JP3140760B2 - 耐熱性の良好な結晶性ポリフタルアミド組成物 - Google Patents

耐熱性の良好な結晶性ポリフタルアミド組成物

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    • C08L77/10Polyamides derived from aromatically bound amino and carboxyl groups of amino-carboxylic acids or of polyamines and polycarboxylic acids

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は望ましい耐熱性を有する熱可塑性組成物に関
する。より詳細には、本発明は結晶性ポリフタルアミド
成分,強化繊維,およびポリフタルアミド融成体を核状
にするだめの量の微粒サーモトロピック液晶ポリマー成
分を含む溶融加工可能な組成物ならびにポリフタルアミ
ド組成物または繊維入りポリフタルアミド組成物の機械
的・熱的性質を保持しながら、ポリフタルアミド組成物
および/または繊維強化ポリフタルアミド組成物の成形
品の性能を向上させる方法に関する。これらの組成物か
ら調製した成形品はすぐれた機械的・性質ならびにポリ
フタルアミド成分のガラス転移点を下回る温度に加熱し
た金型を用いて成形したときでさえも、特に高い加熱撓
み温度を含むすぐれた熱的性質を示し、水蒸気または熱
水で加熱した金型を用いる成形を容易にすることが多
い。
1986年7月29日発行のPoppe等の本願出願人による米
国特許第4,603,166号はガラス繊維を充填して成形した
ときに、ASTM D−648によって測定を行い、約245℃(47
3゜F)を超える264psiの加熱撓み温度を有するポリフタ
ルアミド組成物を開示している。反復テレフタルアミド
単位およびアジポアミド単位、または反復テレフタルア
ミド単位,イソフタルアミド単位およびアジポアミド単
位よりなる組成物で、好ましくはテレフタルアミド単
位,イソフタルアミド単位およびアジポアミド単位によ
って与えられるジカルボン酸部分のモル比がそれぞれ約
65−90:25−0:35−5である組成物が含まれる。該特許
に開示されているように、微粒子入りおよび繊維入り組
成物を含む該組成物は撓み温度を含む望ましい熱的性
質、高い引張強さならびに曲げ弾性率を示し、成形品、
繊維および積層品を含む種々の用途に有用である。
1986年10月14日発行、Poppe等の米国特許第4,617,342
号および1988年1月8日付同時係属米国出願第142,469
号ならびに1984年10月24日発行の公表欧州特許出願第84
300745.1(公告番号第0122688号)は、ガラス繊維を充
填したときに、ASTM D−648により測定し、240℃を上回
る264psiの加熱撓み温度を有するポリフタルアミド類を
開示している。米国特許第4,617,342号による組成物は
モル比が80:20ないし約99:1のテレフタル酸化合物およ
びイソフタル酸化合物よりなるジカルボン酸化合物なら
びにモル比が約98:2ないし約60:40のヘキサメチレンジ
アミンおよびトリメチルヘキサメチレンジアミンよりな
るジアミン類から調製される。出願番号第142,469号に
教示される組成物はモル比が約70:30ないし約99:1のテ
レフタル酸およびイソフタル酸化合物ならびにヘキサメ
チレンジアミンを基材としている。該組成物は種々の用
途に有用であり、無添加および繊維充填組成物は成形用
途に特に適している。
強化繊維を充填した前記ポリフタルアミド類は射出成
形して望ましい機械的ならびに熱的性質を有する物品を
つくることができるけれども、多くのポリフタルアミド
類、特に比較的高含量のテレフタルアミド単位(たとえ
ば、約50モルパーセントを上回る)を有するポリフタル
アミド類の射出成形条件はポリ(ヘキサメチレンアジポ
アミド)のような低融点ポリアミド類の場合よりも厳し
いことが多い。該ポリフタルアミド成形品において最適
の性質を得ることも、成形ポリフタルアミド類中に、加
熱撓み温度を著しく上昇させるだけの結晶化度ならびに
結晶化度によって決まる他の性質を生じさせるのに必要
な成形条件によってめんどうになることがある。特に、
ポリフタルアミド類は通常最高約135℃に及ぶガラス転
移温度(「Tg」)を有しているが、典型的には最高約10
0℃の温度に達することができる通常の水蒸気または熱
水加熱金型は、多くのポリフタルアミド類中の有意の特
性評価が得られるほどの結晶化度の整合のとれた成長を
考慮に入れるには不適当であるかもしれないしあるいは
そうするためには不当に長い成形時間及び高い金型温度
を必要とするかもしれない。いうまでもなく、高い金型
温度は長い成形時間をもたらすことがある油加熱金型で
達成でき、あるいは成形結晶化度を高め、それによって
結晶化に依存する性質を向上させるために成形品のアニ
ールを行うことができるが、これらの代案はいずれも価
格を上げ成形操作に複雑さを増す。従って、該ポリフタ
ルアミド類を、他の望ましい性質を犠牲にすることなく
成形品の加熱撓み温度および他の望ましい性質の調和の
とれた達成を容易にするように改良することが望ましい
であろうということは理解されよう。
一般に、ポリマーの性質の改良は、種々の方法で行う
ことができることが知られている。重合反応での追加の
または異なるモノマーの使用による分子構造の修正は若
干の性質の望ましい改善をもたらすことができる。しか
し、このことは屡々他の望ましい性質のそう失を伴うこ
とが多く、かつ追加のまたは異なるモノマーの使用は操
作上の理由により必ずしも現実的ではない。前記ポリフ
タルアミド類の中のあるものについては、テレフタルア
ミド単位をアジポアミド単位で置き換えることが組成物
のTgを低下させるのに有効であり、それによって低い金
型温度での成形が容易になるが、他の性質、たとえば吸
水抵抗性および熱崩壊性が犠牲になる。添加剤の使用は
重合プロセスを複雑にせずに性質の改善をもたらすこと
ができるが、添加剤の効果は予測できないことが多く、
その上、ある性質の改良が、他の性質を犠牲にして得ら
れることが多い。たとえば、前記ポリフタルアミド類へ
の可塑剤の添加はTgの低下をもたらすことができるが、
これはモジュラスのような機械的性質を犠牲にして得ら
れる。一定のポリマーに1つ以上の他のポリマーを配合
することは個々の成分の性質の中間の性質が組合わさっ
た組成物を得ることができるが、プロセス条件が、望ま
しい性質改善を得ようとして一定のポリマーに配合する
ことができる候補者の数を制限することが多い。また、
配合は予測できないことが多く、配合物の性質が成分の
性質の好ましい均衡をもたらすことがあることもあれ
ば、成分の相溶性、配合条件または処理条件下の反応性
および他の要因によって成分の性質よりもよくなること
もわるくなることもある。
前記米国特許第4,603,166号および同第4,617,342号は
該特許に教示されるポリフタルアミド類が鉱物および繊
維を含む充填剤を、ポリフタルアミド類を増量または強
化させるために好ましくは約10−60重量パーセントの量
を含むことができることを開示している。開示されてい
る微粒充填剤には直径が5ミクロンから50ミクロンに及
ぶガラスビーズまたはガラス球および平均で3ミクロン
ないし30ミクロンの厚さのWollastokupおよびFranklin
Fiberのような繊維質鉱物充填剤がある。米国特許第4,6
03,166号の実施例Xでわかるように、40または60重量パ
ーセントの前記充填剤のあるものを含むポリフタルアミ
ド組成物の加熱撓み温度は精々約200℃であった。米国
特許第4,603,166号は、また、ポリフタルアミド類が、
熱安定剤,UV安定化剤,強化剤,難燃剤,可塑剤,酸化
防止剤,および顔料を包含する添加剤を含むことができ
ることも開示している。該特許の実施例VIIは、また成
核剤として1.5重量パーセントのフエニルホスフィン酸
ナトリウムを含むガラス繊維入り有機ポリフタルアミド
組成物も開示している。このようにして得た加熱撓み温
度は精々約145℃であった。
1973年8月28日発行、Hitchの米国特許第3,755,221号
は、0.001−0.5重量パーセントの0.5ミクロン未満の平
均直径を有する不活性の微粒成核剤、0.01−4重量パー
セントのC1-16アルキレンジアミンおよび飽和または不
飽和のC12-20モノカルボン酸から誘導したアルキレンジ
アミドならびに0.01−2重量パーセントの飽和または不
飽和C12-20モノカルボン酸金属塩を含む高速サイクル性
で迅速に成形可能なポリ(ヘキサメチレンアジポアミ
ド)組成物を開示している。Hitchによれば、成核剤は
球顆サイズの縮小および冷却時の溶融ポリ(ヘキサメチ
レンアジポアミド)の過冷却度の低減を特徴とする結晶
組織の生成ならびに成長を誘起させる。成核剤は、また
どちらかといえば実際よりも高い温度にある組成物から
成形した物品の凝固をひき起し、それによって型締時間
を低減させ生産速度を向上させるともいわれる。適当な
成核剤は微結晶構造を有するポリアミドの製造に通常用
いられるどのような成核剤でもよいといわれ、開示され
ている例にはホリアミドよりも高い融点を有する有機ポ
リマーまたは、好ましくはタルク,硫化モリブデン,グ
ラファイトまたはアルカリ金属もしくはアルカリ土金属
のフッ化物、特にフッ化カルシウムのような無機物質が
ある。Hitchによれば、複合体中に含まれるアルキレン
ジアミドは離型剤として働くといわれ、好適なアルキレ
ンジアミドとしてN,N′−エチレン−ビス−ステアロア
ミドが開示されている。Hitchの組成物のカルボン酸金
属塩成分は溶融ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド)の
流れを容易にする潤滑剤として働くといわれる。ステア
リン酸亜鉛が好適な物質として開示されている。ポリマ
ー重量に対して最高60重量パーセントのガラス繊維のよ
うな強化剤の混入も開示されている。Hitchはポリ(ヘ
キサメチレンアジポアミド)組成物およびガラス繊維含
