JP3147741U - 嵩高性を有する拭き取りシート - Google Patents
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Abstract
【課題】2次加工的な工程を施すことなく、また低目付であっても嵩高であり、かつ安価に得ることができる拭き取りシートを提供する。
【解決手段】 繊維横断面が扁平形状である熱可塑性樹脂からなる扁平断面繊維を含み、繊維同士が相互に交絡することで一体化してなるスパンレース不織布であり、扁平断面繊維が、横断面の長軸方向が不織布の厚み方向となるように主として存在し、不織布の目付が20〜50g/m2であることを特徴とする嵩高性を有する拭き取りシート。
【選択図】 図1
【解決手段】 繊維横断面が扁平形状である熱可塑性樹脂からなる扁平断面繊維を含み、繊維同士が相互に交絡することで一体化してなるスパンレース不織布であり、扁平断面繊維が、横断面の長軸方向が不織布の厚み方向となるように主として存在し、不織布の目付が20〜50g/m2であることを特徴とする嵩高性を有する拭き取りシート。
【選択図】 図1
Description
人体や人体以外の対象物に付着した汚れを拭き取るための拭き取りシートに関するものである。
不織布において、単位面積あたりの質量が同じ場合、厚みが大きい方が嵩高性を有するということとなる。対象物に付着した汚れ等を拭き取るための拭き取りシートにおいて、嵩高性を有すると、清拭に用いる場合の薬液の含浸性や保持性が良好となり、また、拭き取った汚れが、拭き取り面の反対側に裏抜けしにくく、手に汚れが付着することを防止することにもなる。また、嵩高性を有すると拭き取りの際にクッション性があるため、拭き取り対象物に余分な力が加わらなくなり、対象物に傷や痛みを加えにくく、対象物が人体である場合は、拭き取り時の肌触りが良好となる。
嵩高な不織布を得る方法として、2枚のセルロース系繊維からなる不織布の間に熱融着性繊維からなるウェブを介在させて、熱圧接ロールにて一体化したおしぼりが提案されている(特許文献1)。しかし、この方法では、複数枚の不織布を積層するため、目付をある一定以下に小さくすることは困難であり、熱圧接ロールによる2次加工を必須要件とするためにコストダウンは図り難い。
特開平7−322970号公報
本考案は、2次加工的な工程を施すことなく、また低目付であっても嵩高性を有し、かつ安価に得ることができる拭き取りシートを提供することを目的とするものである。
本考案は、上記課題を達成するものであって、繊維横断面が扁平形状である熱可塑性樹脂からなる扁平断面繊維を含み、繊維同士が相互に交絡することで一体化してなるスパンレース不織布であり、扁平断面繊維が、繊維横断面の長軸方向が不織布の厚み方向となるように主として存在し、不織布の目付が20〜50g/m2であることを特徴とする嵩高性を有する拭き取りシートを要旨とするものである。
以下、本考案について、詳細に説明する。
本考案の拭き取りシートは、スパンレース不織布によって構成される。スパンレース不織布は、構成繊維同士が、高圧液体流の作用によって、相互に交絡することで一体化し、不織布として形態保持しているものでる。スパンレース不織布は、繊維同士の結合が接着剤や熱接着等によるものでないため、肌触りが良好である。また、繊維同士が三次元的に交絡することで形態を保持しているため、単に繊維が堆積してなるものと比較して繊維間の空隙が大きいことから嵩高性にも優れる。
本考案の拭き取りシートを構成するスパンレース不織布は、繊維横断面が扁平形状である熱可塑性樹脂からなる扁平断面繊維を含んでいる。扁平断面繊維は、いわゆる横断面の形状が楕円形のものであり、楕円形において、長軸と短軸との比(長軸/短軸)が3以上のものを好ましく用いることができ、長軸と短軸との比の上限は、5程度でよい。
図1に、本考案の拭き取りシートを構成するスパンレース不織布の模式的側面図を示すとともに、図1(a)にスパンレース不織布の側面の拡大断面を模式的に示す。スパンレース不織布1において、扁平断面繊維2は、繊維横断面の長軸方向が不織布の厚み方向となるように主として存在する。ここで、主として繊維横断面の長軸方向が不織布の厚み方向となるように存在するとは、スパンレース不織布の断面写真における繊維の横断面形状を観察した際、繊維の長手方向に対して略垂直に切断された任意の繊維20本のうち、厚み方向を軸として、30°〜−30°の範囲の角度の位置に繊維の長軸の方向が一致するように存在している繊維が10本を超えて存在することをいう。本考案のスパレース不織布において、扁平断面繊維の断面形状が厚み方向に対して特定の角度に繊維の長軸が配列しての存在することについて、その理由は定かではないが、スパンレース不織布を得るにあたり、カード機に通して得られた単に多数の繊維が堆積してなる不織ウェブに高圧液体流を作用させると、扁平断面の長軸方向が、不織布の平面方向ではなく厚み方向を向くように移動して配列する。
