JP3137650B2 - 超高速ブラシレスdcモータ - Google Patents
超高速ブラシレスdcモータInfo
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Description
詳細にいえば、電機子鉄心に電機子巻線を巻回してなる
電機子と永久磁石内周に回転子鉄心が嵌合されてなる回
転子とを含み、1万r.p.m.を越える回転速度で回転され
るブラシレスDCモータに関する。
であること等の利点に着目してモータが採用されてい
る。また、モータには種々の種類のものがあるが、現状
では、三相交流電源を用いて回転磁界を簡単に得ること
ができ、整流子を不要にできること、および堅牢、低価
格、取扱いの簡便さ等の利点に着目して三相誘導電動機
が最も一般的に用いられている。しかし、誘導電動機
は、電機子鉄心に電機子巻線を巻回しているだけでな
く、回転子鉄心にも回転子巻線を巻回しており、運転時
には回転子巻線にも電流が流れるので、機械損が存在し
ないと仮定した場合であっても、回転子巻線に電流が流
れることに起因する二次銅損分だけ出力が入力よりも減
少し、余り効率を高めることができない。
る代わりに、回転子鉄心に永久磁石を装着して二次銅損
を0にし、高い運転効率を達成できるブラシレスDCモー
タが提案されている。また、高い運転効率を達成できる
ことに起因して、精密機械、圧縮機等における高速回転
モータとしてブラシレスDCモータを適用することが検討
されている。この場合において、ブラシレスDCモータ
は、運転効率を高めることが最も重視されるのであるか
ら、固定子と回転子との間における磁束結合効率を可能
な限り高めるべく、固定子と回転子との間のギャップ長
が固定子内径の1/100〜1/200程度に設定されている。ま
た、高速回転に伴なう永久磁石の破損を防止するために
金属管が装着されている(特開平3−11950号公報参
照)。
は、固定子のスロットに起因する磁束密度変化が生じ
る。そして、ギャップ長が上述のように著しく小さいの
であるから、回転子が磁束密度変化の影響を大きく受け
て渦電流が発生し、渦電流損に起因して運転効率が低下
してしまう。従来は、磁束密度変化に起因する渦電流が
発生しても、上述のように固定子と回転子との間のギャ
ップ長を可能な限り小さくして磁束結合効率を高めるこ
とにより、ブラシレスDCモータの運転効率を十分に高め
ることができると思われていた。そして、実際に提供さ
れているブラシレスDCモータのうち、高効率化を目的と
するものは全て上述のようにギャップ長を可能な限り小
さく設定してある。
の殆どは比較的低出力の領域で回転させるものであった
ため、渦電流損に起因する発熱は殆ど問題にならず、可
能な限り磁束結合効率を高めることが主眼となってお
り、上述のようにギャップ長を可能な限り小さく設定し
ている。また、ブラシレスDCモータを高出力化および/
または高速回転化する場合には、渦電流損に起因する発
熱が問題になるので、固定子のスロット開口幅を小さく
し、および/またはファンの装着、冷媒の供給等による
強制冷却を行なうことにより、渦電流損に起因する発熱
を上回る放熱効果を達成するという対処がとられてい
る。ここで、スロット開口幅を小さくすれば、固定子の
歯部同士の間隔が小さくなるため、歯部とスロット開口
部との間での磁束密度変化がなだらかになり、空間高調
波成分を大幅に低減できるので、渦電流損を大幅に低減
できると思われる。しかし、スロット開口幅は、固定子
巻線をスロット内に収容する必要がある関係上、小さく
することには限界があり、この限界が渦電流損に起因す
る発熱を抑制するための限界になってしまう。もちろ
ん、強制的に冷却する場合にも、ファンの性能、冷媒の
種類、流速の限界等により放熱量の増加に限界が存在す
る。したがって、これらの対処を施しても、ブラシレス
DCモータの高出力化および/または高速回転化には限界
が存在することになる。
得るべく鋭意研究を重ね、かつ実際に提供されている高
速回転モータを分析した結果、第9図に実線で示すよう
に、高速化に限界があるということを見出し、ブラシレ
スDCモータの高出力化および/または高速回転化に限界
