JP3131761B2 - 液晶素子の製造方法 - Google Patents

液晶素子の製造方法

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JP3131761B2 JP9747795A JP9747795A JP3131761B2 JP 3131761 B2 JP3131761 B2 JP 3131761B2 JP 9747795 A JP9747795 A JP 9747795A JP 9747795 A JP9747795 A JP 9747795A JP 3131761 B2 JP3131761 B2 JP 3131761B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表示素子や液晶光シャ
ッター等の液晶素子、特にカイラルスメクティック液晶
を用いた液晶素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】強誘電性液晶分子の屈折率異方性を利用
して偏光子との組合せにより透過光量を制御する型の液
晶素子がクラーク(Clark)及びラガーヴァル(L
agerwall)により特開昭56−107216号
公報や米国特許第4367924号明細書等で提案され
ている。
【0003】この強誘電性液晶は、一般に特定の温度領
域において非らせん構造のカイラルスメクティックC相
(SmC* 相)ないしH相(SmH* 相)を呈し、これ
らの相状態において、印加される電界に対して第一の光
学的安定状態と第二の光学的安定状態のいずれか一方の
状態をとり、且つ電界を取り外してもその状態を保持す
る性質、即ち双安定性を有する。
【0004】更に、強誘電性液晶は電界の変化に対する
応答が速やかであるという特徴を有することから、単純
マトリクス駆動可能な高速駆動の記憶型表示媒体として
大画面で高精細な表示素子への応用が期待されている。
【0005】ところで、上述した非らせん構造のSmC
* ないしSmH* は、数μm程度以下の一対の平行基板
間に水平一軸配向した強誘電性液晶相を形成し、強誘電
相の液晶が表面安定化(surface stabil
ized:SS)状態をとることで実現される。強誘電
性液晶を水平一軸配向させるには、ずり応力印加法、磁
場印加法、温度勾配法、ラビング法、斜方蒸着法等の配
向処理方法が知られているが、簡便さや安定性・再現性
等の理由から、基板上に形成したポリイミド薄膜をラビ
ング処理することで一軸配向を得る方法が最も一般的に
行なわれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】係る強誘電性液晶をは
じめとするカイラルスメクティック相を呈する液晶を用
いた液晶素子に関しては、前述したように、配向状態を
適切に制御し、均一な配向状態を得て、例えばコントラ
スト等の表示特性を向上させる技術がかねてから要求さ
れている。
【0007】また、係る液晶素子に関しては、配向技術
に加えていくつかの問題点が提起されている。その一つ
として、素子の駆動中に表示部の一部(端部領域)が着
色する現象がある。以下、図2を参照してこの現象につ
いて説明する。尚、同図は強誘電性液晶素子の一例を示
す模式図で、(a)はその平面図、(b)は液晶分子の
動作を説明する図である。
【0008】このような液晶素子を長時間駆動し、表示
を行なわしめると、表示部の端部領域23が黄色に着色
していく現象が生じる。このような現象は画面の見栄え
を悪くするだけでなく、液晶画素のスイッチング特性を
も変化させてしまうものであった。このような着色現象
は、液晶分子が領域23の方向へ移動し、領域23の液
晶層の厚み(基板間隔ないしはセル厚ともいう)が増加
することによるものであることが判明した。
【0009】そこで、本発明者等はより簡便な方法で上
述した技術課題を解決する方法を検討したところ、この
ように液晶分子が移動する原因は、駆動パルスによる交
流的な電界で液晶分子の双極子モーメントが揺らぐこと
