JP3145001U - 車椅子のブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車椅子の空気入りタイヤの表面をブレーキシューで押圧してブレーキ力を得るブレーキ装置に、簡単な追加工を施して安価な部品を追加することにより、タイヤの空気圧力が低下した場合にも、ブレーキ力が落ち難いブレーキ装置を提供する。
【解決手段】ブレーキレバー105により、車椅子の駆動輪の空気入りタイヤ535の外周に、ブレーキシュー106を押圧、解除するブレーキ機構に、前記駆動輪のタイヤの直径の延長線にほぼ直交し、該タイヤの外周を前記駆動輪の車軸方向に押圧する面と、その押圧する面により前記タイヤが幅方向に変形する部分を抑制する面とを両側にもつブレーキ片10を前記ブレーキシューに固定するようにする。
【選択図】図1

Description

本考案は車椅子に装着して使用するブレーキ装置の改良に関し、特にタイヤ空気圧が減少しても制動力に影響が少ないブレーキ装置を提供するものである。
考案の詳細な説明
車椅子に使用するブレーキ装置は、フレームの両脇に該フレームに対してほぼ直角方向に突出して固定された車軸の各々を中心に回転自在に固定された一対の駆動輪の空気入りタイヤの各々の外周部にブレーキシューを前記車軸に向かう方向に押圧するようにしている。該ブレーキシューは前記フレームの両側に該ブレーキシューの位置に対応して設けられたブラケットに揺動軸を中心に揺動自在に固定されたブレーキレバから前記ブレーキシューに連結するリンク機構によりブレーキ作動と解除の操作を行うようにしたものが一般的に使用されている。
処が前記リンク機構には前記ブレーキシューを、その作動方向に対して容易に前進又は後退させてブレーキ力を調整する機構を備えていない。従って、タイヤの空気圧が減った場合にはブレーキの利きが落ちる。此の状態では使用者が乗り、降りする場合に車椅子が後退して不測の転落事故を起こす恐れがあることである。又前進方向に関してもブレーキの利きの劣化は好ましいものでは決してない。
この対策として特許文献1ではタイヤのリムの両側をブレーキシューが挟むようにしている。又特許文献2では車輪のハブにブレーキを組み込むようにしている。特許文献3及び特許文献4では車椅子が後退しようとしたときにタイヤみぞをもつ止め片をタイヤに食い込む角度に当接させるようにしている。
特開2005−177209 特開2003−301862 実開昭56−101323 実開昭56−101324
前記特許文献は何れも本考案が対象とする既存の車椅子の装着された広く用いられている標準的なブレーキ装置に簡単な追加工で安価な部品を追加してタイヤ圧が減ってもブレーキ力が減りにくいブレーキ装置を提供ものではない。
本考案の対象となる車椅子のブレーキ装置を備えた(株)ミキの車椅子MP−43Jを例に図10及び図11により説明する。図10は標準的なブレーキ装置を備えた車椅子の斜視全体図である。図11は図10のブレーキ部分の斜視拡大図である。図10において、51は車椅子である。該車椅子51において52はフレームである。該フレーム52において、左右各々上側からアッパフレーム521、ミドルフレーム522,ローワフレーム523よりなり、その後方においてリアフレーム525と連結している。526はハンドルである。また、前記アッパフレーム521、ミドルふれーむ522、ローワフレーム523の3フレームは、その前方に於いて前記アッパフレーム521が屈曲して下方に伸びた部分とミドルフレーム522及びロアフレーム523とが連結している。更にアッパフレーム521の先端には、前輪であるキャスタホイール524が上下方向の廻動軸に廻動自在に固定されている。前記ミドルフレーム522の先端は前記アッパフレーム521の屈曲して下方に伸びた部分より先で、斜め下方に屈曲し、ローワフレーム523の先端と結合している。該ミドルフレーム522の先端には足のせ台527が該揺動軸を中心に揺動自在に固定されている。