が存在することを確認した。尚、図中黒点が従来実現さ
れている高速モータ(または超高速モータ)の出力と回
転数とを示している。そして、この限界は、回転速度の
増加に伴なって渦電流の発生が顕著になり、渦電流損に
起因する効率の低下および回転子の異常昇温が原因であ
ることを見出した。
な超高速モータを実現することは不可能であった。
ップ長を小さく設定しなければならないので、各構成部
分の加工精度、組立て精度を著しく高めなければなら
ず、ひいては製造作業が著しく繁雑化するとともに、困
難化するという不都合がある。
り、スロット開口幅を小さくし、冷却装置を装着すると
いうような特別の作業が全く不要であり、しかも簡単に
回転速度を高めることができる超高速ブラシレスDCモー
タを提供することを目的としている。
シレスDCモータは、固定子と回転子の金属的性質を有す
る部分との間のギャップ長をN5/6・P1/8・d・Kg{d
は固定子の内径、Nは定格回転数(万r.p.m.)、Pは定
格出力(kW)、Kgはモータの固定子により定まる定数}
以上に設定してある。
転子の金属的性質を有する部分との間のギャップ長を
(γ/0.3)1.95・N5/6・P1/8・d・Kg{γは固定子の
スロットピッチに対するスロット開口長の比、dは固定
子の内径、Nは定格回転数(万r.p.m.)、Pは定格出力
(kW)、Kgはモータの形状および材質により定まる定
数}以上に設定してある。
のフィンを有しているとともに、固定子と回転子の金属
的性質を有する部分との間のギャップ長が、上記ギャッ
プ長の1/Ks1/2倍に設定されてある。
gをπD/(2p){Dは回転子の磁石表面を規定する直
径、pはブラシレスDCモータの極数}未満に設定してあ
る。
て希土類永久磁石が装着されたものを用いている。
着される永久磁石として、全ての領域について磁極軸に
平行方向に磁化されたものを採用したものである。
て、最外周に金属からなる保護管を装着してなるものを
採用したものである。
て、最外周に絶縁体からなる保護管を装着してなるもの
を採用したものである。
て、最外周に金属または絶縁体からなり、かつ希土類永
久磁石に対して回転子の軸中心に向かう方向の圧縮力を
与える保護管を装着してなるものを採用したものであ
る。
磁石として、鋳造熱間加工希土類永久磁石を採用したも
のである。ここで、鋳造熱間加工希土類永久磁石として
は、イットリウムを含む希土類元素のうち少なくとも1
種、繊維金属元素のうち少なくとも1種およびIII b族
元素のうち少なくとも1種を原料基本成分として溶解・
鋳造した後、500℃以上の温度で熱間加工することによ
り、磁性相を濃縮し、かつ機械的配向により磁気的異方
性を付与してなるものであることが好ましい。より好ま
しくは、Pr,Nd,Dy,Ce,La,Y,Thから選ばれた少なくとも
1種以上の希土類元素、Fe,Co,Cu,Ag,Au,Ni,Zrのうちか
ら選ばれた少なくとも1種以上の遷移金属元素、B,Ga,A
lのうちから選ばれた少なくとも1種のIII b族元素が例
示でき、それぞれの原子百分比が12〜25%、65〜85%、
3〜10%であることが好ましい。
子と回転子の金属的性質を有する部分との間のギャップ
長をN5/6・P1/8・d・Kg以上に設定しているのである
から、従来のブラシレスDCモータのギャップ長と比較し
て著しく大きいギャップ長が設定される。この結果、固
定子のスロットに起因する磁束密度変化がかなり大きく
ても、ギャップ長が大きいことに起因して、回転子にお
いては磁束密度変化が大幅に低減された状態になり、回
転子における渦電流の発生を著しく低減できる。したが
って、運転効率を高くできるとともに、ギャップ長が大
きいことに伴なって回転子の発熱を大幅に抑制すること
ができ、ひいては、安定した超高速回転を行なわせるこ
とができる。また、この超高速ブラシレスDCモータは、
単にギャップ長を大きくしているだけであるから、固定
子を設計し直す作業等が不要になる。また、ギャップ長
が大きく設定されるのであるから、超高速ブラシレスDC
モータの組み立ても容易になる。
子と回転子の金属的性質を有する部分との間のギャップ
