JP3127892B2 - 水素負イオンビーム注入方法及び注入装置 - Google Patents

水素負イオンビーム注入方法及び注入装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Si、ガラス、プ
ラスチック等の基板全体に水素イオンビ−ムを注入する
方法と注入する装置に関する。水素イオン注入にはおお
まかに言って二つの用途がある。水素イオン注入によっ
て脆弱な多孔質層(ボイド層)を基板内部に作りここで
剪断する、というのが一つの用途である。さらに水素イ
オンによって対象の物性を向上させるという用途もあ
る。水素注入には様々の用途があるからひとつ一つ説明
する。
【0002】[1.SOI基板の製作のための水素イオ
ン注入]SOI基板(silicon on insulator)というの
は広義には絶縁層の上にSi単結晶を持つ基板である。
SOI基板には厚い絶縁体基板の上に薄いSiを載せた
(Si/絶縁基板)ものもある。例えばサファイヤの上
にSi薄膜を形成したものなどである。しかし異種結晶
の上にヘテロ成長させると結晶欠陥が多い。劈開もない
し高価になる。ほとんど利益はない。だからSOI基板
といえば、全体がSiで表面近くに薄い絶縁層とSi単
結晶が存在する(Si/絶縁層/Si基板)の3層構造
のものが主である。絶縁層はSiO2である。つまり
(Si/SiO2/Si基板)の3層構造である。
【0003】Siウエハ−は安価である。高品質のもの
が入手しやすい。SOI基板ではSiの上にSiがある
から格子定数は同一で欠陥は少ない。劈開もあり素子分
離に便利である。これを作るため水素イオン注入して内
部に多孔質層をつくり、他のSiウエハ−を貼り付け、
多孔質層から剪断し、表面研磨してSOIとする。これ
についてはさらに後に説明する。
【0004】[2.単結晶Si/ガラス基板製作のため
の水素イオン注入]液晶装置基板はガラスの上にアモル
ファスシリコン(a−Si)薄膜を堆積させその上に多
数の薄膜トランジスタを作製したものである。これが主
流であるがa−Siのキャリヤ移動度が低いので動作が
遅い。現在の最も高機能の液晶装置基板は、ガラス基板
に多結晶シリコン薄膜(p−Si)薄膜を形成したもの
である。a−Siより電子移動度が高いのでより高速動
作する。これは例えば
【0005】 糸賀隆志、伊藤政隆、高藤裕、「低温
ポリシリコンTFT−LCD」シャープ技報、第69
号、P64(1997)
【0006】に提案されている。しかしながら未だ満足
できる成果を得ていない。多結晶は結晶粒界が多数存在
する。ために電子散乱が多い。単結晶Siに比較してな
お電子移動度は低い。多結晶の粒界に多数の粒界準位が
存在するからこれによって散乱されるのである。そこで
水素イオンビ−ムを注入して粒界準位を減らすという試
みも行われる。例えば、
【0007】特開平8−97432号「薄膜半導体装
置の製造方法」鈴木信明に提案されている。水素イオン
ビ−ムを注入してアニールすると水素が粒界のSiを終
端し準位が減少し移動度が上がるということを述べてい
る。
【0008】しかし多結晶Siの薄膜には移動度の遅さ
以外にも問題がある。多結晶Siでは粒界にそって電流
が流れやすいために、ソース・ドレイン間のリーク電流
が大きい。ために複雑なLDD構造をとらざるを得な
い。このため夢の結晶といわれたSOG(システムオン
グラス)は全く実現の見込みがない。SOIを応用し、
Siに水素注入して多孔質層を作りガラスに貼り付け、
多孔質層からSi基板を剪断しガラス基板上にSi単結
晶薄膜を接着する。これが基板がSiでなくガラスにな
っているだけでSOIと良く似たボイドカット法によっ
て作製できる。だからこれもSiウエハ−に水素を注入
し、脆弱な層を作り、ガラスに貼り付けて、薄くSi層
を剥離してSi単結晶/酸化物/ガラスの層構造をつく
る。
【0009】[3.太陽電池の改良]導電性基板の上に
単結晶Si薄膜を接着し、その後10〜20nm程度の
薄いSi薄膜をエピタキシャル成長させる。Si薄膜を
基板に接着する方法としてSOIと同じボイドカットを
使う。水素正イオンを注入して多孔質層を作りここから
剪断する。基板のほとんどは安価な材料でありほんの表
面の一部だけSi単結晶となる。こうすると安価である
にも拘らず高効率の太陽電池を作る事ができる。必要で
あれば同一基板上に半導体素子、TFT素子、光電変換
素子などを混載する事も可能である。これは例えば
【0010】 A.L. Akishin & G.M. Grigor'eva, "P
ossibilities of increasing the efficiency of solar
silicon elements in implanting H+ ans He+ ions,"
Physics and Chemistry of Materials Treatment 1994
28, (6),p365-368 (1994)によって提案されている。勿
論実用レベルには達していない。
【0011】[4.SiCへの水素イオン注入]同様の
ボイドカット法によってSiCの薄膜を作製する方法も
提案されている。SiCは高温耐熱半導体でSiとは別
の用途がある。これもSOIと同じ手法で、水素イオン
注入多孔質層の形成、デラミネーションによりSiC薄
膜を作製することが提案されている。例えば
【0012】 原徹、柿崎恵男、田中久雄、「H
入による薄膜デラミネーション−デラミネーションのS
iCへの応用−」第45回関係連合講演会講演予稿集2
9a−K−2,p803(1998)もちろんいまだ良
質の基板はできず、デバイスにするという段階でない。
さまざまの夢の試みがなされている。
【0013】
【従来の技術】絶縁物上に単結晶Si半導体層を形成し
たSiオンインシュレータ基板(いわゆるSOI基板)
は、通常のバルクSi基板と比較して高集積化が可能、
高速デバイスの作製が可能、など多くの点で優れている
ことが知られており各地で精力的に研究されている。こ
れらの優位点は例えば以下の文献に詳細が記述されてい
る。
【0014】 Special Issue:"Single-crystal silic
on on non-single-crystal insulators"; edited by G.
