JP3129168B2 - 車両用自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の変速制御装置

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JP3129168B2
JP3129168B2 JP28625295A JP28625295A JP3129168B2 JP 3129168 B2 JP3129168 B2 JP 3129168B2 JP 28625295 A JP28625295 A JP 28625295A JP 28625295 A JP28625295 A JP 28625295A JP 3129168 B2 JP3129168 B2 JP 3129168B2
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gear position
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滋樹 福島
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両用自動変速
機の変速制御装置に係り、詳しくはファジイ推論により
変速制御される自動変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】従来より、車両用の変速機とし
て、変速操作を自動化した自動変速機が多用されてい
る。この自動変速機は、小型車の場合にあっては、クラ
ッチに代えてトルクコンバータを採用したものが主流に
なっているが、一方、バスやトラック等の大型車にあっ
ては、駆動トルクの伝達量が大きいため、トルクコンバ
ータではその駆動トルクを充分に伝達するのが困難とな
っている。
【0003】そこで、手動変速機と同様の機械式の変速
機において、クラッチを自動的に断接するアクチュエー
タを設け、これによりクラッチペダルを排するようにし
た構成の自動変速機が大型車用に開発されている。通
常、このような機械式の自動変速機の変速制御装置で
は、車速とアクセル開度に応じて目標変速段を設定して
いる。しかしながら、この目標変速段にはドライバの意
思が充分に反映されていないことが多い。従って、この
場合には、ドライバの意に反した変速が行われてしまう
虞がある。
【0004】このようなことから、路面傾斜、車速、ア
クセル開度及びブレーキの作動状況等の情報に基づいて
ファジイ推論し、得られたファジイルールに応じて変速
マップの変速特性を切換える等し、これにより、ドライ
バの意思を反映して変速を行う構成の変速制御装置が特
開平1−255748号公報や特開平2−3738号公
報等に開示されている。
【0005】さらに、最近では、積載荷重と駆動トルク
とに基づいて車両の重量及び車両の勾配抵抗に相当する
車両の負荷度合いを求め、これをパラメータとして取り
入れてファジイ推論をより良好且つ容易に行い、これに
よりドライバの意思を充分に反映させるようにした機械
式の自動変速機の変速制御装置も開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両がコー
ナを走行する場合においてもファジイ推論を用いて自動
変速機を変速制御することが考えられている。この場
合、コーナを走行するという点にのみ着目し、アクセル
開度の変化に基づいて車両がコーナに入ったか或いはコ
ーナから抜けたかを推論し、これに応じた変速制御をす
ることが可能であるが、このアクセル開度の変化はドラ
イバによる人為的なアクセル操作に直結するものであ
り、必ずしも正確に車両がコーナに入ったか否か或いは
コーナから抜けたか否かをファジイ推論するパラメータ
とはなっていない。従って、ファジイ推論があまり正確
なものとはなっていない。
【0007】本発明は、上述した事情に基づきなされた
もので、その目的とするところは、ドライバの意思を反
映した良好なコーナ走行を実現可能な車両用自動変速機
の変速制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、車両の運転状態を検出する運
転状態検出手段と、予め設定された関係から目標変速段
を設定する目標変速段設定手段と、前運転状態検出手
段からの検出値をパラメータとしてファジイ推論を行
ファジイ推論手段と、該ファジイ推論手段からの出力値
と前記目標変速段設定手段により設定された目標変速段
とから最適変速段を設定する最適変速段設定手段とを備
え、該最適変速段設定手段により設定された最適変速段
となるよう変速段を制御する車両用自動変速機の変速制
御装置において、前記最適変速段設定手段は、前記ファ
ジイ推論により車両がコーナ手前であると推論され、前
記目標変速段設定手段により設定された目標変速段が現
在の変速段より高速段側であるとき、現在の変速段を最
適変速段として設定記憶し、前記ファジイ推論手段によ
り車両がコーナを脱出したと推論されたとき、前記目標
変速段設定手段により設定された目標変速段を最適変速
段として設定することを特徴としている。
【0009】従って、ファジイ推論により車両がコーナ
手前であると推論され、目標変速段が現在の変速段より
高速段側であるときには、現在の変速段が最適変速段と
して設定され記憶され、車両がコーナを脱出したと推論
されると、目標変速段が最適変速段として設定される。
これにより、車両がコーナに突入してからコーナを脱出
するまでの間確実に運転者の意思に反した変速が防止
され、良好なドライバビリティが得られる。
【0010】また、請求項2の発明では、前記ファジイ
推論手段は、前記最適変速段の記憶後、目標変速段と
在の変速段とが一致したとき車がコーナを脱出した
推論することを特徴としている。従って、車両がコーナ
を脱出したことが目標変速段と現変速段との比較により
容易に推論される。
【0011】また、請求項3の発明では、前記ファジイ
推論手段は、前記最適変速段の記憶後、前記運転状態検
出手段により検出されるエンジン負荷が所定値以上のと
き車がコーナを脱出したと推論することを特徴として
いる。従って、車両がコーナを脱出したことがエンジン
負荷(アクセル開度等)の大きさに基づいても容易に推
論される。
【0012】また、請求項4の発明では、前記ファジイ
推論手段は、前記最適変速段の記憶後、前記運転状態検
出手段により検出される車両の負荷情報である車両負荷
度が所定値以下のとき車がコーナを脱出したと推論す
ることを特徴としている。従って、車両がコーナを脱出
したことが車両の負荷情報である車両負荷度の大きさに
基づいても容易に推論される。
【0013】
【0014】
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の実施
の形態としての車両用自動変速機の変速制御装置につい
て説明する。図1には、その要部構成を示す模式的なブ
ロック図を、図2には、その全体構成を示す模式的な構
成図を示してある。先ず、図2を参照して本発明の変速
制御装置の全体構成について説明する。
【0016】この図2に示すように、本発明の変速制御
装置は、ディーゼルエンジン(以下、エンジンという)
11の回転駆動力をクラッチ15を有する歯車式変速機
(以下、変速機構という)17を用いて自動変速するシ
ステムである。ここに、変速機構17は、後退段の他に
前進7段の変速段を有しており、自動変速のみならず手
動変速も可能とされている。
【0017】エンジン11には、エンジン出力軸13の
1/2の回転速度で回転するポンプ入力軸19を備えた
燃料噴射ポンプ(以下、噴射ポンプという)21が設け
られており、この噴射ポンプ21のコントロールラック
23には電磁アクチュエータ25が連結されている。ま
た、コントロールラック23の位置を検出するためのラ
ック位置検出センサ123も設けられている。また、ポ
ンプ入力軸19には、エンジン11の出力軸13の回転
数信号を検出するためのエンジン回転センサ27が付設
されている。
【0018】エンジン11からは、エキゾーストマニホ
ールド12を介して排ガスを導く排気管12aが延びて
おり、この排気管12aには、エンジン補助ブレーキの
一つである排気ブレーキ装置119が介装されている。
クラッチ15には、クラッチ用アクチュエータとしての
エアシリンダ33が設けられている。このクラッチ15
は、フライホイール29に対してクラッチ板31を図示
しない周知の挟持手段により圧接させることで接続状態
となるものである。つまり、エアシリンダ33が非作動
状態から作動状態に移行すると、上記挟持手段が解除方
向に作動し、これにより、クラッチ15は接続状態から
遮断状態に変化する。
【0019】また、このクラッチ15には、遮断及び接
続の情報をクラッチストローク量により検出するクラッ
チストロークセンサ35が取付けられている。なお、こ
