JP3142882U - 保持部材、可動機構、揺動機構及びマルチ式ワイヤソー - Google Patents

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Abstract

【課題】ネジに係合するナットを固定保持できかつ取付対象物側からみて前記ナットをフローティングで保持することが可能な、高荷重高精度に対応できる保持部材及びこれを用いた機構を提供する。
【解決手段】回転駆動源と、軸受に保持され、前記回転駆動源によって回転するボールネジ94と、ボールネジ94に係合するボールナット95と、ボールナット95を固定保持しボールネジ94の回転運動をボールナットによって変換した直動運動をする保持部材100と、保持部材100に固定された移動部材とを有し、保持部材100は、ボールナット95の固定保持部104と、前記移動部材への固定部としての被動部取付面105との間にスリット溝102,103を形成してあり、保持部材100の弾性変形により前記直動運動の軌跡と前記移動部材の軌跡に差異を有することが可能である
【選択図】図1

Description

本考案は、ネジに係合するナットを固定保持する保持部材、該保持部材を用いた可動機構(フローティングジョイント)及び揺動機構、及び該揺動機構を用いたマルチ式ワイヤソーに係り、とくに各種ワーク(被加工物)を加工(切断、切り込み等)する際の加工ピッチを微細に変えるピッチ可変式加工方法等に適用可能な保持部材、可動機構、揺動機構及びマルチ式ワイヤソーに関する。
従来、基板状のワーク、例えば積層チップ部品等を作製するためのセラミックグリーンシートの切断方法として、主なもので、(1)押切り切断、(2)ブレード切断等が挙げられる。
(1) 押切り切断はシャー角を持たない切断刃を、積層されたセラミックグリーンシートに押し付けて切り込みを入れる方法である。
(2) ブレード切断は回転刃によって、積層されたセラミックグリーンシートに切り込みを入れる方法である。
両者共、セラミックグリーンシートを載置したテーブルが、チップサイズ(セラミックグリーンシートを切断するサイズ)に合わせた所定ピッチで移動することにより切断位置を規定する。これらの方法は、切り込みを一箇所づつ順番に入れるため、工程のリードタイムという点で不利である。
セラミックグリーンシート切断における問題点、その1として、セラミックグリーンシートは、
(1) 電極パターンの寸法誤差、
(2) 積層時の積層誤差、
(3) 圧着時の歪み誤差が含まれていることが挙げられる。
それらの誤差が存在するため、定寸切断(例えば、ワークテーブルの移動距離を定寸とする)では切出されたチップ部品から、内部電極パターンがはみ出る等の不良発生につながる。従って、これらの寸法誤差を見込んだ上で切断位置を補正しながら切断を行う作業が必要となり、このことから固定ピッチとなるマルチスライサ(所定ピッチの複数枚の回転刃を具備)等の使用は困難であり、逐次加工による方法に頼らざる得ず、上記工程のリードタイムの短縮を図る上で障害となっている。
セラミックグリーンシート切断における問題点、その2として、製品の小型化が挙げられる。つまり、近年の電子機器の軽薄短小化に伴い、機器に使用されるチップ部品の寸法は、1005(1.0×0.5×0.5mm)を下回り、0402(0.4×0.2×0.2mm)と小型化してきている。従って、上述の押切り切断では狭ピッチ切断及び加工負荷による切断面の歪みやゆがみが生じ、また、ブレード切断ではチッピングによる欠けや破損等の問題が生じる等、加工歩留りの低下が目立ってきている。
一方、ワイヤソーは、ワイヤに砥粒を付着させ(砥粒と切削油の混合物である遊離砥粒を走行ワイヤにかける場合と、砥粒をワイヤに直接付着させた固定砥粒の場合がある)、その砥粒によって半導体インゴット等のワークを切断する方式のため、押し切り切断の加工負荷やブレード切断の高速回転刃による問題点の発生を解決できると期待されている。