扁平断面繊維を構成する熱可塑性樹脂は、繊維形成性を有する熱可塑性樹脂であればよく、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等が挙げられ、拭き取りシートに求められる要求性能に応じて適宜選択すればよい。
本発明の拭き取りシートは、目付が20〜50g/m2である。目付が20g/m2未満であると、あまりにもシートを構成する繊維の量が小さすぎるため嵩高感を具備させることは困難であり、目付が50g/m2を超えると、それに応じて不織布の厚みも当然大きくなることからボリューム感が出てくるため、低目付であっても嵩高感のある拭き取りシートを得るために特定の繊維断面のものを採用しようという本考案の技術的意義がなくなる。
本発明の拭き取りシートには、多くとも70質量%の範囲で、セルロース系繊維が含まれていてもよい。セルロース系繊維は吸水性を有しているため、拭き取りシートに拭き取り用の薬液を保液させたい場合や、拭き取り対象物から水分を吸水させたい場合、また、拭き取りシートをウェット状態で使用するウェットワイパーとして用いる場合等に好ましい。
セルロース系繊維としては、公知の木綿繊維やレーヨン繊維(ビスコースレーヨン、銅アンモニウムレーヨン)、リヨセル繊維等が挙げられる。これらセルロース系繊維はそれぞれ独自の特徴を有しており、拭き取りシートの要求性能に応じて、これらを単独もしくは2種以上のものを含有させてもよい。
本考案の拭き取りシートは、以下の方法によって容易に得ることができる。
まず、拭き取りシートを構成する繊維である扁平断面繊維群をカード機で開繊してカードウェブを得る。また、必要に応じて扁平断面繊維群に所定の量のセルロース系繊維群を投入して均一に混綿し、カード機で開繊してカードウエブを得る。カード機とは短繊維群を針布で梳る機械である。カード機にセルロース系繊維と扁平断面の熱可塑性短繊維を均一に混綿した原綿を供給すると、これら短繊維群が針布で梳られ、カード機の出口から開繊及び集積された状態のシート状物(カードウエブ)が排出される。カード機は、シート状物を構成する繊維の並び方向によって大別すると、繊維が機械方向に並んだパラレルカード機と、繊維の並び方向が機械方向のみならず様々な向きに並べられるランダムカード機があり、本考案においてはパラレルカード機、ランダムカード機各々によってシート状物を得ても良いし、パラレルカード機とランダムカード機の積層体であってもよい。
排出されたシート状物は、そのままの状態で搬送され、または2層以上に積層され、または適宜折り畳まれ(クロスレイド等)、不織ウエブが形成される。
不織ウエブを形成した後、これに高圧液体流を施す。高圧液体流を施す際、不織ウエブは有孔支持体に担持する。そして、高圧液体流は、そのエネルギーを不織ウエブに効果的に付与するために、不織ウエブ側すなわち有孔支持体の反対側から施される。高圧液体流は、孔径0.05〜2.0mmの噴射孔から高圧(例えば1.5〜40MPa)で液体(例えば、水)を噴射させて得られるものである。高圧液体は、不織ウエブに1回ないし複数回以上施される。この高圧液体流が、有孔支持体に担持された不織ウエブに衝突すると、高圧液体流のエネルギーが不織ウエブを構成する繊維を運動させるエネルギーとなり、構成繊維相互間を交絡させるのである。そして、不織ウエブに衝突した後には、有孔支持体の孔から下方へ水が排出されるのである。有孔支持体としては、拭き取りシートの用途に応じて任意のものを採用すればよい。比較的平滑な表面のシートを得る場合には80〜100メッシュの細目織物からなる有孔支持体を用いればよいし、シートの表面に凹凸を付与する場合は、所定の目開きを有する荒目織物(6〜25メッシュ)からなる有孔支持体を用いることができる。なお、ここでいうメッシュとは、1インチ当たりの線の和を指し、例えば100メッシュの織物は、1インチ当たり100本の線が存在するものを指す。高圧液体流を施した後の不織ウエブは水を含んでいるため、マングルロールなどを用いて過剰な水分を除去した後、熱風乾燥機等を通して残余の水分を蒸発除去する。以上のようにして、スパンレース不織布が得られ、得られたスパンレース不織布を適宜の大きさに裁断して本発明の拭き取りシートとすればよい。
