JP3147618B2 - 音響特性補正装置 - Google Patents

音響特性補正装置

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JP3147618B2 JP25759693A JP25759693A JP3147618B2 JP 3147618 B2 JP3147618 B2 JP 3147618B2 JP 25759693 A JP25759693 A JP 25759693A JP 25759693 A JP25759693 A JP 25759693A JP 3147618 B2 JP3147618 B2 JP 3147618B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、リスニングルーム等
の音場を含めた再生系の応答特性(周波数応答等)を所
望の特性に補正するための音響特性補正装置に関し、装
置の構成を簡略化したものである。
【0002】
【従来の技術】部屋やスピーカなどを含む再生系全体の
応答特性を補正する装置として、従来はグラフィックイ
コライザが一般的であった。これは、音声周波数帯域を
いくつかの帯域に分割して、分割した帯域ごとにゲイン
を調整するものであった。しかし、これではどのように
調整すれば再生音が希望する応答特性になるのか知るこ
とができなかった。
【0003】そこで、従来のグラフィックイコライザの
欠点を解決して再生系全体の応答特性を希望特性に自動
設定できるようにしたものとして、例えば特公昭61−
59004号公報に記載のものがあった。これは、使用
者が希望特性を設定するとともに、再生しようとする音
場においてホワイトノイズやインパルス等の測定用信号
を再生系のスピーカで再生し、これをマイクで収音して
その応答特性を測定し、これが希望特性に一致するよう
に補正特性を求めて、この補正特性に合致するイコライ
ザのフィルタ特性を設定し、音楽信号をこのイコライザ
を通して再生することにより、希望特性に調整された状
態で音楽再生を楽しめるようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の装置では、
応答特性を測定するための構成と、この測定結果に基づ
き応答特性を補正するための構成が別個独立に必要であ
り、ハードウエア構成が大型化していた。
【0005】この発明は、上述の点に鑑みてなされたも
ので、装置の構成を簡略化して装置の小型化を可能にし
た音響特性補正装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
測定用信号としてTSP(Time Stretched Pulse:時間
引き伸ばしパルス)信号を用いて応答特性の測定を行な
う場合に、測定の際の逆フィルタ特性による時間圧縮と
補正特性の付与に共通の畳み込み演算器を用いるように
したものである。
【0007】請求項2記載の発明は、このように畳み込
み演算器を共用する場合に、畳み込み演算器が補正特性
の付与に必要な段数を有しかつ逆フィルタ特性による時
間圧縮に必要な段数を有しないものであるときに、当該
時間圧縮を時間的に分割して行なうようにしたものであ
る。
【0008】
【作用】請求項1記載の発明によれば、測定用信号とし
てTSP信号を用いて応答特性の測定を行なう場合に、
測定の際の逆フィルタ特性による時間圧縮と補正特性の
付与に共通の畳み込み演算器を用いるようにしたので、
ハードウエア構成が簡略化されて、装置の小型化を図る
ことができる。
【0009】また、これを実現する場合、一般に逆フィ
ルタによる時間圧縮に必要な畳み込み演算器の段数は補
正特性の付与に必要な段数よりもかなり多い場合が多
く、逆フィルタによる時間圧縮に必要な段数分用意する
と補正特性の付与にとっては無駄になると考えられる。
そこで、請求項2記載の発明では、畳み込み演算器の段
数としては補正特性の付与に必要な段数を用意し、逆フ
ィルタ特性による時間圧縮を時間的に分割して行なうこ
とにより小型の畳み込み演算器を用いて時間圧縮と補正
特性の付与に共用できるようにしている。
【0010】
【実施例】この発明の一実施例を以下説明する。図2は
この装置全体のハードウェア構成の概要を示したもので
ある。この音響特性補正装置10は本体部12とリモコ
ン部14で構成され、両者間は着脱可能な信号ケーブル
16で接続されている。
【0011】本体部12は、応答特性の測定時は、測定
用信号の発生、マイク収音信号に基づく周波数特性演
算、補正特性の演算、補正特性に対応するFIRフィル
タ係数の演算等を行ない、応答特性測定後のイコライザ
としての使用時は、再生しようとする音響信号に対し
て、設定されたFIRフィルタ特性を付与することによ
り応答特性の補正を行なう。リモコン部14は、本体部
12に対して測定時や希望特性設定時の各種動作の指示
や各種応答特性(測定特性、希望特性、補正特性等)等
の表示を行なう。
【0012】本体部12において、マイク入力端子18
には、応答特性の測定時に測定用マイクが接続されて、
マイク収音信号が入力される。また、ソース入力端子2
0にはCDプレーヤ等のソース機器が接続されて、イコ
ライザとしての使用時にソース機器から再生されるソー
ス信号が入力される。入力部22はマイク入力やソース
入力のA/D変換を行なう。出力部24はイコライザ処
理されたソース信号や測定用信号(テストトーン信号)
をD/A変換して出力端子26から出力する。パッチベ
イ部28は、測定時とイコライザ時とで、入出力その他
各種信号の結線をそれぞれつなぎ変える。波形メモリ出
力部30は、ROMに記憶されている測定用信号波形
(バンド信号波形、TSP信号波形)およびTSP逆フ
ィルタ波形を読み出して出力する。
【0013】入力波形メモリ部32は、A/D変換され
たマイク入力をRAMに記憶する。畳み込み演算器34
は実時間畳み込み回路(例えば、ヤマハ株式会社製LS
IYM7309を多数段縦列接続して数千段(例えば4
000〜8000段)の畳み込み器を構成した回路)で
構成されており、イコライザ時にはイコライザのフィル
タ係数をここに転送することによってFIRフィルタに
よるイコライザを構成する。また、TSP信号を測定用
信号として使う場合の測定時には、TSP逆フィルタ係
数を畳み込み演算部34に転送することによりTSP逆
フィルタを構成する。データ処理計算その他制御部36
はCPUで構成され、測定データの処理(測定特性、希
望特性、補正特性の演算、補正特性に対応するイコライ
ザフィルタ係数の演算(フーリエ逆変換)等)やパッチ
ベイ部28の接続切換え、その他本体部12で必要な制
御およびリモコン部14のCPU42との信号のやり取
り等を行なう。
【0014】リモコン部14において、操作部38は測
定時や希望特性設定時、補正特性設定時に本体部12に
対して必要なすべての指示を行なう。表示部40は各種
応答特性の表示や操作のための表示を行なう。CPU4
2は本体部12のCPU36との間でデータのやり取り
を行なう。
【0015】リモコン部14のパネル構成例を図3に示
す。表示部40はLCD表示器等で構成され、各種応答
特性がグラフ表示される。すなわち、上段のグラフ表示
部には共通のグラフ軸(横軸が周波数、縦軸がレベル)
上に測定特性が棒グラフ44で、希望特性(フラット特
性の例を示す。)が線グラフ46で重ねて表示される。
また、周波数範囲を指示するカーソル62,64が縦線
で表示される。また、下段には、希望特性と測定特性の
差として演算される補正特性が線グラフ48で表示され
る。また、上段と下段の間には、操作者の操作により設
定された補正周波数範囲が横棒グラフ50で表示され
る。この場合、補正周波数範囲外は補正特性表示48が