528はサポートブラケットである。該サポートブラケット528は前記リアフレーム525の近く、前記ミドルフレーム522と前記ロワフレーム523にその上端と下端を固定されている。該サポートブラケット528の上下方向中央部の外側に直角または上方に向かって所定の角度をもつ鋭角に車軸531が固定されている。
53は駆動輪である。該駆動輪53において532はハブである。該ハブ532は前記車軸531の長手方向の中心軸を中心として回転自在に固定されている。533はスポークであり、534はリムであり、535はタイヤである。前記タイヤ535とリム534は一体に組み立てられ、該タイヤ535とリム534で構成する空洞部に空気を充填している。前記スポーク533は、前記ハブ532とリム534の間を連結しリム534が横ぶれせず且つ車軸531を中心に回転するように連結している。かくして、スポーク533からの荷重をリム534に伝え、且つタイヤ535と共に路面からの衝撃を緩和する。536はハンドリムである。該ハンドリム536は、前記リム534よりも径が一回り小さい円環状をなしその中心が前記ハブ532の中心軸と一致するようにステイ537でリム534に4、5ヶ所固定しいる。
車椅子の搭乗者は前記ハンドリム536を駆動操作して走行する。
図11も参照して、54はブレーキ装置である。該ブレーキ装置54において541はブラケットである。該ブラケット541は前記左右のフレーム52のアッパフレーム521とミドルフレーム522にその上下端を固定されている。542は調整用穴である。該調整用穴542は水平方向に伸びる長穴で、前記ブラケット541の上部に水平方向に2個設けてある。543サブブラケットである。該サブブラケット543の裏面には、図示しない植え込みボルトを前記調整用穴542と同じピッチで2本設けてあり、前記ブラケット541に対して前記サブブラケット543が調整用穴542の範囲で前後に位置を調整可能に図示しないナットで固定して設ける。
55はブレーキ用のリンク機構である。該リンク機構55において551はレバーである。該レバー551は前記サブブラケット543の下部に設けた揺動軸552を中心に車体の前後方向に揺動自在に固定されている。553は握りである。該握り553は、前記レバー551の上端に固定されている。該レバー551の他端は前記揺動軸552の部分で車体後方向、稍上方向に向かって伸びている。
555はブレーキレバーである。該ブレーキレバー555は、L字形をしており、その上端の近傍を前記サブブラケット543に垂直に設けられた揺動軸556を中心に揺動自在に固定されている。前記ブレーキレバー555の下端部557はブレーキシューである。該ブレーキシュー557は、ほぼ直角に曲げて、前記サブブラケット543に対してほぼ垂直となっている。558はブレーキシュー557のタイヤ当接面である。
560は中間リンクである。該中間リンク560は、前記レバー551の下端側の後方に伸びる他端と、その一端をピンジョイント562で揺動自在に連結され、その他端を前記ブレーキレバー555のほぼ中央部とピンジョイント561で該ピンジョイント562の中心軸の回りに揺動自在に連結されている。なお中間リンク560の前記レバー551下部の他端とのピンジョイント562の位置は前記揺動軸552の上方にあり、ブレーキレバ555とのピンジョイント561は前記揺動軸552の下方にあるように配置されている。
縦来のブレーキは以上のような構成であるため、搭乗者が、握り553を手前に引いて倒すと、レバ551は左回転して中間リンク560を介してブレーキレバー555を前記揺動軸556を中心に右回転させてブレーキシュー557部分をタイヤ535の方向に押し出す。この際前記揺動軸A552,前記ピンジョイントA561,前記ピンジョイントB562は、ほぼ一直線をなすような位置で止まる。563はストッパであり、該ストッパ563は、中間リンク560に当接してそれ以上レバー551が左回転することを抑止する。即ち此の状態がブレーキに対してフルストロークである。