有組成物を成形する際の成形時間を減少させるための微
粒子の使用も開示しているけれども、該特許は本発明の
組成物中のポリフタルアミド成分を開示してもいなけれ
ば、ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド)よりも厳しい
成形条件を必要とするポリフタルアミド類の成形時の困
難性を述べてもいない。本発明の組成物中のタルクおよ
びポリフタルアミド成分の使用はDavid P.Sinclairの名
で1989年4月21日出願の一般に譲渡される米国特許出願
第342,099号の主題であり、該出願は参考資料として本
明細書に収録してある。
繊維またはそれから得られるフィルムの物理的性質を
改良しようとするポリアミド類のような結晶可能な等方
性可塑性樹脂に対して種々の添加剤が提案されている。
このような添加剤には無機物質、小さな有機化合物およ
び等方性熱可塑性樹脂が同時押出されるかまたは混合さ
れる大きなポリマーがある。たとえば、Jackson,Jr等の
米国特許第4,140,846号(1979年2月20日)、McFarlane
等の米国特許第3,890,256号(1975年6月17日)、Pletc
herの米国特許第3,991,013号(1976年11月9日)、klei
nschuster等の米国特許第4,066,620号(1978年1月3
日)、Schaefgenの米国特許第4,075,262号(1978年2月
21日)、Schaefgenの米国特許第4,118,372号(1978年10
月3日)、およびJackson.Jr等の米国特許第4,156,070
号(1979年5月22日)に記載されているようにサーモト
ロピックポリエステル類の発見に関し、該物質を等方性
ポリマーと混合する二三の提案が行われている。残念な
ことに、該サーモトロピックポリマーはこれまで等方性
ポリマーとは不相溶であることが明らかにされており、
形成される不均質混合物は等方性ポリマー単独よりも少
しもすぐれるところのない性質を示す。
特に、M.Takayanagi等はJ.Macromol.Sci.−Phys.,B17
(4)、pp.591−615(1980)において、ナイロン−6
もしくはナイロン−66をポリ−p−ベンズアミドのよう
な完全芳香族ポリアミド類またはナイロン−6もしくは
ナイロン−66との該アミド類とのブロックコポリマーと
の混合試験を報告している。使用した完全芳香族ポリア
ミド類は溶融しない。
ここ20年間に、液晶ポリマー(「LCP」s)と呼ぶ新
種の高分子物質が広く研究されている。液晶溶液(リオ
トロピック液晶ポリマー、「LLCP」s)または融成体
(サーモトロピック液晶ポリマー、「TLCP」s)の異方
性状態は固体結晶と液体の境界の中間にある。Tai−Shu
ng Chungは「The Recent Develop−ments of thermotro
pic Liquid Crystalline Polymers」、Polymer Enginee
r−ing and Science、1986年7月、第26巻第13号、901
−919頁(参考資料として本明細書に収録)にこの種の
高分子物質を記述している。TLCSsはTLCPのほぼ融点か
ら透明温度または分解温度の範囲内の温度で異方性液体
状態を示す。この高分子状態は、また中間構造またはメ
ソフェーズ…ギリシャ語から採った複合用語(「メソス
(mesos)」は「中間の」を意味し、「モルフェ(morph
e)」は「形」を意味する)…とも呼ぶ。TLCPを融解す
ると、異方性液体状態すなわちメソフェーズが生成す
る。TLCPは真の固体または真の液体であるという基準の
すべてに適合するものではないが、固体または液体の特
性に類似する特性を有している。たとえば、液晶高分子
流体の異方性光学特性は、正規の固体の光学特性と同様
であるが、その分子は液体と同様に自由に移動する。こ
れらのポリマーと電気表示装置に用いられる通常の液晶
との大きな相違は分子量である。LCPsははるかに大きな
分子量を有する。Chungは、LCPsの製造法は工業によっ
て十分に開発されているが、LCドメイン生成に関する知
見は完全にはわかっていないと結論している。若干の予
測できない結果に対する理論的説明はまだ得られていな
い。
Siegmann等は本明細書に参考資料として収録してある
「Polyblends containing a liquidcrystalline polyme
r」、Polymer 26 1325(1985年)の中で、無定形の熱可
塑性ポリアミドマトリックス(Trogamid−T、Dynamite
Nobel.西独)ならびにTLCP(6−ヒドロキシ−2−ナ
フトエ酸およびp−ヒドロキシ安息香酸を基材とする芳
香族コポリエステル、米国セラニーズ社)よりなる系に
関する研究を発表した。混合物の粘度は常に原ポリマー
の粘度よりはるかに低かった。しかし、予想されるよう
に、これら混合物の引張機械的挙動は高分子複合体の挙
動に極めて類似していた。260℃(LCPの融点を下回る温
度)でレオロジー的測定が行われた。Siegmann等の論文
は本発明の組成物のポリフタルアミド成分を開示してい
ない。
繊維形成脂肪族および芳香族ポリアミド類を含む溶融
加工可能なポリマー用加工助剤として種々のLCPsが特許
請求されているが、加工性の改良、たとえば溶融粘度の
低下は物理的性質の低下を犠牲にしている。1983年5月
31日発行のCogswell等の米国特許第4,386,174号の実施
例5または1984年3月20日発行の前記の一部継続出願米
国特許第4,438,236号の同じ実施例5からわかるよう
に、90部のナイロン6,6と10部のLCPとの混合物の衝撃強
さはLCPをもたないナイロン6,6の衝撃強さの僅か1/3で
あった。米国特許第4,386,174号は本発明の組成物中の
結晶性ポリフタルアミド成分を開示してもいなければま
た該特許はすぐれた耐熱性を有するいかなるポリフタル
アミド組成物を開示してもいない。
1984年3月27日発行のKim等の米国特許第4,439,578号
には、熱可塑性成形組成物中への高アスペクト比を有す
るLLCPs微粒子の混入は標準UL94底部点火垂直燃焼試験
における該熱可塑性ポリマーの溶融滴下抵抗力を高める
と特許請求されている。
Gabor D.Kissは「In Situ Composites:Blends of Iso
tropic Poly−mers and Thermotropic Liquid Crystall
ine Polymers」Polymer Engineer−ing and Science,Ma
rch,1987,Vol.27,No.6,pp410−423の414頁にナイロンに
LCPポリエステルまたはLCPエステルアミドを混合するこ
とによって(LCP成分は30重量%)引張強さおよびアイ
ゾット衝撃値が低下することを開示した。Kissは結晶性
ならびに無定形の等方性ポリマーを強化するためのサー
モトロピックポリマーによって形成される繊維構造物の
使用を開示しているけれども、いかなる核形成法につい
ても提案されていない。Kissは本発明の組成物中の結晶
性ポリフタルアミド成分を開示してもいなければ、また
すぐれた耐熱性を有するポリマー組成物を得るいかなる
方法をも提案していない。
微粒状物質を含む種々のポリアミド組成物を開示する
という点で本発明に関連して興味があると思われる他の
特許および出版物を以下に述べるが、いずれも本発明の
組成物を開示してもいなければ、また本発明によって達
せられる改良が得られるかもしれないということを示唆
してもいない。
1981年9月29日発行、Shue等の米国特許第4,292,416
号は、すぐれた成形品の性能を有する混合物を得るため
に、ポリアリーレンスルフィド類を半結晶性ポリアミド
類またはコポリアミド類と混合することに関するもので
あるが、通常、望ましい性質に達するだけの結晶化度を
含んでいないポリアミド類が成核剤の使用によって屡々
その性質を改良することができることを開示している。
Shue等は、先行技術で公知の適当な成核剤には微粉の有
機または無機塩類,シリカ,アルミナおよび窒化ホウ素
があり、かつポリアミドの融点を上回る融点の他のポリ
マーがポリアミドに対して成核剤として働くことができ
ることも公知であることを開示している。
1985年2月26日発行、Chen等の米国特許第4,501,844
号および1985年8月20日発行、同じくChen等の米国特許
第4,536,533号は、ポリ(4,4′−メチレンジフェニレン
アゼラミド),−セバシミド),−ウンデカンジアミ
ド)および−ドデカンジアミド)から選ばれる線状ポリ
アミドならびにポリアミドの結晶化を促進させるだけの
量のタルク,ベンゼンスルホン酸ナトリウム,ポリエチ
レンモノマー類,メタクリル化ブタジエン−スチレンポ
リマーおよびある種の多相複合体中間ポリマーから選ば
れる少なくとも1つの物質よりなる射出成形可能な迅速
に結晶可能な組成物に関するものである。該特許は、特
定の成核剤を用いてある種のポリマーの結晶化速度を速
める技術は公知であるが、結晶化の技術が経験的なもの
で1つのポリマーに関する知見は一般には異なるポリマ
ーに適用することができないということに特に言及して
いる。Chen等によって用いられたポリアミド類はアニー
ルすなわち熱処理されなければ通常固態は無定形であ
る。結晶化促進添加剤は試行錯誤により求めることが出
来る量、Chen等によれば一般にポリアミドおよび結晶化
促進添加剤の重量に対して約0.1−20重量パーセントの
量が用いられる。結晶化促進添加剤としてタルクおよび
ベンゼンスルホン酸塩の場合には、Chen等は、結晶化度
が約0.1−5重量パーセントのタルクの水準で開始さ
れ、いずれの物質も驚くべきほど早いポリアミドの結晶
化速度を促進させることを開示している。最高約55重量
パーセントの強化剤または充填剤を含む組成物もChen等
によって開示され、ガラス繊維および炭素繊維を含む無
機および有機繊維が挙げられている。充填剤としてのタ
ルクの使用も開示されている。Chen等による組成物の26
4psiにおける加熱撓み温度は極めて高く、200℃を超
え、ある場合にはほぼ250℃であるといわれる。該特許
