JP3147063B2 - スクロール型流体機械 - Google Patents

スクロール型流体機械

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JP3147063B2
JP3147063B2 JP32764897A JP32764897A JP3147063B2 JP 3147063 B2 JP3147063 B2 JP 3147063B2 JP 32764897 A JP32764897 A JP 32764897A JP 32764897 A JP32764897 A JP 32764897A JP 3147063 B2 JP3147063 B2 JP 3147063B2
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謙治 松葉
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スクロール型流体
機械に関し、特に、高い断熱性を有する固定スクロール
を備えたスクロール型流体機械に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のスクロール型流体機械の一例を図
16に基づいて説明する。図16を参照して、ケーシン
グ102の内部上方に、架構108により固定スクロー
ル104と可動スクロール106とが支持されている。
固定スクロール104の固定台板104aと可動スクロ
ール106の可動台板106aとには、渦巻状の固定ス
クロール歯104b、可動スクロール歯106bがそれ
ぞれ突設され、互いに噛み合うように上下対接されてい
る。固定スクロール104は、締結脚部104dにてボ
ルト110により、架構108上に固定配置されてい
る。ケーシング102の内部下方には、クランク軸を有
する電動機(いずれも図示せず)が配設され、そのクラ
ンク軸の上端と可動スクロール106とがクランク部
(図示せず)を介して連動連結されている。また、ケー
シング102の下方には、冷媒ガスを取入れるための吸
入管(図示せず)が取付けられている。
【0003】次に動作について同図を用いて説明する。
電動機の回転により、可動スクロール106が固定スク
ロール104に対して公転駆動する。固定スクロール歯
104bと可動スクロール歯106bとによって、一旦
外周に開口部105aが形成された後、可動スクロール
106の公転駆動に伴って、次第に固定スクロール10
4の中心に向かって、その体積比を減少させながら圧縮
室105b、105c、105dが形成される。このと
き、開口部105aに吸入された冷媒ガスは、圧縮室1
05b、105c、105dにより徐々に圧縮されて、
吐出口104eより高圧室103a側へ取出される。高
温高圧となった冷媒ガスは、排出管118からケーシン
グ102の外部へ送り出される。
【0004】以上の動作において、ケーシング102内
を高圧室103aと低圧室103bとに区切る固定スク
ロール104の固定台板104aにおいては、高温高圧
の冷媒ガスが吐出する背面側の温度が、固定スクロール
歯104b側の温度よりも高くなる。このため、固定ス
クロール104の背面側から固定スクロール歯104b
側へ向かって熱が伝導する。このとき、固定スクロール
歯104b側に伝導した熱は、開口部105aに吸入さ
れた低温低圧の冷媒ガスを温める。このため、開口部1
05aに吸入された冷媒ガスの温度が、開口部105a
に吸入されるときの温度よりも高くなる。このような現
象は、いわゆる吸入過熱と呼ばれる。
【0005】開口部105aに吸入されて吸入過熱とな
った冷媒ガスでは、その体積は通常の場合の体積よりも
増加する。このため、冷媒ガスの密度が低下し、容積効
率が悪化した。その結果、所望の圧縮特性を得ることが
できなかった。このような冷媒ガスの吸入過熱による圧
縮機の性能の低下を防止するために、固定スクロールを
断熱するための種々の対策が採られている。
【0006】そこで、固定スクロールを断熱したスクロ
ール型流体機械の第1の例について図を用いて説明す
る。図17を参照して、ケーシング102内を高圧室1
03aと低圧室103bとに区画する仕切板120が設
けられている。固定スクロール104および可動スクロ
ール106は、低圧室103b内に設けられている。こ
れ以外の構成については、図16において説明したスク