W.Cullen, Journal of Crystal Growth, vol.63, No.3,
pp429-590(1983)
【0015】SOI基板の作製方法として二つの方法が
ある。一つは直接に酸素イオンを注入し酸化珪素層を作
る方法(SIMOX)である。もう一つは水素イオン注
入によるボイドカット法あるいはスマートカット法とよ
ばれる貼り合わせ作製法である。本発明は水素イオンビ
−ムの注入法に関するので、スマートカット法の改良を
与えることができる。
【0016】スマートカット法によるSOI基板の作製
方法は例えば、 特願平8−264386号に詳述されている。その
他にもたくさんの文献がある。簡単に説明する。第1の
Si基板の表面を酸化しSiO膜を作る。おおよそ1
00keV程度の水素イオンを1×1014/cm
上注入し、0.2μm〜0.5μm程度の深さにポロジ
ティの大きい多孔質層を形成する。その後熱処理によっ
て、表面のSi層の注入ダメージを回復する。第1のS
i基板を貼り合わせる。絶縁層は第2のSiウエハ−に
形成しておいてもよい。その後垂直方向に剪断力を加え
る事によって前記多孔質層で第1基板を切断する。その
後表面を研磨する。こうしてSOI基板を作製する。
【0017】注入ガスとしては水素の他に、希ガス、窒
素ガスでもよいが、水素が最も好まれる。それは質量が
軽いため、低エネルギーでも深くまで注入でき、またS
i表面層に与えるダメージが小さいためである。
【0018】この水素イオン注入法として、B、Pなど
の不純物をSi基板に注入するイオン注入装置を使用す
るのが最も一般的である。図1に典型的なイオン注入装
置による水素イオン注入方法を示す。
【0019】プラズマ励起は、熱フィラメント、マイク
ロ波、高周波などによって行う。これはフィラメント励
起による装置である。真空に引く事のできるチャンバ1
にはフィラメント2が設けられる。絶縁物5を通ってフ
ィラメント2の端子が外部に取り出される。端子の両端
には直流のフィラメント電源3が接続される。チャンバ
1にはガス入口4がありここから水素ガスが供給され
る。チャンバ1とフィラメント2の間にはア−ク電源6
(Vak)が接続される。加速電源7(Vacc)がア
−ク電源6の負極とアースの間に設けられる。チャンバ
1の電位は、Vacc+Vakである。
【0020】チャンバ1の出口8の外側には、開口部の
軸線を共通にするように有孔の電極が3枚設けられる。
加速電極9、減速電極10、接地電極11である。加速
電極9には抵抗13を介して加速電源7の正極が接続さ
れる。減速電源10には減速電源12が接続される。チ
ャンバ出口8、電極9、10、11の開口の延長上に
は、4分円弧の質量分離マグネット14が設置される。
チャンバ1から出たイオンビ−ム15は、入口16から
質量分離マグネット14に入り磁場によって彎曲した軌
道を描いて出口17から出る。質量、エネルギーで軌道
を調整してあるから、一原子イオンHは中央軌跡26
を経てスリット板18を通る。しかし2原子イオンH
は偏奇軌跡27を描いて、質量分離マグネット14の
壁やスリットに当たって消滅する。一原子水素正イオン
はスリット板18を通り、対向電極19、20と可
変電源21からなる走査機構22によって左右に走査さ
れる。走査ビーム23はサセプタ25の上のSiウエハ
−24に注入される。
【0021】水素プラズマ中に正イオンは何種類もでき
る。複数種の水素正イオンが注入されると複数の水素注
入層ができる。これは困る。一種類の水素正イオンだけ
を選んで注入しなければならない。そのためには質量分
離する必要がある。質量分離するためにはビームを細く
しなければならない。ウエハ−直径よりずっと細いビー
ムにする必要がある。ウエハ−直径より小さいビームだ
からウエハ−全面に一挙に注入できない。ビームを振る
走査機構が不可欠である。質量分離と走査機構の存在が
様々の問題を引き起こす。
【0022】イオン注入装置によって、水素イオンビ−
ムを質量分離、走査し、注入する方法は、従来の不純物
イオン注入装置と同様の構成である。容易に推測がつく
が、装置構成が非常に複雑高価である。特に嵩高いマグ
ネットがあるため設置面積も広くなる。またビームを走
査して注入するため、ウエハ1枚当たりの処理時間が非
常に長い。ためにスループットが低い。その結果、SO
I基板1枚当たりの単価は非常に高くなる。このこと
が、SOI基板の優秀性が広く認められているにも拘ら
ず普及しない原因となっている。
【0023】また近年、水素プラズマ中に基板をさら
し、基板に負のパルス電圧を周期的に印加する事によっ
て水素イオンを基板全面に注入する方法も提案されてい
る。この方法は以下の文献に詳述されている。 "Ion-cut silicon-on-insulator fabrication with
plasma immersion ion implantation": edited by Xian
g Lu, S.Sundar Kumar Iyer et.al, Appl.Phys.Lett.71
(19), 1997
【0024】図8にこれを示す。プラズマ室200には
原料ガス入口202から水素ガスが供給される。マグネ
トロン(図示しない)で発生し導波管203を伝搬した
マイクロ波204がプラズマ室200に供給される。プ
ラズマ室200の内部にはSiウエハ−207がサセプ
タ208の上に戴置される。サセプタ208は軸209
によって支持される。軸209は負バイアス電源220
によって負にバイアスされる。プラズマ206にウエハ
−207が接触している。ウエハ−を負にバイアスする
と水素正イオンH、H がウエハ−の全面に一挙に
注入される。
【0025】この方法は質量分離がなく簡単な構造にな
っている。しかしそれは決して利益でない。質量分離機
構を含んでいないためにプラズマ中の正イオン
(H 、H )を全てウエハ−に引き込んでしまう。
質量の異なる二種類のイオンが注入され、ポロシティの
大きい多孔質層が二重に形成されてしまう。これではウ
エハ−を綺麗にスマートカットできない。分子(H
と原子(H)では質量が2倍違うので、同じ加速エネル
ギーを与えると、軽いHが重いH の約2倍深くま
で注入されるからである。H によって一層目が、H
によって2層目の多孔質層ができる。
【0026】一原子イオンHで形成される2層目でカ
ットするのは良くない。他のウエハ−を貼り付けてSO
I基板を作ったとき、1層目がSOI基板に残るからで
ある。より表面に近い1層目(H で作られる多孔質
層)でウエハ全面にわたって剥離できれば問題はない
が、2層目で剥離される部分が存在するとこれは表面欠
陥となる。これは歩留まりを大きく低下させるので望ま
しくない。
【0027】また上記文献では、この問題を解決するた
めに、ガス流量、投入電力などを最適化してプラズマ状
態をコントロールし、プラズマ中の正イオン比率をH
/H=90:10として、H をより高い割合で
注入しするようにしている。一原子イオンHが少ない
ので2層目が薄くなり、1層目で剥離しやすくなるよう
に工夫を凝らしている。
【0028】しかしなおHを完全に除去する事ができ
ない。そのために2層目で剥離する危険性がある。従来
の方法では、プラズマ中の分子イオン/原子イオンのど
ちらか一方を、他方が無視できる程度まで優先的に生成
するのは困難である。またプラズマパラメータが少しで
もずれると、上記の正イオン比率H :Hが変動す
る惧れがある。特に生産装置での安定性という点で重大
な懸念がある。また、分子イオンH を優先的に注入
して多孔質層を形成しようとした場合、H は、H
に比べ約2倍の電圧を印加しなければ、必要とする深さ
まで注入する事ができない。そのため、パルス電圧を印
加する電源の技術的困難性が倍加し、価格も大幅に高く
なる。やはりどうしても質量分離機構が不可欠というこ
