JP3133528B2 - マイクロ波プラズマcvd法およびマイクロ波プラズマcvd装置 - Google Patents

マイクロ波プラズマcvd法およびマイクロ波プラズマcvd装置

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JP3133528B2 JP04339006A JP33900692A JP3133528B2 JP 3133528 B2 JP3133528 B2 JP 3133528B2 JP 04339006 A JP04339006 A JP 04339006A JP 33900692 A JP33900692 A JP 33900692A JP 3133528 B2 JP3133528 B2 JP 3133528B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマイクロ波を用いて基体
上に堆積膜を形成するマイクロ波プラズマCVD法およ
びマイクロ波プラズマCVD装置に関し、特に半導体デ
バイス、電子写真用デバイス、画像入力用ラインセンサ
ー、撮像デバイス、光起電力デバイス等に用いるアモル
ファス半導体膜等の機能性膜を形成するに好適なマイク
ロ波プラズマCVD法およびマイクロ波プラズマCVD
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイス、電子写真用デバイス、
画像入力用ラインセンサー、撮像デバイス、光起電力デ
バイス、その他各種エレクトロニクス素子、光学素子等
に用いる素子部材として、アモルファスシリコン、例え
ば水素または/およびハロゲン(例えばフッ素、塩素
等)で補償されたアモルファスシリコン系(以下、“a
−Si(H,X)”という。)等のアモルファス材料で
構成された半導体用等に用いられる堆積膜が提案されて
いる。こうした堆積膜は、プラズマCVD法、すなわち
反応容器内に直流、高周波またはマイクロ波等のエネル
ギーを与えることにより生起したグロー放電等によって
原料ガスを分解し、ガラス、石英、耐熱性合成樹脂フィ
ルム、ステンレス、アルミニウム等の材質の基板上に薄
膜状の堆積膜を形成する方法により形成されることが知
られており、そのための装置も各種提案されている。
【0003】ところで近年、マイクロ波グロー放電分解
を用いたプラズマCVD法であるマイクロ波プラズマC
VD法が注目され、工業的利用への研究がなされてい
る。このマイクロ波プラズマCVD法は、原材料の分解
効率が他のプラズマCVD法に比べて格段に良く、堆積
膜の特性を向上させる方法も提案されている。しかしな
がら、特開平4−187772号公報にも示されるよう
に、従来、10mtorr以下の圧力においてマイクロ
波プラズマCVD法を行うと、放電のちらつき、異常放
電の集中が発生し、放電が切れることが知られている。
ところが、太陽電池等で高変換効率を得る為に必要とさ
れる膜質を考慮すると、1〜10mtorrの圧力にて
特に良好な膜を得ることができ、変換効率で10%前後
の太陽電池ができる。ちなみに、50mtorrの圧力
では5%前後の変換効率しか得られない。そのため、放
電切れが起きたときは、マイクロ波の電力、ガスの圧力
を変化させることで再放電を開始させている。また、基
体にシャッターを設け、異常放電時にはシャッターを閉
にして再放電を開始し、正常な圧力、電力になった時点
でシャッターを開にし、膜質の異なる膜をつけないよう
にするバッチ処理を行うことによって不良を防いでい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のマイク
ロ波プラズマCVD法のうち、放電切れが起きたとき、
マイクロ波の電力、ガスの圧力を変化させるものでは、
そのときに形成される堆積膜の膜質がそれ以外のときに
形成される堆積膜の膜質と異なる。すなわち基体の部位
によって膜質が変化する。大型のデバイスの堆積膜を形
成する場合は、小型のデバイスに比べ、膜形成中に放電
切れが起きる可能性が高いため、所望の質のデバイスを
作製することが困難である。また、基体にシャッターを
設けるものでは、装置コストが高くなる。さらに、ウエ
ブ状の基体への連続積層成膜では、仮にシャッター全積
層チャンバーに設置したとしても、放電切れの頻度によ
っては、非常に稼動率が下がることがある。
【0005】本発明の目的は、大型のデバイスでも膜質
を変化させることなく低コストおよび高稼動率で堆積膜
を形成できるマイクロ波プラズマCVD法およびマイク
ロ波プラズマCVD装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のマイクロ波プラ
ズマCVD法は、真空気密可能な反応容器内にマイクロ
波エネルギーを導入してプラズマ放電空間を形成し、前
記プラズマ放電空間に配した基体上に堆積膜を形成する
マイクロ波プラズマCVD法において、前記堆積膜形成
中に前記反応容器内に配置されたフィラメントから電子
を放出するとともに、該フィラメントの周囲に水素ガス
を流すことを特徴とする。前記電子は常時放出しても断
続的に放出してもよい。
【0007】本発明のマイクロ波プラズマCVD装置
は、基体が配設される真空気密可能な反応容器と、該反
応容器内にマイクロ波エネルギーを導入して前記基体周
辺にプラズマ放電空間を形成するエネルギー導入手段と
