JP3131419B2 - ポンプ吸込口のサクションコーン - Google Patents

ポンプ吸込口のサクションコーン

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JP3131419B2 JP11079607A JP7960799A JP3131419B2 JP 3131419 B2 JP3131419 B2 JP 3131419B2 JP 11079607 A JP11079607 A JP 11079607A JP 7960799 A JP7960799 A JP 7960799A JP 3131419 B2 JP3131419 B2 JP 3131419B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は排水ポンプ等のポン
プ吸込口のサクションコーンに関する。
【0002】
【従来の技術】排水ポンプ等の吸込水路では、ポンプ吸
込口で水平から垂直に流れが曲がるため、流速分布が不
均一になりやすい。このような不均一な流速分布で流体
がポンプ吸込口に流入すると、ポンプ吸込性能が低下す
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
点に鑑みてなされたもので、ポンプ吸込口における流速
分布を均一にすることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、吸込水路にポンプ吸込口と対向して設置
されるサクションコーンであって、上流側と対向する前
方部を楕円錐の一部で形成し後方部を円錐の一部で形成
することにより前方部を前方に突出させ、該前方部とそ
の反対側の後方部を非対称としたものである。
【0005】前記構成の本発明によると、前方部を前方
に突出させたので、後方に回り込む流体が増加する。こ
れにより、上流側の流速が低下し、下流側の流速が上昇
して、ポンプ吸込口における流速分布が均一になる。
【0006】本発明においては、前記前方部の楕円錐の
底辺の半径r1は、後方部の底辺の半径をr2とすると、
1.1r2から1.5r2の範囲であることが好ましい。
また、前記サクションコーンは、円錐角の大きい第1截
頭コーンと、該第1截頭コーンの上端に接合され、第1
截頭コーンよりも円錐角の小さい第2截頭コーンと、該
第2截頭コーンの上端に接合され、第2截頭コーンより
も円錐角の小さい第3截頭コーンとで構成することがで
きる。さらに、前記吸込水路は、水平方向に開口する取
水口と上方向に開口する接続口とを有する矩形断面の水
平な筒状の閉水路からなり、前記接続口がポンプ吸込口
と連通するように吸込水槽の底面に固定し、前記接続口
の内側周囲にベルマウスを設け、前記取水口の上縁を上
方に湾曲させたものとすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を添付
図面に従って説明する。
【0008】図1は、本発明のサクションコーン16を
備えた排水ポンプ1を示す。排水ポンプ1は、縦型のポ
ンプで、中小規模の排水ポンプ場の吸込水槽2に吸え付
けられている。この排水ポンプ1は、回転駆動可能なポ
ンプ軸3と、該ポンプ軸3の下端に取り付けられたイン
ペラ4と、ポンプ軸3を収容するバレル5と、該バレル
5の下端に取り付けられて内面にデフューザ6を備える
デフューザケーシング7と、該デフューザケーシング7
の下端にフランジ8を介して取り付けられテインペラ4
を包囲するインペラケーシング9とからなっている。な
お、インペラケーシング9の下端は、ポンプ吸込口10
となっているが、いわゆるベルマウス形状ではなく、ポ
ンプ吸込口10に向かって先細りのテーパ形になってい
る。
【0009】前記排水ポンプ1のポンプ吸込口10には
鋼鈑製の吸込水路11が取り付けられている。この吸込
水路11は、本体12と、接続管13とからなってい
る。
【0010】前記本体12は、一端が水平方向に開口
し、他端が閉塞された矩形断面の水平な筒体からなって
いる。開口端は取水口14となっている。本体12の上
面は取水口14に向かって上方に傾斜し、さらにその取
水口14の近傍で上方に湾曲している。また、図4に示
すように、本体12の両側壁の先端も外側に向かって湾
曲している。本体12の閉塞端側の上面には前記排水ポ
ンプ1のポンプ吸込口10とほぼ同径の接続口15が形
成されている。
【0011】前記本体12の底壁の内面には、接続口1
5と対向する位置にサクションコーン16が取り付けら
れるとともに、接続口15の内側周囲にベルマウス17
が取り付けられている。サクションコーン16は、第1
截頭コーン16aと、該第1截頭コーン16aの上端に
接合され、第1截頭コーン16aよりも円錐角の小さい
第2截頭コーン16bと、該第2截頭コーン16bの上
端に接合され、第1截頭コーン16bよりも円錐角の小