また、加工ピッチに合わせた溝加工が施された複数本のワークローラー間に1本のワイヤを螺旋状に巻き付けてワイヤ列を形成し、ワイヤを走行させることによってワークを加工するマルチ式ワイヤソーも知られている。マルチ式ワイヤソーの利点は狭ピッチの切断や加工を一度に多数箇所(ワイヤ列のワイヤ本数分)行える点にあり、電子部品の切断や溝加工にも広く用いられている。このマルチ式ワイヤソーは、セラミックグリーンシート切断工程のリードタイム削減の可能性を持っている。
しかし、マルチ式ワイヤソーは、決められたピッチでの切断や加工に適しているが、寸法誤差を持ったワークに合わせて加工ピッチを変化させることは難しい。独立した複数のワークローラーを設けピッチを変化させる事は可能だが、加工ピッチが小さい場合は困難である。
つまり、現状のマルチ式ワイヤソーでは、上記セラミックグリーンシートの持つ寸法誤差(シート毎に寸法誤差がある)を補正する方法は提示されておらず、現状のままのマルチ式ワイヤソーではセラミックグリーンシートの切断の実用化は困難である。
そこで、本出願人は下記特許文献1において、一対のワークローラを平行に揺動させることで、ワイヤピッチを変化させる方法を開示している。
特開2005−14126号公報
この特許文献1では、図8(A),(B)のように、2本のワークローラ1,2は水平面内で平行状態を維持して傾斜可能であり、ワークローラ1,2を水平面内において平行配置状態に保ち、ワイヤ列WLの走行方向に対して直角(ワークローラの傾斜角度α=0°)になるよう設定したときワイヤピッチは最大であり、この条件下で切断されるワーク10の加工ピッチの寸法も最大となる(図8中、2点鎖線位置)。また、ワークローラ1,2の中心軸を水平面内で左右方向に傾斜角度α(α>0)だけ傾斜させたとき(ワークローラの中心軸がワイヤ列WLの走行方向に対して非直角となるとき)、平面視ワイヤ列は傾斜角度αを0°とした2点鎖線から実線のように変化する(ワイヤ間隔が狭まる、つまりワイヤピッチが減少する)。このような傾斜角度αの条件下でワイヤ列WLで切断されたワークの加工ピッチ寸法は、傾斜角ゼロの時のcosα倍となる。
ところで、ワイヤソーのワークローラにワイヤを多条に巻くと、そのテンションは非常に大きなものとなり、且つワークローラは片持ちの軸受構造にならざるを得ないので、その軸受部は非常に強固な構造が必要となる。
また、この方法を用いてワイヤピッチを変化させる場合、駆動源との接続にガタがあると制御系が指示する変化量を得ることができない可能性がある。このため、ワークローラを揺動させる機構にはワークローラの確実な保持(がたつきなく高荷重に耐え得る保持)を維持しつつワークローラを正確に揺動させることが要求される。
ワークローラを平行に揺動させてワイヤピッチを補正する駆動源として、仮にサーボモータ及びボールネジを用いた直動機構を用いる場合、前記直動機構の直動運動の軌跡と前記ワークローラを揺動させるための移動部材の軌跡(ワークローラが揺動するため単純な直動運動にはならない)に差異を生じる(差異が生じる理由は本考案の実施の形態で後述する)。
このように、駆動源で駆動される直動機構の直動運動の軌跡と被駆動側の移動部材の軌跡間にずれがある場合、フローティングジョイントを使用することが考えられる。フローティングジョイントの公知例としては、下記特許文献2〜7がある。
特公昭56−116627号公報 実開平7−8392号公報 特開平6−323391号公報 特開2001−227614号公報 特表2003−509632号公報 特開2004−196036号公報
特許文献2は回転軸と移動軸の組み合わせ構造、即ち、ジンバル型フローティングジョイントを示す。
特許文献3も、ジンバル型フローティングジョイントを示す。
特許文献4はフローティングボールネジであって、ナットを取り付けるフランジに対してナットをボールを介し取り付けてフローティング構造(ボールの配置による調芯構造)としたものである。
