JP3139456B2 - 撮影装置の像ぶれ補正装置 - Google Patents

撮影装置の像ぶれ補正装置

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JP3139456B2
JP3139456B2 JP14250198A JP14250198A JP3139456B2 JP 3139456 B2 JP3139456 B2 JP 3139456B2 JP 14250198 A JP14250198 A JP 14250198A JP 14250198 A JP14250198 A JP 14250198A JP 3139456 B2 JP3139456 B2 JP 3139456B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撮影時に像ぶれを
補正する撮影装置の像ぶれ補正装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、カメラに代表される撮影装置おい
ては、手振れ等による光軸の角度変動を検知し、これに
より撮影画像を補正する像ぶれ補正装置として、可変頂
角プリズムにより光束曲げを行うもの(特開平2−12
0821)、撮影光学系のシフトにより像補正を行うも
の(特開平2−183217)等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】撮影装置の像ぶれは、
例えば、図17に示すように、撮影レンズ入射部を中心
にして撮影装置が回転し、フィルム面中央が移動する場
合(ケース1)、フィルム面中央を中心にして撮影装置
が回転し、撮影レンズ入射部が移動する場合(ケース
2)、フィルム面中央から所定の位置を中心に回転し、
撮影レンズ入射部及びフィルム面中央が移動する場合
(ケース3)等種々の態様が考えられる。
【0004】しかし、前述した各装置では、光軸の角度
変化の回転中心が判別不能であるので、図17に示した
ケース1〜ケース3のいずれの角度変動に関しても同一
の補正しか行うことができない。
【0005】前者の装置(特開平2−120821)で
は、検出した光軸回転角をθとした場合に、入射部の可
変頂角プリズムの頂角を変化させて、光束をθ曲げる補
正を行なう。このような補正は、被写体が無限遠に近い
場合は有効であるが、被写体が近距離である場合には、
ケース2やケース3のように、可変頂角プリズムが位置
する撮影レンズ入射部が、光軸垂直方向に移動してしま
うと、可変頂角プリズムへの被写体光の入射角度が異な
ってくるので、適切とはいえない。
【0006】また、後者の装置(特開平2−18321
7)でも、光軸の角度変動の他、撮影光学系の主点が光
軸垂直方向に移動してしまうことによって、光軸の角度
変動による像移動のみならず、主点の移動による像移動
成分も重畳されてしまう。従って、前述した可変頂角プ
リズムの場合と同様に、光軸の角度変動量に対して一意
的に像ぶれ補正量が決められない欠点があった。
【0007】一方、カメラの手振れ若しくは三脚取付時
の風ぶれに関しては、前者の場合には、カメラが接眼部
において撮影者の顔面に当接しているので、通常におい
てカメラ後端部が大きく変位することはない。また、後
者の場合には、通常において三脚取付部が大きく変位す
ることはない。従って、ぶれの発生する状況において、
カメラのどこかの部分(上記例では三脚座、若しくはカ
メラ後端部等の支持されている部位)はほとんど変位し
ないと見なすことができる。
【0008】つまり、カメラの支持状況を判別できれ
ば、光軸の回転中心位置(変位しない位置)の特定が可
能であり、光軸回転によって引き起こされる可変頂角プ
リズムへの被写体光の入射角変動や撮影光学系の主点の
平行移動を考慮した補正が可能となる。
【0009】そこで、本発明は、正確な像ぶれ補正を行
なうことができる撮影装置の像ぶれ補正装置を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明による撮影装置の像ぶれ補正装置は、撮影光
学系の一部又は全部を構成し、撮影画面上における像ぶ
れを補正する像ぶれ補正光学系と、前記像ぶれ補正光学
系を駆動する駆動手段と、撮影装置の光軸の角度変動を
検出する角変位検出手段と、前記撮影装置の光軸の変動
中心位置を検出する変動中心検出手段と、前記駆動手段
を駆動制御する制御手段とを含み、前記制御手段は、
記変動中心位置検出手段で検出された前記変動中心位置
前記角変位検出手段で検出した角度変動とに基づい
て、前記変動中心位置と前記撮影光学系の主点が一致し
ていない際に発生する前記主点の光軸に対するずれと前
記角変動とによる前記像ぶれを補正するように、前記像
ぶれ補正光学系の駆動量を可変することを特徴とするこ
とができる。
【0011】この場合に、前記像ぶれ補正光学系は、前
記撮影画面に対して相対的にシフトし、前記支持状況識
別手段は、前記撮影装置の光軸方向の支持位置に関する
支持位置情報を出力し、前記制御手段は、前記支持位置
情報に基づいて、前記像ぶれ補正光学系の駆動量を可変
することを特徴とすることができる。
【0012】また、前記制御手段は、前記角度変動がθ
であり、前記撮影光学系の焦点距離がfであるときに、
前記撮影画面上における像がθ×f以上移動するよう
に、前記駆動手段を駆動制御することを特徴とすること
ができる。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施形態をあげ
て、さらに詳しく説明する。図1は、本発明による撮影
装置の像ぶれ補正装置の第1の実施形態を示した模式図
である。第1実施形態は、像ぶれ補正手段として、撮影
光学系の入射部に可変頂角プリズムを配置したものであ