縦来のブレーキ装置はこのように作動するものあるから、タイヤの空気が減った場合、タイヤは余計凹みブレーキの摩擦力は減るが、ブレーキシュー557をその分だけ容易に追い込む調整機構を備えていない。従ってタイヤの空気圧が減った場合それに応じて制動力が減ってしまうという問題がある。特許文献1及び特許文献2は何れもこのような問題を回避して、タイヤの空気圧に関係なしにブレーキ力を確保できる点で優れている。しかし構造が複雑で、使用車を改造して追加するには構造が複雑でコストが掛かりすぎる。また特許文献3及び4については板状のブレーキ盤又は止め片を車椅子が後退する場合にタイヤに食い込む機構を備えるため、空気圧低下の影響を補える点では優れているが、タイヤの表面を傷つける恐れがある。又ブレーキリンク機構を改造する必要があり使用車を気軽に改造すると言うには手間が掛かりすぎる。
本考案が解決しようとする問題点は、前記した車椅子の駆動輪の前進、後退に係わらずタイヤの空気圧が減ってもブレーキの利きが落ちにくいブレーキ装置に関するものであり、且つ前記標準的なブレーキ装置に極めて安価な部品を簡単な追加で装着するこより改造可能とするものであり、且つタイヤを痛める恐れが少ないブレーキ片を含む装置を提供するものである。
本考案の第1の手段は請求項1に該当し、搭乗者が操作するブレーキレバーにより、駆動輪の空気入りタイヤの外周に、ブレーキシューを押圧、解除するブレーキ機構において、前記駆動輪の空気入りタイヤの直径の延長線にほぼ直交し、該タイヤの外周を前記駆動輪の車軸方向に押圧する面と、該押圧する面により前記タイヤがその幅方向に変形する部分を抑制する面を両側に有するブレーキ片を前記ブレーキシューと一体に作動するように固定して備えるようにしている。
本考案の第1の手段によれば、タイヤの空気圧が低下してブレーキシューの押圧力に対してタイヤが両側に変形して逃げようとしてもブレーキ片のタイヤ抑制面がタイヤの左右への変形を抑制するため、タイヤの空気圧に加えてタイヤ自身のゴムの弾性力がタイヤとブレーキ片との間の摩擦力の増加に貢献する。この摩擦力は、タイヤとブレーキ片の接触面積が大きくなった分だけ増加するためブレーキ力の低下を軽減するという効果を奏する。さらに本ブレーキ片はタイヤ表面に対して面接触であるため、タイヤの表面を傷つけにくい。然も現在多くの車椅子に使用されている一対のブレーキシューの各々に1個のボルト固定用穴を追加工し、ブレーキ片を追加装着するだけの簡単な改造で前記効果を奏する。然もブレーキ片も安価である。
本考案の第2の手段は請求項2に該当し、ブレーキ片がブレーキシューのタイヤ当接面より0から5mm離れて固定するようにしている。
本考案の第2の手段によれば、タイヤの空気圧が正常な場合にはブレーキシューのみで制動力を確保し、タイヤ空気圧が低下した場合にブレーキ片が制動力低減抑制に参加するように調節を可能とする効果を奏する。
本考案の第3の手段は請求項3に該当し、ブレーキ片のタイヤ押圧面がタイヤの反力によりタイヤ抑制面をタイヤの変形を抑制する方向に移動させる構造とするようにしている。
本考案の第3の手段によれば、ブレーキ片のタイヤ押圧面とタイヤの変形抑制面とに掛かるタイヤ反力のバランスを取ることが出来る。またタイヤの幅の。ある程度の変化に追従できる。という効果を奏する。
本考案の第4の手段は請求項4に該当し、ブレーキ片のタイヤ変形抑制面がタイヤの幅方向に移動調節を可能としている。
本考案の第4の手段によれば現在車椅子の使用されているタイヤのサイズに応じてタイヤ変形抑制面の幅を調節することにより、市販されているより多くの車椅子に適用か可能となり、より多くの車椅子使用者に貢献出来るという効果を奏する。
本考案の効果を列挙すれば以下の通りとなる。
1.駆動輪のタイヤ圧の低下に伴うブレーキの利きの低下を抑制できる。
2.多くの車椅子に使用されている標準的なブレーキ装置についてブレーキシューに1個の穴を追加工し、ブレーキ片を追加装着するだけの簡単で安価にできる。
3.本ブレーキ片はタイヤ表面に対して面接触であるため、タイヤの表面を傷つけにくい。
4.ブレーキシューに対する取り付け位置の調節とブレーキ片の摩擦面の調節によりブレーキ片の制動力低下抑制に参加する度合いを調節できる。
5.タイヤ変形抑圧面の間隔を調節することにより、タイヤ押圧面とタイヤ変形抑制面との摩擦力の調節により制動力を調整できる。
6.ブレーキ片のタイヤ変形抑制面の間隔を調節して、各種異なる幅のタイヤに対応できる。