により発生する電気力学的効果によるものと推察され
た。
【0010】更に、図2(b)に示す液晶分子の移動方
向は、ラビング方向と液晶分子の平均分子軸方向等によ
って決まると考えられる。
【0011】液晶分子の移動方向はラビングの方向に依
存している。ここでポリイミド配向膜と液晶との相互作
用によって生じる基板界面での液晶分子のプレティルト
の状態が上記ラビングによって決まることを考慮する
と、液晶分子の移動は、プレティルトの状態もしくはそ
のプレティルトにより決まる弾性エネルギー的に安定な
スメクティック層の折れ曲がり方向等に依存しているこ
とが推定される。
【0012】更に、上記ラビング処理等により規制され
ると考えられる界面規制力の強弱によっても液晶の移動
方向や移動量が変化する傾向もある。しかし、界面規制
力の制御、例えばラビングローラーの回転速度、基板へ
の布の押し込み量等を変化させることにより、ラビング
強度を単に強めたり弱めたりするだけでは液晶の良好な
配向を保ったまま移動量を許容範囲内に抑えることは困
難である。
【0013】 本発明は、上記事情を考慮してなされた
もので、その課題とするところは、カイラルスメクティ
ック液晶を用いた液晶素子の製造方法であって、均一な
液晶配向状態が良好に発現され、高いコントラストが得
られ、且つ駆動中の液晶分子の移動現象が抑制され、長
時間の使用によっても表示品質が低下しない、耐久性に
優れた液晶素子の製造方法を提供することにある。
【0014】 より具体的には、本発明の課題は、長時
間の使用に際しても液晶層の局所的な厚みの変動を防止
して、良好なスイッチング特性を保った液晶素子の製造
方法を提供することである。
【0015】
【0016】 本発明の上記課題は、一対の基板の少な
くとも一方の基板上に、ポリイミド前駆体の薄膜を形成
し、該薄膜の表面を一軸配向処理した後、該薄膜を焼成
することによってポリイミド配向制御層を形成する工程
と、上記一対の基板を所定の間隔を隔てて対向させ液晶
セルを形成する工程と、上記液晶セルの基板間にカイラ
ルスメクティック液晶を注入する工程と、を具備するこ
とを特徴とする液晶素子の製造方法により解決される。
【0017】
【0018】以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】 図1を参照して、本発明による液晶素子
の基本的な構造の一例を説明する。同図に示す液晶素子
では、それぞれ透明電極12a,12b並びに配向制御
層(配向膜)13a,13bが順次積層された一対の基
板11a,11b間に、液晶、特にカイラルスメクティ
ック液晶15及び基板間を一定のギャップに保つスペー
サ14が狭持されている。
【0020】本発明は、上記構成において、配向制御層
13a,13bに関して最も特徴的である。
【0021】本発明者等の知見によると、強誘電性液晶
等の長時間駆動時における分子の移動現象、特に移動
量、移動方向については、外的因子としては温度、及び
液晶素子に印加する電界の強度、周波数などに非常に密
接に結びついていることがわかった。また、内的、即ち
セル側の因子としては、特に基板界面でプレティルトの
傾向(方向性)、並びに配向状態に、また自発分極Ps
の大きさ、カイラルスメクティック液晶がとるティルト
角に相当するコーン角Θの大きさ、スメクティック相の
層の傾斜角δなどの強誘電性液晶分子の物性に依存して
いることがわかった。
【0022】このうち温度、電界強度や周波数は、応答
速度に影響を与えるPsなどと互いにトレードオフの関
係にあり、フレーム周波数、デユーティ比などの液晶素
子を液晶表示装置に適用する際の設計事項によって制約
を受けるためにこの面からの画期的な改善は難しかっ
た。
【0023】そこで本発明者等は、液晶材料の物性と、
プレティルト角α等の配向特性を含む素子構成の組合せ
をそれぞれ独立に操作して多くの検討を行なったとこ
ろ、プレティルトの方向性また、スメクティック相の層
構造の層の傾斜角を抑制することによって、安定してコ