されなくなる(あるいは0dBラインにフラットに表示さ
れる。)。グラフ表示部の上部、下部には操作者の操作
を手助けするために現在の設定項目や設定内容等を表示
する表示部分52,54が設けられている。
【0016】操作部38には、カーソルキー56、シャ
トルキー(ロータリエンコーダ)58、各種キースイッ
チ60等が配設されている。カーソルキー56はアップ
キー56a、ダウンキー56b、左カーソル選択キー5
6c、右カーソル選択キー56dで構成されている。左
右カーソル選択キー56c,56dは、例えば希望特性
を修正するときや補正周波数範囲を設定するときに、表
示部40の左右カーソル62,64のいずれか一方を選
択するのに用いられる。左カーソル選択キー56cを押
してシャトル58を回すと、回した方向に左カーソル6
2が動いて周波数範囲の下限値が設定される。右カーソ
ル選択キー56dを押してシャトル58を回すと、回し
た方向に右カーソル64が動いて周波数範囲の上限値が
設定される。カーソル62,64のうち選択されている
ほうの位置には例えば▽マーク65が表示され、これに
よりいずれが選択されているかがわかる。アップ、ダウ
ンキー56a,56bは例えば希望特性を修正するとき
に用いられるもので、指定した周波数範囲についてアッ
プキー56aを押すと希望特性のレベルが曲線で滑らか
に徐々にアップされ、ダウンキー56bを押すと希望特
性のレベルが曲線で滑らかに徐々にダウンされる。キー
スイッチ60は、設定項目の選択、測定データの選択、
実行指示その他各種の指示に用いられる。
【0017】図2の音響特性補正装置10を用いて周波
数特性の測定からイコライザとして使用するまでの手順
の概要を図4に示す。各工程は操作者によるモード進行
操作により順次進められていく(例えば1つのキースイ
ッチを押すごとに次の工程に進む)。各工程について概
要を説明する。
【0018】 テスト 図5(a)に示すように、音楽再生を行なう部屋70で
受聴位置71にマイク72を配置して、本機10から測
定用信号を出力してパワーアンプ74を介して再生に用
いるスピーカ76,78から再生し、これをマイク72
で収音して収音波形を本機10内のメモリに取り込む。
この測定は、必要に応じて図5(a)の右に示すように
受取位置71を中心とした複数点(例えば5点)にマイ
ク72を移動して各位置で行なう。
【0019】 測定特性の演算 メモリに取り込まれた収音信号に基づいて応答特性を演
算する。求められた応答特性(測定特性)は、リモコン
部14の表示部40に例えば図6(a)に示すようにバ
ーグラフで表示される。
【0020】 希望特性の設定 リモコン部14にて、表示部40を見ながら操作部38
で操作して希望特性を設定する。選択されあるいは設定
された希望特性は表示部40で図6(b)に示すように
測定特性の表示44と同一グラフ軸上に重ねて線グラフ
46で表示される。希望特性として例えばこの図6
(b)に示すように、測定特性44をならしてフラット
にしたような特性に設定する場合は、両特性表示が同一
グラフ軸上に重ねて表示されているので、どういう希望
特性にすればフラットになるか一目でわかり、設定が容
易である。
【0021】 補正特性の演算 希望特性を設定すると、補正特性が希望特性と測定特性
との差として自動的に演算されて、表示部40に図6
(c)に示すように線グラフ50で表示される。希望特
性の修正を行なっている時も、補正特性が随時演算され
て表示される。
【0022】 補正特性の修正 補正特性のピークが大きいと聴感上違和感を生じるの
で、必要に応じて補正特性のレベルについて上下限値を
規制する。また、使用するスピーカの再生周波数特性の
限界から補正範囲に制限がある場合等は、必要に応じて
補正周波数範囲を規制する(つまり、補正周波数範囲外
の補正量を0dBにする)。
【0023】 イコライザフィルタ係数の演算 補正特性が決まったら、これをフーリエ逆変換して対応
するインパルス応答を求める。この場合、使用する状況
等に応じて、直線位相処理フーリエ逆変換、最小位相処
理フーリエ逆変換あるいはその他のアルゴリズムのフー
リエ逆変換の中から任意に選択して用いる。この結果、
図6(d)や(e)に示すようなインパルス応答が求ま
る。イコライザ(FIR)フィルタ係数は、このインパ
ルス応答の時間軸上各位置におけるレベル値として与え
られる。このようにして、全周波帯域にわたるイコライ
ザ特性が設定される。
【0024】 補正効果の確認 必要に応じて補正効果の確認を行なう。これは、求めら
れたイコライザフィルタ係数を畳み込み演算部34にセ
ットしてイコライザを構成し、測定用信号に対しこのイ
コライザで補正特性を付与してスピーカから再生して再
度応答特性を測定し、表示部40上にこの測定特性と希
望特性を重ねて表示して補正効果を確認する。両特性が
一致するほど希望特性どおりの補正が行なわれたことに
なる。スピーカ特性の限界等から期待どおりの補正状態
が得られなかった場合は、必要に応じて希望特性の再修
正を行なう。
【0025】 音楽再生 イコライザフィルタ特性が最終的に決定されたら、図5
(b)に示すように、CDプレーヤ等のソース機器80
を接続して本機10の本体部12をイコライザとして用
いて最終目的である音楽再生を行なう。
【0026】以上の手順の各工程を実現するための音響
特性補正装置10内の制御ブロック構成を図1に示す。
図1では測定時の接続状態を示している。マイク入力端
子18、ソース入力端子20には、測定用マイク72、
ソース機器80がそれぞれ接続される。マイク入力端子
18から入力された測定信号はマイクアンプ82で増幅
される。スイッチ84は測定および演算時(前記〜
の工程)と再生時(前記の工程)とで切り換えられ
る。A/D変換器86はマイク入力またはアナログソー
ス入力をディジタル信号に変換する。スイッチ88は、
ディジタルソース入力をバイパス路90に通すためのも
ので、ディジタルソース入力再生時とそれ以外のモード
時(アナログ入力再生時、測定時)とで切り換えられ
る。スイッチ92は、測定時と再生時で切り換えられ
る。波形メモリ32はテスト時にマイク入力を取り込む
ものである。測定用信号発生器30は、測定用信号の波
形を記憶するROMで構成されている。この実施例で
は、測定用信号としてバンド信号法(後述する)のバン
ド信号およびTSP法(後述する)のTSP信号を記憶
しており、そのうちいずれかを操作者の選択操作に応じ
て読み出せるようにされている。
【0027】スイッチ94は、再生時と、応答特性演算
時と、テスト時で切り換えられる。スイッチ96は畳み
込み演算器34を通るルートとこれをバイパスするルー
ト98を切換えるもので、テスト時およびバンド信号法
における応答特性演算時はバイパス路98を選択し、T
SP法における応答特性演算時、補正効果の確認時およ
び音楽再生時は畳み込み演算器34を通るルートを選択
する。畳み込み演算器34は、スイッチ102の切換え
により、用途が切り換えられる。すなわち、TSP法に
おける応答特性演算時には、TSP逆フィルタ波形メモ
リ100から読み出されるTSP逆フィルタ波形がフィ
ルタ係数としてセットされて、TSP逆フィルタとし
て、収音したTSP信号の時間圧縮を行ない、インパル
ス応答を求める。また、補正効果の確認時および音楽再
生時(補正特性の付与時)には、演算で求められた補正
特性に対応するイコライザフィルタ係数がフィルタ係数
としてセットされてイコライザとして動作する。これに
より、畳み込み演算器34が応答特性演算時のTSP法
における逆フィルタと補正効果確認時および音楽再生時
のイコライザに兼用されるので、ハードウェア構成が簡
略化される。このように兼用しても、応答特性演算と、