特許文献5はボールネジに係合するナットとスライダ間にジンバル型フローティングジョイントを設けた機構である。
特許文献6は仮想ボールジョイントであり、ベアリングの中に取り付けられたシャフトはボールジョイントで取り付けられているように曲率中心回りに回転可能である。
特許文献7はボールネジに係合するナットを、ゴムダンパーを用いたフローティング構造で支持したものである。
いずれの特許文献においても、
(1) 回転軸と移動軸の組み合わせ(ジンバル)、
(2) ボールの配置による調芯、
(3) ゴム等による緩衝材との組み合わせ、
のいずれかを利用している。
ジンバルは精度、変位量ともに使用に耐えるが、摩擦軸受を使用している場合が多く、経時変化による劣化の恐れがある。特に荷重が大きい場合は顕著である。ボール軸受を使用しているタイプは磨耗による減りは少ないが、やはり高荷重の場合、ボールが歪み、ガタや振動の発生がある。ゴム等の緩衝材はその弾性体の持つ変位を許容できる場合でないと使用できない。即ち、高荷重高精度に対応できるフローティングジョイントの提示は為されていない。
本考案の第1の目的は、上記の点に鑑み、ネジに係合するナットを固定保持できかつ取付対象物側からみて前記ナットをフローティングで保持することが可能な、高荷重高精度に対応できる保持部材を提供することにある。
本考案の第2の目的は、前記保持部材の弾性変形により、前記ネジの回転に伴う前記保持部材の直動運動の軌跡と前記保持部材の固定部に固定された移動部材の軌跡とに差異を有することが可能で、高荷重高精度に対応できるフローティングジョイントとしての機能を備えた可動機構を提供することにある。
本考案の第3の目的は、前記可動機構により、複数の主軸を平行状態を保って高精度で揺動させることができ、高荷重に耐えることが可能な揺動機構を提供することにある。
本考案の第4の目的は、前記揺動機構により、ワークローラを平行状態で揺動させてワイヤピッチ、換言すれば加工ピッチを微細に可変調整可能なマルチ式ワイヤソーを提供することにある。
本考案のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
上記目的を達成するために、本考案に係る保持部材は、ネジに係合するナットを固定保持するものであって、前記ナットの固定保持部と、取付対象物への固定部との間に溝を形成することで弾性変形自在であることを特徴としている。
前記保持部材において、前記ネジ及びナットは、ボールによって相互に係合するボールネジ及びボールナットであってもよい。
本考案に係る可動機構は、回転駆動源と、軸受に保持され、前記回転駆動源によって回転するネジと、前記ネジに係合するナットと、前記ナットを固定保持し前記ネジの回転運動を前記ナットによって変換した直動運動をする保持部材と、前記保持部材に固定された移動部材とを有し、
前記保持部材は、前記ナットの固定保持部と、前記移動部材への固定部との間に溝を形成してあり、前記保持部材の弾性変形により前記直動運動の軌跡と前記移動部材の軌跡に差異を有することが可能であることを特徴としている。
前記可動機構において、前記ネジ及びナットは、ボールによって相互に係合するボールネジ及びボールナットであってもよい。
本考案に係る揺動機構は、前記請求項3又は4の可動機構と、複数の主軸と、各主軸をそれぞれ回転自在に支持しかつ揺動支点を中心にして揺動自在な支持部材とを備え、
前記可動機構の移動部材が各支持部材に連結されたリンクを構成して、前記移動部材の移動により前記複数の主軸を平行状態を保って揺動させることを特徴としている。
本考案に係るマルチ式ワイヤソーは、前記請求項5の揺動機構を備え、前記複数の主軸にワークローラを固定し、前記ワークローラ間に多条にワイヤを巻掛けし、前記ワークローラ間を走行するワイヤ列にてワークを切断することを特徴としている。