のクラッチストロークセンサ35に代えてクラッチタッ
チセンサ37を利用するようにしてもよい。変速機構1
7の入力軸39には、入力軸39の回転数を検出するク
ラッチ回転センサ41が付設されている。
【0020】ところで、上記エアシリンダ33には、エ
ア通路43が接続されており、エアシリンダ33は逆止
弁45を介してエア源としての一対のエアタンク47,
49に連結されている。エア通路43の途中には、作動
エアを供給すべくデューティ制御されて開閉手段として
の機能をなす電磁弁X1,X2と、エアシリンダ33内
を大気開放すべくデューティ制御される電磁弁Y1,Y
2とが設けられており、さらに上記電磁弁X1,X2の
上流側に位置して3方向電磁弁Wが設けられている。
【0021】なお、図示するように、上記電磁弁X1,
X2は、互いに並列接続されており、通常時は閉鎖状態
となっている。また、電磁弁Y1,Y2も互いに並列接
続されており、通常時は開放状態となっている。電磁弁
Wは、エアシリンダ33のオン時にはエアタンク47,
49とエア通路とを接続するように制御され、エアシリ
ンダ33のオフ時には、エア通路を大気開放するよう制
御される。
【0022】ここに、上記電磁弁X1,X2及び電磁弁
Y1,Y2は互いに交互に使用されるものであり、これ
により、各電磁弁X1,X2,Y1,Y2を長期間使用
可能である。また、電磁弁X1,X2のうちの一方の電
磁弁が故障した場合や、電磁弁Y1,Y2のうちの一方
の電磁弁が故障した場合には、他方の電磁弁が使用さ
れ、これにより、装置全体の信頼性が保持される。
【0023】なお、一対のエアタンク47,49のう
ち、エアタンク49は非常用のタンクであって、何らか
の理由によりメインエアタンク47のエアがなくなる
と、電磁弁55を開いて非常用エアタンク49からエア
の供給を行う。このため、各エアタンク47,49に
は、内部エア圧が規定値以下になるとオン信号を出力す
るエアセンサ57,59が取付けられている。
【0024】また、エアタンク47には、エア通路43
とは異なった通路であって、下流側で2系統に分岐する
エア通路が接続され、このエア通路の先端は、一対の電
磁弁MVQ111,111を介して制動系(エアオーバ
ハイドロリック式)内の一対のエアマスタ109,10
9に接続されている。これらのエアマスタ109,10
9には、強ブレーキ踏力センサ(BPSセンサ)106
が取付けられている。このBPSセンサ106は、設定
値を上回る強い制動力を必要とする場合のエア圧に相当
する強ブレーキ踏力情報を受けた際にオン作動するダイ
アフラム式の開閉スイッチとして構成されている。
【0025】チェンジレバー61は、変速機構17のセ
レクトレバーであって、図3に示すように、セレクト方
向及びこのセレクト方向と直交する方向に移動すること
ができ、さらに、この直交する方向に移動した位置から
上記セレクト方向と平行なシフト方向に移動することが
できる。これら各方向でのセレクトパターン及びシフト
パターンは、セレクト方向にあっては、N(ニュートラ
ル)レンジとR(リバース)レンジと自動変速モードに
相当するD(ドライブ)レンジとが設定されており、シ
フト方向にあっては、上記D(ドライブ)レンジから上
記直交する方向にチェンジレバー61が動かされた位置
に設定され手動変速モードに相当するM(マニュアル)
レンジを挟んでUP(シフトアップ)ポジションとDO
WN(シフトダウン)ポジションとを有するI型シフト
パターンが設定されている。
【0026】このようなセレクトパターン及びシフトパ
ターンにおいて、Nレンジ、Rレンジ及びDレンジに位
置したチェンジレバー61は、その位置への操作後にド
ライバの手が離れた場合でもその位置に保持されて停止
する一方、Mレンジが選択された後、UPポジション或
いはDOWNポジションにシフト操作された場合には、
操作後、ドライバの手が離れると、Mレンジに向け自動
的に復動しその位置(図20中にHOLDで示す)で保
持される。チェンジレバー61の各レンジ及びポジショ
ンの検出は、変速段選択スイッチ63によって行われ、
これによりギヤシフトユニット65が操作され、変速機
構17内のギヤがセレクトレンジ及びシフトポジション
に応じて切換えられる。
【0027】ギヤシフトユニット65は、変速制御手段
としてのコントロールユニット71からの作動信号によ
り作動する複数個の電磁弁(図2では1つのみ示した)
73と、変速機構17内のセレクトフォーク及びシフト
フォーク(共に図示せず)を作動させる一対のパワーシ
リンダ(図示せず)とを有している。このパワーシリン
ダは、上記電磁弁73を介して前述のエアタンク47,
49から高圧作動エアが供給されると作動する。つま
り、上記電磁弁73に与えられる作動信号により、各パ
ワーシリンダが操作され、セレクト、シフトの順で歯車
式変速機構17の噛み合い状態が変更される。
【0028】さらに、ギヤシフトユニット65には、各
変速段を検出するギヤ位置センサとしてのギヤ位置スイ
ッチ75が付設され、このギヤ位置スイッチ75からの
ギヤ位置信号がコントロールユニット71に出力され
る。また、変速機構17の出力軸77には、車速信号を
検出する車速センサ79が付設され、さらに、アクセル
ペダル81には、エンジン負荷情報としてその踏込み量
(アクセル開度VA)を検出するアクセル開度センサ
運転状態検出手段)85が備えられている。このアク
セル開度センサ85は、アクセルペダル81の踏込み量
に応じた抵抗変化を電圧値(VA)として検出し、これ
をA/D変換器83でデジタル信号化して出力するもの
である。図4には、アクセル開度と電圧値(VA)との
関係を示すマップを示してあり、アクセル開度VAはこ
のマップに基づいて設定されている。
【0029】ブレーキペダル69には、これが踏込まれ
たときにハイレベルのブレーキ信号を出力するブレーキ
センサ87が取付けられており、エンジン11には、フ
ライホイール29の外周のリングギヤに適時噛み合って
エンジン11をスタートさせるスタータ89が取付けら
れている。スタータ89にはスタータリレー91が設け
られており、このスタータリレー91はコントロールユ
ニット71に接続されている。
【0030】なお、図中符号120,121は、それぞ
れエンジン補助ブレーキである排気ブレーキ装置11
9、エンジンブレーキ補助装置、即ち圧縮開放型エンジ
ン補助ブレーキ装置(図示せず)を作動待機状態と作動
しない状態とに切換えるための排気ブレーキオンオフス
イッチ及びエンジンブレーキ補助装置オンオフスイッチ
であり、これらは運転席近傍に配設されている。
【0031】図2中符号93は、コントロールユニット
71とは別に設けられたエンジンコントロールユニット
を示しており、噴射ポンプ21内の電子ガバナ25に対
して各センサからの情報や、コントロールユニット71
からのアクセル開度情報VA等に応じエンジン11の駆
動制御を行うものである。即ち、エンジンコントロール
ユニット93からの指令信号を受けた電子ガバナ25で
は、コントロールラック23が作動して燃料の増減操作
が実施され、エンジン11の出力軸13の回転数の増減
が制御される。
【0032】コントロールユニット71は、マイクロコ
ンピュータ(以下、CPUという)95、メモリ97及
び入力出力信号処理回路としてのインタフェイス99と
で構成されている。インターフェイス99のインプット
ポート(入力インタフェイス)101には、上述の変速
段選択スイッチ63、ブレーキセンサ87、アクセルセ
ンサ85、エンジン回転センサ27、クラッチ回転セン
サ41、ギヤ位置スイッチ75、車速センサ79、クラ
ッチストロークセンサ35、クラッチタッチセンサ37
(クラッチ15の断接情報をクラッチストローク35に
代えて出力するときに用いる)、エアセンサ57,5
9、強ブレーキ踏力情報を出力するBRSセンサ10
6、排気ブレーキオンオフスイッチ120、エンジンブ
レーキ補助装置オンオフスイッチ121及びラック位置
検出センサ123や、後述する坂道発進スイッチ103
及び1速発進スイッチ(以下、FSSという)105が
それぞれ接続され、これら各センサから検出情報がコン
トロールユニット71に入力される。
【0033】坂道発進スイッチ103は、上り坂での車
両の発進時に後退を防止するシステム(以下、AUSと
いう)を作動させるためのものである。このAUSは、
複数のホイールブレーキ107,107のエアマスタ1
09,109に対するエアの供給を一対の電磁弁MVQ
111,111を介して制御しながら車両を発進させる
ようなシステムである。
【0034】一方、アウトプットポート(出力インタフ
ェース)113には、上述のエンジンコントロールユニ
ット93、スタータリレー91、電磁弁X1,X2,Y
1,Y2,W及び電磁弁55,73,111がそれぞれ接
続されている。なお、図中の符号115は、エアタンク