補正効果確認および音楽再生とは同時に行なわれないの
で全く問題ない。
【0028】なお、畳み込み演算器34が、前記補正特
性の付与に必要な段数を有するが逆フィルタ特性による
時間圧縮に必要な段数を有しないものである場合は、時
間圧縮を時間的に分割して行なう。
【0029】畳み込み演算器34の出力またはバイパス
路98を通った出力は、加算点104を通ってスイッチ
106に入力される。スイッチ106は、テスト時、補
正効果確認時、音楽再生時と応答特性演算時とで切換え
られる。テスト時、補正効果確認時、音楽再生時は、ス
イッチ106を通った測定用信号または音楽信号は、D
/A変換器108およびローパスフィルタ110でアナ
ログ信号に直されて出力端子26から出力され、パワー
アンプ74を介して部屋70内のスピーカ76,78で
再生される。
【0030】応答特性演算時にスイッチ106からライ
ン112に導かれた信号は、スイッチ114で測定法に
応じて振り分けられる。すなわち、TSP法の場合は、
周波数変換手段116でインパルス応答信号をフーリエ
変換して周波数情報に変換した後、バンド分割手段11
8で所定の周波数帯域(例えば1/3オクターブバンド
ごと)に分割する。また、バンド信号法の場合、もとも
と周波数帯域(例えば1/3オクターブバンドごと)に
分割した状態で測定データが得られているので、そのま
まバイパス路120に通される。両経路の信号は加算点
122を経てバンドパワー平均演算回路124で分割バ
ンドごとのパワー平均が求められる。求められた全周波
数帯域のバンドパワーデータはバンドデータメモリ12
6に記憶される。バンドデータメモリ126は複数回
(例えば8回分)の測定データを記憶することができ
る。各回の測定データは操作者の表示選択操作に応じて
棒グラフで表示される(図3の測定特性表示44)。
【0031】選択、重み付け手段128は、バンドデー
タメモリ126に記憶された複数回の測定データのうち
操作者の取捨選択操作によって選択指示されたものを選
択出力する。また必要に応じて受聴位置71に対する測
定ポイントP1〜P5の位置(図5(a))等に応じて
測定データに重み付けをする。集合平均手段130は、
選択、重み付けされた複数の測定データの集合平均を演
算する。補間手段132は、集合平均された各バンドご
との値を各バンドの中心周波数における値として扱っ
て、各バンドの中心周波数間を補間して全周波数帯域を
連続的で滑らかな曲線データでつないだ特性を求める。
このようにして求められた補間データはRAM134に
最終的な測定特性として記憶される。
【0032】ROM136には、希望特性として平均特
性その他いくつかの特性が記憶されており、キースイッ
チ60で選択されたものが読み出される。選択された希
望特性は操作者によるカーソルキー56、シャトルキー
58等の操作に基づいて演算手段140にて所望の特性
に修正される。修正された希望特性はバックアップ電源
付RAM138に記憶されて、ROM136の特性と同
様に随時読み出して使用することができる。
【0033】演算手段142は、設定された希望特性と
測定特性から補正特性を演算する。補正特性は必要に応
じて操作者の操作に基づいて補正レベルの上下限値規
制、補正周波数範囲の規制等の修正が加えられる。イコ
ライザフィルタ係数演算手段144は設定された補正特
性に対応するイコライザフィルタ係数を算出する。算出
されたフィルタ係数は、畳み込み演算器34にセットさ
れて、音楽再生時、補正効果確認時のイコライザ特性が
設定される。また、算出されたフィルタ係数はバックア
ップ電源付RAM146に記憶されて、随時読み出して
使用することができる。また、RAMカード148にも
記憶されて、他の音楽特性補正装置にこのRAMカード
148を差し込むことによりこのフィルタ係数を共用で
きるようにされている。
【0034】表示制御手段150は演算された測定特
性、希望特性、補正特性等をリモコン部14の表示部4
0に表示するための制御を行なう。なお、図1の各スイ
ッチの切換え制御や畳み込み演算器34以外での各種演
算は本体部12のCPU36(図2)にて実行される。
【0035】次に、以上説明した図1の制御ブロックに
よる前記図4の手順の各工程の制御について詳しく説明
する。 テスト 室内で応答特性を測定すると、場所によってかなり特性
に差異を生じる。これは、室内の天井、床、壁などから
の反射波が相互に干渉し、周波数特性を乱すためであ
る。また、この現象は、波長の短い高い周波数ほどわず
かな場所の違いでも顕著である。したがって、1か所の
測定ポイントのデータに基づいて補正特性を求めてイコ
ライザのフィルタ係数を求めると、そのポイントでは最
良の結果を与えるが、その周辺まで含めたエリア(リス
ナの頭が動く範囲等)としては極端なピーク・デップが
生じたりして最良の結果が得られないことがある。
【0036】そこで、この実施例では、前記図5(a)
の右に示すように、部屋70内の受聴位置71を中心と
してある測定領域73を設定して、この領域73の中に
受聴位置71を含む複数の測定ポイントP1〜P5を設
定して、各ポイントP1〜P5にマイク72を移動して
測定を行ない、それらの空間平均から補正特性を求め
る。これにより、その領域内のいずれの位置においても
平均的に良好な補正特性が得られ、補正の有効なエリア
を拡大することができる。
【0037】また、この実施例では、テスト法として、
前述のようにバンド信号法とTSP法のいずれか一方を
操作者の選択操作に応じて選択できるようにされてい
る。TSP法は、測定時間が短くてすみ、また分割帯域
ごとの離散的な測定データでなく、連続的な測定データ
を得ることができる利点がある。ただし、この実施例で
は、前述のように、TSP法に用いるTSP逆フィルタ
としてイコライザ用の畳み込み演算器34を兼用してい
るので、測定用TSP信号の長さに限界があり、この結
果測定用TSP信号全体のパワーに限界があり、ノイズ
の多い環境下で測定に用いると、測定結果のSN比が悪
くなる可能性がある。
【0038】したがって、ノイズが多い環境下や測定時
間に制約を受けない場合にはバンド信号法を使用し、ノ
イズが少ない環境下や測定時間が限られている場合(例
えば、ホール等において再生系統(スピーカ系統)が多
数あり、バンド信号法では測定に時間を要する場合等)
にはTSP法を用いるようにして、両方法を使い分ける
ようにする。
【0039】バンド信号法、TSP法を使用したテスト
方法についてそれぞれ説明する。 (a)バンド信号法 バンド信号法は、周波数帯域を複数分割したバンド信号
を時間をずらして順次発して、各バンドごとの応答を測
定するものである。ここでは、各バンドの帯域幅は、比
較的聴感特性に近いといわれている1/3オクターブバ
ンド法(つまり、各バンドが1/3オクターブバンド幅
を有する分割法)を用いている。この場合、分割ピッチ
を細かく取れば分割能の高い連続データを得ることも可
能であるが、全帯域のバンド信号を発するのに膨大な時
間を要することになる。そこで、ここでは、操作者の選
択操作により分割ピッチを、図7(a)の1/3オクタ
ーブごとまたは同(b)の1/6オクターブごとのいず
れかに設定して測定し、測定データを補間して連続的な
データを求めている。分割ピッチを1/3オクターブピ
ッチとすれば、バンド幅はオーバーラップなしとなり、
1/6オクターブピッチとすれば、バンド幅は1/3オ
クターブずつオーバーラップしながら推移していく。オ
ーバーラップさせれば測定データにおけるバンド間のつ
ながりが良好となる。
【0040】図8に1/3オクターブバンドで1/3オ
クターブピッチに分割した場合の例を示す。(a)がバ
ンド信号波形中心周波数、(b)がバンド信号波形(中