とになる。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】上記の第1の方法の本
質的な問題は質量分離を必要とする点にある。プラズマ
中の水素正イオンの種類には、前述のようにH、H
のイオンが存在する。このうちいずれか1種類を独占
的に注入しなければ多孔質層が多層に形成されてしま
う。1種類のイオンビ−ムだけを選ぶために図1のイオ
ン注入装置では、質量分離系を設けている。大きいマグ
ネットのために装置は大型、高価とならざるをえない。
太いビームは質量分離できないのでイオンビ−ム径を絞
る。イオンビ−ムを絞るので広いウエハ−の全面に一挙
にイオン注入できない。そのため走査機構を設け、ウエ
ハ全面にわたって、ビームを走査しなければならない。
また水素プラズマ中に基板をさらし、基板に負のパルス
電圧を印加する事によって水素正イオンを注入する方法
(図8)はプラズマパラメータをコントロールすること
によって問題を解決しようとしているが不完全である。
複数種類の水素正イオンが注入されるという問題が残っ
ている。
【0030】水素の生成イオン種を一種に限定した半導
体、金属、絶縁体基板への水素イオン注入方法、装置を
提供する事が本発明の第1の目的である。生成イオン種
を一種に限定し、質量分離を不要とし、安価で小面積に
設置できる水素イオン注入装置を提供することが本発明
の第2の目的である。生成イオンを一種に絞る事によっ
て走査を不要としスループットの高い水素イオン注入装
置を提供することが本発明の第3の目的である。水素正
イオンには、上述のようにH、H など複数種のイ
オン種が存在し、何れか1種を80%以上独占的に生成
することは、極めて困難である。かといって質量分離を
すると装置は大型で高価額のものにある。スループット
も低い。そこで本発明はその途を取らない。
【0031】
【課題を解決するための手段】本発明は、正イオンでな
く、水素負イオンHを用いる。水素負イオンとしては
H−の他に安定なものは存在しない。H のような分
子負イオンは発生しても寿命が数ns〜数十nsと短
い。すぐに解離しHとHになる。だから水素負イオン
といえば100%Hである。水素負イオンでのH
独占性については例えば次の文献に書かれている。 「イオン源工学」石川順三著 アイオニクス社出版
pp.34−35
【0032】本発明は負イオンにおけるHの優れた独
占性を活用する。一原子の水素負イオンHをSi、誘
電体基板、ガラスなど対象となる基板に注入する。他に
水素負イオンがないから質量分離が不要である。質量分
離が不要であるから始めから大面積のイオンビ−ムを引
き出すことができる。大面積ならばビーム走査が不要に
なる。これが本発明の骨子である。
【0033】本発明はイオン源から広い水素負イオンビ
−ムを取りだし基板に水素負イオンを注入する。広いビ
ームを得るためイオン源の開口部には基板直径より広い
範囲の孔分布を有する複数枚の多孔電極板からなる引出
電極系を設ける。負イオンを引き出すので、イオン源の
プラズマ室には負のバイアス電圧を印加し引出電極系に
も所定のバイアス電圧を印加する。イオン源の引出電極
系の作用で水素プラズマから負イオンビームを引き出
し、イオン源外部の半導体基板、金属基板、誘電体基板
に注入する。
【0034】水素負イオンには初めから一原子一価イオ
ンHしか存在しないので質量分離が不要である。大き
く重い質量分離マグネットは不要になる。これによって
装置が小型になる。装置据え付け面積も少なくなる。マ
グネットが無いのでより安価になる。
【0035】質量分離が不要であるとビームを絞る必要
もない。大面積のビームを発生させそのままウエハ−に
イオン注入すれば良い。ビーム走査しないから走査機構
の分だけ装置が安価になる。また走査機構が不要でその
分走査距離が不要になるから据え付け面積をさらに削減
できる。一挙にイオン注入できるから注入時間が大幅に
短縮できる。ためにスループットが大いに向上する。ボ
イドカット法によるSiSOI基板などの製造コストを
引き下げる事ができる。
【0036】水素負イオンビームを用いる本発明にも問
題はある。水素負イオンをどうして大量に生成するか?
と言う事が問題である。そもそも従来技術が全て水素の
正イオンを注入していたのは、正イオンが生成し易いか
らである。負イオンはなかなかできない。電気的中性の
条件から、プラズマ中でも、正イオン数=電子数+負イ
オン数である。プラズマ中で負イオンはかならず正イオ
ンより少ない。しかも負イオンも電子も負の荷電粒子で
あるからイオン源を負にして負イオンを引き出したとき
電子も同時にでてくるという問題がある。電子が基板に
注入されるとイオン電流がそれだけ無駄になるし、電子
によって基板が加熱されるという問題がある。イオン注
入装置において現在でも殆ど正イオンを対象にしている
のは正イオンのほうが作りやすいし電子が混ざらないか
らである。
【0037】負イオン生成の問題はいくつかの工夫によ
って解決できる。ひとつは、プラズマ中の中性を保持し
つつ電子を急激に消滅させることによって負イオンを一
時的に増大させる手法である。一価イオンに換算する
と、電子数+負イオン数=正イオン数であるから、電子
数を一時的に0に近づける事によって、負イオン数を正
イオン数に近づける事が可能である。プラズマが点灯し
ているときプラズマ励起手段を遮断すると、電子温度が
急激に下がり、低エネルギー電子が増える。
【0038】低エネルギー電子は衝突結合の断面積が大
きいから中性原子、分子と衝突し易くなる。中性水素原
子に衝突するとこれに捕獲され一価のHになる。中性
水素分子に衝突すると、分子を分裂させ二つの原子にし
電荷を与えて中性原子と負イオンHになる。このよう
にプラズマが消滅する際、電子が急速に減少し負イオン
が増える。もちろんこれは一時的なものでその後正イオ
ンも負イオンも減少し始める。その短い間だけ引出電極
系にバイアス電圧を印加して負イオンをウエハ−に注入
するようにする。プラズマを消滅させた直後に引出電極
系に所定のバイアス電圧を印加して負イオンを注入する
のである。
【0039】わずかな間だけ注入するのであるから繰り
返し繰り返し積み重ねる必要がある。それでプラズマ点
灯消灯をパルス的に行いそれから一定時間遅れて引出電
極系に正電圧バイアスをパルス的に印加する。1回あた
りの負イオン注入がわずかであっても繰り返して注入す
ればやがて所望のドーズ量に達する。この方法を、仮に
「消灯後負イオンビーム法」と呼ぶ。
【0040】消灯後負イオンビーム法の他にもう一つ負
イオンを高密度に生成する方法がある。プラズマ中の電
子温度はかなり高くエネルギーは数十eVもある。これ
では中性原子と結合しにくい。0.1eV〜0.01e
V程度の低速電子は中性原子と結合して負イオンを作り
やすい。そこで電子エネルギーを0.1eV程度以下に
下げて、中性原子、中性分子との衝突結合の断面積を増
やす方法である。これは「エネルギーフィルタ法」と呼
ばれている。これらは時間的、空間的に負イオン密度を
高めそこから負イオンを取り出すものである。これは先
ほど述べた、消灯後負イオンビーム法と併用することも
できる。
【0041】さらにCsの仕事関数の低い事を利用した
負イオン生成法もある。これはよく知られた方法であ
る。負にバイアスしたターゲットにCsを付着させてお
き中性原子分子を当てるとCsの電子が中性原子、分子
に移動して負イオンを作るというものである。Csは正
イオンになるがターゲットから電子がやってくるのでま
た中性に戻る。Csが電子を手放し易い(仕事関数が低
い)ことを巧みに使ったものでRbなどでも代用でき
る。これも先述の消灯後負イオンビーム法と併用でき
る。
【0042】プラズマの生成法自体は、フィラメントに
よるア−ク放電、平行平板電極間の高周波放電、直流放