さい第3截頭コーン16cと、該第3截頭コーン16c
の上端に接合された短筒部16dと、該短筒部16dの
上端を蓋する蓋板16eとからなっている。ベルマウス
17は、半割りドーナツ形を有し、内径が前記接続口1
5と同径になっている。
【0012】前記サクションコーン16の第2截頭コー
ン16bは、上流側に面する前方部を前方に突出させる
ことにより、該前方部とその反対側の後方部が非対称に
なっている。すなわち、図5に示すように、第2截頭コ
ーン16bの前方部は、破線で示す楕円錐Aの一部で形
成され、後方部は1点鎖で示す円錐Bの一部で形成され
ている。前記前方部の楕円錐Aの底辺の長半径r1は、
後方部の円錐Bの底辺の半径をr2とすると、1.1r2
から1.5r2の範囲になっている。
【0013】前記サクションコーン16の各截頭コーン
の寸法は、排水ポンプ1の吐出口の径をDとすると、次
の通りである(図5参照)。 第1截頭コーン16aの底辺の径:d1=0.9〜1.5D 第1截頭コーン16aの高さ: h1=0.2〜0.3D 第2截頭コーン16bの高さ: h2=0.2〜0.3D 第3截頭コーン16cの高さ: h3=0.3〜0.6D 短筒部16dの径: d2=0.2〜0.35D サクションコーン16の全高: h=0.7〜1.5D 第2截頭コーン16bの後方部の円錐Bの底辺半径:r
2=0.3〜0.5D
【0014】前記本体12の底壁の両側縁には、図3と
図4に示すように、固定フランジ18が設けられ、これ
により本体12を吸込水槽2の底面に図示しないアンカ
ーボルトとナットで固定できるようになっている。本体
12の側壁には点検、作業用の開口部19が設けられ、
該開口部19は蓋20によって取り外し可能に蓋されて
いる。
【0015】前記接続管13は、前記排水ポンプ1のイ
ンペラケーシング9のフランジ8の外周面に嵌合するも
ので、その下端には取付フランジ21が設けられ、前記
本体12の接続口15の周りに設けた当板22にボルト
締めで固定できるようになっている。接続管13の内面
は、図2に示すように、前記インペラケーシング9のフ
ランジ8の外周面に形成した凹溝23に装着した弾性シ
ール部材であるOリング24と接触してシールされてい
る。
【0016】前記構成からなる吸込水路11は、排水ポ
ンプ1の付属品として、予めポンプ吸込口10に取り付
けて、あるいは取り外した状態で供給される。
【0017】前記吸込水路11を吸込水槽2の底面に予
め埋設された図示しないアンカーボルトとナットで固定
した後、排水ポンプ1を吸え付けてその下端のポンプ吸
込口10を吸込水路11の接続管13に嵌合する。これ
により、吸込水路11は、吸込水槽2の底面が地盤沈下
や隆起によって変動したとしても、その接続管13が排
水ポンプ1に対してポンプ軸方向にOリング24を介し
てスライドするので、排水ポンプ1の損傷が防止され
る。
【0018】このように吸込水路11を取り付けた排水
ポンプ1では、吸込水槽2内の水は取水口14から本体
12内部に進入し、サクションコーン16とベルマウス
17の間を通って接続口15から排水ポンプ1のポンプ
吸込口10に吸い込まれて排水される。吸込水路11は
ポンプ吸込口10に対して閉水路を形成するので、ポン
プ吸込口10から自由表面までの距離が長い。また、吸
込水路11の取水口14における流速がポンプ吸込口1
0における流速と比較してかなり遅い。よって、インペ
ラ4付近で発生した渦が逆流して自由表面に繋がること
がなく、空気吸込渦や水中渦の発生が抑制される。
【0019】前記サクションコーン16は、その第2截
頭コーン16bの前方部を前方に突出させたので、後方
に回り込む流体が増加する。これにより、上流側の流速
が低下し、下流側の流速が上昇して、ポンプ吸込口10
における流速分布が均一になる。よって、ポンプ吸込性
能が向上する。
【0020】図6と図7は、本発明のサクションコーン
16の効果を確認するために行った実験結果を示す。図
6(A)は本発明の楕円錐型サクションコーン16を用
いたときのポンプ吸込口10における流速分布(単位m
/s)、図6(B)は円錐型サクションコーンを用いた
ときのポンプ吸込口10における流速分布を示す。ま
た、図7は、本発明の楕円錐型サクションコーン16を
用いたときと円錐型サクションコーンを用いたときのポ
ンプ吸込口10における上流側と下流側における流速分
布を比較して示したものである。これらの図から明らか
なように、円錐型サクションコーンを用いたときのポン
プ吸込口10における流速分布は、上流側での高速領域
の範囲が広い。これは、上流側では、上向きの速度が大
きく、後方への水流の流れ込みが少ないことに起因して
いる。これに対し、本発明の楕円錐形サクションコーン
16を用いたときのポンプ吸込口10における流速分布
は、水流の後方への回り込みが増加し、上流側での高速