本考案の実施の第1例を図1乃至図4で詳細に説明する。図1は車椅子の標準的なブレーキ装置に本考案になるブレーキ片を装着した斜視図である。図2は本考案になるブレーキ片を示す正面図である。図3は図2の左側面図である。図4はブレーキ片内のタイヤ断面変形の状態を示す模式図である。なお背景技術に於いて説明した縦来の技術に関しては同じ符号を付して説明を省略する。
図1乃至図3に於いて、10はブレーキ片である。該ブレーキ片10に於いて、101はタイヤ当接面である。102はタイヤ変形抑制面である。該タイヤ当接面101はタイヤの直径が大きい円弧であるのに対してほぼ平面をなしている。前端部及び後端部の角を面取りしてある。103は取り付けフランジである。該取り付けフランジ103にはボルト取り付け用長穴104が穿孔されている。105はブレーキレバーである。該ブレーキレバー105において106はブレーキシューであり、107はタイヤ当接面である。108はボルトであり109はナットである。尚ブレ−キレバ105は、前記ブレーキレバー555に対してブレーキシュー557に前記ブレーキ片10を装着する前記ボルト108およびナット109用の穴を穿孔した点のみ異なるものである。従ってタイヤ当接面107は実質的に前記タイヤ当接面558と同じである。
本ブレーキ片10の装着の際特に留意すべき点は、タイヤ535の両側のタイヤ変形抑制面102がタイヤ535の左右に対して等しい隙間を確保できるように該ブレーキ片10の位置を調整してボルト108と、ナット109で固定する点である。そのために取り付け用穴104は長穴にした。
図4はタイヤ圧がほぼ0,09MPの際ブレーキを作動させた時のブレーキ片10内で起こるタイヤ535の変形の観察図を示す。図において破線の線図Aはフリー状態のタイヤの外形を示す。破線の線図Bは、縦来のブレーキシュー557によるブレーキを作動させた時タイヤ当接面558の接触部分の変形を示す。太線の実線の線図Cは、ブレーキ片10内で拘束されたタイヤの状況を示す。タイヤ535は明らかにブレーキ片10のタイヤ押圧面101とタイヤ変形抑制面102内に押し込められている状態が観察できる。これがタイヤ内圧が少ないとは言え内圧とタイヤ535自体の弾性力が該ブレーキ片10のタイヤ押圧面101とタイヤ変形抑制面102とを押してブレーキ片10との間で摩擦力を発生させている。
なおタイヤ圧約0.09MPは、車椅子使用者の経験によればタイヤの横剛性が低下し車椅子がふらつき又、路面の振動を直接拾うようになるため使用限界の圧力とのことである。
なお本ブレーキ片10は、前記ブレーキレバー105に取り付けてタイヤ535の空気圧が減り、ブレーキ力が減少してきた場合にブレーキ力を補うことを目的としたものである。従ってタイヤの空気圧が十分な場合にはブレーキ片はタイヤに接触しない方が好ましい。其処でブレーキ片10は図3に鎖線で示す前記ブレーキシュー557のタイヤ当接面558を前記タイヤ押圧面421よりもLだけ突出さて前記ブレーキシュー106のタイヤ当接面107のみで摩擦力を確保するようにもできる。
図5及び図6は前記ブレーキ片10を拡張した考案を示す。図5はブレーキ片10に対し摩擦面積を約2倍にしたブレーキ片である。図6は図5のD−D断面図である。図5,図6において20はブレーキ片である。該ブレーキ片20において、121はタイヤ押圧面である。該タイヤ押圧面121は、押圧するタイヤ535の外径に沿った円孤をなしており、その両端には逃げ122を設けている。123は溝である該溝123はブレーキシュー106を避ける溝である。125は取り付けフランジである。該取り付けフランジ125はブレーキシュー106のタイヤ当接面107を前記溝123を介して前記タイヤ押圧面121より数ミリ突き出して固定することができる。
図6に於いてタイヤ押圧面121は左右方向に直線をなしており。タイヤ変形抑制面124と接合した全体形状は前記ブレーキ片10の図2と同じである。該タイヤ押圧面121及びタイヤ変形抑制面124は前記ブレーキ片10のタイヤ押圧面101およびタイヤ変形抑制面102の面積に対し各々約2倍の面積を持つ。