本考案に係る保持部材によれば、ナットの固定保持部と、取付対象物への固定部との間に溝を形成することで弾性変形自在であるため、ネジの回転に伴う前記ナットの直動運動軌跡と前記取付対象物の移動軌跡との間に差異があっても、本考案に係る保持部材自体の弾性変形で駆動力を取付対象物に伝達でき、高荷重高精度にも対応できる。
本考案に係る可動機構によれば、ネジの回転に伴う保持部材の直動運動の軌跡と前記保持部材の固定部に固定された移動部材の軌跡とに差異を有することが可能でフローティングジョイントとしての機能を備え、前記移動部材の高荷重、高精度駆動が可能である。
本考案に係る揺動機構によれば、前記可動機構を用いて複数の主軸を平行状態で高精度で揺動させることができ、前記主軸に加わる高荷重にも対応できる。
本考案に係るマルチ式ワイヤソーによれば、前記揺動機構の主軸にワークローラを取り付けることで、ワークローラを平行状態で揺動させてワイヤピッチ、換言すれば加工ピッチを微細に可変調整できる。
以下、本考案を実施するための最良の形態として、保持部材、可動機構、揺動機構及びマルチ式ワイヤソーの実施の形態を図面に従って説明する。
図1はボールネジに係合(螺合)するボールナットを固定保持する保持部材、ボールネジ及びボールナットを示し、図2及び図3は前記保持部材を用いた可動機構及び揺動機構を備えていてマルチ式ワイヤソーのワークローラを平行リンク状に揺動させるための機構部分を示し、図4は前記ワークローラを平行リンク状に揺動させる場合のモデル図、図5乃至図7はそれらの機構を具備したマルチ式ワイヤソーの全体的概略構成を示す。
まず、図5乃至図7でマルチ式ワイヤソーの全体的構成について説明する。マルチ式ワイヤソーは、ワイヤソー本体20、ワークテーブル21、撮像装置(カメラ)23、及びローダ24を備えている。
ワイヤソー本体20の本体フレーム30前面には、ワイヤ供給リール31、ワイヤ巻取リール32が回転自在に設けられており、ワイヤ供給リール31から繰り出される鋼線から成る一本のワイヤWは、該ワイヤWの緩みを吸収するための張力制御機構33を経由して互いに平行に対向する一対のワークローラ1,2間に複数回を巻掛けられた(多条に巻かれた)後、別の張力制御機構34を経由して巻取側ワイヤリール32に巻き取られる。ここで、一対のワークローラ1,2は、図2及び図3のワークローラ揺動機構50で回転自在に支持されかつ水平面内で左右方向に当該ローラ1,2の中心軸が傾斜可能(傾斜角度は図4のモデル図中αで示す)となっている(ワークローラ揺動機構50は後で詳述する。)。これらのワークローラ1,2は本体フレーム前側の加工室25内に配置されている。また、ワイヤソー本体20には各種操作を指示並びに表示するための操作盤26が設置されている。
図8(A)の平面図、(B)の斜視図のように、前記一対のワークローラ1,2は、水平面内で相互に平行配置されていて回転自在であり、各ワークローラ1,2は各々複数のワイヤ溝(外周を1周するように形成された溝)を一定のピッチ間隔で有しており、ワイヤWは,各ワークローラ1,2を順次経由して一方のワイヤ溝から他方のワイヤ溝まで順次螺旋状に巻き掛けられ、ワイヤWの各巻回の間隔が均一にとられている。これによって水平位置にある2本のワークローラ1,2の間にワイヤの配列間隔(ピッチ)が均一なワイヤ列WLが形成される。
そして、対をなすワークローラ1,2の一方又は両方に、駆動モータにより正方向回転或いは正逆回転の繰り返し動作を行わせることによりワイヤ列WLが直進又は往復直進運動を行う。
ワークテーブル21は、図示しない駆動機構により水平面内のX軸方向(横方向)及びこれと直交するY軸方向(奥行き方向)、XY平面に垂直なZ軸方向(上下方向)にスライド移動自在で、Z軸を回転中心とする角度θ軸方向に回転自在なテーブルであり、ワークテーブル21のワーク加工位置P2において、ワーク10を載置したワークテーブル21を上昇させて被加工物であるワーク10を下方から所定の力で直進又は往復直進運動する砥粒を付着させたワイヤ列WLに押し当てることで、所望のピッチ間隔で複数個に帯状(層状)に切断することが可能である。
