JP3133439B2 - ポリオレフィン系樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂組成物およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン系樹脂
組成物に関する。更に詳しくは、ポリオレフィン系樹脂
に特定の化合物を添加した臭気の少ないポリオレフィン
系樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリオレフィン系樹脂を高温で押
出し、フィルム,押出ラミネート製品、ボトル、射出成
形品等に成形した場合、ポリオレフィン系樹脂独特の臭
気を発生させていた。本発明者らの観察によると、成形
温度230℃までは、臭気の増加はほとんど認められな
いが、それ以上の温度では温度上昇とともに臭気が多く
なり、300℃を越えると激しいコゲ臭が発生した。
【0003】ポリオレフィン系樹脂の臭気を低減する方
法としては、ポリオレフィン系樹脂の低分子量ポリマー
含量を減らして成形時に揮発しにくい構造にする方法、
無機充填剤を添加する方法、脂肪酸金属塩を添加する方
法、金属酸化物、水酸化物を添加する方法(特開昭59
−136340)及びポリオレフィン系樹脂に2,6−
ジtブチル−p−クレゾールやペンタエリスリチル テ
トラキス[3−(3,5−ジターシャルブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]等の抗酸化剤を添
加する方法などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの方法を用いれ
ば、確かに、ポリオレフィン系樹脂の比較的低温での成
形で発生する臭気を低減させることができるが、成形温
度が高くなるにつれて臭気が徐々に増加し、低臭とは言
いがたいものとなる。また、上記の方法によって低臭化
されたポリオレフィン系樹脂を用いて得られた成形物を
食品包装容器向けの用途に使用する場合、人体に対する
影響を考えると、これらの方法に用いられる添加剤の添
加量を極力減らす必要があるが、該添加量を減らすこと
は反対に臭気の増加をもたらすという欠点があった。
【0005】本発明の目的は、上記の従来法の問題点を
解決し、特に230℃を超える高温度でポリオレフィン
系樹脂組成物を成形した場合において、臭気の少ないポ
リオレフィン系樹脂組成物の成形方法を提供することに
ある。
【0006】すなわち本発明は、 [1] 230℃を超える高温度でポリオレフィン系樹
脂を成形する方法において、周期律表第IA族の金属の
炭酸水素塩の群から選ばれた少なくとも1種の化合物を
0.001〜1重量%配合してなるポリオレフィン系樹
脂組成物を用いることを特徴とする臭気の少ないポリオ
レフィン系樹脂の成形方法、及び [2] 230℃を超える高温度でT−ダイフィルムを
成形する方法において、周期律表第IA族の金属の炭酸
水素塩の群から選ばれた少なくとも1種類の化合物を
0.001〜1重量%配合したポリオレフィン系樹脂を
用いる上記[1]に記載のT−ダイフィルムを成形する
方法、を開発することにより上記の目的を達成した。
【0007】ポリオレフィン系樹脂に配合する低臭化に
有効な化合物は、周期律表第IA族の金属の炭酸水素塩
の群から選ばれたものであって、これらを1種又は2種
以上使用すればよい。これらの化合物のうち、炭酸水素
ナトリウム、炭酸水素カリウムが特に有効である。これ
らの化合物の配合率は、ポリオレフィン系樹脂の成形温
度により異なるが、0.001〜1重量%であり、好ま
しくは0.005〜0.2重量%、より好ましくは0.