領域の範囲が減少し、速度分布の均一化が図られている
ことがわかる。
【0021】なお、前記実施形態では、吸込水路11の
断面は、矩形としたが、楕円形、長円形、または円形と
することができる。また、吸込水路11の材料は、鋼板
に限らず、FRP等の合成樹脂であってもよい。
【0022】なお、前記実施形態では、水平方向に開口
する取水口14から、上方向に開口してポンプ吸込口1
0と連通する接続口15に至る水平な筒状の閉水路から
なるコンパクトな鋼鈑製の吸込水路11にサクションコ
ーン16を設置したが、図8に示すように、吸込水槽2
に形成された閉水路からなる矩形断面の吸込水路25の
底に、前述した形状のサクションコーン16を設置する
ことができる。この場合のサクションコーン16は、金
属製でもコンクリート製でもよい。また、本発明にかか
るサクションコーン16は、前記実施形態におけるよう
な閉水路からなる吸込水路11,25だけでなく、開水
路からなる吸込水路にも設けることができる。
【0023】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、吸込水路にポンプ吸込口と対向して設置され
るサクションコーンであって、上流側と対向する前方部
を前方に突出させ、該前方部とその反対側の後方部を非
対称としたので、後方に回り込む流体が増加する結果、
上流側の流速が低下し、下流側の流速が上昇して、ポン
プ吸込口における流速分布が均一になり、ポンプの吸込
性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のサクションコーンをコンパクト型金
属製吸込水路に設置した排水ポンプの部分断面図。
【図2】 図1の接続管部分の部分拡大図。
【図3】 図1のI−I線断面図。
【図4】 吸込水路および水槽の平面図。
【図5】 サクションコーンの拡大平面図および側面
図。
【図6】 (A)は本発明の楕円錐型サクションコーン
を用いたときのポンプ吸込口における流速分布、図6
(B)は円錐型サクションコーンを用いたときのポンプ
吸込口における流速分布を示す図。
【図7】 本発明の楕円錐型サクションコーンを用いた
ときと円錐型サクションコーンを用いたときのポンプ吸
込口における上流側と下流側における流速分布を示すグ
ラフ。
【図8】 (A)は本発明のサクションコーンを吸込水
槽の吸込水路に設置した排水ポンプの部分断面図、
(B)は図8のII−II線断面図。
【符号の説明】
1 排水ポンプ 10 ポンプ吸込口 11 吸込水路 16 サクションコーン 16a 第1截頭コーン 16b 第2截頭コーン 16c 第3截頭コーン 25 吸込水路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−8399(JP,A) 特開 昭56−57000(JP,A) 特開 平6−159292(JP,A) 特開 平8−109893(JP,A) 特許2772406(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04D 29/66

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸込水路にポンプ吸込口と対向して設置
    されるサクションコーンであって、上流側と対向する前
    方部を楕円錐の一部で形成し後方部を円錐の一部で形成
    することにより前方部を前方に突出させ、該前方部とそ
    の反対側の後方部を非対称としたことを特徴とするポン
    プ吸込口のサクションコーン。
  2. 【請求項2】 前記前方部の楕円錐の底辺の半径r
    1は、後方部の底辺の半径をr2とすると、1.1r2
    ら1.5r2の範囲であることを特徴とする請求項1に
    記載のサクションコーン。
  3. 【請求項3】 前記サクションコーンが、第1截頭コー
    ンと、該第1截頭コーンの上端に接合され、第1截頭コ
    ーンよりも円錐角の小さい第2截頭コーンと、該第2截
    頭コーンの上端に接合され、第2截頭コーンよりも円錐
    角の小さい第3截頭コーンとからなることを特徴とする
    請求項1または2のいずれかに記載のポンプ吸込口のサ
    クションコーン。
  4. 【請求項4】 前記吸込水路が、水平方向に開口する取
    水口と上方向に開口する接続口とを有する矩形断面の水
    平な筒状の閉水路からなり、前記接続口がポンプ吸込口
    と連通するように吸込水槽の底面に固定し、前記接続口
    の内側周囲にベルマウスを設け、前記取水口の上縁を上
    方に湾曲させたものである請求項1から3のいずれかに
    記載のポンプ吸込口のサクションコーン。
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