JP3128628U - リニアエンコーダ用スケール - Google Patents

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Abstract

【課題】精度を維持しつつ長尺化および低コスト化を図る。
【解決手段】リニアエンコーダ用スケール10は、帯状で可撓性を備えて形成され、全芳香族ポリエステルのサーモトロピック液晶ポリマーフィルムからなる基台層11と、この基台層11の一方の表面側(下面側)にロールラミネートなどの加工処理によって加圧接合により積層されたステンレスやアルミニウム、銅などの薄板状の金属部材からなる基台補助層12と、基台層11の他方の表面側(上面側)に銅箔などの導電部材をパターン形成してなる回路層13とを備えた構造であることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本考案は、静電容量式や電磁誘導式のリニアエンコーダ用スケールに関する。
静電容量式や電磁誘導式のリニアエンコーダ用スケールは、一般的に、例えば銅張りガラスエポキシ基板などによって形成されているが、このガラスエポキシ基板は温度や湿度の影響を受けやすく寸法変化しやすいため、通常、鉄などのベース金属と接着剤を介して接合した状態で使用される(特許文献1参照)。
特開2004−294225号公報
上記特許文献1記載のトランスデューサ用スケールは、長尺化や取り扱いに適した構造としているので、比較的安価に提供されている。しかしながら、接着剤を介してガラスエポキシ基板とベース金属とを接着した構造であるため、精度変化が起こりやすく、長尺化が進めば相対的に寸法誤差などが大きくなってしまうとともに、接着剤などの材料コストが増加してしまう。したがって、特許文献1記載の構造であっても、未だ高精度を維持したままさらなる長尺化および低コスト化の実現を図ることが容易な構造とはなっていない。
そこで、本考案は、このような問題を解決するものであって、高精度を維持しつつ長尺化および低コスト化を図ることができるリニアエンコーダ用スケールを提供することを目的とする。
本考案に係るリニアエンコーダ用スケールは、液晶ポリマーフィルムからなる基台層と、該基台層の一方の表面側に加圧接合によって積層された薄板状の金属部材からなる基台補助層と、前記基台層の他方の表面側に導電部材をパターン形成してなる回路層と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、基台層と基台補助層とを接着剤を介さずに積層した構成としているので、接着剤による精度変化が起こり得ず、また、基台層を吸湿による寸法変化が少ない液晶ポリマーフィルムにより形成しているので、高精度を維持したまま長尺化を実現することができる。さらに、基台層と基台補助層の間に接着剤を介さないため、材料コストを抑えて低コスト化を図ることができる。
また、本考案に係るリニアエンコーダ用スケールにおいて、前記基台層と前記基台補助層との間に、接着層をさらに備える構成としてもよい。この接着層は、例えばホットメルト樹脂接着剤からなるものとすればよい。この場合においても、リニアエンコーダ用スケールは加圧接合によって積層されているため、寸法変化を極力抑えることが可能な構造を実現することができる。
さらに、本考案に係るリニアエンコーダ用スケールにおいて、前記回路層は、厚さ40μm以下で形成され、前記基台層および前記基台補助層は、厚さ0.2mm以下で形成するのが好ましい。
以上のように本考案によれば、高精度を維持しつつ長尺化および低コスト化を図ることができるリニアエンコーダ用スケールを提供することができる。
次に、本考案に係るリニアエンコーダ用スケールの実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本考案の一実施形態に係るリニアエンコーダ用スケールを巻き取って丸めた状態の例を示す外観斜視図である。また、図2は、同リニアエンコーダ用スケールの断面の例を示す断面図である。
図1に示すように、リニアエンコーダ用スケール10は、帯状に形成され、その長手方向に丸めてコンパクトに収納することができる可撓性を備えている。このような特性を備えたリニアエンコーダ用スケール10は、図2に示すように、液晶ポリマーフィルムからなる基台層11と、この基台層11の一方の表面側(下面側)にロールラミネートなどの加工処理によって加圧接合により積層された薄板状の金属部材からなる基台補助層12と、基台層11の他方の表面側(上面側)に導電部材をパターン形成してなる回路層13とを備えた構造となっている。
