JP3144275B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents

車両用操舵装置

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JP3144275B2 JP22080095A JP22080095A JP3144275B2 JP 3144275 B2 JP3144275 B2 JP 3144275B2 JP 22080095 A JP22080095 A JP 22080095A JP 22080095 A JP22080095 A JP 22080095A JP 3144275 B2 JP3144275 B2 JP 3144275B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用の操舵装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】車両用の操舵装置のうち、パワーアシス
ト付きの操舵装置(所謂、パワーステアリング装置)が
一般的に知られている。(一例として、特開平6−16
145号公報)。
【0003】この操舵装置では、ラックアンドピニオン
から成るかじ取り機構に加えて、操舵補助力(アシスト
力)を発生する油圧ポンプを備えている。この油圧ポン
プは、例えばトロコイドポンプやギヤポンプとされ、モ
ータによって駆動される。さらに、この油圧ポンプは、
油圧管を介してアシスト用パワーシリンダの左右のシリ
ンダ室に連通された構成となっている。ハンドルが操舵
されると、この操舵トルクに基づいてモータが駆動さ
れ、油圧ポンプからの圧力流体(作動油)がパワーシリ
ンダに送給されて、操舵補助力(アシスト力)が得られ
るようになっている。
【0004】ところで、前記公報に示される如き従来の
パワーアシスト付き操舵装置では、油圧ポンプで発生し
た圧力流体をハンドルの左右の操舵に応じてパワーシリ
ンダの左右のシリンダ室に送給する構成であるが、車両
直進時等の非パワーアシスト状態においては左右のシリ
ンダ室の連通が油圧ポンプによって遮断され、左右のシ
リンダ室の圧力流体が所謂ロック状態となるため、この
ようなマニアル操舵領域での操舵が円滑に実施できず、
さらに、転舵輪の反力による操舵軸(ステアリングホイ
ール)の戻りも円滑に実施できない欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事実を考
慮し、操舵軸の操舵力に応じて迅速に補助駆動力を転舵
棒へ付与して操舵軸の操舵力を軽減することができるの
みならず、車両直進時等の非パワーアシスト状態におい
てもマニアル操舵が円滑に実施でき、さらには操舵軸
(ステアリングホイール)の戻りも円滑になる車両用操
舵装置を得ることが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明の車
両用操舵装置は、左右のナックルアームを連結し転舵輪
を転舵するための転舵棒と、ステアリングホイールが取
り付けられ自動調心形軸受によって支持されると共に前
記転舵棒に連結され、操舵力を前記転舵棒へ伝達して軸
線方向に駆動させると共に操舵反力により前記自動調心
形軸受を支点として揺動変位される操舵軸と、前記転舵
棒に設けられた補助操舵力用のパワーシリンダと、ポン
プ室が前記パワーシリンダの左右のシリンダ室に連通さ
れ、正逆方向に回転することにより前記ポンプ室から前
記シリンダ室への吐出液の送給方向を切換え可能な可逆
型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプを、前記操舵反力に
伴う前記操舵軸の変位に基づいた前記操舵軸の操舵状態
に応じて駆動する駆動手段と、前記油圧ポンプを介して
前記パワーシリンダの左右のシリンダ室を連通する油路
とは分離独立して設けられ、前記油圧ポンプを介するこ
となく前記パワーシリンダの左右のシリンダ室を独立し
て連通する分岐油路と、前記分岐油路に設けられ、前記
操舵軸の操舵状態に応じて前記分岐油路を開閉する開閉
手段と、を備えている。
【0007】請求項1記載の車両用操舵装置では、操舵
軸が操舵されると、操舵軸の操舵力は転舵棒へ伝達され
て、転舵棒が軸線方向に駆動され転舵輪が転舵される。
さらに、操舵軸が操舵されると操舵軸は操舵反力によっ
て変位され、これにより、駆動手段が作動して油圧ポン
プが駆動される。油圧ポンプによって発生した圧力流体
は、ポンプ室から油路を介してパワーシリンダのシリン
ダ室へ送給される。これにより、補助駆動力が転舵棒に
付与され、操舵軸の操舵力が軽減される。
【0008】さらにここで、パワーシリンダの左右のシ
リンダ室は油圧ポンプを介することなく分岐油路によっ
て連通されている。この場合、前述の如きパワーアシス
ト状態においては、分岐油路に設けられた開閉手段が操
舵軸の操舵状態に応じて作動されて分岐油路を閉鎖す
る。したがって、油圧ポンプによって発生した圧力流体
は、ポンプ室から油路を介してパワーシリンダのシリン
ダ室へ速やかに送給され、補助駆動力が転舵棒に付与さ
れる。
【0009】一方、車両直進時等の非パワーアシスト状
態においては、駆動手段すなわち油圧ポンプが停止さ
れ、油路による左右のシリンダ室の連通が油圧ポンプに
よって遮断される。しかしながら、分岐油路に設けられ
た開閉手段が操舵軸の操舵状態に応じて作動されて分岐
油路を開放し、左右のシリンダ室は分岐油路によって連
通される。したがって、左右のシリンダ室の圧力流体が
所謂ロック状態となることがなく、このようなマニアル
操舵領域での操舵が円滑に実施できる。さらに、操舵状
態からステアリングホイールを戻す場合においても、転
舵輪の反力により分岐油路を介して圧力流体を戻すこと
ができ、操舵軸(ステアリングホイール)の戻りも円滑
に行われる。
【0010】このように、請求項1記載の車両用操舵装
置では、操舵軸の操舵力に応じて迅速に補助駆動力を転
舵棒へ付与して操舵軸の操舵力を軽減することができる
のみならず、車両直進時等の非パワーアシスト状態にお
