JP3140841B2 - 内視鏡用対物光学系 - Google Patents

内視鏡用対物光学系

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JP3140841B2
JP3140841B2 JP04156218A JP15621892A JP3140841B2 JP 3140841 B2 JP3140841 B2 JP 3140841B2 JP 04156218 A JP04156218 A JP 04156218A JP 15621892 A JP15621892 A JP 15621892A JP 3140841 B2 JP3140841 B2 JP 3140841B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、比較的画素数の少ない
外径も小さい内視鏡に用いる対物光学系に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】内視鏡用対物光学系は、ファイバー束や
CCD等の撮像部の高画素化が進むにつれて、諸収差を
良好に補正するために構成レンズ枚数が通常3枚以上で
ある。しかし気管支や胆道、あるいは工業用の細径内視
鏡、更には廉価版内視鏡等の比較的画素数の少ない内視
鏡では、特開昭56−25709号公報に開示されてい
るレンズ系のように構成レンズ枚数が2枚のものが知ら
れている。しかしこのタイプのレンズ系は、像面湾曲を
補正出来ず、周辺画質が劣化する。
【0003】一方、レトロフォーカス型対物光学系は、
現在内視鏡対物光学系の主流となっているが、レンズ構
成枚数が3枚以上と多い。又このレンズ系には色収差を
補正するために接合レンズが用いられている。又レトロ
フォーカス型で簡単な構成の光学系として、例えば実開
昭63−84109号公報の光学系がある。それは、物
体側より順に物体側に凸面を向けたメニスカスレンズと
明るさ絞りと正の屈折力を有するレンズから構成されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この従来のレトロフォ
ーカス型光学系は、物体側に凸面を有するメニスカスレ
ンズを用いその焦点距離をf1 を全系の焦点距離をfと
したとき|f1 |>10fを満足するような非常にパワ
ーの小さなレンズにて収差の非対称性を除去している。
しかしこの光学系はビデオカメラ用レンズであって内視
用ではなく、又、内視鏡用対物レンズとして用いる場合
の広角化や像面湾曲の補正等に関しては、この従来例の
公報には開示されていない。
【0005】本発明は、コンパクトで構成枚数の少ない
光学系で、しかも像面湾曲が良好に補正された内視鏡用
対物光学系を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の内視鏡用対物光
学系は、例えば図1に示す通りのレンズ構成で、絞りS
を挟んで物体側に配置された単体の負レンズからなる第
1群L1 と像側に配置された像側に凸面を向けた単体の
メニスカス正レンズまたは平凸レンズからなる第2群L
2 を配置した構成である。
【0007】このような構成の本発明の対物レンズは、
収差補正上面数や面間隔、硝材数等の自由度が少ないた
め、高画素の撮像素子に対しては、十分な収差補正を行
なうことが困難である。しかし光ファイバーバンドルに
おいては2〜3画素以内、CCDの場合読み出し方法等
によっては、数画素以内に諸収差を抑えれば解像力で3
0本/mmレベルであれば、十分使用に耐え得る性能を確
保出来る可能性がある。
【0008】本発明では、コンパクト性を確保するため
に前述のように絞りSを挟んで物体側に負レンズを像側
に正レンズを配置した。もし絞りを最も物体側に配置す
ると正レンズの外径が大になり、又絞りを最も像側に配
置するとバックフォーカスが長くなりすぎて、いずれも
コンパクトになし得ない。
【0009】次に像面湾曲を小さく保つためには、次の