る。
【0014】筐体1は、カメラボディ及び鏡筒のハウジ
ングであり、前側には、繰り出し鏡筒17が、ボール1
8によって、光軸方向に移動自在に支持されている。こ
の繰り出し鏡筒7には、入射面と射出面の成す角度(頂
角)が可変な可変頂角プリズム2と、その可変頂角プリ
ズム2の頂角を変更させるプリズム駆動部3と、焦点距
離fの撮影レンズ4が設けられている。
【0015】可変頂角プリズム2と撮影レンズ4を通過
した被写体光は、クイックリターンミラー6によって反
射されたのち、ファインダスクリーン7に投射され、ペ
ンタプリズム8を介して、接眼部9で観察される。撮影
時には、クイックリターンミラー6が上昇し、不図示の
シャッタ装置で制御され、撮影フィルム5に露光が行わ
れる。
【0016】また、筐体1には、撮影フィルム5の直下
に三脚座L11が設けられており、レンズ鏡筒の中間に
三脚座M14が設けられている。
【0017】カメラCPU13は、カメラの各パラメー
タ(例えば、撮影レンズ4の焦点距離f等)を記憶し、
一連の撮影作動や像ぶれ補正等の制御する中央処理装置
であり、接眼部スイッチ10、三脚座Lスイッチ12、
三脚座Mスイッチ15、入射部スイッチ21からの出力
が接続され、カメラCPU13が各スイッチの閉成を検
出できるようになっている。
【0018】接眼部スイッチ10は、接眼部9に撮影者
の顔面が当接したときに閉となるスイッチである。三脚
座Lスイッチ12は、三脚座L11に三脚を装着したと
きに閉となるスイッチである。三脚座Mスイッチ15
は、三脚座M14に三脚を装着したときに閉となるスイ
ッチである。入射部スイッチ21は、可変頂角プリズム
2の直下に設けられ、支持物に当接したときに閉となる
スイッチである。
【0019】また、カメラCPU13には、角変位検出
部16、リニアエンコーダ19の出力も接続されてい
る。角変位検出部16は、筐体1に固定され、撮影光軸
の角度変化θを検出するためのものである。リニアエン
コーダ19は、繰り出し鏡筒17に設けられたリニアエ
ンコーダブラシ20が摺接することにより、繰り出し量
xを検出するためのものである。
【0020】一方、カメラCPU13の出力は、プリズ
ム駆動部3に接続されており、プリズム駆動部3は、カ
メラCPU13の制御信号に基づいて、可変頂角プリズ
ム2の頂角を所定の角度になるように駆動する。
【0021】なお、図1は、無限遠の撮影時を示すもの
であり、撮影フィルム5から可変頂角プリズム2までの
距離はb0 、撮影フィルム5から三脚座M14までの距
離はmである。これらの距離b0 、距離m及び撮影レン
ズ4の焦点距離f等は、カメラCPU13内のメモリに
記憶されている。
【0022】ここで、本発明による回転中心位置判定手
段(カメラCPU13)により判定される光軸回転中心
位置の設定と、像ぶれ補正制御手段(カメラCPU1
3)により補正される可変頂角プリズム2の入射光束曲
げの補正量の算出について、説明する。
【0023】図2は、図17に示したケース1について
説明した線図である。図2において、点B0 はフィルム
面中央、点A0 は撮影レンズ入射部(可変頂角プリズム
2が配置されている)、点Cは被写体位置であり、点B
0 ,A0 ,Cは直線上に位置する。ここで、CA0 間の
距離をa、A0 B0 間の距離をbとする。以上が初期の
状態である。
【0024】いま、撮影レンズ入射部(A0 )を中心に
カメラがθ回転し、フィルム面中央が点B1 に移動した
とする。なお、角度θは微小時とし、cosθ=1とし
て取り扱い、直線B0 A0 Cと直線B0 B1 は垂直と見
なす。ここで、像ぶれを除去するための可変頂角プリズ
ム2による光束曲げ角(=ωとする)は図2から明らか
なように、次式で与えられる。 ω=θ ・・・(1)
【0025】図3は、図17に示したケース2について
説明した線図である。ここでは、カメラが、フィルム面
中央の点B0 を中心にθ回転し、撮影レンズ入射部が点
A0から点A1 に移動した場合を考える。像ぶれを除去
するための可変頂角プリズム2による光束曲げ角ωは、
図3から明らかなように、次式で与えられる。 ω=θ+φ ・・・(2)
【0026】ここで、角度φを求めるために、いくつか
の補助点を設定する。点B2 は点A1 から直線A0 B0
と平行に距離bをとった点であり、各点B2 A1 A0 B
0 は長方形を形成する。また、点B3 は直線B0 B2 の
延長線と直線CA1 の延長線との交点である。角度φ
は、∠B3 A1 B2 である。直線A1 B2 とCA0 B0
は平行であるから、∠A1 CA0 も同じく角度φであ
る。
【0027】次に、直線A1 A0 について考えると、次
式が得られる。 A0 B0 ・θ=A0 C・φ b・θ=a・φ φ=θ・b/a ・・・(3) 従って、(2)式は以下のように書き直せる。 ω=θ・(1+b/a) ・・・(4)
【0028】図4は、図17に示したケース3について
説明した線図である。ここでは、カメラがフィルム面中
央の点B0 から距離mの位置にある点H0 を中心にθ回
転し、撮影レンズ入射部(初期位置A0 )が点A1 に移
動した場合を考える。つまり、フィルム面中央は点B0
から点B1 に移動する。像ぶれを除去するための可変頂
角プリズム2による光束曲げ角ωは、図4から明らかな
ように、(2)式で求められる。
【0029】ここで、図3と同様の補助点B2 、B3 を
設定し、φを求める。図4においても、∠B3 A1 B2
=∠A1 CA0 で、角度φである。また、∠A0 H0 A
1 は角度θである。図3と同様に、A0 A1 に注目する
と、次式を得られる。 A0 H0 ・θ=A0 C・φ (b−m)・θ=a・φ φ=θ・(b−m)/a ・・・(5) 従って、図4の場合には、(2)式は以下のように書き