長を(γ/0.3)1.95・N5/6・P1/8・d・Kg以上に設定
しているのであるから、例えば、固定子巻線の線径に対
してブラシレスDCモータが著しく大径であるような場合
に、従来のブラシレスDCモータのギャップ長と比較して
著しく大きいギャップ長が設定される。この結果、固定
子のスロットに起因する磁束密度変化がかなり大きくて
も、ギャップ長が大きいことに起因して、回転子におい
ては磁束密度変化が大幅に低減された状態になり、回転
子における渦電流の発生を著しく低減できる。したがっ
て、運動効率を高くできるとともに、ギャップ長が大き
いことに伴なって回転子の発熱を大幅に抑制することが
でき、ひいては、安定した超高速回転を行なわせること
ができる。また、この超高速ブラシレスDCモータは、単
にギャップ長を大きくしているだけであるから、固定子
を設計し直す作業等が不要になる。また、ギャップ長が
大きく設定されるのであるから、超高速ブラシレスDCモ
ータの組み立ても容易になる。
空冷用のフィンを有しているとともに、固定子と回転子
の金属的性質を有する部分との間のギャップ長を、上記
ギャップ長の1/Ks1/2倍に設定しているのであるから、
例えば、固定子巻線の線径に対してブラシレスDCモータ
が著しく大径であるような場合に、従来のブラシレスDC
モータのギャップ長と比較して著しく大きいギャップ長
が設定される。この結果、固定子のスロットに起因する
磁束密度変化がかなり大きくても、ギャップ長が大きい
ことに起因して、回転子においては磁束密度変化が大幅
に低減された状態になり、回転子における渦電流の発生
を著しく低減できる。したがって、運転効率を一層高く
できるとともに、ギャップ長が大きいことに伴なって回
転子の発熱を大幅に抑制することができ、ひいては、安
定した超高速回線を行なわせることができる。また、こ
の超高速ブラシレスDCモータは、単にギャップ長を大き
くしているだけであるから、固定子を設計し直す作業等
が不要になる。また、ギャップ長が大きく設定されるの
であるから、超高速ブラシレスDCモータの組み立ても容
易になる。
ップ長gをπD/(2p)未満に設定しているのであるか
ら、超高速回転を行なわせることができる。
子に装着される永久磁石が希土類永久磁石であるから、
磁力が強く(BH積が大きく)、ギャップ長が大きいにも
拘らず十分な磁束結合効率を達成できる。
子に装着される永久磁石として、全ての領域について磁
極軸に平行方向に磁化されたものを採用しているので、
固定子と回転子との間隙における磁束密度を正弦波状に
変化させることができ、高調波成分が殆どない状態にで
きるので、固定子における高調波に起因する鉄損を殆ど
皆無にでき、運転効率を一層高めることができる。
子として、最外周に金属からなる保護管を装着してなる
ものを採用しているので、従来のブラシレスDCモータと
比較して保護管の厚みを著しく大きくでき、超高速回転
を行なわせた場合にも永久磁石を確実に保護できる。こ
の結果、安定した超高速回転を達成できる。
子として、最外周に絶縁体からなる保護管を装着してな
るものを採用しているので、保護管における渦電流が全
く発生しない。したがって、保護管部分における渦電流
が皆無になることに伴なって運転効率を一層高めること
ができる。
子として、最外周に金属または絶縁体からなり、かつ永
久磁石に対して回転子の軸中心に向かう方向の圧縮力を
与える保護管を装着してなるものを採用しているので、
請求項7または請求項8の場合よりも高い永久磁石保護
効果を達成でき、より高い超高速運転を達成できる。も
ちろん、請求項7または請求項8の場合と同様に保護管
の厚みを著しく大きくできるので、永久磁石に対する高
い圧縮効果を達成できる。
類永久磁石として、鋳造熱間加工希土類永久磁石を採用
しているので、永久磁石自体の強度を焼結型の希土類永
久磁石よりも著しく大きくでき、保護管を省略すること
が可能になる。もちろん保護管を設けることもできる
が、この場合には上限回転速度を著しく高めることがで
きる。また、鋳造熱間加工希土類永久磁石は金属に類似
する性質を有しており、高精度の加工が可能であるとと
もに、密度が均一であるから、永久磁石が装着された回
