JP3128571B2 - C/cコンポジット製品の製造方法 - Google Patents

C/cコンポジット製品の製造方法

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JP3128571B2 JP04052765A JP5276592A JP3128571B2 JP 3128571 B2 JP3128571 B2 JP 3128571B2 JP 04052765 A JP04052765 A JP 04052765A JP 5276592 A JP5276592 A JP 5276592A JP 3128571 B2 JP3128571 B2 JP 3128571B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、炭素繊維強化炭素複
合材料(以下「C/Cコンポジット」と称する)からな
る製品の製造方法に係わり、さらに詳しくは、例えばタ
ービンロータなどのように、複雑な形状を有するC/C
コンポジット製品を簡便に失敗なく製造するのに利用さ
れるC/Cコンポジット製品の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】C/Cコンポジットは、炭素繊維を炭素
または黒鉛マトリックスにより結合した構造を有し、高
温強度,軽量性,耐熱・耐食性に優れ、例えばロケット
のノズル,航空機や高速車両のブレーキ材,ガスタービ
ンエンジンやエアターボラムジェットのタービンロータ
などに好適な材料であって、炭素繊維基材にメタンやプ
ロパンなどの炭化水素を熱分解することによって生成す
る炭素を直接蒸着させるCVD法、あるいは次に示す含
浸法によって製造されている。
【0003】含浸法は、炭素繊維基材にフェノール樹脂
やピッチを含浸させ、成形硬化させたのち焼成すること
によって、あるいは炭素繊維にフェノール樹脂などを含
浸させたプリプレグを目的とする形状を考慮して積層し
たのちホットプレスすることによって炭素繊維強化プラ
スチックとなし、この炭素繊維強化プラスチックを焼成
することによって前記樹脂やピッチあるいはプラスチッ
ク部分を炭化し、さらに必要に応じて黒鉛化焼成するも
のである。
【0004】しかし、通常、1回の焼成によって得られ
るC/Cコンポジットは、樹脂やピッチの熱分解に基づ
くガス発生によって多孔質となっており、強度も得られ
ないので、この低密度のC/Cコンポジット半製品にピ
ッチ含浸と焼成とを繰り返し施すことによって目標の密
度および強度となるようにしている。
【0005】そして、このようなピッチ含浸および焼成
については、従来図2(a)に示すように、ピッチ缶5
1内に半ば満たした液状ピッチ52の中に低密度のC/
Cコンポジット半製品53(炭素繊維基材からスタート
することもある)を浸漬することによってピッチ52を
前記半製品53に含浸させ、この状態で常圧もしくは高
圧下(HIP処理)で650〜800℃程度の温度に焼
成することによってピッチ52を炭化するようにしてい
た。
【0006】また、図2(b)に示すように、前記半製
品53の形状に合致させて形成した例えばグラファイト
製の治具54を用い、該治具54と半製品53との間に
はカーボンフェルト55を詰めることによって当該半製
品53を動かないように拘束し、さらに該半製品53お
よびカーボンフェルト55に液状ピッチ52を含浸させ
たうえで、前記と同様の焼成条件で炭化処理することも
行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図2
(a)に示したどぶづけ含浸の場合には、焼成によって
炭化したピッチが、気孔内に浸入したピッチが炭化して
高密度化したC/Cコンポジット半製品53の周囲に極
めて強固に固着しているため、前記半製品53を取り出
す(以下「ピッキング」と称する)のが非常に困難とな
り、ピッキングに際して半製品53を傷つけたり、時に
は壊してしまったりするという問題点がある。
【0008】また、図2(b)に示した治具54を用い
る場合にもピッチが炭化して、前記半製品53と治具5
4との間で極めて強固に固着しているので、半製品53
の型離れ性が悪く、前記と同様に、半製品53を損傷す
ることがあるという問題点があって、これらの問題点の
解消が含浸法によるC/Cコンポジット製品の製造方法
