JP3138785B2 - 鋳物−セラミックス複合部材の製造方法 - Google Patents
鋳物−セラミックス複合部材の製造方法Info
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- JP3138785B2 JP3138785B2 JP05014167A JP1416793A JP3138785B2 JP 3138785 B2 JP3138785 B2 JP 3138785B2 JP 05014167 A JP05014167 A JP 05014167A JP 1416793 A JP1416793 A JP 1416793A JP 3138785 B2 JP3138785 B2 JP 3138785B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋳物−セラミックス複合
部材、特に、鋳物にセラミック筒体を鋳ぐるんだ複合部
材の製造方法に関する。
部材、特に、鋳物にセラミック筒体を鋳ぐるんだ複合部
材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種部材の製造方法としては、
鋳物が完全凝固して常温まで冷却した後、内部応力の調
節を目的とした熱処理を行う、といった方法が知られて
いる。(特公平1−52107号公報参照)。
鋳物が完全凝固して常温まで冷却した後、内部応力の調
節を目的とした熱処理を行う、といった方法が知られて
いる。(特公平1−52107号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来法に
よると、複合部材の形状、鋳物の体積等によっては、溶
湯が凝固した後の鋳物の冷却過程で、その鋳物における
鋳ぐるみ部の圧縮残留応力σ1 (凝固収縮力と熱収縮応
力との和)とセラミック筒体の圧縮応力σ2 との関係が
σ1 >σ2 となり、その結果、セラミック筒体が圧潰し
たり、またその筒体周壁の孔部回りにチッピングが発生
する、といった不具合を生じることがあった。
よると、複合部材の形状、鋳物の体積等によっては、溶
湯が凝固した後の鋳物の冷却過程で、その鋳物における
鋳ぐるみ部の圧縮残留応力σ1 (凝固収縮力と熱収縮応
力との和)とセラミック筒体の圧縮応力σ2 との関係が
σ1 >σ2 となり、その結果、セラミック筒体が圧潰し
たり、またその筒体周壁の孔部回りにチッピングが発生
する、といった不具合を生じることがあった。
【0004】本発明は前記に鑑み、溶湯が凝固した後の
鋳物の冷却過程において、その特定の時期に冷却過程を
中止して鋳物に特定の熱的処理を施すことにより、健全
な鋳物−セラミックス複合部材を得ることができるよう
にした前記製造方法を提供することを目的とする。
鋳物の冷却過程において、その特定の時期に冷却過程を
中止して鋳物に特定の熱的処理を施すことにより、健全
な鋳物−セラミックス複合部材を得ることができるよう
にした前記製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、鋳物と、その
鋳物に鋳ぐるまれたセラミック筒体とよりなる複合部材
を製造するに当り、前記セラミック筒体を鋳型内に設置
して鋳込みを行い、次いで溶湯が凝固した後の前記鋳物
の冷却過程において、その鋳物における鋳ぐるみ部の圧
縮残留応力σ1 と前記セラミック筒体の圧縮強さσ2 と
の関係がσ1 <σ2 のとき、前記冷却過程を中止し、直
ちに前記鋳物を冷却過程中止時の温度よりも高い温度ま
で加熱してその加熱温度に恒温保持する過程を含む溶体
化処理を行うことを特徴とする。
鋳物に鋳ぐるまれたセラミック筒体とよりなる複合部材
を製造するに当り、前記セラミック筒体を鋳型内に設置
して鋳込みを行い、次いで溶湯が凝固した後の前記鋳物
の冷却過程において、その鋳物における鋳ぐるみ部の圧
縮残留応力σ1 と前記セラミック筒体の圧縮強さσ2 と
の関係がσ1 <σ2 のとき、前記冷却過程を中止し、直