転子のバランスをとりやすく、しかも、保護管を用いる
場合には永久磁石における応力を簡単に低減でき、この
結果、超高速ブラシレスDCモータの各部の精度を高くで
き、全体として良好なバランスを保持させることがで
き、しかも製造、組立てを簡単化できる。特に、金属か
らなる保護管を装着してなる回転子を採用する場合と比
較すれば、希土類永久磁石が最も外周に位置することに
なるので、磁束結合効率を一層高めることができる。
える出力および回転数の超高速ブラシレスDCモータを得
るために鋭意研究を重ねた結果、磁束結合効率を高める
ために固定子と回転子との間のギャップ長を可能な限り
小さくすることがかえって超高速回転を阻害することを
見出した。即ち、超高速回転時には、固定子にスロット
に起因する磁束密度の周波数が高くなり、この磁束密度
に起因して回転子に著しく渦電流が流れてしまい、運転
効率が大幅に低下してしまう。また、渦電流損が大きく
なることに起因して回転子の発熱が大きくなり、しかも
ギャップ長が短いことに起因して放熱効率を良好にでき
ないので、回転子の温度が徐々に上昇してしまい、永久
磁石の磁力喪失、回転子自体の溶解等をひきおこしてし
まう。
ギャップ長をどの程度大きくすればよいかについて鋭意
研究を重ねた結果、定格回転数および定格出力に基づい
て定まるギャップ長、例えば、N5/6・P1/8・d・Kg以
上になるように、固定子と回転子とのギャップ長を設定
すれば、渦電流の大幅な低減を達成できるとともに、低
減された渦電流に起因する発熱が存在していても発熱を
上回る放熱効率を達成できることを見出し、本件発明を
完成したのである。
ついてさらに詳細に説明する。
幅は、スロットがない場合のギャップ磁束密度の平均値
とスロットがある場合のギャップの磁束密度の平均値と
の差で表せる。
値Bgは、 Bg=Br・Cφ/(1+Pm/Po) で表せる。但し、Pmは磁石のパーミアンス、Poはギャッ
プのパーミアンス、Cφは磁石−ギャップ表面積比、Br
は磁石の残留磁束密度である。
値Bgsは、 Bgs=Br・Cφ/(1+Pm/Ps) で表せる。但し、Psはスロットがある場合のパーミアン
スであり、このパーミアンスPsは、 Ps=μ0{w/g−(4/π)log(1+πs/4g)} で表せる。但し、wは固定子の歯の幅、gは固定子と回
転子との間のギャップ長である。このパーミアンスPsを
表す式にカーター係数の近似式を導入すれば、 Ps=μ0・Ag/k・g k=t/[t−{(s/g)2/(5+s/g)}・g] で表せる。但し、Agはギャップ表面積、tはスロットピ
ッチ、sはスロット開口長である。
となり{第3図(A)参照}、Bmをg/d(但し、dは固
定子の内径)で無次元化すると第3図(B)に示すとお
りになる。
ある。したがって、αとs/tとの関係は第3図(C)に
示すとおりになり、α=β(s/t)1.95(但し、β=0.0
069〜0.0071)で近似できる。この結果、上記振幅Bm
は、Bm=β(s/t)1.95/(g/d) となる。
に反比例することが分る。
化、出力の変化に伴なうモータ形状の変化に起因して損
失の発生度合も変化するのであるから、これらの変化を
も考慮しなければならない。この点について以下に詳述
する。
m.)、回転子を直径のD(m)、回転子の軸方向の長さ
をL(m)、出力係数をK,K1,K2とすれば、モータの出
力方程式は次式で与えられる。
ば、上の3つの式は次のように簡素化できる。
倍にした場合には、各部の寸法が α=kN−1/3〜kN−1/4倍 の範囲に、一般的に変化することが分る。
た場合には、同様に、 α=kP1/3〜kP1/4倍 になることが分る。
kN倍になると、 α=kN−1/3〜kN−1/4倍 になる。このとき、渦電流に起因する回転子発熱部の体
積はモータ体積と同様にα3になるが、渦電流の周波数
がkN倍になるので、単位体積当りの渦電流損はkN2倍に
なる。したがって、回転子の発熱量の増加は、 α3・kN2=kN-1・kN2〜kN−3/4・kN2=kN〜kN5/4倍 となる。
の温度上昇を防止するためには、 発熱量/放熱面積=kt・kN・kN2/3〜kt・kN5/4・kN2/4 =kt・kN5/3〜kt・kN7/4=一定 となるように、渦電流に起因する発熱量を低減すべくギ