の実施例3は、138℃の金型を用いて成形したときに、2
64psiの加熱撓み温度が247℃である約1重量パーセント
のタルクおよび33重量パーセントのガラス繊維を有する
組成物を示しているが、99℃の金型を用いて成形した組
成物の264psiの加熱撓み温度は131℃に過ぎなかった。
本発明の目的は溶融加工性のすぐれた繊維入りポリフ
タルアミド組成物を提供することである。本発明の別の
目的は望ましい機械的および熱的性質を有する物品に射
出成形することができる該充填剤入り組成物を提供する
ことである。本発明の他の目的は、水蒸気または熱水加
熱金型が使用できるようにポリフタルアミドのTgを下回
る温度に加熱した金型を用いて多数の該ポリフタルアミ
ド類を成形するときでさえも前記性質を有する物品に成
形することができる該充填剤入り組成物を提供すること
である。本発明のほかの目的は前記充填剤入りポリフタ
ルアミド組成物を成形して有用な二次加工品とする改良
法を提供することである。本発明の特定の目的はポリフ
タルアミドのTgから100℃以内に加熱した金型を用いて
成形したとき、ポリフタルアミドのTgに加熱した金型を
用いて成形したときに得られた加熱撓み温度に実質的に
等しいASTM D−648による264psiの加熱撓み温度を有す
る繊維入りポリフタルアミド成形組成物を提供すること
である。本発明の他の目的は以下の説明および特許請求
の範囲から当業者には明らかであろう。
発明の要約 本発明の一般的目的は、(a)少なくとも一部結晶性
のポリフタルアミド成分、(b)ポリフタルアミド成分
100重量部当り約10ないし200重量部の強化繊維、および
(c)ポリフタルアミド融成体を核状にするだけの量の
微粒サーモトロピック液晶ポリマー成分よりなる樹脂状
組成物を用いて達成することができる。
別の態様においては、本発明の組成物は(a)テレフ
タルアミド単位,イソフタルアミド単位およびアジポア
ミド単位から選ばれる少なくとも2つの反復単位を含
み、ガラス繊維を充填したとき、ASTM D−648による264
psiの加熱撓み温度が少なくとも約240℃であるポリフタ
ルアミド成分、(b)ポリフタルアミド成分100重量部
当り約10ないし200重量部の強化繊維、および(c)ポ
リフタルアミド融成体を核形成するのに十分な量の微粒
サーモトロピック液晶ポリマー成分よりなる。
有利なことに、ポリフタルアミド成分は液晶ポリマー
のほぼ溶融温度から液晶ポリマーの分解温度の範囲内の
溶融温度を有している。
意外なことに、本発明の組成物は微粒TLPC成分を有す
ることなく成形された比較ポリフタルアミド組成物より
も実質的に高い加熱撓み温度を有している。本発明の組
成物は微粒TLCP成分を有することなく成形された比較ポ
リフタルアミド組成物またはポリフタルアミドを有する
ことなく成形された比較TLCP組成物のいずれよりも実質
的に高い加熱撓み温度を有することさえ可能である。
別の態様においては、本発明の組成物は、微粒TLCPを
有しないが低い金型温度の繊維入りポリフタルアミド類
の場合に得られる値に匹敵する加熱撓み温度の上昇を示
す。前記改良はポリフタルアミド成分のTgを下回る温度
に加熱した金型を用いて達せられ、それによっていくつ
かのポリフタルアミド類を成形する場合に水蒸気または
熱水加熱金型の使用が容易になる。
発明の詳細な説明 より詳細には、本発明の組成物のポリフタルアミド成
分は、 次式: の反復単位を有し、上記各反復単位の量比がモル比率で
A′:B′:C′=65〜95:25〜0:35〜5である。該ポリフ
タルアミドは、33重量%のガラス繊維で充填し、当該ポ
リフタルアミドのTg以上で、しかしその溶融結晶温度よ
り低い温度に加熱された型を用いて成型されたときに、
ASTM D−648により1.82MPa(264psi)において少なくと
も240℃の熱撓み温度を有する。
本発明に有用なポリフタルアミド類は結晶化が早いか
または中間の速度を有すると特性を述べることができ
る。このために、ポリフタルアミド類は、もしも33重量
パーセントのガラス繊維を充填し、通常ポリフタルアミ
ドのTgを上回るけれども溶融結晶化温度(Tcm)を下回
る温度に加熱した金型を用いて成形したポリフタルアミ
ド組成物の、ASTM D−648による264psiの加熱撓み温度
が少なくとも約240℃であり、かつ通常上記のように加
熱した金型を用いて成形された無充填ポリフタルアミド
の、ASTM D−648による66psiの加熱撓み温度が少なくと
も約220℃であれば、迅速結晶性とみなされる。このた
めに、中間結晶性ポリフタルアミド類は、前記のように
充填され成形された場合には、ASTM D−648による264ps
iにおける加熱撓み温度が通常少なくとも約240℃であ
り、かつ前記のように成形された無充填組成物の場合に
は、ASTM D−648による66psiにおける加熱撓み温度が通
常約220℃を下回るという特徴を有する。前記のように
充填され射出成形された場合に、ASTM D−648による264
psiの加熱撓み温度が通常約240℃を下回るポリフタルア
ミド類は遅結晶性または無定形ポリアミド類であって、
強化繊維を充填して成形した場合に高加熱撓み温度を示
すだけの結晶化度すなわち結晶化可能性に欠けるので本
発明によれば不適当である。さらに、遅結晶性ポリフタ
ルアミド類はそれから二次加工した物品を高温で使用す
る間に結晶化を生じて、寸法変化および初期破損を来た
す。
本発明の組成物のポリフタルアミド成分を、本明細書
では33重量パーセントのガラス繊維を充填したときの少
なくとも約240℃という加熱撓み温度に基づいて述べて
いるけれども、前記加熱撓み温度は異なる繊維水準にお
いても得られることが多く、33重量パーセントの水準は
便宜的な基準点として選択されたものであることは理解
されよう。射出成形に適するガラス繊維入りポリアミド
組成物を調製するのに通常用いられるようなガラス繊維
を加熱撓み温度の測定に使用することができる。該ガラ
ス繊維とポリフタルアミドとの混合はポリフタルアミド
中に繊維の実質的に均一な分散が得られるように行う。
本発明の組成物中の33重量パーセントガラス繊維充填ポ
リフタルアミド成分の加熱撓み温度は金型温度およびよ
り僅かではあるが成形時間、バレル温度および射出圧力
を含む成形条件によって変化することがある。従って、
本発明の組成物中のポリフタルアミド成分は、33重量パ
ーセントのガラス繊維入り樹脂に対してASTM D−648に
よる264psiの加熱撓み温度に基づいて定められるけれど
も、適当な条件下での特定の加熱撓み温度を有する樹脂
は前記加熱撓み温度に達しないように成形条件の変更が
たとえできるとしても本発明により適当である。上記の
ように、少なくとも約240℃の加熱撓み温度は、本発明
により適するポリフタルアミド類を含有する33重量パー
セントのガラス繊維入り組成物の場合には、通常ポリフ
タルアミドのTgを上回るがTcmを下回る温度に加熱した
金型を用いて達成される。
本発明による適当なポリフタルアミド類は、またASTM
D−648による264psiの加熱撓み温度が成形したままで
は約240℃を下回るが成形試料のアニール後には約240℃
を上回るポリフタルアミド類をも含んでいる。ASTM D−
648による264psiの加熱撓み温度を測定する場合の適当
なガラス繊維、配合条件および成形条件は下記実施例で
説明する。
本発明の組成物中の好適なポリフタルアミド成分は、
少なくとも1つの脂肪族ジアミンおよび前記式中に示し
た単位A′,B′及びC′中のジカルボン酸部分のモル比
が略々65−95:25−0:35−5で、ほぼ65−75:25−15:10
がもっとも好ましいテレフタル酸,イソフタル酸および
アジピン酸またはテレフタル酸およびアジピン酸を基材
とする迅速または中間結晶化速度の半結晶性ポリフタル
アミドよりなる。種々の脂肪族ジアミンを基材とする該
ポリフタルアミド類およびその調製法が参考資料として
本明細書に収録した1986年7月29日発行の前記Poppe等
の米国特許第4,603,166号に詳細に開示されている。も
っとも好ましいポリフタルアミドは、前記A′,B′及び
C′単位のモル比が約65:25:10であるものである。該ポ
リフタルアミド類は融点が約300ないし約350℃、Tgが約
80ないし約135℃および固有粘度が一般に約0.75ないし
約1.4dl/gの範囲で、本発明によれば成形部品の性質お
よび成形しやすさの点から約0.9ないし約1.25dl/gが好
ましい。30−45重量パーセントのガラス繊維を充填し、
約120℃で成形した該ポリフタルアミド類のASTM D−648
による264psiの加熱撓み温度は米国特許第4,603,166号
に開示されているように一般に約480−580゜F(250−30
5℃)の範囲にある。
また、米国特許第4,603,166号に開示され、本発明の
組成物のポリフタルアミド成分として適当なものは、6
5:35:0,55:35:10,60:30:10,50:0:50および60:0:40のモ
ル比のテレフタル酸,イソフタル酸およびアジピン酸成
分のうちの少なくとも2つとヘキサメチレンジアミンと
のポリフタルアミド類である。該特許にあるように、30
重量パーセントのガラス繊維を充填した65:35:0,55:35:
10および60:30:10の組成物は約120℃に加熱した金型を
用いて成形すると264psiにおける加熱撓み温度が約115
−132℃である。50:0:50および60:0:40の組成物につい
ては該特許は、不特定金型温度で充填剤なしで成形した
とき、264psiの加熱撓み温度が181゜F(83℃)および20
3゜F(94℃)で、不特定金型温度で成形した30重量パー
セントのガラス繊維充填60:0:40組成物の場合には264ps
iの加熱撓み温度が563゜F(295℃)と報告している。該
ポリフタルアミド類のTgは約75ないし90℃の範囲であ
る。約96℃に加熱した金型を用いて成形すると、33重量
パーセントのガラス繊維を充填した該組成物の、ASTM D
−648による264psiの加熱撓み温度は約240℃を超えて、
約270ないし295℃に及ぶ。
本発明によるサーモトロピック液晶ポリマーの混入は