なおブレーキシュー106への取り付けについてはブレーキ片10の取り付けと同様であるため説明を省略する。
図7は前記縦来のブレーキ装置54に、本考案になるブレーキ片10及び20を装着し、タイヤ圧を減圧した場合のブレーキ力を比較したグラフである。本測定に用いた車椅子は株式会社ミキ製の車椅子MP−43Jである。測定方法は、図7のグラフの下に示した模式図により説明する。ブレーキトルクは、ブレーキシュー部分でタイヤがスリップを始める時のバネばかりに掛かる荷重と車軸からバネ計りまでの腕の長さの積をトルクとした。
本来握り553の操作によるブレーキシュー557の作動ストロークは一定である筈であるが、タイヤ圧が0.2MP以上ではタイヤの変形は1〜2mmと微量であり、むしろブレーキ用リンク機構55のガタおよび弾性変形が目立つが、0.13MP以下ではブレーキの作動ストロークが次第に増しこれに伴いタイヤの変形が増加する。
このような状況で従来品のブレーキトルクはグラフEである。グラフGは本考案のブレーキ片10をそのタイヤ押圧面101とブレーキシュー106のタイヤ当接面107を面位置に合わせた場合の制動力で、グラフFは本考案のブレーキ片20をそのタイヤ押圧面121よりブレーキシュー106のタイヤ当接面107を2mm突出させて装着した場合である。グラフFに於いてはタイヤ圧0.13MPまではブレーキ片20の効果が現れず、それ以降に接触面積が多い分の効果が現れてくる。図から判るとおりタイヤ空気圧が実用限界に於いてブレーキ力はほぼ実用域にある。
本考案実施の第2例を図8により説明する。図8は本考案の第2の例を示すブレーキ片の斜視全体図である。図8に於いて30はブレーキ片である。該ブレーキ片30に於いて131は右タイヤ押圧・変形抑制部である、該右タイヤ押圧・変形抑制部131はタイヤ押圧部132及びタイヤ変形抑制部133よりなる。該タイヤ押圧部132とタイヤ変形抑制部133とは図示の如くその接合部の内角が90度より大きい角度で一体となってブレーキ片30の右半の主要構成部分をなす。同様に135は左タイヤ押圧・変形抑制部である。該左タイヤ押圧・変形抑制部135はタイヤ押圧部136とタイヤ変形抑制部137とよりなり、接合部の内角が前記右タイヤ押圧・変形抑制部131に於けると同じ内角で一体となってブレーキ片30の左半の主要構成部をなしている。
139は取り付けフランジである。該取り付けフランジ139には上部横方向に長穴140を有する該長穴140は本ブレーキ片30をブレーキレバー105に装着するために用いる。
134および138は揺動軸である。該揺動軸134及び138は共にその軸中心が、図8の取り付けフランジに対して垂直に設けてあり、右タイヤ押圧・変形抑制部131が該揺動軸134の回りに、左タイヤ押圧・変形抑制部135が揺動軸138の回りに、夫々揺動自在に固定されている。左右のタイヤ押圧・変形抑制部131及び135は互いにそのタイヤ押圧部131,136の中央部が相互に干渉することなく揺動し得る隙間を確保して組み立てられている。
次に作用を説明する。本ブレーキ片30は図1に示すブレーキ片10と同様にブレーキ装置54に取り付ける。ブレーキレバ551の握り553を手前に引いてブレーキを作動させると、タイヤ535の先端がブレーキ片30の間に入り込み、タイヤ535の先端がブレーキシュー106と同時に又は遅れてタイヤ押圧面132,136に当たり図において上方に押し上げる。この動きが揺動軸134及び138を介してタイヤ変形抑制面133及び137がタイヤの変形を押し戻す方向に作用させ、摩擦力を発生させる。
この値はタイヤ535の内圧とタイヤ535のブレーキ片30に対する位置により、タイヤ535の変形を押し戻す力が決まり、その力により摩擦力が発生する。従ってタイヤの幅がある範囲で大小の差があっても、タイヤ押圧面132及び136を押し上げると、その力に応じて、タイヤ変形抑制面133及び137は、タイヤ535の変形を押し戻す様に作用する。即ちタイヤの幅がある範囲内にあればブレーキ力の低下をある程度抑制できる。と言う効果を奏する。