ントラストが高いユニフォーム配向状態を得ることがで
き、一定の駆動期間におけるセル内での液晶の移動現象
も低減できることを見出した。
【0024】具体的には、液晶素子を構成する少なくと
も一方の基板において、前記配向制御層13a及び/又
は13bとして少なくともポリイミド前駆体の薄膜を形
成した基板を一軸配向処理、特にラビング処理し、その
後加熱焼成してポリイミド配向膜とすることで、配向膜
が有する一軸配向性をほぼ保ったまま、プレティルトに
関与する規制力を少なくともマクロには減少させ、液晶
の配向均一性を損なうことなく、プレティルトの方向性
によって定まる液晶の移動現象を低減したものである。
【0025】本発明の重要点は、駆動中の液晶分子の移
動方向及び移動量を決定する因子の一つである一軸配向
処理(ラビング)により生じるプレティルトを低減させ
ることによって、液晶の移動を抑制し、表示性能を長時
間駆動中に亙り維持しようとするものである。
【0026】ところが、液晶を均一に配向させようとす
ると、一軸配向処理(ラビング)は必須であり、プレテ
ィルトの発生も不可避である。
【0027】しかしながら、本発明者等のこれまでの検
討から、液晶セルにポリイミドの配向膜を用いる場合、
その前駆体であるポリアミック酸等の薄膜に一軸配向処
理を行ない、その後焼成してポリイミド配向膜としたセ
ルのプレティルトが、焼成後のポリイミド膜に一軸配向
処理したセルのプレティルトに比べ、半分以下の値とな
ることがわかった。また、その場合に得られる液晶の一
軸配向性は焼成後のポリイミド配向膜にラビングしたセ
ルの場合に比べてほとんど変わらないことがわかった。
【0028】これは、一軸配向処理(特にラビング)に
よって形成された配向膜上のマクロな溝や延伸の効果は
焼成後も保たれるが、ラビングの向き付け、プレティル
トを規定するようなミクロな表面構造は、加熱処理中に
緩和してしまうためと思われる。従って、一軸配向性を
保ったままプレティルトを低減できるため、液晶移動を
軽減するのに好適な手法であると考えられる。尚、前記
配向制御層において、ポリイミドのイミド化率は、用い
る液晶材料、他の部材の種類に応じて適宜設定される。
【0029】また本発明では、前記配向制御層13a及
び/又は13bに適用する一軸配向処理として、上述し
たラビング処理の他に斜方蒸着法等が挙げられる。
【0030】特に本発明は、正逆2方向から一軸配向処
理、特にラビング処理を行なうことが好ましい。具体的
には、1回目(正方向)のラビングと2回目(逆方向)
のラビングの効果が丁度打ち消しあう条件でラビングを
行なった場合、2回のラビングによる向き付け、即ちプ
レティルトの方向性が相殺しあって測定され平均的プレ
ティルト値が小さくなり、好ましくは2°以下、特に好
ましくはほぼ0となり液晶の移動が低減されるというも
のである。
【0031】より詳しくは、正逆2方向のラビングによ
り、正方向及び逆方向のラビング処理の方向に対し、液
晶分子がそれぞれ同数程度傾斜しており(プレティルト
を生じており)、平均的なプレティルト角の絶対値は実
質的に2°以下の小さな値、好ましくは0程度の値とな
り、プレティルトの方向性が実質的に打ち消されてい
る。こうして、プレティルトに関与する規制力を消失さ
せ、これに起因する液晶分子の移動を低減せしめる。
【0032】従って正逆2回のラビング強度比は適正な
条件となるように設定しなければならない。この正逆2
回のラビング強度比の適正範囲をラビングマージンと呼
び、製造上の観点からラビングマージンが広い方が良い
ことは言うまでもない。
【0033】また、正逆2方向のラビングをポリイミド
前駆体の薄膜に施し、その後加熱処理してポリイミド配
向膜とすることで、上述のラビングマージンを広げるこ
とができると考えられる。
【0034】 本発明による液晶素子では、特に表示素
子として輝度やコントラストを向上させる配向状態を維
持すべく、少なくとも2つの安定状態を有するカイラル
スメクティック液晶(特に強誘電性液晶)の配向状態で