47,49のエア圧が設定値に達していない場合にエア
センサ57,59からの検出信号を受けて点灯するエア
ウォーニングランプ、符号117は、クラッチ15の磨
耗量が規定値を越えた場合に検出信号を受けて点灯する
クラッチウォーニングランプ、符号116は、ブレーキ
ペダル69の踏込みによりオンするストップランプスイ
ッチを示している。
【0035】ところで、メモリ97は、図示しないフロ
ーチャートをプログラムやデータとして書き込んだ読み
出し専用のROMと書き込み可能なRAMとで構成され
ている。ROMには、制御プログラムの他に、アクセル
開度情報VAに対応した電磁弁X1,X2,Y1,Y2のデ
ューティ率が予めマップとして記憶されており、CPU
95が適宜このマップより適正値を読み出している。
【0036】上述した変速段選択スイッチ63は、変速
信号としてのセレクト信号及びシフト信号を出力する
が、ROMには、この両信号の一対の組合せに対応した
変速段位置が予めデータマップとして記憶されている。
従って、コントロールユニット71がセレクト信号及び
シフト信号を受けると、CPU95はこのマップより出
力信号を算出し、さらにこの出力をギヤシフトユニット
65の各電磁弁73に与え、変速信号に対応した目標変
速段にギヤを合わせる。ギヤ位置スイッチ75からのギ
ヤ位置信号は、変速完了によって出力され、これによ
り、セレクト信号及びシフト信号に対応した各ギヤ位置
信号が全て出力されたか否かが判断される。つまり、こ
のギヤ位置信号は、噛み合いが正常か否かの信号を発す
るのに用いられる。
【0037】また、ROMには、Dレンジでの目標変速
段が存在するとき、車速V、アクセル開度VA及びエン
ジン回転数Neの各値に基づき、最適変速段を決定する
ためのシフトマップも記憶されている。シフトマップと
しては、ブレーキセンサ87及び排気ブレーキオンオフ
スイッチ120からのフットブレーキ信号及び排気ブレ
ーキ信号のオンオフ状況に応じ、選択マップとして表1
に示すように#1,#2,#3の3種類が設定されてい
る。このように3種類設定されているのは、下り坂での
走行フィーリングを向上させるためである。
【0038】
【表1】 また、通常、バスやトラックは積載状況や運転状況等に
応じて必要とする駆動トルクが変化することから、RO
Mには、この積載状況(例えば、後述の車両負荷度αV
L)や運転状況等に応じて自動的或いはドライバの意思
に基づいて切換えられるシフトマップも記憶されてい
る。この積載状況や運転状況等に応じたシフトマップに
は、例えば、燃費重視のエコノミモード、通常モード、
加速重視のパワーモードの3種類があり、これらは、そ
れぞれ上記の#1,#2,#3の各シフトマップ毎に設
けられている。つまり、ROMには、例えば、車速Vと
アクセル開度VAとの関係においていえば、合計9種類
のシフトマップが記憶されている。図5乃至図13に
は、これら9種類のシフトマップを示してあり、図5乃
至図7は、エコノミモードでの#1,#2,#3の各シ
フトマップを示し、図8乃至図10は、通常モードでの
#1,#2,#3の各シフトマップを示し、図11乃至
図13は、パワーモードでの#1,#2,#3の各シフ
トマップを示してある。即ち、CPU95は、これらの
シフトマップ群から状況に応じたシフトマップを適宜選
択することになる。なお、これらのシフトマップでは、
シフトアップの変速特性を実線で示し、シフトダウンの
変速特性を破線で示してある。
【0039】ところで、上述の自動変速機の基本的な動
作は公知でありここではその詳細な説明を省略するが、
この自動変速機は、例えば、実開平2−49663号公
報において開示されたものと同様に作動するものであ
る。次に、本発明の要部としてのコントロールユニット
71における制御内容について説明する。
【0040】図1に示すように、この自動変速装置のコ
ントロールユニット71には、上記シフトマップ群から
適合するシフトマップを選択し、車速センサ79からの
車速情報V及びアクセル開度センサ89からのアクセル
開度情報VAに基づきこの選択されたマップから目標変
速段を設定する目標変速段設定手段3と、ドライバの意
思を反映させて目標変速段を補正しうる最適変速段決定
手段(最適変速段設定手段)1とが設けられている。
【0041】ここで、最適変速段決定手段1は、ファジ
イ理論を用いてドライバの意思や車両の走行状態を判定
し、目標変速段設定手段3で設定された目標変速段を補
正しうるファジイ式最適変速段決定手段(ファジイ推論
手段)として構成されている。また、目標変速段設定手
段3は、通常の自動変速機に広く用いられるものであっ
て、この目標変速段設定手段3に上記図5乃至図13の
シフトマップ群が記憶されている。従って、目標変速段
設定手段3はマップ形式の記憶手段として構成されてい
る。
【0042】ファジイ式最適変速段決定手段1では、車
両負荷情報を有する車両情報をパラメータとして後述の
ファジイルールに適用することになるが、この車両負荷
情報としては、車両が空車状態で直線平坦路を加速した
場合の加速度α0と、車両が実際に加速したときの実加
速度αとの差(=車両負荷度αVL)をパラメータとして
用いる。
【0043】このため、コントロールユニット71に
は、図1に示すように、上記車両負荷度αVLを算出する
ための車両負荷度算出手段(運転状態検出手段)2が設
けられている。車両負荷度算出手段2は、エンジントル
ク算出手段4と、駆動力算出手段5と空気抵抗算出手段
6と、直線平坦路空車相当加速度算出手段7と、減算手
段8とを備えて構成されており、このうちエンジントル
ク算出手段4は、ラック位置検出センサ123から供給
されるコントロールラック23の位置情報SRCとエン
ジン回転数情報NeとからエンジントルクTeを算出する
ものであって、目標変速段設定手段3と同様にマップ形
式の記憶手段として構成されている。
【0044】ここに、エンジントルクTeの算出にコン
トロールラック23の位置情報SRCを使用するのであ
るが、実際のラック位置と電圧値である位置情報SRC
とは、図14に示すような関係を有している。また、こ
の位置情報SRCを使用するにあたり、ノイズ除去を目
的としたフィルタ処理が行われている。詳しくは、フィ
ルタとしては図15に示すような公知のローパスフィル
タ(バターワース型一次デジタルフィルタ)が使用され
る。このローパスフィルタにおいて、処理係数a及びb
はそれぞれ次式で示される。
【0045】a=ωc/(ωc+2) b=(ωc−2)/(ωc+2) ここに、ωcはカットオフ周波数であり、例えば0.0
628rad/secである。図16には、図15のローパス
フィルタ処理ルーチンのフローチャートを示してある
が、同図に基づきフィルタ処理を簡単に説明する。
【0046】ステップF10では、処理変数buffer1及
びbuffer2に初期値0を設定する。そして、ステップF
12で、上式に基づき処理係数a及びbを計算し、ステ
ップF14にて一旦処理変数buffer2を処理変数buffer1
とする。ステップF16では、上記のように求めた処理
変数buffer2に基づき次式から処理変数buffer1を設定す
る。
【0047】buffer1=buffer2・(−b)+(入力値) そして、ステップF18において、最終的な出力値、即
ちSRCを次式から求める。 (出力値)=SRC=(buffer1+buffer2)・a このようにして、電圧値である位置情報SRCがフィル
タ処理されるが、ステップF14、F16、F18の処
理は、ステップF20での判別結果が真(Yes)で入
力値が存在する限り継続される。
【0048】また、エンジン回転数情報Neについても
同様のフィルタ処理がなされる。このようにフィルタ処
理した位置情報SRCとエンジン回転数情報Neとから
エンジントルクTeが予め設定されたマップ(図示せ
ず)に基づき求められるが、エンジントルクTeは、排
気ブレーキや圧縮開放型エンジン補助ブレーキの使用に
よって異なるため、排気ブレーキや圧縮開放型エンジン
補助ブレーキを使用している状況では、この状況に応じ
別途設定されたマップ(図示せず)が使用される。
【0049】また、上記各マップから求めた値は、一次
遅れ処理される。この一次遅れ処理には、上記図15及
び図16に示したローパスフィルタ及び処理ルーチンが
適用され、このとき、処理係数a及びbは、排気ブレー
キ(EXB)や圧縮開放型エンジン補助ブレーキ(P
T)の使用状況に応じて表2のように設定されている。
【0050】
【表2】 ここに、Tは演算周期を示し、τA,τB,τCは、それ
ぞれ排気ブレーキ(EXB)や圧縮開放型エンジン補助
ブレーキ(PT)の使用状況毎に予め設定された時定数
である。
【0051】但し、この場合、排気ブレーキ(EXB)
や圧縮開放型エンジン補助ブレーキ(PT)の使用状況
の切換わり時点においては、図16に示した処理ルーチ