ちに前記鋳物を冷却過程中止時の温度よりも高い温度ま
で加熱してその加熱温度に恒温保持する過程を含む溶体
化処理を行うことを特徴とする。
【0006】本発明は、鋳物と、その鋳物に鋳ぐるまれ
たセラミック筒体とよりなる複合部材を製造するに当
り、前記セラミック筒体を鋳型内に設置して鋳込みを行
い、次いで溶湯が凝固した後の前記鋳物の冷却過程にお
いて、その鋳物における鋳ぐるみ部の圧縮残留応力σ1
と前記セラミック筒体の圧縮強さσ2 との関係がσ1 <
σ2 のとき、前記冷却過程を中止して、直ちに前記鋳物
を冷却過程中止時の温度に恒温保持することを特徴とす
る。
たセラミック筒体とよりなる複合部材を製造するに当
り、前記セラミック筒体を鋳型内に設置して鋳込みを行
い、次いで溶湯が凝固した後の前記鋳物の冷却過程にお
いて、その鋳物における鋳ぐるみ部の圧縮残留応力σ1
と前記セラミック筒体の圧縮強さσ2 との関係がσ1 <
σ2 のとき、前記冷却過程を中止して、直ちに前記鋳物
を冷却過程中止時の温度に恒温保持することを特徴とす
る。
【0007】本発明は、鋳物と、その鋳物に鋳ぐるまれ
たセラミック筒体とよりなる複合部材を製造するに当
り、前記セラミック筒体を鋳型内に設置して鋳込みを行
い、次いで溶湯が凝固した後の前記鋳物の冷却過程にお
いて、その鋳物における鋳ぐるみ部の圧縮残留応力σ1
と前記セラミック筒体の圧縮強さσ2 との関係がσ1 <
σ2 のとき、前記冷却過程を中止し、直ちに前記鋳物を
冷却過程中止時の温度よりも高い温度まで加熱してその
加熱温度に恒温保持し、その後前記鋳物の放冷を行うこ
とを特徴とする。
たセラミック筒体とよりなる複合部材を製造するに当
り、前記セラミック筒体を鋳型内に設置して鋳込みを行
い、次いで溶湯が凝固した後の前記鋳物の冷却過程にお
いて、その鋳物における鋳ぐるみ部の圧縮残留応力σ1
と前記セラミック筒体の圧縮強さσ2 との関係がσ1 <
σ2 のとき、前記冷却過程を中止し、直ちに前記鋳物を
冷却過程中止時の温度よりも高い温度まで加熱してその
加熱温度に恒温保持し、その後前記鋳物の放冷を行うこ
とを特徴とする。
【0008】
【作用】前記のように、特定の時期に冷却過程を中止し
て特定の熱的処理を行うと、鋳物における鋳ぐるみ部の
圧縮残留応力σ1 を低減することが可能となり、これに
より鋳ぐるみ部の圧縮残留応力σ1 とセラミック筒体の
圧縮強さσ2 との関係を常温下においてもσ1 <σ2 に
維持し得るので、健全な鋳物−セラミックス複合部材を
得ることができる。
て特定の熱的処理を行うと、鋳物における鋳ぐるみ部の
圧縮残留応力σ1 を低減することが可能となり、これに
より鋳ぐるみ部の圧縮残留応力σ1 とセラミック筒体の
圧縮強さσ2 との関係を常温下においてもσ1 <σ2 に
維持し得るので、健全な鋳物−セラミックス複合部材を
得ることができる。
【0009】
【実施例】図1,図2において、鋳物−セラミックス複
合部材としてのエンジン用シリンダヘッド1は、1個の
入口2および2個の出口3を有するY字形吸気通路4
と、2個の入口5および1個の出口6を有するY字形排
気通路7とを備え、鋳物としてのアルミニウム合金鋳物
製シリンダヘッド本体8と、そのシリンダヘッド本体8
に鋳ぐるまれたセラミック筒体としての二股筒形セラミ
ックライナ9とより構成され、そのセラミックライナ9
により排気通路7が形成される。
合部材としてのエンジン用シリンダヘッド1は、1個の
入口2および2個の出口3を有するY字形吸気通路4
と、2個の入口5および1個の出口6を有するY字形排
気通路7とを備え、鋳物としてのアルミニウム合金鋳物
製シリンダヘッド本体8と、そのシリンダヘッド本体8
に鋳ぐるまれたセラミック筒体としての二股筒形セラミ
ックライナ9とより構成され、そのセラミックライナ9
により排気通路7が形成される。
【0010】アルミニウム合金としては、6.5重量%
≦Si≦7.5重量%、3.5重量%≦Cu≦4.5重
量%、Mn<0.2重量%、Fe<0.2重量%、残部