いてもマニアル操舵が円滑に実施でき、さらには操舵軸
(ステアリングホイール)の戻りも円滑になる。
【0011】請求項2に係る発明の車両用操舵装置は、
請求項1記載の車両用操舵装置において、前記駆動手段
は、前記操舵軸に対応して配置され操舵軸の変位に応じ
て操舵状態を検出する検出部と、前記検出部が検出した
操舵状態に応じて正逆方向に回転して前記油圧ポンプを
駆動するモータと、を備え、前記開閉手段は、前記分岐
油路を開閉可能に設けられると共に前記モータに連係さ
れ、前記モータの正逆方向の回転に応じて作動して前記
分岐油路を開閉するスプール弁を備える、ことを特徴と
している。
【0012】請求項2記載の車両用操舵装置では、操舵
軸が操舵され操舵反力によって変位されると、これが検
出部によって検出され、これに基づいてモータが正逆方
向に回転して油圧ポンプが駆動される。油圧ポンプによ
って発生した圧力流体は、ポンプ室から油路を介してパ
ワーシリンダのシリンダ室へ送給される。これにより、
補助駆動力が転舵棒に付与され、操舵軸の操舵力が軽減
される。
【0013】さらにこの場合、前述の如きパワーアシス
ト状態においては、分岐油路に設けられたスプール弁が
モータの正逆方向の回転に応じて作動して分岐油路を閉
鎖する。したがって、油圧ポンプによって発生した圧力
流体は、ポンプ室から油路を介してパワーシリンダのシ
リンダ室へ速やかに送給され、補助駆動力が転舵棒に付
与される。
【0014】一方、車両直進時等の非パワーアシスト状
態においては、モータすなわち油圧ポンプが停止され、
油路による左右のシリンダ室の連通が油圧ポンプによっ
て遮断される。しかしながら、分岐油路に設けられたス
プール弁がモータの停止状態に基づいて作動されて分岐
油路を開放し、左右のシリンダ室は分岐油路によって連
通される。したがって、左右のシリンダ室の圧力流体が
所謂ロック状態となることがなく、このようなマニアル
操舵領域での操舵が円滑に実施できる。さらに、転舵輪
の反力による操舵軸(ステアリングホイール)の戻りも
円滑に行われる。
【0015】このように、請求項2記載の車両用操舵装
置では、操舵軸の操舵力に応じて迅速に補助駆動力を転
舵棒へ付与して操舵軸の操舵力を軽減することができる
のみならず、車両直進時等の非パワーアシスト状態にお
いてもマニアル操舵が円滑に実施でき、さらには操舵軸
(ステアリングホイール)の戻りも円滑になる。また、
分岐油路を開閉するスプール弁はモータに連係して作動
する構成であるため、特別なセンサや電磁弁等が不要で
あり、簡単な構造で低コストになる。
【0016】請求項3に係る発明の車両用操舵装置は、
請求項1記載の車両用操舵装置において、前記駆動手段
は、一方向に回転すると共に前記油圧ポンプに係合可能
に配置され、軸線方向移動することにより前記油圧ポン
プとの係合状態を変更して前記油圧ポンプを正逆方向に
回転させる回転摩擦盤と、前記操舵軸と回転摩擦盤を連
結し前記操舵軸の変位に応じて前記回転摩擦盤を軸線方
向移動させる連結部材と、を備え、前記開閉手段は、前
記分岐油路を開閉可能に設けられると共に前記回転摩擦
盤に連係され、前記回転摩擦盤の軸線方向移動に応じて
作動して前記分岐油路を開閉するポペット弁を備える、
ことを特徴としている。
【0017】請求項3記載の車両用操舵装置では、操舵
軸が操舵され操舵反力によって変位されると、これが連
結部材を介して伝達されて回転摩擦盤が軸線方向に移動
される。これにより、油圧ポンプとの係合状態が変更さ
れて油圧ポンプが正逆方向に回転される。油圧ポンプに
よって発生した圧力流体は、ポンプ室から油路を介して
パワーシリンダのシリンダ室へ送給される。これによ
り、補助駆動力が転舵棒に付与され、操舵軸の操舵力が
軽減される。
【0018】さらにこの場合、前述の如きパワーアシス
ト状態においては、分岐油路に設けられたポペット弁が
回転摩擦盤の軸線方向移動に応じて作動して分岐油路を
閉鎖する。したがって、油圧ポンプによって発生した圧
力流体は、ポンプ室から油路を介してパワーシリンダの
シリンダ室へ速やかに送給され、補助駆動力が転舵棒に
付与される。
【0019】一方、車両直進時等の非パワーアシスト状
態においては、操舵軸の操舵状態が連結部材を介して伝
達されて回転摩擦盤は中立状態に復帰され、油圧ポンプ
と非係合状態となって油圧ポンプが停止され、油路によ
る左右のシリンダ室の連通が油圧ポンプによって遮断さ
れる。しかしながら、分岐油路に設けられたポペット弁
が回転摩擦盤の中立状態に基づいて作動されて分岐油路
を開放し、左右のシリンダ室は分岐油路によって連通さ
れる。したがって、左右のシリンダ室の圧力流体が所謂
ロック状態となることがなく、このようなマニアル操舵
領域での操舵が円滑に実施できる。さらに、転舵輪の反
力による操舵軸(ステアリングホイール)の戻りも円滑
に行われる。
【0020】このように、請求項3記載の車両用操舵装
置では、操舵軸の操舵力に応じて迅速に補助駆動力を転
舵棒へ付与して操舵軸の操舵力を軽減することができる
のみならず、車両直進時等の非パワーアシスト状態にお
いてもマニアル操舵が円滑に実施でき、さらには操舵軸
(ステアリングホイール)の戻りも円滑になる。また、
分岐油路を開閉するポペット弁は、機械的な連結部材を
介して操舵軸に連結された回転摩擦盤に連係して作動す
る構成であるため、特別なセンサや電磁弁等が不要であ
り、簡単な構造で低コストになる。
【0021】
【発明の実施の形態】図1には本発明の第1の実施の形
態に係る車両用操舵装置10の全体構成が断面図にて示
されており、図2乃至図4にはこの車両用操舵装置10
の主要部の詳細が断面図にて示されている。
【0022】車両用操舵装置10では、ハウジング12
内に配置された転舵棒14を備えている。この転舵棒1
4は、軸線方向両端部近傍がそれぞれブッシュ16によ
って支持されており、さらに、ナックルアームに連結さ
れたタイロッド(共に図示省略)を介して転舵輪に連結
されている。これにより、転舵棒14は軸線方向に移動
することによって転舵輪を転舵することができる。ま
た、転舵棒14にはラックギヤ18が形成されている.