直せる。 ω=θ・{1+(b−m)/a} ・・・(6) なお、(6)式において、m=0を代入すれば(4)式
と等価であり、m=bを代入すれば(1)式と等価とな
る。
【0030】次に、図5を参照して、第1実施形態の動
作を説明する。図5は、本発明による撮影装置の像ぶれ
補正装置の第1実施形態の作動順序を説明する流れ図で
ある。なお、特に断わりのない場合には、カメラCPU
13によって処理されるものとする。
【0031】ステップ(以下Sと略す)100からスタ
ートし、S105で、角変位検出部16から角変位出力
θを入力する。次に、S110で、入射部スイッチ21
が閉成しているか否かを判定する。閉成している場合に
は、S155へ進み、閉成していない場合には、S11
5へ進む。
【0032】S115では、リニアエンコーダ19から
撮影レンズ繰り出し量出力xを入力する。次に、S12
0で、撮影レンズ繰り出し量出力x及び予め記憶されて
いる焦点距離f、距離b0 を用いて、図2〜図4で示し
たa、bを算出する。
【0033】図6は、図1に示した撮影装置の光学系を
簡略化して示した図である。可変頂角プリズム2の厚み
は、焦点距離fに比較して小さいので省略してある。図
6において、f’及びx’は、各々撮影レンズ4の主点
A10からの前側焦点距離(E0 は前側焦点位置)及び前
側焦点位置E0 から被写体Cまでの距離であって、f’
=fである。以上からa,bは、次式によって算出され
る。 b=b0 +x ・・・(7) x’+f’=(f+x)・f/x FA=FB・f/x ・・・(8) a=FA−(b0 −f) ={(f+x)・f/x}−(b0 −f) ・・・(9) なお、(7)式、(9)式の右辺は、カメラCPU13
に情報として入力済みの数値のみであり、a及びbとも
に算出可能である。以下、a及びbは、そのままの形で
式に用いる。
【0034】図5に戻って、S125で、今度は三脚座
Mスイッチ15が閉成しているか否かを判定し、閉成し
ている場合には、S150へ進み、閉成していない場合
にはS130へ進む。S130で、三脚座Lスイッチ1
2が閉成しているか否かを判定し、閉成している場合に
は、S140へ進み、閉成していない場合にはS135
へ進む。次に、S135で、接眼部スイッチ10が閉成
しているか否かを判定し、閉成している場合にはS13
0と同様にS140へ進み、閉成していない場合にはS
145へ進む。
【0035】S140〜S155で、可変頂角プリズム
2の適正なプリズム頂角(=ξとする)を設定する計算
を行う。ここで、プリズム頂角ξと可変頂角プリズム2
による光束曲げ角ωとの関係について説明する。
【0036】図7は、可変頂角プリズム2による入射光
束の屈折の状態を示した図である。可変頂角プリズム2
は、入射面及び射出面が光学的平面ガラスであり、外周
部は可撓性の筒状体で構成されており、両ガラス間に、
そのガラスと同じ屈折率nの液体が充填されている。な
お、ガラスと液体の界面は省略してある。
【0037】可変頂角プリズム2による光束曲げ角ωと
可変頂角プリズム2の頂角ξの関係は、次式で表わされ
る。 i=r+ω =ξ+ω ・・・(10) i=n・r =n・ξ ・・・(11) ξ=ω/(n−1) ・・・(12)
【0038】再び、図5に戻って、S140では、三脚
座Lスイッチ12、若しくは接眼部スイッチ10が閉成
している場合、即ちフィルム面の中央近傍が支持物体
(=三脚、若しくは撮影者の顔面)によって支持されて
いる場合に、観測されるカメラブレは、フィルム面中央
を回転中心とした光軸の回転と見なせる。従って、先に
図3で説明した、光軸の回転中心がフィルム面中央B0
の場合の像ぶれを補正する可変頂角プリズム2の頂角設
定を行えばよい。この場合の頂角設定値は、前述した
(4)、(7)、(9)、(12)式を用いて求めるこ
とができる。 ξ=θ・(1+b/a)/(n−1) ・・・(13)
【0039】S150では、三脚座Mスイッチ15が閉
成している場合、即ちフィルム面中央から距離mの三脚
座M14が支持物体(=三脚)によって支持されている
場合に、観測されるカメラブレは、フィルム面中央から
距離mの点を回転中心とした光軸の回転と見なせる。従
って、先に図4で説明した、フィルム面中央から距離m
の地点H0 の場合の像ぶれを補正する可変頂角プリズム
2の頂角設定を行えばよい。この場合の頂角設定値は、
前述した(6)、(7)、(9)、(12)式を用いて
求めることができる。 ξ=θ・{1+(b−m)/a}/(n−1) ・・・(14)
【0040】S155では、入射部スイッチ21が閉成
している場合、即ち可変頂角プリズム2の近傍が支持物
体によって支持されている場合に、観測されるカメラブ
レは、入射部を回転中心とした光軸の回転と見なせる。
従って、先に図2で説明した、光軸の回転中心が撮影レ
ンズ主点A0 の場合の像ぶれを補正する可変頂角プリズ
ム2の頂角設定を行えばよい。この場合の頂角設定値
は、前述した(1)、(7)、(9)、(12)式を用
いて求めることができる。 ξ=θ/(n−1) ・・・(15)
【0041】S145に至る場合は、先の4個のスイッ
チのいずれもが閉成していない場合である。つまり、カ
メラの支持状況が分からず、光軸の回転中心が特定でき
ない場合である。この場合には、(13)式と(15)
式の中間的な値とすればほぼ良好な像ぶれ補正となる可
能性が高い。この場合の頂角設定値は、次式で求めるこ
とができる。 ξ=θ・{1+b/(2・a)}/(n−1) ・・・(16)
【0042】カメラCPU13は、S140〜S155
により、可変頂角プリズム2の適正なプリズム頂角
(ξ)を設定する計算を行った後に、S160に進ん