心周波数が100Hzの場合)、(c)がバンド信号波
形の出力フローである。(b)のバンド信号波形は図1
の測定用信号発生器30(ROM)に記憶されており、
この読み出し速度を変えることにより、各バンドの測定
用信号が発生される。時間をずらして順次スピーカ7
6,78から発せられたバンド信号は、バンドごとにマ
イク72で収音されてその収音波形が図1の波形メモリ
32に記憶される。
【0041】(b) TSP法 一般にホールなどのインパルス応答を測定するのに単一
パルスを用いるが、信号のパワーが小さいため、同期加
算などの手法を併用しても、SN比が充分とれないこと
が多い。これに対して、TSP信号を用いると、信号パ
ワーが大きく、SN比をとり易い。また、逆フィルタが
容易に求まり、TSP信号の応答をインパルス応答に変
換するには、この逆フィルタとの畳み込み演算を行なえ
ばよいので、畳み込み器が使える場合は、変換が容易で
ある。従って、TSP信号は計測用として都合の良い特
性を持っている。
【0042】TSP法に用いるTSP信号は図9(a)
に示すような波形をしている。このTSP波形は図1の
測定用信号発生器30に記憶されており、1回の測定で
1度読み出されてスピーカ76,78から再生される。
再生されたTSP信号はマイク72で収音されて、その
収音波形が波形メモリ32に記憶される。
【0043】 測定特性の演算 波形メモリ30に記憶された収音波形に基づく応答特性
の演算は、テスト法に応じて次のように行なわれる。
【0044】(a) バンド信号法 バンド信号法において図1の波形メモリ30に記憶され
た各分割バンドごとの収音波形は、即座にスイッチ9
4,96、バイパス路98、加算点104、スイッチ1
06,114、バイパス路120、加算点122を経
て、バンドパワー平均演算手段124にて分割バンドご
とのバンドパワー平均が算出されて、バンドデータメモ
リ126に記憶される。バンドデータメモリ126には
複数回分の測定データが記憶可能であり、例えば図5
(a)の右に示す5ポイントP1〜P5の測定データを
記憶する。選択重み付け手段128は、操作者が表示部
40で個々の測定特性を見てそのうち他と極端に異なる
データを除外するなどして、データを取捨選択する。ま
た、残されたデータについて必要に応じて重み付けをす
る。重み付けは、具体的には、測定ポイントが例えば図
5(a)右に示す5ポイントP1〜P5である場合に
は、中心位置(主に頭がある位置)のポイントP1を1
として他のポイントP2〜P5をそれぞれ0.5とした
り、中心位置のポイントP1を1として他のポイントP
2〜P5を合計して1とする等がある。
【0045】取捨選択および重み付けされた測定データ
は、集合平均手段130にて集合平均がとられる。これ
により、測定を行なった領域の平均的な測定データが得
られる。集合平均された測定データは、分割バンドごと
の離散的なデータであるので、これを補間手段132で
補間して、連続的な滑らかな曲線データに直す。補間法
としては、短時間での補間が可能なスプライン補間法が
適している。補間は、図10に示すように分割バンドご
とにパワー平均として求められたデータを、それぞれの
バンドの中心周波数における値として扱って、前後の数
点の値をもとに各点間をスプライン補間して例えば40
96点の補間データを求め、これを測定特性として用い
る。
【0046】このように、分割バンドごとのパワー平均
を求めてこれを中心周波数における値として、各点間を
スプライン補間することにより、得られる測定特性結果
に有益かつ実際的な平均化が図られ、従来のように測定
特性に位相干渉による大きなピーク・ディップが生じる
のが防止されるので、測定特性をそのまま用いて補正特
性を求めて特性補正に用いた場合の極端な補正による聴
感上の違和感が防止される。このようにして求められた
測定特性のデータは、図1のRAM134に記憶されて
表示部40にて棒グラフ表示(図3の測定特性表示4
4)される。
【0047】(b) TSP法 TSP法において図1の波形メモリ32に記憶された収
音波形は、即座にスイッチ94,96を経て畳み込み演
算器34にてTSP逆フィルタ係数メモリ100に記憶
された逆TSP波形(図9(b))と畳み込み演算(時
間圧縮)されて、インパルス応答(図9(c))が得ら
れる。逆TSP波形は、TSP波形(図9(a))を時
間的に反転した波形である。なお、TSP信号の時間圧
縮フィルタとして畳み込み演算器34の段数が不足する
場合は、前述のように時間圧縮を分割して行なうことが
できる。
【0048】畳み込み演算器34から出力されるインパ
ルス応答は、加算点104、スイッチ106,114を
経て周波数変換手段116でフーリエ変換されて、周波
数応答特性(図9(d))が求められる。求められた周
波数応答特性は、バンド分割手段18でバンド信号法と
同様の状態(1/3オクターブバンド幅で、1/3また
は1/6オクターブピッチ)にバンド分割される。バン
ド分割された測定データはバンド信号法の場合と同一の
処理を受ける。すなわち、バンド分割手段118で分割
されたバンドごとの測定データは、加算点122を経
て、バンドパワー平均演算手段124にて分割バンドご
とのバンドパワー平均が算出されて、バンドデータメモ
リ126に記憶される。バンドデータメモリ126には
多点複数回分の測定データが記憶される。選択重み付け
手段128は、操作者が表示部40で個々の測定特性を
見てそのうち他と極端に異なるデータを除外するなどし
て、データを取捨選択する。また、残されたデータにつ
いて必要に応じて重み付けをする。取捨選択および重み
付けされた測定データは、集合平均手段130にて集合
平均がとられる。これにより、測定を行なった領域の平
均的な測定データが得られる。集合平均された測定デー
タは、分割バンドごとの離散的なデータであるので、こ
れを補間手段132でスプライン補間して、連続的な滑
らかな曲線データに直す。補間された測定データは、測
定特性としてRAM34に記憶されて、表示部40にて
棒グラフ表示される。
【0049】このように、TSP法においても測定デー
タを一旦帯域分割してバンドごとのパワー平均をとっ
て、補間して連続的なデータを得るようにしているの
で、測定特性に位相干渉による大きなピーク・ディップ
が生じるのが防止されるので、測定特性をそのまま用い
て補正特性を求めて特性補正に用いた場合の極端な補正
による聴感上の違和感が防止される。
【0050】ここで、時間圧縮を分割して行なう方法の
具体例について説明する。図22はそのハードウェア構
成を示したものである。入力データ(収音データ)は逆
TSP波形との畳み込み演算に必要な分が制御部150
を介してテンポラリバッファ(RAM)152に順次蓄
えられる。係数メモリ(TSP逆フィルタ波形メモリ)
100にはTSP逆フィルタ波形が畳み込み演算の係数
値として記憶されている。畳み込み演算器34は、例え
ば図23に示すように、複数の入力データを保持する入
力データレジスタ154、これら各入力データに対応づ
けるべき複数の係数データを保持する係数レジスタ15
6、これら各入力データと各係数データを順次かけ算す
る乗算器158および各乗算値を累算する累算器160
で構成されている。畳み込み演算器34のレジスタ15
4,156の段数が逆TSP波形との畳み込み演算に必
要な段数に満たない場合は、単純には図23の畳み込み
演算器34を複数段に縦列接続することによって対処で
きる。しかし、これでは畳み込み演算器34の段数が非
常に増えてしまい、畳み込み演算器34を補正特性の付
与に兼用することの効果が失われてしまう。
【0051】そこで、図22の構成では、逆TSP波形
との畳み込みを1つの畳み込み演算器ずつ34で可能な