における課題となっていた。
【0009】なお、特開昭60−155517号公報に
は、炭素材を黒鉛シートで包んで黒鉛化する技術が開示
されているが、このような黒鉛シートあるいはカーボン
フェルトでC/Cコンポジット半製品を包んで処理した
場合には、前記黒鉛シートあるいはカーボンフェルトに
ピッチが含浸して炭化し、強固な固体を形成してしまう
ので、ピッキングや離型作業が困難で半製品を損傷する
という前記同様の不具合が生じる。
【0010】
【発明の目的】この発明は、上記した従来の課題に着目
してなされたものであって、炭化処理後のピッキング作
業が簡単で、炭化した余分なピッチをC/Cコンポジッ
ト半製品から容易に分離することができ、また、ピッキ
ングに際してC/Cコンポジット半製品を損傷すること
のないC/Cコンポジット製品の製造方法を提供するこ
とを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明に係わるC/C
コンポジット製品の製造方法は、炭素繊維基材もしくは
製品密度に達しない低密度C/Cコンポジット半製品に
ピッチを含浸させ、炭化処理を施すことによって高密度
化するC/Cコンポジット製品の製造方法において、金
属薄板からなるシムによって前記炭素繊維基材もしくは
低密度C/Cコンポジット半製品をくるんだ状態にして
ピッチを含浸させたのち、常圧ないし高圧下で炭化処理
する構成としたものであって、C/Cコンポジット製品
の製造方法におけるこのような構成を前述した従来の課
題を解決するための手段としたことを特徴としている。
【0012】
【作用】この発明に係わるC/Cコンポジット製品の製
造方法においては、炭素繊維基材もしくは低密度のC/
Cコンポジット半製品を、金属薄板、例えばステンレス
鋼の薄板で形成したシムによってくるんだ状態でピッチ
を含浸させ、常圧ないし高圧下で炭化処理するようにし
ている。
【0013】したがって、ピッチはステンレス鋼製のシ
ムに含浸することなく、シムのすきまから炭素繊維基材
もしくはC/Cコンポジット半製品に含浸し、前記シム
が前記基材もしくは半製品とピッチとの間に常に介在す
るので、当該シムが含浸したピッチの炭化によってC/
Cコンポジット半製品となった炭素繊維基材もしくは密
度を増したC/Cコンポジット半製品と周囲のピッチと
の間を隔てて離型材としての役目を果すため、炭化した
ピッチは前記基材もしくは半製品から容易に分離し、ピ
ッキングに際して基材もしくは半製品を傷つけるような
ことはない。また、前記シムは金属薄板からなるもので
あるから変形しやすく、前記基材もしくは半製品への装
着、および炭化処理後の取り外しが容易であって、シム
の装着や取り外しに際して前記基材や半製品を損傷する
こともない。
【0014】なお、シムの素材としてはステンレス鋼の
みに限定される訳ではなく、800℃程度の処理温度に
おいて形状を保持し得る強度を有し、ピッチとの反応性
に乏しいものであればよい。
【0015】
【実施例】以下に、この発明を実施例によって具体的に
説明する。
【0016】まず、炭素繊維クロスにフェノール樹脂を
含浸させたクロスプリプレグを目的とするタービンロー
タのブレード部およびホイール部の展開状態に合わせて
裁断し、成形型内に積層したのち約150℃で2時間プ
レスキュアすることによって、55枚のタービンブレー
ドを備えると共に、ブレード外径200mm,ホイール
径150mm,ホイール幅25mmのCFRP(炭素繊
維強化プラスチック)製タービンロータを得た。
【0017】次に、前記CFRP製タービンロータに対
し約800℃での初期炭化および約2500℃での初期
黒鉛化処理を施すことによって、前記タービンロータを
C/Cコンポジット化し、タービンロータ素材1(C/
Cコンポジット半製品)とした。
【0018】そして、図1(a)に示すように、タービ
ンロータ素材1のブレード形状に合わせて板厚0.05
mmのステンレス鋼薄板から切り出したブレード用シム
2によって前記タービンロータ素材1の各ブレード1a
を包むようにしてくるみ、該ブレード用シム2の端部を
クリップ3などによって、外れないように固定した。
【0019】さらに図1(b)に示すように、前記ブレ
ード1aの外周部を同じく0.05mmのステンレス鋼
薄板からなるベルト状シム4で囲むことによって当該ブ
レード1aの先端部を覆うと共に、前記ステンレス鋼薄