ンのステップF10の処理変数buffer1及びbuffer2の初
期値を上記処理係数a,bを用いて次式により算出す
る。 buffer1=y/a−buffer2 buffer2=(y/a−x)/(1−b) ここに、xは切換え直前の入力値であり、yは切換え直
前の出力値である。
【0052】また、駆動力算出手段5は、上記エンジン
トルク算出手段4で求められたエンジントルク情報Te
に基づいて車両の駆動力Fを算出するものであり、駆動
力Fの算出は、例えば下式により行われる。 F=(Te・it・if・η)/R ここに、itは変速段のギヤ比、ifは終減速ギヤ比(デ
ファレンシャルギヤ比)、ηは動力伝達効率、Rはタイ
ヤ動半径である。
【0053】また、空気抵抗算出手段6は、実車速情報
Vから車両の走行抵抗としての空気抵抗Rlを算出する
ものであって、下式により算出するようになっている。 Rl=λ・A・V2 但し、λは空気抵抗係数、Aは車両の前面投影面積、V
は実車速である。次に、直線平坦路空車相当加速度算出
手段7(以下、加速度算出手段という)7について説明
すると、この加速度算出手段7は、上述の駆動力算出手
段5で算出された駆動力情報Fと空気抵抗算出手段6で
算出された空気抵抗係数情報Rlとから、車両が空車状
態で直線平坦路を加速した場合の上記加速度α0、つま
り直線平坦路空車相当加速度を算出するのである。この
直線平坦路空車相当加速度α0は車両の駆動力Fを用い
て下式により算出される。
【0054】 α0=g・{F−(μW0+Rl)}/(W0+Wr) 但し、gは重力加速度、μは路面摩擦係数、W0は空車
重量、Wrは回転部重量である。そして、減算手段8で
は、加速度算出手段7で算出された直線平坦路空車相当
加速度情報α0と車速センサ79からの実加速度情報α
とに基づいて車両負荷度情報αVLを下式により算出す
る。この車両負荷度情報αVLは、車両の重量及び車両の
勾配抵抗に相当するものである。なお、実加速度情報α
は過去数回の実加速度の平均値である。
【0055】αVL=α0−α 即ち、αVL>0であれば車両負荷が重く、αVL<0であ
れば車両負荷が軽いということができる。そして、この
αVLの値の大きさから、どの程度車両負荷が重い(或い
は軽い)のかを判定する。ここで、図17乃至図19は
いずれも車両負荷度αVLをシュミレーションして算出し
た例であって、横軸は車両総重量gvw(グロスビーク
ルウェイト)、縦軸は車両負荷度αVLである。図17
は、平坦路、図18は10%勾配の登坂路、図19は1
0%勾配の降坂路における車両負荷度αVLの算出例であ
り、車両重量以外は車両の条件を一定にして算出したも
のである。
【0056】このようにして、車両負荷度算出手段2で
車両負荷度αVLが算出されると、ファジイ式最適変速段
決定手段1では、この車両負荷度αVLに加えて、アクセ
ル開度情報VA、アクセル開度変化情報ΔVA、車速情
報V、ブレーキ情報及び現在の変速段情報の各情報を取
り込んで、目標変速段設定手段3で設定された目標変速
段に対して補正を行う。なお、このブレーキ情報として
は、ブレーキセンサ87からから入力されるフットブレ
ーキの作動情報以外に、排気ブレーキや圧縮開放型エン
ジン補助ブレーキ等の作動情報も入力され、最適変速段
決定手段1では、これらの情報も加味して補正を行う。
【0057】つまり、最適変速段決定手段1では、各情
報を所定のファジイルールからファジイ推論により目標
変速段の補正を行う。図20乃至図22は、運転情報の
パラメータとして最適変速段決定手段1に入力される各
情報αVL、VA、ΔVAのメンバシップ関数である。こ
のうち、図20は車両負荷度αVLのメンバシップ関数で
ある。ここに、車両負荷度αVLのα1,α2,α3,α4,
α5,α6は予め設定されたものであり、これらの値は前
進7段ある変速段毎にそれぞれ異なる値をとっている。
つまり、各変速段は、車両負荷度αVLに関しそれぞれ固
有のメンバシップ関数を有している。
【0058】図23はドライバの意思を反映して変速段
を補正するためのメンバシップ関数である。なお、車速
情報Vのメンバシップ関数については省略する。この最
適変速段決定手段1では、min−max合成重心法を
用いたファジイ推論法により目標変速段の補正が行われ
る。ここで、min−max合成重心法について図24
(a)〜(c)を用いて順を追って簡単に説明する。
【0059】1)先ず、ファジイルール前件部の入力値
に対するメンバシップ関数の適合度を全てのファジイル
ールについて求める。例えば、ある時間tにおける各セ
ンサからの出力をa1(t),a2(t),・・・とする
と、図24(a),(b)に示すように、各ファジイル
ールR1,R2,・・・において、各メンバシップ関数か
らa1(t)及びa2(t)に対するメンバシップグレー
ド(適合度)A1,A2を求める。
【0060】2)次に、各ルール毎に適合度の最小値m
inを求める。即ち、図24(a)のファジイルールR
1の前件部においては、a1(t)に対する適合度A1の
方がa2(t)に対する適合度A2よりも小さく、従っ
て、ファジイルールのパラメータがa1(t),a2
(t)の2つのみの場合には、A1が最小値minとな
る。同様に、図24(b)に示すように、ファジイルー
ルR2では、a2(t)に対する適合度A2が最小値mi
nとなる。
【0061】3)上記最小値minで後件部のメンバシ
ップ関数を規定する。そして、後件部のメンバシップ関
数の適合度のうち、上記2)で求めた最小値min以上
となる部分をカットし、後件部のメンバシップ関数を規
定する。これも、図24(a),(b)に示すように、
各ファジイルールR1,R2,・・・毎に行う。
【0062】4)各ファジイルールで得られたグラフを
重ね合わせmax図形を求める。ここでは、図24
(c)に示すように、上記の3)で得られたグラフ(図
形)を重ね合わせて、メンバシップ関数の最大値を求め
る。 5)上記4)における図形の重心位置を求める。そし
て、図24(c)で示すメンバシップ関数の図形重心C
1を求めることにより、各ファジイルールR1,R2,・
・・での適合度に応じた重みづけを行うことができる。
そして、後件部のメンバシップ関数において、この出力
C1に対応する適合度からドライバの意思を判定するの
である。
【0063】なお、上述の図24(a)〜(c)に示す
メンバシップ関数は、min−max合成重心法を説明
するためのものであり、図20乃至図23に示す本実施
例のメンバシップ関数と必ずしも一致するものではな
い。ところで、図25に示すように、ファジイルールと
しては、R1〜R15の15通りのルールが設定されてい
る。このうち、R1〜R10の各ルールでは、図5乃至図
13に示す変速マップから求められる目標変速段(即
ち、通常の目標変速段設定手段3で設定される変速段)
と現在の変速段が異なっていても、最適変速段決定手段
1では、ドライバに変速する意思があまりないものと推
定して、現在の変速段を保持するように補正信号を出力
する。
【0064】以下、R1〜R10の各ファジイルールにつ
いて説明すると、第1のファジイルールR1では、車両
負荷度αVL>0でその絶対値が中くらい、且つアクセル
開度VAが大であって、且つ目標変速段が現在の変速段
よりも大で目標変速段設定手段3のシフトマップ(例え
ば、上述の#1の選択マップ)に基づいてシフトアップ
が指示されているときは、最適変速段決定手段1では、
車両が登坂路を走行中であるか、または積載状態で走行
中であると推定する。そして、この場合は、目標変速段
設定手段3においてシフトアップが指示されたとして
も、最適変速段決定手段1ではドライバにシフトアップ
の意思がないと推定して、ギヤ変速段を現在の状態に保
持するように目標変速段設定手段3からの変速指令信号
を補正する。これにより、変速段のシフトアップが抑制
されて、現在の変速段(最適変速段)に保持される。
【0065】また、第2のファジイルールR2では、車
両負荷度αVL>0でその絶対値が中くらい、且つアクセ
ル開度VAが中くらい、且つ目標変速段設定手段3のシ
フトマップ(例えば、#1)に基づいてシフトアップが
指示されているときは、上記の第1のファジイルールR
1と同様に、最適変速段決定手段1において車両が登坂
路を走行中、または積載状態で走行中であると推定する
が、この場合も最適変速段決定手段1ではドライバにシ
フトアップの意思がないと推定して、ギヤ変速段を最適
変速段としての現在の状態に保持するのである。
【0066】このように、第1、第2のファジイルール
R1,R2では、登坂路の走行時や積載状態で走行時にお
いて、不必要なシフトアップが抑制されドライバビリテ
ィが向上する。第3のファジイルールR3では、車両負
荷度αVL<0でその絶対値が小、且つアクセル開度VA
が小、且つ目標変速段設定手段3のシフトマップ(例え