Alといった組成を有するJIS AC2B相当材が用
いられる。
≦Si≦7.5重量%、3.5重量%≦Cu≦4.5重
量%、Mn<0.2重量%、Fe<0.2重量%、残部
Alといった組成を有するJIS AC2B相当材が用
いられる。
【0011】図3〜図5にも示すように、セラミックラ
イナ9は、アルミニウムチタネート(54.2重量%A
l2 O3 、42.5重量%TiO2 、3.3重量%Si
O2)を用いて構成され、そのアルミニウムチタネート
は比較的小さな三点曲げ破断応力σB と、比較的低いヤ
ング率Eを有し、その上、熱膨脹係数および熱伝導率が
小さく、さらに、優れた耐熱衝撃性を有するもので、こ
の種セラミックライナ9の構成材料として最適である。
イナ9は、アルミニウムチタネート(54.2重量%A
l2 O3 、42.5重量%TiO2 、3.3重量%Si
O2)を用いて構成され、そのアルミニウムチタネート
は比較的小さな三点曲げ破断応力σB と、比較的低いヤ
ング率Eを有し、その上、熱膨脹係数および熱伝導率が
小さく、さらに、優れた耐熱衝撃性を有するもので、こ
の種セラミックライナ9の構成材料として最適である。
【0012】セラミックライナ9は、中空筒状ライナ本
体10およびそのライナ本体10から分岐する一対の筒
部11を備え、各筒部11からライナ本体10に延びる
ように、弁ガイド12を挿通させるための透孔13を有
する。
体10およびそのライナ本体10から分岐する一対の筒
部11を備え、各筒部11からライナ本体10に延びる
ように、弁ガイド12を挿通させるための透孔13を有
する。
【0013】前記セラミックライナ9の製造条件の一例
について述べれば、次の通りである。アルミニウムチタ
ネート粒子の直径0.1〜10μm;成形法 スリップ
キャスティング;焼結温度1500℃;焼結時間5時
間;肉厚3mm。
について述べれば、次の通りである。アルミニウムチタ
ネート粒子の直径0.1〜10μm;成形法 スリップ
キャスティング;焼結温度1500℃;焼結時間5時
間;肉厚3mm。
【0014】シリンダヘッド1の製造には、第1〜第3
の方法が採用される。
の方法が採用される。
【0015】第1の方法では、図6に示すように、セラ
ミックライナ9を鋳型としての金型内に設置して注湯を
行う鋳込み過程と、溶湯の凝固によりシリンダヘッド本
体8が造形された後離型を行い、そのシリンダヘッド本
体8の放冷(自然に冷却させること)を行う冷却過程
と、その冷却過程において、シリンダヘッド本体8にお
ける鋳ぐるみ部(セラミックライナ9周りの部分)8a
の圧縮残留応力σ1 とセラミックライナ9の圧縮強さσ
2 との関係がσ1 <σ2 のとき、冷却過程を中止し、直
ちにシリンダヘッド本体1を冷却過程中止時の温度T1
よりも高い温度T 2 まで加熱してその加熱温度T2 に恒
温保持する過程を含む溶体化処理とが基本的に採用さ
れ、その溶体化処理後人工時効が行われる。この溶体化
処理および人工時効はT6処理に対応する。
ミックライナ9を鋳型としての金型内に設置して注湯を
行う鋳込み過程と、溶湯の凝固によりシリンダヘッド本
体8が造形された後離型を行い、そのシリンダヘッド本
体8の放冷(自然に冷却させること)を行う冷却過程
と、その冷却過程において、シリンダヘッド本体8にお
ける鋳ぐるみ部(セラミックライナ9周りの部分)8a
の圧縮残留応力σ1 とセラミックライナ9の圧縮強さσ
2 との関係がσ1 <σ2 のとき、冷却過程を中止し、直
ちにシリンダヘッド本体1を冷却過程中止時の温度T1
よりも高い温度T 2 まで加熱してその加熱温度T2 に恒
温保持する過程を含む溶体化処理とが基本的に採用さ
れ、その溶体化処理後人工時効が行われる。この溶体化
処理および人工時効はT6処理に対応する。
【0016】鋳込み過程において、溶湯温度は約680
℃に、さらに溶湯の注入圧は約0.25〜0.3kgf/
cm2 にそれぞれ設定される。
℃に、さらに溶湯の注入圧は約0.25〜0.3kgf/
cm2 にそれぞれ設定される。