条件(1)を満足することが望ましい。 (1) 0.3<|f2 /f1 |<2 ただしf1 ,f2 は夫々第1群L1 ,第2群L2 の焦点
距離である。
【0010】像面湾曲の判断に用いられるペッツバール
和は、面のパワーを屈折率差で割ったものである。本発
明は絞りの物体側の前群が負のパワー、像側の後群が正
のパワーであるので、第1群L1 と第2群L2 の焦点距
離f1 ,f2 のバランスをとることによってペッツバー
ル和を小にし像面湾曲を良好に保つことが出来る。条件
(1)において|f2 /f1 |が0.3より小になると
像高の高い所で像面が物体側に倒れ又|f2 /f1 |が
2よりも大になると像高の高い所で像面が物体側とは反
対の側に倒れてしまう。
【0011】更にコマ収差および非点収差を良好に補正
するためには、次の条件(2)を満足することが望まし
い。 (2) |r4 |>|r5 | ただし、r4 ,r5 は夫々第2群の物体側の面および像
側の面の曲率半径である。
【0012】一般に主光線の屈折の大きい面を強いパワ
ーにすると諸収差の発生が大になる。そのためすべての
面が絞りに対してコンセントリックに近い面になること
が望ましい。本発明のレンズ系の構成では、第2群の像
側の凸面r5 が上記の条件を満足するようにし、この
面に強いパワーを配置することが望ましい。もしも|r
4 |≦|r5 |になると、明るさ絞りを通過した軸外
光束の特に上側周縁光線が面r4 で急激に屈折し、コ
マ収差、非点収差が補正不足になる。
【0013】更に、本発明では各群を単レンズにて構成
し、通常色収差を補正するために用いる接合レンズがな
いので、色収差を補正するために次の条件を満足するこ
とが望ましい。 (3) ν1 >40 (4) ν2 >40 ただし、ν1 ,ν2 は夫々第1群および第2群のアッベ
数である。
【0014】ν1 が条件(3)を満足しないと倍率の色
収差が補正過剰になり、ν2 が条件(4)を満足しない
と倍率の色収差と軸上色収差が共に補正不足になる。
【0015】以上の各条件(1)〜(4)と共にまたは
上記条件とは別に第2群の像側の面に非球面を導入し、
この非球面を下記の条件(5)を満足するようにすれば
球面収差,コマ収差等を良好に補正することが出来る。
尚非球面は、第2群の像側の面以外の面に用いても収差
補正にとって有効である。 (5) Ei'(ni-1 −ni )>0 ただしEi'は上記非球面の4次の非球面係数、ni-1
i は夫々上記非球面の物体側および像側の媒質の屈折
率である。
【0016】本発明の実施例では、非球面の表現に下記
の式(a)を用いている。
【0017】上記式(a)におけるx,yは図25に示
すように光軸をx軸にとりその像の方向を正、光軸と垂
直な方向をy軸にとったもので、面と光軸との交点を原
点とした時の座標値である。また、ri は2次曲面項に
おける曲率半径、Pは円錐定数、Bi ,Ei ,Fi ,G
i ・・・は夫々2次,4次,6次,8次,・・・の非球
面係数である。この式(a)は軸対称な面を表現するた
めには自由度が高く好適であるが、収差論的な説明には
不向きであるため、作用の説明には下記の式(b)を用
いる。
【0018】上記式(b)でri は非球面の基準球面
(面頂において非球面に接する球面)の曲率半径、
i',Fi',Gi'・・・は夫々変換後の4次,6次,8
次・・・の非球面係数である。又式(a)から式(b)
への変換はテイラー展開を用いて行なうことができ、r
i'と12次までの低次の係数の変換式(c)を次に示
す。 ri'=ri /(1+2Bii ) Ei'=0.125 {Pi −(1+2Bii3 }/ri 3+Eii'=0.0625{Pi 2−(1+2Bii5 }/ri 5+Fii'=0.0390625 {Pi 3−(1+2Bii7 }/ri 7+Gii'=0.02734375{Pi 4−(1+2Bii9 }/ri 9+Hii'=0.02050782{Pi 5−(1+2Bii11}/ri 11 +Ii 式(c)[以下上記の各式をまとめて式(c)と呼ぶ]
において各非球面係数式の右辺第1項が2次曲面項をテ