あるツイスト状態及びユニフォーム状態のうち、後者を
取り得る構成である。
【0035】従って、液晶材料と配向処理によるスイッ
チング条件が、液晶の2状態間の広がり角の1/2で示
される見かけのティルト角θa と液晶の物性的なティル
ト角(コーン角)Θとの関係がΘ/2<θa ≦Θとなる
配向状態を実現するものである。
【0036】一方ユニフォーム配向状態を取り得る液晶
層の配向状態としては、一般に図3及び4で示すような
C1配向とC2配向とが知られている。
【0037】一般にスメクティック液晶は、層構造を有
するが、材料組成によっては、SmA相からSmC相或
いはSmC* 相に相転移すると、層間隔が縮小し、図3
に示すように基板11a及び11b間で液晶層210が
折れ曲がった構造(シェブロン構造)を取り得る。この
構造においては、液晶層の折れ曲がる方向が後述するよ
うに液晶分子のプレティルトの方向に対して相互に逆の
2方向であるような2つの液晶配向状態(C1配向、C
2配向)が発現する。
【0038】C1配向及びC2配向での基板近くの液晶
分子ディレクタはそれぞれ図4の(a)及び(b)のコ
ーン310上にある。良く知られているようにラビング
によって基板界面の液晶分子は、基板に対してプレティ
ルト(図4の基板200と液晶分子330のなす角度)
をなし、その方向は一軸配向処理方向、即ちラビング方
向(図4のA方向)に向かって液晶分子が頭をもたげる
(先端が浮いた格好になる)向きである。以上のことに
より液晶のティルト角Θ、プレティルト角α及び層傾斜
角δ(図4の基板法線320と液晶分子層210とのな
す角度)の間には、 C1の時 Θ+δ>α C2の時 Θ−δ>α の関係が満たされている。
【0039】ここで本発明では、前述したように素子の
少なくとも一方の基板側において、特定の配向制御層を
用いることで液晶分子のプレティルトを低減し、特に平
均的プレティルト角が実質的に0になることを考慮し
て、上記C1配向とC2配向の両方の配向状態を許容す
るように、液晶材料等との設定を行ない、C1及びC2
配向の効果を相殺し、平均的な液晶層(スメクティック
層)の傾斜角δを更に低減し、好ましくはスメクティッ
ク層を基板に対してほぼ垂直に配列させ、実質的に均一
な配向状態を得ることができる。特に好ましくは、Θ、
δ、αの関係として、Θ>α+δを満たすべく、素子構
成の因子(特に液晶材料)を設定し、また最も好ましく
はΘ/2>α+δを満たすべく因子を設定する。尚、Θ
>α+δとなる条件において、プレティルト角αは、例
えば正逆2方向のラビング処理を適用する場合をも考慮
し、平均的プレティルト角である。
【0040】 こうして本発明による液晶素子では、ス
メクティック液晶素子での傾斜角δが実質的に低減さ
れ、高輝度、高コントラストが得られる。
【0041】 以下、図に示す構造に沿って本発明によ
液晶素子の他の部材について説明する。
【0042】 本発明による液晶素子で用い得る液晶材
料(図1の例における液晶15)としては、少なくとも
2つの安定状態を示すカイラルスメクティック相を有す
る液晶、即ちカイラルスメクティックC相(SmC
*相)をはじめ、H相(SmH*相)、I相(SmI
*相)、K相(SmK*相)、G相(SmG*相)をとる
液晶材料であって、強誘電性又は反強誘電性を示す液晶
材料を用いる。具体的な材料としては、例えばメソゲン
基としてビフェニル系骨格、フェニルピリミジン系骨格
を有し、側鎖に多種に亙るハイドロカーボンハロゲン基
を有する液晶性化合物を主成分とし、少なくとも一種の
カイラルドーパントを含有した液晶組成物が挙げられ
る。また好ましくは、素子の使用環境下で層の傾斜角δ
が小さい材料であって、Θの大きい液晶材料が用いられ
る。例えば特定の構造のコレステリック(Ch)相が抑
制された材料が用いられる。
【0043】具体的には特開平1−193390号公
報、特開昭63−233932号等に開示されたナフタ
レン骨格を有する液晶性化合物、USP4,886,6
19やUSP5,082,587或いはWO93/22