【0017】冷却過程において、鋳ぐるみ部8aの圧縮
残留応力σ1 は、その温度の降下に伴い増大する。そこ
で種々実験を行って、前記圧縮残留応力σ1 とセラミッ
クライナ9の圧縮強さσ2 との関係がσ1 >σ2 となる
ときの最低圧縮残留応力σ1を、鋳ぐるみ部8aの出口
6側における環状端面14について、X線残留応力測定
器により調べたところ、その端面14における鋳ぐるみ
部8aの圧縮残留応力(以下、単に鋳ぐるみ部8aの圧
縮残留応力という)σ1 がσ1 =−5kgf/mm 2 になる
と、σ1 >σ2 となってセラミックライナ9が圧潰し、
したがってσ1<σ2 の関係を成立させるための圧縮残
留応力σ1 はσ1 <−5kgf/mm2 であり、このときの
前記端面14における鋳ぐるみ部8aの温度(以下、単
に鋳ぐるみ部8aの温度という)TはT≧約100℃で
あることが判明した。このことから、σ1 <σ2 の関係
を成立させるべく、冷却過程を中止するときの鋳ぐるみ
部8aの温度T1 の下限値TmはTm=約100℃に設
定される。
残留応力σ1 は、その温度の降下に伴い増大する。そこ
で種々実験を行って、前記圧縮残留応力σ1 とセラミッ
クライナ9の圧縮強さσ2 との関係がσ1 >σ2 となる
ときの最低圧縮残留応力σ1を、鋳ぐるみ部8aの出口
6側における環状端面14について、X線残留応力測定
器により調べたところ、その端面14における鋳ぐるみ
部8aの圧縮残留応力(以下、単に鋳ぐるみ部8aの圧
縮残留応力という)σ1 がσ1 =−5kgf/mm 2 になる
と、σ1 >σ2 となってセラミックライナ9が圧潰し、
したがってσ1<σ2 の関係を成立させるための圧縮残
留応力σ1 はσ1 <−5kgf/mm2 であり、このときの
前記端面14における鋳ぐるみ部8aの温度(以下、単
に鋳ぐるみ部8aの温度という)TはT≧約100℃で
あることが判明した。このことから、σ1 <σ2 の関係
を成立させるべく、冷却過程を中止するときの鋳ぐるみ
部8aの温度T1 の下限値TmはTm=約100℃に設
定される。
【0018】T6処理の溶体化処理において、恒温保持
過程の温度T2 は500℃に、時間は4時間にそれぞれ
設定され、また水冷過程では水没法が適用される。さら
に人工時効の温度は200℃に、時間は4時間にそれぞ
れ設定される。
過程の温度T2 は500℃に、時間は4時間にそれぞれ
設定され、また水冷過程では水没法が適用される。さら
に人工時効の温度は200℃に、時間は4時間にそれぞ
れ設定される。
【0019】第2の方法では、図7に示すように、セラ
ミックライナ9を鋳型としての金型内に設置して注湯を
行う鋳込み過程と、溶湯の凝固によりシリンダヘッド本
体8が造形された後離型を行い、そのシリンダヘッド本
体8の放冷を行う冷却過程と、その冷却過程において、
シリンダヘッド本体8における鋳ぐるみ部8aの圧縮残
留応力σ1 とセラミックライナ9の圧縮強さσ2 との関
係がσ1 <σ2 のとき、冷却過程を中止して、直ちにシ
リンダヘッド本体8を冷却過程中止時の温度T 1 に恒温
保持し、その後シリンダヘッド本体8の放冷または水冷
を行う、といった手段が基本的に採用される。必要に応
じて、放冷終了後T6処理が行われる。冷却過程を中止
するときの鋳ぐるみ部8aの温度T1 の下限値Tmは前
記同様にTm=約100℃であり、またT6処理条件は
前記と同じである。
ミックライナ9を鋳型としての金型内に設置して注湯を
行う鋳込み過程と、溶湯の凝固によりシリンダヘッド本
体8が造形された後離型を行い、そのシリンダヘッド本
体8の放冷を行う冷却過程と、その冷却過程において、
シリンダヘッド本体8における鋳ぐるみ部8aの圧縮残
留応力σ1 とセラミックライナ9の圧縮強さσ2 との関
係がσ1 <σ2 のとき、冷却過程を中止して、直ちにシ
リンダヘッド本体8を冷却過程中止時の温度T 1 に恒温
保持し、その後シリンダヘッド本体8の放冷または水冷
を行う、といった手段が基本的に採用される。必要に応