ば、#1)に基づいてシフトアップが指示されていると
きは、最適変速段決定手段1では車両が降坂路を走行中
であると推定する。そして、この場合もドライバにシフ
トアップの意思がないと推定して、目標変速段設定手段
3からの変速指令信号を補正し、ギヤ変速段を現在の状
態に保持する。
【0067】第4のファジイルールR4では、車両負荷
度αVL<0その絶対値が中くらい、且つアクセル開度V
Aが小、且つ目標変速段設定手段3のシフトマップ(例
えば、#1)に基づいてシフトアップが指示されている
ときは、上述の第3のファジイルールR3と同様、最適
変速段決定手段1では車両が降坂路を走行中であると推
定する。そして、上述と同様に目標変速段設定手段3か
らの変速指令信号を補正し、ギヤ変速段を現在の状態に
保持する。
【0068】このように、第3、第4のファジイルール
R3,R4では、降坂路の走行時において不必要なシフト
アップが抑制されることになり、これにより有効なエン
ジンブレーキを得ることができることになる。従って、
車両の安全性が向上するとともに、ドライバビリティが
向上するのである。次に、第5のファジイルールR5に
ついて説明すると、この第5のファジイルールR5で
は、アクセル開度VAが小であって、且つ車速Vが低
く、且つ目標変速段設定手段3のシフトマップ(例え
ば、#1)に基づいてシフトアップが指示されていると
きは、最適変速段決定手段1では車両が渋滞路を走行中
であると推定する。この場合、最適変速段決定手段1で
はドライバにシフトアップの意思がないと推定して、ギ
ヤ変速段を現在の状態に保持するべく目標変速段設定手
段3からの変速指令信号を補正する。これにより、変速
段のシフトアップが抑制されて、最適変速段としての現
在の変速段に保持される。従って、渋滞路での不要なシ
フトアップが抑制されてドライバビリティが向上する。
【0069】第6のファジイルールR6では、車両負荷
度αVL>0でその絶対値が小、且つアクセル開度変化Δ
VA<0でその絶対値が大、且つ目標変速段設定手段3
のシフトマップ(例えば、#1)に基づいてシフトアッ
プが指示されているときには、コーナフラグfcに値1
を設定するとともに、最適変速段決定手段1において車
両がカーブ手前で減速したと推定する。この場合も、ド
ライバにシフトアップの意思がないと推定して、ギヤ変
速段を現在の状態に保持すべく補正(コーナ補正)す
る。従って、変速段のシフトアップが禁止されて、最適
変速段としての現在の変速段に保持される。このよう
に、第6のファジイルールR6では、カーブ手前で減速
したときにシフトアップするようなことがなくなり、や
はり有効なエンジンブレーキを得ることができ、ドライ
バビリティが向上することになる。
【0070】第7のファジイルールR7では、車両負荷
度αVL<0でその絶対値が大(負の所定値以下)、且つ
アクセル開度VAが小であって、且つ排気ブレーキ或い
は圧縮開放型エンジン補助ブレーキのいずれか一方の補
助ブレーキがオンで目標変速段設定手段3のシフトマッ
プ(例えば、#3の選択マップ)に基づいてシフトアッ
プが指示されているときは、最適変速段決定手段1にお
いて、車両は補助ブレーキがオンであるにも拘わらず車
速がさらに増加するような急降坂路を走行中と推定す
る。この場合も、ドライバにシフトアップの意思がない
と推定して、ギヤ変速段を現在の状態に保持すべく補正
する。従って、変速段のシフトアップが禁止されて、最
適変速段としての現在の変速段に保持される。つまり、
この第7のファジイルールR7では、目標変速段が現在
の変速段よりもシフトアップ側の変速段であっても、変
速段をこの目標変速段より1段低速段側の変速段、即ち
最適変速段としての現在の変速段に保持するように変速
指令信号を補正する。よって、現在の変速段でのエンジ
ンブレーキを引き続き良好且つ確実に得ることが可能と
なる。
【0071】第8のファジイルールR8では、アクセル
開度変化ΔVA>0でその絶対値が小、且つ車速Vが低
い状態であって、且つ目標変速段が現在の変速段よりも
小、即ち、目標変速段設定手段3のシフトマップ(例え
ば、#1の選択マップ)に基づいてシフトダウンが指示
されているときは、最適変速段決定手段1では、車両を
一度減速させた後の再加速であると推定する。そして、
この場合には、ドライバにシフトダウンの意思がないと
推定して、ギヤ変速段を現在の状態に保持すべく補正す
る。従って、変速段のシフトダウンが抑制されて、最適
変速段としての現在の変速段に保持される。これも、主
に渋滞時での走行を考慮したしたものであり、このよう
な渋滞時では、変速を実行してもすぐに減速することが
多いことに基づくものである。
【0072】第9のファジイルールR9では、アクセル
開度変化ΔVA>0でその絶対値が中くらい、且つ車速
Vが低く、且つシフトマップ(例えば、#1)に基づい
てシフトダウンが指示されているときは、やはり、渋滞
時等に車両を一度減速させた後の再加速であると推定
し、変速段を現在の変速段に保持する。即ち、上記第
8,第9のファジイルールR8,R9では、渋滞時等にお
ける加速時において、不必要なシフトダウンを抑制する
ことができ、やはりドライバビリティが向上する。ま
た、シフトダウンを抑制することで燃費の向上も図るこ
とができるという利点もある。
【0073】第10のファジイルールR10では、排気ブ
レーキや圧縮開放型エンジン補助ブレーキ等の補助ブレ
ーキの作動がオンで、且つフットブレーキがオフでシフ
トマップ(例えば、#3)に基づいてシフトダウンが指
示されているときは、車両を軽く減速させようとしてい
るものと推定して、ギヤ変速段を現在の状態に保持する
ように目標変速段設定手段3からの変速指令信号を補正
する。これにより、変速段のシフトダウンが抑制され、
現在の変速段(最適変速段)に保持される。従って、ド
ライバの意思に反するような大きな減速を抑制したり、
シフトダウンに伴う変速ショックを防止することがで
き、ドライバビリティが向上する。
【0074】第11のファジイルールR11〜第14のフ
ァジイルールR14について説明すると、これらのファジ
イルールでは、図5乃至図13に示すシフトマップに基
づいて設定される変速段と現在の変速段とが一致してい
ても、最適変速段決定手段1では、ドライバに変速する
意思あるものと推定して、現在の変速段よりも1段低速
段側の変速段に変速するように補正信号を出力する(ダ
ウンシフトファジイルール)。
【0075】即ち、第11のファジイルールR11では、
車両負荷度αVL>0でその絶対値が大、且つアクセル開
度VAが大、且つ目標変速段設定手段3により変速指示
がない、つまりシフトマップ(例えば、#1)に基づい
て設定される変速段と現在の変速段とが一致していると
きは、最適変速段決定手段1では、車両が急な登坂路を
走行中であるか、または積載状態で走行中であると推定
する。そして、この場合は、目標変速段設定手段3にお
いて変速段の変更の指令が設定されなかったとしても、
最適変速段決定手段1ではドライバにシフトダウンの意
思があると推定し、ギヤ変速段を現在の変速段よりも1
段低速段側の変速段に変速するように変速指令信号を補
正する。これにより、変速段が最適変速段にシフトダウ
ンされて、より大きな駆動トルクを得ることができるよ
うになり、従って、急な登坂路の走行や積載状態での走
行における加速性が向上するのである。
【0076】また、第12のファジイルールR12では、
車両負荷度αVL<0でその絶対値が大(負の所定値以
下)、且つ補助ブレーキがオン、且つ目標変速段設定手
段3のシフトマップ(例えば、#3)に基づき変速指示
がない場合、最適変速段決定手段1では、車両が急な降
坂路を走行中であると推定する。ところで、この場合
は、急な降坂路でありながらアップシフト側への変速指
示がないことから、同様に急な降坂路走行と推定される
上記第7のファジイルールR7の場合よりも補助ブレー
キが良好に効いていると考えられる。しかしながら、こ
のような場合であっても、最適変速段決定手段1におい
てドライバにシフトダウンの意思があると推定し、ギヤ
変速段を目標変速段である現在の変速段よりも1段低速
段側の変速段に変速するように変速指令信号を補正する
のである。これにより、より大きなエンジンブレーキを
確実に得ることが可能となる。
【0077】また、第13のファジイルールR13では、
車両負荷度αVL<0でその絶対値が大(負の所定値以
下)、且つ補助ブレーキがオン、且つフットブレーキが
オン、且つ目標変速段設定手段3のシフトマップ(例え
ば、#2の選択マップ)に基づき変速指示がない場合、
最適変速段決定手段1では、車両が上記第12のファジ
イルールR12の場合と同様に急な降坂路を走行中である
と推定する。但し、この場合は、ファジイルールR12の
場合に加えてドライバがフットブレーキを作動させてい
る場合であり、車両はより急な降坂路を走行中と推定す