電、マイクロ波放電、スパッタ負イオン生成など幾つも
の方法がある。これら励起手段に対応してイオン源がそ
の種類だけ存在する。本発明はその何れにも適用できる
ものである。さらに原料ガスは水素ガスが最も適する
が、これに限らない。水素+希ガスを使う事もできる。
希ガスはヘリウム、アルゴンなどであるが、これらはプ
ラズマ状態で安定であり、希ガスと水素の衝突によって
水素負イオンを生成することができる。ために負イオン
密度をより高くすることができる。さらに水素を含む気
体、SiH、CHなどの気体を原料ガスとすること
もできる。SiHをつかうと、H以外にSi
イオンもできるがこれは極めて重く基板の表面近くに
注入されるだけである。研磨によって簡単に除去でき
る。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明は、水素負イオンHをイ
オンビ−ムとして引き出し、Si基板、ガラス基板、誘
電体基板などに注入することに特徴がある。水素負イオ
ンは殆どがH である。そのため質量分離は不要であ
る。質量分離のためビームを絞る必要がないから走査装
置も不要である。装置は単純化、小型化されスループッ
トも上がる。作りにくい負イオンをどのようにして作る
か?という事が問題になる。負イオン生成について述べ
る。
【0044】[1.消灯後負イオンビーム法]プラズマ
点灯をパルス的に行いプラズマ消灯直後に引出電極系に
所定の電圧を印加することによって負イオンを注入する
方法である。プラズマ生成手段をオンすることによっ
て、プラズマ生成室内に水素を含むプラズマを生成す
る。次にプラズマ生成手段をオフする。プラズマ中の電
子の温度は、数μsec以内に、数10eVから数eV
まで急速に低下する。一方、この期間、電子および、正
・負イオン密度は殆ど変化しない。プラズマ中では低エ
ネルギー電子が支配的となる。この低速電子と水素分子
が解離性付着を起こすことによって水素負イオンが生成
される確率が急激に高くなる。e+H→H+H。
+H→Hの式によって簡明に表現できる。このよ
うな付着によって、負イオン密度はプラズマ生成手段オ
フ直後から急激に上昇する。さらに20〜30μsec
まで経過すると、電子は軽いために、急速に拡散し、消
滅して密度が低下する。一方で、正・負イオンは質量が
大きいため、殆ど消滅しない。このため電子密度が極端
に少なく、正負イオンでプラズマが維持される特異な
(電子が殆ど無い)プラズマが形成される。この現象
は、例えば次の文献に述べてある。
【0045】”パルス変調プラズマ”寒川誠二、応用
物理第66巻第6号、p550−558(1997)
【0046】(10) M.B.Hopkins, M.Bacal & W.G.Graha
m,”Enhanced volume production of negative ions in
the post dischagrge of a multicusp hydrogen disch
arge",J.Appl.Phys.70(4),p2009-2014(1991)"
【0047】は塩素やアルゴンのプラズマについて述
べたものである。(10)は水素プラズマについて調べたも
のである。本発明者はこれを巧みに利用する。プラズマ
消灯後僅かな間負イオン密度の高い状態が出現する。本
発明は、この特異なプラズマ(正イオン数=負イオン
数)が形成される瞬間に、引出電極系に所定のパルス電
圧を印加する。これによって、水素負イオン(H)を
Si基板に注入する。
【0048】[2.エネルギーフィルタ法]プラズマ室
を2つに分離し、第1プラズマ室では原料ガスを導きこ
れを励起しプラズマ生成を行う。第2プラズマ室にはウ
エハとサセプタを設ける。二つのプラズマ室の間には磁
場によるエネルギーフィルタを設ける。第1プラズマ室
では旺盛なプラズマ生成が行われ電子のエネルギーが高
い。エネルギーフィルタは高エネルギーの電子の通過を
防ぐ。第2プラズマ室は低エネルギーの電子が多く存在
する。低エネルギー電子は中性分子、原子との衝突結合
の断面積が大きい。低エネルギー電子は中性原子に結び
ついてこれを負イオンH化する。そのようにして低エ
ネルギーの電子が少なくなると第1プラズマ室から低エ
ネルギー電子が入ってくる。エネルギーフィルタは、電
子エネルギーに対して選択性あるものである。中性原
子、分子は自由に通過を許すものとする。それは数十ガ
ウス程度の磁場を形成することによってなされる。その
ような磁場は永久磁石を対向させることによって発生さ
せる事ができる。あるいは平行な複数の導体棒に電流を
流す事によって磁場を発生させることができる。
【0049】[3.Cs法]負イオン源として既に広く
使われている方法である。Csは金属表面に吸着される
と金属表面の仕事関数を下げる作用がある。仕事関数が
下がるので電子がより放出されやすくなる。そこでこの
金属を負にバイアスすると金属は電子の放出体として機
能する。水素分子、水素正イオンが、Csに当たると電
子が水素分子などに与えられ水素負イオンになる。Cs
は蒸発源に固体の状態で収容しておき加熱気化して金属
表面に導く。Csの他にルビジウムRb、カリウムK、
バリウムBaなどをも利用できる。
【0050】
【実施例】[実施例1(消灯後負イオンビーム法)]図
2によって実施例1を説明する。これはマイクロ波をプ
ラズマの励起源とする例である。アンテナからマイクロ
波をチャンバ内に導きここでプラズマを発生させる。原
料ガス入口29を有するMPカソードチャンバ28に
は、同軸ケーブル31が接続される。同軸ケーブル31
の先端にアンテナ32が固定される。マグネトロン(図
示しない)で発生したマイクロ波は同軸ケーブルを伝わ
りアンテナ32からMPカソードチャンバ28内に入
る。チャンバ28には水素ガスが導入される。
【0051】MPカソードチャンバ28には磁場印加手
段33が縦磁場を生じている。これはマイクロ波共鳴磁
場を生ずる。水素ガスから出た電子はマイクロ波を共鳴
吸収する。電子の運動が激しくなり水素を叩いて正イオ
ン水素、電子などを含む水素プラズマとなる。Ar、H
eなどの希ガスを加えても良い。そのままであると正イ
オンしかできないので目的に添えない。
【0052】そこでMPカソード28に続けて主放電室
30を設ける。主放電室は独自のプラズマ励起源を持た
ない。MPカソード28からドリフトしてきた水素プラ
ズマが主放電室30に満ちる。主放電室30の外周壁に
はNS、SN、…というように極性が異なる永久磁石3
5が多数取り付けられる。これはカスプ磁場をチャンバ
内に形成し、プラズマ中の荷電粒子が壁面に衝突するの
を防ぐ作用がある。プラズマ閉じ込めのためのカスプ磁
場である。主放電室30とMPカソード28の間には、
アーク電源39(Vex)がある。主放電室30をVe
xの正電圧によってバイアスしている。これによって電
子放出口34から電子と負イオンなどがMPカソードか
ら主放電室30に引き込まれる。電子は主放電プラズマ
57を生成するエネルギーを与える。電子だけでなく水
素の正イオンや負イオンも主放電室30へと移動する。
電子は空間を飛翔し水素を叩いて正イオンや負イオンを
作る。エネルギーが高いときは電子を弾き飛ばして正イ
オンを作る傾向がある。エネルギーが低いときは水素軌
道に入り負イオンを作り易い。電子の作用はこのような
二面性がある。
【0053】正イオンができるときは電子が増える。負
イオンができるときは電子が減る。電子はMPカソード
から連続的に供給される。電子は水素原子や分子と衝突
しエネルギーを失う。低速の電子は水素原子に結合して
負イオンを生成することもある。しかしほとんどは主放
電室の壁面にあたって消滅する。主放電プラズマ57は
水素正イオン、電子、水素負イオン、中性水素分子、中
性原子などを含む。主放電室30の反対側は開口部にな
っている。開口部の先には引出電極系として3枚の多孔