じて、放冷終了後T6処理が行われる。冷却過程を中止
するときの鋳ぐるみ部8aの温度T1 の下限値Tmは前
記同様にTm=約100℃であり、またT6処理条件は
前記と同じである。
【0020】第3の方法では、図8に示すように、セラ
ミックライナ9を鋳型としての金型内に設置して注湯を
行う鋳込み過程と、溶湯の凝固によりシリンダヘッド本
体8が造形された後離型を行い、そのシリンダヘッド本
体8の放冷を行う冷却過程と、その冷却過程において、
シリンダヘッド本体8における鋳ぐるみ部8aの圧縮残
留応力σ1 とセラミックライナ9の圧縮強さσ2 との関
係がσ1 <σ2 のとき、冷却過程を中止し、直ちにシリ
ンダヘッド本体8を冷却過程中止時の温度T1よりも高
い温度T2 まで加熱してその加熱温度T2 に恒温保持
し、その後シリンダヘッド本体8の放冷を行う、といっ
た手段が基本的に採用される。必要に応じて、放冷終了
後T6処理が行われる。冷却過程を中止するときの鋳ぐ
るみ部8aの温度T1 の下限値Tmは前記同様にTm=
約100℃であり、またT6処理条件は前記と同じであ
る。
ミックライナ9を鋳型としての金型内に設置して注湯を
行う鋳込み過程と、溶湯の凝固によりシリンダヘッド本
体8が造形された後離型を行い、そのシリンダヘッド本
体8の放冷を行う冷却過程と、その冷却過程において、
シリンダヘッド本体8における鋳ぐるみ部8aの圧縮残
留応力σ1 とセラミックライナ9の圧縮強さσ2 との関
係がσ1 <σ2 のとき、冷却過程を中止し、直ちにシリ
ンダヘッド本体8を冷却過程中止時の温度T1よりも高
い温度T2 まで加熱してその加熱温度T2 に恒温保持
し、その後シリンダヘッド本体8の放冷を行う、といっ
た手段が基本的に採用される。必要に応じて、放冷終了
後T6処理が行われる。冷却過程を中止するときの鋳ぐ
るみ部8aの温度T1 の下限値Tmは前記同様にTm=
約100℃であり、またT6処理条件は前記と同じであ
る。
【0021】表1は、前記第1の方法(図6)により得
られた各種シリンダヘッド1における鋳ぐるみ部8aの
冷却過程中止時の温度T1 、恒温保持過程の温度T2 お
よび時間(T6処理における溶体化処理)ならびにセラ
ミックライナ9の性状を示す。なお、例12の場合は、
冷却過程を中止せずにシリンダヘッド本体8を室温まで
連続的に放冷し、その後T6処理を行った場合である。
られた各種シリンダヘッド1における鋳ぐるみ部8aの
冷却過程中止時の温度T1 、恒温保持過程の温度T2 お
よび時間(T6処理における溶体化処理)ならびにセラ
ミックライナ9の性状を示す。なお、例12の場合は、
冷却過程を中止せずにシリンダヘッド本体8を室温まで
連続的に放冷し、その後T6処理を行った場合である。
【0022】
【表1】
【0023】図9は、冷却過程中止時における鋳ぐるみ
部8aの温度T1 および冷却時間と、鋳ぐるみ部8aの
圧縮残留応力σ1 との関係を示す。
部8aの温度T1 および冷却時間と、鋳ぐるみ部8aの
圧縮残留応力σ1 との関係を示す。
【0024】表1および図9から明らかなように、鋳ぐ
るみ部8aの圧縮残留応力σ1 がσ 1 <−5kgf/mm2
の範囲(図9の斜線領域)にあるとき、したがって鋳ぐ
るみ部8aの温度T1 がT1 ≧Tmの範囲にあるとき、
冷却過程を中止して、T6処理の恒温保持過程を実施す
る、したがってシリンダヘッド本体8を加熱温度500
℃に4時間恒温保持することにより、セラミックライナ
9の圧潰を回避した健全なシリンダヘッド1を得ること
ができる。
るみ部8aの圧縮残留応力σ1 がσ 1 <−5kgf/mm2
の範囲(図9の斜線領域)にあるとき、したがって鋳ぐ
るみ部8aの温度T1 がT1 ≧Tmの範囲にあるとき、
冷却過程を中止して、T6処理の恒温保持過程を実施す
る、したがってシリンダヘッド本体8を加熱温度500
℃に4時間恒温保持することにより、セラミックライナ
9の圧潰を回避した健全なシリンダヘッド1を得ること
ができる。
【0025】表2は、前記第2の方法(図7)および第