る。従って、最適変速段決定手段1では、やはり、ドラ
イバにシフトダウンの意思があると推定して、ギヤ変速
段を現在の変速段よりも1段低速段側の変速段に変速す
るように変速指令信号を補正する。これにより、より大
きなエンジンブレーキを確実に得ることが可能となる。
【0078】このように、上記第12,第13のファジ
イルールR12,R13では、変速段が最適変速段にシフト
ダウンされることで、大きなエンジンブレーキを得るこ
とができ、フットブレーキの負荷が軽減されてより安全
性の高い走行状態とすることができる。第14のファジ
イルールR14では、車両負荷度αVL>0でその絶対値が
小、且つアクセル開度VAが中、且つアクセル開度変化
ΔVA>0でその絶対値が大、且つ車速Vが中くらい、
且つ目標変速段設定手段3のシフトマップ(例えば、#
1)に基づき変速指示がないときは、最適変速段決定手
段1では、車両が追越し加速を行おうとしていると推定
して、ギヤ変速段を現在の変速段よりも1段低速段側の
変速段に変速するように変速指令信号を補正する。これ
により、低速段側へのシフトが実行されて、スムースな
加速を行うことができる。
【0079】第15のファジイルールR15では、車両負
荷度αVL>0でその絶対値が大、且つ目標変速段が現在
の変速段よりも大で目標変速段設定手段3のシフトマッ
プ(例えば、上述の#1)に基づいてシフトアップが指
示されているときは、アクセル開度VA等によらず、最
適変速段決定手段1では、車両が急な登坂路を走行中で
あるか、または積載状態で走行中であると推定する。そ
して、この場合は、目標変速段設定手段3においてシフ
トアップの指令がされたとしても、最適変速段決定手段
1ではドライバにシフトアップの意思がないと推定し
て、ギヤ変速段を現在の状態に保持するように目標変速
段設定手段3からの変速指令信号を補正する。これによ
り、変速段のシフトアップが抑制されて、やはり、最適
変速段である現在の変速段に保持される。
【0080】本発明の一実施形態としての車両用自動変
速機の変速制御装置では、上記の如く目標変速段が補正
され最適変速段が決定されることになるが、この最適変
速段は、詳しくは、コントロールユニット71によっ
て、図26に示すようなメインルーチンのフローチャー
トに従って決定される。以下、図26に従って最適変速
段の決定手順を説明する。
【0081】先ず、ステップS10において、上述した
ように、エンジントルク算出手段4によりエンジントル
クTeを算出する。そして、ステップS12で、駆動力
算出手段5により車両の駆動力Fを算出し、次のステッ
プS14では、空気抵抗算出手段6により車両の空気抵
抗Rlを算出する。ステップS16では、上記ステップ
S12で算出された駆動力情報FとステップS14で算
出された空気抵抗情報Rlとから、直線平坦路空車相当
加速度算出手段7により直線平坦路空車相当加速度α0
を算出する。
【0082】そして、ステップS18では、ステップS
16で算出された直線平坦路空車相当加速度α0と車速
センサ79からの実加速度情報αとに基づいて車両の負
荷度情報αVLを算出する。次のステップS20では、コ
ーナフラグfcが値1で、車両がコーナにさしかかった
か否かを判別する。このコーナフラグfcは、上述した
ように、第6のファジイルールR6(コーナ補正)に基
づいて値1に設定されるものであり、当該ルーチンでは
ドライバ意思推論を行う後述のステップS32において
設定される。ステップS20の判別結果が真(Yes)
で、コーナフラグfcが値1、つまり車両がコーナにさ
しかかり、コーナ手前で減速中と判定された場合には、
次にステップS26に進む。
【0083】このステップS26では、コーナ後処理を
行う。このコーナ後処理は、即ち車両がコーナを脱出し
たと判断してコーナフラグfcを値0にリセットする処
理であり、ここでは、次に示す条件が成立したときにコ
ーナフラグfcがリセットされることになる。 fcリセット条件:車両負荷度αVLが所定値TH2未満
(αVL<TH2)、または、アクセル開度VAが所定値
TH3以上(VA≧TH3)、または、目標変速段が現段
に一致(現=目標) なお、上記所定値TH3は、実際のアクセル開度の75
%の開状態に対応している。
【0084】通常、コーナフラグfcが値1にセットさ
れた直後にあっては、上記コーナフラグfcのリセット
条件は成立せず、この場合には、コーナフラグfcはリ
セットされることなく値1に保持されたままとされ、次
にステップS28に進む。ステップS28では、最終目
標段を現段に設定する。これにより、上記ステップS2
0での判別により、コーナフラグfcが値1であって車
両がコーナ手前で減速中と判定された場合にあっては、
後述のドライバ意思推論を行わず、たとえ目標変速段が
現段より大、即ちシフトアップが指示されているときで
あっても、目標変速段に拘わらず変速段は現段のままに
記憶保持されるのである(第6のファジイルールR
6)。
【0085】一方、ステップS20の判別結果が偽(N
o)で、コーナフラグfcがステップS26の実行によ
って値0に設定され、車両がコーナを脱出し直線走行中
であると判定された場合には、次にステップS22に進
む。ステップS22では、通常の変速時と同様に、車速
Vとアクセル開度VAとに基づき、走行状態に適した目
標変速段を目標変速段設定手段3により求める。
【0086】そして、ステップS24では、ステップS
10〜ステップS18で求めた車両負荷度αVLの他、各
センサからの情報及び目標変速段とに基づき、上述のフ
ァジイルールR1〜R15に基づいて車両の走行状態を推
定するとともにドライバの運転意思を推定する。ステッ
プS30では、上述のステップS24で推定されたドラ
イバ意思に基づき、ファジイルールR1〜R15毎に目標
変速段への変速指令の補正を行う(図25参照)。詳し
くは、このステップS30では、図27及び図28に示
す目標変速段補正のサブルーチンが実行される。以下、
図27,28に基づき、目標変速段の補正手順を説明す
る。
【0087】図27のステップS32では、前回の変速
が終了してから所定時間t1(例えば、3sec)が経過し
たか否かを判別する。判別結果が偽で変速終了後所定時
間t1(例えば、3sec)が未だ経過していないと判定さ
れた場合には、連続して変速が実施されてシフトショッ
クが引き起こされることのないよう、次にステップS4
2に進んで最終目標段を現段に保持する。一方、判別結
果が真で変速終了後所定時間t1(例えば、3sec)が経
過したと判定された場合には、次にステップS34に進
む。
【0088】ステップS34では、排気ブレーキまたは
圧縮開放型エンジン補助ブレーキ等の補助ブレーキのオ
ンオフ切換えが実施されてから所定時間t2(例えば、
3sec)が経過したか否かを判別する。判別結果が偽で
補助ブレーキのオンオフ切換え後所定時間t2(例え
ば、3sec)が未だ経過していないと判定された場合に
は、やはりステップS42に進んで最終目標段を現段に
保持する。これはつまり、上述したように、エンジント
ルクTeは排気ブレーキや圧縮開放型エンジン補助ブレ
ーキ等の補助ブレーキのオンオフに応じマップに基づい
て算出されるが、このオンオフ切換え直後にあっては、
排気ブレーキや圧縮開放型エンジン補助ブレーキに作動
遅れがあり、算出されたエンジントルクTeと実際のエ
ンジントルクとの間にアンマッチが生じてドライバの意
思に反した不要な変速が実施されてしまうことを防止し
ているのである。
【0089】ステップS34の判別結果が真で補助ブレ
ーキのオンオフ切換え後所定時間t2(例えば、3sec)
が経過したと判定された場合には、次にステップS36
に進む。ステップS36では、ファジイ推論の出力値、
即ち前述した各メンバシップ関数のメンバシップグレー
ド(適合度)が所定値TH0(例えば、値0)より大き
く所定値TH1(例えば、値0.5)以下であるか否か
を判別する。つまり、ドライバ意思が変速段を現段のま
まに保持したい状況であるか否かを判別する。
【0090】ステップS36の判別結果が真で、出力値
が所定値TH0(例えば、値0)より大きく且つ所定値
TH1(例えば、値0.5)以下(TH1≧出力値>TH
0)と判定された場合には、ステップS42に進んで最
終目標段を現段に保持する。一方、ステップS36の判
別結果が偽で、出力値が所定値TH0(例えば、値0)
か或いは所定値TH1(例えば、値0.5)より大きい
と判定された場合には、次にステップS38に進む。
【0091】ステップS38では、ファジイ推論の出力
値、即ちメンバシップグレード(適合度)が所定値TH
1(例えば、値0.5)より大きいか否かを判別する。
つまり、ドライバ意思が変速段を1段シフトダウンした
い状況であるか否かを判別する。ステップS38の判別
結果が真で、出力値が所定値TH1(例えば、値0.