板よりなる加速電極36、減速電極37、接地電極38
が設置されている。3つの多孔電極を一括して呼ぶとき
は引出電極系ということにする。個々の電極を指示する
場合は、加速電極、減速電極、接地電極という。また3
枚電極系に限らず、2枚電極系の場合もある。その場合
は加速電極と接地電極だけで減速電極は省かれる。以下
の実施例では3枚の引出電極系のものを説明する。これ
らは負イオンをビームとして主放電室30から引き出す
ものである。加速電源42が第2スイッチ44、抵抗4
1を介して加速電極36につながっている。第2スイッ
チ44が閉じたとき、主放電室30は負の高電圧にバイ
アスされる。加速電圧Vaccと引き込み電圧Vexの
差−(Vacc−Vex)である。加速電極36の電圧
は−Vaccである。減速電極37には、第3スイッチ
45を介して減速電源43に接続される。これには正電
圧が印加されている。
【0054】第2スイッチ44、第3スイッチ45が閉
じていると主放電プラズマ57から、Vaccの作用に
よって負イオンビームが引き出される。第1スイッチ4
0を閉じると電子や負イオンなどがMPカソードから主
放電室30へと引き込まれ負イオンの多い主放電プラズ
マ57が生成される。全てのスイッチ40、44、45
を閉じておいて連続的に負イオンを引き出してサセプタ
47の上のSiウエハ−58に水素負イオンを注入する
ようにしてもよい。これは勿論である。減速電極37の
正バイアスのために負イオンと電子しかSiウエハ−5
8に注入されない。電子が注入されても不純物でなくあ
まり差し支えない。連続負イオン注入はもちろん可能で
ある。
【0055】しかしそうはいっても電子と負イオンが同
時に注入されると電子電流分だけ電力が損になる。電子
衝突による加熱も無視できない。負イオンの比率を上げ
たいものである。それには先述のようなプラズマ消灯後
の負イオン密度上昇減少を利用する。そのため図3のよ
うにスイッチをパルス的に開閉する。図3(a)は第1
スイッチ40のオンオフのタイミングを示す。オフ5
1、立ち上がり48、オン49、立ち下がり50、オフ
51の繰り返し波形である。図3(b)は第2スイッチ
44、第3スイッチ45のオンオフのタイミングを示す
波形である。オフ56、立ち上がり53、オン54、立
ち下がり55の繰り返しである。ただし後者の方が少し
遅れる。第1スイッチ40の立ち下がり50のときはオ
フ(52)のままで少し遅れて、第2、第3スイッチが
立ち上がる(53)。このような遅延オンオフ動作は無
限に繰り返される。
【0056】3つのスイッチ40、44、45の開閉を
制御するのが遅延回路46である。第1スイッチが閉じ
ると主放電プラズマ57が形成される(オン49)。第
1スイッチ40が開くとプラズマ温度は急速に下がり電
子はエネルギーを失う。初め電子はプラズマ中で10e
V程度のエネルギーを持つが、第1スイッチ40を開い
て数μsecで1eV〜0.1eV程度になってしま
う。低速電子になってしまうのである。低速電子は中性
水素との衝突結合断面積が大きい。中性水素原子と衝突
してこれに付着し水素原子を負イオンにする。負イオン
密度が正イオン密度と拮抗するぐらいに高まってくる。
その瞬間52に第2、第3スイッチ44、45を閉じ
る。これによって引出電極系36、37、38が負イオ
ンビームを引き出すようになる。負イオン密度が高いの
で効率よく負イオンだけを引き出すことができる。やが
て負イオンがつきるので、引き出し電圧をオフ(55)
とするのである。第1スイッチ立ち下がり50から第2
スイッチ立ち上がり53までの遅延時間τは先述のよう
に10μsec程度であるのが最もよい。しかしパルス
駆動は繰り返されるから、50と53の間隔(遅延時
間)τは10μsec〜オフ時間Toffであれば良
い。
【0057】このようにすると、主放電プラズマが高密
度の水素負イオンを持つときだけ電極が負にバイアスさ
れ負イオンビームを引き出しウエハ−に注入できる。電
子電流は無効であるがこのようなタイミングによって開
閉して電子電流を減らしかつ大電流の負イオンビームを
引き出すことができる。この実施例ではスイッチ40、
44、45として、半導体スイッチを用いている。この
場合は、デユーティ1%、繰り返し周波数は数Hz〜1
0kHzまで印加可能であることを確認している。また
スイッチング手段としてサイラトロン等を用いる事も可
能である。
【0058】実施例1の主点は、プラズマをオン/オフ
させ、オフ期間中にHを多量に生成し、タイミング良
く引出電極系に所定のバイアス電圧を印加してHをS
i基板に注入する事である。プラズマ消灯直後の負イオ
ンの増大現象を巧みに利用するものである。
【0059】ここでは高周波励起の装置を用いたがこれ
に限らない。プラズマ生成手段としては高周波プラズマ
以外にもマイクロ波プラズマでも直流放電プラズマでも
良い。何れの場合も周期的にプラズマ生成手段をオンオ
フしオフになった直後の負イオン増加時にタイミングを
合わせて引出電極系に所定のバイアス電圧を印加する。
反対にこういう事もいえる。実施例1でプラズマ生成
(第1スイッチ40)と引き出し(第2、第3スイッ
チ)をパルス的におこない水素負イオン密度の高いとき
だけビーム引き出しをしているが、以下に示す実施例に
おいてもこれは可能である。いちいち説明しないが図3
のようにプラズマ生成、ビーム引き出しを遅延させてお
こなうのはどの実施例においても有効である。
【0060】[実施例2(エネルギーフィルタによって
低エネルギー電子を通す)]水素負イオンを多量に生成
する方法はいくつかあるが、とくに核融合開発における
中性粒子入射装置(NBI:Neutral Beam Injection)用水
素負イオン源の開発において多くの成果が上げられてい
る。実施例2はこれを応用したものである。水素負イオ
ン源の構造、作用などは以下の文献に述べられている。 (11) 「イオン源工学」 石川順三著 アイオニクス社
出版pp486−492プラズマ室内に水素ガスを導入
し、プラズマ室に設けられた熱フィラメントを通電加熱
することによって熱電子を発生させる。概ね40V〜1
00Vの直流電圧を、熱フィラメントを負極、プラズマ
室壁を正極として接続し、直流放電によって水素プラズ
マを生成する。プラズマ生成室外側にはN極とS極が交
互に配列されるように永久磁石を配置する。多極(カス
プ磁場)磁界を形成して効率よくプラズマを閉じ込め
る。
【0061】プラズマ室は、磁場によって、第1プラズ
マ室と第2プラズマ室に分けられる。平行な複数の導体
棒に電流を流す事によって、数10ガウスの程度の弱い
磁界を形成するこれは、エネルギーフィルタと呼ばれ
る。エネルギーフィルタは、第1プラズマ室内で生成さ
れた数10eV程度の高エネルギー電子が第2プラズマ
室内に多量に進入しないようにする。
【0062】第2プラズマ室には、約1eV程度の低エ
ネルギー電子を多く含むプラズマが生成される。水素分
子の解離性電子付着によってHが多量に生成される。
第2プラズマ室とSi基板との間に配置した多孔電極系
に図示する極性の電圧を印加する事により、水素負イオ
ンビームが引き出される。水素負イオンビームには必要
とされる深さまで注入されるよう10keV〜100k
eV程度のエネルギーが賦与されている。多孔電極の少
なくとも一枚には、負イオンビ−ムに混入して引き出さ
れる電子ビームを除去するため、数10ガウス〜数10
0ガウス程度の弱磁場をビーム引き出し空間中に形成す
るよう、磁場形成手段が賦与されている。
【0063】図4に実施例2をより具体的に示す。これ
はエネルギーフィルタによって低エネルギー電子を増や
し負イオン生成を促進する。ECRプラズマ生成装置を
例にするがそのほかの励起方法であっても適用すること
ができる。プラズマ室61はガス入口62を有する。マ