で、算出したプリズム頂角(ξ)に基づいた制御出力を
プリズム駆動部3へ送り、ブレの状況に応じた像ぶれ補
正のための適正なプリズム駆動を行わせ、S165で動
作を終了する。
【0043】以上により本発明では撮影装置の支持位置
を検出できるので、光軸の回転中心位置を特定できる。
従って、撮影レンズ入射部の光軸垂直方向の移動量によ
って引き起こされる被写体光の入射角変動の影響をも除
去した正確な像ぶれ補正を行うことができる。このこと
は、撮影レンズ入射部の光軸垂直方向の移動量によって
引き起こされる被写体光の入射角変動が比較的大きく影
響を及ぼす近距離撮影において、大きな効果を示す。
【0044】なお、実施の形態や装置の作動順序は、上
記に限定されるものではない。例えば、図1では、縦方
向の角変位検出部と可変頂角プリズム駆動部しか示して
いないが、横方向(図1では、紙面垂直方向にあたる)
に関しても、同様に本発明が適用できる。また、第1実
施形態では、三脚座が2カ所の場合を説明したが、1カ
所だけ、あるいは更に多数の箇所でも支持位置の特定を
適宜行えばよく、同様である。
【0045】また、第1実施形態では、支持物に当接し
たときに閉となるスイッチを可変頂角プリズム2の直下
に配設したが、撮影フィルム5から距離m’(数値m’
もカメラCPU13に記憶されている。)の位置で筐体
1に固定されて配設されていてもよい。その場合には、
図5に示した流れ図のS155で下記の演算を行えば良
い。 ξ=θ・{1+(b−m’)/a}/(n−1) ・・・(17) もちろん、このスイッチが複数箇所に配設されていても
よい。
【0046】また、図5に示した流れ図において、撮影
者が特殊な保持方法(例えば、筐体1の一部を加工して
保持具をつけた場合など)を採用したときに、S145
に至る場合には、S145でのξの演算式を、 ξ=θ・{1+(b−Y)/a}/(n−1) ・・・(18) として、不図示の入力ダイヤルによって、ファインダで
確認しながらYのパラメータを自在に設定可能とすれ
ば、最良の補正が行える。
【0047】図8は、本発明による撮影装置の像ぶれ補
正装置の第2実施形態を示した模式図である。第2実施
形態は、筐体1に固定された支持点検出スイッチ22の
応用例を示している。
【0048】図8において、筐体1に固定された支持点
検出スイッチ22は、抵抗体と可撓性電極からなる感圧
センサを用いたものである。この感圧センサは、手すり
や柵などに筐体1を乗せて支持する場合に、支持部分の
電極が圧力を受けて撓んで抵抗体と接触することによ
り、両者が導通する仕組みとなっている。従って、支持
点検出スイッチ22としては、閉成することになる。こ
のときの抵抗値によって、どの位置で圧力付加(図8中
の支持点P0 で表示)が掛かったかが、カメラCPU1
3に分かるようになっている。
【0049】図9は、図8に示した第2実施形態の作動
順序を説明する流れ図である。図5と同じ部分は、同一
の番号を付して、重複する説明を省略する。S100よ
りスタートし、S110を省略し、S120まで進み
a、bを算出した後、S200に進む。
【0050】S200で、支持点P0 が検出可能か否
か、つまりはいずれの位置で支持点検出スイッチ22が
閉成しているか否かを判定し、支持点検出スイッチ22
が閉成している場合には、S205へ進み、支持点検出
スイッチ22が閉成していない場合には、S130以下
へ進む。
【0051】S205で、支持点検出スイッチ22の抵
抗値から、支持点P0 と撮影フィルム5との距離m”を
算出する。次に、S210で、フィルム面中央から距離
m”の点を回転中心とした光軸の回転による像ぶれを補
正する可変頂角プリズム2の頂角設定を行えばよい。 ξ=θ・{1+(b−m”)/a}/(n−1) ・・・(19) S210またはS140、S145で適正な可変頂角プ
リズム2の頂角設定値を算出したのちに、S160に進
み、図5と同様にS165で終了する。
【0052】以上、2つの実施形態をあげて、像ぶれ補
正手段として、撮影光学系入射部に、可変頂角プリズム
2を配置した像ぶれ補正撮影装置について説明した。
【0053】次に、像ぶれ補正手段が、撮影光学系と画
面とを相対的にシフト可能なシフト装置である場合つい
て説明する。図10は、本発明による撮影装置の像ぶれ
補正装置の第3実施形態を示した模式図である。第3実
施形態は、像ぶれ補正手段が、撮影光学系と画面とを相
対的にシフト可能なシフト装置である例である。なお、
図1と同じ部分については同一の番号とし、重複する説
明を省略する。
【0054】撮影レンズ4は、バネ24によって重量が
支えられており、レンズシフト駆動部23は、撮影レン
ズ4を光軸と垂直方向に駆動することができる。レンズ
部スイッチ25は、撮影レンズ4の直下に配置されてお
り、支持物に当接したときに閉となるスイッチである。
【0055】レンズシフト駆動部23には、カメラCP
U13の出力が接続され、カメラCPU13の制御信号
に基づいて、撮影レンズ4をシフト駆動する。レンズ部
スイッチ25の出力はカメラCPU13に接続され、カ
メラCPU13はレンズ部スイッチ25の閉成を検出す
ることができる。
【0056】ここで、主点回りの光軸回転による像ぶれ
量Dと、主点に対する平行移動(光軸と垂直な方向への
主点と画面中心との平行移動のこと)による像ぶれ量
D’は、撮影レンズの焦点距離をf、横倍率をβ(繰り
出し量をxとしたときにβ=−x/f)、光軸の回転角
をθ、主点の平行移動量をtとすると、次式で表わすこ
とができる(特開昭62−47012参照)。 D=θ・f・(1−β) =θ・(f+x) ・・・(20) D’=t・β =−t・x/f ・・・(21)
【0057】前述したように、カメラが支持されている