ロール型流体機械と同様なので、同一部材には同一符号
を付しその説明を省略する。
【0007】この構成によれば、高圧室103aと低圧
室103bとは、仕切板120によって区画されている
ため、高圧室103a側の高温の冷媒ガスに、直接固定
スクロール104が晒されない。これにより、固定スク
ロール104に伝導する熱量が抑えられる。その結果、
低圧の冷媒ガスの吸入過熱が抑制されて容積効率が改善
され、所望の圧縮特性を得ることができる。
【0008】第2の例として、図16に示すスクロール
型流体機械において、固定スクロール104の固定台板
104aの厚さを増加させたものについて説明する。固
定台板104aの厚さをより厚く設定することにより、
固定台板104aの高圧室103a側から伝導する熱量
が低減する。これにより、低圧の冷媒ガスの過熱が抑え
られて、所望の圧縮特性を得ることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たスクロール型流体機械においては、以下に示すような
問題があった。
【0010】まず第1の例のスクロール型流体機械で
は、仕切板120をケーシング102内に設けるため、
部品点数が増え、生産コストが上昇した。また、組立作
業の能率も低下した。
【0011】次に第2の例のスクロール型流体機械で
は、固定スクロール104の重量が増加することによっ
て、組立作業の効率が悪化した。
【0012】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、生産コストを上昇させることなく、
また、組立作業の効率を悪化させずに、高い断熱性を有
して吸入過熱による圧縮特性の低下が抑制された、スク
ロール型流体機械を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
のスクロール型流体機械は、固定スクロールと、可動ス
クロールと、ポケット部とを備えている。固定スクロー
ルは、ケーシング内に固定配置され、ケーシング内を一
方と他方とに区画するとともに、中心近傍に高圧流体の
出口となる貫通孔が形成された固定台板およびその固定
台板の一方の側の面に形成された渦巻状の固定スクロー
ル歯を含んでいる。可動スクロールは、可動台板および
その可動台板の固定スクロールの側に向く面に形成さ
れ、固定スクロール歯と噛み合わされて、外周部では低
圧流体の入口となる開口部を形成し、中心近傍では密閉
された高圧室を形成し、流体を圧縮させる渦巻状の可動
スクロール歯を含んでいる。ポケット部は、開口部近傍
の固定台板に開口部に連通するように形成され、固定ス
クロール歯の周方向の空間からは隔壁を介して隔てられ
ている。
【0014】この構成によれば、まず貫通孔における高
圧流体の流出によって、固定台板の一方側の面の温度よ
り他方側の面の温度の方が高くなるため、固定台板の他
方側の熱が一方側へ伝導する。このとき、低圧流体の入
口となる開口部に連通するポケット部の隔壁は、一方側
へ伝導した熱が固定スクロールの周方向から開口部へ伝
わるのを阻止する。これにより、開口部が断熱されて、
開口部に吸入された冷媒ガスが温められて吸入過熱とな
ることが抑制されるので、冷媒ガスの密度が減少するこ
とが抑えられる。その結果、容積効率の低下が抑えられ
て、所望の圧縮特性を有するスクロール型流体機械を得
ることができる。
【0015】また、隔壁によって、低圧室内に飛散して
いる油が開口部へ吸入されて高圧室やケーシングの外へ
送り出されることが抑制される。その結果、スクロール
型流体機械の油上がりを低減することができる。
【0016】請求項2に記載の本発明のスクロール型流
体機械では、ポケット部の隔壁の高さは、固定スクロー
ル歯の高さと同じである。
【0017】この場合には、隔壁の先端部分と可動スク
ロールの可動台板との隙間がほとんどなくなる。これに
より、固定スクロールの周方向から開口部へ伝わろうと
する熱がさらに阻止されて、開口部が効果的に断熱され
る。その結果、容積効率の低下がさらに抑制されて、よ
り圧縮特性に優れたスクロール型流体機械を得ることが
できる。
【0018】請求項3に記載の本発明のスクロール型流
体機械では、固定台板は、ポケット部に対応する部分に
おいてより厚く形成されている。
【0019】この場合には、固定スクロールの他方側か
ら一方側へ熱が伝導するが、ポケット部に対応する部分