また、ハウジング12には、操舵軸20が支持されてい
る。操舵軸20は、転舵棒14に略直交する向きに配置
され軸受22によってハウジング12に支持されてい
る。この軸受22は自動調心形とされており、操舵軸2
0はこの軸受22を支点として僅かに揺動可能である。
操舵軸20にはピニオン24が設けられており、転舵棒
14のラックギヤ18に噛み合っている。
【0023】また、ハウジング12には、転舵棒14に
対応してパワーシリンダ26が設けられている。パワー
シリンダ26は、転舵棒14に固着されたピストン28
を備えており、このピストン28によって互いに隔離さ
れたシリンダ室30、シリンダ室32が設けられてい
る。
【0024】操舵軸20の先端部には、これに対応して
検出手段としての一対のリミットスイッチ34A、34
Bが配置されている。リミットスイッチ34A、34B
は、操舵軸20の先端部に係合することにより操舵軸2
0の操舵状態(左右の切り換え状態)を検出可能となっ
ている。このリミットスイッチ34A、34Bはコント
ローラ36に接続されている。
【0025】一方、パワーシリンダ26のシリンダ室3
0、シリンダ室32は、ポンプユニット38のトロコイ
ドポンプ40に接続されている。図2乃至図4に詳細に
示す如く、トロコイドポンプ40は内歯車42と外歯車
44から構成されており、内歯車42は回転支軸を兼ね
る開閉手段としてのスプール弁46によって支持されて
いる。この内歯車42はスプール弁46と一体回転する
と共に、スプール弁46は軸線方向に沿ってスライド移
動(内歯車42と相対移動)可能となっている。また、
トロコイドポンプ40にはポート(油路)48、ポート
(油路)50が形成されており、一方のポート48がシ
リンダ室30に接続され他方のポート50がシリンダ室
32に接続されている。
【0026】また、ポンプユニット38のハウジング3
9には、分岐油路52及び分岐油路54が形成されてい
る。分岐油路52は一方のポート48に連通されると共
に分岐油路54は他方のポート50に連通されており、
互いの連通部分は弁室56が形成されている。これによ
り、パワーシリンダ26のシリンダ室30とシリンダ室
32は、トロコイドポンプ40を介することなく、分岐
油路52及び分岐油路54によって独立して連通されて
いる。
【0027】分岐油路52と分岐油路54の連通部分に
設けられた弁室56には、前述したスプール弁46の弁
部47が位置しており、スプール弁46が軸線方向にス
ライド移動することにより、分岐油路52と分岐油路5
4の連通を開放または遮断することができる。また、前
記弁室56はリザーバタンク58に連通されている。リ
ザーバタンク58には、ピストン60及びバネ62が設
けられており、内部の作動油を常に加圧している。この
ため、リザーバタンク58に連通する弁室56に位置す
る前述したスプール弁46は、常に反弁室56方向すな
わち、分岐油路52と分岐油路54の連通を開放する方
向(図2紙面右方向)へ加圧付勢されて位置している。
【0028】また、一方の分岐油路52は、チェック弁
64を介してリザーバタンク58に接続されており、さ
らに、他方の分岐油路54は、チェック弁66を介して
リザーバタンク58に接続されている。さらに、分岐油
路52と分岐油路54には、一対のリリーフ弁68、7
0が設けられており、ポート48、50から送給される
作動油の異常圧力(過負荷)を防止するようになってい
る。
【0029】トロコイドポンプ40の回転支軸を兼ねる
スプール弁46の基端部(弁部47と反対側端部)は、
ハウジング39から外部に突出されており、カム機構部
72を介してモータ74の回転軸に接続されている。カ
ム機構部72は、スプール弁46に設けられた立体カム
76と、モータ回転軸に設けられたカムフォロア78と
によって構成されている。立体カム76はU字形に切欠
かれて形成されており、この立体カム76内にカムフォ
ロア78が入り込んでいる。このため、モータ回転軸と
共にカムフォロア78が回転すると、スプール弁46す
なわち内歯車42が回転されてトロコイドポンプ40が
駆動されると共に、カムフォロア78が立体カム76の
傾斜面を登り上がり、スプール弁46が軸線に沿って弁
室56方向すなわち、分岐油路52と分岐油路54の連
通を遮断する方向(図2紙面左方向)へ移動される構成
である。
【0030】なお、前記カム機構部72の構成として
は、既に本出願人が特願平5−117329号(特開平
6−321123号公報)、あるいは特願平5−491
68号(特開平6−255508号公報)等に詳細に提
案したものが適用可能である。
【0031】また、モータ74はコントローラ36に接
続されており、車速に応じて回転速度が制御されてい
る。
【0032】次に本実施の形態の作用を説明する。上記
構成の車両用操舵装置10では、車両直進時(すなわ
ち、操舵軸20が中立状態)においては、操舵軸20の
先端部は何れのリミットスイッチ34A、34Bとも非
係合状態であり、このためモータ74(トロコイドポン
プ40)は不作動である。したがって、トロコイドポン
プ40の何れのポート48、ポート50からも作動油は
供給されない。また、この状態では、図2に示す如くリ
ザーバタンク58に連通する弁室56に弁部47が位置
するスプール弁46には、バネ62(ピストン60)に
よる加圧力が作用しており、これにより、反弁室56方
向(図2紙面右方向)に位置して、分岐油路52と分岐