396に記載の側鎖にパーフルオロ基を有する液晶性化
合物が挙げられる。
【0044】その他、基板11a,11bとしては、好
ましくは透明な基板を用い、例えばガラス、高分子材
料、石英、半導体、絶縁体材料を用いることができる。
透明電極12a,12bとしては、例えば酸化錫、酸化
インジウム、酸化インジウム錫(ITO)を用いること
ができる。
【0045】また、スペーサ14としては、アルミナ、
シリカ等の微粒子ビーズが用いられる。
【0046】基板11a,11bのそれぞれの背面に
は、偏光板16a,16bが設けられており、また透過
型である場合、一方の偏光板の背面には光源(不図示)
が設けられる。
【0047】尚、上述した構造の液晶素子では、基板1
1a,11bの一方のみに特定の配向制御層13a又は
13bを設け、他方の基板には非一軸性処理表面を有す
るもの、例えば対向する基板側と同種或いは異種の材料
の層であって、特に一軸配向処理を施さないものを用い
た非対称な構成とすることができる。こうして特にコレ
ステリック相をとらない液晶材料を用いた場合において
も、配向欠陥はなく均一な配向状態を得ることができ
る。
【0048】 上記構成になる本発明による液晶素子
は、例えば以下の手順によって形成される。即ち、基板
上に電極並びに他の機能を有する層を順次形成し、更に
上述したようにポリイミド前駆体の薄膜形成、一軸配向
処理、及び焼成といった手順でポリイミドからなる配向
制御層を形成した後、係る基板を少なくとも1個含む一
対の基板を一定間隔をおいて対向して貼り合わせて空状
態のセルを得る。続いてこのセルに対し、液晶(カイラ
ルスメクティック液晶)を例えば等方相の状態で注入
し、液晶素子を得る。
【0049】
【実施例】続いて、本発明を実施例によって更に詳細に
説明する。
【0050】本発明の実施例として、後述するような種
々の条件で液晶セルを形成し、下記液晶組成物Aを注入
して、平均的プレティルト角|αAV|及び所定条件での
駆動時における液晶分子の移動について評価した。
【0051】(使用した液晶組成物A) 相転移系列 Cry→SmC* →SmA→Iso 30℃の温度条件下でティルト角(Θ)25°以上 見かけのティルト角θa 20°以上 自発分極(Ps)20μC/cm2 スメクティック層の傾斜角(δ)6.5° カイラルスメクティック相(SmC* )を示す。
【0052】次に本発明に係るプレティルト角及び層の
傾斜角の測定法、及び液晶移動の測定法を記す。
【0053】(プレティルト角の測定法)液晶のプレテ
ィルト角は、Jpn.J.Appl.Phy.Vo.1
19(1980)No.10,short Notes
2013に記載されている方法(クリスタルローテーシ
ョン法)に従って求めた。尚、測定用のセルは上下界面
での液晶の傾きが平行且つ同一方向になるように2枚の
基板を貼り合わせて作製した。また、プレティルト角測
定用の液晶としては、チッソ社製強誘電性液晶CS−1
014をベースとした室温(10〜55℃)SmA液晶
を標準液晶として用いた。
【0054】(SmC* における層の傾斜角の測定法)
セル基板として約70μm厚の薄板ガラスを用い、本発
明のセル構成を作製し、本発明で用いたカイラルスメク
ティック液晶を用いて、通常のX線回折法によって測定
した。
【0055】(液晶移動の測定法)図5を参照して液晶
移動について詳述する。
【0056】図5(a)は液晶セルの上面を示し、
(b)は該セルに印加する信号を示している。
【0057】液晶移動を測定する基板を、下駄状に印刷
されたシール材53とラビング方向50が直交するよう
に貼り合わせ、液晶を注入しサンプルを作製する。そし
て、両側の開放端に液晶移動速度を見るためのマーカー
としてシリコンオイル54を垂らし、液晶分子軸がラビ
ング方向50に対して51又は51’となるように書き
込み波形を入力する。書き込み波形は、1/3バイア
ス、1/1000デユーティの52,52’で、書き込
みパルス電圧を20Vとし、閾値の1.2倍のパルス幅
