JP3131050B2 - 製パン方法 - Google Patents
製パン方法Info
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Description
し、更に詳しくは中種の醗酵時間を延長しても品質の良
いパンを製造することができる改良された長時間中種法
に関する。
法が広く採用されている。この方法は使用小麦粉の50
%以上に酵母及び水を混合して中種を作り、27℃で3
〜5時間醗酵させたのちに残りの小麦粉と砂糖、食塩、
ミルク、油脂等の他の配合剤と残りの水を加えてパン生
地を作成し、更に数十分寝かせた後分割し、加温状態に
おいて膨張させたのち焼成するものであって、イースト
フードを中種に加える方法や生地に加える方法、或いは
中種と生地とに分割して加える方法もある。
は、生地段階で充分に水和し且つ軟化したグルテンに対
して強い混捏を加えるので直捏生地に比較して生地膜が
遙かに薄く引き延ばされており、内相触感の極めて柔ら
かい製品となる。従って中種法によって製造された食パ
ンは老化が遅く、保存性が高いという特長があり、卸売
ベーカリー等で大きな市場性を有している。
り、全工程で7〜8時間が必要となるから、一般的なパ
ン工場では中種を作るために深夜作業を行うのが普通で
あった。そこでこのような深夜作業を避けるために醗酵
時間を短縮した短時間中種法が提案されているが、この
方法で得られるパンは風味や食感の点で劣るために、あ
まり利用されていないのが実情である。
によって醗酵時間を更に延長する低温長時間中種法があ
る。この方法は小麦粉を全量の70%程度と少量の酵母
とを使用して捏ね上げて中種を作り、20〜22℃で8
〜10時間醗酵したのち残りの小麦粉や配合剤、水を加
えてパン生地を作成するものであって、醗酵時間が少々
変化しても製品の品質に大きな影響を与えないという利
点がある。しかし醗酵時間が長いために雑菌が繁殖し易
く、醗酵不足や過醗酵による風味の低下や膨張度の不足
などを避けるために特に厳しい温度管理が必要であるば
かりでなく、本捏ねに際して正常なパン生地を得るため
に正確な加温も必要であって、特別な設備や面倒な操作
が要求されるという問題があった。
おいて本発明は、中種を作るのに特別な温度調節設備を
必要とせず、雑菌繁殖の心配をせずに常温で長時間の安
定した醗酵を進めることができ、品質の優れたパン製品
を安定して製造することができる改良された製パン方法
を提供することを目的としたものである。
明は、上記目的を達成するために、小麦粉60〜85重
量部と、炭酸カルシウム0.01〜0.1重量部、グリ
セリン脂肪酸エステル0.1〜0.5重量部及び卵白
0.1〜0.5重量部から選ばれた少なくとも1種から
なる配合剤1重量部以下と、食塩1.5重量部以下、好
ましくは、0.3〜1重量部と、酵母0.5〜1.5重
量部とを少なくも添加し加水混捏して中種配合物を得、
これを常温で10〜24時間醗酵させたのち、残余の小
麦粉15〜40重量部と、食塩、砂糖、油脂、酵母等の
配合剤の所要量と、水の所要量とを追加して本捏ねを行
うことによりパン生地を得ることを特徴とする製パン方
法である。請求項2に記載された発明は、請求項1に記
載された発明において、中種配合物に脱脂粉乳1〜2重
量部を配合したことを特徴とするものである。
麦粉は、パンを製造するに通常用いられる小麦粉であっ
てよい。またその中種を製造するに用いる小麦粉の量
は、最終的にパン生地に使用される小麦粉全量の過半量
であり、好ましくは60〜85%である。
カルシウム、グリセリン脂肪酸エステル、及び卵白から
選ばれた少なくとも1種とが配合されている必要がある
が、これらの好ましい配合量は、小麦粉の全使用量10
0重量部に対して炭酸カルシウムが0.01〜0.1重
量部、グリセリン脂肪酸エステルが0.1〜0.5重量
部、また卵白が0.1〜0.5重量部である。これらの
配合剤のうちの少なくとも1種の配合量がその最低必要
量を満たしていればよく、いずれの配合量もそれらの最
低必要量以下であるときは中種の安定な醗酵が期待でき
ない。そして又これらの配合剤を併用したときは、配合