状態において、(20)式のθが発生せずに、(21)
式のtのみ独立に発生する場合はまれである。ただし、
光軸の回転中心位置が撮影レンズ4の主点でない場合
に、光軸の回転によって撮影レンズ4の主点が光軸と垂
直方向に移動してしまい、(21)式のtに相当する量
が発生することによって、撮影レンズ4の主点の平行移
動による像ぶれ量成分D’が発生し、真の像ぶれ量はD
+D’となる。このことは、(20)式、(21)式で
明らかなように、繰り出し量xが焦点距離fに比べ無視
できない場合、つまりは近距離撮影時に特に問題とな
る。
【0058】一方、前述したように、ブレの発生する状
況において、カメラのどこかの部分(つまりは支持され
ている部位)はほとんど変位しない。従って、カメラの
支持状況が判別できれば、光軸の回転中心位置(変位な
しの位置)の特定が可能であり、光軸回転によって引き
起こされる撮影レンズ4の主点の平行移動による像ぶれ
量D’をも含んだD+D’の算出が可能となる。
【0059】ここで、いくつかの光軸回転の中心位置を
設定して、上記D+D’の算出を行う。
【0060】図11は、カメラの手振れ等を検知し、こ
れにより撮影画像を補正する像ぶれ補正撮影装置の有限
距離にある被写体の結像状態を示す図、図12は、図1
1の一部の拡大図である。
【0061】図11において、点B0 は結像位置(フィ
ルム面中央)、点A10は撮影レンズ主点位置、点G1 及
びE0 は撮影レンズ後側及び前側焦点位置、点Cは被写
体位置であり、各点B0 ,G1 ,A10,E0 ,Cは直線
上に位置する。以上が初期の状態である。
【0062】図11図おいて、CE0 をx’、E0 A10
をf’、A10G1 をf、G1 B0 をx(=撮影レンズ繰
り出し量)とすれば、次のようなニュートン結像式が得
られる。 x・x’=f・f’ ・・・(22) レンズ前後とも等媒質(空気)であるからf=f’を代
入する。 x・x’=f・f ・・・(23)
【0063】ここで、カメラの手振れ等による像ぶれ量
と、その像ぶれを補正するための撮影レンズシフト量に
ついて、種々の条件を想定して算出してみる。
【0064】まず、前述した(20)式に示された主点
回りの回転による像ぶれについて説明する。いま、カメ
ラが撮影レンズ4の主点(A10)を中心にθ回転し、フ
ィルム面中央が点B1 に移動したとする。ただし、角度
θは微小時とし、cosθ=1として取り扱う。フィル
ム面中央に対する像ぶれ量(移動後の像が初期状態の像
のどの座標のものであるか)は、図11から明らかなよ
うに、次式で与えられる。 DA =B0 B1 =θ・(f+x) ・・・(24) (24)式は、(20)式と等しい。
【0065】ここで、点A10からB0 B1 と等しい距離
の点A11を加え、長方形A10B0 B1 A11領域について
考える。フィルム面中央が点B1 に移動した状態で、フ
ィルム面中央に被写体を結像させるためには、撮影レン
ズの主点をA10A11上の適当な位置(仮に、点G10とし
ておく)に移動させればよい(図11参照)。以下、点
G10の位置を求める。
【0066】図11において、B1 G10E1 C(E1 は
撮影レンズ主点がG10に移動後の前側焦点位置)及びA
10A11の関係から、次式が得られる。 B1 G10/G10C=A11G10/G10A10 ・・・(25) また、次式も得られる。 B1 G10/G10C=(x+f)/(f’+x’) ・・・(26) (26)式の右辺は(22)式を変形して代入すれば次
式のようになる。 (x+f)/(f’+x’) =(x+f)/(f+x’) =(x+f)/{f+(f2 /x)} ={x・(1+f/x)}/{f・(1+f/x)} =x/f ・・・(27) 従って、(25)〜(27)式で下記の式を得る。 A11G10/G10A10=x/f ・・・(28) ここで、点G10は、直線A11A10をx:fに分ける内分
点である。
【0067】図12において、何点かの記号を定める。
点G1 から直線A10B0 に垂直な線を引き、直線A10B
1 との交点をG2 、A11B1 との交点をG3 とする。ま
た、点G2 を通りA10B0 に平行(=A11B1 にも平
行)な線と、直線A10A11との交点をG4 とする。
【0068】これらの条件から次式を得られる。 G3 G2 /G2 G1 =B0 G1 /G1 A10 =x/f ・・・(29) また、G4 に関して次式を得る。 A11G4 /G4 A10=G3 G2 /G2 G1 =x/f ・・・(30) (28)式、(30)式から、G10=G4 であることが
わかる。以下この位置はG4 で表記する。
【0069】次に、撮影レンズの主点を移動させる量
(A10G4 )を求める。 A10A11=B0 B1 =θ・(f+x) ・・・(31) A10G4 =A10A11・f/(f+x) =θ・(f+x)・f/(f+x) =θ・f ・・・(32) 補正角度ψ(∠A10B1 G4 )は次式のようになる。 ζ(∠A11B1 G4 )=θ・x/(f+x) ・・・(33) ψ=ζ−θ =θ・{x/(f+x)−1} =θ・{−f/(f+x)} ・・・(34)
【0070】次に、撮影レンズの主点を点A10から点G
4 へ移すことによる像移動を算出する。主点回りの回転
による像移動量をdA 、主点平行移動による像移動量を
d’A とし、(20)式、(21)式に代入する。 dA =ψ・(f+x) =θ・(f+x)・{−f/(f+x)} =−θ・f ・・・(35) d’A =θ・f・(−x/f) =−θ・x ・・・(36) dA +d’A =−θ・(f+x) ・・・(37) (24)式に(37)式を足し合わせると、補正後の像
ぶれ量になる。 DA +(dA +d’A )=0 ・・・(38) 上式により、像ぶれが除去できたことがわかる。以上説