イラー展開して求めたものである。展開して求めた式は
無限級数となるため、有限次数の表現では近似になって
しまうが、通常12次の係数までを含めておけば極めて
よく近似できるためここでは12次までの計算式をのせ
るにとどめる。尚、式(a)においてPi =1,Bi
0であれば、変換の必要はなくなりri'=ri ,Ei'=
i ,Fi'=Fi ,Gi'=Gi・・・となる。
【0019】前記の条件(5)は、非球面の形状を規定
するもので、非球面により球面収差,コマ収差等を良好
に補正するための条件である。非球面は、色収差と像面
湾曲以外の収差補正に威力を発揮する。本発明では、レ
ンズ枚数を減らした時に増大する残存収差を非球面の作
用を用いて打ち消すようにした。そのためには、非球面
を用いない時の対物レンズの残存収差の状況を知る必要
がある。本発明の対物レンズのようにほぼテレセントリ
ックなレンズ系で、接合レンズのような逆補正要因を含
まない場合、一般には負の球面収差、負のコマ収差(内
コマ)、負の非点収差(サジタル像面に対してメリジオ
ナル像面が物体側に倒れる)が残存する。これらの残存
収差を非球面により補正するためには、非球面でこれら
収差に対して正の収差を発生させればよい。前記の非球
面の式の非球面係数Ei'と非球面にしたことにより生ず
る3次の収差係数との関係は、次の式(d),(e),
(f)で示される。 ΔSAi =8hi 4・Ei'(ni-1 −ni ) (d) ΔCMi =8hi 3pi・Ei'(ni-1 −ni ) (e) ΔASi =8hi 2pi 2 ・Ei'(ni-1 −ni ) (f) ただしΔSAi ,ΔCMi ,ΔASi は夫々非球面の4
次の係数Ei'で生じる球面収差,コマ収差,非点収差の
3次収差係数、hi は非球面における近軸マージナル光
線高、hpiは非球面における近軸主光線高である。
【0020】式(d),(e),(f)から、収差の種
類によって、hi ,hpiの次数が異なるため非球面の配
置の仕方により各収差への影響に違いが生ずる。本発明
の内視鏡対物レンズの場合、近軸マージナル光線は、レ
ンズ系中常に光軸に対し同じ側にあり、hi は常に正で
ある。一方近軸主光線は、絞りの中心で光軸を横切るの
でhpiは絞りの前後で符号が反転し、絞りより前では
負、絞りより後ろでは正である。このhi とhpiとの符
号を用いて算出したΔSAi ,ΔCMi ,ΔASi の符
号がそのまま非球面で発生する収差の符号になる。前群
に非球面を設けてΔASi を正にするためにはEi'(n
i-1 −ni )を正にする必要がある。この時ΔCMi
負になってしまうため、残存コマ収差を非球面により一
層悪化させることになり好ましくない。又後群に非球面
を設ける場合、Ei'(ni-1 −ni )が正であるとすれ
ばΔSAi ,ΔCMi ,ΔASi のいずれも正になり、
非球面を設けない場合の残存収差を夫々非球面で打ち消
すことが出来る。
【0021】以上のことから、本発明では、後群に非球
面を設け、しかも条件(5)を満足するようにした。条
件(5)を満足しないと、非球面の作用が収差を一層悪
化させる方向に働くので好ましくない。
【0022】尚、後群中に配置する非球面は、高NA化
の際に影響の大きい球面収差,コマ収差を効率良く補正
するためには、マージナル光線高が相対的に高い面で、
かつ収差の発生量の大きい正のパワーの強い面が適して
おり、第2群の像側の面が最も望ましい。
【0023】更に、非球面を第2群の像側に用いる場
合、この非球面の6次の係数Fi'が次の条件(6)を満
足することが一層好ましい。 (6) Fi'(ni-1 −ni )>0 前述のように第2群の像側の面のパワーを強くしている
ため3次収差のみでなく、球面で発生する5次の収差の
影響も大になるので、5次の収差に影響を与える6次の
非球面係数Fi'を上記条件(6)を満足するようにすれ
ば、負の残存5次収差を非球面の正の5次収差と相殺し
て補正することが出来る。上記条件(6)を満足しない
と5次収差の補正が困難になり好ましくない。