を有し、前記プラズマ放電空間に配した基体上に堆積膜
を形成するマイクロ波プラズマCVD装置において、前
記エネルギー導入手段のマイクロ波エネルギーによる前
記堆積膜形成中に前記反応容器内に電子を放出する手段
と、該反応容器内に設けられたプラズマ放電が形成され
ているか否かを検知するための金属の放電検出ロッドを
有する検知手段と、該放電検出ロッドの電位により該反
応容器内にプラズマ放電が形成されていないことを前記
検知手段が検知すると、該電子を放出する手段に電子を
放出させる制御手段と、を有することを特徴とする。そ
して、前記電子を放出する手段はフィラメントであって
もアーク放電部材であってもよい。
【0008】
【作用】本発明者の研究によると、堆積膜形成中に反応
容器内に電子を放出することにより、放電切れがあって
もマイクロ波の電力、ガスの圧力を変化させることなく
短時間で再放電を開始させることができる。このため、
膜質を変化させることを防止できる。電子を放出するに
は、フィラメントやアーク放電部材等を反応容器内に設
ければよいから、低コストで装置を構成できる。また、
放電切れがあっても短時間で再放電を開始できることか
ら稼動率を高めることができる。そして、フィラメント
の周囲に水素ガスを流すことにより、フィラメントの耐
久性をより向上させることができる。
【0009】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0010】図1は本発明のマイクロ波プラズマCVD
装置の第1の実施例を示す概念図である。図1におい
て、反応容器である真空容器1は真空気密化構造をなし
ている。真空容器1の底部は導波管3を介してマイクロ
波電源に接続されている。真空容器1の側部には、プラ
ズマ放電空間が形成されているか否かを検知するための
センサーとして用いられる金属棒である放電検出ロッド
4と、露出したタングステンで構成されたフィラメント
6とが設けられている。放電検出ロッド4は制御部5に
接続されており、放電検出ロッド4の電位により制御部
5が放電切れを検知できるようになっている。フィラメ
ント6は、制御部5の制御によりオンオフするスイッチ
7により直流電圧が印加されるようになっている。この
ほか真空容器1には、いずれも図示しないが、堆積膜形
成用の基体を加熱するためのヒーター、放電空間内にバ
イアス電圧を印加するための電極、内部に気体を導入す
るための給気装置、内部の気体を排出するための排気装
置等、マイクロ波プラズマCVDに用いられる部材が設
けられている。
【0011】図1に示す装置において、コストダウン対
策として放電切れ検出ロッド4がない状態で放電開始後
常時フィラメント6をオンして、放電切れがいつおきて
もアシストできるようにしてもよい。また、フィラメン
トオン時間を1秒、オフ時間を2秒にすることで、約1
0分以上の長時間成膜時、常時フィラメント6をオンす
るものに対して耐久性約3倍程度を向上させることがで
きる。加えて、フィラメントの耐久性を向上させるた
め、フィラメント周囲にH2 ガスを100sccm流す
ことで、フィラメント周囲にH2 ガスを流さない場合に
比べ、フィラメント耐久性を5倍程度向上させることが
できる。
【0012】次に、本実施例のマイクロ波プラズマCV
D装置を用いた膜形成方法について説明する。まず、真
空容器1内にガラス、石英、耐熱性合成樹脂フィルム、
ステンレス、アルミニウム等の材質の基体(不図示)を
設置する。次に、不図示の排気装置により真空容器1内
を所定の真空度まで脱気し、不図示のヒーターにより基
体の温度を膜堆積に好適な所定の温度に加熱保持する。
基体が所定の温度になったら、流量、圧力を所定の値に
調整しながら不図示の給気装置により膜の原料となるガ
スを真空容器1内に導入する。そして、マイクロ波電源
2に通電して所定の周波数、電力のマイクロ波を発生さ
せ、導波管3を通じて真空容器1内にこのマイクロ波を
導入する。同時に不図示の電極により真空容器1内にバ
イアス電圧を印加する。このようにして真空容器1内の
ガスが放電してプラズマ放電空間を形成し、このプラズ
マ放電空間内に配された基体上に堆積膜が形成される。
ここで、放電切れが起こると、放電検出ロッド4の出力
により制御部5が放電切れを検知する。制御部5はスイ
ッチ7をオンし、フィラメント6を通電する。これによ
り、フィラメント6から電子が放出され、短時間で再放
電が開始する。このため、基体上の堆積膜の形成が継続
される。
【0013】図2は本発明のマイクロ波プラズマCVD
装置の第2の実施例を示す概念図である。図2におい
て、図1中と同符号は同一の構成要素を示す。本実施例
は、図1に示す第1の実施例におけるフィラメント6に
代えて、アーク放電部8を備えたものである。アーク放
電部8の放電電極の間隔は5mm程度が望ましい。その
他は第1の実施例と同様である。
【0014】第1および第2の実施例において、フィラ
メント6およびアーク放電部8にかける電源は直流に限
らず交流でもよい。
【0015】以下、本発明のマイクロ波プラズマCVD
装置による堆積膜形成の実験例を説明する。
【0016】実験例1 図1に示す装置において、不図示の給気装置、排気装置
を用いて真空容器1へSiH4 (100sccm)、H
2 (1500sccm)を導入して、圧力5mtorr