量が過剰となると醗酵が阻害されるばかりでなく風味が
損なわれるので、合計の配合量が1重量部以下とするこ
とが望ましい。
量の一部が添加されている必要があるが、その量は小麦
粉の全使用量100重量部に対して通常1.5重量部以
下、好ましくは0.3〜1重量部である。食塩の配合は
中種の安定な醗酵のために必要であるが、過剰な添加は
食味を損なうばかりでなく醗酵を阻害するから好ましく
ない。又中種が長時間安定な醗酵を継続するのに有効な
配合剤として脱脂粉乳があり、小麦粉の全使用量100
重量部に対して3重量部以下、特に1〜2重量部を配合
することが効果的である。しかしこれも過剰な添加は醗
酵を阻害する傾向があるから、その配合量は併用される
他の配合剤の配合量を勘案して適宜決定することが望ま
しい。
使用されるものでよいが、その中種への配合量は小麦粉
の全使用量に対する酵母の配合量の少なくとも一部、好
ましくは過半量であり、小麦粉の全使用量100重量部
に対して0.5〜1.5重量部程度を用いることが適正
な醗酵速度を維持するのに適当である。
うな特定の配合剤を併用して混捏して17〜25℃とな
った中種配合物を通常の醗酵条件、すなわち27〜28
℃を中心とする温度範囲を含む常温付近の温度条件下で
10〜24時間醗酵させて中種を得る。こうして得られ
た中種には、小麦粉の残余量と、食塩、砂糖、油脂、酵
母等の各種の配合剤を所要量に達するまでの残余量と、
水の所要量とを更に添加して常法に従って本捏を行うこ
とによりパン生地を得、パンを焼き上げるものである。
特定の配合剤を併用した中種配合物を通常の醗酵条件で
長時間醗酵させるものであるが、醗酵速度が抑制されて
いてアルコールや各種のアミノ酸等の生成が進み、雑菌
等の繁殖が有効に抑制される結果、醗酵時間が10時間
ないし24時間と広く変化した場合でも香りや味がよ
く、また柔らかく膨張して老化の少ない、品質の優れた
パンが得られる。
に詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら
限定されるものではない。なお以下に%又は部と表示す
るのは、特に指定しない限り重量基準である。 (第1実施例)パン用小麦粉(熊本製粉製、スペシャ
ル)70部、食塩0.5部、炭酸カルシウム0.03
部、グリセリンモノ脂肪酸エステル0.3部、卵白粉末
0.1部、脱脂粉乳(雪印乳業製)2部、パン酵母(協
和醗酵製、ダイヤイースト)1部及び水40部を配合し
て4分間捏ね上げて温度が20℃の中種配合物を得、こ
れを28℃の醗酵室に入れて17時間醗酵させ、温度2
8.5℃の本発明の方法による中種Aを得た。
砂糖7部、食塩1.5部、マーガリン(不二製油製、コ
ンボル200)7部、イーストフード(オリエンタル酵
母製、アンティー特C)0.1部、パン酵母1.5部及
び水24部を追加配合し7+6分間捏ね上げて本生地を
得、フロアタイム20分間、分割後のベンチタイム20
分間、更にホイロに45分間おいたのち200℃で35
分間焼成して、それぞれ食パンを製造した。なお、前記
と全く同じ配合の中種配合物を標準中種法と同じく28
℃で4時間醗酵させた中種に、前記と全く同じ配合及び
手順で本生地を作ったが、満足に膨張せず、食パンは得
られなかった。
材料を用いて、小麦粉70部、イーストフード0.1
部、パン酵母2部及び水40部を配合し4分間捏ね上げ
て温度が24.5℃の中種配合物を得、これを28℃の
醗酵室に入れて4時間醗酵させ、温度29.5℃の標準
中種法による中種Bを得た。次にこの中種に小麦粉30
部、砂糖7部、食塩2部、脱脂粉乳2部、マーガリン7
部及び水25部を追加配合し7+7分間捏ね上げて本生
地を得、以下第1実施例と全く同様にして食パンを製造
した。
て得られた食パンの評価結果を表1にまとめて示した。
但し圧縮硬度は、サンプルを厚さ30mmにスライスし、
径20mmの円形アダプタを用いて10mm圧縮したときの
荷重(g)で表示した。この結果をみると、本発明の方
法による長時間醗酵した中種によって品質の優れた食パ
ンが製造できることがわかる。
材料を用いて、小麦粉70部、食塩0.5部、炭酸カル
シウム0.03部、グリセリンモノ脂肪酸エステル0.