油路54の連通を開放している。
【0033】操舵軸20が左右何れかの方向に操舵され
ると、例えば、図1矢印A方向にて示す如く右切り時に
は、操舵軸20の操舵力はピニオン24及びラックギヤ
18を介して転舵棒14へ伝達されて、転舵棒14が軸
線方向(矢印B方向)に駆動され転舵輪が転舵される。
【0034】この場合、操舵軸20の操舵直後において
は、転舵棒14(すなわち、タイヤ側)の抵抗が大きい
ため転舵棒14は不動であり、このため操舵軸20が軸
受22を支点として僅かに揺動する。このため、操舵軸
20の先端部が一方のリミットスイッチ34Aに係合し
てリミットスイッチ34AがONし、操舵軸20の右切
り状態が検出される。この検出信号によってコントロー
ラ36がモータ74を作動させ、モータ74の回転軸が
回転する。モータ74が作動すると、カムフォロア78
が立体カム76を押圧してスプール弁46すなわちトロ
コイドポンプ40の内歯車42が回転されて作動油が昇
圧される。
【0035】またこれと同時に、モータ回転軸と共にカ
ムフォロア78が回転すると、カムフォロア78が立体
カム76の傾斜面を登り上がり、スプール弁46が軸線
に沿って弁室56方向へ移動され、図4に示す如く分岐
油路52と分岐油路54の連通(弁室56)を遮断す
る。
【0036】これにより、作動油が一方のポート48か
らパワーシリンダ26のシリンダ室30へ送給されると
共に、シリンダ室32からポート50を介して戻され
る。これによって、右切り方向(図1矢印B方向)の補
助駆動力が転舵棒14に付与され、操舵軸20の操舵力
が軽減される。
【0037】またさらに、この状態から例えば据え切り
等の高圧状態になると、作動油は更に圧縮されるため低
圧側(他方のポート50の側)の作動油が不足するが、
高圧側と低圧側の圧力差によって、他方の分岐油路54
のチェック弁66が開放され、リザーバタンク58から
作動油が補給される。
【0038】一方、操舵軸20が左方向(図1矢印E方
向)に操舵されると、操舵軸20の操舵力はピニオン2
4及びラックギヤ18を介して転舵棒14へ伝達され
て、転舵棒14が軸線方向(矢印F方向)に駆動され転
舵輪が転舵される。
【0039】この場合にも、操舵軸20の操舵直後にお
いては、転舵棒14(すなわち、タイヤ側)の抵抗が大
きいため転舵棒14は不動であり、このため操舵軸20
が軸受22を支点として僅かに揺動する。このため、操
舵軸20の先端部が他方のリミットスイッチ34Bに係
合してリミットスイッチ34BがONし、操舵軸20の
左切り状態が検出される。この検出信号によってコント
ローラ36がモータ74を作動させ、モータ74の回転
軸が前述とは逆向きに回転する。モータ74が作動する
と、カムフォロア78が立体カム76を押圧してスプー
ル弁46すなわちトロコイドポンプ40の内歯車42が
回転されて作動油が昇圧される。
【0040】またこれと同時に、モータ回転軸と共にカ
ムフォロア78が回転すると、カムフォロア78が立体
カム76の傾斜面を登り上がり、スプール弁46が軸線
に沿って弁室56方向へ移動され、分岐油路52と分岐
油路54の連通(弁室56)を遮断する。
【0041】これにより、作動油が他方のポート50か
らパワーシリンダ26のシリンダ室32へ送給されると
共に、シリンダ室30からポート48を介して戻され
る。これによって、左切り方向(図1矢印F方向)の補
助駆動力が転舵棒14に付与され、操舵軸20の操舵力
が軽減される。
【0042】またさらに、この状態から例えば据え切り
等の高圧状態になると、作動油は更に圧縮されるため低
圧側(一方のポート48の側)の作動油が不足するが、
高圧側と低圧側の圧力差によって、一方の分岐油路52
のチェック弁64が開放され、リザーバタンク58から
作動油が補給される。
【0043】以上の如く、車両用操舵装置10では、操
舵軸20が操舵され操舵反力によって変位されると、こ
れがリミットスイッチ34Aまたはリミットスイッチ3
4Bによって検出され、これに基づいてモータ74が正
逆方向に回転してトロコイドポンプ40が駆動され、高
圧の作動油がポート48またはポート50からパワーシ
リンダ26のシリンダ室30、シリンダ室32へ送給さ
れる。これにより、補助駆動力が転舵棒14に付与さ
れ、操舵軸20の操舵力が軽減される。
【0044】さらにこの場合、前述の如きパワーアシス
ト状態においては、分岐油路52と分岐油路54の連通
部分(弁室56)に設けられたスプール弁46がモータ
74の正逆方向の回転に応じて作動して分岐油路52と
分岐油路54の連通(弁室56)を閉鎖する。したがっ
て、トロコイドポンプ40によって発生した高圧の作動
油は、ポート48またはポート50からパワーシリンダ
26のシリンダ室30、シリンダ室32へ速やかに送給
され、補助駆動力が転舵棒14に付与される。
【0045】一方、車両直進時等の非パワーアシスト状
態においては、モータ74すなわちトロコイドポンプ4
0が停止され、ポート48とポート50による左右のシ
リンダ室30、シリンダ室32の連通がトロコイドポン
プ40によって遮断される。しかしながら、分岐油路5
2と分岐油路54の連通部分(弁室56)に設けられた
スプール弁46が、モータ74の停止状態に基づいて、
換言すればスプール弁46にはバネ62(ピストン6
0)による加圧力が作用しているため、図2に示す如く