分ずつ複数回に分けて時間分割して行ない、各回ごとの
累算結果を合計して最終的な畳み込み演算値を算出して
いる。すなわち、制御部150は、テンポラリバッファ
152に蓄えられている入力データのうち1度に畳み込
み演算が可能なデータ数分のデータを読み出し、かつ係
数メモリ100からこれら読出された各データに付与す
べき係数を読み出して畳み込み演算し、その演算結果
(途中までの累算結果)をテンポラリバッファ152に
一時的に蓄えておく。続いて、次の分割部分のデータに
ついて同様に畳み込み演算し、その演算結果を前の累算
結果に加算する。このようにして、分割部分ごとの畳み
込み演算およびそれまでの累算値との加算を繰り返して
いくことにより、最終的な演算結果を得ることができ
る。
【0052】具体的には、1つの出力サンプルy(x)
を得るのに の演算が必要であるとすると、これを のm回に分けて演算を行なう(但し、l:1度に可能な
畳み込み演算数)。
【0053】以上の分割畳み込みを実現するための制御
部150による制御ブロック構成を図24に示す。テン
ポラリバッファ152には、入力データを記憶する領域
と累算値を記憶する領域がある。入力データは制御手段
162を介してテンポラリバッファ152に蓄えられ
る。制御手段162は、1つの分割部分の入力データを
テンポラリバッファ152から読み出し、またこれに対
応づけるべき係数データを係数メモリ100から読み出
して、畳み込み演算器34にて畳み込み演算を行なう。
また、それまでの累算結果をテンポラリバッファ152
から読み出して畳み込み演算器34にてその時の演算値
に加算して、新たな累算値を求める。新たな累算値が求
まると、テンポラリバッファ152の累算値はこの新た
な累算値に更新される。そして、分割部分ごとの畳み込
み演算、それまでの累算値との加算、累算値の更新を繰
り返することにより、最終的な累算値が求まる。この累
算値は、最終的な演算結果としてテンポラリバッファ1
52から読み出されて制御手段162を介して出力され
る。図25は以上の制御のフローチャートを示すもの
で、この制御フローが入力データの1サンプル周期内で
完了するように制御が行なわれる。
【0054】制御部150による制御の別の例を図26
に示す。これは、分割部分ごとの演算値の累算を畳み込
み演算器34内で行なわずに、制御手段164内で行な
うようにしたものである。すなわち、1つの分割部分の
演算値が求まると、制御手段164はテンポラリバッフ
ァ152からそれまでの累算値を読み出してこれらを加
算し、その加算値を新たな累算値としてテンポラリバッ
ファ152の累算値データを更新する。最終的な累算結
果はテンポラリバッファ152から読み出されて制御手
段162を介して出力される。
【0055】以上説明したテストおよび測定特性の
演算における操作手順の一例を図11に示す。はじめ
に、マイク位置を設定して(S1)、テスト法としてバ
ンド信号法、TSP法のいずれかを選択する(S2)。
さらに、バンド分割のピッチとして1/3オクターブバ
ンドピッチ、1/6オクターブバンドピッチのいずれか
を選択する(S3)。その後テスト開始ボタンを投入す
ると(S4)、テスト音がスピーカ76,78から再生
され、マイク72で収音されて波形メモリ32に記憶さ
れる(S5)。測定結果はすぐに表示部40にて棒グラ
フ表示され(S6)、操作者はこれを見て確認すること
ができる。測定結果が異常(例えば大きなノイズが入っ
た等)思われる場合はそのポイントで再テストを行なう
(S7,S8)。測定結果が良好なものであれば、マイ
ク位置を別のポイントに移動してテストを繰り返す(S
9)。
【0056】全てのポイントについてテストが終了した
ら(S10)、表示部40に収集データを順次表示して
必要に応じてデータの取捨選択を行なう(S11)。選
択されたデータについては必要に応じて自動または手動
設定で測定ポイントごとに重み付けがなされる(S1
2)。そして、重み付けがされた各ポイントのデータに
ついて集合平均値さらには補間値が自動演算されて、R
AM134に最終的な1つの測定特性データとして記憶
されて(S13)測定を終了する。
【0057】 希望特性の設定 希望特性の設定フローの一例を図12に示す。リモコン
部14(図3)にて希望特性設定モードを選択操作する
と、表示部40にグラフスケールが表示され(S2
2)、RAM134に記憶されている測定特性が棒グラ
フ44で表示される(S23)。次いで、希望特性の選
択操作をすると(S24)、対応する希望特性がROM
136またはRAM138から読み出されて、表示部4
0に折れ線グラフ46で表示される(S25)。
【0058】ところで、リスニングルームまたはホール
などでのスピーカの伝送特性は、スピーカの指向性や部
屋の残響特性により変化すると共に、聴感上の望ましい
特性も、測定特性を平坦化することとは必ずしも一致し
ない。したがって、その部屋での望ましい特性が容易に
設定できれば、便利である。例えば、大型スピーカシス
テムで、ホールでのPA(Public Address)用の特性と
して望ましい希望特性とか、家庭のリスニングルームで
小型スピーカで聴く時の望ましい希望特性などを予め用
意しておくことにより、簡単にその特性への補正が可能
となる。
【0059】そこで、ROM136には、希望特性の一
般的パターンとして例えば図13に示すように全帯域に
わたり平坦な特性C1のほか、平坦特性の低域、高域を
減衰させた特性C2、低音重視特性C3、中音重視特性
C4、低高音重視特性C5などを予め用意しておけば便
利である。この場合、表示部40に特性パターン名を表
示することにより、操作者はこれを参照して所望の特性
パターンにカーソルを移動して選択操作して、対応する
特性データをROM136から読み出して希望特性とし
て用いることができる。また、各種スピーカ(ホール内
PA用、野外PA用、スタジオモニター用小型スピーカ
等)や各種部屋(和室リスニングルーム、洋室リスニン
グルーム等)で分類した特性データをROM136に記
憶しておき、表示部40にスピーカ種類名や部屋種類名
を表示することにより、操作者はこれを参照して、使用
するスピーカ種類や部屋に応じてカーソルを移動してス
ピーカ種類や部屋種類を選択操作することにより、対応
する特性データをROM136から読み出して希望特性
として用いることができる。希望特性が設定されたら、
演算手段142にて〔測定特性〕−〔希望特性〕の演算
が自動的に行われて、補正特性が求められ、表示部40
に折れ線グラフ48にて表示される(S27)。ROM
136から読み出された特性データは希望特性としてそ
のまま使用することができるが、さらに部分的に修正し
て用いることもできる。
【0060】従来のグラフィックイコライザやパラメト
リックイコライザの場合の特性調整法としては、図14
に示すように、中心周波数F、ゲインGおよび尖鋭度Q
の値を変化させて調整するのが一般的であった。この場
合、調整の順序としては、中心周波数Fをまず決めて、
次いでQの値を設定して、最後にゲインGを上下するこ
とになるが、3つのパラメータをそれぞれ独立に設定し
ながら目標の特性に合わせ込む必要があり、調整操作は
簡単ではなかった。また、Qを変化させるとその影響が
全周波数範囲に及んでしまうので、Qを変化させたとき
に実際に特性がどのように変化するのか把握しずらく、
調整しずらかった。
【0061】そこで、ここでは中心周波数を決めるので
はなく、どこからどこまでという周波数範囲を設定し、
その両端での特性の滑らかなつながりを保ちつつ指定範
囲内の特性を上下させることで、滑らかでかつ人間の感
覚に近い希望特性の特性曲線を簡単に設定できるように