【0024】前記の条件(5)は、非球面係数の符号を
規定したものであるが、非球面の近軸曲率半径をr' と
した時、基準面からの非球面の変移量Δx(y)を用い
て代用してもよい。非球面の式(b)の第1項を除いた
ものがΔx(y)になるので、Δx(y)は下記のよう
に定義される。 Δx(y)=Ei'y4 +Fi'y6 +Gi'y8 +・・・ (g) 上記の式(g)において、yの次数はすべて偶数である
ので、非球面係数の符号とその影響によるΔx(y)の
変位の符号とは同じになる。そのため条件(5)の代り
に下記の条件(7)にて規定することが可能である。 (7) Δx(y){ni-1 −ni }>0 上記のΔx(y)は、光軸からの距離であるyの関数で
あるが、本発明の主目的である球面収差の補正のために
は、マージナル光線(明るさ絞りの周辺を通る軸上物点
からの光線)の非球面上での光線高をhM とすると、y
=hM のところで、上記の条件(7)を満足する必要が
ある。そのため条件(5)の代りに下記の条件(8)を
用いることも出来る。 (8) Δx(hM )・{ni-1 −ni }>0
【0025】
【実施例】次に本発明の内視鏡用対物光学系の各実施例
を示す。 実施例1 f=1.000 ,Fナンバー=7.855 ,像高=0.7681,物体距離=∞,2ω=95° r1 =∞ d1 =0.1600 n1 =1.51633 ν1 =64.15 r2 =1.0651 d2 =0.0995 r3 =∞(絞り) d3 =0.0555 r4 =-2.6556 d4 =0.6035 n2 =1.88300 ν2 =40.78 r5 =-0.6447 f1=-2.063,f2 =0.8452,|f2 /f1 |=0.4097,PS=0.231 実施例2 f=1.000 ,Fナンバー=9.206 ,像高=0.8203,物体距離=∞ 2ω=103.9 ° r1 =∞ d1 =0.1245 n1 =1.48749 ν1 =70.20 r2 =0.5962 d2 =0.1444 r3 =∞(絞り) d3 =0.0399 r4 =-1.0447 d4 =0.4290 n2 =1.78650 ν2 =50.00 r5 =-0.4557 f1=-1.223,f2 =0.7781,|f2 /f1 |=0.636 ,PS=-0.005 実施例3 f=1.000 ,Fナンバー=8.902 ,像高=0.7727,物体距離=∞ 2ω=94.1° r1 =3.7962 d1 =0.1179 n1 =1.48749 ν1 =70.20 r2 =0.4925 d2 =0.1085 r3 =∞(絞り) d3 =0.0632 r4 =-0.9842 d4 =0.3758 n2 =1.78650 ν2 =50.00 r5 =-0.4293 f1=-1.174,f2 =0.7459,|f2 /f1 |=0.635 ,PS=-0.001 実施例4 f=1.000 ,Fナンバー=4.712 ,像高=0.8089,物体距離=-18.2004 2ω=99° r1 =∞ d1 =0.6067 n1 =1.51633 ν1 =64.15 r2 =1.1486 d2 =2.3460 r3 =∞(絞り) d3 =0.0000 r4 =∞ d4 =0.6936 n2 =1.52000 ν2 =74.00 r5 =-0.8104 d5 =1.4965 r6 =∞ d6 =0.8089 n3 =1.51633 ν3 =64.15 r7 =∞ f1=-2.225,f2 =1.558 ,|f2 /f1 |=0.7 ,PS=0.126 実施例5 f=1.000 ,Fナンバー=4.735 ,像高=0.8206,物体距離=∞ 2ω=100 ° r1 =∞ d1 =0.1742 n1 =1.51633 ν1 =64.15 r2 =0.7717(非球面)d2 =0.0228 r3 =∞(絞り) d3 =0.0520 r4 =∞ d4 =0.4889 n2 =1.69680 ν2 =55.52 r5 =-0.5190 非球面係数 Pi=1.0000,Bi=0,Ei=0.37204 ×10,Fi=-0.14004×103i=0.40069 ×104 ,Hi=0 ,Ii=0 f1=-1.495,f2 =0.745 ,|f2 /f1 |=0.498 ,PS=0.35 Ei'(ni-1 −ni )×f3 =1.9210 Δx(hM )・{ni-1 −ni }/f=0.000173 実施例6 f=1.000 ,Fナンバー=4.205 ,像高=0.8150,物体距離=∞ 2ω=100 ° r1 =∞ d1 =0.1893 n1 =1.51633 ν1 =64.15 r2 =1.4020 d2 =0.2561 r3 =∞(絞り) d3 =0.0137 r4 =-2.0773 (非球面)d4 =0.4722 n2 =1.56384 ν2 =60.69 r5 =-0.4401 非球面係数 Pi=1.0000,Bi=0,Ei=-0.36629×10,Fi=-0.60289×102i=0.10021 ×104 ,Hi=0 ,Ii=0 f1=-2.715,f2 =0.897 ,|f2 /f1 |=0.33,PS=0.403 Ei'(ni-1 −ni )×f3 =2.0653,Fi'(ni-1 −ni )×f5 =33.993 Δx(hM )・{ni-1 −ni }/f=0.000708 ただしr1 ,r2 ,・・・ はレンズ各面の曲率半径、d
1 ,d2 ,・・・ は各レンズの肉厚およびレンズ間隔、n
1 ,n2 ,・・・ は各レンズの屈折率、ν1 ,ν2 ,・・・
は各レンズのアッベ数、PSはペッツバール和である。
【0026】実施例1乃至実施例3は、夫々図1乃至図
3に示す構成で、いずれも比較的バックフォーカスが長
い。したがって受光部としてレンズの径よりも大きい撮
像素子を用いる場合に、撮像素子を内視鏡先端部の長手
方向に対し平行な方向に向け配置する際に、第2群の後
方にミラー乃至プリズムを配置して光軸を90°屈折さ
せても光学系と固体撮像部とが干渉することがない。
【0027】これら実施例のうち、実施例1は画角が9
0°、実施例2は画角が103.9°、実施例3は画角
が94.1°である。又この実施例3は、第1群の物体
側の面を物体側に凸面を向けてコマ収差,非点収差が一
層良好に補正されるようにした。
【0028】実施例4は、図4に示す構成で、第1群の
像側の凹面にYAGカットコートを施し、第2群を吸収
型の赤外カットフィルターで構成し、固体撮像素子と組
合わせたもので、画角は100°である。ビデオスコー
プの場合、固体撮像素子が可視光以外の赤外光にも感度
を有するため、YAGレーザーの光を用いて治療を行な
う場合、レーザー光で固体撮像素子が飽和しスミアーや
ブルーミング等により被写体の観察が行ないにくくな
る。そのため、レーザー光の波長の光を遮断するための
フィルターを光学系に設けることが必要となる。しかし
干渉型のYAGカットフィルターを用いる場合、固体撮
像素子等で反射したYAG光は、YAGカットフィルタ
ーで再度反射してフレアーを起すことがあり、吸収型の
赤外カットフィルターも設ける必要がある。一方、YA
Gカットフィルターおよび赤外吸収フィルターを光学系
内に挿入すると、光学系の全長が長くなり好ましくな
い。また、干渉型のYAGカットフィルターは、光線の
入射角が大になると赤外域での透過率が急激に高くな
る。そのため、干渉型のYAGカットフィルターを用い
た場合、赤外域の光を遮断することが出来なくなる。又
吸収型の赤外カットフィルターは、フィルターを通過す
る光線に光路差があると色むらを発生させる。
【0029】これらの理由と光学系の全長を短くするた
めとから、この実施例では、YAGカットコートを、第
1群の凹レンズに施し、YAG光を効果的に遮断すると
共に、第2群を吸収型の赤外カットフィルターにて構成
し、これを絞りの直後に配置することによって色むらを
発生させないようにした。
【0030】実施例5は、図5に示すもので、第1群の
像側の面を非球面にして主として球面収差を補正し、又
非点収差、コマ収差も良好に補正している。この実施例
も、非球面を絞りよりも前に配置したために、この非球
面によりコマ収差を悪化させることになる。しかし、第