本考案の嵩高性を有する拭き取りシートは、スパンレース不織布によって構成され、該不織布は繊維横断面が扁平形状である扁平断面繊維を含み、この扁平断面繊維は、横断面の長軸方向が不織布の厚み方向となるように主として配列して存在しているため、シートの厚みが増すこととなる。したがって、本考案の拭き取りシートは、目付が小さいものであっても、厚みが大きく、嵩高性を有するものとなって、拭き取り性が良好で、対人および対物の両方において好適に使用できるものである。
以下、実施例に基づいて本考案を説明するが、本考案は実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例の各種物性値は以下の方法により測定した。
(1)目付(g/m2):タテ10cm×ヨコ10cmの試料片を10点作成し、各試料片の質量(g)を秤量し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算して、目付(g/m2)とした。
(2)厚み(μm):JIS L 1906 5.1(2000年)に記載の方法に準じ、荷重20gf/cm2で測定した。
(1)目付(g/m2):タテ10cm×ヨコ10cmの試料片を10点作成し、各試料片の質量(g)を秤量し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算して、目付(g/m2)とした。
(2)厚み(μm):JIS L 1906 5.1(2000年)に記載の方法に準じ、荷重20gf/cm2で測定した。
実施例1
扁平断面繊維として、ポリエステル製の短繊維群(ユニチカファイバー社製 商品名<F330> 単糸繊度1.7デシテックス、繊維長51mm、扁平率3.8)を用意した。この扁平断面繊維群をパラレルカード機で開繊して不織ウェブを得、得られた不織布ウェブを100メッシュの多孔性支持体に担持させ、不織ウェブ側から圧力5.5MPaの高圧水流を3回施し、次いで不織ウェブを反転させて、さらに圧力5.5MPaの高圧水流を3回施した。次いで、マングルロールにて絞り、乾燥機を通して乾燥し水分を除去して、目付42g/m2、厚み561μmのスパンレース不織布を得、これを拭き取りシートとした。
扁平断面繊維として、ポリエステル製の短繊維群(ユニチカファイバー社製 商品名<F330> 単糸繊度1.7デシテックス、繊維長51mm、扁平率3.8)を用意した。この扁平断面繊維群をパラレルカード機で開繊して不織ウェブを得、得られた不織布ウェブを100メッシュの多孔性支持体に担持させ、不織ウェブ側から圧力5.5MPaの高圧水流を3回施し、次いで不織ウェブを反転させて、さらに圧力5.5MPaの高圧水流を3回施した。次いで、マングルロールにて絞り、乾燥機を通して乾燥し水分を除去して、目付42g/m2、厚み561μmのスパンレース不織布を得、これを拭き取りシートとした。
比較例1
実施例1において、扁平断面繊維に代えて、木綿繊維(平均繊維長25mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、目付46g/m2、厚み427μmの比較例1のスパンレース不織布得た。
実施例1において、扁平断面繊維に代えて、木綿繊維(平均繊維長25mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、目付46g/m2、厚み427μmの比較例1のスパンレース不織布得た。
比較例2
実施例1において、扁平断面繊維に代えて、円形断面のポリエステル繊維(単糸繊度1.7デシテックス、繊維長51mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、目付57g/m2、厚み711μmの比較例2のスパンレース不織布を得た。
実施例1において、扁平断面繊維に代えて、円形断面のポリエステル繊維(単糸繊度1.7デシテックス、繊維長51mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、目付57g/m2、厚み711μmの比較例2のスパンレース不織布を得た。