スプール弁46は反弁室56方向(図2紙面右方向)に
位置して、分岐油路52と分岐油路54の連通を開放
し、左右のシリンダ室30、シリンダ室32は分岐油路
52と分岐油路54によって連通される。したがって、
左右のシリンダ室30、シリンダ室32の作動油が所謂
ロック状態となることがなく、このようなマニアル操舵
領域での操舵が円滑に実施できる。さらに、転舵輪の反
力による操舵軸20(ステアリングホイール)の戻りも
円滑に行われる。
【0046】このように、車両用操舵装置10では、操
舵軸20の操舵力に応じて迅速に補助駆動力を転舵棒1
4へ付与して操舵軸20の操舵力を軽減することができ
るのみならず、車両直進時等の非パワーアシスト状態に
おいてもマニアル操舵が円滑に実施でき、さらには操舵
軸20(ステアリングホイール)の戻りも円滑になる。
また、分岐油路52と分岐油路54の連通(弁室56)
を開閉するスプール弁46は、ポンプ駆動用のモータ7
4に連係して作動する構成であるため、特別なセンサや
電磁弁等が不要であり、簡単な構造で低コストになる。
【0047】なお、前述した第1の実施の形態において
は、検出手段としての一対のリミットスイッチ34A、
34Bを操舵軸20の先端部に対応して配置し、操舵軸
20の先端部に係合することにより操舵反力による操舵
軸20の先端部の揺動に伴う変位により操舵軸20の操
舵状態(左右の切り換え状態)を検出する構成とした
が、これに限らず、例えば操舵軸20に操舵トルクセン
サ(歪センサ)や舵角センサを取り付けこれにより操舵
反力による操舵軸20の先端部の揺動に伴う変位に基づ
いた操舵軸20の操舵状態を検出する構成としてもよ
い。
【0048】次に、本発明の他の実施の形態を説明す
る。なお、前記第1の実施の形態と基本的に同一の部品
には前記第1の実施の形態と同一の符号を付与し、その
説明を省略する。
【0049】図5には本発明の第2の実施の形態に係る
車両用操舵装置90の全体構成が断面図にて示されてい
る。
【0050】車両用操舵装置90では、入力軸としての
操舵軸20が転舵棒14に略直交する向きに配置され、
軸受92によってハウジング12に支持されている。こ
の軸受92は自動調心形とされており、操舵軸20はこ
の軸受92を支点として僅かに揺動可能である。操舵軸
20にはローラ94が一体的に取り付けられている。こ
のローラ94と転舵棒14には、可撓性長尺体としての
ベルト96が連結されている。ベルト96は、長手方向
中間部が滑りが阻止された状態でローラ94に巻き掛け
られると共に、両端部がそれぞれ転舵棒14に連結固定
されている。
【0051】また、車両用操舵装置90では、ポンプユ
ニット98を備えており、ギヤポンプ100が設けられ
ている。図6及び図7に詳細に示す如く、ギヤポンプ1
00は、一対の歯車から構成されており、一方の歯車1
02は回転支軸を兼ねる開閉手段としてのポペット弁1
04によって支持されている。この歯車102はポペッ
ト弁104と一体回転すると共に、ポペット弁104は
軸線方向に沿ってスライド移動(歯車102と相対移
動)可能となっている。また、ギヤポンプ100のハウ
ジング101にはポート106、108が設けられてお
り、一方のポート106がパワーシリンダ26のシリン
ダ室30に接続されると共に、他方のポート108がシ
リンダ室32に接続されている。
【0052】また、ギヤポンプ100のハウジング10
1には、分岐油路110及び分岐油路112が形成され
ている。分岐油路110は一方のポート106に連通さ
れると共に分岐油路112は他方のポート108に連通
されており、互いの連通部分は弁室114が形成されて
いる。これにより、パワーシリンダ26のシリンダ室3
0とシリンダ室32は、ギヤポンプ100を介すること
なく、分岐油路110及び分岐油路112によって独立
して連通されている。
【0053】分岐油路110と分岐油路112の連通部
分に設けられた弁室114には、前述したポペット弁1
04の弁部105が位置しており、ポペット弁104が
軸線方向にスライド移動することにより、分岐油路11
0と分岐油路112の連通を開放または遮断することが
できる。また、前記弁室114はリザーバタンク116
に連通されている。また、一方の分岐油路110は、チ
ェック弁118を介してリザーバタンク116に接続さ
れており、さらに、他方の分岐油路112は、チェック
弁120を介してリザーバタンク116に接続されてい
る。
【0054】以上の構成のギヤポンプ100は、ポンプ
ユニット98のハウジング99に固定されている。ま
た、ギヤポンプ100の回転支軸を兼ねるポペット弁1
04の基端部(弁部105と反対側端部)は、ハウジン
グ99内に突出されており、さらに、ポンププーリ12
2が一体的に取り付けられている。このポンププーリ1
22は、円錐台形に形成されている。ポンププーリ12
2とハウジング99との間にはバネ124が設けられて
おり、常にポンププーリ122を加圧している。このた
め、リザーバタンク116に連通する弁室114に位置
する前述したポペット弁104は、常に反弁室114方
向すなわち、分岐油路110と分岐油路112の連通
(弁室114)を開放する方向(図6紙面下方向)へ加
圧付勢されて位置している。
【0055】また、ハウジング99内のポンププーリ1
22の近傍には、駆動手段としての回転摩擦盤126が
配置されている。回転摩擦盤126は回転軸128に取