の固定台板の厚さが他の部分よりも厚く形成されている
ために、ポケット部における伝熱量が低減される。これ
により、ポケット部に取り入れられ開口部に吸入された
低圧流体が温められて吸入過熱となることが抑制され
る。その結果、圧縮特性にさらに優れたスクロール型流
体機械を得ることができる。
【0020】請求項4に記載の本発明のスクロール型流
体機械では、固定スクロール歯および可動スクロール歯
により、非対称の渦巻形状のスクロール歯が形成され
る。開口部は、固定スクロール歯および可動スクロール
歯の外端に1ヶ所形成される。ポケット部が開口部に連
通して形成される。ケーシングの外から内へ低圧流体の
入口となる低圧流体入口が形成される。ポケット部とそ
の低圧流体入口とは、ケーシングの周方向位置が同じに
なるように配置されている。
【0021】この場合には、流体が低圧流体入口とポケ
ット部との間の流体の流れにおいて、固定スクロールの
ポケット部以外の部分に接しながら流れる流体の量が相
対的に減少する。これにより、低圧流体がポケット部以
外の部分で温められて吸入過熱の状態になりやすくなる
ことが抑制される。その結果、圧縮特性にさらに優れた
スクロール型流体機械を得ることができる。
【0022】請求項5に記載の本発明のスクロール型流
体機械は、固定スクロールの外周部と固定スクロール歯
の外面とを結ぶリブ部が放射状に形成されている。ポケ
ット部の隔壁は、そのリブ部の一部をなしている。
【0023】この場合には、開口部において、固定スク
ロールの周方向からの熱を断熱することができるととも
に、リブ部によって固定スクロールが補強されて、熱に
よる固定スクロールの変形を低減することができる。そ
の結果、固定スクロールの変形に伴う固定スクロール歯
の焼付き等が防止され、所望の圧縮特性を有する固定ス
クロールを備えたスクロール型流体機械が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】実施の形態1 本発明の実施の形態1に係るスクロール型流体機械につ
いて図を用いて説明する。図1を参照して、ケーシング
2内の下方に、クランク軸14を有する電動機16が配
設されている。このクランク軸114の上端側には、ク
ランク部12が形成されている。架構8上には、可動ス
クロール6が摺動可能なように支持されている。可動ス
クロール6は、可動台板6aとその可動台板6aに形成
された渦巻状の可動スクロール歯6bとを有している。
その可動スクロール6は、クランク部12を介して電動
機16と連動連結されている。固定スクロール4が締結
脚部4dにてボルト10により、架構8上に固定配置さ
れている。固定スクロール4は、固定台板4aと、その
固定台板4aに形成された渦巻状の固定スクロール歯4
bとを有している。固定スクロール歯4bと可動スクロ
ール歯6bとは互いに噛み合うように上下対接されてい
る。これにより、固定および可動スクロール4、6の外
周では開口部5aが形成され、中心近傍では圧縮室5
b、5c、5dが形成される。固定スクロール4によ
り、ケーシング2内は低圧室3bと高圧室3aとに区画
される。
【0025】ケーシング2には、低圧室3b内に冷媒ガ
スを導入するための吸入管17が取付けられている。ま
た、ケーシング2の上方には、高温高圧の冷媒ガスをケ
ーシング2の外部へ送り出すための排出管18が取付け
られている。
【0026】ところで、圧縮室5b、5c、5dは、固
定スクロール歯4bと可動スクロール歯6bとを互いに
噛み合わせることにより形成されるが、その噛み合わせ
方には各スクロール歯4b、6bの形状によって2つの
タイプがある。その1つに、図2に示すように、固定ス
クロール歯4bと可動スクロール歯6bの外端が、近接
した位置にあるタイプのものがある。この場合には、開
口部5aは1ヶ所のみ形成される。このようなスクロー
ル歯の噛み合わせ方は、特に、「非対称スクロール」と
呼ばれる。他の1つのタイプについては、後の実施の形
態において説明する。
【0027】次に、非対称スクロールを備えたスクロー
ル型流体機械の動作の一例について図1および図2を用
いて説明する。電動機16の回転により可動スクロール
6が固定スクロール4に対して公転駆動する。固定スク
ロール歯4bと可動スクロール歯6bとによって、一旦
外周に1ヶ所の開口部5aが形成された後、可動スクロ
ール6の公転駆動に伴って、次第に固定スクロール4の