ワークテーブル21は、一対のワークローラ1,2の直下(ワイヤ列WLの直下)であるワーク加工位置P2とは別に、一対のワークローラ1,2の直下から外れた位置にあるワークセット位置P1を有する。ワークセット位置P1においてワーク10が載置されたワークテーブル21はX軸方向の移動によりワイヤ列WLの直下のワーク加工位置P2へと移動することでワーク搬送動作が可能であり、逆に加工の終わったワーク10をワーク加工位置P2からワークセット位置P1に戻す逆方向のワーク搬送動作も行う。ワークテーブル21のX軸方向の移動は、Y軸方向やZ軸方向、角度変位θ軸方向より比較的大きい。ワーク加工位置P2においては、ワイヤ列WLによりワーク10を加工(切断又は溝形成)する際に、砥粒を含むスラリや研削液を使うためにワークテーブル21及びその周辺機構に防水機能を持たせている。
ワークセット位置P1をワーク加工位置P2(ワイヤ列WLの直下)から大きく外れた個所に設けるのは、
(1) ワーク10の交換時に、ワークローラ1,2やワイヤ列WL等が邪魔にならず、作業性を高めることができる、
(2) ワーク10の供給、排出を自動で行なうローダ24を取り付けることが可能となるため、リードタイムの短縮が可能になる、
(3) ワーク10を撮像装置23で撮像することが可能となるため、画像処理によって切断位置をクローズ制御することができ、より精密な切断位置を得ることができる等の理由からである。
図5に示すように、撮像装置23は、高スループットに対応できるよう、また加工時の遊離砥粒による汚染を防ぐために、ワーク加工位置P2(ワイヤ列WLの直下)から離れたワークセット位置P1に設置する。また、本実施の形態では、ワーク10の四隅を撮像可能なように撮像装置23は4台用意し、図5及び図6の撮像装置取付ブラケット27に取り付けている。これらの構成により、ワーク10の加工補正に画像処理を導入でき、基準となるワイヤ列WLを直接撮像しないでも加工寸法の精度を高めることが可能となる。
図7のように、ワークセット位置P1でワーク10の供給、排出を自動で行うローダ24が設置され、このローダ24はY軸方向に移動する一軸ユニット45と一軸ユニット45に取り付けられたチャック46とを具備する。チャック46は真空吸着機能を有し、ワーク10(基板等)を把持搬送する。チャック46にはZ軸方向に移動自在の一軸ユニットが付加される。供給ワーク位置のワーク10をワークセット位置P1に搬送する機能と、加工が済んでワーク加工位置P2からワークセット位置P1に戻されたワーク10を排出ワーク位置に搬送する機能とを有する。なお、ローダについては公知のもので、この他にも様々な形態のものが考えられる。
こういったローダ24をワークセット位置P1に取り付けることでワーク10の供給、排出が自動化でき、省人化やリードタイムの削減に対応できる。
図1〜図4を用いて、ワークローラ揺動機構50について説明するが、まず、図4(A),(B)のモデル図でワークローラ1,2を平行に揺動させて補正する場合を説明する。2本のワークローラ1,2が固着される主軸としてのワークローラ軸を回転自在に支持する支持部材(軸受を固定したハウジング)51,52に揺動支点となる回転軸(ワークローラ軸に垂直な向き)を設け、さらに回転自在な接続方法で接続用リンク板53を支持部材51,52に取り付け、リンク板53を駆動することで、前記ワークローラ軸に垂直な回転軸を回転中心としてワークローラ1,2の平行揺動を可能としている。この接続用リンク板53を図4のY方向(図の上下方向)に任意の駆動源で移動させることにより、ワークローラ1,2が傾き、ワークローラ1,2に巻かれた両端ワイヤWのピッチ(総幅X)が変化する。図2及び図3のように、実際の駆動源(アクチュエータ)はサーボモータ及びボールネジの直動機構を利用している。