基台層11は、リニアエンコーダ用スケール10のベースとなる機能を有し、全芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)系樹脂である全芳香族ポリアミドのレオトロピック液晶ポリマーや、全芳香族ポリエステルのサーモトロピック液晶ポリマーなどの材料を用いて形成されているが、本例のリニアエンコーダ用スケール10では、熱可塑性樹脂であるサーモトロピック液晶ポリマーを用いるのが好適である。
この基台層11は、厚さ約0.2mm以下で形成され、熱膨張係数(ppm/℃)が回路層13で用いられる銅などとほぼ同じ値(測定温度23℃〜200℃において16)を示し、吸湿膨張係数(ppm/%)がポリイミドフィルムなどの約1/10程度の値(測定温度50℃,相対湿度20〜80%RHにおいて1.5)を示す特性を備えている。このため、基台層11は、低吸水性で寸法変化が少ない構造を実現している。
一方、基台補助層12は、基台層11への湿気進入を防止して基台層11が温度や湿度の影響によって寸法変化してしまうことを防ぐとともに、機械的剛性を向上させて取り扱いを容易にし、基台層11の熱膨張係数を調整するための補強的機能を有し、ステンレス(SUS)やアルミニウム、銅などの薄板テープ状の金属部材からなる。この基台補助層12も、上述した基台層11とほぼ同様に、厚さ約0.2mm以下で形成されている。
回路層13は、リニアエンコーダ用スケール11のスケールパターンを構成し、圧延銅箔や電解銅箔などの導電部材を基台層11上に貼り付けた後にフォトエッチングなどの加工処理によってパターン形成してなる。この回路層13は、厚さ約40μm以下で形成され、好ましくは厚さ18μmで形成される。なお、この回路層13は、導電ペーストなどの導電部材を用いて回路パターンを描画して形成されていてもよい。
図3は、基台層11の材料別による高湿度環境下での寸法変化を表す図である。ここでは、比較例として厚さ0.2mmのA社製ガラスエポキシ基板およびB社製ガラスエポキシ基板と厚さ0.2mmのステンレステープとをそれぞれ積層したものと、実施例として厚さ0.125mmの液晶ポリマーフィルムと厚さ0.2mmのステンレステープとを積層したものとの寸法変化量を、線グラフによって示している。
図3に示すように、A社製ガラスエポキシ基板と、B社製ガラスエポキシ基板は、実線31および実線32で示すように、高湿試験直前から高湿試験直後にかけて寸法変化量が大きくなり、高湿試験直後においては最も大きな寸法変化を表す結果となっている。また、高湿試験直後から高湿試験6日後にかけては寸法変化量が少なくなるという結果を表している。
これらのガラスエポキシ基板に対して、液晶ポリマーフィルムは、点線33で示すように、高湿試験直前から高湿試験直後にかけて寸法変化はほとんど見られず、高湿試験6日後においてようやく多少の寸法変化が見られた結果となった。このことから、基台層11にガラスエポキシ基板を用いるよりも液晶ポリマーフィルムを用いることで、リニアエンコーダ用スケール10の湿度による寸法変化を極めて小さくすることが可能となるといえることが判明した。
したがって、本例のリニアエンコーダ用スケール10によれば、温度による寸法変化はもちろんのこと、湿度による寸法変化をも抑えて高精度を維持しつつ、ロールテープのように長尺化を行うことができるとともに部品点数を抑えて低コスト化を図ることが可能となる。
図4は、本実施形態に係るリニアエンコーダ用スケールの他の構成の断面の例を示す断面図である。図4に示すように、このリニアエンコーダ用スケール10は、上述した構成に加えて回路層13の上に保護層14を形成し、基台層11と基台補助層12との間に接着層15を設けた構造を備えている。
保護層14は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)などの絶縁樹脂材料からなり、回路層13を露出しないように覆った構造からなる。また、接着層15は、ホットメルト樹脂接着剤などの接着剤からなり、基台層11と基台補助12との接合をさらに確実なものとする機能を有している。このような構成のリニアエンコーダ用スケール10においても、上述したように温度による寸法変化のみならず、湿度による寸法変化をも抑えて高精度を維持しつつ、ロールテープのように長尺化を行うことができる。なお、上述したリニアエンコーダ用スケール10は、例えば次のような工程によって製造される。