金型温度要件または成形サイクル時間を低減させること
ができる。繊維、特に約10ないし約60重量パーセントの
ガラス繊維を充填した前記ポリフタルアミド類の引張強
さ、曲げ強さおよび曲げ弾性率を含む機械的性質は、溶
融加工性、低吸水性(たとえば、33重量パーセントのガ
ラス繊維入りポリフタルアミド類の場合には、吸水度は
120時間沸騰水中に浸漬後約4重量パーセント未満が通
常である)、および機械的性質の湿潤時の良好な保持性
とともに、該充填剤入りポリフタルアミド組成物を湿潤
環境下で使用する射出成形品、たとえばポンプハウジン
グの加工に特に好適なものとする。
組成と加熱撓み温度との間の正確な関係は十分にはわ
かっていないけれども、多数の一般原則とともに適当な
ポリフタルアミド組成物に関する前記の考察は、適当な
組成のポリフタルアミド類およびその目的のための性質
を与えるための指針となる。一般に、テレフタル酸およ
びイソフタル酸化合物とヘキサメチレンジアミンとのコ
ポリアミド類の溶融温度、結晶化速度および結晶化度の
水準は、他のものは同じで、テレフタルアミド対イソフ
タルアミドのモル比を高めると向上する。33重量パーセ
ントのガラス繊維を充填した場合に、該コポリアミド類
のASTM D−648による264psiの加熱撓み温度もテレフタ
ルアミド対イソフタルアミドのモル比を上げると上昇す
る。同様に、ヘキサメチレンジアミンとのターポリアミ
ド類中のテレフタルアミドとアジポアミドの合計対イソ
フタルアミドのモル比を高めた場合のガラス繊維入り組
成物の加熱撓み温度の上昇は、さきに述べた一般に譲渡
されるPoppe等の米国特許第4,603,166号から知ることが
できる。Yu等はJ.Poly.Sci.42,249(1960)で、著者等
は試作中での分解によって高テレフタル酸含量のコポリ
アミド類を調製することができないことを認めているけ
れどもアジピン酸とテレフタル酸は、それらとヘキサメ
チレンを含むある種のコポリアミド類中では、テレフタ
ル酸をアジピン酸で置き換えても融点の変化はほとんど
もたらさないような同形であると報告している。Yu等
は、またポリアミド類の結晶化度は、他のものは同じで
調製に用いたジアミンの分枝の増すにつれて低下すると
報告している。
理論に拘束されたくはないが、ヘキサメチレンテレフ
タルアミド,ヘキサメチレンイソフタルアミドおよびヘ
キサメチレンアジポアミド単位よりなる群から選ばれる
少なくとも2つの反復単位よりなるポリ(ヘキサメチレ
ンフタルアミド類)の場合に、イソフタルアミド単位、
すなわち前記式の単位B中のジカルボン酸部分のASTM D
−648による33重量パーセントのガラス繊維入り組成物
の264psiにおける加熱撓み温度が通常少なくとも約240
℃であるポリフタルアミドのTg以上ではあるが溶融結晶
化温度よりは低い温度に加熱した金型を用いて成形する
間に、ポリフタルアミド類が十分な結晶化度および十分
に高い結晶化速度を示すかまたはそれ以下の比率がある
ように思われる。多少でもヘキサメチレンイソフタルア
ミド単位の比率が大となると、結晶化度および結晶化速
度が低下して前記のように測定した33重量パーセントガ
ラス繊維入り組成物の加熱撓み温度は通常約240℃を下
回る。イソフタルアミド単位がこれら二水準の間では、
33重量パーセントのガラス繊維入り組成物の前記のよう
に測定した加熱撓み温度は、組成物中の残りの単位がヘ
キサメチレンテレフタルアミド単位を含み、ヘキサメチ
レンテレフタルアミド単位対ヘキサメチレンイソフタル
アミド単位のモル比が十分高いという条件下では通常少
なくとも約240℃である。
より具体的には、総アミド単位に対して約19ないし約
35モルパーセントのヘキサメチレンイソフタルアミド単
位、すなわち、前記式Bに相当する単位中のジカルボン
酸部分が総ジカルボン酸部分の約19ないし約35モルパー
セントであるヘキサメチレンイソフタルアミド単位より
なる前記ポリ(ヘキサメチレンフタルアミド類)は、33
重量パーセントのガラス繊維を充填し、Tgを上回るがTc
mを下回る温度に加熱した金型を用いて成形すると、ヘ
キサメチレンテレフタルアミド単位(すなわち、上記式
Aに相当する単位中のジカルボン酸部分)のモル百分率
がヘキサメチレンイソフタルアミド単位のモルパーセン
トの少なくとも約4倍から75パーセントを引いた値であ
るときには、通常ASTM D−648による264psiの加熱撓み
温度が少なくとも約240℃である。ヘキサメチレンイソ
フタルアミド単位の含量が前記約19ないし約35モルパー
セントの範囲内の上限にある場合には、33重量パーセン
トのガラス繊維入りポリフタルアミド類に関するASTM D
−648による少なくとも約240℃という264psiにおける加
熱撓み温度は通常達成されるか、または成核剤、金型温
度の上昇もしくは成形後のアニールによって達成可能で
ある。ヘキサメチレンイソフタルアミド単位がおよそ19
モルパーセントに達しないと、前記のように充填し、前
記のように成形した組成物の、ASTM D−648による264ps
iの加熱撓み温度は、残りの単位がすべてヘキサメチレ
ンテレフタルアミド単位であるにせよすべてヘキサメチ
レンアジポアミド単位であるにせよ、あるいは任意の比
率のヘキサメチレンテレフタルアミド単位とヘキサメチ
レンアジポアミド単位との混合物であるにせよ、通常ほ
ぼ約240℃を超える。ヘキサメチレンイソフタルアミド
単位がほぼ35モルパーセントを超える場合には、ポリ
(ヘキサメチレンフタルアミド類)は無定形かまたは結
晶化するのが非常に遅くて、成核剤、アニールまたは高
温金型を用いてさえもASTM D−648による、264psiにお
ける必要な加熱撓み温度に達しない。従って、テレフタ
ルアミド,イソフタルアミドおよびアジポアミド単位よ
りなる群から選ばれる少なくとも2つの反復単位を含
み、33重量パーセントのガラス繊維を充填したときに、
少なくとも約240℃のASTM D−648による加熱撓み温度を
有するポリフタルアミド類は、ヘキサメチレンイソフタ
ルアミド単位中のジカルボン酸部分のモルパーセントが
約19ないし約35モルパーセントであるときに、総ジカル
ボン酸部分に対してヘキサメチレンテレフタルアミド,
ヘキサメチレンアジポアミドおよびヘキサメチレンイソ
フタルアミド単位中のジカルボン酸部分のモル百分率
(以下それぞれMT,MAおよびMIと呼ぶ)が次式: を満足させるという条件下で、総ジカルボン酸部分に対
してヘキサメチレンイソフタルアミド単位中のジカルボ
ン酸部分のモルパーセントが0ないし約35モルパーセン
トであるヘキサメチレンテレフタルアミド,ヘキサメチ
レンイソフタルアミドおよびヘキサメチレンアジポアミ
ド単位よりなる群から選ばれる少なくとも2つの反復単
位よりなるポリ(ヘキサメチレンフタルアミド類)を含
む。
他の適当なポリフタルアミド組成物、たとえば、ヘキ
サメチレンジアミン以外のジアミンを基材にするかまた
はヘキサメチレンジアミンに加えて他のジアミンを基材
とする組成物、もしくはテレフタルアミド,イソフタル
アミドおよびアジポアミド単位から選ばれる少なくとも
2つの反復単位に加えて他のジカルボン酸アミド単位を
含む組成物を所望の場合には使用することができ、特定
組成物の適合性はポリフタルアミドのTgを上回るがTcm
を下回る温度に加熱した金型を用いて成形した33重量パ
ーセントのガラス繊維入り組成物のASTM D−648による2
64psiの加熱撓み温度に基づいて容易に確かめることが
できる。
本発明の組成物のポリフタルアミド成分は任意の適当
な手段を用い、適当な比率の適当な出発物質、たとえば
ジカルボン酸またはその誘導体およびジアミン類から調
製することができる。米国特許第4,603,166号に開示さ
れているように、該調製法の1つは塩調製工程を含み、
好ましくは適正な化学量論を達成するために回分式で行
い、そこでジカルボン酸化合物、ジアミンおよび溶剤の
適当な量を適当な反応容器に加え、塩生成をひき起すが
塩からオリゴマーへの著しい転化を防ぐのに有効な条件
下に保つ。水は好適な溶剤であり、温度は転化をできる
だけ少なくするために約120℃未満に保つことが好まし
い。塩調製工程の生成物は、回分式または連続式で操作
される凝縮部に導入することができる。凝縮部で塩から
ポリマーへのかなりの転化が行われる。凝縮生成物は次
に、典型的には、二軸スクリュー押出機のような仕上げ
部に送って、さらに転化を行い、一般には固有粘度を凝
縮部で得られた約0.1ないし約0.6dl/gの水準から最高約
0.8dl/g以上に高める。仕上部から高分子生成物を回収
し、さらにたとえばペレット成形するか充填剤,添加剤
等と混合することができる。1986年7月29日発行の一般
に譲渡されるRichardson等の米国特許第4,603,193号も
該ポリアミド類の調製法を開示している。
本発明の組成物中に含まれる強化繊維は、ポリフタル
アミドを強化させるだけの高モジュラスを有し、かつ本
発明の組成物を溶融加工する際に用いられる温度に耐え
ることができる無機または有機の繊維である。好適な繊
維は、ポリフタルアミド成分の機械的性質に比べて機械
的性質を可成り向上させるために少なくとも約2,000,00
0psiというモジュラスを有している。適当な強化繊維の
特定な例にはガラス,グラファイト,硼素,セラミック
およびアラミド繊維があり、ガラス繊維がもっとも好ま
しい。ガラス繊維の具体的な例には無アルカリ硼珪酸ガ
ラスまたはアルカリ含有C−ガラスがある。繊維の平均
厚さは約3ないし30ミクロンが適当である。たとえば約
5mmないし約50mmの長繊維を用いることも、またたとえ
ば約0.05mmないし約5mmの短繊維を使用することも考え
られる。原則として、任意の標準の市販繊維、特にガラ
ス繊維を用いることができる。
射出成形用に好適なガラス繊維は長さが約0.25mmない
し約25mmである。より長い繊維もより短かい繊維も適当
であるけれども、前者はポリフタルアミド成分中に分散
させ難く、そのために強化効果を減少させることがあ
る。より短かい繊維は分散は容易であるが、アスペクト
比が低いために弱い強化を与える。
繊維にはサイズ剤を施すことも、また無サイズである