り付けられており、さらに回転軸128は軸受130に
よってハウジング99に支持されている。この回転摩擦
盤126は、回転軸128と一体回転しかつ軸線方向に
相対移動可能となっている。また、回転摩擦盤126は
所謂糸巻形に形成されており、互いに離間して対向し合
う一対の接触部132、接触部134が形成されてい
る。これらの接触部132と接触部134との間に、ギ
ヤポンプ100のポンププーリ122が位置し互いに対
向し合う状態で配置されている。この場合、回転摩擦盤
126の接触部132と接触部134は、通常は何れも
ポンププーリ122から離間して非接触状態となってお
り、回転摩擦盤126が回転軸128に沿って移動した
場合に、接触部132または接触部134の何れか一方
がポンププーリ122に摩擦接触可能とされている。
【0056】また、回転摩擦盤126の回転軸128に
は、図示しないエンジンあるいはモータ等の駆動源に接
続されたプーリー136が固定されており、一方向に回
転されるようになっている。これにより、回転摩擦盤1
26の接触部132または接触部134の何れか一方が
ポンププーリ122に摩擦接触することで、ギヤポンプ
100に回転力を伝達して正逆方向に回転させることが
できる構成である。
【0057】一方、前述の如き構成の回転摩擦盤126
を支持するハウジング99には、揺動アーム138が配
置されている。揺動アーム138は、支軸140によっ
て揺動可能にハウジング99に支持されており、一端部
は回転摩擦盤126に連結されている。このため、揺動
アーム138が揺動することにより、回転摩擦盤126
が回転軸128に沿って移動される構成である。
【0058】さらに、揺動アーム138の他端部には、
連結部材としてのプッシュプルケーブル142が連結さ
れている。このプッシュプルケーブル142は、全体と
して無端状とされており、揺動アーム138に対向する
他の中間部分は、操舵軸20の先端(軸受92と反対側
の端部)に設けられた連結部144に連結されている。
このため、操舵軸20が軸受92を支点として揺動する
と、連結部144の変位に伴って揺動アーム138が揺
動される構成である。
【0059】上記構成の車両用操舵装置90では、車両
直進時(すなわち、操舵軸20が中立状態)において
は、回転摩擦盤126の接触部132及び接触部134
は何れもポンププーリ122から離間して非接触状態と
なっている。したがって、回転摩擦盤126の回転力は
ポンププーリ122へ伝達されず、ギヤポンプ100は
非作動状態で、何れのポート106、ポート108から
も作動油は供給されない。
【0060】操舵軸20が左右何れかの方向に操舵され
ると(例えば、図5矢印A方向にて示す如く、右切り時
には)、操舵軸20の操舵力はベルト96を介して転舵
棒14へ伝達されて、転舵棒14が軸線方向(矢印B方
向)に駆動され転舵輪が転舵される。
【0061】この場合、操舵軸20の操舵直後において
は、転舵棒14(すなわち、タイヤ側)の抵抗が大きい
ため転舵棒14は不動であり、このため操舵軸20が軸
受92を支点として僅かに揺動し(図5矢印C方向)、
操舵軸20の連結部144が変移される。このため、連
結部144の変移がプッシュプルケーブル142を介し
て伝達されて揺動アーム138が支軸140周りに揺動
され、これにより回転摩擦盤126が回転軸128に沿
って移動される。これにより、図7に示す如く、回転摩
擦盤126の一方の接触部132がポンププーリ122
に摩擦接触され、回転摩擦盤126の回転力がポンププ
ーリ122へ伝達されてギヤポンプ100が駆動され、
作動油が昇圧される。
【0062】またこれと同時に、回転摩擦盤126の接
触部132がポンププーリ122に摩擦接触すると、ポ
ンププーリ122が押圧されてポペット弁104がバネ
124の付勢力に抗して軸線に沿って弁室114方向へ
移動され、分岐油路110と分岐油路112の連通(弁
室114)を遮断する。
【0063】このため、作動油が一方のポート106か
らパワーシリンダ26のシリンダ室30へ送給されると
共に、シリンダ室32からポート108を介して戻され
る。これにより、右切り方向(矢印B方向)の補助駆動
力が転舵棒14に付与され、操舵軸20の操舵力が軽減
される。
【0064】またさらに、この状態から例えば据え切り
等の高圧状態になると、作動油は更に圧縮されるため低
圧側(他方のポート108の側)の作動油が不足する
が、高圧側と低圧側の圧力差によって、他方の分岐油路
112のチェック弁120が開放され、リザーバタンク
116から作動油が補給される。
【0065】一方、左切り時においては、前述と同様の
作用により操舵軸20が軸受92を支点として前述とは
逆向きに揺動する(図5矢印E方向)。このため、揺動
アーム138が前述とは逆向きに支軸140周りに揺動
され、回転摩擦盤126が前述とは逆向きに回転軸12
8に沿って移動される。これにより、回転摩擦盤126
の他方の接触部134がポンププーリ122に摩擦接触
され、回転摩擦盤126の回転力がポンププーリ122
へ伝達されてギヤポンプ166が駆動される。この場
合、回転摩擦盤126の回転方向は一方向とされてお
り、回転摩擦盤126の他方の接触部134がポンププ
ーリ122に摩擦接触して駆動させるため、ギヤポンプ
100は実質的に前述とは逆向きに駆動される。
【0066】またこれと同時に、回転摩擦盤126の接