グネトロン64はマイクロ波66を発生する。マイクロ
波66は導波管65を通り誘電体窓79を通過してプラ
ズマ室61に入る。コイル67はECR条件を満たす磁
場を発生する。つまりマイクロ波が2.45GHzであ
れば875ガウスの磁束密度ができるようにする。そこ
で電子はマイクロ波を共鳴吸収する。
【0064】プラズマ室61は中間部において、複数の
導体棒69が平行に設けられる。これには同方向に電流
を流す。導体棒69の回りに10ガウス〜数10ガウス
程度の磁場を生ずる。包絡線の方向に磁場ができる。つ
まり水平方向に磁束密度Bが発生する。電子は水平方向
の磁場の回りを螺旋運動する。螺旋運動の周期はエネル
ギーによらないが半径はエネルギーの二乗に比例する。
ファラディ力は電子の速度vに比例するから高エネルギ
ー電子ほどファラディ力が大きい。この弱い磁場の障壁
を、高いエネルギーの電子は通り抜けることができな
い。低エネルギーの電子はこれを通り抜けることができ
る。だから導体棒69が作る磁場は低エネルギー電子だ
けを選択透過させるエネルギーフィルタとなっている。
【0065】プラズマ室61は導体棒69によって上下
に分割される。上方はマイクロ波を共鳴吸収する部分で
ある。第1プラズマ室68と呼ぶ。下方は負イオンを生
成する部分である。第2プラズマ室70と呼ぶ。第2プ
ラズマ室70の下部は開口しており、その下には3枚の
引出電極系がある。加速電極75、減速電極76、接地
電極77である。いずれも多数のイオンビ−ム引き出し
用の孔が穿孔されている。多孔電極板である。多孔引出
電極系75、76、77のイオンビ−ムを真っ直ぐに引
き出すため、同じ部位にイオンビ−ム通し穴が穿孔され
る。電極の先にはSiウエハ−72を戴置したサセプタ
73がある。サセプタ73はシャフト74によって支持
される。これは大地電圧(接地電位)である。加速電源
86(Vacc)は正極が接地され負極は抵抗88を経
て加速電極75に接続される。負極はプラズマ室61に
も接続される。プラズマ室61と加速電極75には−V
accの電圧が印加される。減速電極76には減速電源
87によって正電圧が印加されている。接地電極77は
大地電位である。加速電圧Vaccによって正イオンは
プラズマ室61に閉じ込められる。負イオンと電子だけ
が加速電極75を通過することができる。負イオンの加
速エネルギーはq(Vpz+Vacc)である。これは
ウエハ−からみれば、プラズマ室61に対して正のバイ
アス電圧を印加したということになる。
【0066】正バイアス電圧VaccはSiウエハ−7
2への必要な水素の注入深さによって適当に決める。例
えば10keV〜100keVの程度の注入深さとする
事が多い。面積の広い電極群75、76、77から出た
負イオンビームHをSiウエハ−72に注入する。引
出電極系の穴分布が十分に広いのでビーム直径の方がウ
エハ−径より広い。だから一挙に水素負イオンHを注
入できる。ビーム走査機構は存在しない。どうして走査
は不要か?それは質量分離の必要がないからである。水
素負イオンはH一種しか発生しないので質量分離は不
要である。
【0067】プラズマ室61の下半外壁には、プラズマ
閉じ込め用永久磁石71が多数設けられる。NSの極が
隣接磁石間で反転するような配列になっている。隣接磁
石間でカスプ磁場を生成し荷電粒子をプラズマ室の中央
部に閉じ込める作用がある。この例では、プラズマの励
起源はマイクロ波であるが、それに限らず、高周波放電
や直流放電によってプラズマを発生させてもよい。
【0068】その動作は次のようである。水素ガスを入
口62から導入する。誘電体窓79を通してマイクロ波
66をプラズマ室61に導入する。電子はマイクロ波を
共鳴吸収し高密度の水素プラズマを第1プラズマ室68
に生成する。このプラズマは正イオン、電子、中性原
子、分子を含む。電子が多く負イオンは少ない。電子エ
ネルギーは高くて10eV程度もある。
【0069】導体棒69が作る磁場B(数十ガウス〜百
ガウス)が第1、第2プラズマ室68、70の境界にあ
る。荷電粒子、特に高速の電子はこの磁場障壁を抜ける
ことができない。中性原子、分子は磁場Bを通り抜ける
ことができる。軽い電子でもエネルギーが低いもの(約
1eV以下)は導体棒69の磁場Bを通り抜けることが
できる。低エネルギーの電子は磁場にとらえられてサイ
クロトロン運動するがやがて磁場の影響を離脱する。
【0070】第2プラズマ室70ではECR条件が満た
されないから新たにプラズマが増えない。第1プラズマ
室68からの移動分しか存在しない。プラズマ温度が低
いわけである。高エネルギー電子は少なく低エネルギー
の電子が多数存在する。1eV程度である。低エネルギ
ーの電子が中性水素分子に解離性付着する。これによっ
て水素負イオンができる。低エネルギーの電子は殆ど全
て中性原子、分子に付着して消滅する。負イオン密度が
高い。そのような第2プラズマ室70から加速電極75
の作用で負イオンビームを引き出す。加速電極75、減
速電極76は負イオンと電子を引きつける。電子は少な
くなっており、負イオンビームの比率が多い。電子は試
料(ウエハ−)に注入されても別段役に立たずかえって
基板の加熱の問題を引き起こす場合があるので、電子比
率は低い方が良い。それでエネルギーフィルタをプラズ
マ室61の中間高さに設けるのである。また引出電極系
部分に弱い磁場を形成して電子を除去する方法を付加す
ることも効果的である。
【0071】実施例2では、第1プラズマ室68にのみ
水素ガスを供給しているが、これに限らない。一般に水
素ガス圧が高い方が負イオン生成効率が高い。負イオン
生成効率を高めるため第2プラズマ室70にも水素ガス
を供給しても良い。また第1プラズマ室には水素ガスを
与えず、第2プラズマ室70のみに水素ガスを供給して
も良い。その場合第1プラズマ室には希ガスだけを導入
する。なんらかのガスがないとプラズマが立たないから
である。
【0072】図示した例では、引出電極系の加速電極7
5、減速電極76には常にバイアス電圧が印加されてい
る。しかしそれに限らず、加速電極と抵抗88、電源8
6、87の間にスイッチを介在させてもよい。スイッチ
の開閉を繰り返して、プラズマから負イオンビームの引
き出しを間欠的に行うのである。負イオン生成に時間が
掛かるから引き出しを間欠的にして負イオンを補充して
から引き出すのである。
【0073】この実施例ではマイクロ波は連続発振して
おり、プラズマを一時的に消すということはしていな
い。しかしこの実施例にも先述の消灯後負イオンビーム
法を応用できる。そのためマグネトロンを間欠発振させ
図3のタイミング波形のようにプラズマを点灯消灯させ
るようにしても良い。実施例1と同じ理由で、オフ時に
低速電子が増えるからである。図3のようにタイミング
を合わせて加速電極に+Vpdの電圧を与える様にする
と、負イオン密度が増えた瞬間に負イオンビームを引き
出す事になる。
【0074】[実施例3(エネルギーフィルタによって
低エネルギー電子を通す)]図5は第3の実施例を示
す。これはエネルギーフィルタの部分を導体棒でなく、
永久磁石81〜84によって置き換えたものである。カ
スプ磁場を作る永久磁石71とは別に、プラズマ室61
の中間高さに同一方向を向いた永久磁石81〜84を設
ける。異極が対向する永久磁石81、82間と永久磁石
83、84間に一方向に向かう磁束密度Bが生ずる。こ
れも数十〜百ガウス程度の弱い磁場で十分である。これ
は高速電子を遮断する作用がありエネルギーフィルタと
して機能する。図4の導体棒に電流を流すのと同じ作用
がある。下半部の永久磁石71はカスプ磁場を生成する
ためのものである。加速電極75、減速電極76、接地
電極77よりなる引出電極系によって負イオンを引き出
す。この点は先ほどの実施例2と同様である。全面一挙