3部、卵白粉末0.1部、脱脂粉乳2部、パン酵母1部
及び水40部を配合し4分間捏ね上げて温度が20℃の
中種配合物を得、これを28℃の醗酵室に入れて17時
間醗酵させ、温度28.5℃の本発明の方法による中種
Cを得た。
部、食塩0.5部、マーガリン7部、全卵15部、イー
ストフード0.1部、パン酵母2部及び水8部を追加配
合し7+6分間捏ね上げて本生地を得、フロアタイム4
0分間、分割後のベンチタイム20分間、更にホイロに
45分間おいたのち200℃で12分間焼成して、菓子
パンを製造した。
材料を用いて、小麦粉70部、砂糖2部、イーストフー
ド0.1部、パン酵母3部及び水40部を配合し4分間
捏ね上げて温度が25℃の中種配合物を得、これを28
℃の醗酵室に入れて2.5時間醗酵させ、温度29.5
℃の標準中種法による中種Dを得た。次にこの中種に小
麦粉30部、砂糖20部、食塩1部、脱脂粉乳2部、マ
ーガリン7部、全卵15部及び水8部を追加配合し7+
7分間捏ね上げて本生地を得、以下第2実施例と全く同
様にして菓子パンを製造した。
て得られた菓子パンの評価結果を表2に示したが、本発
明の方法により長時間醗酵した中種を用いることによっ
て品質の優れた菓子パンが製造できることがわかる。
によって得た中種配合物をを28℃の醗酵室に入れて1
0時間醗酵させ、温度28.5℃の本発明の方法による
中種E10を得た。また同じく15時間、20時間及び2
5時間醗酵させて、それぞれ中種E15、E20及びE25を
得た。次にこれらの中種を用いて第1実施例と全く同様
にしてそれぞれ本生地を得、食パンを製造した。
材料を用いて、小麦粉70部、パン酵母1部及び水37
部を配合し4分間捏ね上げて温度が18℃の中種配合物
を得、これを20℃の醗酵室に入れて10時間醗酵さ
せ、温度19℃の低温長時間中種法による中種F10を得
た。また同じく15時間及び20時間醗酵させて、それ
ぞれ中種F15及びF20を得た。次にこれらの中種に小麦
粉30部、砂糖7部、食塩2部、脱脂粉乳2部、マーガ
リン7部及び水25部を追加配合し7+7分間捏ね上げ
て本生地を得、以下第3実施例と全く同様にしてそれぞ
れ食パンを製造した。
て得られた食パンの評価結果を表3にまとめて示した
が、本発明の方法において品質の優れた食パンを製造す
るのに要する中種の醗酵時間の許容幅は、従来の低温長
時間中種法に比べて大幅に広くなっていることがわか
る。
された醗酵速度を維持しながら常温で行うことができる
ので、特別な冷却醗酵装置を使用せずに長時間の醗酵を
実施することが可能となり、それとともにアルコールや
アミノ酸等が多く生成するので雑菌等の繁殖の恐れがな
く、醗酵時間が10〜24時間の範囲で変化しても風味
の優れた品質の良いパンを安定して製造することができ
る。そしてまた、作業時間の調整にあまり気を使うこと
なく中種の仕込み作業とパン生地の焼き上げ作業とを実
施することができ、従って深夜作業を廃止しても適時に
パンの製造ができるという利点がある。
Claims (2)
- 【請求項1】 小麦粉60〜85重量部と、炭酸カルシ
ウム0.01〜0.1重量部、グリセリン脂肪酸エステ
ル0.1〜0.5重量部及び卵白0.1〜0.5重量部
から選ばれた少なくとも1種からなる配合剤1重量部以
下と、食塩1.5重量部以下、好ましくは、0.3〜1
重量部と、酵母0.5〜1.5重量部とを少なくも添加
し加水混捏して中種配合物を得、これを常温で10〜2
4時間醗酵させたのち、残余の小麦粉15〜40重量部
と、食塩、砂糖、油脂、酵母等の配合剤の所要量と、水
の所要量とを追加して本捏ねを行うことによりパン生地
を得ることを特徴とする製パン方法。 - 【請求項2】 中種配合物に脱脂粉乳1〜2重量部を配
合したことを特徴とする請求項1記載の製パン方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04281431A JP3131050B2 (ja) | 1992-10-20 | 1992-10-20 | 製パン方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP04281431A JP3131050B2 (ja) | 1992-10-20 | 1992-10-20 | 製パン方法 |
Publications (2)
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JPH06125692A JPH06125692A (ja) | 1994-05-10 |
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Family Applications (1)
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JP04281431A Expired - Fee Related JP3131050B2 (ja) | 1992-10-20 | 1992-10-20 | 製パン方法 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (1)
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---|---|---|---|---|
CA2431626C (en) * | 2002-06-11 | 2009-12-22 | Kibun Food Chemifa Co., Ltd. | Agent for improving dough for bread and doughnuts |
-
1992
- 1992-10-20 JP JP04281431A patent/JP3131050B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH06125692A (ja) | 1994-05-10 |
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