こともでき、繊維のポリフタルアミド成分への付着を向
上させるためにカップリング剤を含ませることができ
る。サイズ剤を含有して供給される市販のガラス繊維を
そのまま、または摩耗によりサイズを除いて使用するこ
とができる。本発明の組成物の加工に用いられる温度に
おける分解または揮発分の放出に抵抗力のあるサイズ剤
が好ましく、実例にはポリエステル類およびポリエステ
ル−ウレタン類がある。カップリング剤の例には当業者
に公知の種々のシラン,チタネートおよびクロム化合物
がある。
本発明の組成物は、組成物の溶融加工性に著しい悪影
響を及ぼすほどの水準ではないが、ポリフタルアミド成
分の機械的性質を強化させるだけの量の強化繊維を含
む。好ましくはポリフタルアミド成分100重量部当り約1
0ないし約200重量部の強化繊維が用いられ、それより少
ない量では強化が不十分であり、一方それより多い量で
はポリフタルアミド成分中に均一に分散させることが難
しく、溶融加工性を犠牲にするほど溶融粘度を高めるこ
とがある。可成りの強化が得られ、一方加工性を維持す
るためにはポリフタルアミド成分100重量部当り約15な
いし約100重量部の繊維を使用するのが好ましい。
本発明の組成物の熱変形に耐える能力を高めるため
に、本発明の組成物は、またポリフタルアミド融成体を
核状にするほどの量のサーモトロピック液晶ポリマーを
含む補足成分も含んでいる。
理論に拘束されることを望むわけではないが、TLCPの
中間構造においてはポリフタルアミドのような熱可塑性
ポリマー融成体を核状にするのに比類なく適している。
通常完全芳香族ポリエステル類であるTLCP分子は、メソ
フェーズにおいては液体に類似して自由に移動して融成
物中に分散するけれども、長鎖有機分子の固体状配列
は、比較的低いTLCP濃度においてさえも、融成物を核状
にするだけの微粒子特性を与える。
あるポリエステル類はTLCPsの溶融異方性を示すこと
が公知である。たとえば下記参照。
(a)W.J.Jackson,Jr.、H.F.Kuhfuss、およびT.F.Gra
y,Jr.共著、Polyester−X7G−A Self Reinforced therm
oplastic、30th Anniversary Technical Conference、1
975 Reinforced Plastics Composites Institute、The
Society of the Plastics Industry,Inc.、Section 17
−D,1−4頁;(b) ベルギー特許第828,935号および
同第828,936号;(c) オランダ特許第7505551号;
(d) 西独特許第2520819号、同第2520820号、同第27
22120号、同第2834535号、同第2834536号、および同第2
834537号;(e) 日本特許第43−223号、同第2132−1
16号、同第3017−692号、および同第3021−293号;
(f) 米国特許第3,991,013号、同第3,991,014号;同
第4,057,597号、同第4,066,620号、同第4,067,852号、
同第4,075,262号、同第4,083,829号、同第4,093,595
号、同第4,118,372号、同第4,130,545号、同第4,130,70
2号、同第4,146,702号、同第4,153,779号、同第4,156,0
70号、同第4,159,365号、同第4,161,470号、同第4,169,
933号、同第4,181,792号、同第4,183,895号、同第4,18
4,996号、同第4,188,476号、同第4,201,856号、同第4,2
19,461号、同第4,224,433号、同第4,226,970号、同第4,
230,817号、同第4,232,143号、同第4,232,144号、同第
4,238,598号、同第4,238,599号、同第4,238,600号、同
第4,242,496号、同第5,245,082号、同第4,245,084号、
同第4,247,514号、同第4,256,624号、同第4,265,802
号、同第4,267,289号、同第4,267,304号、同第4,269,96
5号、同第4,272,625号、同第4,279,803号、同第4,284,7
57号、同第4,285,852号、同第4,287,332号、同第4,294,
955号、同第4,299,756号、同第4,311,824号、同第4,31
4,073号、同第4,318,841号、同第4,318,842号、同第4,3
30,457号、同第4,332,759号、同第4,333,907号、同第4,
335,232号、同第4,337,190号、同第4,337,191号、同第
4,339,375号、同第4,341,688号、同第4,346,208号、同
第4,347,349号、同第4,351,917号、同第4,351,918号、
同第4,355,132号、同第4,355,133号、同第4,355,134
号、同第4,359,569号、同第4,360,658号、同第4,362,77
7号、同第4,370,466号、同第4,371,660号、同第4,374,2
88号、同第4,375,530号、同第4,381,389号、同第4,384,
016号、同第4,393,191号、同第4,394,498号、同第4,39
5,307号、同第4,395,536号、同第4,408,022号、同第4,4
21,908号、同第4,429,060号、同第4,429,061号、同第4,
429,100号、同第4,429,105号、同第4,431,770号、同第
4,434,262号、同第4,460,735号、同第4,460,736号、同
第4,489,190号、同第4,724,131号および同第4,792,587
号;(g) 英国特許出願第2,002,404号;(h) 英
国特許第1,568,541号;ならびに(i)欧州特許出願第2
4,499号および同第45,499号。さらにアミド基および/
またはカーボネート基が溶融異方性を示すポリエステル
類中に存在することができる。
本発明に用いるのに適当なTLCPsには、これに限定さ
れるものではないが、完全芳香族ポリエステル類,芳香
族−脂肪族ポリエステル類,芳香族ポリアゾメチン類,
完全および不完全芳香族ポリ(エステル−アミド)類な
らびに芳香族ポリエステル−カーボネート類がある。こ
れらの中で完全芳香族ポリエステル類ならびに完全およ
び不完全芳香族(エステル−アミド)類が好ましい。こ
れらのものはすべて主鎖に沿ってナフタレン部分を含み
不溶性の結晶が生成しないように必要な充填破壊を行わ
せる。
典型的には、完全芳香族サーモトロピック液晶ポリマ
ーはポリマー主鎖に少なくとも1つの芳香族環を与え、
かつポリマーに溶融相で異方性を示させるようにする部
分を含んでいる。該部分は、これに限定されるものでは
ないが、芳香族ジオール類,芳香族アミン類,芳香族二
酸および芳香族ヒドロキシ酸を含む。
本発明に使用するのに適するTLCPsには下記特許に開
示されているポリエステル類およびポリ(エステル−ア
ミド)類がある。すなわち米国特許第4,067,852号、同
第4,083,829号、同第4130,545号、同第4,161,470号、同
第4,184,996号、同第4,219,461号、同第4,238,599号、
同第4,256,624号、同第4,267,289号、同第4,267,304
号、同第4,275,625号、同第4,276,397号、同第4,279,80
3号、同第4,299,756号、同第4,330,457号、同第4,337,1
91号、同第4,460,735号、同第4,460,736号、同第4,489,
190号、同第4,567,277号、同第4,727,131号、および同
第4,792,587号。上に示した全米国特許開示は完全な形
で参考資料として本明細書に収録してある。該特許に開
示されているTLCPsは典型的にはほぼ400℃を下回る、好
ましくはほぼ350℃未満の温度で異方性溶融相を形成さ
せることができる。これらのTLCPsの中で反復p−オキ
シベンゾイル部分を含むTLCPsが好ましい。特に好まし
いのは反復6−オキシ−2−フナチオールおよびp−オ
キシベンゾイル部分を含むTLCPsである。
本発明に用いるのに適するTLCPsは一般溶剤に実質的
に不溶性の傾向があり、従って溶解加工しやすくない。
しかし、該TLCPsは通常の溶融加工法によって容易に加
工することができる。ほとんどの適当な完全芳香族ポリ
マーはペンタフルオロフェノールに極くわずか可溶であ
る。
本発明に用いるのに好適な完全芳香族ポリエステル類
は、一般に約2,000ないし200,000、好ましくは約10,000
ないし50,000、もっとも好ましくは約20,000ないし25,0
00の重量平均分子量を示す。好適な完全芳香族ポリ(エ
ステル−アミド)類は、一般に約5,000ないし50,000、
好ましくは10,000ないし30,000、たとえば15,000ないし
17,000の分子量を示す。該分子量はゲル浸透クロマトグ
ラフィーによってもまたポリマーの溶解を含まない標準
法、たとえば圧縮成形したフィルムの赤外分光法による
末端基測定によって測定することができる。もしくは、
分子量を測定するのにペンタフルオロフェノール溶液中
での光散乱法を用いることができる。
完全芳香族のポリエステル類およびポリ(エステルア
ミド)類は、さらに一般に、60℃のペンタフルオロフェ
ノール中に0.1重量パーセントの濃度で溶解したときに
少なくともほぼ2.0dl/g、たとえばほぼ2.0ないし10.0dl
/gの固有粘度(すなわちI.V.)を示す。
最良の結果を得るためには、本発明の組成物中のポリ
フタルアミド−TLCPの組合せを、ポリフタルアミド融成
体中にTLCPの中間状態を存在させるように選択する。好
適なポリフタルアミド−TLCPの組合せにおいては、ポリ
フタルアミド成分は液晶ポリマーのほぼ溶融温度から液
晶ポリマーの分解温度の範囲内に溶融温度を有してい
る。
特に好ましい完全芳香族サーモトロピックポリエステ
ル類は2,6官能性二置換ナフタレンモノマーを使用す