触部134がポンププーリ122に摩擦接触すると、ポ
ンププーリ122が押圧されてポペット弁104がバネ
124の付勢力に抗して軸線に沿って弁室114方向へ
移動され、分岐油路110と分岐油路112の連通(弁
室114)を遮断する。
【0067】このため、作動油がポート108からパワ
ーシリンダ26のシリンダ室32へ送給されると共に、
シリンダ室30からポート106を介して戻される。こ
れにより、左切り方向(矢印F方向)の補助駆動力が転
舵棒14に付与され、操舵軸20の操舵力が軽減され
る。
【0068】以上の如く、車両用操舵装置90では、前
述の如きパワーアシスト状態においては、分岐油路11
0と分岐油路112の連通部分(弁室114)に設けら
れたポペット弁104が回転摩擦盤126の軸線方向移
動に応じて作動して分岐油路110と分岐油路112の
連通を閉鎖する。したがって、ギヤポンプ100によっ
て発生した作動油は、ポート106またはポート108
を介してパワーシリンダ26のシリンダ室30、シリン
ダ室32へ速やかに送給され、補助駆動力が転舵棒14
に付与される。
【0069】一方、車両直進時等の非パワーアシスト状
態においては、操舵軸20の操舵状態がプッシュプルケ
ーブル142を介して伝達されて回転摩擦盤126は中
立状態に復帰され、ギヤポンプ100(ポンププーリ1
22)と非係合状態となってギヤポンプ100が停止さ
れ、シリンダ室30とシリンダ室32の連通がギヤポン
プ100によって遮断される。しかしながら、分岐油路
110と分岐油路112の連通部分(弁室114)に設
けられたポペット弁104が回転摩擦盤126の中立状
態に基づいて(バネ124の付勢力によって)作動され
て弁室114を開放し、左右のシリンダ室30とシリン
ダ室32は分岐油路110と分岐油路112によって連
通される。したがって、左右のシリンダ室30とシリン
ダ室32の作動油が所謂ロック状態となることがなく、
このようなマニアル操舵領域での操舵が円滑に実施でき
る。さらに、転舵輪の反力による操舵軸20(ステアリ
ングホイール)の戻りも円滑に行われる。
【0070】このように、本実施の形態に係る車両用操
舵装置90では、操舵軸20の操舵力に応じて迅速に補
助駆動力を転舵棒14へ付与して操舵軸20の操舵力を
軽減することができるのみならず、車両直進時等の非パ
ワーアシスト状態においてもマニアル操舵が円滑に実施
でき、さらには操舵軸20(ステアリングホイール)の
戻りも円滑になる。また、分岐油路110と分岐油路1
12の連通部分(弁室114)を開閉するポペット弁1
04は、機械的なプッシュプルケーブル142を介して
操舵軸20に連結された回転摩擦盤126に連係して作
動する構成であるため、特別なセンサや電磁弁等が不要
であり、簡単な構造で低コストになる。
【0071】なお、分岐油路110と分岐油路112の
連通部分(弁室114)を開閉するポペット弁104
は、他の形状の圧力制御弁であってもよく、また、ギヤ
ポンプ100から送給される作動油の圧力補償を行うた
めに、リリーフ弁を設けてもよい。図8乃至図11には
この場合の一例が示されている。
【0072】図8乃至図11に示す如く、ギヤポンプ1
50では、ポート106、108に一対のリリーフ弁1
52、154が設けられており、ポート106、108
から送給される作動油の異常圧力(過負荷)を防止する
ようになっている。
【0073】このギヤポンプ150では、車両直進時等
の非パワーアシスト状態においては、図8に示す如く、
分岐油路110と分岐油路112の連通部分(弁室11
4)に設けられたポペット弁156が弁室114を開放
しており、分岐油路110と分岐油路112は連通され
ている。
【0074】ギヤポンプ150が駆動され、作動油が昇
圧されると、図9に示す如く、ポペット弁156が次第
に軸線に沿って弁室114方向へ移動され、分岐油路1
10と分岐油路112の連通(弁室114)を次第に閉
鎖する。したがって、この状態においては、一方のポー
ト106内の作動油が次第に高圧になると共に、弁室1
14からリザーバタンク116及び分岐油路112へ若
干の作動油が流出される。
【0075】ポペット弁156の移動が進行し、図10
に示す如く分岐油路110と分岐油路112の連通(弁
室114)を遮断すると、高圧の作動油が一方のポート
106から送給される。
【0076】また、この状態から例えば据え切り等の高
圧状態になると、作動油は更に圧縮されるため低圧側
(他方のポート108の側)の作動油が不足するが、図
11に示す如く高圧側と低圧側の圧力差によって、他方
の分岐油路112のチェック弁120が開放され、リザ
ーバタンク116から作動油が補給される。さらに、高
圧側の分岐油路110のリリーフ弁152が開放されて
圧力補償される。
【0077】
【発明の効果】以上説明した如く本発明に係る車両用操
舵装置は、操舵軸の操舵力に応じて迅速に補助駆動力を
転舵棒へ付与して操舵軸の操舵力を軽減することができ
るのみならず、車両直進時等の非パワーアシスト状態に
おいてもマニアル操舵が円滑に実施でき、さらには操舵
軸(ステアリングホイール)の戻りも円滑になるという
優れた効果を有している。。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両用操舵装
置の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車両用操舵装