ャップを広げる必要があることを本件発明者は見出し
た。
きくするのであり、このことを考慮して、ギャップによ
り損失を低減する割合としてkN5/3を採用する。また、
ギャップ長gと損失W1との関係は、 g/d∝W1−1/2 で表されるので、回転速度をkN倍にしたときの損失W1′
を、 W1′=W1/kN5/3 とする必要がある。したがって、ギャップ長gを、 g/d=(1/kN5/3)−1/2=kN5/6 の割合で増加する必要がある。
において出力がkP倍になると、 α=kP1/3〜kP1/4倍 になる。このとき、渦電流に起因する回転子発熱部の体
積はモータ体積と同様にα3になる。したがって、回転
子の発熱量の増加は、 α3=kP〜kP3/4倍 となる。
の温度上昇を防止するためには、 発熱量/放熱面積=kt・kP・kP−2/3〜kt・kP3/4・ kP−2/4=kt・kP1/3〜kt・kP1/4=一定 となるように、渦電流に起因する発熱量を低減すべくギ
ャップを広げる必要があることを本件発明者は見出し
た。
により損失を低減する割合としてkP1/4を採用する。ま
た、ギャップ長gと損失W1との関係は、 g/d∝W1−1/2 で表されるので、出力をkP倍にしたときの損失W1′を W1′=W1/kP1/4 とする必要がある。したがって、ギャップ長gを、 g/d∝(1/kP1/4)−1/2=kP1/8 の割合で増加する必要がある。
倍にした場合の結果とを総合すれば、ギャップ長gと固
定子内径dとの関係式が次のとおり得られる。
数である。
とし、基準になる回転速度をN0、出力をP0とすれば、 g/d≧Kg・(N/N0)5/6・(P/P0)1/8 =Kg・N0−5/6・P0−1/8・N5/6・P1/8 となる。そして、基準になる回転速度、出力を共に1に
すれば、N0−5/6・P0−1/8は1になるので、上記式は、 g/d≧Kg・N5/6・P1/8と表せる。
ータのサイズが通常の割合である場合について説明し
た。しかし、固定子巻線の線径に対してブラシレスDCモ
ータのサイズが著しく大きいような場合には、上記振幅
Bmを表す式 Bm=β(s/t)1.95/(g/d) に含まれる(s/t)を無視し得なくなるので、金属管損
失W1は、 W1∝(γ/0.3)1.95/(g/d) となる。但し、γ=s/t、0.3は一般的なs/tの値であ
る。
づいて、上記と同様の式の変形を行ない、かつ基準にな
る回転速度N、出力Pを共に1にすることにより、 g/d≧Kg・(γ/0.3)1.95・N5/6・P1/8 の関係を得ることができる。
施例を示す要部概略図である。
す図である。
激に減少することを示す図である。
るスロット開口長の増加に伴なって増加することを示す
図である。
実施例を示す要部概略図である。
子に装着される希土類永久磁石の磁化方向を示す概略図
である。
に他の実施例を示す要部概略図である。
示す図である。
る。
施例を示す要部概略図であり、固定子1と回転子2との
間のギャップ長gがN5/6・P1/8・d・Kg以上に設定さ
れてある。但し、dは固定子の内径、Nは定格回転数
(万r.p.m.)、Pは定格出力(kW)、Kgはモータの固定
子により定まる定数である。尚、1aはスロット、1bは歯
部、1cは固定子巻線、2aは軸、2bは希土類永久磁石、2c
は金属からなる保護管である。もちろん、上記希土類永
久磁石2bは互に微小間隙を介在させた状態で少なくとも
1対設けられている。但し、微小間隙を設けることな
く、全体が一体化された円筒状の希土類永久磁石を用い
ることも可能である。
ットピッチが5.4mm、スロットの開口幅が1.8mmであり、
保護管2cとしてスレンレス製の管を用いた場合には1/20
0になる。また、ステンレス製の管に代えて、金属的性
質を有する部分の最外周部として固有抵抗が72×10-8〜
144×10-8Ωmのものを採用した場合にも定数Kgが1/200
になる。もちろん、保護管2cを省略した場合であって
も、希土類永久磁石2bの固有抵抗が上述の値であれば、
定数Kgが1/200になる。そして、定格回転数を17万r.p.