る。該生成物はヒドロキシ安息香酸(HBA)および6−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(「HNA」)から調製す
る。
米国特許第4,161,470号に開示されている完全芳香族
ポリエステルはほぼ350℃未満の温度で異方性溶融相を
形成することができる溶融加工可能な完全芳香族ポリエ
ステルである。該ポリエステルは実質的に下記の反復部
分IおよびIIよりなる。
該ポリエステルはほぼ10ないし90モルパーセントの部
分I、およびほぼ10ないし90モルパーセントの部分IIを
含む。好適な態様においては、部分IIはほぼ60ないし90
モルパーセントの濃度、より好ましくはほぼ70ないし90
モルパーセント、たとえばほぼ90モルパーセントの濃度
で存在する。さらに、環上に存在する少なくとも若干の
水素原子は、場合により、炭素原子が1ないし4個のア
ルキル基、炭素原子が1ないし4個のアルコキシ基、水
素、フェニル、置換フェニルおよびそれらの混合物より
なる群から選ばれる置換基によって置換させることがで
きる。
米国特許第4,219,461号に開示されているポリエステ
ルはほぼ320℃未満の温度で異方性溶融相を形成するこ
とができる溶融加工可能な完全芳香族ポリエステルであ
る。該ポリエステルは、実質的に下記反復部分I,II,III
およびIVよりなる。
(式中、Arは少なくとも1つの芳香環を含む二価の基で
ある)のジオキシアリール部分であり、かつ (式中、Ar′は少なくとも1つの芳香環を含む二価の基
である)のジカルボキシルアリール部分である。かつ、 ここに、該ポリエステルはほぼ20ないし40モルパーセン
トの部分I、10モルパーセントを超え最高約50モルパー
セントの部分II、5モルパーセントを超え最高約30モル
パーセントの部分III、および5モルパーセントを超え
最高約30モルパーセントの部分IVよりなる。該ポリエス
テルはほぼ20ないし30(たとえばほぼ25)モルパーセン
トの部分I、ほぼ25ないし40(たとえばほぼ35)モルパ
ーセントの部分II、約15ないし25(たとえば、約20)モ
ルパーセントの部分III、およびほぼ15ないし25(たと
えば、ほぼ20)モルパーセントの部分IVよりなるのが好
ましい。さらに、環上に存在する少なくとも若干の水素
原子は場合により、炭素原子が1ないし4個のアルキル
基、炭素原子が1ないし4個のアルコキシ基、水素、フ
ェニル、置換フェニル、およびそれらの混合物よりなる
群から選ばれる置換基によって置換させることができ
る。
部分IIIおよびIVは、ポリマー主鎖中で該部分を他の
部分と結合させる二価の結合が1つ以上の芳香環上に対
称的に配置されている(たとえば、ナフタレン環上に存
在するとき互いにパラ位に、すなわち対角線上にある)
という意味において対称的であるのが好ましい。しか
し、レゾルシノールおよびイソフタル酸から誘導される
ような非対称の部分も使用することができる。
好ましい部分IIIおよびIVは前記米国特許第4,219,461
号に示されている。好適なジオキシアリール部分IIIは および好適なジカルボキシアリール部分IVは 本発明の目的は、熱可塑性成形組成物を、ASTM D−64
8の意味する範囲内の熱変形に耐えるものとするだけの
量の必要な物理的特性を有する液晶ポリマー微粒子を混
入することである。
本発明によれば、ポリフタルアミドの機械的性質を実
質的に保持しながら熱変形温度を高めるだけの量のTLCP
をポリフタルアミドに添加することができる。前記量は
ポリフタルアミド成分100重量部当り通常約0.01重量部
ないし約75−100重量部未満の範囲である。本発明の組
成物はポリフタルアミド成分100重量部当りほぼ0.01な
いしほぼ75重量部のTLCPを含む。好ましくは、該組成物
はポリフタルアミド成分100重量部当りほぼ0.01ないし
ほぼ50重量部のTLCPを含む。より好ましくは、該組成物
はポリフタルアミド成分100重量部当りほぼ0.01ないし
ほぼ25重量部のTLCPを含む。
微粒子は任意の適当な手段によって成形樹脂中に配合
することができる。たとえば、微粒子を難燃剤,強化剤
等のような他の添加剤とともに樹脂にプレミックスし、
次に混合物を溶融押出しすることができる。
本発明による組成物は、任意の適当な手段により、ポ
リフタルアミド成分、強化繊維およびTLCPを混合して調
製することができる。便宜上、粉末またはペレット状の
ポリフタルアミド成分および他の成分の所要量を、ポリ
フタルアミド成分を分解せずに溶融させるのに有効な温
度で、高剪断ミキサー、たとえば二軸スクリュー押出機
で溶融混合して、ポリフタルアミド中の繊維およびTLCP
の実質的に均質な分散液を得る。混合中に混練ブロック
や他の適当な混合要素を用いることは成分の高度の分散
を達成させる助けになる。ポリフタルアミド成分の分解
をできるだけ少なくするために、二軸スクリューミキサ
ーを使用する場合の好ましい温度は成分の融点に等しい
温度ないし該融点よりも最高20℃高い温度である。溶融
混合前に固体状成分の混合を、溶融混合を促進させるた
めに行うことができる。繊維およびTLCPは、また押出機
あるいは他の混合装置内で溶融ポリフタルアミドに加え
るか、もしくは他の適当な方法によって混合することも
できる。
本発明の組成物は、また性質を改良または変更させる
ために、顔料,安定剤,充填剤,増量剤,難燃剤,潤滑
剤,耐衝撃性改良剤および他の適当な添加剤を加えるこ
ともできる。さきに指摘したように、Hitachの米国特許
第3,755,221号は離型剤として種々のアルキレンジアミ
ド類、たとえばラウリル酸,ミリスチン酸,パルミチン
酸,ステアリン酸,および他の飽和または不飽和モノカ
ルボン酸のC1-16アルキレンジアミド類、ならびに潤滑
剤としてカルボン酸金属塩、たとえばC12-20モノカルボ
ン酸のリチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシウム
塩類を開示している。他の通常の添加剤にはステアリル
アルコール,ステアリン酸金属塩およびエチレンビスア
テアロアミドのような離型剤ならびに熱安定剤たとえば
アルカリ金属ハロゲン化物および1974年8月20日発行の
Burtonの米国特許第3,830,777号に教示される銅塩と該
品との混合物、ならびにリン酸,ナトリウムまたはアル
キルまたはアリールホスフェートおよびホスフィット、
有機または無機酸の種々の第二銅塩、たとえば酢酸第二
銅および酪酸第二銅、ならびにアルカリ金属またはアル
カリ土金属ハロゲン化物、たとえば1955年3月24日発行
のStamatoffの米国特許第2,705,227号に教示されるよう
なヨウ化ナトリウムおよびヨウ化カリウムがある。本発
明の組成物用の好ましい熱安定剤はヨウ化カリウム,ヨ
ウ化ナトリウムおよびそれらの混合物ならびにいずれか
または両者と酢酸第二銅との混合物であり;好適な離型
剤にはアルミニウムジステアレート、ヘキサメチレンビ
スステアロアミドワックスおよびそれらの混合物があ
る。使用時の好ましい水準はポリフタルアミド成分100
重量部当り熱安定剤が約0.01ないし約2重量部の範囲に
あり、ヨウ化物塩と酢酸第二銅の混合物を用いる場合に
はヨウ化物塩が約0.01ないし約1.5重量部および酢酸第
二銅が約0.01ないし約0.5重量部である。離型剤の好適
な水準は本発明の組成物100重量部当り約0.01ないし約
5重量部の範囲にある。
本発明の組成物は電子コネクタ,スイッチ部品,ポン
プハウジング,バルブ部品およびフード下の自動車部品
のような成形物製造用射出成形材料として特に有用であ
る。該組成物の射出成形は通常本発明の組成物をポリフ
タルアミド成分の融点を上回るが該成分を著しく劣化さ
せるほどには高くない温度に加熱し、ポリフタルアミド
成分のTgを約100℃下回る温度ないし該Tgを約75℃上回
る温度に保った金型中に組成物を射出し、かつ溶融ポリ
フタルアミド成分を凝固させるのに効果的な時間の間組
成物を金型中に保持することによって行われる。20秒な
いし1分サイクル、通常約300゜ないし約400℃にわたる
バレル温度および約25℃ないし約200℃の金型温度を、
ポリフタルアミド成分の融点、分解温度およびTgによっ
て変動する特定温度として用いるのが適当である。本発
明の好適な態様においては、ポリフタルアミド成分のTg
が最高約125℃である本発明の組成物を約310ないし約36
0℃に加熱して成分を溶融させ、水蒸気または熱水で約1
00℃±10℃に加熱した金型を用いて成形する。
以下の実施例および比較例と関連させて本発明をさら
に説明するが、前記の説明のためのものであって限定す
るためのものではないことを理解しなければならない。
実 施 例 一般論 本実施例中で市販TLCPと称しているナフタレンを基材
としたポリエステルはヘキスト−セラニーズコーポレー
ション製造のベクトラA950で、約73モル%の4−オキシ
ベンゾイル部分 と約27モル%の6−オキシ−2−ナフトイル部分 とから成っている。
実施例1 それぞれオイルジャケット加熱装置を取り付けた幾つ
かの大きなステンレス鋼製攪拌反応器中に70−80wt.%
のヘキサメチレンジアミン水溶液、アジピン酸、イソフ
タル酸及びテレフタル酸を、そのモル分率が約110/65/2
5/10となる様な量入れた。ジアミンと二酸の総モルに対
して1モル%の安息香酸をキャッピング剤として加え
た。その酸を加えている間に温度は70℃まで上昇した。
さらに800ppmの次亜リン酸ナトリウム触媒を反応器に加
えた後、それぞれをシールして、反応器中が5.64kg/cm2
(80psi)の窒素雰囲気になる様に窒素でパージし、約1
20℃まで加熱した後、その温度に保持した。反応器から
反応器へと入れ替えることにより、塩の溶液を絶えず下
流行程へと送り込む為幾つかの反応器を併用した。
攪拌槽の内容物は、ジャケット付油加熱攪拌槽へと絶
えず汲み出し、マイクロプロセッサー調節のリサーチコ
ントロールバルブを用いて12.7kg/cm2(180psi)の圧力
下に維持した。反応器を約200℃まで加熱した。前記条
件下、反応器中の滞留時間を約15分とし、その結果、最
初に入れた物質の重量に対し約35wt.%だった水の含有
量は攪拌槽から取り出した物質の重量に対して約15wt.