中心に向かってその体積比を減少させながら圧縮室5
b、5c、5dが形成される。このとき、低圧室3bか
ら開口部5aへ取入れられた冷媒ガスは、圧縮室5b、
5c、5dにより徐々に圧縮されて、高温高圧の冷媒ガ
スとなる。高温高圧となった冷媒ガスは、吐出孔4cよ
り高圧室3aへ取出される。取出された冷媒ガスは、排
出管18によりケーシング2の外部に送り出される。
【0028】以上の動作において、高圧室3a側の固定
台板4aの面から低圧室3b側の固定台板4aの面に向
かって、高圧室3a側の熱が伝導する。低圧室3b側に
伝導した熱は、開口部に吸入される低温低圧の冷媒ガス
を温めようとする。
【0029】しかしながら、図3に示すように、固定ス
クロール4においては、開口部5aに通ずるように、固
定スクロール歯4bの周方向の空間からは隔壁9を介し
て隔てられたポケット部としての吸入部7aが形成され
ている。なお、図3は、図1に示す固定スクロール4を
固定スクロール歯4b側から見た一平面を示す図であ
り、周辺部には締結脚部4dが形成され、中心付近には
突出孔4cが形成されている。
【0030】開口部5aに連通するように設けられた隔
壁9は、周方向から伝わる熱を断熱する。これにより、
低温低圧の冷媒ガスが開口部5aへ吸入されて吸入過熱
になることが抑制される。
【0031】このことを図4を用いて説明する。図4
は、図3に示すA−Aにおける断面の一部を示したもの
である。可動スクロール6の固定スクロール4に対する
公転駆動に伴い、可動スクロール6は矢印に示すように
摺動する。固定スクロール4の低圧室3b側に伝導した
熱は、周方向から吸入部7aへ伝わろうとするが、隔壁
9によって断熱される。これにより、吸入部7aの開口
部5aに吸入された冷媒ガスが温められて、吸入過熱と
なることが抑制されるので、冷媒ガスの密度が減少する
ことが抑制される。その結果、容積効率の低下が抑制さ
れて、所望の圧縮特性を有するスクロール型流体機械を
得ることができる。
【0032】このことは、図5に示すように、固定スク
ロールが隔壁を有しない構造では、周方向から容易に熱
が吸入部7aへ伝わるのと比較すると、その効果は明ら
かである。
【0033】ところで、従来のスクロール型流体機械の
動作時では、低圧室3b内には、摺動部分を潤滑するた
めの油が飛散している。飛散している油は冷媒ガスとと
もに、圧縮されて高圧室3aに送られる。本スクロール
型流体機械では、隔壁9は、その飛散している油が開口
部5aに吸入されるのを抑制することもできる。その結
果、スクロール型流体機械の油上がりを防ぐことができ
る。
【0034】このようなスクロール型流体機械では、隔
壁を固定スクロール歯を形成する際に同時に形成するこ
とができ、これにより、組立作業の効率の悪化が防止さ
れ、また、生産コストの大幅な上昇が抑えられる。
【0035】また、非対称スクロールの場合には、吸入
部7aと吸入管17の取付位置とは、ケーシング2の周
方向位置が同じになるように配置されていることが望ま
しい。すなわち、図1および図6を参照して、吸入部7
aの真下に、吸入管17が取付けられていることが望ま
しい。
【0036】このような配置では、吸入管17から低圧
室3bに送られた低圧の冷媒ガスが吸入部7aに向かっ
て流れる際に、主に、その吸入部7aに向かって流れ
て、吸入部7a以外の固定スクロール4の部分に接しな
がら流れる冷媒ガスの量が相対的に減少する。これによ
り、低圧の冷媒ガスが固定スクロール4の吸入部7a以
外の部分で温められて、開口部5aにおいて吸入過熱の
状態になりやすくなるのを抑制することができる。その
結果、容積効率の低下が抑制されて、優れた圧縮特性を
得ることができる。
【0037】さらに、吸入部7aの隔壁9の高さは、ス
クロール歯の周方向から流入しようとする温められた冷
媒ガスを阻止する観点から、図7に示すように、固定ス
クロール歯4bの高さと同じであることが望ましい。こ
こで、その両者の高さが同じであるとは厳密に同じであ
るという意味ではなく、加工精度を含めて許容し得る程
度に同じであることを意味している。
【0038】この場合には、図8に示すように、可動ス
クロール6と隔壁9の先端部との隙間がほんとどなくな
り、図9に示す場合のように、可動スクロール6と隔壁
9の先端部との間にある程度の隙間がある場合と比較す
ると、吸入部7aに伝わる熱を最も効果的に断熱するこ