m.、定格出力を5kWに設定する場合には、上記式に基づ
いてギャップ長gが2.01mm以上に設定される。実際にギ
ャップ長を2.01mm以上に設定したブラシレスDCモータを
運転したところ、上記回転数、出力で安定して回転し続
けた。上記構成の固定子を用いた従来のブラシレスDCモ
ータの場合には、ギャップ長が0.16〜0.31mmに設定され
ていたのと比較して、この実施例のギャップ長は、1桁
大きくなっていることが分る。
を示す図であり、従来のブラシレスDCモータの回転子の
表面(図中破線参照)における磁束密度は、歯部1bに正
対する位置において最も大きく、スロット1aと正対する
位置において最も小さいとともに、両磁束密度の差が著
しく大きい。これに対して、この実施例の超高速ブラシ
レスDCモータの回転子の表面(図中実線参照)における
磁束密度は、歯部1bに正対する位置において最も大き
く、スロット1aと正対する位置において最も小さいとと
もに、両磁束密度の差が著しく小さい。尚、上記両磁束
密度の差は磁束の空間高調波の振幅であり、空間高調波
の振幅が距離の増加に伴なって急激に減少することを示
す第3図のグラフとも一致する。そして、回転子2の表
面における磁束密度の変化が大きいほど渦電流が顕著に
発生するのであるから、この実施例の回転子2の表面に
おいて発生する渦電流は従来のブラシレスDCモータと比
較して著しく低減されており、ひいては渦電流損に起因
する発熱も大幅に低減されている。したがって、定格回
転数を著しく大きく設定した超高速ブラシレスDCモータ
であっても、回転数の増加に伴なって増加する渦電流の
増加の程度を大幅に抑制できる。
た渦電流に起因して回転子2に発熱が生じ、しかもこの
発熱は渦電流の周波数が高くなることに起因して、到底
無視し得ない量になる。しかし、この実施例において
は、渦電流の発生を大幅に抑制でき、かつ渦電流に起因
する発熱を十分に放熱し得るようにギャップ長gを設定
している。
を十分に低減するための係数であり、P1/8が大容量化
に伴なう放熱の困難さを回避するための係数である。
子1と回転子2との間の磁束結合効率が著しく低下し、
かえって運転効率を低下させることになると思われる
が、この実施例においては、回転子2に磁力(BH積)が
大きい希土類永久磁石2bを採用しているのであるから、
十分な磁束結合効率を達成できる。
超高速ブラシレスDCモータを実現できる。また、従来実
現されているのと同じ回転速度のブラシレスDCモータを
得る場合には、ギャップ長を著しく大きくできる関係
上、構成各部の寸法精度、組立て精度を余り高めなくて
もよくなり、ひいてはブラシレスDCモータの低価格化を
達成できる。
永久磁石2に作用させることができる保護管2cを採する
ことが可能であり、この場合には、回転子2の回転に起
因する遠心応力がかなり大きくなる超高速回転速度まで
希土類永久磁石2bを確実に保護でき、しかも保護管2cの
厚みを大きくでき、ひいては内向きの圧縮力を大きくで
きるのであるから、ブラシレスDCモータの高速化に好適
である。
開口長の比γ{=(s/t)}がほぼ0.3であるブラシレス
DCモータについて説明した。しかし、γが0.3からかな
りかけ離れた値である場合には、第4図に示すように、
空間高調波の振幅Bmがg/dのみならずγにも依存して変
化することになる。尚、第4図中、白丸がg/d=0.01の
場合を、黒丸がg/d=0.02の場合を、白四角がg/d=0.05
の場合を、黒四角がg/d=0.1の場合をそれぞれ示してい
る。
ば、これらに基づいて定まる、空間高調波の最大振幅を
得、空間高調波の振幅が最大振幅よりも小さくなる範囲
(第4図中に示す破線よりも下の範囲)に位置するγと
g/dとの組合せを達成できるようにブラシレスDCモータ
を製造すればよい。即ち、γを小さくするか、またはg/
dを大きくすることにより対処することができる。
子を製造し、しかも全てのスロットに固定子巻線をセッ
トする必要があるのに対して、g/dを大きくする場合に
は、巻線が不要な回転子をg/dの値に合せて製造するだ
けでよいから、γの値を変化させることなくg/dのみを
変化させること(即ち、回転子のみを交換すること)が
好ましい。
実施例の要部概略図であり、第1図の実施例と異なる点
は、金属製の保護管2cに代えて絶縁体からなる保護管2d
を採用した点のみである。
管2dには渦電流が発生しないが、保護管2dの内部に位置
する金属的性質を有する部分(回転子鉄心、希土類永久
磁石)に渦電流が発生することになるので、固定子1の