5)より大きい(出力値>TH1)と判定された場合に
は、次にステップS40に進む。
【0092】このステップS40では、車速Vがオーバ
ラン車速以上であるか否かを判別する。判別結果が真の
場合には、ステップS42に進んで最終目標段を現段に
保持する。一方、判別結果が偽の場合には、次にステッ
プS44に進む。ステップS44では、ステップS38
の判別により、出力値が所定値TH1(例えば、値0.
5)より大きい(出力値>TH1)と判定されたことに
基づき、最終目標段を現段より1段低い変速段にシフト
ダウンする。
【0093】先のステップS38の判別結果が偽で、出
力値が所定値TH1(例えば、値0.5)より大きくな
いと判別された場合には、次にステップS46に進む。
このような状況は、つまり、出力値が所定値TH0(例
えば、値0)に等しい場合であり、この場合には、上記
各ファジイルールを適用する必要がなく、ステップS4
6において、最終目標段を図26中のステップS22で
求めた目標変速段とする。
【0094】以上のようにして、目標変速段に対してド
ライバの意思を反映させた最適変速段がファジイルール
R1〜R15に基づき設定されることになる。つまり、目
標変速段設定手段3で現在の走行変速段と異なる目標変
速段が設定され、シフトダウンまたはシフトアップの指
令信号が最適変速段決定手段1に入力された場合であっ
ても、ドライバの意思を反映した最適変速段が現在の走
行変速段に該当すると推定した場合には、最適変速段決
定手段1により目標変速段への変速指令を禁止する補正
が行われることになる。従って、この場合、車両は現在
の変速段を保持したまま走行することになり、車両の負
荷状態や道路状況(登坂路、降坂路、カーブ有無、渋滞
路等)に応じた最も適切な変速段で走行することが可能
となる。
【0095】また、目標変速段設定手段3で設定された
目標変速段が現在の走行変速段と一致して、変速指令信
号が最適変速段決定手段1に入力されない場合であって
も、ドライバの意思を反映した最適変速段が現在の走行
変速段(ここでは目標変速段)と異なる場合は、最適変
速段決定手段1では変速動作を実行する補正信号が設定
されることになる。これにより、変速機構17では変速
動作が実行され、やはり、車両の負荷状態や道路状況に
応じた最も適切な変速段で走行することができるように
なる。
【0096】そして、目標変速段と最適変速段とが一致
していれば、当然目標変速段が最適変速段となり、この
目標変速段への変速動作が行われることになる。図28
のステップS50では、飛びシフトアップ指令(例え
ば、4段→6段)が出力されたか否かを判別する。つま
り、上記ステップS46において最終目標段をシフトマ
ップに基づく目標変速段としたが、このときの目標変速
段が、1段ずつの変速指令ではなくて飛びシフトアップ
指令であるか否を判別する。
【0097】ステップS50の判別結果が偽で、飛びシ
フトアップ指令が出力されていないと判定された場合に
は、当該ルーチンを終了して図26のメインルーチンに
戻る。一方、ステップS50の判別結果が真で、飛びシ
フトアップ指令が出力されていると判定された場合に
は、次にステップS52に進む。
【0098】ステップS52では、飛びシフトアップ指
令が出力されてから所定時間t3(例えば、3sec)が経
過し、且つ後述の飛びシフトフラグfjが値1であるか
否かを判別する。判別結果が偽の場合、つまり、飛びシ
フトアップ指令が出力された直後から所定時間t3(例
えば、3sec)が経過するまでの間は、次のステップS
54において、飛びシフトアップ指令に拘わらず、最終
目標段を現段よりも単に1段だけシフトアップするもの
とする。これにより、飛びシフトアップが所定時間t3
(例えば、3sec)禁止され、シフトフィーリングの悪
化が好適に防止される。そして、ステップS56におい
て、最終目標段を現段よりも1段だけシフトアップした
ことを記憶するために飛びシフトフラグfjに値1を設
定する。
【0099】そして、次回当該ルーチンが実行され、ス
テップS52での判別により、飛びシフトアップ指令が
出力されてから所定時間t3(例えば、3sec)が経過
し、且つ飛びシフトフラグfjが値1であると判定され
た場合には、ステップS58において飛びシフトフラグ
fjを値0にリセットする。以上、詳細に説明したよう
に、本発明の車両用自動変速機の変速制御装置では、車
両負荷度αVLをパラメータとして所望のファジイルール
により目標変速段を補正して、ドライバの意思を反映し
た最適変速段を決定することにより、ドライバビリティ
を大幅に向上させることができるという効果があり、降
坂路等では積極的にエンジンブレーキを活用することが
でき、フットブレーキの負荷を低減させて、安全性の高
い走行状態とすることができる。
【0100】特に、上記第7のファジイルールR7、第
12のファジイルールR12及び第13のファジイルール
R13のように、ファジイ推論により、車両負荷度αVLが
大きく且つ車両が急な降坂路を走行中と推定される場合
には、ファジイルールR7にあっては最適変速段を現在
の変速段に保持し、ファジイルールR12及びファジイル
ールR13にあっては最適変速段を1段低速段側の変速段
にシフトダウンするようにして、変速段を目標変速段に
対して1段低速段側に設定し、これにより、確実にエン
ジンブレーキを機能させるようにできる。従って、急な
降坂路であっても極めて安全性の高い車両走行を実現で
きる。
【0101】さらに、本装置では、前回の変速終了後所
定時間t1(例えば、3sec)が経過するまでの間、及び
排気ブレーキや圧縮開放型エンジン補助ブレーキのエン
ジン補助ブレーキのオンオフ切換え後所定時間t2(例
えば、3sec)が経過するまでの間は、ファジイルール
R1〜R15に基づくドライバ意思に拘わらず最終目標段
を現在の変速段に保持するようにしたので(図27中の
ステップS32、ステップS34及びステップS4
2)、演算によるエンジントルクTeと実際のエンジン
トルクとのアンマッチによって発生するドライバの意図
しない変速による走行フィーリングの悪化が好適に防止
される。
【0102】また、さらには、第6のファジイルールR
6に示したように、車両がコーナ手前にあるような場合
には、変速段がコーナ補正されて現在の変速段に保持さ
れるので、コーナにおける不要な変速が好適に防止さ
れ、良好なドライバビリティが得られる。しかしなが
ら、この場合、車両負荷度αVLが正側にあるとき(所定
範囲内)に限って変速段が現在の変速段に保持されよう
にしたので、車両負荷度αVLがゼロ或いは負のような場
合には、変速段は通常のシフトマップに基づいて変速制
御される。従って、車両が平坦路を走行しているような
場合にあっては、変速段が現在の変速段に保持されるこ
とはなく、やはり違和感なく良好なドライバビリティが
得られることになる。
【0103】また、第6のファジイルールR6において
コーナフラグfcを用い、コーナ手前で値1に設定され
たコーナフラグfcを車両負荷度αVLが所定値TH2未満
(αVL<TH2)、または、アクセル開度VAが所定値
TH3以上(VA≧TH3)、または、目標変速段が現段
に一致(現=目標)の場合にリセットするようにしたの
で、車両がコーナを第6のファジイルールR6に基づき
走行中にあっては変速段は確実に現在の変速段に保持さ
れる。
【0104】なお、上述した目標変速段設定手段3で
は、アクセル開度情報VAを負荷情報として取り入れる
ようになっているが、このような情報はアクセル開度情
報VAに限られるものではなく、他のエンジン負荷情報
であってもよい。また、本実施形態では、min−ma
x合成重心法を用いたファジイ推論法により最適変速段
を決定するようにしているが、このようなmin−ma
x合成重心法以外の代数積−加算重心法等のファジイ推
論法を用いてもよい。
【0105】また、本実施形態では、車両負荷度算出手
段2に車両の走行抵抗としての空気抵抗Rlを算出する
空気抵抗算出手段6を設けているが、車両走行抵抗の要
素としては、これ以外にも勾配抵抗Ri、自由転動時の
転がり抵抗Rr及びコーナリング抵抗Rc等があり、空気
抵抗算出手段6の代わりに、これらの車両走行抵抗を算
出する走行抵抗算出手段を設けてもよい。なお、勾配抵
抗Ri、転がり抵抗Rr、コーナリング抵抗Rc等の具体
的な算出方法については省略するが、この場合、車両走