とができる。その結果、圧縮特性にさらに優れたスクロ
ール型流体機械を得ることができる。
【0039】実施の形態2 実施の形態2に係るスクロール型流体機械について図を
用いて説明する。図10〜図12を参照して、本実施の
形態のスクロール型流体機械の固定スクロールでは、吸
入部7aに対応する固定台板4aの厚さが他の部分より
もより厚く形成されている。すなわち、固定台板4の高
圧室側に固定台板厚肉部4eが形成されている。なお、
これ以外の構成については、実施の形態1において説明
した図1に示すスクロール型流体機械と同様なのでその
説明を省略する。
【0040】このスクロール型流体機械の動作も、実施
の形態1において説明した固定スクロールの動作と全く
同様である。その動作においては、高圧室3a側から低
圧室3b側へ向かって固定台板4aを熱が伝導する。こ
のとき、吸入部7aに対応する部分の固定台板4aの厚
さがより厚いため、固定台板4aの低圧室3b側の面の
うち、その吸入部7aの位置する面の温度上昇が、それ
以外の面の温度上昇よりも低く抑えられる。これによ
り、吸入部7aから開口部5aに吸入された低温低圧の
冷媒ガスが温められて吸入過熱となることが抑制され
る。その結果、容積効率が低下するのを防ぐことがで
き、圧縮特性がさらに向上する。
【0041】ここで、吸入部7aにおける温度上昇が他
の部分の温度上昇よりも低く抑えられることをシミュレ
ーションによって検証した。図13は、本固定スクロー
ルの形状とは異なる固定スクロールの断面の温度分布に
ついて計算した結果を示したものである。この場合計算
条件として、固定スクロールの高圧室側の温度を116
℃、中心近傍の圧縮室の温度を80〜116℃、中心か
らやや離れた圧縮室の温度を40〜80℃、外周の圧縮
室を30〜40℃、開口部近傍の温度を30〜35℃に
それぞれ設定した。図3に示されているように、固定ス
クロール歯が形成されていない周辺部の実質的に固定台
板の厚さが厚い部分では、その温度がより低下している
ことがわかった。
【0042】本固定スクロール4の場合には、その固定
台板厚肉部4eを吸入部7a側に形成しようとすると、
低圧の冷媒ガスの流入断面積が減少するため、これを高
圧室側に設けた。
【0043】実施の形態3 実施の形態3に係るスクロール型流体機械について図を
用いて説明する。実施の形態1において、固定スクロー
ル歯5bと可動スクロール歯6bとの形状により、その
噛み合わせ方には、2つのタイプがあることを述べた。
【0044】ここでは、もう一つのタイプとして、図1
4に示すように、可動スクロール歯6bの外端が、固定
スクロール歯5bの外端と吐出孔4cを挟んで反対側に
位置している構造を有するものについて説明する。この
場合には、吐出孔4cを挟んで開口部5aと開口部5e
とが形成されるので、特に、「対称スクロール」と呼ば
れる。このため、対称スクロールにおいては、図15に
示すように、固定台板4aにそれぞれ隔壁9を有する吸
入部7a、7bが形成される。
【0045】対称スクロールを有するスクロール型流体
機械の動作も、実施の形態1において説明した非対称ス
クロールを有するスクロール型流体機械の動作と全く同
様である。したがって、この場合にも実施の形態1にお
いて説明した効果と同様の効果を得ることができる。ま
た隔壁9の高さと固定スクロール歯4bとの高さを同じ
にすることにより、あるいは、吸入部7a、7bにおけ
る固定台板7aの厚さを他の部分よりも厚く設定するこ
とにより、実施の形態1および実施の形態2においてそ
れぞれ説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0046】ところで、冷媒ガスに液化した冷媒が混入
した状態で運転されて冷媒ガスが圧縮された場合等で
は、圧縮室内の圧力が高くなり、圧縮室をなす固定スク
ロール歯と可動スクロール歯の側面を外に向かって押す
力(歯面押付力)が異常に強くなることがある。このと
き、スクロール歯が外に向かって変形しようとする固定
スクロール4を補強するために、たとえば、図15に示
すように、固定スクロール4の固定スクロール歯4b側
の面には、固定スクロール歯4bの外面から外周部に向
かって放射状にリブ11a、11b等が形成される。こ
のようなリブ11aの一部が、隔壁9をなしていてもよ
い。
【0047】このようなスクロール型流体機械では、固
定スクロール歯の変形が抑制されてスクロール歯の焼き