3の方法(図8)ならびに第3の方法の比較例により得
られた各種シリンダヘッド1における鋳ぐるみ部8aの
冷却過程中止時の温度T1 、恒温保持過程の温度T1 ま
たはT2 および時間、その後の冷却方法ならびにセラミ
ックライナ9の性状を示す。
3の方法(図8)ならびに第3の方法の比較例により得
られた各種シリンダヘッド1における鋳ぐるみ部8aの
冷却過程中止時の温度T1 、恒温保持過程の温度T1 ま
たはT2 および時間、その後の冷却方法ならびにセラミ
ックライナ9の性状を示す。
【0026】
【表2】
【0027】表2から明らかなように、第2の方法によ
って得られた例13〜15のシリンダヘッド1において
はそのセラミックライナ9に異常はなく、健全であるこ
とが確認された。また第3の方法によって得られた例1
6のシリンダヘッド1についても同様であった。
って得られた例13〜15のシリンダヘッド1において
はそのセラミックライナ9に異常はなく、健全であるこ
とが確認された。また第3の方法によって得られた例1
6のシリンダヘッド1についても同様であった。
【0028】比較例によって得られたシリンダヘッド1
においては、主として、恒温保持過程の時間が短いこと
に起因して合金元素の固溶化が十分に行われていない、
といった理由により、鋳ぐるみ部8aの圧縮残留応力σ
1 が増大してセラミックライナ9が圧潰する。
においては、主として、恒温保持過程の時間が短いこと
に起因して合金元素の固溶化が十分に行われていない、
といった理由により、鋳ぐるみ部8aの圧縮残留応力σ
1 が増大してセラミックライナ9が圧潰する。
【0029】なお、第1〜第3の方法において、各例か
ら明らかなように、恒温保持過程の時間は4時間以上で
あることが望ましい。
ら明らかなように、恒温保持過程の時間は4時間以上で
あることが望ましい。
【0030】本発明はシリンダヘッドの製造に限らず、
排気マニホルド、排気管等の製造にも適用され、また鋳
物を構成する合金としてはAl合金に限らず、Mg合
金、Fe合金等も用いられる。
排気マニホルド、排気管等の製造にも適用され、また鋳
物を構成する合金としてはAl合金に限らず、Mg合
金、Fe合金等も用いられる。
【0031】
【発明の効果】請求項1〜3記載の発明によれば、前記
のように特定された手段を用いることによって、セラミ
ック筒体を圧潰することなく、健全な鋳物−セラミック
ス複合部材を得ることができる。
のように特定された手段を用いることによって、セラミ
ック筒体を圧潰することなく、健全な鋳物−セラミック
ス複合部材を得ることができる。
【図1】シリンダヘッドの縦断正面図で、図2の1−1
線断面図に対応する。
線断面図に対応する。
【図2】図1の2−2矢視図である。
【図3】セラミックライナの斜視図である。
【図4】セラミックライナの平面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】第1の方法における時間と温度との関係を示す
グラフである。
グラフである。
【図7】第2の方法における時間と温度との関係を示す
グラフである。
グラフである。
【図8】第3の方法における時間と温度との関係を示す
グラフである。
グラフである。
【図9】冷却過程中止時における鋳ぐるみ部の温度と圧
縮残留応力との関係を示すグラフである。
縮残留応力との関係を示すグラフである。
1 シリンダヘッド(複合部材) 8 シリンダヘッド本体(鋳物) 8a 鋳ぐるみ部 9 セラミックライナ(セラミック筒体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02F 1/24 F02F 1/24 L (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 27/04 B22D 19/00 B22D 19/08 B22D 30/00 C21D 9/00 F02F 1/24
Claims (3)