歯部1bと上記金属的性質を有する部分の表面との間の距
離をギャップ長とすることになる。
大きいギャップ長の範囲内において、カーボンファイ
バ、セラミック、ガラス繊維等の絶縁体からなる保護管
2dを装着すればよいことになり、保護管2dの厚みを大き
くして十分な永久磁石保護効果を達成できる。
のように、ギャップ長が固定子の内径の1/100〜1/200程
度であり、このギャップ長の範囲内において十分な永久
磁石保護効果を達成できる絶縁体製の保護管を設けるこ
とは到底不可能であった。
久磁石2bに作用させることができる保護管2cを採用する
ことが可能であり、この場合には、回転子2の回転に起
因する遠心応力がかなり大きくなる超高速回転速度まで
希土類永久磁石2bを確実に保護でき、しかも保護管2cの
厚みを大きくでき、ひいては内向きの圧縮力を大きくで
きるのであるから、ブラシレスDCモータの高速化に好適
である。
子に装着される希土類永久磁石の磁化方向を示す概略図
であり、希土類永久磁石2bの全範囲にわたって互に平行
な磁束を発生するように磁化されている。
2bが固定子1の歯部1bと正対する状態において、希土類
永久磁石に起因する磁束密度が最も大きくなり、固定子
1のスロット1aと正対する状態において磁束密度が最も
小さくなる。そして、何れとも正対しない状態において
は、磁極軸と平行方向に磁化された希土類永久磁石の磁
束が固定子1の歯部1bと結合する磁束量がずれ角度に応
じて徐々に変化するのであるから、ずれ角度に対応して
なだらかに磁束密度が変化する。この結果、磁束密度は
正弦波状に変化し、高調波成分を殆ど含まないことにな
る(第7図参照)。磁束密度が正弦波状に変化すれば、
固定子における鉄損の発生を大幅に抑制でき、実施例1
または実施例2における高効率化と相俟って著しい高効
率化を達成できる。したがって、超高速ブラシレスDCモ
ータを簡単に実現できることになる。
を、全範囲にわたって放射状に磁束を発生するように磁
化された永久磁石を採用して場合における磁束密度変化
を示す図であり、矩形波状になるのであるから種々の高
調波成分を含んでおり、高調波成分に起因して固定子1
における鉄損が増加し、鉄損の増加に伴なって運転効率
が低下してしまう。
施例と同様に磁化し、しかも従来のブラシレスDCモータ
と同様のギャップ長を採用した場合における磁束密度変
化を示す図であり、正弦波よりも矩形波に近い波形であ
るから、矩形波の場合に近い鉄損の発生がある。
長を長くし、しかも平行方向に磁化された希土類永久磁
石2bを採用することにより、固定子1におけ鉄損をも大
幅に低減でき、ひいては著しく高効率の超高速ブラシレ
スDCモータを実現することができる。
に他の実施例を示す要部概略図であり、上記実施例と異
なる点は、希土類永久磁石2bとして、鋳造熱間加工希土
類永久磁石を採用し、保護管2c,2dを省略した点のみで
ある。
でなく、機械的強度も強いのであるから、保護管を用い
なくても、超高速回転時における永久磁石の破損を未然
に防止できる。この結果、回転子2の構成および製造作
業を簡素化できる。
76.5・B5・Cu1.5を基本組成とし、溶解・鋳造、熱間加
工熱処理を行なった後に着磁を行なったものを採用した
場合には、BH積の代表値が27MGOe、曲げ強さが36kgf/mm
2以上、引張強さが24kgf/mm2以上、圧縮強度が95kgf/mm
2であり、10万回転を越える超高速ブラシレスDCモータ
に適用する場合であっても、保護管を用いることなく回
転子2を構成できることが分る。
の最大値を考える場合、磁石からの磁束が固定子に流れ
なければモータとしてトルクを発生させることができな
い。要するに、磁石から固定子までの距離gが磁極間
(磁石のN極とS極との距離)よりも小さければ、少な
からず固定子に磁束が流れ、モータとしてトルクを発生
させることができる。
表面を規定する直径、pはブラシレスDCモータの極数で
ある。
がギャップ長gの上限値になる。
m.、定格出力を5kWに設定する場合には、上記式に基づ
いてギャップ長gが15.7mm未満に設定される。実際にギ
ャップ長を15.7mm未満に設定したブラシレスDCモータを
運転したところ、上記回転数、出力で安定して回転し続
けた。
用のフィンを設け、かつギャップ長gをN5/6・P1/8・
d・Kg/Ks1/2以上に設定している。但し、Ksは自然空冷
用のフィンを設けることによる表面積の増加により定ま
る定数、dは固定子の内径、Nは定格回転数(万r.p.