明したように、撮影レンズの主点(A10)を中心にカメ
ラがθ回転したときには、(32)式で表せるように、
θ・fだけ撮影レンズをシフトさせれば像ぶれが除去で
きる。
【0071】次に、結像位置(フィルム面中央)B0 を
中心にカメラが−θ回転し、撮影レンズの主点がA11に
移動した場合を考える。フィルム面中央の像ぶれ量(移
動後の像が初期状態の像のどの座標のものであるか)
は、次式より得られる。 DB =(−θ)・(f+x) ・・・(39) D’B =θ・(f+x)・(−x/f) ・・・(40)
【0072】フィルム面中央に被写体を結像させるため
に、撮影レンズの主点を移動させるべき位置は、初期の
状態に戻せばよいのが明かであるから、点A10である。
従って、移動量は、次式で与えられる。 A11A10=(−θ)・(f+x) ・・・(41)
【0073】主点回りの回転による像移動量及び主点平
行移動による像移動量を求めると、次式が得られる。 dB =θ・(f+x) ・・・(42) d’B =(−θ)・(f+x)・(−x/f) ・・・(43) DB +D’B +dB +d’B =0 ・・・(44) 従って、DB のみならずD’B をも考慮した像ぶれが除
去できたことがわかる。以上説明したように、フィルム
面中央B0 を中心にカメラが−θ回転したときには、
(41)式で表せるように(−θ)・(f+x)だけ撮
影レンズをシフトさせれば像ぶれが除去できる。
【0074】次に、フィルム面中央B0 から距離mの位
置にある点H0 中心に、カメラがθ回転し、撮影レンズ
4の主点(初期位置A10)が点A11に移動した場合を考
える。図13は、上記の結像状態を図12と同様に示し
た図である。
【0075】この場合には、フィルム面中央は点B0 か
ら点B1 に移動する。フィルム面中央の像ぶれ量(移動
後の像が初期状態の像のどの座標のものであるのか)
は、次式で与えられる。 DC =θ・(f+x) ・・・(45) D’C =A10A11・(−x/f) =−θ・(f+x−m)・(−x/f) =θ・x・(f+x−m)/f ・・・(46)
【0076】ここで、A10からB0 B1 と等しい距離の
A12を加え、長方形A10B0 B1 A12領域を考えると、
図12の長方形A10B0 B1 A11と同等である。図13
のG11、G12、G13を図12のG1 、G2 、G3 と同様
の位置関係に取れば、撮影レンズの主点を移動させるべ
き位置G14は次式で得られる位置である。なお、ν=∠
B0 A10B1 とする。 A10G14=A10A12・f/(f+x) =ν・(f+x)・f/(f+x) = ν・f ・・・(47)
【0077】ここで、辺B0 B1 に注目すると、 B0 B1 =θ・m =ν・(f+x) ν=θ・m/(f+x) ・・・(48) (47)式は(48)式から以下に書き換えられる。 A10G14=θ・m・f/(f+x) ・・・(49) A11A10については、∠A10H0 A11=θから次式で求
められる。 A11A10=θ・(f+x−m) ・・・(50) 撮影レンズ4の主点を移動させるべき距離A11G14は、
次式で得られる。 A11G14=A11A10+A10G14 =θ・(f+x−m)+θ・m・f/(f+x) =θ・{f+x−m+m・f/(f+x)} =θ・[f+x{1−m/(f+x)}] ・・・(51)
【0078】次に、像ぶれ除去の証明を以下行う。主点
回りの回転による像移動量dC 、及び主点平行移動によ
る像移動量d’C を求める。 dC =(f+x)・η’ =(f+x)・G14A11/(f+x) =G14A11 =−θ・[f+x{1−m/(f+x)}] ・・・(52) d’C =A11G14・(−x/f) =θ・{f+x−m・x/(f+x)}・(−x/f) ・・・(53)
【0079】(45)、(46)、(52)、(53)
式を足し合わせると、 DC +D’C +dC +d’C =−θ・m・x/f+θ・m・x/(f+x)+θ・m2 ・x/{(f+ x)・f} ={−θ・m・x・(f+x)+θ・m・x・f+θ・m2 ・x}/{( f+x)・f} =0 ・・・(54) 従って、DC +D’C の像ぶれが除去できたことがわか
る。以上説明したように、カメラがフィルム面中央B0
から距離mの位置にある点H0 中心にθ回転したときに
は、(51)式のようにθ・[f+x{1−m/(f+
x)}]だけ撮影レンズをシフトさせれば像ぶれが除去
できる。
【0080】なお、(51)式においてm=0を代入す
れば(41)式と等価(回転方向逆なので−θとなって
いるが等価である)となり、m=f+xを代入すれば
(32)式と等価となる。
【0081】図14は、本発明による撮影装置の像ぶれ
補正装置の第3実施形態の作動順序を説明する流れ図で
ある。なお、特に断りのない場合には、カメラCPU1
3で処理されるものとする。
【0082】S300からスタートし、S305で角変
位検出部16から角変位出力θを入力する。次に、S3
10でリニアエンコーダ19から撮影レンズ繰り出し量
出力xを入力する。
【0083】次に、S315で接眼部スイッチ10が閉
成しているか否かを判定し、閉成している場合にはS3
50へ進み、閉成していない場合にはS320へ進む。
S320で三脚座Lスイッチ12が閉成しているか否か
を判定し、閉成している場合にはS350へ進み、閉成
していない場合にはS325へ進む。S325で三脚座
Mスイッチ15が閉成しているか否かを判定し、閉成し
ている場合にはS335へ進み、閉成していない場合に
はS330へ進む。S330でレンズ部スイッチ25が
閉成しているか否かを判定し、閉成している場合にはS
340へ進み、閉成していない場合にはS345へ進