2群の像側の面を軸外主光線がその面とほぼ垂直に交わ
るように第2群を構成することによって、第2群で発生
する負のコマ収差を小さくおさえ、又第1群の像側の面
の非球面の作用により発生する負のコマ収差をその面の
球面の作用により発生する正のコマ収差で相殺させて全
体として負のコマ収差が良好に補正されるようにした。
【0031】実施例6は、図6に示す通りで第2群の物
体側の面を非球面にして主として球面収差を補正し、又
コマ収差,非点収差についても良好に補正している。こ
の実施例は、絞りより後ろに非球面を配置して球面収差
を良好に補正するようにしたが、球面収差を良好に補正
するとコマ収差が補正過剰になる。このコマ収差が補正
過剰になるのを防ぐために非球面と絞りとの間隔を極力
小さくして球面収差と同時にコマ収差も良好に補正され
るようにした。このように非球面を絞り直後に配置した
場合、非球面での非点収差の補正はほとんど出来なくな
る。しかし第1群の像側の面で正の非点収差を発生させ
れば、第2群で発生する負の非点収差を相殺させること
ができるので、これによって全体の非点収差が良好に補
正されるようにしている。
【0032】
【発明の効果】本発明の内視鏡対物光学系は、少ない構
成枚数で像面湾曲および他の収差が良好に補正されてい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の断面図
【図2】本発明の実施例2の断面図
【図3】本発明の実施例3の断面図
【図4】本発明の実施例4の断面図
【図5】本発明の実施例5の断面図
【図6】本発明の実施例6の断面図
【図7】本発明の実施例1の収差曲線図
【図8】本発明の実施例2の収差曲線図
【図9】本発明の実施例3の収差曲線図
【図10】本発明の実施例4の収差曲線図
【図11】本発明の実施例5の収差曲線図
【図12】本発明の実施例6の収差曲線図
【図13】本発明の実施例で用いている非球面を表わす
式の座標系の図
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−200316(JP,A) 特開 平3−145614(JP,A) 特開 平2−77712(JP,A) 特開 昭64−33516(JP,A) 特公 昭47−23224(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 9/00 - 17/08 G02B 21/02 - 21/04 G02B 25/00 - 25/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絞りを挟んで、物体側に配置された単体の
    負レンズからなる第1群と、像側に配置された像側に凸
    面を向けた単体のメニスカス正レンズからなる第2群と
    にて構成され、以下の条件(1)、(2)を満足する内
    視鏡用対物光学系。 (1) 0.3<|f2/f1|<2 (2) |r4|>|r5| ただしf1、f2は夫々前記第1群、第2群の焦点距離、
    4、r5は夫々第2群の物体側の面および像側の面の曲
    率半径である。
  2. 【請求項2】絞りを挟んで、物体側に配置された単体の
    負レンズからなる第1群と、像側に配置された像側に凸
    面を向けた単体の平凸レンズからなる第2群とにて構成
    され、以下の条件(1)、(2)を満足する内視鏡用対
    物光学系。 (1) 0.3<|f2/f1|<2 (2) |r4|>|r5| ただしf1、f2は夫々前記第1群、第2群の焦点距離、
    4、r5は夫々第2群の物体側の面および像側の面の曲
    率半径である。
  3. 【請求項3】以下の条件(3)、(4)を満足する請求
    項1又は2の内視鏡用対物光学系。 (3) ν1>40 (4) ν2>40 ただし、ν1、ν2は夫々前記第1群および前記第2群の
    アッベ数である。
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