m.)、Pは定格出力(kW)、Kgはモータの固定子により
定まる定数である。さらに詳細に説明する。
て、面積当りの放熱量が一定であると仮定しているが、
実際には、ブラシレスDCモータにごく簡易な構成の自然
空冷用のフィン2dを設けた場合には、表面積が増加し、
放熱量が増加する。したがって、この場合には、発熱量
/放熱面積の関係として(α3・kN2)/α2に代えて
(α3・kN2)/(Ks・α2)を採用すればよい。但
し、Ksは1以上の値である。
冷却効果なしの場合のギャップ長をg′とすれば、g=
g′/Ks1/2となる。具体的には、自然空冷用のフィンを
設けることにより表面積が2倍になった場合には、自然
空冷時の放熱効果Ksがほぼ2になるので、常温時冷却効
果なしの場合のギャップ長g′の0.707倍以上になるよ
うにギャップ長を設定すればよいことになる。
く、例えば、以上の各実施例において、回転子2の金属
的性質を有する部分の最外周として固有抵抗が144×10
-8Ωm以下のもの(3×10-8〜144×10-8Ωmのもので
もよい)を採用することが可能であり、この場合にも定
数Kgが1/200になる。その他、この発明の要旨を変更し
ない範囲内において種々の設計変更を施すことが可能で
ある。
分との間のギャップ長を大きくすることにより、超高速
回転可能なブラシレスDCモータを得ることができ、超高
速回転が要求される各種装置の駆動源として有用であ
る。
Claims (10)
- 【請求項1】固定子(1)と回転子(2)の金属的性質
を有する部分との間のギャップ長gをN5/6・P1/8・d
・Kg{dは固定子の内径、Nは定格回転数(万r.p.
m.)、Pは定格出力(kW)、Kgはモータの形状および材
質により定まる定数}以上に設定してあることを特徴と
する超高速ブラシレスDCモータ。 - 【請求項2】固定子(1)と回転子(2)の金属的性質
を有する部分との間のギャップ長gを(γ/0.3)1.95・
N5/6・P1/8・d・Kg{γは固定子のスロットピッチに
対するスロット開口長の比、dは固定子の内径、Nは定
格回転数(万r.p.m.)、Pは定格出力(kW)、Kgはモー
タの形状および材質により定まる定数}以上に設定して
あることを特徴とする超高速ブラシレスDCモータ。 - 【請求項3】自然空冷用のフィンを有しているととも
に、固定子と回転子の金属的性質を有する部分との間の
ギャップ長gが、上記ギャップ長gの1/Ks1/2倍(Ksは
自然空冷用のフィンを設けることによる表面積の増加に
より定まる定数)に設定されてある請求項1または請求
項2に記載の超高速ブラシレスDCモータ。 - 【請求項4】ギャップ長gをπD/(2p){Dは回転子の
磁石表面を規定する直径、pはブラシレスDCモータの極
数}未満に設定してある請求項1から請求項3の何れか
に記載の超高速ブラシレスDCモータ。 - 【請求項5】回転子(2)として希土類永久磁石(2b)
が装着されたものを用いている請求項1から請求項4の
何れかに記載の超高速ブラシレスDCモータ。 - 【請求項6】回転子(2)に装着される永久磁石(2b)
として、全ての領域について磁極軸に平行方向に磁化さ
れたものを採用している請求項1から請求項5の何れか
に記載の超高速ブラシレスDCモータ。 - 【請求項7】回転子(2)として、最外周に金属からな
る保護管(2c)を装着してなるものを採用している請求
項1から請求項6の何れかに記載の超高速ブラシレスDC
モータ。 - 【請求項8】回転子(2)として、最外周に絶縁体から
なる保護管(2d)を装着してなるものを採用している請
求項1から請求項6の何れかに記載の超高速ブラシレス
DCモータ。 - 【請求項9】回転子(2)として、最外周に金属または
絶縁体からなり、かつ希土類永久磁石(2b)に対して回
転子の軸中心に向かう方向の圧縮力を与える保護管(2
c)(2d)を装着してなるものを採用している請求項1
から請求項6の何れかに記載の超高速ブラシレスDCモー
タ。 - 【請求項10】希土類永久磁石(2b)として、鋳造熱間
加工希土類永久磁石を採用している請求項5から請求項
9の何れかに記載の超高速ブラシレスDCモータ。
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