む。S335〜S350では、撮影レンズ4の適正なシ
フト量(=Vとする)の計算を行う。
【0084】S335では、三脚座Mスイッチ15が閉
成している場合、即ちフィルム面中央から距離mの三脚
座M14が支持物体(=三脚)によって支持されている
場合であり、観測されるカメラブレはフィルム面中央か
ら距離mの点を回転中心とした光軸の回転と見なすこと
ができる。従って、前述した結像位置から距離mの地点
H0 の場合の、カメラブレに関する像ぶれ量の算出と補
正のための撮影レンズシフト量の算出が適用できる。具
体的には、前述の(51)式が適用できる。 V=θ・[f+x{1−m/(f+x)}] ・・・(55)
【0085】S340では、レンズ部スイッチ25が閉
成している場合、即ち撮影レンズ4近傍が支持物体によ
って支持されている場合であり、観測されるカメラブレ
は撮影レンズ4の主点を回転中心とした光軸の回転と見
なすことができる。従って、前述した光軸の回転中心が
撮影レンズ4の主点A10の場合の、カメラブレに関する
像ぶれ量の算出と補正のための撮影レンズシフト量の算
出が適用できる。具体的には、前述の(32)式が適用
できる。 V=θ・f ・・・(56)
【0086】S350では、接眼部スイッチ10、若し
くは三脚座Lスイッチ12が閉成している場合、即ちフ
ィルム面中央近傍が支持物体(=三脚、若しくは撮影者
の顔面)によって支持されている場合であり、観測され
るカメラブレはフィルム面中央を回転中心とした光軸の
回転と見なすことができる。従って、前述した光軸の回
転中心がフィルム面中央B0 の場合の、カメラブレに関
する像ぶれ量の算出と補正のための撮影レンズシフト量
の算出が適用できる。具体的には、前述の(41)式が
適用できる。 V=θ・(f+x) ・・・(57)
【0087】S345に至った場合には、先の4個のス
イッチのいずれもが閉成していない場合である。つまり
はカメラの支持状況が分からず、光軸の回転中心が特定
できない場合である。この場合には、(56)式と(5
7)式の中間的な値とすればほぼ良好な像ぶれ補正とな
る可能性が高い。従って、次式を適用する。 V=θ・(f+x/2) ・・・(58)
【0088】カメラCPU13は、S335〜S350
で、撮影レンズ4の適正なシフト量(V)の計算を行っ
た後、S355に進み、算出した撮影レンズシフト量
(V)に基づいた制御出力をレンズシフト駆動部23へ
送り、ブレの状況に応じたブレ補正のための適正な撮影
レンズシフト駆動を行い、S360で終了する。
【0089】なお、第3実施形態においても、実施の形
態や装置の作動順序は、像ぶれ補正手段として撮影光学
系入射部に可変頂角プリズムを配置した第1,第2実施
形態の場合と同様に、上記に限定されるものではない。
たとえば、図14の流れ図において、撮影者が特殊な保
持方法(例えば、筐体1の一部を加工して保持具をつけ
た場合など)を採用したときに、S345に至る場合に
は、S345でのVの演算式を、 V=θ・(f+Y’) ・・・(59) として、不図示の入力ダイヤルによって、ファインダで
確認しながらY’のパラメータを自在に設定可能とすれ
ば、最良の補正が行える。
【0090】図15は、本発明による撮影装置の像ぶれ
補正装置の第4実施形態を示した模式図、図16は、図
15に示した第4実施形態の作動順序を説明する流れ図
である。第4実施形態は、図8で説明した抵抗体と可撓
性電極からなる感圧センサの支持点検出スイッチ22を
用いたものである。なお、前述した各実施形態と同じ部
分は同一の番号を付加し、説明を省略する。
【0091】S320で、三脚座Lスイッチ12が閉成
しているか否かを判定したのち、S370へ進み、支持
点P0 が検出可能か否か、つまりはいずれの位置で支持
点検出スイッチ22が閉成しているか否かを判定し、支
持点検出スイッチ22が閉成している場合には、S37
5へ進み、支持点検出スイッチ22が閉成していない場
合には、S345へ進む。
【0092】S375で、支持点検出スイッチ22の抵
抗値から、支持点P0 と撮影フィルム5との距離m”を
算出する。次に、S380で、フィルム面中央から距離
m”の点を回転中心とした光軸の回転による像ぶれ量の
算出と、補正のための撮影レンズシフト量の算出を行
う。 V=θ・[f+x{1−m”/(f+x)}] ・・・(60) S380またはS345、S350で適正な撮影レンズ
シフト量(V)の計算を行ったのちに、S355以降に
進み、図15と同様にS360で終了する。
【0093】本発明の装置の支持点検出手段に代表され
る回転中心位置判定のための手段は、上記に限られるも
のでなく、例えば、図14における各三脚台座スイッチ
12、15、及び、レンズ部スイッチ25の代わりに、
図18のように、加速度センサ若しくは揺動センサを配
置し、単位時間中における出力変動の最も少ないセンサ
の位置を回転の中心とみなしてもよい。
【0094】加速度センサ若しくは揺動センサは、単位
時間中における各部の揺動量の大小を比較するために用
いるので、長時間におけるゼロ点のドリフト特性や対振
動量直線性の良好な高品位のセンサを必要とせず、安価
なものですむ。そのため、角変位検出部との重複して
も、コスト的問題は生じない。
【0095】本発明の装置に加速度センサ若しくは揺動
センサを使用するためには、図14に示したところの各
スイッチの場合と同様に、加速度センサ若しくは揺動セ
ンサの取り付け位置を予めカメラのCPU13に記憶さ
せておけばよく、容易に適応できる。
【0096】また、撮影光学系と画面とを相対的にシフ
ト可能なシフト装置の説明として、撮影レンズが薄肉単
レンズで、この撮影レンズ全体をシフトさせることによ
って像ぶれ補正を行なうような例を示したが、勿論、こ