以下の表1は駆動源の変位量Yaに対する、両端ワイヤのピッチ総幅の変化(ΔX=補正量)を表したものである。この表1に表記されているXaとは、揺動運動に伴う、接続用リンク板のX方向(図の左右方向でY方向に直交する)の変位である。
Figure 0003142882
図4(A)初期状態の補正量0mmに対して、同図(B)補正状態のようにワークローラの揺動(傾きα)による補正量0.2mmで、駆動源は0.256mmX方向に移動する。このような変動を吸収するために、本実施の形態では、後述するように、フローティングジョイント機能を有する可動機構を駆動源と移動部材であるリンク板との間に設ける。
図1〜図3を用いて、ワークローラ揺動機構50の具体的機構について説明する。図2のように、ワークローラ1,2は主軸としてのワークローラ軸61,62にそのテーパ部64を介して固定されている。ワークローラ軸61,62は図3のワークローラ軸受71,72で回転自在に保持され、ワークローラ軸61,62のワークローラ1,2の反対側には従動プーリ81,82がそれぞれ固定されている。
ワークローラ軸受71,72のハウジング(外筒)51,52には、ワークローラ1,2自身の揺動中心となる回転軸51a,52aが設けられている。また、ハウジング51,52を挟むように設けられた上下の接続用リンク板53をハウジング51,52に対して回転自在に連結するためにリンク板回転連結部51b,52bが設けられており、各ハウジング51,52のリンク板回転連結部51b,52b間を上下の接続用リンク板53で接続している(リンク板回転連結部51b,52bがリンク板53側に固定で各ハウジングの穴に回転自在に嵌合していると考えてもよい)。各ハウジング51,52は回転軸51a,52aにて本体フレーム30の前面に固定の枠体66に回転自在に取り付けられている。なお、回転軸51a,52aはワークローラ軸61,62にそれぞれ垂直であって、ワークローラ軸61,62が水平面内で揺動する場合、回転軸51a,52aは水平面に垂直になる。また、各ハウジング51,52は方形枠体60(本体フレーム30に固定)に取り付けられたR型ガイド65によって回転軸51a,52aを中心とした回転運動を行えるように支持されている。R型ガイド65はハウジング51,52に加わる荷重を受け、高荷重に対応可能とする。これらの機構により、リンク板53を駆動することで、両方のハウジング51,52は平行リンク状に揺動自在となる。
2本のワークローラ軸61,62にそれぞれ固定された従動プーリ81,82には、駆動モータ55の出力軸に固定された駆動プーリ56の回転がベルト57を介して伝動され、2本のワークローラ軸61,62は同期して回転する。
図3に示すように、上側の接続用リンク板53はフローティングジョイント機能を持つ可動機構90で駆動されるようになっている。即ち、可動機構90は、回転駆動源としてのサーボモータ91と、サーボモータ91と共に取付ブラケット92で方形枠体60に固定された軸受93及び軸受97(方形枠体60に固定)と、軸受93,97に保持され、サーボモータ91によって回転するボールネジ94と、ボールネジ94に係合(螺合)するボールナット95と、ナット95を固定保持する図1の保持部材100とを有し、保持部材100が前記上側の接続用リンク板53に固定されている。
図1(A),(B)に示すように、保持部材100は、ボールナット挿入穴101を有し、このボールナット挿入穴101中心から40mm及び50mmオフセットした位置に、幅2mmのスリット状溝102,103を、各々対向する面から切り込んだ構造である。図示の場合、被動部取付面105(取付対象物への固定部となる)に平行で、ボールナット挿入穴101の軸方向に平行に前面から背面に至るまで連続形成されている。ボールナット挿入穴101周辺のナット固定保持部104に対して、これらのスリット状溝102,103を挟んで被動部取付面105があり、スリット状溝102,103を形成することで、ナット固定保持部104と被動部取付面105の相互間に位置的な歪みが発生しても、2本の溝102、103の形成部分が弾性変形を起こして、歪みを吸収する。なお、保持部材100の材料はアルミ合金(A7075)を使用しているが、それ以外の材質でも良い。またスリット状溝の数は2本に限定されない。