で検討した。駆動により液晶が移動するとマーカーはセ
ル内に引き込まれ、液晶移動を観察できる。実験では5
時間後のマーカーの侵入距離から液晶移動速度を算出し
た。
【0058】[実施例1]本発明の第1の実施例とし
て、図2に示した液晶素子を形成した。本実施例で用い
たガラス基板の厚さは1.1mmであり、透明電極とし
て約700nmのITO膜を用いた。配向膜の形成には
スピンコート法を用いた。即ち、2700rpmの速度
で回転しているガラス基板にポリアミック酸溶液(東レ
社製:LP64のNMP/nBC=2/1の0.7重量
%溶液)を垂らし、そのまま20秒間回転させた。その
後、80℃で1時間乾燥させ、このポリアミック酸の膜
厚を測定したところ5nmであった。
【0059】本実施例においてラビングは、ナイロン布
をローラーに貼り付けたラビングローラーを用い、強度
RS=110で行なった。ここでラビング強度RSは、
RS=NM(2πrn/V−1)で定義され、Nはラビ
ング回数、Mはラビングローラーの基板への押し込み
量、rはラビングローラーの半径、nはラビングローラ
ーの回転数、Vは基板の送り速度である。
【0060】ポリアミック酸薄膜に対しラビング処理を
行なった基板を270℃で1時間加熱焼成し、ポリイミ
ド化した。
【0061】更に、ラビング処理を施したガラス基板上
にスペーサとして平均粒径1.5μmのシリカビーズを
散布し、それぞれのラビング処理軸が互いに平行で且つ
同一方向になるように2枚のガラス基板を貼り合わせて
セルAを作製した。
【0062】また更に、このセルに前述の混合液晶Aを
等方相下で真空注入してから0.5℃/minで室温ま
で徐冷することによって配向させた。
【0063】比較のために、ポリアミック酸薄膜を加熱
焼成してポリイミド化した後にラビングを行なう以外
は、全て同様に作製したセルBを用意した。
【0064】また、セルAの作製条件で作製したプレテ
ィルト測定用サンプルを用いクリスタルローテーション
法によりプレティルトを測定したところ、α=1.2°
程度であった。比較セルBの作製条件で作製したサンプ
ルでのプレティルトはα=2.6°であった。
【0065】セルAのサンプルの液晶移動速度を前述し
た方法により測定した結果、約1.0mm/Hであっ
た。また、比較セルBのサンプルの液晶移動速度は約1
0.0mm/Hであり、本実施例の液晶素子において
は、液晶移動速度が10分の1に抑えられていた。
【0066】[実施例2]先ずRS1=110の強度で
ラビングを行ない、次に逆方向に強度RS2を、RS2
=30、25、20、15、12、10、8、7、6、
5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1
と種々変えてラビング処理を行なう以外は、実施例1と
同様にしてラビング処理の異なる複数のセルC(セルC
1〜C18)を作製した。
【0067】また実施例1と同様に、焼成後にラビング
処理(上述したような強度の異なる正方向・逆方向のラ
ビング)を行なった複数のサンプルセルD(D1〜D1
8)を作製した。
【0068】セルCの作製条件で作製したプレティルト
と測定用サンプルを用いクリスタルローテーション法に
よりプレティルトを測定したところ、逆方向のラビング
強度RS2=2.5、3、3.5、4、4.5、5、
6、7、8、10、12、15、20で作製されたもの
(セルC15〜C3)はα≦1.0°、特にRS2=
3、3.5、4、4.5、5、6、7(セルC13〜C
8)で作製されたものはα≦0.5°の範囲に入ってい
た。またセルDの作製条件で作製したサンプルでのプレ
ティルトは、RS=4、4.5、5、6、7(セルD1
2〜D8)のものはα≦1.0°、RS2=5のものだ
けがα≦0.5°であった。
【0069】セルCの各サンプルの液晶移動速度を測定
した結果、5時間後にも液晶移動が観測されない条件の
ラビングマージンは、44≧RS1/RS2≧11(1
0≧RS2≦2.5)であった。
【0070】これに対し、セルDでは24.4≧RS1