板からなる円板状シム5,5によってタービンロータ素
材1の上下面をカバーしたのち図示しない針金やクラン
プによってこれらシムがずれたり、脱落したりしないよ
うに固定した。
【0020】次いで各種シム2,4,5によって周囲を
くるんだタービンロータ素材1を約300℃に加熱した
液状ピッチの中に浸漬し、前記タービンロータ素材1に
ピッチを含浸させたのち、この状態のまま常圧下で75
0℃に焼成することによって炭化処理を実施した。
【0021】焼成後、前記タービンロータ素材1をその
周囲に炭化して固着したピッチと共に取り出し、タービ
ンロータ素材1のピッキングを行った。このとき、炭化
したピッチはステンレス鋼製のシム2,4,5の表面か
ら容易に剥離するので、各シム2,4,5を固定した針
金を切断し、クランプやクリップを取り外しながら各シ
ム2,4,5をタービンロータ素材1から剥がすと同時
に炭化したピッチが脱落し、含浸させたピッチが炭化す
ることによって高密度化された前記タービンロータ素材
1を傷つけることなく極めて容昜に取り出すことができ
た。
【0022】続いて、前記タービンロータ素材1を25
00℃で焼成することによって、黒鉛化処理を施した
後、当該タービンロータ素材1を再度ステンレス鋼製シ
ム2,4,5でくるみ、前記と同様にピッチ中に浸漬し
てピッチを含浸させ、次いで650℃−1000kgf
/cmの高温高圧下で炭化処理(HIP処理)を実施
した。
【0023】HIP処理後ピッキングを行い、取り出し
たタービンロータ素材1に前記と同様に2500℃での
黒鉛化処理を施した後、シム装着,ピッチ含浸,HIP
処理,ピッキング,黒鉛化処理の各工程をもう一度繰り
返すことによって、1.85g/cmの密度を有する
タービンロータを得た。
【0024】なお、前後2度のHIP処理後のピッキン
グ作業は、前述の常圧炭化処理後のピッキング作業と同
様に、炭化したピッチがシムから離脱しやすく、いずれ
の場合もタービンロータ素材1を傷つけることなく極め
て容昜に取り出すことができた。
【0025】また、同一の素材(プリプレグ)から同様
の工程によって製造したC/Cコンポジット試験材から
採取した試験片による結果では、室温では32kgf/
mm,1700℃では42kgf/mmの曲げ強度
が得られることが確認された。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係わる
C/Cコンポジット製品の製造方法は、炭素繊維基材も
しくは低密度C/Cコンポジット半製品を金属薄板から
なるシムによってくるんだままの状態でピッチを含浸さ
せ、常圧ないし高圧下で炭化処理する構成としたもので
あるから、炭化したピッチが前記シムから容易に離脱
し、含浸したピッチが炭化してC/Cコンポジット半製
品となった前記炭素繊維基材もしくはより高密度となっ
たC/Cコンポジット半製品の周囲に強固に固着するこ
となく、ピッキングに際して前記C/Cコンポジット半
製品を傷つけたり破損したりすることなく容昜に取り出
すことができるという優れた効果を発揮するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)はこの発明に係わるC/C
コンポジット製品の製造方法の一実施例において、C/
Cコンポジット半製品を金属製シムによってくるむ過程
を示すそれぞれ斜視図である。
【図2】(a)および(b)は従来のC/Cコンポジッ
ト半製品の製造方法におけるピッチ含浸工程を説明する
それぞれ概略図である。
【符号の説明】
1 タービンロータ素材(C/Cコンポジット半製品) 2,4,5 シム

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維基材もしくは製品密度に達しな
    い低密度C/Cコンポジット半製品にピッチを含浸さ
    せ、炭化処理を施すことによって高密度化するC/Cコ
    ンポジット製品の製造方法において、金属薄板からなる
    シムによって前記炭素繊維基材もしくは低密度C/Cコ
    ンポジット半製品をくるんだ状態にしてピッチを含浸さ
    せたのち、常圧ないし高圧下で炭化処理することを特徴
    とするC/Cコンポジット製品の製造方法。
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