保持部材100のボールナット挿入穴101には例えば図1(C)に示す構造のボールナット95が固定され、このボールナット95の内側をボールネジ94が貫通している。ボールネジ94とボールナット95とは両者間に介在するボール(鋼球)96で係合するようになっている。また、保持部材100の被動部取付面105が前記上側の接続用リンク板53に固定されている。
図4(A),(B)のモデル図で説明したように、上側の接続用リンク板53は平行揺動運動をするため、ボールナット95の直線移動に対して円弧状の動きとなり、その結果、前記リンク板53とボールナット95の軌道には差異が生ずる。つまり、ボールネジ94の回転運動をボールナット95によって変換した直動運動をする保持部材100のナット固定保持部104の直動運動の軌跡と、保持部材100の被動部取付面105に固定された移動部材としての接続用リンク板53の軌跡とに差異を生じるが、保持部材100の弾性変形によって前記差異に対応可能である。0.2〜0.3mm程度の前記差異は保持部材100を構成している金属等の弾性変形のみで吸収でき、磨耗や集中荷重による塑性変形の恐れはない。
次に、本実施の形態の全体的な動作を説明する。図7のワークセット位置P1に位置するワークテーブル21上に板状ワーク10(セラミックグリーンシート等)をローダ24により載置、固定する。画像処理のための撮像装置23にて板状ワーク10を撮像した後、X軸方向にワークテーブル21を駆動して、ワークテーブル21をワーク加工位置P2に移動させる。ここで、画像処理の結果、ワークテーブル21のY軸、θ軸、及びワイヤ列WLのワイヤピッチの補正が必要な場合、ワークテーブル21のY軸の補正移動、θ軸の補正回転を行うとともに、ワイヤ列WLのワイヤピッチの補正を図1〜図4で説明したワークローラ揺動機構50で行う。
すなわち、ワイヤ列WLのワイヤピッチの補正量に対応させてサーボモータ91によってボールネジ94を回転させ、ボールネジ94に係合(螺合)するボールナット95及び保持部材100のナット固定保持部104を図4のY方向に所定量直線移動させる。この動きは被動部取付面105に伝達され、ここに固着された上側のリンク板53がY方向に所定量移動し、リンク板53が取り付けられたハウジング51,52を水平面内で所定角度だけ傾斜させる。このとき、被動部取付面105に固着された上側のリンク板53はY方向に直交するX方向にも変位するが、保持部材100の弾性変形で吸収できる。
ハウジング51,52の所定角度の傾斜により、ワークローラ軸61,62及びワークローラ1,2が所定角度傾斜することで、ワイヤ列WLのワイヤピッチの補正が行われる。
その後、補正後のワークテーブル21の位置及びワイヤ列WLのワイヤピッチで板状ワーク10の加工(切断又は溝形成)を行う。
加工後、加工済みワーク10をワークテーブル21によりワークセット位置P1に移動させ、ローダ24により排出する。
この実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
(1) 保持部材100を用いたフローティングジョイント機能を有する可動機構90は、前述の通り0.2〜0.3mm程度の差異(保持部材100とリンク板53間の軌跡の差異)を保持部材100を構成している金属等の弾性変形のみで吸収するため、磨耗や集中荷重による塑性変形の恐れはない。
(2) 保持部材100を用いた機構は、構造上も従来のジンバル式等のフローティングジョイントに比べて簡単で、小型化やコストダウンが可能である。