れに限定されるものではない。撮影レンズは多数のレン
ズ群より構成され、像ぶれ補正のために一部レンズ群を
シフトさせるような撮影レンズ(例えば本出願人による
特開平2−234115)を駆動制御する像ぶれ補正装
置としても本発明の装置が適用可能なことは自明なこと
である。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
撮影レンズの入射部の光軸垂直方向の移動によって引き
起こされる被写体光の入射角変動の影響や、撮影レンズ
の主点の平行移動による影響を除去して、正確な像ぶれ
補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による撮影装置の像ぶれ補正装置の第1
実施形態を示した模式図である。
【図2】被写体が有限距離にある場合の撮影装置の光軸
回転ブレに対する入射光補正角度を説明する図である。
【図3】被写体が有限距離にある場合の撮影装置の光軸
回転ブレに対する入射光補正角度を説明する図である。
【図4】被写体が有限距離にある場合の撮影装置の光軸
回転ブレに対する入射光補正角度を説明する図である。
【図5】図1に示した第1実施形態の作動順序を説明す
る流れ図である。
【図6】図1に示した第1実施形態の光学系を簡略化し
て示した図である。
【図7】可変頂角プリズムにおける入射光束の屈折を示
した図である。
【図8】本発明による撮影装置の像ぶれ補正装置の第2
実施形態を示した模式図である。
【図9】図8に示した第2実施形態の作動順序を説明す
る流れ図である。
【図10】本発明による撮影装置の像ぶれ補正装置の第
3実施形態を示した模式図である。
【図11】像ぶれ補正手段がシフト装置である場合の有
限距離にある被写体の結像状態と、ぶれた場合の像ぶれ
補正量を説明する図である。
【図12】像ぶれ補正手段がシフト装置である場合の有
限距離にある被写体の結像状態と、ぶれた場合の像ぶれ
補正量を説明する図である。
【図13】像ぶれ補正手段がシフト装置である場合の有
限距離にある被写体の結像状態と、ぶれた場合の像ぶれ
補正量を説明する図である。
【図14】図10に示した第3実施形態の作動順序を説
明する流れ図である。
【図15】本発明による撮影装置の像ぶれ補正装置の第
4実施形態を示した模式図である。
【図16】図15に示した第4実施形態の作動順序を説
明する流れ図である。
【図17】撮影装置のいろいろなぶれ方を説明した図で
ある。
【図18】本発明による撮影装置の像ぶれ補正装置の第
5実施形態を示した模式図である。
【符号の説明】
1 筐体 2 可変頂角プリズム 3 プリズム駆動部 4 撮影レンズ 10 接眼部スイッチ 12 三脚座Lスイッチ 13 カメラCPU 15 三脚座Mスイッチ 16 角変位検出部 19 リニアエンコーダ 21 入射部スイッチ 22 支持点検出スイッチ 23 レンズシフト駆動部 25 レンズ部スイッチ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−56527(JP,A) 特開 平2−173625(JP,A) 特開 平2−301732(JP,A) 特開 平2−296230(JP,A) 特開 平2−58034(JP,A) 特開 平3−134614(JP,A) 特開 昭63−124039(JP,A) 特開 昭50−80146(JP,A) 特開 平4−134316(JP,A) 特開 平2−56527(JP,A) 特開 平2−173625(JP,A) 特開 平2−301732(JP,A) 特公 昭47−27741(JP,B1) 特公 昭46−38378(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03B 5/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撮影光学系の一部又は全部を構成し、撮
    影画面上における像ぶれを補正する像ぶれ補正光学系
    と、 前記像ぶれ補正光学系を駆動する駆動手段と、 撮影装置の光軸の角度変動を検出する角変位検出手段
    と、前記撮影装置の光軸の変動中心位置を検出する変動中心
    検出手段と、 前記駆動手段を駆動制御する制御手段とを含み、 前記制御手段は、前記変動中心位置検出手段で検出され
    た前記変動中心位置と前記角変位検出手段で検出した角
    度変動とに基づいて、前記変動中心位置と前記撮影光学
    系の主点が一致していない際に発生する前記主点の光軸
    に対するずれと前記角変動とによる前記像ぶれを補正す
    るように、前記像ぶれ補正光学系の駆動量を可変するこ
    と、 を特徴とする撮影装置の像ぶれ補正装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の像ぶれ補正装置におい
    て、 前記像ぶれ補正光学系は、前記撮影画面に対して相対的
    にシフトし、 前記支持状況識別手段は、前記撮影装置の光軸方向の支
    持位置に関する支持位置情報を出力し、 前記制御手段は、前記支持位置情報に基づいて、前記像
    ぶれ補正光学系の駆動量を可変すること、 を特徴とする撮影装置の像ぶれ補正装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の像ぶれ補
    正装置において、 前記制御手段は、前記角度変動がθであり、前記撮影光
    学系の焦点距離がfであるときに、前記撮影画面上にお
    ける像がθ×f以上移動するように、前記駆動手段を駆
    動制御すること、 を特徴とする撮影装置の像ぶれ補正装置。
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