的に
    カートリッジ化して、このカートリッジを画像形成装置
    本体に対して着脱可能とすることを特徴とするプロセス
    カートリッジ。
  8. 【請求項8】 トナーと該トナーのバインダー樹脂と相
    溶性のある成型原料樹脂とを混合し、混練機を通してペ
    レット化し、これを原料として成型することを特徴とす
    るトナー容器の製造方法。
  9. 【請求項9】 トナーの含有比率が30重量%以下であ
    ることを特徴とする、請求項8記載のトナー容器の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 前記請求項8又は9に記載のトナー容
    器の製造方法を用いて製造したトナー容器を備え、像担
    持体とプロセス手段とを一体的にカートリッジ化して、
    このカートリッジを画像形成装置本体に対して着脱可能
    とすること特徴とするプロセスカートリッジ。
  11. 【請求項11】 トナー容器をその内部に収納するトナ
    ーのバインダー樹脂と、該バインダー樹脂と相溶性のあ
    る成型原料樹脂とで構成し、これを使用後に回収し、残
    留トナーが付着したまま粉砕、混練ペレット化し、これ
    を原料として再びトナー容器を成型することを特徴とす
    るトナー容器の再製造方法。
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