(3) ワークローラ揺動機構50は前記可動機構90とリンク機構とを組み合わせることで、簡素な機構でワークローラ1,2を平行リンク状に揺動させることが可能である。また、高精度のワークローラ1,2の傾斜角度の制御が可能で、高荷重の動作に耐え得る。
(4) 従って、前記ワークローラ揺動機構50を備えるマルチ式ワイヤソーは、簡素な機構でワイヤ列WLのワイヤピッチの高精度の補正が可能で、高荷重の動作にも耐えることができる。
なお、本実施の形態はワイヤソーのワークローラの揺動について記述したが、負荷の大きい加工機のテーブル送り等にも適用可能であり、用途は限定されるものではない。
以上本考案の実施の形態について説明してきたが、本考案はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
本考案の実施の形態における保持部材、ボールネジ及びボールナットであって、(A)は側断面図、(B)は正面図、(C)はボールネジ及びボールナットの一部を断面とした斜視図である。 本考案の実施の形態におけるワークローラ揺動機構の平断面図である。 同じく一部を断面とした背面図である。 本考案の実施の形態におけるワークローラ揺動機構のモデル図である。 本考案の実施の形態におけるマルチ式ワイヤソーの概略構成を示す正面図である。 同右側面図である。 前記マルチ式ワイヤソーの概略構成を示す平面図である。 ワークローラの中心軸を水平面内で左右方向に傾斜させた状態であって、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
符号の説明
1,2 ワークローラ
10 ワーク
20 ワイヤソー本体
21 ワークテーブル
23 撮像装置
24 ローダ
25 加工室
26 操作盤
30 本体フレーム
31 ワイヤ供給リール
32 ワイヤ巻取リール
50 ローラ揺動機構
51,52 支持部材(ハウジング)
53 接続用リンク板
61,62 ワークローラ軸
90 可動機構
91 サーボモータ
94 ボールネジ
95 ボールナット
96 ボール
100 保持部材
101 ボールナット挿入穴
102,103 スリット状溝
104 ナット固定保持部
105 被動部取付面
W ワイヤ
WL ワイヤ列
α 傾斜角度

Claims (6)

  1. ネジに係合するナットを固定保持する保持部材であって、前記ナットの固定保持部と、取付対象物への固定部との間に溝を形成することで弾性変形自在であることを特徴とする保持部材。
  2. 前記ネジ及びナットは、ボールによって相互に係合するボールネジ及びボールナットである請求項1記載の保持部材。
  3. 回転駆動源と、軸受に保持され、前記回転駆動源によって回転するネジと、前記ネジに係合するナットと、前記ナットを固定保持し前記ネジの回転運動を前記ナットによって変換した直動運動をする保持部材と、前記保持部材に固定された移動部材とを有し、
    前記保持部材は、前記ナットの固定保持部と、前記移動部材への固定部との間に溝を形成してあり、前記保持部材の弾性変形により前記直動運動の軌跡と前記移動部材の軌跡に差異を有することが可能であることを特徴とする可動機構。
  4. 前記ネジ及びナットは、ボールによって相互に係合するボールネジ及びボールナットである請求項3記載の可動機構。
  5. 前記請求項3又は4の可動機構と、複数の主軸と、各主軸をそれぞれ回転自在に支持しかつ揺動支点を中心にして揺動自在な支持部材とを備え、
    前記可動機構の移動部材が各支持部材に連結されたリンクを構成して、前記移動部材の移動により前記複数の主軸を平行状態を保って揺動させることを特徴とする揺動機構。
  6. 前記請求項5の揺動機構を備え、前記複数の主軸にワークローラを固定し、前記ワークローラ間に多条にワイヤを巻掛けし、前記ワークローラ間を走行するワイヤ列にてワークを切断することを特徴とするマルチ式ワイヤソー。
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