本考案の第3の実施例を図9で説明する。図9は本考案の第3の実施例を示す斜視全体図である。図9に於いて、40はブレーキ片である。該ブレーキ片40において、141はタイヤ押圧・変形抑制部である。該タイヤ押圧・変形抑制部141はタイヤ押圧面142及びタイヤ変形抑制面143よりなる。該タイヤ押圧面142とタイヤ変形抑制面143とは図示の如くその接合部の内角が90度より大きい角度で一体となってブレーキ片40の右半の主要構成部分をなす。同様に144はタイヤ押圧・変形抑制部である。該タイヤ押圧・変形抑制部144はタイヤ押圧面145とタイヤ変形抑制面146とよりなる。該タイヤ押圧面145とタイヤ変形抑制面146とは図示の如くその接合部の内角が前記右タイヤ押圧・変形抑制部141に於けると同じ内角で一体となってブレーキ片40の左半の主要構成部をなしている。
150は案内である又151は調整用ナットである。これらは共にタイヤ押圧・変形抑制部141の上面、図示しない奥行方向の中央線上に並んで設けられている。同様に152は案内である又153は調整用ナットである。該案内152及び調整用ナット153は共にタイヤ押圧・変形抑制部144の上面、奥行きの中央線上に案内部158を介して並んで設けられている。なお前記調整用ナット151と153の一方は右ネジが、他方は左ネジが旋設されている。
また147は上ガイド板である。該上ガイド板147はその前後方向の中央に左右方向にほぼ全長に亘る案内溝148を備えておりその左右の両端には該案内溝148を開放可能なエンドプレート149がネジ留めされている。前記案内溝148は、前記タイヤ変形抑制部143及び146の摺動の案内を前記案内150,152と調整用ナット151及び153と案内部158により前記案内溝148とで行う。又154はサポートである。該サポート154は、前記上ガイド板147の中央部、案内溝148を跨いで固定されている。155は調整用ネジ棒である。
該調整用ネジ棒155は中央部に前記サポート154に対応する図示しないサポート部を持ち前記サポート154により回転自在に位置を固定される。該図示しないサポート部の左右に前記調整用ナット151と153のネジに対応するネジが旋設されている。156は調整用ネジ棒回転操作用固定ナットである。
157は下ガイド板である。該下ガイド板157は前記タイヤ押圧面142とタイヤ押圧面145の幅の合計よりも幅が稍狭く、タイヤ押圧・変形抑制部141と144を、そのタイヤ押圧面を下から支えており下ガイド板157の下面が実質的にタイヤ押圧面となっている。
159は取り付けフランジである。該取り付けフランジ159に前記下ガイド板157と前記上ガイド板147は、タイヤ押圧・変形抑制部141及び144が円滑に摺動できる間隔をもって上下に固着されている。
本ブレーキ片40は次のようにして組み立ててある。一体となった取り付けフランジ159、上ガイド板147及び下ガイド板157の前記上ガイド板147の両端のエンドプレート149、149の固定ビスを外し、案内溝中央のサポート154に調整用ネジ棒155のサポート対応部を装着して回転自在に取り付ける。次にタイヤ押圧・変形抑制部141を案内溝148の右端から、タイヤ押圧・変形抑制部144をその案内部158を案内溝148の左の端から図9に示す向きに調整用ナット151が調整用ネジ棒155と螺合する位置まで、また調整用ナット153が調整用ネジ棒155と螺合する位置まで挿入し、調整用ナット151と153が互いに案内溝148のサポート部154に向かって、サポート部154の中心から等間隔にあるように又は左右のタイヤ押圧・変形抑制部141,144が中心から等距離にあることに留意して螺合させ更に前記案内150と152も各々前記案内部158を案内溝148内を摺動するように挿入し左右のエンドプレート149、149を固定し、調整用ネジ棒155の一端に回転用のナット156を固定して組立を完了する。
次に作用を説明する。本ブレーキ片40は本考案実施の第1例以降の実施例に示した図1と同様に装着して使用する。本考案の実施例では左右のタイヤ押圧・変形抑制部141及び144の間隔が調整可能であるため本考案の実施例で説明したブレーキ機構54を備えた車椅子については、本考案の第1の実施例の効果に加えてタイヤサイズに合わせて使用できるという効果も奏する。