付き等が防止されるとともに、容積効率が低下すること
が抑制されて、優れた圧縮特性を得ることができる。こ
のようなリブは、非対称スクロールの場合にも同様に適
用することができる。
【0048】なお、今回開示された実施の形態はすべて
の点で例示であって制限的なものではないと考えられる
べきである。本発明の範囲は上記で説明した範囲ではな
く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0049】
【発明の効果】請求項1に記載の本発明のスクロール型
流体機械によれば、まず貫通孔における高圧流体の流出
によって、固定台板の一方側の面の温度より他方側の面
の温度の方が高くなるため、固定台板の他方側の熱が一
方側へ伝導する。このとき、低圧流体の入口となる開口
部に連通するポケット部の隔壁は、一方側へ伝導した熱
が固定スクロールの周方向から開口部へ伝わるのを阻止
する。これにより、開口部が断熱されて、開口部に吸入
された冷媒ガスが温められて吸入過熱となることが抑制
されるので、冷媒ガスの密度が減少することが抑制され
る。。その結果、容積効率の低下が抑えられて、所望の
圧縮特性を有するスクロール型流体機械を得ることがで
きる。
【0050】また、隔壁によって、低圧室内に飛散して
いる油が開口部へ吸入されて高圧室やケーシングの外へ
送り出されることが抑制される。その結果、スクロール
型流体機械の油上がりを低減することができる。
【0051】請求項2に記載の本発明のスクロール型流
体機械では、、隔壁の先端部分と可動スクロールの可動
台板との隙間がほとんどなくなる。これにより、固定ス
クロールの周方向から開口部へ伝わろうとする熱がさら
に阻止されて、開口部が効果的に断熱される。その結
果、容積効率の低下がさらに抑制されて、より圧縮特性
に優れたスクロール型流体機械を得ることができる。
【0052】請求項3に記載の本発明のスクロール型流
体機械では、固定スクロールの他方側から一方側へ熱が
伝導するが、ポケット部に対応する部分の固定台板の厚
さが他の部分よりも厚く形成されているために、ポケッ
ト部における伝熱量が低減される。これにより、ポケッ
ト部に取り入れられ開口部に吸入された低圧流体が温め
られて吸入過熱となることが抑制される。その結果、圧
縮特性にさらに優れたスクロール型流体機械を得ること
ができる。
【0053】請求項4に記載の本発明のスクロール型流
体機械では、流体が低圧流体入口とポケット部との間の
流体の流れにおいて、固定スクロールのポケット部以外
の部分に接しながら流れる流体の量が相対的に減少す
る。これにより、低圧流体がポケット部以外の部分で温
められて吸入過熱の状態になりやすくなることが抑制さ
れる。その結果、圧縮特性にさらに優れたスクロール型
流体機械を得ることができる。
【0054】請求項5に記載の本発明のスクロール型流
体機械では、開口部において、固定スクロールの周方向
からの熱を断熱することができるとともに、リブ部によ
って固定スクロールが補強されて、熱による固定スクロ
ールの変形を低減することができる。その結果、固定ス
クロールの変形に伴う固定スクロール歯の焼付き等が防
止され、所望の圧縮特性を有する固定スクロールを備え
たスクロール型流体機械が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るスクロール型流体
機械の部分一縦断面図である。
【図2】同実施の形態に係るスクロール型流体機械の非
対称スクロールを示す一平面図である。
【図3】同実施の形態に係るスクロール型流体機械に用
いられる固定スクロールの一平面図である。
【図4】同実施の形態において、図3に示す固定スクロ
ールを用いた場合の効果を説明するための部分断面図で
ある。
【図5】同実施の形態において、図4に示す効果を説明
するための比較となる部分断面図である。
【図6】同実施の形態において、固定スクロールの吸入
部と吸入管との位置関係を示す図である。
【図7】同実施の形態において、スクロール型流体機械
に用いられる他の固定スクロールの一平面図である。
【図8】同実施の形態において、図7に示す固定スクロ
ールを用いた場合の効果を説明するための部分断面図で
ある。
【図9】同実施の形態において、図8に示す効果を説明
するための比較となる部分断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係るスクロール型流