/RS2≧18.3(6≧RS2≧4.5)であり、本
実施例によってラビングマージンが5倍以上に増加した
ことがわかった。
【0071】
【発明の効果】本発明の製造方法による液晶素子は、液
晶の移動による液晶層の厚みの変化が防止されると共
に、スイッチング特性が良好であり、高コントラストの
光バルブや表示素子としての使用が期待される。更に、
当該液晶素子は本発明の製造方法によれば、従来の技術
を用いて簡易に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶素子の構造の一例を示す断面
図である。
【図2】液晶分子の駆動中の移動現象を説明するための
模式図である。
【図3】C1配向及びC2配向を示す模式図である。
【図4】C1配向及びC2配向のそれぞれの状態におけ
る基板界面付近の液晶配向状態を示す模式図である。
【図5】本発明の実施例において用いた液晶分子の移動
を測定する方法の説明図である。
【符号の説明】
11a,11b 基板 12a,12b 透明電極 13a,13b 配向膜 14 スペーサ 15 液晶 16a,16b 偏光板 20 ラビング方向 21,21’ 平均分子軸方向 22 液晶移動方向 23 端部領域 50 ラビング方向 51,51’ 平均分子軸方向 53 シール材 54 マーカー 52,52’ 書き込み波形 200 基板 210 液晶層 310 コーン 320 基板法線 330 液晶分子
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−287230(JP,A) 特開 平4−355725(JP,A) 特開 平5−53117(JP,A) 特開 平6−43457(JP,A) 特開 平4−43325(JP,A) 特開 昭63−151926(JP,A) 特開 平2−137819(JP,A) 特開 平3−6531(JP,A) 特開 昭64−55527(JP,A) 特開 昭64−55528(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337 510 G02F 1/1337 525

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板の少なくとも一方の基板上
    に、ポリイミド前駆体の薄膜を形成し、該薄膜の表面を
    一軸配向処理した後、該薄膜を焼成することによって
    リイミド配向制御層を形成する工程と、 上記一対の基板を所定の間隔を隔てて対向させ液晶セル
    を形成する工程と、 上記液晶セルの基板間にカイラルスメクティック液晶を
    注入する工程と、を具備することを特徴とする液晶素子
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記一軸配向処理がラビング処理である
    請求項の液晶素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ラビング処理が、一軸方向とこれと
    ほぼ逆方向の正逆2方向でなされる請求項の液晶素子
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記カイラルスメクティック液晶におけ
    るティルト角Θ、プレティルト角α、スメクティック液
    晶層の基板法線に対する傾斜角δとした時、Θ>α+δ
    の関係が満たされるように構成部材を設定する請求項
    の液晶素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記カイラルスメクティック液晶におけ
    るティルト角Θ、プレティルト角α、スメクティック液
    晶層の基板法線に対する傾斜角δとした時、Θ/2>α
    +δの関係が満たされるように構成部材を設定する請求
    の液晶素子の製造方法。
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