している。この設定手順を示す図12のステップS28
以下の工程について説明する。
【0062】希望特性が設定された当初は、表示部40
上のカーソル62,64で指示されている周波数範囲下
限値または上限値のうち一方が選択されて修正可能にな
っている(選択されているほうに▽マーク65が表示さ
れる。)。この状態でシャトルキー58を操作すると
(S28)、周波数範囲上限値、下限値のうち選択され
ているほうの値がシャトルキー58を回した方向に変化
し(S29,S30,S31)、これにつれて表示部4
0上の▽マーク65が付いているほうのカーソル62ま
たは64も同方向に移動する(S32)。
【0063】左右カーソルキー56cまたは56dを押
して他方のカーソルに切り換える操作をすると(S3
4)、周波数範囲下限値または上限値のうち切り換えら
れたほうの値が修正可能となり、表示部40上の▽マー
ク65の位置も他方のカーソル側に移動する。この状態
でシャトルキー58を操作すると(S28)、該当する
ほうの値がシャトルキー58を回した方向に変化し(S
29,S30,S31)、これにつれて表示部40上の
▽マーク65も同方向に移動する(S32)。
【0064】このようにして、周波数範囲を設定したう
えでアップキー56aまたはダウンキー56bを押すと
(S39)、図15(a)に示すように、設定された周
波数範囲について、希望特性のレベルが押した回数また
は押している時間に応じて、設定された周波数範囲の外
との連続性を保ちながら、その周波数範囲の中央位置を
ピークとして曲線で増大または減少していき(S40,
S41)、表示部40における希望特性の表示もこれに
つれて変化していく。このような修正方法によれば、周
波数範囲の指定とレベルの増減量の指定だけですむので
操作が簡単である。また、指定した周波数範囲外にはレ
ベルの増減の影響は及ばないので、増減操作により実際
に特性がどのように変化するのか把握しやすく、希望通
りの特性に修正するのが容易である。なお、希望特性を
修正する演算は図1の演算手段10で行なわれる。
【0065】演算手段10での具体的な修正処理のアル
ゴリズムとしては、例えば周波数範囲に応じてどのよう
な修正曲線で増減すれば操作感覚と実際の特性の変化が
一致するかを検討して周波数範囲に応じた修正曲線を予
めテーブルに設定しておき、設定された周波数範囲に応
じて対応する修正曲線をテーブルから読み出して増減指
示量に応じたゲインを付与して用いるようにすることが
できる。このようにすることにより、レベルの増減操作
の感覚と実際の特性の変化状態が一致し、所望の希望特
性への修正操作が容易となる。
【0066】なお、周波数範囲下限値を全周波数帯域の
最低周波数に設定した状態でアップキー56aまたはダ
ウンキー56bを押すと、希望特性は図15(b)に示
すように、低域側が片上りまたは片下りの状態に変化し
ていく。同様に、周波数範囲上限値を全周波数帯域の最
高周波数に設定した状態でアップキー56aまたはダウ
ンキー56bを押すと、希望特性は図15(c)に示す
ように、高域側が片上りまたは片下りの状態に変化して
いく。これらの場合も、例えば周波数範囲および増減量
に応じた片上りまたは片下りの修正曲線を予めテーブル
に設定しておき、設定された周波数範囲に応じて対応す
る修正曲線をテーブルから読み出して増減指示量(アッ
プ、ダウンキー56a,56bを押した回数)に応じた
ゲインを付与して用いるようにすることができる。
【0067】以上のようにして希望特性を修正したら、
キースイッチ60を押す(S42)ことにより特性設定
ルーチンから抜け、この時、特性決定および設定完了と
なる(S43)。なお、決定した特性は必要に応じて記
憶指示することにより、これを修正希望特性情報として
バックアップ電源付RAM138の指示領域に記憶し
て、いつでも読み出して用いることができる。したがっ
て、希望特性を切り換えるたびに調整し直す必要はな
い。
【0068】希望特性を修正する別の修正方法を説明す
る。希望特性を設定したときに、このまま補正特性を求
めてイコライジングをすると補正し過ぎると感じる場合
がある。そこで、図16に示すように、当初設定した希
望特性(前記図15のように修正された希望特性でもよ
い)と測定特性との間の中間的な特性を演算手段140
で自動演算してこれを修正希望特性として新たに設定し
て用いることができる。具体的には、例えば当初設定し
た希望特性と測定特性との各周波数における差(すなわ
ち各周波数の補正値)を20等分し、このステップに従
い、アップキー56aまたはダウンキー56bを押すご
とに希望特性を測定特性に徐々に近づけたり、またはそ
の逆に元の希望特性へ徐々に戻していくような特性変化
を算出表示して、所望の特性になったとき、これを新た
な希望特性として設定する。図17はこの時の演算過程
を示したものである。まず、測定特性Nbと当初設定さ
れた希望特性Dbとの差を求め(S51)、この差Eb
に〔アップキー56aまたはダウンキー56bを押した
回数〕÷20を掛けて希望特性の修正量ΔEbを求め
(S52)、この修正量ΔEbを希望特性Dbに加算し
てDb+ΔEbを求め(S53)、これを新たな希望特
性として用いる(S54)。このようにすることによ
り、当初の希望特性Dbほどは補正しない中間的な補正
値を全周波数帯域において簡単な操作でバランスよく設
定することができる。このようにして作られた中間的な
特性もRAM136で記憶することができる。
【0069】 補正特性の演算 補正特性は、希望特性を設定することにより演算手段1
42にて測定特性との差として自動的に演算されて表示
部40に表示される。
【0070】 補正特性の修正 例えば図18(a)に示す測定特性に対して0dBフラッ
トの希望特性を設定したとすると、補正特性は同(b)
に示すように大きなピーク・ディップが生じたものとな
る。このピーク・ディップは測定環境下における僅かな
変化に起因するものであることが多く、このような補正
特性をそのまま用いてイコライジングすると、大きく補
正した部分(同(b)中に○で示した部分)では、環境
の僅かな変化(例えば空気の温度・湿度の影響による周
波数特性の僅かなずれ)で、その補正がもはや真の補正
となり得ず、逆に通常は生じ得ないような、同(c)に
示すごとく補正誤差が大きくなり、かえってくせのある
特性になってしまう。そこで、操作者の操作により補正
特性のレベルの上下限値を任意の値(例えば±10dB)
に設定する。これにより、図1の補正特性演算手段14
2は図18(d)に示すように補正特性の上下限値をこ
の設定された値に規制して必要以上の補正を行なわない
ようにして補正誤差の増大を防止する。また、これによ
り、補正特性の+側の最大値が制限されるので、最大入
力を押え、パワーアンプ、スピーカなど系全体の歪をお
さえることができる。
【0071】また、使用するスピーカの再生周波数特性
の限界から補正範囲に制限を受ける場合は、演算された
補正特性に基づいてそのままスピーカを駆動すると、ス
ピーカに過負荷がかかる場合もあるので、操作者の操作
により周波数範囲を設定して、その範囲内だけ補正特性
を生かし、範囲外は0dBフラットとすることにより補正
が行なわれないようにする。補正を行なう周波数範囲
は、図3の表示部40に補正周波数範囲表示50として
横棒グラフで表示される。
【0072】以上のようにして、測定データが得られて
から最終的な補正特性が決まるまでの各段階での具体的
な演算過程の一例を図19に示す。図1のバンドデータ
メモリ126に記憶されている複数回の測定データの中
から取捨選択して測定特性の算出に用いるデータを選び
出し(S61)、重み付けする。選び出されたデータを 割したバンド番号でb=1〜Bとする。Bはこの実施例