注入であるから質量分離やビーム走査が不要である。
【0075】[実施例4] 図6に実施例4を示す。セ
シウムを利用したスパッタ型負イオン源を用いたもので
ある。セシウム利用スパッタ型負イオン源については例
えば次の文献に説明されている。 (12)富岡哲生、辻博司、豊田啓孝、後藤康仁、石川順
三、「RFプラズマスパッタ型負重イオン源からの酸素
及びフッ素負イオン引き出し特性」 Proc.BEA
MS1995TOKYO、pp191−194
【0076】プラズマ生成室100内の上方には導電性
ターゲット101が設けられる。ターゲット101の軸
は絶縁物102を経て外部に引き出され負バイアス電源
103に接続される。ガス入口104から原料ガス(X
e+H)が供給される。プラズマ生成室100内部に
は数ターンの高周波コイル105が設置される。高周波
コイル105の端子は絶縁物106を経て外部へ取り出
される。その一端はマッチングボックス107を経て高
周波電源109に接続される。高周波電源109の一端
は接地される。コイル105の他端は接地されている。
【0077】プラズマ生成室100の下方には広い開口
部がある。その先には3枚の多孔板よりなる引出電極系
が取り付けられる。加速電極113、減速電極114、
接地電極115である。これらは負イオンをプラズマ生
成室から引き出し加速する作用がある。引出電極系11
3、114、115よりさらに下流側の密封空間に(チ
ャンバを図示しない)サセプタ110、ウエハ−111
が設けられる。軸112は接地電位である。プラズマ生
成室100は、加速電源122によって大地に対して負
の高電圧にバイアスされる。これは基板への水素負イオ
ンの注入深さによって決まる。20kV〜200kV程
度である。例えば100kVの負電圧をプラズマ生成室
に印加している。加速電源122の負極が抵抗124を
介して加速電極113に接続される。加速電極113
は、加速電源122と同じ負電圧が印加される。減速電
極114には減速電源123によって正電圧が印加され
ている。加速電極113はプラズマ生成室100と同じ
電圧になっている。これによって正イオンビ−ムが外部
に出ないようになっている。負イオンだけが加速電極1
13の孔を通り、減速電極114との間で急速に加速さ
れる。
【0078】プラズマ生成室100の外部にオーブン1
17がある。この内部にセシウムCs118が収容され
る。周りのヒ−タ119によってオーブンを加熱するこ
とができる。オーブン117の上にはパイプ120がつ
いておりパイプ先端のノズル121はターゲット101
の下面に向かって設けられる。ヒ−タ119によってC
sを加熱すると蒸気が発生し、ノズル121から噴出し
ターゲット101の表面に付着する。引き出し電極の下
流側にガス排出口がありここから内部を真空に引くこと
ができるようになっている。以上の構成においてその動
作を述べる。
【0079】ターゲット101には300V〜800V
程度の負電圧が印加されている。オーブン117からセ
シウム蒸気が生じターゲット101に付着している。プ
ラズマ生成室100にアルゴンAr、キセノンXeなど
のスパッタガスと水素ガスの混合ガスを導入する。水素
分子の一部はターゲットのセシウム層の上に吸着され
る。
【0080】高周波コイル105に高周波電圧を印加す
る。高周波によってガス中の電子が上下に振動し原子に
当たって電離するから、混合ガス(Xe+H)のプラズ
マが生成される。プラズマというのは電子、正イオン、
中性ラジカル、中性分子などの集合である。
【0081】ターゲット101には負電圧が印加されて
いるから混合ガスのうち不活性ガスの正イオン、例えば
Xeイオンがターゲットに引き寄せられる。不活性ガ
ス正イオンはターゲットの水素分子に当たりこれをスパ
ッタリングする。水素分子はCsから電子を取り込み分
解し一原子負イオンHになる。Csは電気陰性度が低
く電子を放出し易い。電子が水素原子について水素負イ
オンを作る。Csを使うので負イオン濃度が高くなる。
高密度の水素負イオンを含むプラズマから、H イオン
ビ−ムを引き出して、ウエハ−111に照射する。ウエ
ハ−にはある一定の深さでHが注入される。
【0082】この方法は、後でSi基板上のCs或いは
浅く注入されたCsを除去しなければならないという問
題がある。しかし負イオンの生成効率を高めるという点
で利点がある。水素負イオンがウエハ−に注入されるた
め、プラズマ内での負イオン密度が減る。しかしプラズ
マは全体的に中性を保とうとするので、正イオンがセシ
ウム被覆ターゲットに当たりCsから電子をとり中性の
水素に電子を与える。それによって失われた負イオン分
の負イオンHが新たに生成される。
【0083】パルス的に高周波コイルをオンオフしなく
ても高濃度の水素負イオンを作る事ができる。水素負イ
オンビームを連続的に注入できる。ただしCsスパッタ
負イオン源でも、図2、図3の実施例と同じようにパル
ス的に間欠駆動するようにしても良い。なお実施例1、
2、3は引出電極系を3枚としたが加速電極、接地電極
の2枚としてもよい。
【0084】図7に本発明により水素負イオンをSi基
板に注入し、水素の多孔質膜を作り他のSiを付けて多
孔質膜からSiを剥離して、SOI基板を作製する行程
を示す。簡単に説明すると、第1のSi基板の表面を酸
化しSiO膜を作る(1)。次に水素負イオンを注入
し、ポロシティの大きい多孔質層を形成する(2)。そ
の後熱処理によって、表面のSi層の注入ダメージを回
復する(3)。第1のSi基板を貼り合わせる(4)。
その後垂直方向に剪断力を加える事によって前記多孔質
層で第1基板を切断する(5)。その後、表面を研磨す
る(6)。こうしてSOI基板を作製する。
【0085】
【発明の効果】Si、SiCなど半導体基板、誘電体基
板、金属基板などに水素負イオンを注入する事によって
所定深さに水素の多い層を形成することができる。プラ
ズマから水素を引出電極系によって負イオンビームとし
て引き出す。イオンビ−ムの直径が基板よりも大きいか
ら水素負イオンHを基板面に一括して注入する事がで
きる。水素負イオンはHのみ安定で独占的に生成され
る。引出電極系に所定のパルスバイアス電圧を周期的に
印加することによってHのみを安定的に、短時間で実
用量を注入する事ができる。質量分離系などを設ける必
要はない。質量分離の大がかりな装置が不要であるから
装置価格は低下する。据え付けに必要な面積も節減でき
る。質量分離しないからビームを細くする必要がなく、
走査が不要になる。走査せず一挙に注入できるのでスル
ープットが向上する。
【0086】さらにプラズマ生成手段を周期的にオン/
オフさせ、それより少し遅れて引出電極系に電圧を印加
するようにすると、効率よく負イオンだけを引き出すこ
とができる。そうすれば電子の過剰照射による基板過熱
及び引出電極系の電源の大容量化を回避する事が可能に
なる。安価、安定、小設置面積のイオン注入装置を提供
する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素正イオンを発生させ質量分離し走査してS
iウエハ−に注入する従来例にかかる装置の概略断面
図。
【図2】マイクロ波励起とコイル磁場によるマイクロ波
共鳴吸収によって水素プラズマを生成し、マイクロ波源
からの電子流入を一時的に遮断し、遮断後の一時的な負
イオン増加時に引出電極系に電圧を印加し負イオンビー
ムを引き出し、Siウエハ−に水素負イオンを注入する
ようにした本発明の第1の実施例にかかる装置の断面
図。
【図3】図2の第1の実施例において、高周波電力を供
給するタイミングと引出電極系の加速電極及び減速電極
にそれぞれ負及び正のバイアス電圧を印加するタイミン
グを示すパルス波形図。
【図4】ECRプラズマ法を用い導体棒電流によってチ
ャンバ中間に磁場を生成してプラズマを二分し負イオン