置のポンプユニットの詳細を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る車両用操舵装
置のトロコイドポンプの詳細を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る車両用操舵装
置のポンプユニットの詳細を示しパワーアシスト状態に
おける断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る車両用操舵装
置の全体構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る車両用操舵装
置のポンプユニットの詳細を示し非パワーアシスト状態
における断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る車両用操舵装
置のポンプユニットの詳細を示しパワーアシスト状態に
おける断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る車両用操舵装
置のギヤポンプの変形例を示し中立時における断面図で
ある。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る車両用操舵装
置のギヤポンプの変形例を示し低圧時における断面図で
ある。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る車両用操舵
装置のギヤポンプの変形例を示し高圧時における断面図
である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る車両用操舵
装置のギヤポンプの変形例を示し圧力リリーフ時におけ
る断面図である。
【符号の説明】
10 車両用操舵装置 14 転舵棒 20 操舵軸 26 パワーシリンダ 30 シリンダ室 32 シリンダ室 34A リミットスイッチ(検出部) 34B リミットスイッチ(検出部) 38 ポンプユニット 40 トロコイドポンプ(油圧ポンプ) 46 スプール弁(開閉手段) 47 弁部 48 ポート 50 ポート 52 分岐油路 54 分岐油路 56 弁室 74 モータ(駆動手段) 90 車両用操舵装置 98 ポンプユニット 100 ギヤポンプ(油圧ポンプ) 104 ポペット弁(開閉手段) 105 弁部 106 ポート 108 ポート 110 分岐油路 112 分岐油路 114 弁室 126 回転摩擦盤(駆動手段) 132 接触部 134 接触部 138 揺動アーム 142 プッシュプルケーブル(連結部材)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右のナックルアームを連結し転舵輪を
    転舵するための転舵棒と、 ステアリングホイールが取り付けられ自動調心形軸受に
    よって支持されると共に前記転舵棒に連結され、操舵力
    を前記転舵棒へ伝達して軸線方向に駆動させると共に操
    舵反力により前記自動調心形軸受を支点として揺動変位
    される操舵軸と、 前記転舵棒に設けられた補助操舵力用のパワーシリンダ
    と、 ポンプ室が前記パワーシリンダの左右のシリンダ室に連
    通され、正逆方向に回転することにより前記ポンプ室か
    ら前記シリンダ室への吐出液の送給方向を切換え可能な
    可逆型の油圧ポンプと、 前記油圧ポンプを、前記操舵反力に伴う前記操舵軸の変
    位に基づいた前記操舵軸の操舵状態に応じて駆動する駆
    動手段と、 前記油圧ポンプを介して前記パワーシリンダの左右のシ
    リンダ室を連通する油路とは分離独立して設けられ、前
    記油圧ポンプを介することなく前記パワーシリンダの左
    右のシリンダ室を独立して連通する分岐油路と、 前記分岐油路に設けられ、前記操舵軸の操舵状態に応じ
    て前記分岐油路を開閉する開閉手段と、 を備えた車両用操舵装置。
  2. 【請求項2】 前記駆動手段は、前記操舵軸に対応して
    配置され操舵軸の変位に応じて操舵状態を検出する検出
    部と、前記検出部が検出した操舵状態に応じて正逆方向
    に回転して前記油圧ポンプを駆動するモータと、を備
    え、 前記開閉手段は、前記分岐油路を開閉可能に設けられる
    と共に前記モータに連係され、前記モータの正逆方向の
    回転に応じて作動して前記分岐油路を開閉するスプール
    弁を備える、 ことを特徴とする請求項1記載の車両用操舵装置。
  3. 【請求項3】 前記駆動手段は、一方向に回転すると共
    に前記油圧ポンプに係合可能に配置され、軸線方向移動
    することにより前記油圧ポンプとの係合状態を変更して
    前記油圧ポンプを正逆方向に回転させる回転摩擦盤と、
    前記操舵軸と回転摩擦盤を連結し前記操舵軸の変位に応
    じて前記回転摩擦盤を軸線方向移動させる連結部材と、
    を備え、 前記開閉手段は、前記分岐油路を開閉可能に設けられる
    と共に前記回転摩擦盤に連係され、前記回転摩擦盤の軸
    線方向移動に応じて作動して前記分岐油路を開閉するポ
    ペット弁を備える、 ことを特徴とする請求項1記載の車両用操舵装置。
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