の状態にした。マイクロ波電源2よりマイクロ波電力2
00Wを導入してプラズマ放電を起こし、a−Si膜の
成膜を行った。放電切れの際のフィラメント6は、印加
電圧600V、通電時間1秒とした。従来の技術の欄で
述べたマイクロ波の電力、ガスの圧力を変化させるもの
に比べ、同一膜中に界面がなく、不純物準位が低く、ホ
ール移動度が高い良好な膜質のa−Si膜が得られた。
【0017】実験例2 図1の装置を用いて、SiH4 100sccm、GeH
4 50sccm、H21500sccmを導入し、圧力
7mtorrの状態にした。マイクロ波電力250Wを
導入し、プラズマ放電をおこし、a−SiGeH膜の成
膜を行い、実験例1と同等の結果が得られた。
【0018】実験例3 図3に示す装置は太陽電池作製用ロールツーロール・マ
イクロ波プラズマCVD装置である。この装置では、巻
出し室10、巻取り室11間に、図1の真空容器1に該
当する3個のチャンバー(N層成膜室14、I層成膜室
15、P層成膜室16)が設けられている。巻出し室1
0、巻取り室11、N層成膜室14、I層成膜室15、
P層成膜室16の各室間はガス分離室13によりそれぞ
れ隔てられている。その他は図1に示すマイクロ波プラ
ズマCVD装置と同様である。
【0019】この太陽電池作製用ロールツーロール・マ
イクロ波プラズマCVD装置において、N層成膜室1
4、I層成膜室15、P層成膜室16へ流すガス流量お
よび圧力、マイクロ波電力は表1に示すとおりである。
この装置により変換効率9%a−Si太陽電池を放電基
例によるロスタイムおよび放電切れによる不良をそれぞ
れゼロにすることができた。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、堆積膜形
成中に反応容器内に電子を放出することにより、放電切
れがあってもマイクロ波の電力、ガスの圧力を変化させ
ることなく短時間で再放電を開始させることができる。
このため、大型のデバイスでも膜質を変化させることな
く低コストおよび高稼働率で堆積膜を形成でき、所望の
質のデバイスを安く大量に作成できる。また、フィラメ
ントの周囲に水素ガスを流すことにより、フィラメント
の耐久性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロ波プラズマCVD装置の第1
の実施例を示す概念図である。
【図2】本発明のマイクロ波プラズマCVD装置の第2
の実施例を示す概念図である。
【図3】本発明のマイクロ波プラズマCVD装置を応用
した太陽電池作製用のロールツーロール・マイクロ波プ
ラズマCVD装置を示す概念図である。
【符号の説明】
1 真空容器 2 マイクロ波電源 3 導波管 4 放電検出ロッド 5 制御部 6 フィラメント 7 スイッチ 8 アーク放電部 10 巻出し室 11 巻取り室 12 ウエブ 13 ガス分離室 14 N層成膜室 15 I層成膜室 16 P層成膜室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 16/50 - 16/517 H01L 21/205 H01L 21/3065 H05H 1/00 - 1/54

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空気密可能な反応容器内にマイクロ波
    エネルギーを導入してプラズマ放電空間を形成し、前記
    プラズマ放電空間に配した基体上に堆積膜を形成するマ
    イクロ波プラズマCVD法において、 前記堆積膜形成中に前記反応容器内に配置されたフィラ
    メントから電子を放出するとともに、該フィラメントの
    周囲に水素ガスを流すことを特徴とするマイクロ波プラ
    ズマCVD法。
  2. 【請求項2】 前記電子は常時放出される請求項1に記
    載のマイクロ波プラズマCVD法。
  3. 【請求項3】 前記電子は断続的に放出される請求項1
    に記戟のマイクロ波プラズマCVD法。
  4. 【請求項4】 基体が配設される真空気密可能な反応容
    器と、該反応容器内にマイクロ波エネルギーを導入して
    前記基体周辺にプラズマ放電空間を形成するエネルギー
    導入手段とを有し、前記プラズマ放電空間に配した基体
    上に堆積膜を形成するマイクロ波プラズマCVD装置に
    おいて、 前記エネルギー導入手段のマイクロ波エネルギーによる
    前記堆積膜形成中に前記反応容器内に電子を放出する手
    と、該反応容器内に設けられたプラズマ放電が形成さ
    れているか否かを検知するための金属の放電検出ロッド
    を有する検知手段と、該放電検出ロッドの電位により該
    反応容器内にプラズマ放電が形成されていないことを前
    記検知手段が検知すると、該電子を放出する手段に電子
    を放出させる制御手段と、を有することを特徴とするマ
    イクロ波プラズマCVD装置。
  5. 【請求項5】 前記電子を放出する手段はフィラメント
    である請求項に記載のマイクロ波プラズマCVD装
    置。
  6. 【請求項6】 前記電子を放出する手段はアーク放電部
    材である請求項に記載のマイクロ波プラズマCVD装
    置。
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