01〜0.1重量%である。該化合物の配合率が0.0
01重量%未満では臭気低減の効果がなく、1重量%を
超えると添加混合時に発泡し配合出来なくなることがあ
る。
【0008】本発明においてポリオレフィン系樹脂と
は、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度
ポリエチレン、ポリプロピレンなどをはじめとする炭素
数2〜12のα−オレフィンの単独重合体、これらα−
オレフィンのランダム若しくはブロック共重合体、エチ
レンとビニルエステル、エチレンとα−β不飽和カルボ
ン酸,同エステル若しくは同無水物との共重合体または
これらの混合物或いはこれらを主体とする変性重合体等
をいう。
【0009】上記ポリオレフィン系樹脂に、上記無臭化
に有効な化合物である周期律表第IA族の炭酸水素塩を
配合する方法には、混合,混練,添加等種々の方法があ
るが、通常使用される、押出機,ニーダー,バンバリー
ミキサー等の混練機で練り込む方法でよく、あるいは、
ポリオレフィン系樹脂の粉末及び/又はペレットにドラ
イブレンドしてそのまま加工成形機,押出機等に供給し
て混練しながら成形することもできる。もちろんマスタ
ーバッチ法によって混合してもよく、要は、上記低臭化
に有効な化合物の配合率が、ポリオレフィン系樹脂組成
物に対し所定の範囲内であればよい。
【0010】
【実施例】以下実施例,比較例を示して、本発明をより
具体的に説明する。比較例1溶融指数(JIS K67
60により測定。温度190℃、荷重2.16kg)8g
/10min,密度0.918g /cc(JIS K67
60により測定)の高圧法低密度ポリエチレンを、口径
40mm,L/D=22のスクリューを備えたTダイフ
ィルム用押出成形機を利用して、押出樹脂温度300℃
で成形したフィルムの臭気指数(1−全然臭気を感じな
い、2−若干感じる、3−感じる、4−やや強く感じ
る、5−強く感じる、との評価基準を表す。以下同様)
は5であった。
【0011】実施例1 比較例1と同じポリエチレンに、炭酸水素ナトリウム
0.05重量%をヘンシェルミキサーでからめて添加し
押出機で溶融混合しながら造粒した樹脂組成物を、押出
樹脂温度300℃で成形したフィルムの臭気指数は2乃
至3であり、臭気の改良効果が著しかった。
【0012】実施例2 比較例1と同じポリエチレンに、炭酸水素カリウム0.
05重量%を実施例1と同様にして配合し、押出樹脂温
度300℃で成形したフィルムの臭気指数は2乃至3で
あり、臭気の改良効果が著しかった。
【0013】比較例2 溶融指数9g/10min,密度0.954g/ccの低
圧法ポリエチレンを、口径40mm,L/D=22のス
クリュ−を備えたTダイフィルム用押出成形機を使用し
て、押出樹脂温度300℃で成形したフィルムの臭気指
数は5であった。
【0014】実施例3 比較例2と同じポリエチレンに、炭酸水素ナトリウム
0.05重量%を実施例1と同様にして配合し、押出温
度300℃で成形したフィルムの臭気指数は2乃至3で
あり、臭気の改良効果が著しかった。
【0015】実施例4 比較例2と同じポリエチレンに、炭酸水素カリウム0.
05重量%を実施例1と同様にして配合し、押出温度3
00℃で成形したフィルムの臭気指数は2乃至3であ
り、臭気の改良効果が著しかった。
【0016】比較例3 溶融指数(JIS K6760により測定。温度230
℃,荷重2.16kg)20g/10minのポリプロピ
レンを比較例1〜3と同じ成形機で押出温度300℃で
成形したフィルムの臭気指数は5であった。
【0017】実施例5 比較例3と同じポリプロピレンに、炭酸水素ナトリウム
0.05重量%を実施例1と同様にして配合し、押出温
度300℃で成形したフィルムの臭気指数は3乃至4で
あった。
【0018】
【発明の効果】本発明方法によれば、容易に且つ安価に
入手できる周期律表第IA族の金属の炭酸水素塩を単に
所定量混練するだけで、ポリオレフィン系樹脂組成物の
230℃を超える高温下での成形時およびその成形物の
臭気を低減することができるため、高温成形加工を必要
とする溶融成形加工分野、特にT−ダイフィルムを使用
する食品包装容器向けのポリオレフィン系樹脂組成物の
成形加工方法として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−63724(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 230℃を超える高温度でポリオレフィ
    ン系樹脂を成形する方法において、周期律表第IA族の
    金属の炭酸水素塩の群から選ばれた少なくとも1種の化
    合物を0.001〜1重量%配合してなるポリオレフィ
    ン系樹脂組成物を用いることを特徴とする臭気の少ない
    ポリオレフィン系樹脂の成形方法。
  2. 【請求項2】 230℃を超える高温度でT−ダイフィ
    ルムを成形する方法において、周期律表第IA族の金属
    の炭酸水素塩の群から選ばれた少なくとも1種類の化合
    物を0.001〜1重量%配合したポリオレフィン系樹
    脂を用いる請求項1に記載のT−ダイフィルムを成形す
    る方法。
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