図5は、同リニアエンコーダ用スケールの製造工程の例を示すフローチャートである。また、図6は、図5に示した製造工程の一部を模式的に表す説明図である。図5に示すように、まず、基台層11を構成する液晶ポリマーフィルムの表面を、プラズマ処理などによって基台補助層12との接合性を向上させるために整面化する(ステップS1)。すなわち、このステップS1では、図6に示すように、例えば図示しない供給元ロールから送られてきた基台層11を構成する液晶ポリマーフィルムを、プラズマ処理装置20内に送り込んで整面処理を行う。なお、このステップS1においては、基台補助層12を構成する金属部材が整面化されてもよいし、液晶ポリマーフィルムおよび金属部材の両方が整面化されてもよい。
次に、図6に示すように、プラズマ処理装置20から整面化された上で送り出された液晶ポリマーフィルムに、図示しない他の供給元ロールから送られてきた金属部材を積層し、これらを図中白抜き矢印方向に圧力を加えるワークロール22a,22b間に供給してラミネートにより加圧接合する(ステップS2)。なお、この加圧接合は、図6に示すものに限らない。例えば、対象部材を加熱した上で加圧接合を施す加熱加圧接合や、液晶ポリマーフィルムと金属部材の両面とをプラズマ処理して加圧接合(接着剤を使用せず、熱はかけない。)、あるいは液晶ポリマーフィルムと金属部材の間にホットメルト接着剤(フィルム)を入れた加熱加圧接合などといったものがある。
そして、金属部材にラミネートされた液晶ポリマーフィルム上に回路層13を形成するために、銅箔などを貼り付けてエッチングなどを施すことにより回路パターンを形成する(ステップS3)。最後に、製品寸法でカッティングなどの整形加工を行って(ステップS4)、リニアエンコーダ用スケール10を製造する。
なお、基台層11の液晶ポリマーフィルムと基台補助層12の金属部材との間に接着層15を構成するホットメルト樹脂接着剤を介在させる場合は、上記ステップS1とステップS2との間にホットメルト樹脂接着剤を液晶ポリマーフィルムと金属部材との間にはさむ工程(ステップS5)を設ければよい。すなわち、このステップS5では、図6に示すように、プラズマ処理装置20から送られてきた液晶ポリマーフィルム上に接着剤供給装置21からホットメルト樹脂接着剤を基台層11と基台補助層12との間にはさむようにすればよい。なお、接着剤は、ホットメルト樹脂接着剤のようなフィルムタイプのものに限らず、液状タイプのものを用いてもよい。この場合、ステップS5にて、液晶ポリマーフィルム及び金属部材の少なくとも何れか一方に液状タイプの接着剤を塗布するようにしてもよい。
上記のように、本考案の一実施形態に係るリニアエンコーダ用スケールを説明したが、本考案は、上記実施形態に限られるものではない。例えば本考案は、リニアエンコーダ用スケール以外のスケールにも適用可能である。
本考案の一実施形態に係るリニアエンコーダ用スケールを巻き取って丸めた状態の例を示す外観斜視図である。 本考案の一実施形態に係るリニアエンコーダ用スケールの断面の例を示す断面図である。 本考案の一実施形態に係るリニアエンコーダ用スケールの基台層の材料別による高湿度環境下での寸法変化を表す図である。 本考案の一実施形態に係るリニアエンコーダ用スケールの他の構成の断面の例を示す断面図である。 本考案の一実施形態に係るリニアエンコーダ用スケールの製造工程の例を示すフローチャートである。 本考案の一実施形態に係るリニアエンコーダ用スケールの製造工程の一部を模式的に表す説明図である。
符号の説明
10…リニアエンコーダ用スケール、11…基台層、12…基台補助層、13…回路層、14…保護層、15…接着層。

Claims (5)

  1. 液晶ポリマーフィルムからなる基台層と、
    該基台層の一方の表面側に加圧接合によって積層された薄板状の金属部材からなる基台補助層と、
    前記基台層の他方の表面側に導電部材をパターン形成してなる回路層と、を備えた
    ことを特徴とするリニアエンコーダ用スケール。
  2. 前記基台層と前記基台補助層との間に、接着層をさらに備える
    請求項1記載のリニアエンコーダ用スケール。
  3. 前記接着層は、ホットメルト樹脂接着剤からなる
    請求項2記載のリニアエンコーダ用スケール。
  4. 前記回路層は、厚さ40μm以下で形成されている
    請求項1〜3のうちいずれかに記載のリニアエンコーダ用スケール。
  5. 前記基台層および前記基台補助層は、厚さ0.2mm以下で形成されている
    請求項1〜4のうちいずれかに記載のリニアエンコーダ用スケール。
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JP2012225912A (ja) * 2011-04-20 2012-11-15 Dr Johannes Heidenhain Gmbh エンコーダ並びにスケール及びスケールを製造するための方法
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