生成率を上げ引出電極系によって負イオンビームを引き
出し、ウエハ−に水素負イオンを注入するようにした本
発明の第2の実施例にかかる装置の断面図。
【図5】ECRプラズマ法を用い永久磁石磁場によって
チャンバ中間に磁場を形成しプラズマを二分して負イオ
ン生成率を上げ引出電極系によって負イオンビームを引
き出し、ウエハ−に水素負イオンを注入するようにした
本発明の第3の実施例にかかる装置の断面図。
【図6】Cs利用スパッタ型負イオン源を用いてウエハ
−に水素負イオンを注入するようにした本発明の第4の
実施例を示す断面図。
【図7】本発明の思想に従って水素負イオンをSiウエ
ハ−に注入し、多孔質層を作りもう一枚のウエハ−を貼
り付け多孔質層から剪断してSOI基板を作製する工程
を説明する図。
【図8】全面に水素正イオンを一挙に注入する従来例に
かかる方法を説明する断面図。
【符号の説明】
1チャンバ 2フィラメント 3フィラメント電源 4ガス入口 5絶縁物 6ア−ク電源 7加速電源 8出口 9加速電極 10減速電極 11接地電極 12減速電源 13抵抗 14質量分離マグネット 15水素正イオンビ−ム 16入口 17出口 18スリット板 19電極 20電極 21可変電源 22走査機構 23走査ビーム 24ウエハ− 25サセプタ 26中央軌跡 27偏奇軌跡 28MPカソード 29ガス入口 30主放電室 31同軸ケーブル 32アンテナ 33磁場印加手段 34電子放出孔 35永久磁石 36加速電極 37減速電極 38接地電極 39アーク電源 40第1スイッチ 41抵抗 42加速電源 43減速電源 44第2スイッチ 45第3スイッチ 46遅延回路 47サセプタ 48立ち上がり 49オン 50立ち下がり 51オフ 52消灯時 53立ち上がり 54オン 55立ち下がり 56オフ 61プラズマ室 62ガス入口 64マグネトロン 65導波管 66マイクロ波 67コイル 68第1プラズマ室 69導体棒 70第2プラズマ室 71永久磁石 72ウエハ− 73サセプタ 74軸 75加速電極 76減速電極 77接地電極 79誘電体窓 81〜84永久磁石 86加速電源 87減速電源 88抵抗 100プラズマ生成室 101ターゲット 102絶縁物 103負バイアス電源 104ガス入口 105コイル 106絶縁物 107マッチングボックス 109高周波電源 110サセプタ 111ウエハ− 112軸 113加速電極 114減速電極 115接地電極 117オーブン 118セシウム固体 119ヒ−タ 120パイプ 121ノズル 122加速電源 123減速電源 124抵抗
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 21/265 H05H 1/24 H05H 1/24 H01L 21/265 F (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05H 1/46 H05H 1/24 H01J 27/08 H01J 27/18 H01J 37/08 H01L 21/265

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板、絶縁体基板或いは金属基板
    に水素イオンを所定の深さに注入する方法であって、プ
    ラズマ室にプラズマ生成手段によって水素を含むプラズ
    マを発生し、基板直径より広い範囲の孔分布を有する複
    数枚の多孔電極板からなる引出電極系によってプラズマ
    から水素負イオンビームを引き出し、半導体基板、絶縁
    体基板或いは金属基板に水素負イオンを所定の深さまで
    注入する事を特徴とする水素負イオンビーム注入方法。
  2. 【請求項2】 プラズマを生成するプラズマ室内の中間
    部に電子を捕獲するための磁場を形成し、磁場の一方の
    側の第1プラズマ室ではプラズマ生成手段によってプラ
    ズマを生成し、第2プラズマ室の開口部に引出電極系を
    設け、第1プラズマ室の高エネルギー電子が磁場によっ
    て妨げられ第2プラズマ室に移動しないようにし、第2
    プラズマ室で低エネルギー電子と中性原子、分子の衝突
    を促進し負イオン濃度を高めるようにし、第2プラズマ
    室から水素負イオンビームを引き出し半導体基板、金属
    基板、誘電体基板に水素負イオンビームを注入するよう
    にしたことを特徴とする請求項1に記載の水素負イオン
    ビーム注入方法。
  3. 【請求項3】 高周波コイルに高周波を与える事により
    プラズマを発生させる手段を備えたプラズマ室にCsを
    供給し、プラズマ室内に設置された導電性ターゲットの
    表面にCsを堆積させ、このターゲットに負電圧を印加
    する事によって、ターゲットを正イオンでスパッタし、
    水素負イオン濃度の高い水素プラズマを生成することを
    特徴とする請求項1に記載の水素負イオンビーム注入方
    法。
  4. 【請求項4】 プラズマ生成手段を周期的にオン/オフ
    し、プラズマ生成手段がオフに切り替わってから10μ
    secから再びオンになるまでの期間に引出電極系に直
    流電圧を印加しプラズマから水素負イオンビームを引き
    出すようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3に
    記載の水素負イオンビーム注入方法。
  5. 【請求項5】 真空に引くことができプラズマを生成す
    る空間であるプラズマ室と、プラズマ室内にプラズマを
    発生するプラズマ生成手段と、プラズマ室に水素原子を
    含むガスを導入するガス導入口と、プラズマ室からガス
    を排出するガス排気装置と、プラズマ室の開口部に設け
    られ基板直径よりも大きい直径をもつ多孔板からなる複
    数の引出電極系と、プラズマから負イオンビームを引き
    だすよう引出電極系に負の高電圧、正電圧を印加する電
    源と、引出電極系の下流側に設けられ半導体基板、絶縁
    体基板又は金属基板を戴置するためのサセプタとを含む
    ことを特徴とする水素負イオンビーム注入装置。
  6. 【請求項6】 プラズマ室内に磁界を形成するための磁
    場形成手段を、プラズマ室内或いは外に設け、プラズマ
    室を二つに分離し、磁場によってエネルギーの高い電子
    の透過を防ぎ、一方のプラズマ室ではプラズマ生成を行
    い、他方のプラズマ室に引出電極系を設け、引出電極系
    の下流側にサセプタを設けた事を特徴とする請求項5に
    記載の水素負イオンビーム注入装置。
  7. 【請求項7】 高周波コイルに高周波を与える事により
    プラズマを発生させる手段を備えたプラズマ室に設けら
    れた導電性のターゲットと、ターゲットに負電圧を印加
    する負バイアス電源と、Cs、Rb、Kなどの蒸気を生
    成するオーブンと、オーブンで発生した蒸気をターゲッ
    トに導くノズルとを設けた事を特徴とする請求項5に記
    載の水素負イオンビーム注入装置。
  8. 【請求項8】 プラズマ生成手段をオンオフするスイッ
    チと、プラズマ生成オンオフと、引出電極系に与える直
    流電圧をオンオフするスイッチと、プラズマ生成手段オ
    ンオフのタイミングと、引出電極系電圧オンオフのタイ
    ミングとの関係を決める遅延回路とを含み、プラズマ生
    成手段がオフになった直後に引出電極系に直流電圧をあ
    たえ、負イオンビームを引き出すようにしたことを特徴
    とする請求項5、6又は7に記載の水素負イオンビーム
    注入装置。
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