では31または61である。
【0073】複数のデータが選び出されたら、集合平均
手段130にてそれらのバンドごとの集合平均として を求める(S62)。そして、この集合平均の全バンド
の平均値として を求める(S63)。さらに、正規化した平均測定デー
タとして を求め(S64)、これを測定特性として表示部40に
表示する。この測定特性Nbはスプライン補間されて連
続データとされる。正規化により、測定特性Nbの平均
値は常に0dBになるように調整され、収音レベルが小さ
くても表示部40上での測定特性表示は常に略々同一レ
ベル上に来るようになり、希望特性表示との対比がしや
すくなる。
【0074】操作者の操作により希望特性Dbが設定さ
れると(S65)、演算手段142において補正特性と
して E=N−D が求められる(S66)。ここでの測定特性Nbはスプ
ライン補間された後のデータである。そして、この補正
特性の全バンドの平均値として を求める(S67)。さらに、演算手段142は正規化
した補正特性として を求める(S68)。正規化により、補正特性Fbの平
均値は常に0dBになるように調整され、これにより全体
として補正前、補正後の音は音質が変わるだけで音量は
変わらなくなる。
【0075】求められた補正特性Fbに対しては、前記
図18(d)のレベルの上限値および下限値を規制する
処理を行なう(S69)。また、ステップS66〜S6
9の工程は、前記図18(e)の指定された周波数範囲
内についてのみ行なう。指定された周波数範囲外につい
ては、補正特性を0dBフラットにする処理が別途行なわ
れる(S70)。このようにして最終的に定められた補
正特性は畳み込み用(イコライザ用)フィルタ係数算出
のためのルーチンへ行く(S71)。
【0076】 イコライザフィルタ係数の演算 音響特性補正用のFIRフィルタのアルゴリズムには、
それぞれ長所、短所があり、使用目的によっては使えな
い場合がある。そこで、ここではFIRフィルタとし
て、直線位相フィルタ(Linear Phase Filter )、最小
位相フィルタ(Minimum Phase Filter)のいずれか一方
を操作者の選択操作に応じて選択できるようにしてい
る。直線位相フィルタおよび最小位相フィルタのインパ
ルス応答は例えば前記図6(d),(e)に示したとお
りであり、両者の長所、短所はそれぞれ次のとおりであ
る。
【0077】 伝送特性 遅延量 フィルタ係数算出の容易さ 直線位相フィルタ ◎ ×(大) ○ 最小位相フィルタ △ ◎(小) △ これによれば、直線位相フィルタは伝送特性が良く、フ
ィルタ係数算出も容易であるが、遅延が大きすぎて(図
6(d)参照)、PAやミックスダウンなどリアルタイ
ム性が必要な場合は使えない(生の音とイコライジング
した音が時間的にずれてしまうため)。また、最小位相
フィルタは伝送特性やフィルタ係数算出の容易さという
点では直線位相フィルタより劣るが、遅延はほとんどな
いので(図6(e)参照)、リアルタイム性が必要な場
合に向いている。したがって、使用目的に応じて操作者
がいずれかのアルゴリスムを選択できるようにして、1
つの機器を様々な場面で使用できるようにしている。
【0078】いずれにせよ、補正特性付与はディジタル
畳み込み演算を用いたFIRフィルタを利用しているの
で、アルゴリズムを切り換えるだけで直線位相フィル
タ、最小位相フィルタ、あるいはその他の特別な特性を
付与でき、使用目的にあった仕様変更は極めて容易であ
り、また、必要に応じて任意に演算精度を高めれば、補
正精度も任意に設定でき、この種音響特性補正装置にお
いてFIR補正手段を用いた実用上の効果は大きい。
【0079】イコライザフィルタ係数演算手段144に
おいて補正特性からフーリエ逆変換等を利用して直線位
相フィルタのインパルス応答および最小位相フィルタの
インパルス応答を算出する手順の一例を説明する。
【0080】(A) 直線位相フィルタのインパルス応
答の算出 i) 補正特性を一旦帯域分割して(例えば1/3〜1
/12オクターブピッチごと)、各帯域ごとのパワー平
均を求める。 ii) 求められたパワー平均値をそれぞれの帯域の中心
周波数における値として用いてスプライン補間等によ
り、フーリエ変換が可能なような4096点のデータに
補間する。 iii) ii) で求められたデータを実部(振幅項に相
当)とし、虚部(位相項に相当)はすべて0にした複素
形式データに対してフーリエ逆変換をする。 iv) その結果得られる複素形式データの実部はそのま
ま直線位相インパルス応答となるので、これらをFIR
フィルタ(畳み込み演算器34)の係数としてセットす
る。
【0081】(B) 最小位相フィルタのインパルス応
答の算出 i) 補正特性を一旦帯域分割して(例えば1/3〜1
/12オクターブピッチごと)、各帯域ごとのパワー平
均を求める。 ii) 求められたパワー平均値をそれぞれの帯域の中心
周波数における値として用いてスプライン補間等によ
り、フーリエ変換が可能なような4096点のデータに
補間する。 iii) ii) で求められたデータを実部とし、虚部はす
べて0にした複素形式データに対してヒルベルト変換を
施し、補正特性曲線に合致しかつ最小位相推移系となる
複素形式データを算出する。この複素形式データは、虚
部上に必要な位相成分が付加されている。 iv) iii)で得られた複素形式データをフーリエ逆変換
する。 v) その結果得られる複素形式データの実部は最小位
相インパルス応答となるので、これらをFIRフィルタ
(畳み込み演算器34)の係数としてセットする。
【0082】なお、直線位相フィルタ、最小位相フィル
タのほかにその中間的な特性のフィルタなどを用意し
て、その中から任意のものを選択することもできる。
【0083】 補正特性の確認 以上のような手順でFIRフィルタ34の係数を設定し
て補正効果の確認を行なった結果と図20に示す。
(a)は各測定ポイントP1〜P5(図5参照)におけ
る当初の(すなわちイコライジングなしの)測定結果で
ある。(b)は各ポイントP1〜P5の測定データを同
じ重み漬けで集合平均した測定特性および操作者により
任意に設定された希望特性である。(c)は(b)の希
望特性との差として求められた補正特性である。この補
正特性に基づいて算出したFIRフィルタ係数を畳み込
み演算器34にセットしてイコライザを構成し、測定用
信号(バンド信号またはTSP信号)をこのイコライザ
を通して再生して再度測定を行なう。各測定ポイントP
1〜P5にて測定した結果を図20(d)に示す。これ
によれば(a)の補正前とし比べて、どの測定ポイント
においても相応の特性補正がなされており、これらのポ
イントを含むエリアについて最適な補正がなされたこと
が確認できた。
【0084】 音楽再生 測定用信号に代えて音楽ソースを入力してイコライザ
(畳み込み演算器34)に通して再生することにより、
希望特性どおりの再生特性で音楽鑑賞を楽しむことがで
きる。
【0085】なお、ホール等において多数のスピーカ系
統が存在する場合にはスピーカ系統ごとに補正装置が必
要であるが、図1、2に示す応答特性測定機能付き音楽
特性補正装置10を各系統ごとに用いたのでは設備コス
トが高くつく可能性がある。そこでそのような場合に
は、図21に示すように、応答特性測定機能付き音響特
性補正装置10を1系統分だけ用意し、他は応答特性測
定機能の付いてない音響特性補正機能だけ有する拡張ユ
ニット11を用いることができる。この場合、各系統S
Y1〜SYnについて応答特性の測定を行なうときは、
応答特性測定機能付き音響特性補正装置10を用いて、
これに各系統SY1〜SYnを順次つなぎ換えて測定を
行ない、測定結果を補正装置10の本体部12に蓄え