%まで減少した。
攪拌槽の内容物は二頭ブラシ−ルーベピストンポンプ
を用い、約8.2kg/hr.の速さで絶えず汲み出し、内径0.9
5cm、長さ274cm及び401cmの直列に配する2本のジャケ
ット付油加熱ステンレス鋼パイプを通した。約128kg/cm
2(1820psi)の圧力下、最初のパイプは約315−325℃
に、第2のパイプは約325−335℃に保った。
第2の加熱パイプの内容物は約7.8kg/cm2(110psi)
の圧力下、加熱ジャケット中を325−345℃の熱交換流体
を循環させながら探索調節弁を通し、管内及びジャケッ
トの内壁と外壁との間の温度を監視する為の熱電対を取
り付けた内径約0.94cm、長さ約274cmのジャケット付き
の管へ絶えず送られた。その管へ送った物の中の揮発物
は、その上流部分でフラッシュした。
水蒸気と溶融ホリマーとを含む管の内容物をウェルナ
ー アンド フレイデラーコーポレーションのZSK−30
二軸スクリュー押出機のスクリューへ投入した。
揮発物は押出機バレルの後部ガス抜きから出ていく様
にした。ポリマーは、100rpmでスクリュー回転するねじ
山と300−330℃で加熱した押出機バレルとの間を通し
た。ポリマーを内径約0.24cmのストランドダイを通して
押出し、水浴中を通してさらに細断し、ペレットとし
た。得られたポリフタルアミドの内部粘度は約0.88dl/g
であった。融点は312℃であった。溶融結晶化温度は270
℃、Tgは121℃であった。
実施例2 実施例1で調製したポリフタルアミドで内部粘度
(“IV")が0.85dl/gのものを除いた試料を、最高含水
量が約1000ppmとなるまで真空炉中110℃で約14時間乾燥
した。続いて、そのポリフタルアミド約9.08kgとPPGコ
ーポレーションより入手した商品名PPG 3540の長さ3mm
のガラス繊維約3,53kg及びヘキスト−セラニーズコーポ
レーションより入手した市販TLCPのベクトラA950約127.
4gとを、その成分が十分混和する様に混転し、さらにウ
ェルナー アンド フレイデラーコーポレーションのZS
K−30二軸スクリュー押出機を設定速度50rpmで、バレル
温度を第1ゾーン275℃、第2ゾーン320℃、最終ゾーン
310℃に設定して操作し、その混転した混合物を配合し
た。スクリューの構成は、比較的長いピッチを持つ最初
の部分、続くスパイク様の部分、圧縮部分、長いピッチ
を持つ最終部分とから成っている。存在するガスは、バ
レル出口の近くにあるガス抜き部を通して押出機から出
ていく様にした。配合物は、内径約0.24cmの円形オリフ
ィスを持つストランドダイを通して押出機より出され
た。スクリュートルクは19%、ダイ圧力は約175psiとし
た。押出物は冷却し、細断してペレットとした。
実施例3 実施例2の条件に従い、実施例1と同様IVが0.85dl/g
のものを除いたポリフタルアミド9.08kgと、3.53kgのガ
ラス繊維PPG 3540に、390gの市販TLCPを含む試料を加え
た。
実施例4 実施例2の条件に従い、実施例1と同様IVが0.85dl/g
のものを除いたポリフタルアミド9.08kgと3.53kgのガラ
ス繊維PPG 3540に市販のTLCPを含む試料を加えた。
実施例A 実施例1と同様IVが0.85dl/gのものを除いたポリフタ
ルアミド9.08kgのTLCPを含まない試料を、実施例2に従
って3.53kgのガラス繊維PPG 3540に加え、溶融して均質
にした。
実施例5と実施例B 実施例2−4,A及び実施例Bと称するヘキスト−セラ
ニーズコーポレーションより入手した30%のガラス繊維
を含むベクトラA950の市販相当品、ベクトラ2130−30か
ら調製した樹脂を皿付乾燥炉中、80℃で約16時間乾燥し
た。さらにその樹脂質を40MMバッテンフェルド射出成形
機で下記の条件下、L/D比が13:1のASTM試験片へと射出
成形した。
後部ゾーン温度設定:327℃ 中間部ゾーン温度設定:332℃ 前部ゾーン温度設定:338℃ ノズル温度設定:320℃ 射出ライン圧力:133kg/cm2 持続ライン圧力:70kg/cm2 背 圧:10.5kg/cm2 スクリュー速度:100rpm 射出率:2ターン 圧締め閉鎖時間:18秒 射出持続時間:10秒 圧締圧:最大 金型温度設定:88℃と149℃ 実施例5の成形した樹脂の試験 実施例2−4,A及びBより成形した樹脂の試験結果を
下の表1に示す。上記実施例5に記載の条件下、試料を
成形した。成型温度を88℃及び149℃に設定した。成形
温度を約100℃まで上げるのには、油加熱或いは電気加
熱を必要とした。
上記の加熱撓み温度(HDT)は、少量の液晶ポリマー
を加えた時そのポリフタルアミドの熱抵抗性が改良され
ることを例証している。このHDT改良は、比較成分を88
℃の金型中で金型冷却した時特に著しい。この比較対称
ポリフタルアミド試料は二色むらがあり、コアーは不透
明、スキンは半透明となるが、このポリフタルアミド配
合物に液晶ポリマーを含めると、均一な白色となる。液
晶ポリマーをポリフタルアミドの白化剤として用いるこ
とは、化粧品用に興味深い表面材を作る為特に重要であ
る。
アニール後の熱抵抗性改良を例証する為、残りの試料
を200℃で2時間アニールし、そのHDTを測定した。アニ
ールによるHDTの上昇も表2で報告する。アニール後
は、金型温度に関係なくHDT値はその樹脂の最高価に近
付くことに注目されたい。
88℃の成形型中で成形した試験片をアニール後、対照
試料のHDTが著しく増加した事に注目されたい。少量のT
LCPを含有したポリフタルアミド樹脂はアニール後のHDT
にこの様な著しい上昇は見られず、ポリフタルアミド配
合物に対するTLCPの核形成効果を良く示唆している。
88℃の型中で冷やした実施例2,3及びAからの成形成
分を示差走査熱量計を用いて熱分析し、正味の融解熱を
測定することによって、成形した成分のスキン及びコア
ー部分の間に成形したままの結晶度の差があるかどうか
を測定した。金型冷却中、スキンとコアーとの間に冷却
速度勾配があることに注目されたい。これによってコア
ー部分はより高い温度で冷却するのに長時間を要し、こ
れがより大きな結晶度及び成形した試験片のスキン及び
コアー部分間の前記結晶度勾配の原因となる。この結晶
度勾配は結晶化が速くない物質において特に顕著であ
る。
個々の試料のスキン及びコアー部分をビューラーアイ
ソメット低速のこぎりを用いて切断した。さらにその薄
い試験片を減圧下、80℃で一晩乾燥した。試料はその成
分のガラス転移温度より約40℃低い温度で乾燥される
為、この様な条件下では後結晶化は起こり得ない。さら
に試料10mgをオムニサーム35050調節器に接続した示差
走査熱量計にかけた。最初の加熱により得られたデータ
はスキン及びコアー試料の正味の融解熱を決定するのに
用いられる。正味の融解熱は表3に示す様に融解熱から
低温結晶化熱をひくことにより決定される。
ポリフタルアミド対照試料とは異なり、少量のTLCPを
含有するポリフタルアミド試料に関しては、スキンとコ
アーの間に正味の融解熱の差は少ししか見られなかっ
た。融解熱が高ければ高いほど結晶度が高いことに注目
されたい。低温結晶化熱とは、試料をDSC加熱している
間にガラス状態から起こる結晶化のことである。対照物
(実施例A)のスキン試料は低温結晶化が大量であるの
に対し、コアー試料はわずかに低温結晶化するのみであ
る。低温結晶化は成形中、物質が複雑になってしまう前
にそれを急冷し、結晶化を止めた時に起こる。スキン及
びコアー試料の正味の融解熱が近づけば近づくほど試料
全体の結晶化がより均一になる。これらの結果は、少量
のTLCPを含むポリフタルアミドはTLCPを含まないポリフ
タルアミドより結晶化が速く、これがスキンの結晶度を
高める。
実施例6 実施例の市販TLCP825.6gと実施例1同様のポリフタル
アミド3.3022kgとを含む試料をキリオンの二段式単一ス
クリュー押出機を100rpm、51bs/hr.で用いて融解均一化
した。そのゾーンの温度は315−321℃に、ダイ温度は31
0℃に設定した。
実施例7 実施例6の物質56.9gを含む試料を実施例1と同様の
ポリフタルアミド5.7166kg、ガラス繊維PPG 3540の2.84
41kgと実施例2の条件に従って融解均一化した。得られ
た配合物はポリマー総量100に対し、0.2のTLCPと98.8の
ポリフタルアミドを含んでいる。
実施例8 実施例6の物質144.8gを含む試料を実施例1と同様の
ポリフタルアミド5.6295kg、ガラス繊維PPG 3540の2.84
41kgと実施例2の条件に従って融解均一化した。得られ
た配合物はポリマー総量100に対し、0.5のTLCPと99.5の