- 【請求項1】 鋳物(8)と、その鋳物(8)に鋳ぐる
まれたセラミック筒体(9)とよりなる複合部材(1)
を製造するに当り、前記セラミック筒体(9)を鋳型内
に設置して鋳込みを行い、次いで溶湯が凝固した後の前
記鋳物(8)の冷却過程において、その鋳物(8)にお
ける鋳ぐるみ部(8a)の圧縮残留応力σ1 と前記セラ
ミック筒体(9)の圧縮強さσ2 との関係がσ1 <σ2
のとき、前記冷却過程を中止し、直ちに前記鋳物(8)
を冷却過程中止時の温度よりも高い温度まで加熱してそ
の加熱温度に恒温保持する過程を含む溶体化処理を行う
ことを特徴とする鋳物−セラミックス複合部材の製造方
法。 - 【請求項2】 鋳物(8)と、その鋳物(8)に鋳ぐる
まれたセラミック筒体(9)とよりなる複合部材(1)
を製造するに当り、前記セラミック筒体(9)を鋳型内
に設置して鋳込みを行い、次いで溶湯が凝固した後の前
記鋳物(8)の冷却過程において、その鋳物(8)にお
ける鋳ぐるみ部(8a)の圧縮残留応力σ1 と前記セラ
ミック筒体(9)の圧縮強さσ2 との関係がσ1 <σ2
のとき、前記冷却過程を中止して、直ちに前記鋳物
(8)を冷却過程中止時の温度に恒温保持することを特
徴とする鋳物−セラミックス複合部材の製造方法。 - 【請求項3】 鋳物(8)と、その鋳物(8)に鋳ぐる
まれたセラミック筒体(9)とよりなる複合部材(1)
を製造するに当り、前記セラミック筒体(9)を鋳型内
に設置して鋳込みを行い、次いで溶湯が凝固した後の前
記鋳物(8)の冷却過程において、その鋳物(8)にお
ける鋳ぐるみ部(8a)の圧縮残留応力σ1 と前記セラ
ミック筒体(9)の圧縮強さσ2 との関係がσ1 <σ2
のとき、前記冷却過程を中止し、直ちに前記鋳物(8)
を冷却過程中止時の温度よりも高い温度まで加熱してそ
の加熱温度に恒温保持し、その後前記鋳物(8)の放冷
を行うことを特徴とする鋳物−セラミックス複合部材の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05014167A JP3138785B2 (ja) | 1993-01-29 | 1993-01-29 | 鋳物−セラミックス複合部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05014167A JP3138785B2 (ja) | 1993-01-29 | 1993-01-29 | 鋳物−セラミックス複合部材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06226427A JPH06226427A (ja) | 1994-08-16 |
JP3138785B2 true JP3138785B2 (ja) | 2001-02-26 |
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ID=11853589
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP (1) | JP3138785B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ES2200638B1 (es) | 2001-05-16 | 2005-05-01 | Bsh And Fedders International Air Conditioning S.A. | Aparato de aire acondicionado con un elemento de control remoto. |
-
1993
- 1993-01-29 JP JP05014167A patent/JP3138785B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH06226427A (ja) | 1994-08-16 |
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