なお本考案の実施例はその一例に過ぎず実用新案登録請求の範囲に記載した範囲において変更は自由に行いうることは勿論のことである。
1.本考案のブレーキ片は装着することに車椅子のタイヤ圧が減っても制動力の低下を抑制ことができ安全性向上に寄与する。
2.少量の材料費と金型費で製産が可能であるため製品価格も極めて安価で提供できる
3.追加する部品の点数が少なくない上構造が極めて簡単であるか部品管理が容易な点も含めて信頼性の高いサービスを提供できる。
4.本考案のブレーキ片は市場に出回る多くの車椅子に標準的に使用されているブレーキ機構に簡単な追加工で装着が可能でありタイヤサイズにもフレキシブルに対応できる。
本考案の実施の第1例を示すブレーキ装置の斜視図である。 本考案の実施の第1例のブレーキ片の正面図である。 図2の側面図である。 本考案の実施の第1例において車椅子の空気圧が減ったタイヤの変形を拘束する状況を示す模式図である。 本考案の実施の第2例を示す側面図である。 第5図のD−D断面図である。 本考案の実施の第1のブレーキ片の効果を従来品との対比で実測結果を示す図である。 本考案の実施の第2例のブレーキ片の斜視全体図である。 本考案実施の第3例のブレーキ片の斜視全体図である。 縦来の標準的なブレーキ装置を装着した車椅子の斜視全体図である。 図10のブレーキ部分の斜視拡大図である。
符号の説明
10、20、30,40 ブレーキ片
101、121,142、145 タイヤ押圧面
102、124、143、145 タイヤ変形抑制面
103、139、125,159 取り付けフランジ
104、126、140、160 長穴
105、555 ブレーキレバー
106、557 ブレーキシュー
107、558 タイヤ当接面
108 ボルト
109 ナット
122 逃げ
123 溝
131、141 右タイヤ押圧・変形抑制部
132、136 タイヤ押圧部
133、137 タイヤ変形抑制部
134、138 揺動軸
135、144 左タイヤ押圧・変形抑制部
147 上ガイド板
148 案内溝
149 エンドプレート
150、152 案内
151、153 調整用ナット
154 サポート
155 調整用ネジ棒
156 固定ナット
157 下ガイド板
158 案内部
51 車椅子
52 フレーム
521 アッパフレーム
522 ミドルフレーム
523 ローワフレーム
525 リアフレ−ム
526 ハンドル
524 キャスタホイール
527 足のせ
528 サポートブラケット
53 駆動輪
531 車軸
532 ハブ
533 スポーク
534 リム
535 タイヤ
536 ハンドリム
537 ステイ
54 ブレーキ装置
541 ブラケット
542 調整用穴
543 サブブラケット
55 ブレーキ用リンク機構
551 レバー
552 揺動軸1
553 握り
555 ブレーキレバー
556 揺動軸2
560 中間リンク
561 ピンジョイント1
562 ピンジョイント2
563 ストッパ

Claims (4)

  1. 搭乗者が操作するブレーキレバーにより、駆動輪の空気入りタイヤの外周に、ブレーキシューを押圧、解除するブレーキ機構において、前記駆動輪の空気入りタイヤの直径の延長線にほぼ直交し、該タイヤの外周を前記駆動輪の車軸方向に押圧する面と、該押圧する面により前記タイヤがその幅方向に変形する部分を抑制する面を両側に有するブレーキ片を前記ブレーキシューと一体に作動するように固定して備えたことを特徴とする車椅子のブレーキ装置。
  2. ブレーキ片がブレーキシューのタイヤ当接面よりも0から5mm離れて固定されている請求項1に記載の車椅子のブレーキ装置。
  3. ブレーキ片のタイヤ押圧面がタイヤの反力によりタイヤ抑制面をタイヤの変形を抑制する方向に移動させる機構とした請求項1又は請求項2に記載の車椅子のブレーキ装置。
  4. ブレーキ片のタイヤ変形抑制面がタイヤの幅方向に移動調節が可能である請求項1又は請求項2に記載の車椅子のブレーキ装置。
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