体機械の固定スクロールの一平面図である。
【図11】図10に示す固定スクロールの他の平面図で
ある。
【図12】図11に示す固定スクロールのA−Aにおけ
る断面図である。
【図13】固定スクロールの一断面の温度分布を示すシ
ミュレーション結果を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係るスクロール型流
体機械の対称スクロールを示す平面図である。
【図15】同実施の形態において用いられる固定スクロ
ールの一平面図である。
【図16】従来の技術において、スクロール型流体機械
の問題点を説明するための部分一縦断面図である。
【図17】従来のスクロール型流体機械の第1の例を示
す部分一縦断面図である。
【符号の説明】
2 ケーシング 3a 高圧室 3b 低圧室 4 固定スクロール 4a 固定台板 4b 固定スクロール歯 4c 吐出孔 4d 締結脚部 4e 固定台板圧肉部 5a、5e 開口部 5b、5c、5d 圧縮室 6 可動スクロール 6a 可動台板 6b 可動スクロール歯 7a、7b 吸入部 8 架構 9 隔壁 11 リブ 17 吸入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04C 18/02 311

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング(2)内に固定配置され、前
    記ケーシング(2)内を一方(3b)と他方(3a)と
    に区画するとともに、中心近傍に高圧流体の出口となる
    貫通孔(4c)が形成された固定台板(4a)および該
    固定台板(4a)の前記一方(3b)の側の面に形成さ
    れた渦巻状の固定スクロール歯(4b)を含む固定スク
    ロール(4)と、 可動台板(6a)および該可動台板(6a)の前記固定
    スクロール(4)の側に向く面に形成され、前記固定ス
    クロール歯(4b)と噛み合わされて、外周部では低圧
    流体の入口となる開口部(5a、5e)を形成し、中心
    近傍では密閉された高圧室(5b、5c、5d)を形成
    し、流体を圧縮させる渦巻状の可動スクロール歯(6
    b)を含む可動スクロール(6)と、 前記開口部(5a)近傍の前記固定台板(4a)に前記
    開口部(5a、5e)に連通するように形成され、前記
    固定スクロール歯(4b)の周方向の空間からは隔壁
    (9)を介して隔てられるポケット部(7a、7b)と
    を備えた、スクロール型流体機械。
  2. 【請求項2】 前記ポケット部(7a、7b)の前記隔
    壁(9)の高さは、前記固定スクロール歯(4b)の高
    さと同じである、請求項1に記載のスクロール型流体機
    械。
  3. 【請求項3】 前記固定台板(4a)は、前記ポケット
    部(7a、7b)に対応する部分においてより厚く形成
    されている、請求項1または2に記載のスクロール型流
    体機械。
  4. 【請求項4】 前記固定スクロール歯(4b)および前
    記可動スクロール歯(6b)により、非対称の渦巻形状
    のスクロール歯が形成され、 前記開口部(5a)は、前記固定スクロール歯(4b)
    および前記可動スクロール歯(6b)の外端に1ヶ所形
    成され、 前記ポケット部(7a)が前記開口部(5a)に連通し
    て形成され、 前記ケーシング(2)の外から内へ低圧流体の入口とな
    る低圧流体入口(17)が形成され、 前記ポケット部(7a)と前記低圧流体入口(17)と
    は、前記ケーシング(2)の周方向位置が同じになるよ
    うに配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載の
    スクロール型流体機械。
  5. 【請求項5】 前記固定スクロール(4)の外周部と前
    記固定スクロール歯(4b)の外面とを結ぶリブ部(1
    1)が放射状に形成され、 前記ポケット部(7a、7b)の前記隔壁(9)は、前
    記リブ部(11)の一部をなす、請求項1〜4のいずれ
    かに記載のスクロール型流体機械。
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