て、補正装置10にて各系統の希望特性の設定、補正特
性の演算およびFIRフィルタ(イコライザ)係数の演
算を行なって、FIRフィルタ係数の演算結果を通信ケ
ーブル13またはRAMカード148を使って対応する
系統の拡張ユニット11に転送する。そして、各拡張ユ
ニット11は転送されたFIRフィルタ係数を畳み込み
演算器34にセットすることにより、希望特性どおりの
イコライジングを行なうことができる。これによれば、
拡張ユニット11には特性測定および希望特性の設定、
補正特性の演算、修正、FIRフィルタ係数の演算のた
めの構成は不要なので、簡易に構成でき、設備コストを
下げることができる。
【0086】
【変更例】なお、上述した実施例では、測定特性の演算
にあたり、バンド信号法およびTSP法のいずれの場合
でも分割バンドごとに求めた平均値に対して例えばスプ
ライン補間等を施して測定特性を求めるとともに、補正
特性を実現するFIRフィルタ係数を演算する際に再び
バンド分割するようにしたが、特にこれに限られるもの
ではない。
【0087】すなわち、得られた測定特性を高精度で表
示したり、あるいは測定特性を別途利用しようとする場
合には、分割バンドデータのままでは些か利用しにくい
が、それ以外であれば、補正特性を演算する際のスプラ
イン補間を行うようにして、それ以前の測定特性の演算
の際の補間処理を省略または簡略化することができる。
例えば、周波数分割した帯域ごとに算出された測定特性
と周波数分割した帯域ごとに設定された希望特性に基づ
いて補正情報を周波数分割した帯域ごとの補正値として
算出し、各帯域ごとに算出された補正値を個々の帯域の
略々中心周波数における値としてそれらの間の値を補間
により算出して、補正特性を得ることもできる。このよ
うにすれば、補正特性に大きなピーク・ディップが生じ
るのが防止され、極端な補正による聴感上の違和感が防
止できることは当然として、4096点補間した測定特
性に基づいてそのまま補正特性を演算する場合等に比べ
て演算量が各段に低減でき、しかも最終的に求められる
補正特性としてはそれほど大きな精度劣化も生じないの
で、効果的である。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、測定用信号としてTSP信号を用いて応答
特性の測定を行なう場合に、測定の際の逆フィルタ特性
による時間圧縮と補正特性の付与に共通の畳み込み演算
器を用いるようにしたので、ハードウエア構成が簡略化
されて、装置の小型化を図ることができる。
【0089】また、請求項2記載の発明によれば、畳み
込み演算器の段数としては補正特性の付与に必要な段数
を用意し、逆フィルタ特性による時間圧縮を時間的に分
割して行なうようにしたので、小型の畳み込み演算器を
用いて時間圧縮と補正特性の付与に共用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例を示すブロック図で、図
2の音響特性補正装置10の制御構成を示すものであ
る。
【図2】 この発明が適用された音響特性補正装置10
内のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】 図2のリモコン部14のパネル構成を示す外
観図である。
【図4】 図1の音楽特性補正装置による特性測定から
イコライザとして使用するまでの手順の概要を示すフロ
ーチャートである。
【図5】 図2の音響特性補正装置を用いて音響特性の
測定を行なうときの機器の接続状態およびマイク配置
と、イコライザとして音楽再生に用いる時の機器の接続
状態を示す図である。
【図6】 図4の工程における各種特性を示す図であ
る。
【図7】 測定時の帯域の分割状態を示す図である。
【図8】 バンド信号法で用いられるバンド信号を示す
図である。
【図9】 TSP法の概要を示す図である。
【図10】 分割された帯域ごとのデータに基づいて帯
域間を補間して連続した測定特性を得る手法を説明する
図である。
【図11】 テストおよび測定特性の演算における操作
手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】 希望特性の設定手順を示すフローチャート
である。
【図13】 ROMに用意されている希望特性の各種パ
ターンを示す図である。
【図14】 従来のグラフィックイコライザやパラメト
リックイコライザにおける特性調整手法を示す図であ
る。
【図15】 希望特性の修正手法を示す図である。
【図16】 希望特性を修正する別の手法を示す図であ
る。
【図17】 図16の手法を実現するための演算過程を
示すフローチャートである。
【図18】 補正特性の修正手法を示す図である。
【図19】 測定データが得られてから補正特性が決ま
るまでの各段階での演算過程の一例を示すフローチャー
トである。
【図20】 測定特性、補正特性および補正効果の実測
値を示す図である。
【図21】 多数のスピーカ系統が存在する場合のこの
発明の一実施例を示すブロック図である。
【図22】 逆TSP信号による時間圧縮を時間分割し
て行なうためのハードウェア構成例を示す図である。
【図23】 図22の畳み込み演算器22の構成例を示
すブロック図である。
【図24】 図22の制御部150によるブロック構成
を示す図である。
【図25】 図24の制御ブロックによる制御フローチ
ャートである。
【図26】 図22の制御部150による別の制御ブロ
ック構成を示す図である。
【符号の説明】
10 音響特性補正装置 30 測定用信号発生器(測定用信号発生手段) 34 畳み込み演算器(逆フィルタ手段、補正特性付与
手段) 38 操作部(希望特性設定手段) 70,76,78 部屋、スピーカ(音場を含めた再生
系) 72 マイク 76,78 スピーカ 116 周波数変換手段 142 補正特性演算手段
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04R 3/04 G10K 15/00 H03H 17/02 H04R 3/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】測定用信号としてTSP信号を出力する測
    定用信号発生手段と、この発生された測定用信号をスピ
    ーカで再生してマイクで収音した信号を入力して前記T
    SP信号の逆フィルタ特性との畳み込み演算による時間
    圧縮をしてインパルス応答を求める逆フィルタ手段と、
    この求められたインパルス応答を周波数変換して音場を
    含めた再生系の応答特性の測定特性情報を得る周波数変
    換手段と、音場を含めた再生系の応答特性の希望特性を
    操作者の操作に基づいて設定する希望特性設定手段と、
    前記希望特性と前記測定特性に基づいて当該希望特性を
    実現するための応答特性の補正特性を演算する補正特性
    演算手段と、再生しようとする音響信号に対して前記演
    算された補正特性を畳み込み演算により付与する補正特
    性付与手段とを具備してなる音響特性補正装置であっ
    て、 前記逆フィルタ手段と前記補正特性付与手段が共通の畳
    み込み演算器を利用して畳み込み演算を行なうことを特
    徴とする音響特性補正装置。
  2. 【請求項2】前記畳み込み演算器は、前記補正特性の付
    与に必要な段数を有しかつ前記逆フィルタ特性による時
    間圧縮に必要な段数を有しないものであり、当該時間圧
    縮を時間的に分割して行なうことを特徴とする請求項1
    記載の音響特性補正装置。
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