行抵抗は空気抵抗Rl、勾配抵抗Ri、転がり抵抗Rr及
びコーナリング抵抗Rc等の和として算出することがで
きる。
【0106】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の車両用
自動変速機の変速制御装置によれば、車両の運転状態を
検出する運転状態検出手段と、予め設定された関係から
目標変速段を設定する目標変速段設定手段と、運転状態
検出手段からの検出値をパラメータとしてファジイ推論
を行ファジイ推論手段と、該ファジイ推論手段からの
出力値と目標変速段設定手段により設定された目標変速
段とから最適変速段を設定する最適変速段設定手段とを
備え、該最適変速段設定手段により設定された最適変速
段となるよう変速段を制御する車両用自動変速機の変速
制御装置において、最適変速段設定手段は、ファジイ推
論により車両がコーナ手前であると推論され、目標変速
段設定手段により設定された目標変速段が現在の変速段
より高速段側であるとき、現在の変速段を最適変速段と
して設定記憶し、ファジイ推論手段により車両がコーナ
を脱出したと推論されたとき、目標変速段設定手段によ
り設定された目標変速段を最適変速段として設定するよ
うにしたので、ファジイ推論により車両がコーナ手前で
あると推論され、目標変速段が現在の変速段より高速段
側であるときには、現在の変速段を最適変速段として設
定記憶し、車両がコーナを脱出したと推論されると、目
標変速段を最適変速段として設定できる。従って、車両
がコーナに突入してからコーナを脱出するまでの間
実に運転者の意思に反した変速を防止でき、良好なドラ
イバビリティを実現できる。
【0107】また、請求項2の車両用自動変速機の変速
制御装置によれば、ファジイ推論手段は、最適変速段の
記憶後、目標変速段と現在の変速段とが一致したとき車
がコーナを脱出したと推論するので、車両がコーナ
脱出したことを目標変速段と現変速段との比較により容
易に推論できる。
【0108】また、請求項3の車両用自動変速機の変速
制御装置によれば、ファジイ推論手段は、最適変速段の
記憶後、運転状態検出手段により検出されるエンジン負
荷が所定値以上のとき車がコーナを脱出したと推論す
るので、車両がコーナを脱出したことをエンジン負荷
アクセル開度等)の大きさに基づいても容易に推論で
きる。
【0109】また、請求項4の車両用自動変速機の変速
制御装置によれば、ファジイ推論手段は、最適変速段の
記憶後、運転状態検出手段により検出される車両の負荷
情報である車両負荷度が所定値以下のとき車がコーナ
を脱出したと推論するので、車両がコーナを脱出した
とを車両の負荷情報である車両負荷度の大きさに基づい
ても容易に推論できる。
【0110】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての車両用自動変速機
の変速制御装置における要部構成を示すブロック図であ
る。
【図2】本発明の一実施形態としての車両用自動変速機
の変速制御装置における全体構成を示す構成図である。
【図3】チェンジレバーのセレクトパターンを示す図で
ある。
【図4】アクセル開度とVAとの関係を示すグラフであ
る。
【図5】エコノミモードでのシフトマップ#1を示すグ
ラフである。
【図6】エコノミモードでのシフトマップ#2を示すグ
ラフである。
【図7】エコノミモードでのシフトマップ#3を示すグ
ラフである。
【図8】通常モードでのシフトマップ#1を示すグラフ
である。
【図9】通常モードでのシフトマップ#2を示すグラフ
である。
【図10】通常モードでのシフトマップ#3を示すグラ
フである。
【図11】パワーモードでのシフトマップ#1を示すグ
ラフである。
【図12】パワーモードでのシフトマップ#2を示すグ
ラフである。
【図13】パワーモードでのシフトマップ#3を示すグ
ラフである。
【図14】ラック位置とSRCとの関係を示すグラフで
ある。
【図15】ローパスフィルタの構成を示す図である。
【図16】ローパスフィルタのフィルタ処理手順を示す
フローチャートである。
【図17】平坦路での変速制御パラメータとしての車両
負荷度の特性を示す図である。
【図18】10%登坂路での変速制御パラメータとして
の車両負荷度の特性を示す図である。
【図19】10%降坂路での変速制御パラメータとして
の車両負荷度の特性を示す図である。
【図20】車両負荷度のメンバシップ関数を示す図であ
る。
【図21】アクセル開度のメンバシップ関数を示す図で
ある。
【図22】アクセル開度変化のメンバシップ関数を示す
図である。
【図23】ドライバ意思のメンバシップ関数を示す図で
ある。
【図24】ファジイ推論について説明するための図であ
る。
【図25】ファジイルールを示す図である。
【図26】変速制御のメインルーチンを示すフローチャ
ートである。
【図27】図26中の目標変速段補正のサブルーチンを
示すフローチャートの一部である。
【図28】図27に続く目標変速段補正のサブルーチン
を示すフローチャートの残部である。
【符号の説明】 1 最適変速段決定手段(最適変速段設定手段) 2 車両負荷度算出手段(運転状態検出手段) 3 目標変速段設定手段 4 エンジントルク算出手段 5 駆動力算出手段 6 空気抵抗算出手段 7 直線平坦路空車相当加速度算出手段 8 減算手段 11 ディーゼルエンジン(エンジン) 17 歯車変速機(変速機構) 61 チェンジレバー 65 ギヤシフトユニット 71 コントロールユニット 75 ギヤ位置スイッチ 79 車速セン 81 アクセルペダル 85 アクセル開度センサ(運転状態検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F16H 59:68 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 61/00 - 61/24

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の運転状態を検出する運転状態検出
    手段と、予め設定された関係から目標変速段を設定する
    目標変速段設定手段と、前運転状態検出手段からの検
    出値をパラメータとしてファジイ推論を行ファジイ推
    手段と、該ファジイ推論手段からの出力値と前記目標
    変速段設定手段により設定された目標変速段とから最適
    変速段を設定する最適変速段設定手段とを備え、該最適
    変速段設定手段により設定された最適変速段となるよう
    変速段を制御する車両用自動変速機の変速制御装置にお
    いて、 前記最適変速段設定手段は、 前記ファジイ推論により車
    両がコーナ手前であると推論され、前記目標変速段設定
    手段により設定された目標変速段が現在の変速段より高
    速段側であるとき、現在の変速段を最適変速段として設
    定記憶し、前記ファジイ推論手段により車両がコーナ
    脱出したと推論されたとき、前記目標変速段設定手段に
    より設定された目標変速段を最適変速段として設定する
    ことを特徴とする車両用自動変速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】 前記ファジイ推論手段は、前記最適変速
    段の記憶後、目標変速段と現在の変速段とが一致したと
    き車がコーナを脱出したと推論することを特徴とす
    る、請求項1記載の車両用自動変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】 前記ファジイ推論手段は、前記最適変速
    段の記憶後、前記運転状態検出手段により検出されるエ
    ンジン負荷が所定値以上のとき車がコーナを脱出した
    と推論することを特徴とする、請求項1記載の車両用自
    動変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 前記ファジイ推論手段は、前記最適変速
    段の記憶後、前記運転状態検出手段により検出される
    両の負荷情報である車両負荷度が所定値以下のとき車
    がコーナを脱出したと推論することを特徴とする、請求
    項1記載の車両用自動変速機の変速制御装置。
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