ポリフタルアミドを含んでいる。
実施例9 実施例6の物質288.7gを含む試料を実施例1と同様の
ポリフタルアミド5.4856g、ガラス繊維PPG 3540の2.844
1kgと実施例2の条件に従って融解均一化した。得られ
た配合物はポリマー総量100に対して1.0のTLCPと99.0の
ポリフタルアミドを含んでいる。
実施例10 市販のTLCP486.3gを含む試料を実施例1と同様のポリ
フタルアミド1.945kg、ガラス繊維PPG 3540の1.1197kg
と、実施例2の条件に従って融解均一化した。得られた
配合物はポリマー総量100に対して20.0のTLCPと80.0の
ポリフタルアミドを含んでいる。
実施例11 市販のTLCP972.5gを含む試料を実施例1と同様のポリ
フタルアミド1.4588kg、ガラス繊維PPG 3540の1.1197kg
と実施例2の条件に従って融解均一化した。得られた配
合物はポリマー総量100に対して40.0のTLCPと60.0のポ
リフタルアミドを含んでいる。
実施例C 実施例2の条件に従って、実施例1と同様のポリフタ
ルアミド5.440kgとガラス繊維PPG 3540の2.6794kgとを
含む対照試料を調製した。
実施例7−11,B及びCを原料とする樹脂の試験 実施例7−11を原料とする樹脂を、皿付乾燥炉中80℃
で約16時間乾燥した。さらに、金型温度を38℃,66℃,93
℃,121℃に設定することを除いては実施例5の条件に従
い、その樹脂質を40MMバッテンフェルド射出成形機でL/
D比が13:1のASTM試験片へと射出成形した。ASTM D−790
法に従い曲げ弾性率(FM)を、ASTM D−638法に従い引
張強さ(UTS)を、さらにASTM D−256法に従いノッチ付
アイゾット衝撃強さ(Izod)を、さらにASTM D−648法
に従い264psiでの加熱撓み温度(HDT)を試験した。こ
れら樹脂の試験結果は表4に報告する。
アニール後の熱抵抗性改良を例証する為、残りの試料
を200℃で2時間アニールし、そのHDTを測定した。アニ
ールによるHDTの上昇も表5で報告する。アニール後のH
DT値はその樹脂の最高値に達することに注目されたい。
100℃より低温に設定した成形型中で冷却成形した試
験片をアニール後、対照試料(実施例C)のHDTが著し
く上昇することに注目されたい。少量の市販TLCPを含有
するポリフタルアミド樹脂はアニール後のHDTにわずか
な上昇しか示さず、これはポリフタルアミドに対するTL
CPの核形成効果を良く示唆している。上記HDTの結果に
より、アニールの費用をかけることなしに望ましい熱的
特性を得る為には、ポリフタルアミドを水の沸点よりも
高温で冷却成形することが必要であるとわかる。又、そ
の結果より、アニールの費用をかけることなしに望まし
いHDT値を得る為、もしも市販のTLCPを核材として少量
加えるならば、水の沸点よりも低温に設定した成形型中
でポリフタルアミドを成形することが可能であると証明
される。油加熱成形型の替わりに水加熱成形型を用いる
ポリフタルアミドの成形が可能となることは、油加熱と
関連して付加価値及び安全性の点から最も望ましい。TL
CPを使用すると、加熱撓み温度で定義される様な重要な
熱的特性を損うことなく金型温度の範囲がより広くなる
ことによって、ポリフタルアミドの成形範囲は広がる。
実施例12及びD 内部粘度が1.2dl/gのものを除く実施例1によるポリ
フタルアミドを実施例2の市販TLCPの重量部1とドライ
ブレンドした。その後、その配合物を40MMバッテンフェ
ルド射出成形機で半径約1.2cmの歯車へと射出成形し、
さらにTLCPを含まない同じポリフタルアミドの対照試
料、これを実施例Dと称するが、これを下記の様に同様
な条件下射出成形した。
ノズル温度 バリアックの60% 前部ゾーン温度 321℃ 中間部ゾーン温度 304℃ 後部ゾーン温度 299℃ 実測金型温度 移動面 123℃ 固定面 133℃ 射出ライン圧力 70kg/cm2 成形した実施例Dの樹脂には、透明な無晶質スキンと
不透明な結晶質コアーとの二色むらがあった。実施例12
の樹脂とは対照的に、ポリフタルアミドと1%の市販TL
CPとを含む樹脂は全体が白く均質であった。
その2つの樹脂の試料は、減圧下110℃で乾燥後、約3
35℃、10トンで約30秒間圧縮成形して厚さ5ミルのブラ
ックとし、その後直ちに冷水成形機へ移して急冷した。
1/4インチ、厚さ5ミルのディスクを顕微鏡のスライド
の上に置き、コフラーの熱載物台の上で加熱して熱履歴
を除いた。その後、その試料を減偏光光度装置のマテラ
ーFP−52熱載物台へ移し、恒温で結晶化した。この方法
で試料を直交する偏光面の間に置くと、試料が結晶化し
始めた時偏光を消滅し、試料は光沢をもつ様になる。光
度の変化は時間の関数として記録される。その恒温結晶
化誘導時間は表6で報告する。
上記のデータは、少量のTLCPを含むポリフタルアミド
配合物の結晶速度の増大を示している。
実施例13 ヘキスト−セラニーズの市販TLCP、ベクトラA950は、
その熱安定性と融解温度を測定することで熱的特性が決
定された。熱安定性を測定する為、試料7mgを窒素下、1
0℃/minの速度でパーキン−エルマーPGS−II熱重量分析
器にかけた。融解範囲、すなわち中間相の範囲はオムニ
サームQC−25示差走査熱量計を用いて測定した。試料は
20℃/minの速度で加熱した。このTLCPは約492℃で突然
分解し始め、850℃での残量はおよそ59%であった。こ
のTLCPの融解温度は235℃及び270℃である。このTLCPの
中間相が入いる範囲よりも高い温度範囲をこれらの融解
温度とし、一方、約270℃を越える温度、すなわち透明
温度では、中間形態(mesomorphoric)構造の秩序は失
なわれ、等方性溶融物が形成される。
実施例14 実施例1と同様に調製し、内部粘度が0.94dl/gのもの
を除いたポリフタルアミドの試料10mgを、まずその融解
ピークよりも高速でオムニサームQC−25にかけてその熱
履歴を消した後、その試料をアルミニウムブロック上で
急冷した。さらに試料をパーキン−エルマー示差走査熱
量計2C熱分析データステーションへ移した。試料をその
融解ピークよりも速い20℃/minで加熱して、様々な速度
(1.25,2.5,5,10,20,40或いは80℃/min)で冷やした
後、20℃/minで再加熱した。結晶速度はゆっくり冷却し
ながら得たデータより計算した。ポリフタルアミドの結
晶温度(Tc)に与える冷却速度の効果を示すデータは表
7で報告する。 表 7 冷却速度 (℃/min) Tc(℃) 80 215 40 232 20 243 10 252 5 253 2.5 258 1.25 261 射出成形行程におけるその成分のスキンでの冷却速度
は、スキンを急冷した結果として得られた速度80℃/min
よりも著しく速い。コアーはスキンとコアーとの間の冷
却速度勾配により、さらにゆっくりとした速度で冷え
る。表7に示す様に、冷却速度を遅くすればするほど、
結晶度が高くなり、それによって結晶化の始まる温度が
高くなり、他も全て同様である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−178351(JP,A) 特開 平2−199167(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)33重量%のガラス繊維で充填し、当
    該ポリフタルアミドのTg以上で、しかしその溶融結晶温
    度より低い温度に加熱された型を用いて成型されたとき
    に、ASTM D−648により1.82MPa(264psi)において少
    なくとも250℃の熱撓み温度を有し、次式: の反復単位を有し、上記各反復単位の量比がモル比率で
    A′:B′:C′=65〜95:25〜0:35〜5である少なくとも
    一部が結晶質のポリフタルアミド成分100重量部、 (b)強化繊維10から200重量部、及び (c)反復する6−オキシ−2−ナフトイル部分とp−
    オキシベンゾイル部分との総量に対し10から40モル%の
    反復する6−オキシ−2−ナフトイル部分と、60から90
    モル%のp−オキシベンゾイル部分とからなるサーモト
    ロピック液晶ポリマー成分0.01から75重量部、 を含み、かつそのポリフタルアミド成分がサーモトロピ
    ック液晶ポリマーの融解温度から分解温度までの範囲内
    に融解温度を有することを特徴とする組成物。
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