実施例1、比較例1,2の不織布について、嵩密度を求めると、0.074g/cc(実施例1)、0.108g/cc(比較例1)、0.080g/cc(比較例2)となり、実施例1の扁平断面繊維を用いた不織布が空隙が大きく、嵩高性を有するものであった。また、それぞれの不織布において、目付10g/m2あたりの厚みを算出すると、134μm(実施例1)、93μm(比較例1)、125μm(比較例2)となり、実施例1が目付あたりの厚みが大きいものであった。
実施例2
実施例1で用いた扁平断面繊維と同様のものであって、単糸繊度が2.2dtexの扁平断面繊維と、比較例1で用いた木綿繊維とを用い、1:1(質量比)で均一に混綿したものをパラレルカード機にて開繊したこと以外は、実施例1と同様にして、目付46g/m2、厚み538μmのスパンレース不織布を得、これを拭き取りシートとした。スパンレース不織布を得た。
実施例1で用いた扁平断面繊維と同様のものであって、単糸繊度が2.2dtexの扁平断面繊維と、比較例1で用いた木綿繊維とを用い、1:1(質量比)で均一に混綿したものをパラレルカード機にて開繊したこと以外は、実施例1と同様にして、目付46g/m2、厚み538μmのスパンレース不織布を得、これを拭き取りシートとした。スパンレース不織布を得た。
比較例3
実施例2において、扁平断面繊維に代えて、円形断面のポリエステル繊維(単糸繊度2.2デシテックス、繊維長51mm)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、目付42g/m2、厚み431μmの比較例3のスパンレース不織布を得た。
実施例2において、扁平断面繊維に代えて、円形断面のポリエステル繊維(単糸繊度2.2デシテックス、繊維長51mm)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、目付42g/m2、厚み431μmの比較例3のスパンレース不織布を得た。
実施例2、比較例3の不織布について、嵩密度を求めると、0.085g/cc(実施例2)、0.093g/cc(比較例3)であり、実施例2の扁平断面繊維を用いた不織布が空隙が大きく、嵩高性を有するものであった。また、それぞれの不織布において、目付10g/m2あたりの厚みを算出すると、117μm(実施例2)、103μm(比較例3)となり、実施例2が目付あたりの厚みが大きいものであった。
1: スパンレース不織布
2: 扁平断面繊維
2: 扁平断面繊維
Claims (4)
- 繊維横断面が扁平形状である熱可塑性樹脂からなる扁平断面繊維を含み、繊維同士が相互に交絡することで一体化してなるスパンレース不織布であり、扁平断面繊維が、繊維横断面の長軸方向が不織布の厚み方向となるように主として存在し、不織布の目付が20〜50g/m2であることを特徴とする嵩高性を有する拭き取りシート。
- 扁平断面繊維の扁平率が3以上であることを特徴とする請求項1記載の嵩高性を有する拭き取りシート。
- スパンレース不織布が、多くとも70質量%のセルロース系繊維を含むことを特徴とする請求項1または2記載の嵩高性を有する拭き取りシート。
- セルロース系繊維が、木綿繊維、レーヨン、リヨセルから選ばれた1種もしくは2種以上の繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の嵩高性を有する拭き取りシート。
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP3147741U true JP3147741U (ja) | 2009-01-15 |
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ID=
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010144281A (ja) * | 2008-12-18 | 2010-07-01 | Unitika Ltd | 風合いに優れたスパンレース不織布の製造方法 |
JP2015067936A (ja) * | 2013-10-01 | 2015-04-13 | ユニチカ株式会社 | 不織布 |
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---|---|---|---|---|
JP2010144281A (ja) * | 2008-12-18 | 2010-07-01 | Unitika Ltd | 風合いに優れたスパンレース不織布の製造方法 |
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